結論
ユナイテッドは、未上場企業への投資と株式売却、個別指導塾の運営、インターネット広告の配信技術を収益の柱とする会社である。筆者の結論は「割高」だ。保有株式には帳簿に現れない含み益があり、塾には店舗網を広げる余地もある。しかし、10年後に株主が手にする価値を考えると、投資先の売却益を安定した事業利益と同じようには扱えない。
2026年3月期は売上高約89億円に対して営業損失約12億円となった。前年まで利益を支えていた投資先の売却が減り、IT教育などの不振も重なったためだ。翌期の会社計画も営業利益0~2億円にとどまる。2027年3月期第1四半期には黒字へ戻ったが、その主因は有価証券の売却であり、本業の収益力が全面的に回復したとはまだ言えない。
一方、財務が直ちに危うい会社ではない。2026年3月期末には約58億円の純現金があり、2026年6月末の未上場株式148社について、会社が示した評価額は95億円、帳簿額は54億円だった。この差額約41億円には確かな注目価値がある。ただし、資金調達時の評価と、まとまった株式を実際に売れる値段は違う。含み益をすべて現金とみなせば安全域を過大評価する。
10年後の中立では、ベストコの生徒数が増え、投資先の売却も再び利益を生む。それでも人材、IT教育、広告関連の一部ではAIによる代替が進み、過去の高収益がそのまま復活するとは見ない。五つの筋書きと期間中の還元を資本コストで割り引いた価値は約112億円で、基準時点の時価総額約186億円を約40%下回る。保有資産を評価しても、現在の価格には十分な安全域がない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、ユナイテッドは安い資産を買うだけでは評価を終えられない会社である。確かに自己資本は厚く、純現金があり、未上場株式の評価額には帳簿額を超える部分がある。しかし、保有株式を売り、現金を株主に分配するかどうかを少数株主は決められない。投資先が高い評価額で次の資金調達に成功することと、自分の持分が現金で戻ってくることの間には、大きな隔たりがある。
事業の寿命という観点では、創業企業への資金供給と子供への教育は10年後も必要とされる。消えるのは需要そのものではなく、稼ぎ方の一部だ。未上場株式への投資は、将来の優良企業を早く見つければ高い利益を生むが、それを安定的に繰り返すのは難しい。塾は継続課金に近くても、教師を確保し、教室を維持するための費用が必要である。広告と人材の業務では、AIエージェントが従来の作業を代替する。
経営陣には、これまでのように投資先から利益を実現し、事業再編を続ける余地がある。とりわけ、赤字事業を切り離した後に本社費を削減し、ベストコの教室当たり利益を高められるなら、見かけ以上の改善が起こりうる。一方で、運用対象をAI関連へ移すだけで高い再投資利回りが得られるわけではない。新しい投資の成果は、取得原価と実際の回収額で判断すべきだ。
株主にとって最も厄介なのは、利益が乏しい時にも高い配当を出し続ける構造である。配当を受け取る利益と引き換えに、会社の将来の資本が減ることを見落とせない。事業利益が回復しないまま資産を取り崩すなら、高い配当利回りは本質的な安さを意味しない。筆者は、継続利益だけで配当と必要な再投資を賄えることが確認できるまで、この会社に広い安全域を要求する。
何で稼ぐ会社か
収益の性格が違う事業を一つの会社に収めていることが、ユナイテッドを理解する上での難しさである。投資事業では、自社資金を使って国内の創業初期企業などに出資し、上場、企業買収、持分売却、投資ファンドからの分配を通じて利益を得る。2026年3月期の投資事業売上高は約4億円だったが、2027年3月期第1四半期だけで約7億円を計上した。商品の販売数量が毎年積み上がる事業ではなく、何件を、いくらで売却できるかが業績を左右する。
教育事業の核となるベストコは、地方や郊外を中心に「ベスト個別」を直営で展開する。直営方式により教室運営と指導品質を統一し、フランチャイズ費用を抑えて比較的低い授業料を実現する戦略だ。2026年3月期のベストコ単体売上高は26億3,200万円で、教室数は約130、生徒数は約7,765人だった。保護者から継続的に授業料を受け取る事業であり、投資事業より売上の見通しは立てやすい。ただし、講師人件費、教室の賃料、広告宣伝費が必要で、新規出店直後には赤字が先行する。
人材マッチングでは、ユナイテッド・リクルートメントが採用代行や人材紹介を扱い、リベイスがデザイナーと仕事を結び付ける。ここは採用案件数や成約件数と手数料で売上が決まる。企業の採用予算に左右されるだけでなく、候補者探索、スカウト文面作成、初期選考などをAIエージェントが行えば、従来の作業量に対する課金が難しくなる。
広告技術では、ユナイテッドマーケティングテクノロジーズが広告主側の配信基盤と媒体側の収益化基盤を運営する。広告表示機会と、その一回当たりで獲得できる手数料が収益を決める。コネクテッドテレビやデジタル屋外広告への対応は拡大余地だが、大規模な広告媒体を自ら保有しているわけではない。残る育成中事業には、スポーツ関連サービス、アプリ開発、コンテンツ事業などがある。
2026年3月期にはIT教育事業を売却し、2026年4月にはオンラインくじ事業を持つフォッグが連結子会社から持分法適用会社に変わった。この再編によって今後の連結売上高は小さく見えるが、赤字事業を切り離せる利点もある。逆に、過去の売上高を出発点に各事業が同じ比率で成長する予測は適切ではない。
優良さと弱いところ
最も評価できる強みは、投資事業で長年築いた起業家との接点と、既に保有している投資先の幅広さである。2026年6月末には未上場株式148社を持ち、その中には新たな資金調達で評価額を高めた企業もある。投資先を探す力に加え、長く保有した株式を有利に売却できれば、追加の固定資産をあまり必要とせず大きな利益を得られる。しかし、一社の成功が何度も再現するとは限らず、過去の高利益率を恒久的な競争優位の証拠にはできない。
ベストコには、直営運営を通じた低価格と、地域で蓄積した生徒・保護者との関係がある。教室が増えれば教材や採用、講師研修を共通化でき、地元での認知も高まる。ただし、学習塾の乗り換えには法的な障壁がなく、成果に不満があれば保護者は他社を選べる。授業料を物価以上に引き上げても生徒を維持できたという十分な長期の開示はない。低価格は武器だが、強い値上げ力とは別物だ。
広告技術の開発経験と配信データにも価値はある。実際に媒体を増やし、広告取扱高を伸ばしてきたことは評価できる。それでもGoogle、Meta、大手広告代理店系の技術基盤に対して、広告主や媒体を囲い込む決定的なネットワーク効果があるとまでは言えない。記録の正本、法令対応に不可欠な基盤、低い解約率など、AI時代にも価格支配力が残ることを示す複数の証拠は確認できなかった。
長期の資本効率には疑問が残る。2022年から2023年にかけては営業利益が年間約58億円に達したが、2026年3月期には赤字となった。株式売却の当たり外れが大きく、稼いだ資本を次の投資に回した際の増分利益率を安定して測ることが難しい。多額の純現金は経営の自由度を支える反面、それだけでは事業そのものの堀を保証しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内スタートアップの資金調達市場は、2025年に約7,613億円だった。資金調達額はおおむね横ばいだが、投資先の選別が強まり、未上場の期間が延びる傾向も見られる。ユナイテッドが2027年3月期に計画する新規投資10億円は、この市場の年間調達額の約0.13%に相当する規模である。厳密な投資市場シェアではないが、ジャフコなどの独立系ベンチャーキャピタルや大企業系投資部門と比べ、資金量で市場を支配する立場ではないことが分かる。
投資事業にとって重要なのは、出資先の数を増やすことより、投資原価を上回る価格で持分を現金化できることである。東京証券取引所グロース市場の上場基準の見直しや新規公開市場の選別が進めば、売却先はIPOから事業会社へのM&Aへ広がる可能性がある。会社も複数の出口を模索している。ただし、買い手が現れない株式には、帳簿上の評価額があっても配当原資として使えない時間が生じる。
個別指導塾は全国で4,000億円を超える市場と会社が説明している。ベストコの教室数は約130で、全国の個別指導教室数を約2万5,600とする民間調査に照らすと教室数シェアは約0.5%だ。明光義塾は1,600教室を超え、スクールIEやITTO個別指導学院も多数の教室を持つ。ベストコが店舗数を増やす余地は大きいが、児童・生徒数が減る地域ほど、出店後の生徒獲得競争は厳しい。家庭の教育支出も、物価上昇と所得の伸びに左右される。
インターネット広告市場はなお拡大している。電通が示した2025年の国内インターネット広告費は約4兆円、媒体費は約3.3兆円に達した。ユナイテッドマーケティングテクノロジーズの2026年3月期広告取扱高約44億円は、媒体費全体の約0.13%に相当する参考規模であり、厳密な同一市場のシェアではない。巨大媒体が広告枠と顧客接点を握る中、配信技術だけで高い手数料率を維持できるかが問われる。
さらに、AIエージェントは広告運用、採用代行、研修、情報収集の仕事を小さくする。ベストコの対面指導には人が残る価値があるが、教材作成や学習管理の一部は自動化される。事業ごとに受ける影響が違うため、会社全体に単一の成長率を当てはめることはできない。
資本政策と M&A
資本配分の評価は、株主還元を実行してきた点と、その原資を安定的に生めていない点に分かれる。ユナイテッドは2025年5月、Hakuhodo DY ONEから約11億円の自己株式を取得し、資本業務提携契約も解消した。これによって形式上の親子上場関係は解消された。一方、同社はなお議決権ベースで約49%を持つ大株主であり、一般株主にとって経営判断への影響は無視できない。
会社の配当方針は「DOE5%または連結配当性向50%のいずれか大きい額」である。DOEは自己資本に対する配当額の割合であり、赤字でも配当を維持しようとする仕組みだ。2027年3月期の年間配当予想を現在の株数に当てはめると、年間の現金流出は約8億円になる。一方、同じ期の会社予想純利益は0~0.5億円であり、足元の還元は利益ではなく過去に蓄積した資産にも依存する。
新規投資は2027年3月期に10億円を計画し、対象をAI関連企業などへ絞り込む方針だ。ベストコの教室拡大にも現金を使う。さらに、ブリューアスのIT教育事業の譲渡とフォッグの連結除外によって、不採算事業から撤退する規律も見せた。ただし、投資先の売却で得た利益を新規投資、学習塾の拡大、配当、自社株買いに同時に配る構造は、売却が止まると余裕を失う。
過去には利益拡大を掲げた中期計画があったが、現時点で確認できる事業計画には、2030年代までの連結売上高、営業利益、ROEについて確約した数値目標はない。具体的な数字の約束は、2027年3月期の売上高78~82億円、営業利益0~2億円、新規投資10億円、ベストコの新規出店20~25教室と生徒数9,000人、そして前述の株主還元方針である。中期の高収益化は目標というより、今後証明すべき課題だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ユナイテッドを単なる赤字の複合サービス会社として評価するのは誤りである。2026年6月末には148社の未上場株式を持ち、会社評価額と帳簿額の差は約41億円に達する。その中に大きな成功企業が複数含まれていれば、将来の売却益は足元の営業損失を十分に補える。2027年3月期第1四半期には、投資事業だけで約5億円の営業利益を生んだ。売却のタイミングで業績が振れることは、保有資産に価値がないことを意味しない。
ベストコにも成長の余地がある。約130教室という店舗規模は、全国に1,600教室を超えて展開する明光義塾に比べれば小さい。地方の個別指導塾で直営と低価格を両立させる戦略には差別化の可能性があり、地域を選んで出店すれば生徒数を増やせる。2027年3月期第1四半期に14教室を新設した実行力は、会社が単に計画を語っているだけではないことを示す。教室運営が成熟すれば、新規出店の先行費用が落ち着き、利益率の改善も期待できる。
広告技術も完全に代替されるとは限らない。コネクテッドテレビやデジタル屋外広告では、広告枠の種類が増えるほど配信・計測基盤の役割が残る。社内でAIを使って開発費や運用費を削れば、手数料率が下がっても利益を維持できる可能性がある。2025年の大規模な自己株式取得、赤字事業の整理、DOEを明示した配当方針を合わせれば、経営陣が株主価値を意識している証拠もある。投資の売却益、教室網の拡大、広告の利益改善が重なれば、10年後の収益力は現在から大きく変わる。
慎重な見方
未上場株式の評価額は、買い手が現金を払う金額ではない。2026年6月末の約41億円の含み益は魅力的に見えるが、資金調達時の少数株式評価が前提であり、株式全体を売却するには時間も価格の譲歩も必要となる。売却して初めて生じる利益を、まだ保有している段階から永久に続く利益とみなせば、同じ資産を二重に評価する。2026年3月期に投資事業が赤字となった事実は、その出口が毎年確保されるわけではないことを示す。
ベストコについても、直営という仕組みが必ずしも利益率の高さにつながるとは限らない。教室を増やすほど講師採用、賃借、集客に固定的な費用がかかる。2027年3月期第1四半期は生徒数が増えたにもかかわらず、出店費用によって大きな営業損失を計上した。少子化が進む地方で10年間教室数を増やし続けるには、競合から生徒を奪う必要がある。低価格を売りにする以上、人件費が上がっても授業料に十分転嫁できない恐れがある。
人材紹介、採用代行、IT教育、広告関連の作業はAIエージェントが代替しやすい。広告主が自動運用を進め、企業が採用選考を内製化すれば、中間に立つ会社の取り分は細る。配信システムの開発力は必要でも、大手媒体に対して手数料を決める立場ではない。さらに、約半数の株式を持つ大株主の存在は、経営の独立性に関する判断を難しくする。
最大の懸念は資本配分だ。現行のDOE方針を続ければ、予想利益がほぼゼロの年にも相当額の配当を出すことになる。売却益が不足すれば純現金は減り、新たな投資の原資も小さくなる。過去の大きな営業利益を通常の稼ぐ力と考える限り、10年後の価値を高く見積もりすぎる危険がある。
どちらに重みを置いたか
保有資産の厚さとベストコの成長余地は評価する。ただし、足元の営業赤字、売却益への依存、教室拡大の先行負担、継続利益を超える配当という会社固有の弱さを考えると、資産の額面だけで強気にはなれない。確率は楽観側32%、中立29%、悲観側39%とした。悲観側をやや重くした理由は、AIの影響を確率で二重に引くためではなく、投資回収の不確実性と資本取り崩しの危険が残るためである。中立でも事業利益は回復するが、現在の時価総額を正当化するには足りない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 365 円137 億円(+ 還元の換算額還元の合計 184 円69 億円)。 今の値に割り戻すと 300 円112 億円、今との差 −39.0%、 期待の年率 +1.4%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 925 円346 億円 | 334 円125 億円 | +156.4% | +11.9% | 151 円57 億円 |
| やや楽観 | 20% | 484 円181 億円 | 246 円92 億円 | +48.7% | +5.0% | 146 円55 億円 |
| 中立 | 29% | 310 円116 億円 | 208 円78 億円 | +5.5% | +0.7% | 150 円56 億円 |
| やや悲観 | 24% | 206 円77 億円 | 112 円42 億円 | −35.3% | −5.1% | 76 円29 億円 |
| 悲観 | 15% | 120 円45 億円 | 48 円18 億円 | −65.7% | −11.4% | 25 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 365 円137 億円 | 184 円69 億円 | +11.8% | +1.4% | 549 円205 億円 |
今の株価時価総額 491 円184 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 投資先の大型売却が続き、直営塾も全国規模へ 利益 22 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 925 円346 億円
投資先の中から企業買収や上場を通じて大きな利益を生む会社が複数現れる。売却市場が回復し、2036年には年間14件相当の保有株式売却とファンド分配を実現する。AI関連への新規投資も成果を上げ、過去の成功銘柄に依存しない投資回収の循環が生まれる。投資事業の売上高は28億円に達するが、これは保有株式の値上がりを毎年の利益として先取りした数字ではなく、実際の売却による収益である。
ベストコは毎年の新規出店を続け、地方で比較的低価格の個別指導塾として認知を広げる。教室数はおおむね380前後まで増え、生徒数は2万5,000人に達する。教室当たりの生徒数も改善し、先行投資の重さが薄れることで教育事業の利益率が上がる。競合の明光義塾や地域の小規模塾から顧客を獲得し、人口減少をシェアの伸びで補う。
広告事業ではコネクテッドテレビなどへの対応が利益率を支え、制作や運用の自動化で人件費を抑える。人材事業と旧IT教育は成長の中心にはならないが、利益を削る構造からは脱する。経営陣は投資利益を新規投資と株主還元に振り分け、大規模な自社株買いも続ける。ただし、AIを利用しているだけで新たな成長売上を加算せず、受託型の数量は足元以下に抑えた。
- 投資事業:数量 14.0(年間の売却・分配を合算した案件換算件数(件、開示がないため推計))× 価格 2.00(売却・分配の案件換算1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 21 億円。年間14件相当の売却・分配、平均2億円。保有株の大型売却が複数年続く。
- ベストコ・直営個別指導塾:数量 25,000(年度末近辺の在籍生徒数(人))× 価格 0.00(生徒1人当たりの年間売上高(億円、講習料を含む))→ 売上 118 億円・営業利益 18 億円。約2万5,000人、年間生徒単価47万円、成熟教室増加で営業利益率約15%。
- 旧IT教育・アプリ開発:数量 120(年間の研修・開発契約換算件数(件、推計))× 価格 0.02(契約換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。旧教育事業売却後の小規模な開発事業だけが残り、工数型の数量は縮む。
- 人材マッチング・採用支援:数量 380(年間の採用支援・成約案件換算件数(件、推計))× 価格 0.03(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。成果報酬比率改善でもAI代替により件数は現在を下回る。
- 広告配信技術・ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ:数量 195(広告表示1億回を1単位とする取扱量(単位、推計))× 価格 0.07(広告表示1億回当たりの純売上高(億円、媒体費総額ではない))→ 売上 14 億円・営業利益 4 億円。テレビ・屋外の新媒体を取り込み、広告表示量の縮小を小幅に抑える。
- コンテンツ・スポーツ関連サービス・その他育成中事業:数量 120(年間のサービス・企画・開発案件換算件数(件、推計))× 価格 0.19(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 4 億円。連結除外後の残存事業が成長し、受託制作の減少を自社サービスで補う。
倍率:資本コストk=7.75%、2036年以降の名目成長率g_long=0%。事業ROEは資本コストを超えるが、弱い堀のため増分超過収益の残存割合は1/3とする。g=0%の正当化PERは1÷k=約12.90倍である。余剰資金70億円からの税後利息0.98億円を純利益22.4億円から外し、事業純利益21.42億円にPER12.9倍を掛け、現金70億円を戻り方1.0で加える。21.42×12.9+70=346.318億円。余剰資産に投資先の未実現含み益を別加算せず、売却益を事業利益に入れた部分との二重計上を避ける。
確率:148社の投資先から大型の成功例が継続的に現れ、ベストコが地方で大幅なシェアを獲得し、同時に本社費の効率化に成功する複合的な上振れである。可能性はあるが、売却の再現性が確認できていないため12%とする。
やや楽観 20% 投資回収が正常化し、塾の収益力も改善 利益 11 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 484 円181 億円
国内の未上場株式市場でM&Aによる回収機会が増え、ユナイテッドは年間12件相当の投資先売却・分配を実現する。大型の成功銘柄が毎年出るわけではないため、平均売却額は楽観より小さい。投資資金は10億円程度の年間投資を続け、過去の投資先の現金化で次の投資資金を回す。2036年時点には、投資部門で安定した黒字を確保できるようになる。
ベストコは直営の低価格モデルを維持しながら店舗網を広げ、生徒数は1万8,000人となる。教室数は300前後まで増えるが、新規店の採算確保には時間がかかる。授業料は物価上昇のかなりの部分を転嫁できるものの、地域の所得制約により値上げは限定的となる。教室の利益率は改善するが、圧倒的な高収益事業にはならない。
広告配信ではコネクテッドテレビや屋外広告への対応を進める一方、AIエージェントの普及により従来型広告運用の取り分は細る。人材紹介や開発受託でも作業を効率化し、売上の大きな拡大より採算改善を優先する。売却益の一部を使った自社株買いと配当を続け、10年間の還元は大きくなる。ただし、現金を配った分だけ自己資本は減り、利益と資産を別々に過大評価しない。
- 投資事業:数量 12.0(年間の売却・分配を合算した案件換算件数(件、開示がないため推計))× 価格 1.50(売却・分配の案件換算1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 13 億円。売却件数は多いが大型案件への集中は小さく、年間売却売上18億円。
- ベストコ・直営個別指導塾:数量 18,000(年度末近辺の在籍生徒数(人))× 価格 0.00(生徒1人当たりの年間売上高(億円、講習料を含む))→ 売上 82 億円・営業利益 10 億円。生徒1万8,000人、教室の成熟で利益率約12%。
- 旧IT教育・アプリ開発:数量 90.0(年間の研修・開発契約換算件数(件、推計))× 価格 0.02(契約換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。売却済みの教育事業は戻らず、残存アプリ開発が小さく利益を生む。
- 人材マッチング・採用支援:数量 330(年間の採用支援・成約案件換算件数(件、推計))× 価格 0.03(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。案件数は減るが、高付加価値の人材紹介に絞り込む。
- 広告配信技術・ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ:数量 170(広告表示1億回を1単位とする取扱量(単位、推計))× 価格 0.07(広告表示1億回当たりの純売上高(億円、媒体費総額ではない))→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。新媒体への展開と開発効率改善で採算を維持する。
- コンテンツ・スポーツ関連サービス・その他育成中事業:数量 100(年間のサービス・企画・開発案件換算件数(件、推計))× 価格 0.18(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。旧フォッグ除外後に残るスポーツ関連事業などが黒字化する。
倍率:k=7.75%、g_long=0%であるため、利益ベースの正当化PERは1÷k=約12.90倍となる。2036年の純利益11.2億円には余剰現金45億円の税後利息0.63億円を含むものとし、その分を外した事業利益10.57億円にPERを掛ける。現金の帰属価値45億円を加え、10.57×12.9+45=181.353億円とする。
確率:一部の投資先で高い回収が実現し、ベストコの新規出店が概ね計画通り進む場合。複数の成功は必要だが、直近の保有資産と出店実績から十分に考えられるため20%とする。
中立 29% 塾は成長するが、投資売却の変動とAIの逆風が続く 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 310 円116 億円
投資事業では未上場株式の保有数が多いことが、一定の売却機会につながる。もっとも、上場や企業買収の条件は外部環境に左右され、毎年の売却が順調に進むわけではない。2036年には年間8件相当、売却・分配収入18億円の規模を見込む。これは少数の成熟した投資先から比較的大きな回収が生じる年をならした姿であり、株式の含み益がそのまま継続的な収入になるという意味ではない。
ベストコは教室数を着実に増やし、生徒数が約1万3,500人に達する。現在から見れば大きな拡大だが、個別指導市場全体のシェアは依然小さい。地方の少子化と値上げの難しさから、生徒単価は10年間の物価上昇をやや下回る伸びにとどめる。成熟教室の採算が改善し、連結利益に寄与するが、教室の賃料と講師人件費は引き続き必要だ。
人材マッチングではAIが候補者探索やスカウト業務を代替し、案件換算数量は現在の約65%まで縮む。広告配信の手数料にも価格圧力がかかり、広告取扱量は現在の約68%となる。IT教育は既に譲渡された事業が連結から消え、残存するアプリ開発も小規模にとどまる。旧フォッグの連結除外を反映するため、売上減少を単純な顧客離れとは考えない。
2036年には連結営業利益が約11億円、純利益が約7億円まで戻る。しかし、DOE方針で10年間に支払う配当と自社株買いは累積利益を上回り、自己資本は緩やかに減少する。事業は生き残り、投資と教育の二本柱を持つものの、高い再投資収益を安定的に続ける優良企業にはまだ届かない。
- 投資事業:数量 8.0(年間の売却・分配を合算した案件換算件数(件、開示がないため推計))× 価格 2.25(売却・分配の案件換算1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 13 億円。売却は年間8件相当。やや楽観より件数は少ないが、成熟した持分の大口売却に偏る。売却原価の低い投資先が中心となる。
- ベストコ・直営個別指導塾:数量 13,500(年度末近辺の在籍生徒数(人))× 価格 0.00(生徒1人当たりの年間売上高(億円、講習料を含む))→ 売上 59 億円・営業利益 5 億円。生徒1万3,500人、年間単価43.5万円。教室数は約230~250を想定する。
- 旧IT教育・アプリ開発:数量 60.0(年間の研修・開発契約換算件数(件、推計))× 価格 0.02(契約換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。譲渡済み教育事業の売上は戻らず、AI代替で残存受託も縮む。
- 人材マッチング・採用支援:数量 260(年間の採用支援・成約案件換算件数(件、推計))× 価格 0.02(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型にAI代替を適用。数量0.65倍、単価1.24倍。
- 広告配信技術・ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ:数量 135(広告表示1億回を1単位とする取扱量(単位、推計))× 価格 0.07(広告表示1億回当たりの純売上高(億円、媒体費総額ではない))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。広告仲介の取扱量0.675倍、手数料の単価は1.03倍にとどまる。
- コンテンツ・スポーツ関連サービス・その他育成中事業:数量 80.0(年間のサービス・企画・開発案件換算件数(件、推計))× 価格 0.17(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。旧フォッグ売上の連結除外と受託制作のAI代替を織り込む。
倍率:k=7.75%、g_long=0%とする。余剰現金25億円の税後利息0.35億円を除いた事業純利益7.05億円のROEは、余剰現金を外した事業自己資本に対して資本コストを下回る。したがって新規再投資の成長価値を上乗せせず、1÷k=約12.90倍を正当化PERの上限そのものとする。7.05×12.9+25=115.945億円。過去のPERや現在の株価は倍率の根拠にしない。
確率:2027年3月期の会社計画を短期の出発点とし、赤字事業の再編効果、ベストコの店舗増加、投資売却の不均一性、AIエージェントによる一部受託業務の縮小を同時に考える。過去の大幅な投資利益率の復活を前提としない中心筋書きとして29%とする。
やや悲観 24% 塾の採算が伸びず、投資先の売却も停滞 利益 −6 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 206 円77 億円
投資先の評価額は帳簿上維持されても、希望する価格で持分を売れる機会が減る。IPO市場の選別が厳しく、事業会社への売却も限られ、2036年の回収は年間5件相当にとどまる。投資先への追加出資や管理費は続くため、投資事業が利益に寄与する規模は小さくなる。AI関連投資でも成功例は限定的であり、会社が得られる投資収益率は資本コストを十分に上回らない。
ベストコは教室を増やしたものの、人口減少と競争で生徒数が伸び悩む。2036年の生徒数は9,000人にとどまり、新規出店計画を大幅に修正する。低い授業料が集客には役立っても、上昇する講師人件費や家賃を賄いきれない。教室ごとの黒字と赤字が混在し、事業全体での利益は小さい。
人材紹介ではAIによる内製化が進み、広告配信でも大手媒体と直接取引する広告主が増える。旧IT教育とコンテンツのうち、受託・制作型の仕事は縮小する。本社費は思うように減らず、固定費が残ったまま営業赤字が続く。
経営陣は還元を維持しようとするが、株式売却益が不足するため、保有現金や有価証券を取り崩す。10年間の累積還元は現在の資本のかなりの部分を使い、自己資本も減る。会社自体は存続しても、投資家からは安定利益を生めない複合事業として評価される。
- 投資事業:数量 5.0(年間の売却・分配を合算した案件換算件数(件、開示がないため推計))× 価格 1.00(売却・分配の案件換算1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。出口が乏しく、売却と分配は5件相当に減る。
- ベストコ・直営個別指導塾:数量 9,000(年度末近辺の在籍生徒数(人))× 価格 0.00(生徒1人当たりの年間売上高(億円、講習料を含む))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。生徒数の伸びが止まり、教室の固定費が利益率を圧迫する。
- 旧IT教育・アプリ開発:数量 30.0(年間の研修・開発契約換算件数(件、推計))× 価格 0.01(契約換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退後の残存事業も十分な採算を確保できない。
- 人材マッチング・採用支援:数量 190(年間の採用支援・成約案件換算件数(件、推計))× 価格 0.02(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。採用代行がAIで内製化され、成約件数も手数料率も伸びない。
- 広告配信技術・ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ:数量 105(広告表示1億回を1単位とする取扱量(単位、推計))× 価格 0.06(広告表示1億回当たりの純売上高(億円、媒体費総額ではない))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。配信システムは存続するが、媒体側の交渉力が強く利益率が低下する。
- コンテンツ・スポーツ関連サービス・その他育成中事業:数量 55.0(年間のサービス・企画・開発案件換算件数(件、推計))× 価格 0.16(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。小規模なサービスだけ残り、利益をほぼ生まない。
倍率:2036年の純利益が赤字となるため、赤字にPERを掛けない。現在の純現金と、税後に売却可能な有価証券を起点にした床75億円を上回る77億円を資産価値として採用する。2036年に損失と株主還元で減少した自己資本114.5億円に対し77÷114.5=約0.672489倍である。純資産の減少には期間中の損失と保有投資の価値低下を反映し、過去の株価やPBRの谷は参照しない。
確率:少子化地域での教室拡大と講師確保に費用がかかり、未上場株式の売却にも時間を要する場合。継続利益と配当原資の乖離が現在すでに存在しているため、相応の確率を認める。ただしAIの減収は中立の数量にも入れたので、確率で同じ理由を重ねていない。
悲観 15% 投資資産が毀損し、教育・広告も構造的に負ける 利益 −14 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 120 円45 億円
未上場の投資先で資金繰りが悪化する企業が増え、過去の資金調達評価額を下回る売却や減損が続く。上場市場も低迷し、売れる株式が限られる。2036年の投資売却は年間3件相当まで減少し、その回収額も小さくなる。新規投資を絞り込んでも、既存の出資先を管理する費用や評価損が残り、投資事業自体が赤字になる。
ベストコは直営教室の拡大に失敗する。人口減少と地域競合の値下げに加え、AI学習支援の普及で、家庭が教室に通わせる時間を減らす。生徒数は5,500人まで減り、運営を続ける教室も低稼働となる。賃貸契約と講師関連費用はすぐには消えず、退店費用も発生する。利益を出せない地域では撤退するが、残る事業も小規模になる。
人材紹介や採用代行はAIエージェントによる代替が進み、広告配信の手数料も圧縮される。アプリ開発やスポーツ関連サービスでは大型案件を獲得できず、育成中事業から新しい収益の柱は生まれない。本社費を削っても収益減少に追い付かず、連結営業損失が続く。
会社は配当と新規投資の双方を縮小し、資産売却で損失を補う。自己資本は大きく減り、未上場株式の含み益も相当部分が消える。2036年時点では、以前の高収益企業ではなく、残った事業と回収可能資産だけで値段が付く会社となる。上場自体は続く筋書きであり、時価総額をゼロとはしない。
- 投資事業:数量 3.0(年間の売却・分配を合算した案件換算件数(件、開示がないため推計))× 価格 0.60(売却・分配の案件換算1件当たり認識売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 −3 億円。売却3件相当でも回収額が低く、管理費・評価損が利益を上回る。
- ベストコ・直営個別指導塾:数量 5,500(年度末近辺の在籍生徒数(人))× 価格 0.00(生徒1人当たりの年間売上高(億円、講習料を含む))→ 売上 20 億円・営業利益 −2 億円。生徒数減少と教室固定費が重なり、撤退費用も発生する。
- 旧IT教育・アプリ開発:数量 10.0(年間の研修・開発契約換算件数(件、推計))× 価格 0.01(契約換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。IT教育売却後の残存開発も縮小する。
- 人材マッチング・採用支援:数量 120(年間の採用支援・成約案件換算件数(件、推計))× 価格 0.02(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 −1 億円。採用業務の内製化で案件数が激減し、価格も下がる。
- 広告配信技術・ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ:数量 70.0(広告表示1億回を1単位とする取扱量(単位、推計))× 価格 0.06(広告表示1億回当たりの純売上高(億円、媒体費総額ではない))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。広告主と媒体が直接結びつき、配信技術の手数料が縮む。
- コンテンツ・スポーツ関連サービス・その他育成中事業:数量 25.0(年間のサービス・企画・開発案件換算件数(件、推計))× 価格 0.13(案件換算1件当たり売上高(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 −1 億円。コンテンツ案件を失い、残存事業の維持費を回収できない。
倍率:連結純利益が大幅赤字であり、持続的な稼ぐ力には正のPERを適用できない。投資回収不振と損失の累積を経た自己資本73.5億円に対し、現金化可能資産の床43億円を少し上回る45億円を評価する。45÷73.5=約0.612245倍であり、時価総額は正の値とする。配当と自社株買いの累積18億円を加えても、現在の時価総額を十分下回る。
確率:投資先の評価額低下、未上場株式の流動性悪化、塾の生徒減少、AIによる仲介収益縮小、還元原資の取り崩しが重なる複合的な構造敗退を想定する。直ちに倒産するとまでは見ないが、資産の帳簿価額が十分な安全域にならない可能性があるため15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
投資事業
創業初期企業への直接出資、保有株式の売却、LP出資の回収・分配から収益を得る。出資案件数ではなく現金化できた持分の収益が利益を決める。
| 数量年間の売却・分配を合算した案件換算件数(件、開示がないため推計) | 価格売却・分配の案件換算1件当たり認識売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.0 | 1.00 | 4 | −2 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 2.25 | 18 | 13 |
取り方:2026年3月期有価証券報告書の投資事業売上高399,507千円、営業損失186,123千円を正とした。個別の売却件数と取引額は開示されないため、年間4件相当の換算売却・分配に分け、1件当たり約1億円と逆算した推計である。出資先148社は保有数であって年間売却数ではない。日本の年間スタートアップ資金調達額7,613億円を市場の規模の参考とするが、売却額の市場と混同しない。出典:https://regfis.com/reports/20260617_S100YD7V_E05562_null_010_030000_120 および https://initial.inc/articles/japan-startup-finance-2025 。
ベストコ・直営個別指導塾
地方・郊外にある直営の個別指導教室で、在籍生徒から授業料と季節講習料を受け取る。
| 数量年度末近辺の在籍生徒数(人) | 価格生徒1人当たりの年間売上高(億円、講習料を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,765 | 0.00 | 26 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13,500 | 0.00 | 59 | 5 |
取り方:ベストコ会社概要で2026年3月期売上高26億3,200万円を確認。2026年3月期末近辺の生徒数約7,765人、約130教室を数量の起点にした。年間授業料・季節講習料を含む平均単価は約33.9万円となる。営業損益は教育セグメント合計の損失1.64653億円から残存IT教育・アプリ開発事業の推定損失を切り分けた分析上の推計値であり、独立した開示利益ではない。生徒数の期末と年間売上の期間差も含む。出典:https://bestco.jp/company/outline/ および https://note.com/united_ir/n/n52dffc598de6 。
旧IT教育・アプリ開発
企業向けIT教育、アプリケーション開発など。IT教育事業は2025年12月に譲渡済みであり、2036年には過去の売上の大半が連結から消えている。
| 数量年間の研修・開発契約換算件数(件、推計) | 価格契約換算1件当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 300 | 0.03 | 10 | −1 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 0.02 | 1 | 0 |
取り方:教育セグメントの外部売上高36.74471億円からベストコの26.32億円を引いた残差をブリューアス等の旧IT教育・アプリ開発とする。損益も教育セグメント損失1.64653億円とベストコの推計損益との差である。300件は会社開示の契約数ではなく売上の分解に用いた便宜的な件数である。IT教育事業は2025年12月に譲渡されたため、2036年の減少はAIの影響だけでなく既に実行された撤退を反映する。残存する受託開発や教育系ソフトは人月・操作画面型と判断する。
人材マッチング・採用支援
人材紹介、採用代行、デザイナーマッチングの仲介・手数料で稼ぐ。
| 数量年間の採用支援・成約案件換算件数(件、推計) | 価格案件換算1件当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 0.02 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 260 | 0.02 | 6 | 0 |
取り方:有価証券報告書の人材マッチング事業の外部売上高791,531千円と営業損失39,330千円を用いる。案件数と案件単価の実績は非開示であるため、400件相当の受注・成約に換算した推計であり、社員数や求職者登録数と取り違えない。AIエージェント代替の人月・BPO型に分類し、中立の2036年案件量は400件から260件へ0.65倍、名目単価は1.24倍にとどめる。
広告配信技術・ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ
広告主向け配信システムと媒体収益化システムを運営し、広告表示機会を手数料収益に変える。
| 数量広告表示1億回を1単位とする取扱量(単位、推計) | 価格広告表示1億回当たりの純売上高(億円、媒体費総額ではない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 200 | 0.07 | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 135 | 0.07 | 9 | 2 |
取り方:2026年3月期の広告取扱高約43.71億円は媒体への支払いを含む総額である。連結純売上高は単独で通期開示されないため、2027年3月期第1四半期の同社売上高3.33億円と、広告取扱高の拡大傾向を使って旧年度の純売上高を13.2億円と推定した。表示数も非開示のため20億回ではなく200億回と仮定し、総取扱高から推定される粗いCPMと純売上単価を逆算した。2036年は広告運用・仲介機能へのAIエージェント代替と媒体側の交渉力を反映し、中立の取扱表示量を0.675倍、純売上単価を約1.03倍とする。市場規模は電通の2025年媒体費約3.3兆円を参照。出典:https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0305-011003.html 。
コンテンツ・スポーツ関連サービス・その他育成中事業
スポーツ関連のデジタルサービス、コンテンツ、アプリ開発などの残余事業をまとめたもの。旧フォッグの連結除外を反映する。
| 数量年間のサービス・企画・開発案件換算件数(件、推計) | 価格案件換算1件当たり売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 160 | 0.17 | 27 | −1 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.17 | 14 | 1 |
取り方:アドテク・コンテンツ事業の外部売上高39.97563億円から広告配信技術の推計純売上高13.2億円を引き、残りをコンテンツなどに配分した。営業損益も同セグメント利益1.32545億円から広告技術の推定利益2.5億円を差し引いた推計値。案件数160件は開示数でなく比較のための換算数量である。2026年4月にフォッグが持分法適用会社へ移行したため、将来の数量縮小には連結範囲の変化を含む。残存する受託開発・制作の部分ではAIエージェント代替も織り込む。
リスクと懸念
未上場株式の含み益が現金化できない
2026年6月末の未上場株式148社の会社評価額は約95億円、帳簿額は約54億円である。差額の約41億円は魅力的だが、最後の資金調達価格は少数株式の評価にすぎない。IPOやM&Aが遅れれば利益計上も配当原資への転換も遅れ、追加出資や減損によって価値が毀損する可能性がある。
AI エージェント代替
人材紹介、採用代行、IT教育、アプリ開発、広告運用・仲介には、人の作業や操作画面を前提とする収益がある。中立では人材案件量を0.65倍、広告取扱表示量を0.675倍へ縮め、手数料と単価にも制約を設けた。顧客の記録の正本や規制上不可欠な基盤としての堀を裏付ける複数の証拠がないため、AI導入による自社売上の拡大を無条件には加えない。
少子化と直営塾の固定費
ベストコは地方や郊外を中心に出店するため、地域の学齢人口減少を正面から受ける。講師の採用、教室の賃料、広告費は生徒数が減ってもすぐに削れない。直営による品質管理と低価格戦略は強みだが、値上げ力の証拠ではない。新規出店の生徒獲得が遅れれば、売上が伸びても利益率が悪化しうる。
継続利益を超える株主還元
DOE5%と配当性向50%の大きい方を採用する方針では、赤字や微益でも配当が発生する。2027年3月期の会社予想純利益は最大0.5億円であり、配当予定額はそれを大きく上回る。売却益が不足する年に高い配当を続ければ、将来の投資原資と自己資本を取り崩すことになる。
大株主の影響と資本配分
2025年5月の自己株式取得により形式上の親子上場関係は解消したが、Hakuhodo DY ONEはなお株式の約49.4%を持つ。M&A、投資先売却、買戻し、再編について、少数株主は結果を選べない。高い評価で新規事業を買収したり、投資収益率の低い分野に資本を固定すれば、豊富な資産が株主価値の向上につながらない。
広告技術の競争と収益の取り分
国内のインターネット広告市場は大きいが、顧客接点と広告枠はGoogleやMetaなどの巨大な媒体側に集中している。ユナイテッドの技術基盤はコネクテッドテレビや屋外広告に拡大しているものの、広告配信の手数料率を自由に決められる立場ではない。広告主が運用を自動化し、直接取引を増やせば、取扱高が増えても純売上と利益が伸びない恐れがある。
投資売却益の年次変動と利益の再現性
過去の営業利益は投資先株式の売却時期によって大きく振れてきた。2026年3月期の赤字と2027年3月期第1四半期の黒字転換は、その表裏を示す。単年の好成績を毎年続く利益と考えると、適正価値を過大評価する。新規出資の取得原価と回収額、売却済み持分を除いた残余ポートフォリオを分けて追う必要がある。
今後の分かれ目
- 保有株式の売却額と取得原価の差が複数年度にわたり安定して10億円以上の営業利益を生み始めたら
- 投資回収の再現性が強まったと判断し、中立の投資事業の売却数量と利益率を引き上げる。ただし売却後の保有資産が減るため、次の投資先からの回収可能性も確認する。
- ベストコが生徒数9,000人を達成し、新設教室を含めて営業黒字化したら
- 直営塾の採算改善が実績で証明されるため、中立の生徒数と利益率を上方修正する。教室数だけでなく、既存教室の生徒数、退塾率、講師費用を確認する。
- 2027年3月期以降も純利益が低迷し、DOE方針による配当額が利益を上回り続けたら
- 現金の取り崩しが進むため、将来の余剰現金と還元可能額を減らす。配当額が高いこと自体を本質価値の上昇とは扱わず、やや悲観の確率を高める。
- 未上場株式の公表評価額が下がり、含み益41億円のかなりの部分が失われたら
- 悲観の売却可能資産の床を引き下げる。減損が会計上の自己資本だけでなく、将来の投資回収額をどの程度減らすかを分けて判断する。
- 広告取扱高は増えているのに純売上高や営業利益が伸びなくなったら
- 媒体側への支払い増加や仲介手数料の圧縮が進んだと判断し、広告技術事業の単価と利益率を下方修正する。総取扱高だけでは競争優位の拡大とみなさない。
- 大株主の保有比率が大幅に変化し、具体的なTOBや株式交換が正式に発表されたら
- 通常の10年保有の価値評価よりも、公表された取引条件と少数株主の受取対価が優先する。現時点では上場廃止が決まったものとして扱わない。
- 人材紹介や受託開発でAIエージェントを使った新商品の継続売上と利益が具体的な金額で開示されたら
- 単なる社内効率化ではなく販売商品としての実績が確認できた部分に限り、数量縮小の見通しを見直す。既存の工数収入をAI収入に二重計上しない。
見ておくもの
- 投資事業の四半期売却額、売却原価、営業利益と売却件数の継続的な開示
- 未上場株式148社の期末保有数、簿価、公表評価額、減損額の推移
- ベストコの在籍生徒数、新規教室数、教室当たり生徒数と既存教室の採算
- 連結純利益に対するDOE配当と自己株式取得額の比率
- 純現金、有価証券残高、投資実行額と未上場株式の実際の現金回収額
- 広告取扱高と純売上高の伸びの差、ユナイテッドマーケティングテクノロジーズの利益率
- 人材紹介・採用代行・受託開発の案件数とAIによる業務代替の進展
- Hakuhodo DY ONEの保有比率、資本政策の変更、正式なTOB・再編の開示
- 2026年11月4日に予定される2027年3月期第2四半期決算での通期計画の進捗
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額約185.7億円を先に見て2036年の利益や倍率を逆算することはしていない。2026年3月期のセグメント実績を、投資先の売却件数と単価、塾の生徒数と年間売上、広告表示取扱量と純手数料、人材・開発案件数と単価に分けた。開示されない数量は推計であることを明記した。10年先の倍率は、資本コスト7.75%、AIエージェント代替を考慮した長期名目成長率0%、弱い堀の残存割合から求めた正当化PER約12.9倍とした。楽観から中立まで上限を恣意的に割り引いていない。余剰現金は税後利息を純利益から外して別に加え、未上場株式の含み益は将来の売却利益と二重に数えない。悲観側は過去のPBRではなく税後に回収可能な資産を床とした。2027年4月以降開始の年度に適用される新リース会計基準では、教室の賃貸契約が貸借対照表に両建てされるが、2036年の営業損益は賃料を費用に含む比較可能な形で考えている。五つの筋書きの確率加重後の時価総額は約136.7億円、累積還元は約68.8億円であり、これをそれぞれ10年後と平均5年後から現在価値に割り引くと約112.2億円となる。現在の約185.7億円との差は約−39.6%であり、結論は割高となる。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債利回り3%と株式リスクプレミアム4.5%を合計した基本7.5%に、事業の値決め力と財務の差し引き0.25%を加えた。2026年3月期の営業赤字だけで恒常的な財務危機とは認定しないため、経営危機の追加上乗せはしない。個別の投資失敗や大株主のリスクは筋書きで考える。