結論
日本調理機は、学校給食センターや病院、社員食堂など、大量の食事を安全に作る施設の厨房を支える会社である。筆者の結論は「割安」だ。設備更新の仕事は人口減少下でもなくならず、全国の納入履歴と修理網が次の受注につながる。純現金も厚く、2026年10月22日時点の時価総額約63億円には、安全域があると考える。
最大の強みは、学校給食という専門市場で長年積み上げた信用だ。会社の開示によれば、2020年度の学校市場向け食器洗浄機・回転釜の国内生産台数シェアは約20%だった。全国の給食施設で設置年や納入機器の履歴を管理し、更新時期が近づけば営業と技術者が提案できる。この関係は新規参入者には再現しにくいが、公共入札を避けられるほど強固な独占ではない。
業績の転機も見逃せない。会社は2026年10月22日、2026年9月期の売上予想を208.86億円、営業利益予想を13.44億円、純利益予想を9.12億円へ引き上げた。学校給食に加え、社員食堂やホテル向けの受注増と資材高への対応が理由である。ただし、この利益率が毎年続くと決めつけるべきではない。検収時期で利益が振れ、自治体の更新予算にも左右されるからだ。
10年後の中立像は、機器設備と修理・備品の売上合計約255億円、営業利益約15億円である。人口減少を踏まえて設備案件数はほぼ横ばいとし、修理・更新の件数が少し増える。物価上昇分は販売価格に反映できる一方、公共入札で超過利潤を長く保てるとは見ていない。中立の2036年時価総額は約143億円で、慎重な筋書きと期間中の配当を含めても、現在の基準時価総額より本質価値が高いとの判断になる。
ただし、これは2026年10月22日の終値を基準とした評価である。同日の取引終了後に発表された上方修正を翌営業日以降の株価が織り込めば、安全域は縮む。長期保有を考えるなら、好決算の一度きりの利益より、学校市場でのシェアと修理収益が積み上がるかを追うべきだ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、魅力は流行の成長テーマではなく、十年後も学校で食事を作り続けるという確かさにある。厨房は一度完成して終わりではない。壊れた洗浄機を修理し、衛生基準に合わせて更新し、省人化の必要が高まれば新しい設備を導入する。その仕事を全国で受けられる会社には、地味だが長い事業寿命がある。
ただし、事業寿命の長さと超過利益を生む堀の強さは同じではない。特定機種で約20%の過去シェアを持つのは立派だが、公共の調達担当者が高い価格でも同社を選び続けるとまでは言えない。競争相手が値を下げれば利益は削られる。経営者が価格ではなく製品の省エネ性能、事故の少なさ、修理の速さで選ばれるようにできるかが核心だ。
筆者がオーナー利益を考えるとき、会計上の純利益から設備維持に必要な投資と運転資金を切り分ける。2025年9月期は黒字でも営業活動で現金が流出した。反対に2026年9月期の上方修正は、価格転嫁と受注の両方が改善する可能性を示した。どちらか一つの年を永続的な収益力と見なすのではなく、複数年で現金が残るかを確かめたい。
資本配分では、還元の姿勢が改善していることを評価する。高い投資利回りが得られる自社製品や修理網への投資なら利益を内部に残す意味がある。一方、採算の低い案件を受注するために設備と運転資金を膨らませるなら、利益を配当で返す方がよい。企業規模を大きくすることは株主価値を大きくすることと同義ではない。
現時点の基準時価総額は、持続的な事業と財務の強さに比べて低いと判断する。それでも、学校人口の減少、入札競争、検収期ずれという三つの不確実性がある。安全域を持って評価できる会社だが、強いブランド企業のように将来の高い利益率を無条件で信じられる会社ではない。
何で稼ぐ会社か
日本調理機が売るのは厨房機器だけではない。何千食も作る施設の献立、調理動線、衛生区画、洗浄能力を考え、食器洗浄機、回転釜、炊飯設備、消毒保管庫などを組み合わせて設置する。顧客は自治体の学校給食センターのほか、病院、福祉施設、官公庁、社員食堂、ホテルなどだ。完成後も修理、点検、消耗部品、機器更新を扱うため、長く続く取引が生まれる。
会計上は業務用厨房機器の製造・販売・保守修理という単一セグメントである。ただし、2025年9月期の有価証券報告書には、機器設備売上151.78億円と修理備品売上29.41億円が分けて示されている。長期の稼ぐ力を評価するため、本分析ではこの開示に沿って二つの事業に分けた。前者は大型案件の検収に左右され、後者は既存設備の稼働に伴って繰り返し発生する。
販売する機器がすべて自社製品というわけではない。2025年9月期の自社製品売上は44.01億円で、仕入商品も組み合わせて設備全体を納める。自社製品を栃木・大分の工場で作りつつ、必要な機種は他社から調達する。この調達の柔軟さは一括受注には有利だが、他社製品の売上ではメーカー固有の利益を取りにくい。
学校給食案件では、設計や施工の品質だけでなく、長期休暇中に工事を終える工程管理も重要になる。会社は納入済み施設の設置年や機器履歴を把握しており、老朽化した設備の更新提案に使っている。修理対応の速さも顧客との関係を維持する要素だ。一方、公共施設の案件は入札のたびに競争があり、過去に納入した会社が必ず次も選ばれるわけではない。
会社が目指す省人化・省エネの厨房には成長の余地がある。高効率の食器洗浄機は2024年度の省エネ大賞で評価され、開発方針にはIoT、AI、ロボットを取り入れたスマート厨房も掲げられている。ただし、構想段階の技術を既に収益化できたものとしては評価しない。主力は実物の機器、現場での設置、保守であり、人月売りのコンサルティングや席課金ソフトではないため、指定されたAIエージェント代替の数量縮小ルールは直接適用しない。
優良さと弱いところ
同社の競争力には、実績で確かめられる部分がある。1947年創業の専門メーカーとして学校給食市場に入り込み、会社開示では2020年度の学校向け食器洗浄機・回転釜の国内生産台数シェアが約20%に達していた。納入設備の履歴、衛生管理を踏まえた設計経験、全国の修理・営業体制は、機器の性能表だけでは比較できない価値を持つ。顧客が機器を入れ替えるときも、既存の調理動線や使い慣れた運用に合う提案ができる。
それでも堀、つまり競合が容易に崩せない強みを、全社にわたる独占的なものとは評価しない。中西製作所、マルゼン、フジマック、タニコー、アイホーなど競争相手は多い。公共調達では予算と価格が重く、既存納入先を持っていても競争入札に敗れることがある。学校向けの特定機種で高いシェアがあっても、厨房一式の売上に同じ比率を掛けてはいけない。
過去の利益にも強さと限界が表れている。2019年9月期から2025年9月期の売上は162億円から181億円へ緩やかに増えたが、営業利益率は2%台から5%台まで振れた。2026年9月期の上方修正は、資材高への対応が進めば収益性を改善できる証拠となる。しかし、増分投資の利益率が毎年資本コストを大幅に超え続けた証拠ではない。
財務には大きな余裕がある。2025年9月末の自己資本は約75億円、純現金は約32.5億円であり、借入返済だけで行き詰まる可能性は小さい。一方、大型工事を抱える会社では仕入代金、在庫、売掛金の動きで現金が急減する。2025年9月期には営業キャッシュフローが約8.6億円のマイナスになっており、純現金のすべてを自由に配れる財産とみなすのは危険だ。
品質評価は「普通の堀」とする。自社製品比率の上昇と修理収益の継続が確認できれば、さらに強い堀へ評価を上げられる。現状では公共入札の価格圧力があり、10年後に超過利益が完全に守られるとは言えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の業務用厨房機器市場は、店舗の新設だけでなく、既存施設の更新によって成り立つ。学校給食では少子化により食数の伸びを期待しにくいが、古い厨房設備の入れ替えは避けられない。衛生基準、省エネ、人手不足への対応が設備更新の理由になる。学校給食の共同調理場が集約されれば施設数は減りうる一方、残る施設の設備能力と省力化の要求は高まる。
文部科学省の2023年5月時点の調査では、公立の共同調理場が全国に2,352か所ある。このほか学校単独で調理する施設も多数存在する。共同調理場の設備更新周期をおおむね10~15年とすると、単純計算で年間約160~235施設が更新検討の時期を迎える。ただし、すべてが全面改築されるわけではなく、施設統合や予算繰延もあるため、これをそのまま日本調理機の受注件数とはしない。
競争は国内企業が中心である。マルゼンは外食・ホテル向けを含む厨房機器の大手であり、中西製作所は学校給食を中心に競合する。フジマック、タニコー、アイホーも調理・洗浄・設備施工で重なる。各社の事業範囲、海外売上、修理収益が異なるため単純合算では正確な市場規模にならないが、国内の広義の厨房機器・設備市場は年間2,800億~4,500億円程度という幅を持った推定が妥当とみる。この範囲に対する日本調理機の売上シェアは、おおむね4~6%程度となる。
重要なのは、全社売上シェアと特定製品の生産台数シェアの違いだ。学校向け食器洗浄機・回転釜の約20%という過去の会社開示は、専門性と設置実績の強さを示す。しかし、厨房全体では他社の冷蔵設備、調理台、施工も組み合わさるため、全社の市場支配力はもっと低い。10年後の中立では特定機種の地位を概ね守り、広義市場でも大幅なシェア上昇は期待しない。
機器の販売価格は、物価上昇が年3%続く前提で名目約1.34倍になる。ステンレスなどの材料や施工労務費も上がるので、それだけで利益率が拡大するわけではない。価格転嫁が続く一方、入札で原価上昇分を十分に回収できない年もあると考える。修理・保守は既存設備の増加や長寿命化に支えられ、機器の新設より数量を伸ばしやすい。
2036年以降は、学校人口の減少と施設集約が一層進むだろう。省人化により機器単価が高くなる余地はあるが、公共予算が恒常的に実質成長するとは見ない。そのため、長期の名目成長率は物価3%を少し下回る2.5%とする。需要の寿命が短いのではなく、成熟した国内市場だからである。
資本政策と M&A
経営陣には、成長投資と株主還元の使い分けが問われる。有価証券報告書は、生産設備、物流体制、研究開発への投資を重視している。2025年9月期の研究開発費は約0.93億円で、食器洗浄機や加熱調理機器の省人・省エネ開発に使われた。大規模な海外買収によって成長する会社ではなく、国内の納入基盤と自社製品を強くする投資が中心である。
株主還元については、会社が配当性向40%程度を目安として明示している。2026年10月22日には、業績予想の引き上げを受けて配当予想も増額した。これは余剰資金が株主に戻る可能性を評価する材料だ。ただし、独立した中期経営計画での売上、営業利益、ROE、DOE、自社株買い額について、確認できる定量的な約束はない。これらは「数字の約束なし」と扱う。
純現金約32.5億円を、そのまま余剰現金とは認めない。学校給食案件の検収が夏季に集中するため、季節運転資金や工事の立替資金が必要になる。2025年9月期の営業キャッシュフローがマイナスだったことも踏まえ、自由度が高い現金は約12億円に限定する。その現金が最終的に株主価値へ反映される割合は、過去の還元実績から75%と評価する。
大株主には同業のマルゼンがいるため、事業提携や資本再編は将来の論点になる。しかし、公開買付けや完全子会社化を前提とした価値は付けない。少数株主の立場では、買収期待より、適正な投資採算と継続的な配当を重視すべきだ。増資を伴う買収や設備拡張をする場合には、投下資本に対する増分利益が資本コストを超えることが条件となる。
工場の既存設備の減価償却は取得時の原価に基づくため、物価とともに自動的には増えない。一方、設備の更新費用は新しい建設・機械価格で支払う必要がある。この会計上の利益と現金支出の差を忘れてはならない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
学校給食は少子化だから衰退市場だという見方は、機器の更新需要を見落としている。毎日大量の食事を作る施設では、洗浄機、消毒保管庫、炊飯設備が止まれば給食そのものを提供できなくなる。古い設備を使い続けるほど故障や事故の損失が大きくなり、自治体は更新を先送りし続けることができない。労働人口が減るほど、省人化や省エネ性能を持つ機器の価値も上がる。
日本調理機はこの市場に長い歴史を持ち、学校向けの一部主力機種では国内生産台数の約20%という実績を開示している。全国の施設の設置時期と機器履歴を知ることができるため、更新案件の発生を見通しやすい。新規参入者が同じ関係を築くには、製品開発だけでなく長年の施工・修理経験が必要になる。高効率食器洗浄機が省エネ大賞で評価されたことも、価格だけではない選定理由を増やす。
さらに、社員食堂、病院、ホテルといった学校以外の市場では、労働力不足による調理の省力化投資が続く。学校以外への横展開に成功すれば、学校の児童数減少に売上を縛られなくなる。自社製品の比率が上がれば、他社製品を仕入れて納めるだけの案件よりも利益が残りやすい。修理・保守の取引が増えれば、大型案件の検収時期による業績の揺れも小さくなる。
2026年9月期予想の上方修正は、受注だけでなく資材高への対応も進んだことを示した。利益改善が一時的ではなく、生産・施工の標準化と値決め力の改善によるものなら、長期の営業利益率は過去の水準を超えられる。純現金が厚く、資金繰り不安のために安値受注を続ける必要もない。設備を増やすより既存資産を活用して高付加価値製品を売れば、株主に還元できる利益は大きくなる。
同業大手による資本参加も、経営統合に限らず調達、物流、製品開発の協業につながりうる。ただし、その可能性を実現済みの利益として先取りする必要はない。現在の営業網と製品だけでも、更新需要と修理の積み上がりで10年後の価値を高める余地がある。
慎重な見方
学校給食の設備は必要でも、日本調理機が十分な利益を得られるとは限らない。自治体は予算制約の下で設備を発注し、複数の業者が入札で競う。過去に納入した機器の履歴を知っていることは営業上の利点だが、価格の高い提案を無条件で選んでもらえる権利ではない。主要機器の技術が標準化されれば、競争相手は性能を近づけながら価格を下げられる。
少子化は設備更新の件数にも影響する。学校の統廃合により、小規模な調理場が廃止され、大型の共同調理場に集約される可能性がある。集約後の設備は大型化するが、施設数が減れば定期修理の対象拠点数も減る。自治体の財政事情によっては、全面更新を部分修理に置き換える動きも進む。公的な予算を必要とする市場だけに、需要があることと売上が実現することの間には距離がある。
会社の利益率は安定して高いわけではない。過去には営業利益率が2%台に落ちた年があり、2025年9月期の営業キャッシュフローもマイナスだった。大量の工事を受注しても、材料費と外注費が上がれば利益が出ない場合がある。建設工事の遅延で夏季の検収を翌期へ持ち越すと、短期業績は一気に悪化する。2026年9月期の強い上方修正も、翌年以降の高収益を保証しない。
修理・備品は繰り返し売れるが、独立した高利益率事業としての開示はない。機器設備との利益配分を誤ると、全社の利益の質を高く見積もりすぎる。自社製品の売上比率も全体の約4分の1であり、機器販売の大部分で他社との調達競争にさらされる。省人化技術が普及するほど、より規模の大きいメーカーが研究開発費をかけて優位を奪う可能性もある。
純現金が厚いという理由だけで会社全体を帳簿価値で買い取れるわけでもない。仕入資金、在庫、工事の立替に使う現金は、少数株主が自由に引き出せない。経営陣が投資採算の悪い買収や設備拡張に現金を使えば、貸借対照表の資産は株主にとって額面以下の価値しか持たなくなる。最悪の場合、受注減と固定費負担で利益を失い、事業は残っても魅力の乏しい低収益企業になる。
どちらに重みを置いたか
強みは、学校向け主力機種のシェア、長年の設置履歴、全国の修理網という確認できる事実にある。弱みは、公共入札と工事の季節変動によって利益の再現性が低いことだ。2026年9月期の上方修正と純現金の厚さを評価しつつ、修理収益を独占的なものとは扱わない。
確率は楽観側29%、中立38%、悲観側33%とし、下側をわずかに厚くする。少子化と入札競争を警戒するためだ。ただし、最悪の場合でも現金と売却可能資産が一定の下支えになる。これらを合わせると、2026年10月22日の基準時価総額は本質価値を明確に下回る。買収の期待を織り込まなくても割安と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,347 円149 億円(+ 還元の換算額還元の合計 880 円39 億円)。 今の値に割り戻すと 2,192 円98 億円、今との差 +35.3%、 期待の年率 +11.6%(資本コスト 7.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 7,185 円321 億円 | 1,681 円75 億円 | +447.3% | +21.9% | 798 円36 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,837 円216 億円 | 1,143 円51 億円 | +269.2% | +16.2% | 1,196 円53 億円 |
| 中立 | 38% | 3,422 円153 億円 | 878 円39 億円 | +165.5% | +11.8% | 1,634 円73 億円 |
| やや悲観 | 23% | 1,489 円66 億円 | 639 円29 億円 | +31.4% | +3.3% | 489 円22 億円 |
| 悲観 | 10% | 896 円40 億円 | 190 円9 億円 | −32.9% | −4.2% | 109 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,347 円149 億円 | 880 円39 億円 | +160.9% | +11.6% | 4,226 円189 億円 |
今の株価時価総額 1,620 円72 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 省人化設備でシェアを広げる 利益 21 億円 · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 7,185 円321 億円
学校給食センターの更新需要に加えて、病院、社員食堂、ホテルが人手不足に対応するため厨房を機械化する。日本調理機は省人化に対応した洗浄システムと自社製の加熱調理機器を相次いで実用化し、学校以外にも納入先を広げる。既存の学校市場での信頼が品質の証明となり、入札でも修理費と電力費を含めた長期の経済性で選ばれる。
国内の学校給食向け主要機種の地位を守りながら、広義の厨房設備市場では現在よりシェアを広げる。自社製品の採用割合が上がり、他社製品の単純な仕入販売に頼る収益構造から脱する。修理部門は保守契約と予防交換を増やし、納入済み機器との結びつきを強くする。学校以外の売上が厚くなり、夏季検収への集中も幾分和らぐ。
買収を行うとしても、地域の修理網や技術を補う小規模案件に限り、負担の大きい大型再編には踏み込まない。値上げが原材料費・人件費の上昇を吸収し、増産に必要な設備投資も抑えられるため、利益率は2026年9月期の改善水準を超えて定着する。結果として、10年後の営業利益は約31億円に達する。
- 厨房機器・設備工事:数量 820(標準設備案件への換算口数・年。1口は機器設備売上2500万円相当であり、実際の契約件数ではない)× 価格 0.38(標準案件換算1口当たり売上高・億円)→ 売上 312 億円・営業利益 22 億円。2025年の607.12換算口から実質1.35倍。学校以外へ拡販し、単価は省人化製品の高付加価値化と物価を反映して1.52倍。営業利益率7%。
- 修理・保守・備品:数量 8,600(修理・備品取引の標準換算件数・年。実際の作業伝票件数ではない)× 価格 0.01(標準換算1件当たり売上高・億円)→ 売上 59 億円・営業利益 9 億円。換算件数1.43倍。保守契約と予防交換の増加により単価1.41倍、営業利益率15%。
倍率:資本コストk=7.75%、普通の堀の超過収益持続割合0.5、長期名目成長率g=2.5%。余剰現金12億円の税後利息0.168億円を除いた事業純利益20.932億円と、余剰現金を除く事業自己資本138.3億円から、事業ROE15.14%、RONIC11.44%となる。正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)=14.886倍を使用する。時価総額は事業利益の価値に余剰現金の回収可能額9億円を加えたもの。現在・過去・同業のPERから決めていない。
確率:学校での導入実績を病院・社員食堂・ホテルへ広げ、省人化機器と修理をともに拡大する必要がある。既存の学校向け製品シェアは強みだが、学校以外で連続して競合から顧客を獲得する難度は高いため9%とする。
やや楽観 20% 更新需要と修理網が着実に成長 利益 15 億円 · PER 14.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,837 円216 億円
自治体の学校給食センター更新は緩やかに続き、厨房の衛生管理と省エネ性能に求められる水準が上がる。日本調理機は学校向け食器洗浄機と回転釜の競争力を保ち、病院・福祉施設・社員食堂にも自社製品を広げる。大口の工事案件では中西製作所やマルゼンなどと競争するが、施工経験と修理体制が評価され、既存顧客の更新案件を安定して獲得する。
学校数の減少があっても、残る給食センターでは処理能力の増強や作業の省人化が必要になる。そのため、設備案件の実質数量は現在より増える。販売価格には資材費と労務費の上昇をおおむね反映でき、自社製品の構成比も少し高くなる。修理・備品では納入済み機器の増加と保守の定着により、設備事業より安定した成長が続く。
大型買収に依存せず、生産工程の改善、サービス人員の育成、研究開発へ資金を使う。利益率は学校給食中心の企業としては良好な水準まで改善するが、公共入札の競争は残るため、極端な高収益にはならない。配当は利益の増加に合わせて厚くなり、株主に資金が戻る。
- 厨房機器・設備工事:数量 715(標準設備案件への換算口数・年。1口は機器設備売上2500万円相当であり、実際の契約件数ではない)× 価格 0.35(標準案件換算1口当たり売上高・億円)→ 売上 252 億円・営業利益 15 億円。設備換算口数は実質1.18倍、単価1.41倍。省人化製品への更新と学校以外への横展開が進み、営業利益率5.8%。
- 修理・保守・備品:数量 7,450(修理・備品取引の標準換算件数・年。実際の作業伝票件数ではない)× 価格 0.01(標準換算1件当たり売上高・億円)→ 売上 49 億円・営業利益 7 億円。換算件数1.24倍、単価1.35倍。修理網を維持し、営業利益率13.5%。
倍率:k=7.75%、g=2.5%、普通の堀の持続割合0.5。余剰現金の税後利息0.168億円を除く事業純利益14.382億円、事業自己資本130.05億円から事業ROE11.06%、RONIC9.40%。正当化PER=(1-2.5%÷9.40%)÷(7.75%-2.5%)=13.984倍。事業純利益にこの倍率を掛け、回収を見込む余剰現金9億円を加算する。
確率:2026年9月期の受注好調と価格転嫁が一定程度継続し、学校以外の集団給食施設にも伸びる筋書き。主力機器の競争力と財務の余裕を評価するが、大幅なシェア獲得までは見込まず20%とする。
中立 38% 学校更新は横ばい、修理が少し伸びる 利益 10 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,422 円153 億円
日本の学校人口は減るが、既存の学校給食センターを安全に運営するための更新工事は続く。一部の小規模厨房は統合され、大型センターへ設備が集約される。日本調理機は学校市場向け食器洗浄機・回転釜の地位をおおむね保つが、全社の市場シェアを大きく引き上げることはできない。中西製作所、マルゼン、タニコーなどとの入札競争も続く。
設備案件の実質数量は現在から小幅増にとどまり、成長の多くは物価に対応した販売価格の上昇から生まれる。病院、社員食堂、ホテル向けが学校給食の人口減少を補う。修理・備品は既存機器の高齢化と保守網の維持によって取引件数がやや増え、利益を下支えする。会社全体の営業利益率は2026年の改善後の高水準をそのまま延ばさず、約6%へ落ち着く。
研究開発は洗浄や加熱調理の省人化に向かうが、大量のAIソフト収入が生まれるとは考えない。生産設備は順次更新し、資材費と工事労務費の上昇を価格へ転嫁する。大型M&Aに依存しないため財務は健全さを維持する。配当は会社の方針に近い水準で継続し、自己資本も徐々に増える。
- 厨房機器・設備工事:数量 625(標準設備案件への換算口数・年。1口は機器設備売上2500万円相当であり、実際の契約件数ではない)× 価格 0.34(標準案件換算1口当たり売上高・億円)→ 売上 211 億円・営業利益 10 億円。設備換算口数は実質1.03倍、単価1.35倍。学校施設統合と病院・社員食堂への展開が数量面で概ね相殺し、営業利益率4.7%。
- 修理・保守・備品:数量 6,600(修理・備品取引の標準換算件数・年。実際の作業伝票件数ではない)× 価格 0.01(標準換算1件当たり売上高・億円)→ 売上 43 億円・営業利益 5 億円。換算件数は実質1.10倍、単価1.34倍。既存設備の修理需要が継続し、推定営業利益率12%。
倍率:k=7.75%、長期名目成長率g=2.5%。純利益10.35億円から余剰現金12億円の税後利息0.168億円を除いた事業純利益は10.182億円、事業自己資本は120.85億円で事業ROE8.43%。普通の堀の持続割合0.5からRONICは8.09%となり、正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)=13.16倍。資本コストを少し上回る増分利回りが続くという控えめな評価であり、市場の過去倍率は使用していない。利益率約5.94%は2026年9月期の会社修正予想6.43%を下回り、価格転嫁の一部定着を見込む。
確率:国内の成熟需要、機器の定期更新、価格への物価転嫁、修理網の継続を組み合わせた最も起こりやすい経路。2026年の利益改善の一部は残るが、過度な市場シェア拡大は見ないため38%とする。
やや悲観 23% 入札競争が強まり、価格転嫁が遅れる 利益 5 億円 · PER 10.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,489 円66 億円
自治体の財政負担が重くなり、学校給食センターの更新は全面改修より部分修理を優先するようになる。学校の統廃合も進み、設備を納める施設の数が減る。日本調理機は長年の納入実績により一定の更新案件を獲得するが、中西製作所やマルゼンなどとの競争で価格を十分に上げられない。学校以外の集団給食市場も、期待したほどシェアを拡大できない。
資材費と現場作業員の賃金は上がる一方、公共の工事予算には上限がある。設備単価の上昇は物価累積をやや下回り、設備事業の利益率が縮む。修理・備品は既存顧客のおかげで大きく減らないが、料金改定で費用の増加をすべて回収できない。収益性の低い設備案件を選別し始めるため、売上も伸び悩む。
会社は大型買収を控え、工場と修理網の維持に資金を優先する。配当は減益に合わせて減らし、現金を運転資金に残す。事業の存在意義は失われないが、投下した自己資本から十分な利益を得られなくなる。純現金が下支えとなる一方、株主価値は大きく伸びない。
- 厨房機器・設備工事:数量 530(標準設備案件への換算口数・年。1口は機器設備売上2500万円相当であり、実際の契約件数ではない)× 価格 0.33(標準案件換算1口当たり売上高・億円)→ 売上 175 億円・営業利益 4 億円。設備換算口数は実質0.87倍、単価1.32倍。公共入札で物価を十分に転嫁できず、営業利益率2.5%。
- 修理・保守・備品:数量 5,900(修理・備品取引の標準換算件数・年。実際の作業伝票件数ではない)× 価格 0.01(標準換算1件当たり売上高・億円)→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。修理換算件数は実質0.98倍、単価1.30倍。保守の競争が強まり、営業利益率8.5%。
倍率:10年後のROEは5.15÷117.55=4.38%で資本コスト7.75%を下回り、増分投資の成長価値を認めにくい。この筋書きの稼ぐ力の上限は1÷k=12.90倍である。競争による持続的な採算悪化を反映して事業PER10.4倍とする。余剰現金は事業悪化に伴って12億円の75%に減ると想定し、税後利息を控除した純利益5.024億円にPERを掛け、残る現金の75%に当たる6.75億円を加える。
確率:自治体の予算制約、学校統合、材料・施工費上昇による採算悪化は、会社固有の学校給食依存と検収集中を通じて起きやすい。事業そのものは残るが株主利益が縮む可能性として23%を見込む。
悲観 10% 学校市場で競争力を失う 利益 1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 896 円40 億円
自治体の学校統合が想定以上に速く進み、共同調理場の大型化で少数の設備業者に発注が集中する。日本調理機は大型案件の価格競争と省人化機器の開発競争で後れ、学校向けの主力機種でも過去に持っていた地位を失う。競争相手は既存機器との互換性や保守対応を整え、納入履歴という日本調理機の優位も薄れる。学校以外の市場で新規顧客を獲得する計画も十分には進まない。
設備の実質供給量は現在の6割弱まで落ち、販売価格も物価上昇に追いつかない。工場、営業所、サービス人員の固定費をすぐには減らせず、設備事業の営業損益は赤字となる。修理・備品の売上も、他社製品への置き換えによって縮小する。過去の納入設備が残るため完全な消滅はしないが、修理の利益だけでは全社の収益力を支えきれない。
経営陣は工場や営業体制を縮小し、非効率な設備を減損する。配当は早い段階から減額され、10年の株主還元は小さくなる。大型買収で回復を図っても、競争力を失った事業の立て直しには費用がかかるため、買収による上振れは評価しない。株主価値は将来の利益よりも、残る純現金と換金できる資産によって支えられる。
- 厨房機器・設備工事:数量 350(標準設備案件への換算口数・年。1口は機器設備売上2500万円相当であり、実際の契約件数ではない)× 価格 0.30(標準案件換算1口当たり売上高・億円)→ 売上 105 億円・営業利益 0 億円。設備換算口数は実質0.58倍、単価1.20倍。学校向けシェア喪失と固定費負担により設備事業が赤字化。
- 修理・保守・備品:数量 4,200(修理・備品取引の標準換算件数・年。実際の作業伝票件数ではない)× 価格 0.01(標準換算1件当たり売上高・億円)→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。修理換算件数は実質0.70倍、単価1.22倍。顧客流出でサービス網の採算が悪化。
倍率:事業のROEは0.6÷93.0=約0.65%で資本コストを大きく下回る。将来の蓄積自己資本93億円を床には使わず、2025年9月期の現在自己資本74.74億円を基準に、純現金32.5億円と売却可能資産の税後推定14.5億円から整理費用7億円を差し引いた床40億円を採用する。PBRは40÷74.74=約0.5355倍であり、過去の株価の底を根拠とした倍率ではない。
確率:単なる景気の谷でなく、学校施設統合と大手競合による入札シェアの大幅喪失、修理網の縮小が重なる構造的な敗北を想定する。学校での長年の実績と純現金があるため頻度は限定的だが、10年間での劣化を無視できず10%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
厨房機器・設備工事
学校給食、病院、社員食堂、ホテル等に対する厨房機器の販売、設備の組み合わせ、設置・施工。会社が開示する機器設備売上に対応する分析上の区分である。
| 数量標準設備案件への換算口数・年。1口は機器設備売上2500万円相当であり、実際の契約件数ではない | 価格標準案件換算1口当たり売上高・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 607 | 0.25 | 152 | 5 |
| 10 年後 中立 | 625 | 0.34 | 211 | 10 |
取り方:2025年9月期有価証券報告書の機器設備売上151.77791億円を使用。契約の実件数と平均単価は開示されず、学校給食の全面更新と部分改修では1案件の規模が大きく異なる。そのため2500万円を標準案件の換算単位とし、151.78億円÷0.25億円=607.12口とした。口数は物理的な厨房や調理場の数ではなく、同等の設備供給量を示す実質数量である。数量の将来変化は、文部科学省の公立共同調理場2352か所、更新周期約10~15年、学校施設の集約、学校以外への横展開を踏まえて判断する。会社は学校向け食器洗浄機・回転釜について2020年度の国内生産台数シェア約20%を開示するが、厨房設備全体のシェアではない。営業利益5.0億円は単一セグメントの全社営業利益を経済実態に従って推定配分した額であり、会社開示の部門利益ではない。
修理・保守・備品
既存の厨房機器に対する修理、点検、交換部品、備品販売など。新規の大型設備工事とは異なり、機器が稼働し続ける限り反復する取引である。
| 数量修理・備品取引の標準換算件数・年。実際の作業伝票件数ではない | 価格標準換算1件当たり売上高・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 6,000 | 0.00 | 29 | 3 |
| 10 年後 中立 | 6,600 | 0.01 | 43 | 5 |
取り方:2025年9月期有価証券報告書の修理備品売上29.41101億円を使用。作業件数や平均修理単価は公表されないため、1件約49万円の標準換算取引を6000件とする分析上の近似であり、実際の請求書枚数を主張するものではない。将来の実質件数は学校給食の共同調理場2352か所に加え、単独調理施設、病院、社員食堂、ホテルなどに設置された機器の保有台数と経年劣化を基に考える。2036年の中立で換算件数が増えるのは、既存設備の長寿命化と学校以外への保守網の展開を想定するためである。営業利益3.446億円は、全社営業利益8.446億円から設備事業への推定配賦額を引いた分析上の利益で、実際の修理部門利益率は会社非開示である。
リスクと懸念
学校人口の減少と施設統合
学校給食の提供そのものは続いても、児童生徒数の減少で給食施設の統合が進む可能性がある。大型共同調理場への更新が増える一方、閉鎖施設の保守・修理需要は失われる。全面改築を何年も繰り延べる自治体もあり、更新時期から見込んだ需要がそのまま受注になるわけではない。学校以外の集団給食で数量を補えるかが重要になる。
公共入札と値決め力の限界
同社は学校向け食器洗浄機・回転釜で約20%の過去国内生産台数シェアを開示しているが、公共の厨房設備工事全体に対する独占ではない。中西製作所、マルゼンなどとの競争が続く。材料費、運送費、施工人件費の値上がりを入札価格に転嫁できない場合、売上が名目で増えても利益率が下がる。実際の落札状況と採算を継続して検証する必要がある。
検収の集中と運転資金
学校給食の厨房工事は夏休み期間の施工・検収に集中しやすい。建設側の遅延や設備の調整不良で引渡しが期をまたぐと、売上と利益の計上が大きく振れる。2025年9月期には仕入債務の減少などで営業キャッシュフローが約8.6億円のマイナスとなった。純現金は厚いが、資金繰りと株主に配れる余剰現金を混同してはいけない。
自社製品の競争力と設備投資の採算
2025年9月期の自社製品売上は約44億円であり、売上の多くには仕入商品が含まれる。省人化製品が顧客に選ばれなければ、自社の研究開発や工場更新への投資が高い利益につながらない。既存設備の償却は取得価格で続く一方、新たな設備投資の現金負担はインフレで増える。会計上の利益が増えてもオーナー利益が増えない可能性がある。
安全・衛生上の製品事故
大量調理施設では食中毒、食物アレルギー、火傷、機器停止などの事故が重大な損失になりうる。製品の欠陥や設置施工上の問題が発生すれば、賠償や改修費用に加え、次の自治体入札での信用失墜が大きい。全国で長年積み上げた導入実績が強みであるからこそ、その信頼を傷つける事故の影響は長く残る。
現金の使い方と買収・再編
純現金が多くても、非効率な工場拡張や利益率の低い企業の買収に使われれば株主価値は減る。2026年の増配は評価できるが、継続的な自社株買い額や総還元性向の定量目標が約束されているわけではない。同業企業の資本参加を買収成立の証拠と誤解することも避けたい。株主への実際の還元と投資後の利益を重視する。
今後の分かれ目
- 学校向け主力機器の国内生産台数シェアが過去開示の約20%を維持・改善し、学校以外の売上構成も拡大したら
- 入札での選定力と販路拡大が確認できるため、設備事業の実質数量を上方修正する。やや楽観の可能性を高め、継続的な値上げ実績が伴えば堀の再評価も検討する。
- 修理備品売上が設備売上より安定して伸び、作業件数・利益率の開示も充実したら
- 収益の反復性についての不確実性が下がる。修理部門の数量と利益率を一次資料で置き直し、工事の検収に依存する利益の割合を減らして評価できる。
- 2026年9月期の上方修正後も複数年にわたり営業利益率6%台を維持したら
- 資材高への価格転嫁が定着した証拠として、中立の利益率を再検討する。ただし、更新投資と運転資金の増加が利益を上回らないことを同時に確認する。
- 受注残高が増えても売掛金・在庫が膨らみ、営業キャッシュフローの赤字が続いたら
- 利益の現金化に問題があると判断し、余剰現金と将来の還元額を引き下げる。単なる検収時期のずれなのか、不採算案件の増加なのかを区別する。
- 学校施設の統合と自治体の更新延期が重なり、設備換算数量が継続的に減少したら
- やや悲観と悲観の数量前提に近づくため、下側の確率を高める。修理の対象機器も減っているなら、同時にサービス事業の将来数量を見直す。
- 資本コストを上回る投資先が乏しい中で、増配や自社株買いが継続的に実施されたら
- 余剰現金の株主への戻り方を75%から100%へ再検討する。反対に大型買収や増資で資本効率が悪化したら、利益成長よりも資本配分の失敗を重く評価する。
見ておくもの
- 学校向け食器洗浄機・回転釜の国内生産台数シェアと、後継製品の採用状況
- 学校給食センターの更新・統合件数と地方自治体の設備投資予算
- 機器設備売上と修理備品売上の成長率の差
- 自社製品売上高と全社売上に占める構成比
- 年度受注高・受注残高と翌年度への検収繰延件数
- 営業利益率と資材費・施工人件費の価格転嫁状況
- 営業キャッシュフロー、現金預金、運転資金と工場更新投資
- 配当性向40%程度という方針の実行と自社株買いの有無
- 学校以外の病院・社員食堂・ホテルへの納入実績
- 2026年9月期の上方修正後の確定決算と翌期会社予想
倍率と資本コストの決め方
数量は2025年9月期に開示された機器設備151.78億円、修理備品29.41億円から、それぞれ標準案件・標準取引への換算口数を使って考えた。実際の件数は非開示であることを明記し、物価上昇分は数量ではなく単価へ入れている。中立の機器数量は10年で約1.03倍、修理数量は約1.10倍とし、2026年の受注好調を永久の高成長と扱わない。
中立PER13.16倍は、資本コスト7.75%、長期成長率2.5%、事業ROEから導くRONIC8.09%による正当化倍率である。今の株価、過去のPER・PBR、同業の市場評価から逆算していない。悲観の床は過去の安値でなく、純現金と換金可能資産の税後額から整理費用を差し引いた40億円とした。新リース会計基準による貸借対照表の表示変化は、厨房機器事業の実質的な現金創出力の増加と混同しない。
基準株価は添付の2026年10月22日終値1419円である。2026年9月期の大幅上方修正は同日17時15分の発表であり、その後の株価上昇はこの基準時価総額には反映されていない。5筋書きの時価総額と還元を資本コストで割り引くと、明示した数値だけで現在価値は約94.7億円となり、基準時価総額約63.3億円を約50%上回る。実際に将来余剰現金が積み上がる場合の加算は、この比較に二重計上しないよう別途確認を要する。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の基本資本コスト7.5%に、事業の循環0%、公共入札による値決め力+0.5%、純現金による財務余裕-0.25%、寿命0%を加えた。規模と市場βによる調整は行わない。