結論
岡部は、ビルや橋、斜面の工事現場に納める耐震建材のメーカーだ。鉄骨ビルの柱の足元を固める柱脚、型枠をとめる金物、土砂災害を防ぐ製品を国内で売る。もう一つの柱が米国で、コンクリート工事の鉄筋を支える部材をつくる子会社OCMだ。筆者の結論は、本質価値は今の時価総額をわずかに下回る「適正」。米国の伸びは本物だが、資本の使い方に不安が残り、ROEが資本コストに届かない状態が10年続くと見る。
稼ぎの重心は国内から米国へ動いている。国内の仮設・型枠は、着工床面積の減少と人手不足で1年に1割近く落ちた。構造機材と土木は持ちこたえている。一方、米国は売上が2けたで伸び、全体の4分の1を超えた。
気がかりなのは、海外の失敗が続いたことだ。2023年に米国の電池端子の子会社が破産手続きに入り、のれんの減損も出た。2024年は投資有価証券の評価損と和解金で最終赤字になった。財務は自己資本比率が7割と固い。そのぶん資本が遊び、ROEは5%前後にとどまる。
経営は還元を厚くする方向へ動いた。配当性向は5割台で、自社株買いも続く。筆者はこの姿勢を評価する。ただ、稼ぐ力そのものが上がらなければ、還元だけでは価値は増えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、まず見るのは「10年後も、この会社のオーナーでいたいか」だ。国内の建設部材は、物量が細る市場に属する。米国の鉄筋支持材は伸びるが、堀は薄い。どちらも、10年先に今より強くなる確信は持てない。
次に利益の質を見る。営業利益率は6〜7%、ROEは5%台。株主が出した資本に対して、資本コストを下回る稼ぎしかない年が多い。値上げで利益を守れる会社ではなく、鋼材や人件費の上昇に利益を削られる会社だ。
経営の資本配分は、評価が割れる。配当と自社株買いを増やし、PBR1倍割れを正そうという姿勢は正しい。しかし海外の電池端子、OCMののれん、投資有価証券の評価損と、お金を壊した記録が直近に並ぶ。
安全域は財務にある。自己資本比率7割、純現金、含み益のある持ち合い株。会社が潰れる心配はほぼない。だが、安全であることと、安く買えることは別だ。筆者は、今の値段は本質価値と釣り合っているとみる。割安と言うには、ROEが資本コストを超える見通しが要る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ口は、建設現場で使う部材を売ることだ。売上の約9割が建設関連で、残りが産業機械・海洋資材・自動車向けボルトなどのその他の事業になる。
国内の主力は構造機材で、全社の約3割を占める。鉄骨ビルの柱を基礎に固定する柱脚「セレクトベース」や、鉄筋をつなぐ継手がその中心だ。地震に耐える部位なので、安さだけでは選ばれにくい。仮設・型枠は、コンクリートの型枠をとめる金物とそのレンタルで、売上の1割弱。土木は土砂災害の防止や落石対策の製品で、国土強靱化の予算に乗る。国内の建材商品は、ボルトやナットを仕入れて売る商社に近い仕事で、利益は薄い。
海外建材は売上の約26%まで育った。米国のOCMが、鉄筋を型枠の中の正しい高さに保つチェアやスペーサーを、金属とプラスチックでつくって売る。2002年に進出し、シカゴの倉庫、現地工場と投資を重ねてきた。会社は2032年に売上2億ドルを目指している。
その他の事業は小さいが、利益率は15%と高い。産業機械の特注品や浮き魚礁が中心で、案件の波がある。自動車向けのボルト・ナットの販売も、この中に入る。
優良さと弱いところ
堀は「地震に関わる部材の信頼」と「在庫と即納」にある。柱脚や継手は、構造計算がからむ。いったん設計に入ると、他社品に替えにくい。米国では、倉庫に在庫を持って当日に届ける体制が武器になる。ただ、どちらも特許で守られた独占ではない。値段を自分で決める力は限られる。
収益性は並みで、すぐれてはいない。営業利益率は過去12年で5%台から10%台。2014年の10.3%が山で、2025年は6.8%だった。ROEの中央値は5%台で、資本コストを下回る年が多い。国内の鋼材と人件費の上昇を、価格に移しきれていない。
財務は固い。自己資本比率は73%で、純現金に近い。この厚さが、景気の谷での安全域になる。同時に、使い道のない資本が利益率を押し下げている。
最大の弱点は、海外子会社の管理と資本配分だ。米国の電池端子子会社の破産手続き、OCMののれん減損、投資有価証券の評価損と和解金。2023年と2024年に、大きな損が立て続けに出た。会社自身も中期経営計画で「海外子会社ガバナンスの改善」を掲げている。同じ失敗を繰り返さないかが、経営の評価を分ける。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の建設市場は、金額が増えても物量は増えない。建築着工の床面積は、2002年の約1億7千万平方メートルから2024年の約1億400万平方メートルへ、4割近く減った。人手不足で工事が遅れ、鋼材と労務費は高止まりしている。名目の投資額と実際の工事量が離れていく、と会社は見る。仮設・型枠は鉄筋コンクリート造の着工に直結するため、ここが一番弱い。
救いは公共だ。政府は2025年6月、2026年度から5年で20兆円強の国土強靱化の中期計画を決めた。老朽インフラの更新と災害対策が柱で、土砂災害や落石の対策製品を持つ土木には追い風になる。ただし予算は毎年の編成で動き、人手も足りない。
米国は逆に、インフラと倉庫の建設が続く。鉄筋の支持材は、コンクリートを打つ現場ごとに必ず使う消耗品だ。ただし米国のインフラ予算は法律の期限があり、先は読み切れない。2025年の関税は、仕入れと販売の両方に影響した。会社は下期に関税の還付金を約10億円計上する見込みだ。
競合は、国内では製品ごとに専業の中堅メーカーが分かれる。米国では地場の専業メーカーが多い。市場規模は調べても確認できなかったため、数量は会社の目標から置いている。
資本政策と M&A
還元は厚くなった。方針は配当性向40%以上、DOE3%以上で、さらに特別配当と自社株買いを機動的に行う。2025年は普通配当に特別配当を足し、配当性向は57%だった。2026年は52%を見込み、加えて約15億円の自社株買いを6月までに終えた。2025年12月には200万株を消却している。
株主の構図も変わった。2025年12月、みずほ銀行と三菱UFJ銀行が各100万株を売り出した。浮動株を増やす狙いだ。筆頭株主はボルト・ナット商社のトルクで、約12%。互いに株を持ち合う関係にある。投資有価証券は98億円で、時価総額の約4分の1に当たる。含み益は税引き後で38億円ある。この持ち合いを減らせるかが、資本効率の課題だ。
買収の歴史には傷がある。OCMのVimco事業の譲受でできたのれんは減損になった。電池端子の子会社は破産手続きに入った。前の中期経営計画では、戦略投資に100億円の枠を置き、2年で79億円を使った。その中から減損が出たことは、重く見るべきだ。
買われる側になる可能性は小さくない。時価総額が小さく、自己資本比率が高く、PBRが1倍を割る。持ち合いも厚い。ただし買収の動きは確認できていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
米国の伸びは、まだ序の口だ。OCMは売上を1億ドル台から、2032年に2億ドルへ倍増させる計画を持つ。2024年に新工場が動き、2025年にシカゴの倉庫を広げた。即納できる体制が、現場の信頼を取っている。鉄筋の支持材は工事ごとに必ず使う消耗品で、需要は米国の建設量に素直についていく。上期の海外売上は26%増で、初めて100億円を超えた。
国内も底堅い。国土強靱化の中期計画は20兆円強の規模で、土砂災害の防止製品を持つ土木に追い風になる。柱脚の改良版は売れており、鉄筋継手のBRシアコネは生産能力を20倍に増やした。新製品は他社品との差になる。仮設・型枠は縮むが、売上の1割にすぎない。
資本の使い方も変わった。配当性向は5割台、さらに約15億円の自社株買いを実行した。持ち合い株を減らし、浮動株を増やしている。自己資本比率7割の会社が還元を厚くすれば、ROEは上がる。営業利益率が2014年の10%に近づく余地は十分にある。会社は2040年に営業利益150億円を掲げる。そこまで行かなくても、米国と新製品で100億円は見える。
慎重な見方
国内は構造的に細る。建築着工の床面積は20年あまりで4割減り、これからも減る。鉄筋コンクリート造の着工は特に弱く、仮設・型枠は1年で1割近く落ちた。構造機材も、鉄骨造の着工が減る中で競争が激しくなり、大型物件が伸びない。国土強靱化の予算は付いても、人手が足りず、工事が進まない。
米国の成長にも足元をすくわれる。米国のインフラ予算には期限がある。関税や為替で、利益が大きく振れる。2026年は上期の営業利益が2割減り、会社は通期の利益を下期に偏らせている。新製品の拡販や関税の還付金に頼る計画は、実現の確度が低い。
何より、過去の失敗が重い。2023年に米国の電池端子子会社が破産手続きに入り、のれんの減損が出た。2024年には投資有価証券の評価損と和解金で最終赤字になった。中期経営計画の目標である2028年のROE8%には、2026年の計画でもまだ2ポイント届かない。海外の管理が変わらなければ、また同じことが起きる。自己資本比率7割の厚さは、資本が働いていない証拠でもある。
どちらに重みを置いたか
強気の根拠は米国の成長と国土強靱化で、どちらも需要の面では確度が高い。弱気の根拠は、国内の物量減、海外子会社の失敗の記録、ROEが資本コストに届かない現実で、こちらは実績の裏づけがある。
10年の中立の姿は、米国が国内の穴を埋めて利益は名目で増えるが、ROEは6%台にとどまる。倍率は伸びない。確率は中立を最も厚くし、強気側を薄く、慎重側を少し厚く寄せた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,294 円574 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 623 円276 億円)。 今の値に割り戻すと 1,082 円480 億円、今との差 +17.3%、 期待の年率 +7.6%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,673 円1,186 億円 | 902 円400 億円 | +287.7% | +14.5% | 250 円111 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,965 円872 億円 | 766 円340 億円 | +196.2% | +11.5% | 519 円230 億円 |
| 中立 | 38% | 1,489 円661 億円 | 651 円289 億円 | +132.1% | +8.8% | 813 円361 億円 |
| やや悲観 | 24% | 527 円234 億円 | 507 円225 億円 | +12.2% | +1.2% | 248 円110 億円 |
| 悲観 | 12% | 341 円151 億円 | 376 円167 億円 | −22.2% | −2.5% | 86 円38 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,294 円574 億円 | 623 円276 億円 | +107.9% | +7.6% | 1,917 円850 億円 |
今の株価時価総額 922 円409 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 米国が倍近くに伸び、国内も底堅い 利益 74 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 2,673 円1,186 億円
米国のOCMが年の出荷を倍近くに増やし、売上は約470億円に育つ。会社の目標(2032年に2億ドル)を、米国の建設需要と新工場が後押しする。国内は国土強靱化の予算を受けて土木が1.25倍に伸び、柱脚の改良版と鉄筋継手の新製品が構造機材で他社品との差をつくる。仮設・型枠は縮むが、レンタルと省力工法で下げ止まる。
全体の営業利益率は9%台で、2014年の山(10.3%)に近づく。売上は約1,200億円、営業利益は約110億円。持ち合い株の縮減が進み、還元は10年で約400億円。ROEは10%近くまで上がる。会社が2040年に掲げる営業利益150億円には届かないが、道筋は見える。
- 仮設・型枠:数量 19.4(仮設・型枠製品の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 4.02(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 78 億円・営業利益 3 億円。19.4千トン×4.02億円/千トン、営業利益率3.5%
- 土木:数量 875(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.14(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 124 億円・営業利益 11 億円。875件×0.1415億円/件、営業利益率9.0%
- 構造機材:数量 4,200(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.07(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 289 億円・営業利益 23 億円。4200件×0.0688億円/件、営業利益率8.0%
- 国内建材商品:数量 11.4(出荷量(千トン・年、推定))× 価格 12(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 133 億円・営業利益 6 億円。11.4千トン×11.6245億円/千トン、営業利益率4.5%
- 米国建材(OCM):数量 513(出荷点数(百万個・年、推定))× 価格 0.91(1 百万個あたり売上(億円・名目))→ 売上 466 億円・営業利益 49 億円。513百万個×0.9085億円/百万個、営業利益率10.5%
- その他(産業機械・海洋資材・自動車向けボルト):数量 720(案件・納入件数(件・年、推定))× 価格 0.15(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 107 億円・営業利益 17 億円。720件×0.1491億円/件、営業利益率16.0%
倍率:事業の純利益 74 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍。全体の PER 15.98 倍、時価総額 1,186 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:米国の拡大、国土強靱化、新製品、資本効率の改善が全部そろう必要がある。海外の過去の失敗を考えると、そろう確度は低い。
やや楽観 19% 米国が堅調に伸び、利益率が緩やかに戻る 利益 60 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 1,965 円872 億円
米国の出荷が1.65倍になり、売上は約400億円。国内は土木が1.15倍に伸び、構造機材は横ばい近くで踏みとどまる。仮設・型枠と国内の建材商品は縮む。老朽インフラの更新や土砂災害の対策は、予算がつく限り続く。柱脚の改良版は大型物件にも入り、鉄筋継手の新製品も売上に載りはじめる。
営業利益率は8%台に上がり、売上は約1,090億円、営業利益は約90億円、純利益は約60億円。還元は10年で約340億円で、自社株買いが自己資本の膨らみを抑える。ROEは8%で資本コストに並ぶ。成長はするが、価値を大きく生む会社にはなっていない。海外の失敗は繰り返されず、中期経営計画の路線が、遅れながらも実現する形だ。米国の拡大が国内の減少を上回り、利益は名目で年4%台の伸びを保つ。
- 仮設・型枠:数量 18.3(仮設・型枠製品の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 4.02(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 74 億円・営業利益 2 億円。18.3千トン×4.02億円/千トン、営業利益率3.0%
- 土木:数量 805(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.14(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 114 億円・営業利益 10 億円。805件×0.1415億円/件、営業利益率8.5%
- 構造機材:数量 3,920(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.07(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 270 億円・営業利益 19 億円。3920件×0.0688億円/件、営業利益率7.2%
- 国内建材商品:数量 10.8(出荷量(千トン・年、推定))× 価格 12(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 126 億円・営業利益 5 億円。10.8千トン×11.6245億円/千トン、営業利益率4.0%
- 米国建材(OCM):数量 446(出荷点数(百万個・年、推定))× 価格 0.91(1 百万個あたり売上(億円・名目))→ 売上 405 億円・営業利益 39 億円。446百万個×0.9085億円/百万個、営業利益率9.5%
- その他(産業機械・海洋資材・自動車向けボルト):数量 660(案件・納入件数(件・年、推定))× 価格 0.15(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 98 億円・営業利益 15 億円。660件×0.1491億円/件、営業利益率15.0%
倍率:事業の純利益 60 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.53 倍、時価総額 872 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:米国の拡大と国内の下げ止まりは、現実的な線。ただし海外の管理と人手不足の不確かさが残る。
中立 38% 米国が国内の減を埋め、利益は物価並み 利益 48 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,489 円661 億円
国内は、仮設・型枠が2割減り、構造機材と国内の建材商品も1割前後減る。土木は国土強靱化で5%増える。米国のOCMは出荷が1.45倍になり、売上は約360億円。価格は物価並みの1.34倍で、全体の売上は約990億円。
営業利益率は7.3%で、今より少し高い。鋼材と人件費の転嫁が追いつかず、利益率は2014年の山には届かない。営業利益は約73億円、純利益は約48億円。還元は10年で約290億円。自己資本は約740億円に増え、ROEは6%台にとどまる。大きな成功も失敗もなく、物価の分だけ利益が増える10年だ。米国が柱になり、国内は守りに回る。
- 仮設・型枠:数量 17.2(仮設・型枠製品の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 4.02(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 1 億円。17.2千トン×4.02億円/千トン、営業利益率2.0%
- 土木:数量 735(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.14(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 104 億円・営業利益 8 億円。735件×0.1415億円/件、営業利益率7.5%
- 構造機材:数量 3,680(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.07(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 253 億円・営業利益 17 億円。3680件×0.0688億円/件、営業利益率6.5%
- 国内建材商品:数量 10.2(出荷量(千トン・年、推定))× 価格 12(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 119 億円・営業利益 4 億円。10.2千トン×11.6245億円/千トン、営業利益率3.5%
- 米国建材(OCM):数量 392(出荷点数(百万個・年、推定))× 価格 0.91(1 百万個あたり売上(億円・名目))→ 売上 356 億円・営業利益 30 億円。392百万個×0.9085億円/百万個、営業利益率8.5%
- その他(産業機械・海洋資材・自動車向けボルト):数量 600(案件・納入件数(件・年、推定))× 価格 0.15(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 89 億円・営業利益 13 億円。600件×0.1491億円/件、営業利益率14.0%
倍率:事業の純利益 48 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 660 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の物量減、米国の成長、物価並みの価格上昇という最も確度の高い線を厚く置いた。海外の失敗の記録を考え、確率は強気側を薄くしている。
やや悲観 24% 国内が一段と細り、米国の伸びが鈍る 利益 31 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 527 円234 億円
国内の着工が想定より弱く、仮設・型枠は3割近く減る。構造機材は鉄骨造の減少と競争で1割以上減り、価格も物価に追いつかない。米国は関税と建設の鈍りで、出荷が1.2倍にとどまる。土木も予算の消化が進まず、わずかに減る。新製品の拡販は計画に届かず、利益率の改善も止まる。
営業利益率は6%弱で、売上は約860億円、営業利益は約50億円、純利益は約31億円。還元は配当性向を保つのが精一杯で、10年で約230億円。ROEは4%台で、資本コストに届かない。自己資本比率の高い会社だが、その厚みを生かせない。優良とは言えない水準に落ち着く。自己資本の厚い、おとなしい会社という評価だ。
- 仮設・型枠:数量 15.5(仮設・型枠製品の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 3.84(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 60 億円・営業利益 0 億円。15.5千トン×3.84億円/千トン、営業利益率0.5%
- 土木:数量 665(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.14(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 94 億円・営業利益 6 億円。665件×0.1415億円/件、営業利益率6.5%
- 構造機材:数量 3,400(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.07(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 223 億円・営業利益 11 億円。3400件×0.0657億円/件、営業利益率5.0%
- 国内建材商品:数量 9.4(出荷量(千トン・年、推定))× 価格 11(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 104 億円・営業利益 3 億円。9.4千トン×11.104億円/千トン、営業利益率2.5%
- 米国建材(OCM):数量 324(出荷点数(百万個・年、推定))× 価格 0.91(1 百万個あたり売上(億円・名目))→ 売上 294 億円・営業利益 21 億円。324百万個×0.9085億円/百万個、営業利益率7.0%
- その他(産業機械・海洋資材・自動車向けボルト):数量 552(案件・納入件数(件・年、推定))× 価格 0.15(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 10 億円。552件×0.1491億円/件、営業利益率11.5%
倍率:ROE約4.5%がkを下回り、RONICは8%+1/2×(4.5%−8%)=6.3%。g 4%から正当化PERは約9.0倍。稼ぐ力が資本コストに届かない分を見て、7.5倍に置いた。
確率:国内の縮みは確実で、米国の成長が鈍る可能性も小さくない。海外の過去の失敗と、2026年の上期の減益計画を見ると、確率はやや厚く置く。
悲観 12% 海外で再び損を出し、国内は構造的に縮む 利益 14 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 341 円151 億円
米国で新たな減損や訴訟が出て、OCMの成長も止まる。出荷は1割減り、関税の負担で価格も上がらない。国内は着工の落ち込みと入札競争で、仮設・型枠は赤字に近づく。構造機材は価格競争で利益率が3%台まで下がる。土木も予算の消化が進まず、利益率が落ちる。売上は700億円を割り、固定費の重さが利益を直撃する。
営業利益は約26億円、純利益は約14億円。のれんなどの減損で自己資本は約40億円減り、還元は絞られて10年で約170億円。ROEは2%台に沈む。安全な財務は残るが、稼ぐ力は大きく落ちる。事業を続ける価値より、手元の資産の価値に近い評価で見られる姿だ。配当は減らされ、自社株買いも止まる。
- 仮設・型枠:数量 13.3(仮設・型枠製品の出荷量(千トン・年、推定))× 価格 3.60(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 −1 億円。13.3千トン×3.6億円/千トン、営業利益率-1.0%
- 土木:数量 595(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.14(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 4 億円。595件×0.1373億円/件、営業利益率5.0%
- 構造機材:数量 3,000(納入物件数(件・年、推定))× 価格 0.06(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 185 億円・営業利益 7 億円。3000件×0.0616億円/件、営業利益率3.5%
- 国内建材商品:数量 8.2(出荷量(千トン・年、推定))× 価格 10(1 千トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 85 億円・営業利益 1 億円。8.2千トン×10.41億円/千トン、営業利益率1.5%
- 米国建材(OCM):数量 243(出荷点数(百万個・年、推定))× 価格 0.85(1 百万個あたり売上(億円・名目))→ 売上 206 億円・営業利益 9 億円。243百万個×0.8475億円/百万個、営業利益率4.5%
- その他(産業機械・海洋資材・自動車向けボルト):数量 480(案件・納入件数(件・年、推定))× 価格 0.14(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 6 億円。480件×0.1447億円/件、営業利益率8.0%
倍率:ROE約2.4%がkを大きく下回り、RONICは5.2%。g 4%から正当化PERは約5.8倍。事業の利益に式の倍率(約5.8倍)を掛けると約83億円だが、純現金と投資有価証券を持つ会社の評価として低すぎる。売れる資産の税後152億円を下値の目安にして、10.5倍(約151億円)に置いた。稼ぐ力の上限(純利益÷k、約180億円)の内にある。
確率:海外子会社で、また大きな損が出る可能性は過去の記録から否定できない。国内の構造的な縮みと重なる確度は低いが、無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
仮設・型枠
型枠をとめる金物と仮設資材。型枠一本締め工法の製品やレンタルを含む。
| 数量仮設・型枠製品の出荷量(千トン・年、推定) | 価格1 千トンあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 21.5 | 3.00 | 65 | 1 |
| 10 年後 中立 | 17.2 | 4.02 | 69 | 1 |
取り方:2025年12月期の仮設・型枠製品は64億円(前年比 -8.7%)。開示は金額だけで、数量は無い。加工を含む金物の売価を1トン30万円(1千トンで3億円)と置き、年の出荷を約2万1千トンと推定した。物価の分は価格に入れ、数量は実質のトン数。営業利益は製品別の開示が無く、建設関連事業の利益率(5.9%)より低い2%前後と推定。
土木
土砂災害防止・落石対策などの土木製品と、災害復旧向けの商品。
| 数量納入物件数(件・年、推定) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 700 | 0.11 | 74 | 6 |
| 10 年後 中立 | 735 | 0.14 | 104 | 8 |
取り方:2025年12月期の土木製商品は74億円(前年比 +7.2%)。1 件あたり約1千万円(0.1056億円)として年約700件と推定した。開示は無く推定。数量は件数、物価は1件の値段に入れる。営業利益は事業全体の利益率より高い7.5%程度と推定。
構造機材
鉄骨ビルの柱の足元を固める柱脚(セレクトベース)、鉄筋の継手、耐震部材。
| 数量納入物件数(件・年、推定) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,000 | 0.05 | 205 | 13 |
| 10 年後 中立 | 3,680 | 0.07 | 253 | 17 |
取り方:2025年12月期の構造機材製商品は205億円(前年比 +1.6%)で、全社の約3割。1 件あたり約500万円(0.0513億円)として年約4,000件と推定した。開示は無く推定。営業利益は製品別の開示が無く、約6%と推定。
国内建材商品
建築現場向けのボルト・ナット・金物などの仕入れ販売。
| 数量出荷量(千トン・年、推定) | 価格1 千トンあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.0 | 8.68 | 104 | 4 |
| 10 年後 中立 | 10.2 | 12 | 119 | 4 |
取り方:2025年12月期の国内建材商品は104億円(前年比 -5.4%)。仕入れて売る商品で、1トンあたり約87万円(1千トンで8.7億円)として年約1万2千トンと推定。開示は無く推定。営業利益は商社型で薄い3.5%前後と推定。
米国建材(OCM)
米国でコンクリート工事に使う鉄筋の支持材(バーサポート、プラスチックチェア)などを製造・販売。
| 数量出荷点数(百万個・年、推定) | 価格1 百万個あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 270 | 0.68 | 183 | 15 |
| 10 年後 中立 | 392 | 0.91 | 356 | 30 |
取り方:2025年12月期の海外建材は183億円(前年比 +12.2%)で、実質は米国のOCM。為替は150円で固定。鉄筋チェア類の平均単価を1個約0.45ドルと置き、年の出荷を約2億7千万個と推定した。米国の市場規模は調べても出てこなかったため、会社の目標(2032年に売上2億ドル)から逆に置いた。開示は無く推定。営業利益は約8%と推定。
その他(産業機械・海洋資材・自動車向けボルト)
産業機械の特注品、浮き魚礁などの海洋資材、自動車向けボルト・ナットの販売。
| 数量案件・納入件数(件・年、推定) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 0.11 | 67 | 10 |
| 10 年後 中立 | 600 | 0.15 | 89 | 13 |
取り方:2025年12月期のその他の事業は67億円、営業利益10.2億円(利益率15%)。特注品が中心で1件あたり約1,100万円(0.1113億円)として年約600件と推定。開示は無く推定。
リスクと懸念
海外子会社の管理
2023年に米国の電池端子子会社が破産手続きに入り、OCMののれんも減損した。2024年には投資有価証券の評価損と和解金も出た。海外の統治が改まらなければ、米国の成長の果実が損失で消える。会社自身も「海外子会社ガバナンスの改善」を課題に掲げている。
国内の物量減
建築着工の床面積は2002年から約4割減った。鉄筋コンクリート造の着工に連動する仮設・型枠は、2025年に売上が8.7%減った。人手不足で工事の遅れも重なる。国内の売上は金額で守れても、物量では細り続ける。
米国の需要と関税
米国の売上は全体の26%を占め、利益の拡大を担う。インフラ予算には期限があり、関税や為替で利益が振れる。2026年の上期は営業利益が2割減った。下期の関税還付は一過性で、実力ではない。
鋼材と人件費の転嫁
会社は価格に転嫁しきれていない。2026年の上期も、製品構成の変化と販売費の増加で営業利益が2割減った。中東情勢による一部資材の供給難も響いた。物価が3%で続けば、転嫁が遅れた分だけ利益率は削られる。
資本効率が上がらない
自己資本比率は73%で、ROEは5%前後。資本コストを下回る状態が長い。会社は2028年のROE8%を掲げるが、2026年の計画は6%だ。還元を増やしても、稼ぐ力が変わらなければ、価値は増えない。
持ち合い株の縮減が進まない
投資有価証券は98億円で、時価総額の約4分の1。トルクとは互いに株を持つ。縮減が進まなければ、資本の効率は上がらない。一方、評価額の下落は純資産を削る。2024年は33億円の評価損が出た。
今後の分かれ目
- 米国の売上が、会社の目標どおり2032年に2億ドルへ近づいたら
- 成長は本物になる。強気側の確率を上げ、米国の数量の伸びを見直す。
- 海外子会社で、新たな減損や訴訟の費用が出たら
- 統治の改善が口先だけだった証拠になる。慎重側の確率を上げ、資本配分の評価を下げる。
- ROEが2期続けて8%を超えたら
- 資本効率が資本コストを上回る。倍率を上へ見直し、中立の線を上げる。
- 政策保有株の売却が、数字で示されて進んだら
- 資本が働き始める。売却資金が自社株買いに回るなら、ROEの改善が早まる。
- 国土強靱化の予算が、人手不足で消化されずに繰り越されたら
- 土木の伸びは名ばかりになる。国内の数量の見通しを下げる。
見ておくもの
- 米国建材(OCM)の売上と利益率
- 海外子会社の減損・訴訟費用の有無
- ROEと配当性向・自社株買いの実績
- 持ち合い株(投資有価証券)の保有額
- 国内の仮設・型枠と構造機材の売上の増減
- 着工床面積と鋼材価格
倍率と資本コストの決め方
倍率は、資本コスト7.25%(基本7.5%に品質の+0.5%)と長期の成長率4%から、利益ベースの正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)で決めた。10年中立のROEは約6.5%でkを下回り、RONICは約7.3%、正当化PERは約11倍。利益の質は並みなので、上限の約8割にあたる9.0倍に置いた。やや悲観は稼ぐ力から置き、7割へ引き上げていない。今の株価や過去のPER・PBRは使っていない。余った現金は分けていない。純現金は28億円で時価総額の1割未満。投資有価証券98億円は配当が利益に入っているため、価値に二重に足さず、悲観の床だけに税後で使った。純利益÷営業利益は過去5期の中央値(約0.6)に近い0.66で置いた。10年後の数字は、家賃を営業費用に入れた今と同じ形で置いた(新リース会計の影響は工場・倉庫が自社所有中心のため小さい)。2026年2〜6月に実行済みの自社株買い(約15億円)は株数に入っているので、起点の自己資本と10年の還元の両方から外した。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。