結論
大谷工業は、電柱や通信線に取り付ける架線金物と、建築用のスタッドを作る富山の小さなメーカーだ。売上は75億円、純利益は3億円である。
筆者の結論は割高だ。配電網の更新という止まらない需要に支えられ、事業は底堅い。ただ配当性向は1割に届かず、利益が社内に積もるばかりで、資本の稼ぎは年々薄まる。
稼ぎ頭は電力通信部門だ。電力会社の共架柱の更改工事が進み、セグメント利益率は13%台を保つ。新設した富山呉羽工場の償却は重いが、生産の効率化が進めば取り戻せる。
建材部門は再開発の工期の遅れに苦しむ。人手不足と建設費の高騰で、着工が後ろへずれている。
株主の3割近くをホテルのニュー・オータニが握り、株主数も少ない。還元を変えるきっかけは外からは生まれにくい。
10年後の中立の時価総額は40億円台とみる。ただ10年待つ分の資本コストを引くと、今の値段には届かない。電力通信の利益率が15%台に戻り、配当性向が上がれば、見方は変わる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、良い事業と悪い資本の使い方が同居する会社だ。
電柱の金物は地味だが、10年後も確実に要る。電力会社の更新投資は国の制度で裏打ちされ、災害のたびに需要が生まれる。事業が消える心配は小さい。
しかし株主の取り分で見ると話は変わる。利益の9割を配らず、資本コストに届かない稼ぎで再投資している。ためた利益が資本コスト分の稼ぎを生まないなら、自己資本が増えても株主は豊かにならない。
オーナー利益、つまり設備の維持に要る投資を引いた自由な現金は、新工場の期間はさらに細る。新工場が原価を下げ、利益率を1ポイント上げれば見方は変わる。
筆者は、この会社を持ち続けたいとは思わない。事業は信頼できるが、資本の使い方を変える力が少数株主に無いからだ。安全域は、帳簿の厚さではなく、稼ぐ力に払う値段でしか測れない。
何で稼ぐ会社か
創業以来、富山県射水市を地盤にする鉄鋼の二次加工のメーカーだ。事業は電力通信部門と建材部門の2つに分かれる。
電力通信部門は売上の64%を占める。中身は架線金物、鉄塔と屋外の鉄構、鋲螺だ。架線金物とは、電柱に配電線や通信線を取り付けるための腕金やバンドのことをいう。売り先は電力会社と通信会社、その工事会社である。2026年3月期は売上48億円、セグメント利益6.6億円だった。電柱を電力と通信で共用する共架柱の更改工事が計画どおりに進み、出荷は好調だ。光回線の新設は低調だが、支障移転と保守で数量は平らにならされている。
建材部門は売上の36%で、建築用のスタッドと免震ベースプレートを作る。スタッドは鉄骨とコンクリートをつなぐ溶接の鋲で、大型のビルや物流倉庫で使う。売上は27億円、利益は1.5億円だった。再開発の工期がずれ、2期続けて減益である。
2026年3月期には10億円を投じて富山呉羽工場を建て、製造の一部を移した。減価償却費は前期の1.3億円から2.3億円に増え、両部門の利益を押し下げた。従業員は数百人規模の非連結の会社で、子会社は持たない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、電力会社との長い取引と、規格品を確実に納める供給の信頼だ。
架線金物は電力会社ごとに仕様が決まり、品質の認定を受けた会社しか納められない。災害の復旧では、能登半島地震のように急な大量の注文に応える力が問われる。地域の電力会社にとって、近くに工場を持つ納入先は代えにくい。
ただ値決めの主導権は買い手にある。電力の送配電はレベニューキャップ制度で費用を国に査定され、資材の購買は厳しい。競合は日本カタン、永木精機、各地の金物会社と多く、鋼材の値上げを転嫁するのに時間がかかる。
資本効率は弱い。ROE、つまり自己資本に対する純利益の割合は過去10年の中央値で7.6%だ。資本コストの8%に届かない。しかも配当性向が1割に満たず、利益は自己資本に積もる一方だ。分母が膨らむので、ROEは放っておけば下がっていく。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
配電と通信の金物は成熟した市場だ。数量は電柱の本数と、その建て替えと更改の速さで決まる。
国内の電柱は3,600万本ほどあり、高度成長期に立てたものが更新の時期を迎えている。電力会社の送配電は2023年度からレベニューキャップ制度に入り、5年ごとの計画で更新の投資が認められる。データセンターと半導体工場の新増設で、電力需要は久しぶりに増える見込みだ。筆者は、電力向けの数量は10年で少し増えるとみる。
一方で通信は違う。光回線の敷設はほぼ一巡し、新設の投資は細る。残るのは支障移転と保守だ。都市部では無電柱化が進み、架空の配線そのものが長い目では減っていく。
建設の側は、首都圏の再開発、物流倉庫、データセンターの計画が多い。ただ人手不足と建設費の高騰で着工が遅れる状態が常態化している。スタッドの数量は横ばいがせいぜいだ。
鋼材の値段は、中国の過剰生産で物価ほどは上がらない。電力会社の購買も厳しく、製品の単価は物価にやや届かない程度で推移するとみる。
競争の形は、地域ごとの中小の金物会社が電力会社ごとに分かれて納める姿だ。大きな再編は起きておらず、価格で崩れることも少ないが、伸びる余地も小さい。
資本政策と M&A
還元はごく薄い。2026年3月期の配当は年0.23億円で、配当性向は8%前後だ。自社株買いはほとんど無い。利益の9割は社内に残る。
大きな使い道は工場だ。富山呉羽工場に10億円を投じ、短期借入と設備の分割払いで賄った。手元の現金は12億円あるが、借入と設備の未払金を引くと、自由に使える額は数億円にとどまる。
株主の28%をホテル業のニュー・オータニが持つ。取引は無く、同族のつながりだ。株主数が少なく、少数株主が還元を求める声は届きにくい。買収の受け皿としては小さすぎ、再編の動きも見えない。同族による非上場化の可能性はゼロではないが、兆しは無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
配電網の更新は、これから10年が本番だ。高度成長期の電柱が寿命を迎え、電力会社はレベニューキャップ制度で更新の予算を確保している。データセンターと半導体工場の新増設で、配電の増強も要る。数量は減るどころか増える。
能登半島地震の復旧で示したように、急な大量の注文に応えられる工場は貴重だ。電力会社は近くの信頼できる納入先を手放さない。
新工場は未来への投資だ。製造を集め、自動化を進めれば、償却の重さを上回る原価の低下が出る。電力通信部門の利益率は2025年3月期に15.7%あった。そこへ戻れば、全社の営業利益は今の1.5倍になる。
建材も再開発の本格化を待つだけだ。首都圏の大型案件は止まったわけではなく、延びただけである。工期が動き出せば、スタッドの数量は戻る。物流倉庫とデータセンターは鉄骨の建物で、スタッドを多く使う。
財務も堅い。純現金で借金の心配は無く、新工場の支払いが終われば現金は再び積み上がる。配当を増やす余地は十分にある。
慎重な見方
事業は底堅くても、株主には届かない。配当性向は1割に満たず、自社株買いも無い。利益は自己資本に積もり、ROEは年々下がる。資本コストに届かない稼ぎで再投資を続ける会社に、帳簿どおりの値段は付かない。
値決めの力も弱い。電力会社は送配電の費用を国に査定され、資材の購買を絞る。競合は多く、鋼材の値上げの転嫁は遅れる。
通信の架空線は長い目で減る。光回線の敷設は一巡し、都市部では無電柱化が進む。電柱1本あたりの金物の数も減っていく。
新工場の10億円は、売上の1割強にあたる。償却費は倍近くに増え、2027年3月期の第1四半期は経常利益が3割減った。建材は2期続けて減益で、建設の人手不足は一時的な問題ではない。ニュー・オータニを含む同族の支配で、資本の使い方が変わる見込みも薄い。
小さな会社の弱さもある。売上75億円の会社にとって、全社費は4億円近くあり、物価とともに膨らむ。売上が伸びなければ、利益率は年々削られる。
どちらに重みを置いたか
強いのは慎重な見方だ。電柱の金物の需要は底堅いが、利益を配らずにため込む資本の使い方が、株主の取り分を薄めている。値決めも電力会社に握られている。
それでも配電網の更新は国の制度に裏打ちされ、事業が消える筋書きは小さい。中立を厚くし、上下はほぼ対称に分けた。悲観は1割にとどめた。配当方針が変わるか、新工場で利益率が戻れば、見方を改める。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 6,473 円50 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 426 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 3,362 円26 億円、今との差 −23.6%、 期待の年率 +4.6%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 14,376 円112 億円 | 719 円6 億円 | +243.1% | +13.1% | 1,057 円8 億円 |
| やや楽観 | 20% | 10,269 円80 億円 | 590 円5 億円 | +146.8% | +9.5% | 2,172 円17 億円 |
| 中立 | 43% | 6,919 円54 億円 | 462 円4 億円 | +67.7% | +5.3% | 3,174 円25 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,988 円15 億円 | 244 円2 億円 | −49.3% | −6.6% | 446 円3 億円 |
| 悲観 | 10% | 398 円3 億円 | 103 円1 億円 | −88.6% | −19.5% | 50 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 6,473 円50 億円 | 426 円3 億円 | +56.8% | +4.6% | 6,899 円54 億円 |
今の株価時価総額 4,400 円34 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 配電網の更新が本格化し、新工場が効く 利益 8 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 14,376 円112 億円
データセンターと半導体工場の新増設で、電力会社は配電の増強と電柱の更新を急ぐ。電力通信部門の数量は1.2倍になる。新工場の自動化で原価が下がり、利益率は16%と、2025年3月期の15.7%をわずかに超える。
建材は首都圏の再開発が一斉に動き、数量は1.2倍に戻る。単価は物価並みに上がる。
全社費は物価で5.1億円に増えるが、売上の伸びが吸収する。営業利益は11億円、純利益は8億円台になる。
配当は増えるが性向は1割のままで、10年の還元は6億円弱。自己資本は95億円近くに膨らみ、ROEはようやく資本コストを少し上回る。
- 電力通信部門(架線金物・鉄塔・鉄構):数量 7,300(出荷重量(トン))× 価格 111(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 81 億円・営業利益 13 億円。営業利益率 16.0%
- 建材部門(スタッド・免震ベースプレート):数量 5,350(出荷重量(トン))× 価格 81(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 7.5%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.5 倍。全体の PER 13.49 倍、時価総額 112 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電力の更新投資の加速、新工場による原価の低下、再開発の本格化の3つが揃う必要がある。小さな会社で確度は低く、1割未満とした。
やや楽観 20% 電力の更新が続き、利益率が戻る 利益 6 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 10,269 円80 億円
電力会社の更新投資はレベニューキャップの第2期でも続く。電力通信部門の数量は1.14倍、単価は物価をわずかに上回る1.36倍だ。新工場の効果が出て、利益率は14.5%に戻る。
建材は工期の遅れがほどけ、数量は1.1倍になる。利益率は6.5%と、過去の水準に戻る。
全社費は物価で5.2億円に膨らむ。営業利益は8億円強、純利益は6億円だ。
配当性向は1割のままで、10年の還元は5億円弱。自己資本は85億円に増え、ROEは7%台にとどまる。資本コストにはわずかに届かない。事業は良くなっても、配らない利益が株主の取り分を薄める構図は変わらない。
- 電力通信部門(架線金物・鉄塔・鉄構):数量 6,900(出荷重量(トン))× 価格 109(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 75 億円・営業利益 11 億円。営業利益率 14.5%
- 建材部門(スタッド・免震ベースプレート):数量 4,900(出荷重量(トン))× 価格 80(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 39 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 6.5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 80 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:共架柱の更改は計画どおり進み、2025年3月期の電力通信の利益率15.7%は実績がある。建材の回復は遅れても、電力側で補える。
中立 43% 電力は底堅く、利益は物価並みに伸びる 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 6,919 円54 億円
電柱の更新は続くが、通信の新設は細る。電力通信部門の数量は1.05倍、単価は物価並みの1.34倍だ。新工場の償却は取得時の値段のまま年1億円前後で残り、利益率は13%と今に近い。
建材は人手不足で着工が伸びず、数量は横ばい。単価は鋼材の値上げを転嫁しきれず1.3倍にとどまる。利益率は5.5%だ。
全社費は物価で5.2億円に増える。営業利益は5.6億円、純利益は4.2億円になる。
配当性向は1割で、10年の還元は3.6億円。自己資本は76億円に膨らみ、ROEは5.5%に下がる。利益をため込むほど、資本の稼ぎは薄まる。
- 電力通信部門(架線金物・鉄塔・鉄構):数量 6,360(出荷重量(トン))× 価格 107(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 68 億円・営業利益 9 億円。営業利益率 13.0%
- 建材部門(スタッド・免震ベースプレート):数量 4,460(出荷重量(トン))× 価格 78(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。営業利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.5% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 54 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電力の更新投資と通信の細りが相殺し、建材は横ばい。過去10年の稼ぎの水準が名目で続く、もっとも自然な姿。
やや悲観 20% 通信が細り、電力会社が購買を絞る 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 1,988 円15 億円
通信の架空線は保守だけになり、電力会社も更新を先送りする。電力通信部門の数量は0.9倍、単価は1.26倍にとどまる。新工場の償却が重く、利益率は10%に下がる。
建材は着工の遅れが続き、数量は0.85倍。利益率は3%だ。
全社費5.2億円を引くと、営業利益は1億円そこそこ、純利益は0.8億円になる。
配当は据え置きで、10年の還元は2億円弱。稼ぐ力で測る価値は10億円台にとどまる。工場の土地と現金は残るが、使い方を決めるのは同族の経営だ。自己資本は60億円を超えても、そこから生まれる利益は1億円に届かない。帳簿の厚さが、そのまま価値の厚さにはならない筋書きだ。
- 電力通信部門(架線金物・鉄塔・鉄構):数量 5,450(出荷重量(トン))× 価格 101(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 55 億円・営業利益 6 億円。営業利益率 10.0%
- 建材部門(スタッド・免震ベースプレート):数量 3,800(出荷重量(トン))× 価格 72(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。営業利益率 3.0%
倍率:稼ぐ力(純利益0.84億円÷k 7.75%)は約10.5億円で、売れる資産の床(約5.9億円)より大きい。その額を今の自己資本44億円に対する0.248倍で置いた。
確率:光の新設の一巡と無電柱化は現に進み、電力会社の費用の査定も厳しい。新工場の償却が重なれば、利益はほとんど残らない。
悲観 10% 架空線が減り、赤字が続く 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 398 円3 億円
都市部で無電柱化が進み、樹脂や海外の安い金物に置き換わる。電力通信部門の数量は0.75倍に縮み、単価は1.18倍しか上がらない。利益率は6%に落ちる。
建材は人手不足で大型案件が減り、数量は0.7倍。利益は出ない。
全社費を賄えず、営業損失は2億円を超える。配当は止まり、10年の還元は1億円に届かない。
新工場の償却と借入の利息が残り、手元の現金は細る。残るのは工場の土地と投資有価証券だが、売るかどうかは経営が決める。電力会社の保守の需要だけが細く続き、会社は小さく生き残る。少数株主の手に届く価値は、わずかな額にとどまる。
- 電力通信部門(架線金物・鉄塔・鉄構):数量 4,550(出荷重量(トン))× 価格 94(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。営業利益率 6.0%
- 建材部門(スタッド・免震ベースプレート):数量 3,100(出荷重量(トン))× 価格 66(1トンあたりの単価(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。営業利益率 0.0%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。売れる資産の税後に戻り方0.5を掛けた床(約2.9億円)の近くで、今の自己資本の0.07倍に置いた。
確率:無電柱化、樹脂製品や海外品への置き換え、電力会社の購買の締め付けが重なる構造的な負け。電柱の保守の需要が残るので1割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
電力通信部門(架線金物・鉄塔・鉄構)
電柱に配電線・通信線を取り付ける架線金物、鉄塔と屋外鉄構、鋲螺。電力会社・通信会社と工事会社に売る。
| 数量出荷重量(トン) | 価格1トンあたりの単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6,060 | 80 | 48 | 7 |
| 10 年後 中立 | 6,360 | 107 | 68 | 9 |
取り方:2026年3月期の電力通信部門の売上48.48億円・セグメント利益6.57億円(短信)。重量の開示は無く、溶融亜鉛めっきの鋼製金物の加工品として1トン80万円と置いて約6,060トンと推定。
建材部門(スタッド・免震ベースプレート)
鉄骨とコンクリートをつなぐ建築用スタッド、免震ベースプレートの製造・販売・施工。ゼネコン・鉄骨加工会社に売る。
| 数量出荷重量(トン) | 価格1トンあたりの単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,462 | 60 | 27 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4,460 | 78 | 35 | 2 |
取り方:2026年3月期の建材部門の売上26.77億円・セグメント利益1.47億円(短信)。重量の開示は無く、スタッドと施工込みの平均で1トン60万円と置いて約4,460トンと推定。
リスクと懸念
還元の薄さと同族の支配
配当性向は1割に満たず、自社株買いも無い。ニュー・オータニが28%を持ち、株主数も少ない。利益が社内に積もるほどROEは下がり、少数株主の取り分は薄まる。
電力会社の購買
主な売り先の電力会社は、送配電の費用をレベニューキャップ制度で国に査定される。資材の値下げ要求は強く、鋼材の値上げの転嫁は遅れがちだ。
通信の架空線の縮小
光回線の新設は一巡し、都市部では無電柱化が進む。電柱にかける通信線と金物は、長い目で見て減っていく。
新工場の償却
富山呉羽工場に10億円を投じ、償却費は年1億円ほど増えた。生産の効率化が進まなければ、償却だけが利益を削る。
建設の人手不足
スタッドは大型ビルと物流倉庫の工期に左右される。人手不足と建設費の高騰で着工が遅れ、建材部門は2期続けて減益だ。
今後の分かれ目
- 電力通信部門の利益率が15%台に戻ったら
- 新工場の効果が出たとみて、やや楽観の確率を厚くする。
- 配当性向を3割以上に上げる方針を出したら
- ためた利益が株主に戻るとみて、中立の倍率を上限に近づける。
- 電力会社のレベニューキャップ第2期で更新投資が増えたら
- 電力向けの数量を上げる。
- 建材部門が赤字に転じたら
- やや悲観の確率を厚くする。
- ニュー・オータニや同族による買収・非上場化の動きが出たら
- その条件で価値を見直す。
見ておくもの
- 電力通信部門のセグメント利益率
- 建材部門の売上と工期
- 配当性向と自社株買い
- 電力会社の配電投資の計画
- 富山呉羽工場の稼働と償却費
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ずに、2つの部門の重量と単価、全社費から10年後の利益を積んだ。中立〜やや楽観のROEは資本コスト7.75%を下回るため、PERは1÷k(12.5倍)を上限に利益の質で8〜8.5割に置いた。楽観だけROEがkを少し超え、正当化PERの約85%。悲観側は稼ぐ力と、土地と有価証券に戻り方0.5を掛けた床で置いた。過去のPBRや今の値付けには寄せていない。償却は物価で増やさず、新工場の分を取得時の値段で残した。リースは小さく、新リース会計基準の影響は軽い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→13.49 倍・やや楽観 PER 10.6→12.9 倍・中立 PER 10→12.9 倍・やや悲観 PBR 0.24→0.248 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。