結論
ケー・エフ・シーは、あと施工アンカーとトンネル資材、補修工事を手がける建設資材の会社だ。1965年に日本で初めてあと施工アンカーの専門会社として創業した。売上は255億円。
筆者の結論は「適正」だ。厚い資産が下値を支えるが、利益率が戻らなければ、今の値段は妥当と見る。時価総額は113億円で、自己資本221億円の半分。純現金は41億円ある。
利益の質は落ちた。営業利益率は2016〜2021年に11〜12%あったが、直近は4.2%まで下がった。鋼材と労務費の上昇を価格に移せず、価格競争も続く。会社の計画も2期続けて外した。
それでも補修と耐震の需要は堅い。老朽化したトンネルや橋は、これから補修が増える。官公庁の工事が完成工事高の7割を占め、景気に左右されにくい。
気になるのは、資本の使い方だ。純現金と上場株式27億円を抱えながら、ROEは5%に届かない。配当性向は4〜5割と悪くないが、貯めた資産は働いていない。筆者は、利益率が6%に戻るかどうかを見ている。
10年の姿は、補修の数量が堅く、価格は物価に遅れて追いつく、というものだ。営業利益は20億円手前まで増えるが、物価が3%で上がる世界では、実質の伸びは小さい。派手な成長を期待する株ではなく、厚い資産を安く買い、待つ間に配当を受け取る株と筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で最初に問うのは、「10年後もこの事業はあり、今より強いか」だ。補修と耐震の需要は、老朽インフラで長く続く。事業は存続する。ただ、強くなるかは、価格競争に勝てるかにかかる。
次に資本の使い方を見る。自己資本は222億円、純現金は41億円、上場株式は27億円、土地は37億円。利益を生まない資産が厚く、ROEは4〜5%にとどまる。配当性向は4割台と悪くないが、貯めた資産が働いていない。
経営は堅実だが、積極的に資本を減らす動きはない。持ち合いも続けている。
安全域は厚い。時価総額113億円は自己資本の半分。純現金と政策保有株、土地だけで、時価総額の過半になる。10年の利益が6%の利益率にも届かなくても、下値は固い。筆者は、この厚みを評価する。ただ、見かけの安さに頼らず、利益率の戻りを見て判断したい。この会社が資本を増やす腕を見せるのは、売上の拡大でなく、厚い資産の使い方を変えた時だと考える。
何で稼ぐ会社か
建設資材の販売と、それを使った施工まで手がける会社だ。2026年3月期の売上は255億円で、商品売上が100億円、完成工事高が156億円だった。
報告セグメントは3つある。ファスナーは売上の約3割。あと施工アンカーの販売と、耐震補強工事を担う。せん断補強RMA工法などの独自の工法を持ち、経常利益は5.7億円だ。
土木資材は約3割。トンネル掘削に使うロックボルトや補助工法資材、防水シートを売る。中国の唐山日翔建材が支保材を作る。経常利益は1.9億円と、前期より半減した。
建設は約4割で、子会社のアールシーアイが担う。トンネルの内装、リニューアル、コンクリート構造物の補修だ。官公庁発注が完成工事高の約7割を占め、高速道路会社が主な発注者になる。経常利益は4.1億円だ。
売上の1割を超える単独の取引先はない。仕入れの主な原材料は鋼材と石油製品。売上に占める官公庁工事の割合が高く、受注は年度末に集中する。耐震補強では、既存の建物の柱や梁にせん断補強を施す工法を持ち、設計から施工まで受ける。トンネルでは、掘削の補助工法の資材を売るだけでなく、完成後の内装や補修の工事も請け負う。資材の販売と施工を両方持つため、工事の発注者と資材の需要の両方に近い。従業員は338人で、本店は大阪市、東京本社を構え、流通センターと技術研究所を大阪府富田林市と埼玉県加須市に置く。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、あと施工アンカーの専門性と、官公庁の補修工事の実績にある。創業から60年の知見があり、耐震補強や補修の工法を自社で持つ。トンネル資材から内装工事まで、一貫して扱えるのは強みだ。
官公庁の工事は受注が安定しており、売上の1割を超える取引先がないので、顧客の偏りも小さい。財務は堅く、自己資本比率は74%、純現金は41億円だ。
一方で、値段を決める力は弱い。競合の名前は開示にないが、近年の価格競争の激化は有価証券報告書が認める。2022年に9.6%だった営業利益率は、4年で4.2%まで下がった。材料と労務費の上昇を転嫁しきれていない。
資本の使い方にも課題がある。自己資本は222億円で、ROEは4〜5%。政策保有株27億円、土地37億円、現金50億円と、利益を生みにくい資産が厚い。配当性向は45.8%と悪くないが、貯めた資産は働いていない。
経営は堅実だが、効率への圧力が弱い。大株主に事業会社と銀行が並ぶ安定した株主構成は、経営の安定には役立つ。一方、少数株主の側から資本効率の改善を迫る声が経営に届きにくい面もある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要は、設備の据え付けと改修、耐震、土木の補修に結びつく。あと施工アンカーの国内市場は、業界団体の調査で2024年に465億円ほど。サンコーテクノが約4割を握り、残りを外資、国内の工具メーカー、専業が分け合う。ケー・エフ・シーはその一角を占める。
建築の新設は人口の減少で細る。しかし、インフラの老朽化は追い風だ。国土交通省によれば、建設後50年を超える橋は2023年の37%から2040年に75%へ増える。トンネルも同じで、補修では、アンカーと内装工事の需要が長く続く。
ただ、国の予算は限られる。人手不足で、工事が予定どおり進まない面もある。官公庁の発注は、年度末に完工が集中する。
新設トンネルは減っている。土木資材の売上は前期に7.5%減り、経常利益は半減した。
価格は市場全体が値上げ基調だが、鋼材は中国の過剰生産で上がりにくい。競争は続き、10年の価格は物価並みに上がる前提を置く。ただ、官公庁の工事単価は転嫁が遅れる。ゼネコンやサブコンへの販売では、価格改定が通りやすい分野と、競争入札で下がる分野に分かれる。10年では、補修の数量が残り、価格が物価に追いつくかが分かれ目だ。為替は150円で固定し、輸入資材の原価は動かさない前提で置く。
資本政策と M&A
配当は2026年3月期が配当性向45.8%、2027年3月期は増配を予想する。会社の目標は性向40%で、実績は目標を上回る。配当総額は5億円弱、現在の株価に対する利回りは4%台半ばだ。
2026年3月期の純利益10.4億円は、投資有価証券の売却益と受取保険金に支えられた。売却したのはデンカ株の4億円。ここで得た資金で、那須電機鉄工の株式を買い増した。那須電機鉄工は大株主で14.3%を持ち、ケー・エフ・シーも同社株を12億円分持つ。株式の持ち合いだ。積水樹脂とも資本業務提携で持ち合う。
上場の政策保有株は13銘柄で27億円。時価総額の4分の1にあたる。会社は提携のための保有と説明するが、売却して資本を効率化する方針は示していない。
大株主は那須電機鉄工、積水樹脂、三菱UFJ銀行。3者で3割近くを持ち、安定している。買われる可能性は低いが、提携先が動く余地はある。TOBの公表は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
時価総額113億円に対し、純現金41億円、上場株式27億円、土地37億円。事業を無料で手に入れているようなものだ。PBRは0.5倍で、清算しても大きく割れない。
利益率は一時的に落ちているにすぎない。2016〜2021年は11〜12%あった。鋼材と労務費の上昇に価格が追いつかなかっただけで、転嫁が進めば戻る。2027年3月期は営業利益15億円と、すでに4割増える計画だ。4〜6月期の経常利益は前年同期比2.2倍の6.2億円と、出足は強い。
需要は構造的だ。老朽インフラの補修は、あと数十年続く。官公庁が売上の7割を占め、景気に左右されにくい。
配当は性向4割以上で、利回りは4%台半ば。待つ間の報酬もある。官公庁の工事は一度受ければ完成まで手堅く、貸倒れの心配も小さい。純現金が厚く、資本政策が変われば、株主還元の余地は大きい。株主還元を強める素地は十分にある。さらに、持ち合いの政策保有株27億円を売れば、自社株買いの原資になる。経営がその気になれば、1株の価値はすぐに変わる。
慎重な見方
利益率は4年連続で下がった。2022年の9.6%から4.2%へ。鋼材と労務費の上昇を転嫁できず、価格競争が収まらない。会社の計画も2期続けて外した。回復の期待は、もう一度外れるかもしれない。
2026年3月期の純利益は、投資有価証券の売却益と受取保険金に支えられた。本業の稼ぎは営業利益10.8億円で、減益だった。土木資材は新設トンネルの減少で、経常利益が半分になった。
資産は厚いが、働いていない。ROEは5%に届かず、資本コストを下回る。政策保有株の持ち合いは続き、売って効率を高める方針もない。ためた利益は、額面ほどの価値を持たない。
官公庁の発注は、財政に左右される。人口減少の国では、公共投資の拡大は難しい。中国の資材が入れば、価格の天井はさらに低い。人手不足で工事が進まない面もあり、補修需要が数量に直結するとは限らない。
10年後に今の利益率が戻らなければ、4%台の利益率が定着する。そうなれば資産の厚さは、結局は評価されない可能性もある。PBR0.5倍という低さは、そうした資本効率の悪さを市場が見ている結果とも言える。PBR0.5倍は、この低い資本効率を織り込んだ値段にすぎない。
どちらに重みを置いたか
筆者は強気と慎重が拮抗すると判断した。補修需要は構造的で、純現金と政策保有株が下値を支える。ただ、利益率の回復は期待ほど進まないとみて、中立の営業利益率は6%に届かない水準に置いた。
確率は、やや悲観と悲観を合わせて3割台半ばに置いた。強気は合わせて3割弱、中立に4割弱を置いた。資本の使い方への不安は、倍率を式の上限の7割にとどめることで重く見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,440 円180 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 816 円60 億円)。 今の値に割り戻すと 1,752 円129 億円、今との差 +13.6%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,671 円344 億円 | 1,427 円105 億円 | +295.2% | +14.7% | 488 円36 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,504 円258 億円 | 1,114 円82 億円 | +199.3% | +11.6% | 924 円68 億円 |
| 中立 | 38% | 2,689 円198 億円 | 856 円63 億円 | +129.8% | +8.7% | 1,347 円99 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,056 円78 億円 | 516 円38 億円 | +1.9% | +0.2% | 377 円28 億円 |
| 悲観 | 10% | 904 円67 億円 | 299 円22 億円 | −22.1% | −2.5% | 120 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,440 円180 億円 | 816 円60 億円 | +111.0% | +7.8% | 3,256 円240 億円 |
今の株価時価総額 1,543 円114 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 老朽インフラの補修が膨らみ、利益率が昔に戻る 利益 24 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 4,671 円344 億円
国の維持管理予算が増え、高速道路会社のトンネル・橋の補修が膨らむ。人手不足も、工法の省力化で乗り切る。会社が掲げるDXと人的資本の投資が実を結び、現場の生産性が上がる。建設の施工量は25%増え、耐震補強も続く。あと施工アンカーは市場が補修・耐震で伸び、ファスナーの数量は25%増える。
価格は物価並みの1.34倍まで通る。鋼材の高騰を転嫁し、価格競争が収まる。耐震と補修で独自の工法を持つ強みが、値引きを抑える。
営業利益は33億円と、過去12年の山(約30億円)に並ぶ。利益率は8%台に乗る。純利益は23億円を超える。
配当は方針どおり利益の4〜5割を払い、自己資本は290億円まで増える。それでも自己資本が厚いので、ROEは8%台にとどまる。
- ファスナー(あと施工アンカー・耐震工事):数量 4,350(アンカー等の出荷数量相当(万個))× 価格 0.03(1個相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 131 億円・営業利益 14 億円。3,480万個相当が25%増え、1個あたり1.34倍。営業利益率10.5%(2016〜2021年の水準に近い)
- 土木資材(トンネル掘削資材・防水シート):数量 6,800(資材の出荷数量相当(万本))× 価格 0.01(1本相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 91 億円・営業利益 6 億円。6,800万本相当で横ばい、1本あたり1.34倍。営業利益率7%
- 建設(トンネル内装・リニューアル・コンクリート補修):数量 137(施工量(実質、今の値段で換算した億円))× 価格 1.34(工事単価の指数(今を1))→ 売上 183 億円・営業利益 13 億円。施工量が25%増え、工事単価は1.34倍。営業利益率7%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 14.16 倍、時価総額 344 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強気は、インフラ補修の需要増と、値上げの定着が重なって、2016〜2021年の水準に近づく筋書き。直近4期は利益率が下がり続けており、会社の計画も未達だったので1割弱にとどめた。
やや楽観 20% 補修需要が堅調で、利益率が7%台へ戻る 利益 19 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 3,504 円258 億円
建設の施工量は18%増える。官公庁のリニューアルが途切れず、トンネル内装と補修の受注が積み上がる。ファスナーの数量は1割強増え、価格は1.32倍。
土木資材は新設トンネルの減少で数量が微減し、利益率は5.5%に戻る。唐山日翔建材の支保材も、品質で差をつけて価格を保つ。
営業利益は26億円。直近の2.4倍だが、過去の山の8割ほどだ。純利益は18億円台で、配当も増える。値上げの定着には数年かかるが、会社の計画(2031年に経常利益21億円)には届く水準だ。
ROEは6%前後。資本コストにはなお届かないが、純現金と政策保有株が下値を支える。
- ファスナー(あと施工アンカー・耐震工事):数量 3,900(アンカー等の出荷数量相当(万個))× 価格 0.03(1個相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 116 億円・営業利益 11 億円。3,480万個相当が12%増え、1個あたり1.32倍。営業利益率9.5%
- 土木資材(トンネル掘削資材・防水シート):数量 6,528(資材の出荷数量相当(万本))× 価格 0.01(1本相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 85 億円・営業利益 5 億円。6,800万本相当が4%減り、1本あたり1.30倍。営業利益率5.5%
- 建設(トンネル内装・リニューアル・コンクリート補修):数量 129(施工量(実質、今の値段で換算した億円))× 価格 1.33(工事単価の指数(今を1))→ 売上 171 億円・営業利益 10 億円。施工量が18%増え、工事単価は1.33倍。営業利益率6%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 258 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:補修と耐震は数量が堅い。2023年以降の利益率の低下が、価格転嫁の遅れで説明できるなら、戻る余地がある。2割を置いた。
中立 38% 補修は堅いが、価格競争で利益率は6%に届かない 利益 14 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 2,689 円198 億円
建設は老朽インフラの補修が底堅く、施工量が1割増える。工事単価は物価並みに近い1.32倍。官公庁の発注なので、値上げは遅れて通る。
ファスナーは数量が横ばいで、価格は1.30倍。鋼材と労務費の上昇を転嫁するが、価格競争が利益率を押さえる。
土木資材は新設トンネルの減少で数量が8%減る。中国の唐山日翔建材の支保材が、価格の天井を作る。
全体の営業利益は19〜20億円、利益率は6%を割る。会社の中計(2031年に経常21億円)には届く水準だが、物価の分を引くと実質は今の1.4倍にとどまる。
設備は小さく、償却は軽い。設備投資も年2億円と少なく、物価で利益が膨らんでも、現金が細ることは少ない。
- ファスナー(あと施工アンカー・耐震工事):数量 3,480(アンカー等の出荷数量相当(万個))× 価格 0.03(1個相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 102 億円・営業利益 8 億円。数量は横ばい、1個あたり1.30倍。営業利益率8%
- 土木資材(トンネル掘削資材・防水シート):数量 6,256(資材の出荷数量相当(万本))× 価格 0.01(1本相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 80 億円・営業利益 4 億円。6,800万本相当が8%減り、1本あたり1.28倍。営業利益率4.5%
- 建設(トンネル内装・リニューアル・コンクリート補修):数量 120(施工量(実質、今の値段で換算した億円))× 価格 1.32(工事単価の指数(今を1))→ 売上 159 億円・営業利益 8 億円。施工量が1割増え、工事単価は1.32倍。営業利益率5%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.5% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 198 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率は2022年の9.6%から4.2%まで下がり、2026年3月期の計画も外した。価格競争がすぐには収まらない前提で、中立に4割弱を置いた。
やや悲観 24% 公共投資の頭打ちと価格競争で利益が細る 利益 8 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 1,056 円78 億円
公共投資が横ばいにとどまり、建設の施工量は5%減る。価格競争で工事単価は1.25倍にとどまる。ファスナーも数量が8%減り、鋼材の上昇を転嫁しきれない。
土木資材はトンネルの新設が細り、数量が2割弱減る。利益率は2.5%まで落ちる。
営業利益は11億円と、直近とほぼ同じ。物価が1.34倍になる中での横ばいなので、実質は3割目減りする。
配当は守るが増配はない。自己資本が厚いので、ROEは3%にとどまる。会社は人員を絞り、工事の選別受注に動く。政策保有株は一部売って現金に替えるが、持ち合いの関係もあり全面的には動けない。
- ファスナー(あと施工アンカー・耐震工事):数量 3,202(アンカー等の出荷数量相当(万個))× 価格 0.03(1個相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 90 億円・営業利益 5 億円。3,480万個相当が8%減り、1個あたり1.25倍。営業利益率6%
- 土木資材(トンネル掘削資材・防水シート):数量 5,576(資材の出荷数量相当(万本))× 価格 0.01(1本相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 67 億円・営業利益 2 億円。6,800万本相当が18%減り、1本あたり1.20倍。営業利益率2.5%
- 建設(トンネル内装・リニューアル・コンクリート補修):数量 104(施工量(実質、今の値段で換算した億円))× 価格 1.25(工事単価の指数(今を1))→ 売上 130 億円・営業利益 4 億円。施工量が5%減り、工事単価は1.25倍。営業利益率3%
倍率:ROE約3%は資本コスト7.5%に大きく届かない。RONICは約5.5%、g 3%で正当化PERは約9倍、上限は1÷k=12.5倍。稼ぐ力が弱いので上限の約5.5割に置いた。余った現金は今の額の0.75倍。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 7 倍・時価総額 69 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:直近4期は利益率が下がり続けた。官公庁の発注は財政に左右され、価格競争が続く。この姿が10年続く可能性は高く、2割台半ばを置いた。
悲観 10% 公共工事の縮小と値崩れで赤字になる 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 904 円67 億円
財政の悪化で官公庁の補修予算が削られ、建設の施工量が2割減る。中国製の資材が国内に入り、アンカーも土木資材も値崩れが続く。
営業利益は赤字に近づき、土木資材は赤字になる。配当は大きく削られる。
会社は在庫と工事を絞り、政策保有株と土地を売って現金を厚くする。事業は小さくなって生き残る。ただ、補修需要が消えるわけではなく、会社は存続する。人員の削減で、技術の継承にも課題が残る。
少数株主に残る価値は、純現金と売れる資産、つまり現金、政策保有株、土地で決まる。事業そのものの稼ぐ力はほとんど評価されない。
- ファスナー(あと施工アンカー・耐震工事):数量 2,610(アンカー等の出荷数量相当(万個))× 価格 0.03(1個相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 66 億円・営業利益 1 億円。3,480万個相当が25%減り、1個あたり1.12倍。営業利益率2%
- 土木資材(トンネル掘削資材・防水シート):数量 4,080(資材の出荷数量相当(万本))× 価格 0.01(1本相当あたりの売上(万円、物価込みの名目))→ 売上 45 億円・営業利益 −1 億円。6,800万本相当が4割減り、1本あたり1.10倍。営業利益率-3%
- 建設(トンネル内装・リニューアル・コンクリート補修):数量 87.4(施工量(実質、今の値段で換算した億円))× 価格 1.15(工事単価の指数(今を1))→ 売上 101 億円・営業利益 0 億円。施工量が2割減り、工事単価は1.15倍。営業利益率0%
倍率:赤字に近く稼ぐ力はほぼゼロ。売れる資産の税後約65億円(床の欄)に合わせ、今の自己資本221.6億円に0.30倍を掛けた。EV÷営業利益は意味をなさない。
確率:人口減少による公共工事の縮小、中国の資材の流入、価格競争の激化が重なる筋書き。高速道路会社など発注者が限られ、1割を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ファスナー(あと施工アンカー・耐震工事)
あと施工アンカーの販売と、耐震補強工事(せん断補強RMA工法など)。設備の据え付け、改修、耐震、土木の補修に使う。
| 数量アンカー等の出荷数量相当(万個) | 価格1個相当あたりの売上(万円、物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,480 | 0.02 | 78 | 5 |
| 10 年後 中立 | 3,480 | 0.03 | 102 | 8 |
取り方:2026/03期のファスナーの売上は81.5億円(内部売上を含む)、経常利益5.71億円(開示)。連結の外部売上255.5億円に合わせて売上を0.96倍した78.3億円とし、営業利益は連結の営業利益10.8億円に合わせて経常利益から配分した5.2億円の推定。あと施工アンカー市場は業界団体調査で2024年に465億円(24社)で、数量(個数)の開示はなく、3,480万個相当×1個あたり0.0225万円で置いた。
土木資材(トンネル掘削資材・防水シート)
ロックボルト、補助工法資材、防水シートなどトンネル掘削の資材の販売。中国の唐山日翔建材(非連結)が支保材を製造・販売する。
| 数量資材の出荷数量相当(万本) | 価格1本相当あたりの売上(万円、物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6,800 | 0.01 | 68 | 2 |
| 10 年後 中立 | 6,256 | 0.01 | 80 | 4 |
取り方:2026/03期の土木資材の売上は70.8億円(前期比-7.5%、内部売上を含む)、経常利益1.94億円(同-50.9%)。外部売上に合わせ0.96倍した68.0億円。営業利益は連結に合わせ配分した1.8億円の推定。本数の開示はなく、6,800万本相当×1本あたり0.01万円で置いた。
建設(トンネル内装・リニューアル・コンクリート補修)
子会社アールシーアイが担う、トンネル内装、リニューアル、コンクリート構造物の補修などの工事。官公庁発注が完成工事高の約7割。
| 数量施工量(実質、今の値段で換算した億円) | 価格工事単価の指数(今を1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 109 | 1.00 | 109 | 4 |
| 10 年後 中立 | 120 | 1.32 | 159 | 8 |
取り方:2026/03期の建設の売上は113.7億円(前期比+0.5%、内部売上を含む)、経常利益4.08億円(同+13.7%)。外部売上に合わせ0.96倍した109.2億円。営業利益は連結に合わせた3.8億円の推定。工事は件数・規模がまちまちで開示もなく、実質の施工量と工事単価の指数で置く。
リスクと懸念
価格競争と転嫁の遅れ
近年の価格競争の激化は有価証券報告書が認める。鋼材・石油製品・労務費の上昇を価格に移せなければ、利益率はさらに落ちる。官公庁の工事単価は改定が遅れる。
公共投資への依存
完成工事高の約7割が官公庁の発注。財政の悪化や予算の削減が、建設セグメントの受注を直接減らす。年度末に完工が集中し、四半期の利益は大きく振れる。
新設トンネルの減少
土木資材はトンネル掘削資材が柱で、前期は売上が7.5%、経常利益が半分に減った。新設が減れば、数量の回復は望みにくい。中国製の支保材は価格の天井になる。
資本効率の低さ
ROEは4〜5%で資本コストを下回る。純現金41億円、政策保有株27億円、土地37億円の活用方針が示されない限り、貯めた資産は評価されにくい。
政策保有株と持ち合い
那須電機鉄工と積水樹脂との持ち合いが続く。株価の下落は評価損や自己資本に響く。持ち合いの解消が進まず、提携先の関係が変わる可能性もある。
施工の品質と労災
建設と補修の工事では、品質不良や労災が信用を傷つけ、官公庁の指名停止につながる。人手不足で、工事の人材の確保も課題になる。
今後の分かれ目
- 営業利益率が2年続けて6%を超える
- 価格転嫁が進んでいる証拠だ。中立から強気の側へ確率を寄せる。
- 政策保有株の売却と自社株買い、または大きな増配が同時に決まる
- 資本効率の改善を示す。余った現金の戻り方を0.75から1.0に上げてよい。
- 官公庁の補修予算が削られる、または大手の発注者の方針が変わる
- 建設の受注が減る。やや悲観の確率を上げる。
- 那須電機鉄工や積水樹脂がTOBや追加の取得を公表する
- 買われる側の可能性が現実になる。価格は筋書きと別に見る。
- 土木資材の経常利益が赤字になる
- トンネル資材の縮小が進んでいる。土木資材の数量を下げ、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 営業利益率(6%に戻るか)と会社計画の達成
- 官公庁の補修・耐震予算と建設の受注残
- 土木資材の数量(新設トンネル)
- 政策保有株の売却と自社株買い
- 那須電機鉄工・積水樹脂との持ち合い
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価ではなく、資本コスト7.5%と事業のROE、長期成長(3〜3.5%)から式で置いた。中立の10年のROEは約5%で、過去10年の中央値10.3%を超えない。中立の営業利益率は5.8%で、過去12年の山(11.9%)を下回り、会社の中計(2031年に経常21億円、売上300億円)の7%にも届かない水準に置いた。純利益は2026年3月期の一過性(売却益・保険金)を外し、起点を8.5億円にならした。純利益÷営業利益は中立で0.71と、過去10年の中央値0.72に合わせた。セグメントの数量・単価は開示がなく、筆者の推定を含む(建設は件数の開示がなく、実質の施工量と工事単価の指数で置いた)。償却は小さく、設備投資も年2億円と軽いので、物価による見かけの利益の膨らみは限られる。会計は新リース会計基準で形が変わるが、建物の賃借料は1.8億円と小さく影響は限られる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→14.16 倍・やや楽観 PER 10→13.33 倍・中立 PER 9→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。