結論
日本パワーファスニングは、住宅や鉄骨の建物に使うねじ、コンクリート用のアンカー、ガス式の鋲打ち機を作る専業メーカーだ。筆者の結論は、今の値段は割高だというものだ。売上は50億円あるが、過去12年で営業利益率が2%を超えた年は一度もない。
稼ぎを決めるのは2つの相手だ。売上の4分の1を占める積水ハウスと、原料の鋼材である。どちらにも値段を決める力で負けている。鋼材が上がると値上げが遅れ、利益が消える。
会社は中期計画で営業利益3億円を掲げるが、2025年度の実績は0.1億円で、目標を1年後ろ倒しにした。筆者は、10年後の中立でも営業利益率は2%に届かないと見る。
自己資本は23億円あるが、資本コストを大きく下回る稼ぎでは、その帳簿の値打ちも割り引くしかない。住宅の着工は人口とともに減る。追い風の見えない薄利の部材の会社に、今の値段は高い。上場株や土地を持つことは慰めになるが、少数の株主がそれを現金に換えさせる手立てはない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「わかりやすいが、儲からない」事業だ。ねじを作って売るという仕事は単純で、10年後も建物にねじは要る。だが、その利益を誰が取るかで言えば、取るのは積水ハウスと鋼材の売り手の側である。
経営は借入を減らし、海外の子会社を畳み、身の丈に戻してきた。ただ、中期計画の利益の目標は届かず、1年後ろ倒しにした。過去12年で営業利益率2%を超えた年がない会社に、計画の数字を前提にした値段は払えない。
筆者がいちばん気にしているのは、値段を決める力の無さだ。物価が上がる世界では、値段を決められる会社ほど得をし、決められない会社は遅れの分だけ損をする。この会社は後者に近い。
安全域の目で見ても、帳簿の自己資本23億円は床にならない。資本コストに届かない稼ぎでは、ためた利益は額面未満の値打ちしか持たない。オーナーとして長く持ちたい事業とは言いにくい。
何で稼ぐ会社か
事業は建築用の締結部材の1つだけだ。締結部材とは、ねじやアンカーのように物と物を留める部品を指す。開示上のセグメントは1つで、売り先の市場で住宅向けと一般の建築向けに分けている。
住宅向けは22億円で、プレハブ住宅の鉄骨や外壁を留めるねじが中心だ。積水ハウス1社で売上の26.6%を占める。工場で部材を組み立てるプレハブ住宅は、決まった部品を大量に使う。その分、取引は長く続くが、値段の交渉では買い手が強い。
一般の建築向けは29億円だ。倉庫や工場の屋根・壁を留めるドリルねじ、コンクリートに打ち込むアンカー、ガス式の鋲打ち機を、建材の問屋や施工の会社に売る。古い建物の補修や耐震の工事も、アンカーの出番になる。
作るのは兵庫県の豊岡工場が中心で、一部は中国の協力工場に任せる。かつての海外の子会社は畳み、今は国内の子会社J.J.ツールだけを持つ。利益の形は単純で、鋼材の値上がりを値上げに移すまでの遅れと、量の減りによる工場の固定費が、利益の大半を左右する。売上が5%減れば、利益はほぼ消える。逆に量が少し戻れば、利益は大きく振れて上に出る。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは薄いと筆者は見る。プレハブ住宅向けのねじは、品質と納期の信頼で長く取引が続く。ただ、ねじそのものは汎用品に近く、作れる会社は国内外に多い。
値段を決める力は弱い。売上の4分の1を持つ積水ハウスは、調達の値段に厳しい買い手だ。原料の鋼材は市況で動き、値上げは数か月から1年遅れでしか通らない。過去12年の営業利益率は、マイナス6%からプラス2%の間を行き来してきた。
資本の効率も低い。過去10年の自己資本利益率の中央値はマイナスだ。2019年には大きな損失で自己資本が半分になり、2021年は資産の売却益で黒字を作った。本業の稼ぎで資本を増やした年は少ない。
良い点もある。借入を減らし、自己資本比率は41%に戻った。上場株として積水ハウスと池田泉州ホールディングスの株を持ち、取引先との関係をつないでいる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建築用のねじとアンカーの市場は、国内の建設の量にほぼ連動する。住宅の着工は、人口と世帯の減少で長く細る流れにある。新設住宅の着工は年80万戸を割り、10年先はさらに2割ほど減るとの見方が多い。プレハブ住宅の各社も、国内の戸建てより海外や賃貸、建て替えに軸足を移している。
一般の建築向けは、物流倉庫や工場の建設、古い建物の補修が支えになる。2020年代は物流倉庫の建設が多かったが、建設費の上昇と人手不足で、量は頭打ちになりつつある。補修や耐震の工事は息が長いが、1件あたりの量は小さい。
競争の相手は多い。ねじではユニカや若井産業、アンカーではサンコーテクノやヒルティ、鋲打ち機ではマックスや工機ホールディングスがいる。中国製の安いねじも入ってくる。大手の工具メーカーに比べ、この会社は規模で負ける。
原料の鋼材は、中国の過剰な生産が値段の天井を抑える一方、国内の電気代や物流費は上がり続ける。値上げが通りやすい物価3%の世界でも、値上げの遅れが薄い利益を削る構図は変わらない。10年の中立では、業界の量は住宅で2割強、建築で1割弱減ると置く。
資本政策と M&A
還元は年2回の配当が基本で、2025年12月期は期末に総額0.36億円を払う。利益がほぼ出ない年でも配当を続けてきたが、額は小さい。自社株は発行済みの株の26%と多く、過去に買い戻した分を消さずに持っている。
大株主のマルエヌが議決権の27%を持ち、会社の「その他の関係会社」に当たる。上場株は積水ハウスと池田泉州ホールディングスの2銘柄、合わせて3億円で、取引の関係を保つための保有だ。
過去には時価総額の基準を満たせず、上場を保つ計画を出した経緯がある。同業や取引先が事業を取りにくる再編の可能性はあるが、会社は何も示していない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
赤字の時代は終わりつつある。2025年度は小さいながら営業黒字に戻り、会社は2026年度に営業利益1億円、2027年度に1.5億円を見込む。借入は減り、自己資本比率は41%まで戻った。海外の子会社を畳み、身軽になった。
積水ハウスとの取引は長く、簡単には切れない。プレハブ住宅のねじは、品質の認定と納期の信頼が要る。新しい会社が入り込むのは難しい。
コンクリート用のアンカーと補修の工事は、これから伸びる分野だ。高度成長期に建てた建物とインフラの補修は、10年どころか数十年続く。耐震や改修の工事は、人口が減っても減らない。
物価が年3%上がる世界では、値上げも通りやすい。古い設備の償却が終われば、利益率は自然と上向く。上場株と土地を持ち、時価総額は自己資本の8割強にすぎない。
物価が上がる世界は、古い工場を持つ会社に有利でもある。建て替えの値段が上がれば、新しく参入する会社は割に合わず、今の作り手の席は守られる。
慎重な見方
利益率2%を超えた年は、過去12年で一度もない。2015年から2020年にかけては赤字が続き、自己資本は半分になった。中期計画の目標は、記録の裏づけのない数字である。2025年度も計画の営業利益1.2億円に対し、実績は0.1億円だった。
住宅の着工は人口とともに減る。売上の4分の1を持つ積水ハウスは国内の戸建てを絞り、海外に軸足を移している。その大口が調達先を変えれば、会社の利益は一度に消える。
ねじは汎用品に近い。中国製の安い品が入り、国内の同業も多い。鋼材が上がっても、値上げは遅れてしか通らない。値段を決める力のない会社に、物価の上昇は追い風にならない。
今期も第1四半期は営業赤字だった。仕切り直しの年と言いながら、出だしでつまずいている。自己資本は資本コストを大きく下回る稼ぎしか生まず、帳簿の値打ちは床にならない。
仮に計画どおり3億円の営業利益が出ても、自己資本利益率は資本コストに届かない。計画の達成は株主にとって必要条件にすぎず、十分条件ではない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方が強い。12年の記録が、利益率の天井の低さをはっきり示している。強気の見方で確かなのは、借入の減少と補修の需要の息の長さだけで、どちらも利益率を大きく変えるほどではない。積水ハウスへの依存と値決めの弱さは、10年続く構造の問題だ。中立は薄い黒字に置き、確率は悲観の側に厚く寄せた。計画の達成は楽観の側に小さく残した。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 47 円7 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 11 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 26 円4 億円、今との差 −81.3%、 期待の年率 −8.4%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 160 円22 億円 | 22 円3 億円 | +29.2% | +2.6% | 9 円1 億円 |
| やや楽観 | 15% | 88 円12 億円 | 18 円3 億円 | −24.8% | −2.8% | 16 円2 億円 |
| 中立 | 35% | 46 円6 億円 | 18 円3 億円 | −54.7% | −7.6% | 22 円3 億円 |
| やや悲観 | 27% | 28 円4 億円 | 4 円1 億円 | −77.3% | −13.8% | 9 円1 億円 |
| 悲観 | 18% | 15 円2 億円 | 1 円0 億円 | −88.7% | −19.6% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 47 円7 億円 | 11 円2 億円 | −58.2% | −8.4% | 59 円8 億円 |
今の株価時価総額 141 円19 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 中期計画の利益3億円に届き、コンクリート向けが育つ 利益 2 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 160 円22 億円
10年後、日本パワーファスニングは中期計画の目標にようやく届いている。住宅向けの量は着工の減少で1割減るが、鉄骨の倉庫や工場の屋根・壁に使うドリルねじと、コンクリート用のアンカーが伸びる。古い建物の補修や耐震の工事で、アンカーの出番が増えるからだ。
値上げは物価より少し強く通り、営業利益率は4%台半ばに乗る。豊岡工場の設備は更新を終え、ねじ1本あたりの手間が減る。積水ハウス向けの取引も、品質と納期の信頼で守り切る。
純利益は2億円ほどになり、配当も増える。それでも自己資本利益率は資本コストに届かない。薄利の部材の会社が、優良な会社に変わるわけではない。
- 住宅向け締結部材:数量 199(推定出荷本数(百万本))× 価格 14(1本あたり平均単価(円))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。着工は減るが取引を守る
- 一般建築向け締結部材・工具:数量 300(推定出荷本数(百万本))× 価格 14(1本あたり平均単価(円))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。アンカーと補修が伸びる
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 22 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画の営業利益3億円は、過去12年で一度も届いていない水準。届く筋書きの確率は小さい。
やや楽観 15% 利益率が会社予想の3%近くで落ち着く 利益 1 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 88 円12 億円
10年後、会社は小さな黒字を続けている。住宅向けの量は着工の減少で15%減るが、一般の建築向けは横ばいを保つ。値上げは物価並みに通り、売上は64億円ほどになる。
営業利益率は3%弱で、会社が2027年に見込む水準だ。古い設備の償却が終わり、物価で膨らまない分だけ利益率が少し上がる。借入の金利は上がるが、借入の額が小さいので痛手は限られる。
配当は今の水準を続ける。自己資本利益率は5%前後で、資本コストの半分ほどにとどまる。積水ハウスとの取引は続き、補修向けのアンカーが住宅の縮みを少し埋める。会社は小さく安定するが、株主に厚く戻す力はない。
- 住宅向け締結部材:数量 188(推定出荷本数(百万本))× 価格 14(1本あたり平均単価(円))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。着工の減少
- 一般建築向け締結部材・工具:数量 285(推定出荷本数(百万本))× 価格 14(1本あたり平均単価(円))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。横ばい
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.6% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 12 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社予想の2027/12期の営業利益率2.8%が続く道。計画の未達が続いてきたので確率は低め。
中立 35% 薄い黒字のまま、住宅の縮みと付き合う 利益 1 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 46 円6 億円
10年後、日本パワーファスニングは薄い黒字の部材メーカーのままだ。住宅向けの量は着工の減少で2割強減る。鉄骨の建物向けも、国内の建設の量が少しずつ細り、1割近く減る。値段は物価並みに上がり、売上は58億円ほどになる。
営業利益率は1%台後半で、過去12年の最良の水準に並ぶ。豊岡工場の古い設備の償却は増えず、その分だけ利益率は少し上向く。ただ、鋼材の値上がりを値上げに移すまでの遅れが、毎年のように利益を削る。
配当は細々と続く。自己資本利益率は3%前後で、資本コストの3分の1に届かない。積水ハウスとの取引は続くが、値段を決めるのは買い手の側である。
- 住宅向け締結部材:数量 172(推定出荷本数(百万本))× 価格 13(1本あたり平均単価(円))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。着工の減少
- 一般建築向け締結部材・工具:数量 263(推定出荷本数(百万本))× 価格 13(1本あたり平均単価(円))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。建設の量が細る
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.7% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 6 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去12年の利益率(−6%〜+2%)の上の方と、会社の今期の計画の中間。住宅の縮みは避けられない。
やや悲観 27% 大口の取引が細り、赤字に戻る 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 28 円4 億円
10年後、会社は再び赤字に沈んでいる。積水ハウスが部材の調達先を絞り、住宅向けの量は3分の1以上減る。鉄骨の建物向けも、中国製の安いねじに押されて15%減る。値上げは物価に届かない。
営業利益率はマイナス1%で、借入の金利が赤字を少し深くする。配当は止まり、会社は人員と設備を減らして耐える。
上場を保つための時価総額の基準も、再び重しになる。豊岡工場の設備の更新は先送りされ、古い機械の手間がさらに利益を削る。少数の株主に残るのは、借入を返したあとの売れる資産の一部だけだ。帳簿の自己資本は残っていても、それを動かす力は大株主と経営の側にある。
- 住宅向け締結部材:数量 144(推定出荷本数(百万本))× 価格 13(1本あたり平均単価(円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。大口が細る
- 一般建築向け締結部材・工具:数量 243(推定出荷本数(百万本))× 価格 13(1本あたり平均単価(円))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。安い輸入品
倍率:赤字でPERは使えない。今の自己資本23億円に0.17倍。床の資産4.0億円(floor_assets)に合わせた。
確率:過去12年のうち赤字の年が半分を超える。積水ハウスへの依存も重く、確率は厚め。
悲観 18% 住宅の大口を失い、事業の整理に追い込まれる 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 15 円2 億円
10年後、日本パワーファスニングは構造的に負けている。住宅向けの大口を失い、量は半分になる。一般の建築向けも4分の1減り、売上は40億円を切る。
赤字が続き、工場の減損で自己資本は半分以下に減る。2019年のように、大きな損失を一度に出す年もある。鋼材の値上がりが重なった年には、値上げが追いつかず赤字が膨らむ。配当は止まり、会社は事業の売却や他社との統合で生き残りを探る。
少数の株主には、資産の使い道を決める力がない。帳簿の自己資本は床にならず、価値は借入を返したあとの売れる資産のごく一部だけになる。上場株を売っても、借入の返済と赤字の穴埋めに消える。
- 住宅向け締結部材:数量 111(推定出荷本数(百万本))× 価格 12(1本あたり平均単価(円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。大口を失う
- 一般建築向け締結部材・工具:数量 214(推定出荷本数(百万本))× 価格 12(1本あたり平均単価(円))→ 売上 26 億円・営業利益 −1 億円。量が細る
倍率:赤字でPERは使えない。今の自己資本23億円に0.087倍。減損後の自己資本の2割に満たず、床の資産2.0億円(floor_assets)に合わせた。
確率:2015〜2020年に赤字が続き自己資本が半分になった前例がある。弱い材料が重なるので2割近く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住宅向け締結部材
プレハブ住宅の鉄骨や外壁を留めるねじ。積水ハウス向けが中心。
| 数量推定出荷本数(百万本) | 価格1本あたり平均単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 221 | 10 | 22 | 0 |
| 10 年後 中立 | 172 | 13 | 23 | 0 |
取り方:市場別の売上22.09億円(有報)だけが開示。数量は開示が無く、鋲打ち機の消耗品も含めた1本の平均単価(円)を10と置いて約2.2億本と推定した。利益は単一セグメントで開示が無く、全社の営業利益0.10億円を大口の量の安定を見て割り振った推定。中立の数量は住宅着工の減少から10年0.78倍、価格は物価並み1.34倍。
一般建築向け締結部材・工具
倉庫・工場の屋根や壁のドリルねじ、コンクリート用アンカー、ガス式鋲打ち機。
| 数量推定出荷本数(百万本) | 価格1本あたり平均単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 285 | 10 | 29 | 0 |
| 10 年後 中立 | 263 | 13 | 35 | 1 |
取り方:市場別の売上28.53億円(有報)。工具の売上も含めた1本の平均単価(円)を10と置いて約2.9億本と推定。利益は全社の営業利益からの割り振りの推定。中立の数量は国内の建設の細りから10年0.92倍(補修・耐震で一部を補う)、価格は物価並み。
リスクと懸念
積水ハウスへの依存
売上の26.6%を積水ハウス1社が占める。調達先の見直しや国内の戸建ての縮小で量が減れば、薄い利益は一度に消える。値段の交渉でも、買い手の側が強い。
鋼材の値上がりと値上げの遅れ
原料の鋼材は市況で動く。値上げは数か月から1年遅れでしか通らず、その間の利益が削られる。営業利益率が1%前後の会社では、この遅れだけで赤字になる。
住宅着工の減少
新設住宅の着工は人口と世帯の減少で長く細る。プレハブ住宅向けの量は、10年で2割以上減りうる。一般の建築向けで埋めるには、競争の厳しい市場でシェアを取る必要がある。
安い輸入品と同業との競争
ねじは汎用品に近く、中国製の安い品や国内の同業が多い。アンカーや鋲打ち機では、規模の大きい工具メーカーが相手になる。
上場を保つ基準
過去に時価総額の基準を満たせず、上場を保つ計画を出した経緯がある。株価が低迷すれば、再び基準が重しになり、資本の政策の自由が狭まる。
今後の分かれ目
- 2026年度に計画どおり営業利益1億円を出したら
- 仕切り直しの出発点が確かめられる。ただ、利益率が2%を超えない限り、価値の見方は大きく変わらない。
- 営業利益率が2年続けて3%を超えたら
- 値上げの定着と設備の更新の効果を認め、やや楽観の側へ確率を移す。
- 積水ハウス向けの売上の比率が2割を割ったら
- 大口が調達先を絞り始めた兆しと見て、やや悲観・悲観の確率を厚くする。
- 同業や大株主から再編や買収の提案が出たら
- 本質価値の外の話として、条件と少数株主の扱いを見て判断する。
- 再び営業赤字が2年続いたら
- 構造的に負ける筋書きに近づいたと見て、中立の利益率を下げる。
見ておくもの
- 市場別の売上(住宅向けと一般建築向け)
- 営業利益率と中期計画の達成度
- 積水ハウス向けの売上の比率
- 鋼材の値段と値上げの時期
- 新設住宅の着工戸数
倍率と資本コストの決め方
住宅向けと一般建築向けに分け、数量は推定(住宅着工と建設の量から10年0.78〜0.92倍)、価格は物価並みで積んだ。中立の営業利益率1.7%は過去12年の最良1.7%以下で、物価で増えない古い設備の償却の分だけ上向く。倍率はROEがk9.5%を大きく下回るため1÷kの7割、悲観側は売れる資産の床で置き、今のPBR0.8倍や時価総額から逆算していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.4→10.53 倍・やや楽観 PER 8→10.53 倍・中立 PER 7.4→10.53 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality+2.0%。2025年度は営業黒字に戻り、財務の存続に疑いは無いので上乗せは置かない。