結論
MIEコーポレーションは、三重県桑名市でステンレスの管継手を作る会社だ。工場やビルの配管を曲げたり、つないだりする部品で、商社を通じて全国のプラントや設備の工事に届く。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正で、わずかに安い程度というものだ。利益の水準に比べれば値段は低い。ただ、その差は見かけほど大きくない。株主に戻る分が細く、借金も重いからだ。
利益はこの4年で大きく変わった。営業利益率は2015年3月期の赤字から、2026年3月期には9%まで上がった。ステンレスの値上がりを機に、製品の値段を上げ切ったことが効いた。売上は70億円台で、営業利益は6億円台に乗っている。
気になる点もある。過去12年を均すと利益率は5%前後で、今は山の高さにある。中国や東南アジアの安い継手も入ってくる。借入金は30億円を超え、現金を引いても20億円余りの純負債がある。在庫を多く抱える商売で、借金はそのためだ。
もう1つの弱みは、還元の細さだ。配当は利益の1割強で、自社株買いも無い。株主の上位には取引先の持株会と、取引先の商社が並ぶ。稼いだお金は会社に貯まり、株主の手元には届きにくい。筆者は、事業の値打ちは今の値段を上回るが、その差を受け取れるかは経営の還元の姿勢しだいだと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、地味だが悪くない事業を、安い値段で売っている会社だ。ただ、その安さには理由がある。
事業そのものは堅い。工場やビルの配管は、建物が使われる限り更新が要る。継手は配管の工事費のわずかな部分で、客は値段より品ぞろえと納期を見る。設備投資も年1億円ほどで済み、利益の多くが現金で残る。オーナーにとって、手元に残る利益が厚い事業だ。
心配なのは2つだ。1つは、今の利益が山の高さにあることだ。値上げで広げた利ざやが、材料の値下がりや輸入品の攻勢で縮む恐れはある。筆者は、10年の中立では利益率を今の9%から7%に下げて見る。
もう1つは資本の使い方だ。会社は利益の9割近くを貯め、配当は細い。貯めたお金は借金の返済に役立ったが、この先も貯め続ければ、株主の資本は増えても利回りは下がる。取引先の株主が多く、外から変える力も弱い。
安全域は、今の値段が利益の5倍ほどしかないことにある。それでも筆者は、大きな割安とは見ない。貯まる現金の多くが株主に届かないと見るからだ。還元の方針が変われば、評価は一段上がる。
何で稼ぐ会社か
1907年に、ほうろうの鉄器を作る会社として桑名で始まった。三重ほうろうの名で長く続き、今はステンレスの管継手の専業になった。2008年に持株会社を作り、名古屋証券取引所に上場した。
管継手は、配管の向きを変えたり、太さの違う管をつないだりする部品だ。エルボ(曲がり)、チーズ(枝分かれ)、レジューサー(径の変換)などの溶接継手が売上の6割強を占める。管どうしをボルトで留めるフランジが2割、残りはねじで留める継手や、工場で配管を組み立ててから届けるプレハブ加工だ。
使われる先は広い。食品や薬品の工場、化学のプラント、ビルの給水や空調の配管、半導体の工場などだ。ステンレスは錆びにくく清潔で、水や薬品を通す管に向く。
売り方は商社を通す。管材の商社の大一商会が売上の2割、イシグロが1割強を占める。2社はどちらも大株主でもある。商社は設備の工事会社に部品をまとめて届け、MIEは品ぞろえと納期で商社を支える。
作るのは桑名の本社工場で、子会社のMIEテクノが担う。中国や東南アジアの工場にも作らせて、安い品の品ぞろえを補う。上海には35%を持つ合弁の工場がある。社員は110人ほどの小さな会社だ。
儲けの仕組みは、ステンレスの材料を仕入れて加工し、品ぞろえを揃えて素早く届けることにある。多くの種類とサイズの在庫を持つことが、商社に選ばれる理由だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、品ぞろえと納期という地味なところにある。
管継手は1つの値段が安い部品だが、種類とサイズは何千通りにもなる。工事の現場では、必要な部品がすぐ揃うことが何より大事だ。MIEは多くの種類の在庫を持ち、商社の注文に素早く応える。商社にとっては、品ぞろえの広い仕入れ先を替えるのは手間がかかる。大一商会やイシグロが株主になっているのも、長い取引の証しだ。
値決めの力は、ここ数年で示された。ステンレスの値上がりに合わせて製品の値段を上げ、そのうえ利ざやも広げた。営業利益率は9%に上がり、過去最高を更新した。業界の他社も一斉に値上げに動いたとみられ、競争が落ち着いていたことも追い風になった。
弱みは3つある。1つ目は、製品が規格品で、差がつきにくいことだ。中国や東南アジアの継手は安く、MIE自身もそこから仕入れている。値段の差が開けば、商社は安い品に流れる。2つ目は在庫の重さだ。総資産の2割を在庫が占め、それを借入で賄う。3つ目は資本の使い方だ。配当は利益の1割強で、ROEは高いのに株主への戻りが細い。
数字が実力を語る。過去12年の営業利益率は赤字から9%まで振れ、2015年以前には赤字の年が続いた。今の利益は、事業の実力の上限に近いと筆者は見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ステンレスの管継手の需要は、工場とビルの設備投資で決まる。
国内の需要は、大きくは伸びない。食品や薬品の工場は、古い設備の更新が中心だ。ビルの給水や空調の配管も、新築の数より改修の量が効く。人口が減るなか、建物の数そのものは増えない。筆者は、国内の数量は10年でほぼ横ばいと見る。
明るい材料は半導体の工場だ。熊本のTSMCや北海道のラピダスなど、大きな工場の建設が続く。半導体の工場は、薬品やガス、超純水を通す配管が膨大で、清潔なステンレスの継手が大量に要る。MIEは新しい中期計画で、この分野への参入を掲げた。ただ半導体向けは表面の仕上げの基準が厳しく、専門の会社が先に入っている。
値段は、ステンレスの材料の値段に沿って動く。ニッケルの値段が上がれば材料が上がり、製品の値段も上げる。2022年以降は、材料の値上がりを機に業界が一斉に値上げし、利ざやも広がった。この先、材料が下がる局面で値段をどこまで保てるかが試される。
競争相手は、国内のベンカン機工などの継手の会社と、中国や東南アジアの輸入品だ。ベンカン機工は大株主でもあり、業界は少数の会社がすみ分ける穏やかな形になっている。輸入品は安いが、品質と納期の安定では国内の会社に分がある。
資本政策と M&A
還元は細い。配当の総額は年0.5億円ほど、利益の1割強にとどまる。自社株買いの実績も無い。ROEは13%近いのに、稼いだお金の9割近くが会社に残る。
残したお金は、借金の返済に回ってきた。10年前、純負債は30億円近く、自己資本は10億円に満たなかった。今は自己資本が30億円を超え、純負債は20億円台に下がった。財務を立て直す時期だったと言える。
株主の顔ぶれは特徴的だ。上位には取引先の持株会が2割近く、商社のイシグロと大一商会、同業のベンカン機工、地元の銀行が並ぶ。取引でつながった株主が多く、経営に還元を強く求める声は出にくい。
買収は見えない。時価総額は20億円ほどで、取引先の商社や同業にとっては手の届く大きさだ。業界の再編で買われる道はあるが、安定株主が厚く、筆者は確度の高い話とは見ない。財務の立て直しが一段落した今、還元を厚くするかが、株主にとっての一番の分かれ目だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益の水準が変わった。営業利益率は4年で5%から9%に上がり、3期続けて8%を超えた。材料の値上がりに合わせて値段を上げ、そのまま利ざやを保っている。業界は少数の会社がすみ分ける形で、値下げ合戦の動きは見えない。
半導体の工場は、配管の塊だ。熊本や北海道で大きな工場が建ち、この先も更新や増設が続く。清潔なステンレスの継手は欠かせず、MIEは新しい中期計画でこの分野への参入を掲げた。一部でも取れれば、数量は国内の横ばいを上回って伸びる。
事業に要る投資は小さい。設備投資は年1億円ほどで、利益の大半が現金で残る。借金は10年で大きく減り、自己資本は3倍になった。この先は借金を返し切り、還元を厚くする余地が出てくる。
そして値段が安い。時価総額は純利益の5倍ほどしかない。利益が今の半分に落ちても、資本コストで割った稼ぐ力はまだ時価総額に近い。株主の顔ぶれから見て、取引先や同業が会社ごと買う道もある。
慎重な見方
今の利益は山の利益だ。過去12年の営業利益率は平均すると5%前後で、2015年以前は赤字の年が続いた。今の9%は、材料の値上がりを機に業界が一斉に値上げした特別な局面の結果だ。ニッケルが下がれば、値段も下がる。利ざやは元に戻りやすい。
継手は規格品だ。中国や東南アジアの品は安く、品質も年々上がっている。MIE自身も海外から仕入れている。商社は安い品があれば迷わず替える。値段を決める力は、思われているほど強くない。
在庫と借金も重い。在庫は18億円あり、それを30億円を超える借入で賄う。借り換えのたびに金利が上がれば、利払いは年1億円近く増える。材料の値段が下がる局面では、在庫の評価損も出る。
そして還元が細い。配当は利益の1割強で、自社株買いは無い。上位の株主は取引先と同業で、還元を強く求める声は出ない。利益が貯まっても株主の手には届かず、ROEは自己資本が膨らむにつれて下がっていく。
安い値段には、それなりの理由がある。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや勝る。利益率の高さは山とみて中立では下げたが、それでも今の値段は利益に比べて低い。設備投資が軽く、利益の多くが現金で残る点も強い。一方で、還元の細さと安定株主の厚さは本物の弱みで、貯まる現金の価値は半分ほどしか届かないと見た。確率はやや楽観に4分の1を置き、悲観は前例のある赤字を踏まえて1割弱とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,582 円55 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 482 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 2,504 円30 億円、今との差 +49.9%、 期待の年率 +11.7%(資本コスト 7.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 8,814 円106 億円 | 747 円9 億円 | +472.5% | +19.1% | 956 円12 億円 |
| やや楽観 | 25% | 6,206 円75 億円 | 581 円7 億円 | +306.4% | +15.1% | 1,697 円20 億円 |
| 中立 | 40% | 4,554 円55 億円 | 498 円6 億円 | +202.5% | +11.7% | 2,021 円24 億円 |
| やや悲観 | 17% | 1,727 円21 億円 | 332 円4 億円 | +23.3% | +2.1% | 350 円4 億円 |
| 悲観 | 8% | 415 円5 億円 | 83 円1 億円 | −70.2% | −11.4% | 40 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,582 円55 億円 | 482 円6 億円 | +203.2% | +11.7% | 5,064 円61 億円 |
今の株価時価総額 1,670 円20 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 半導体の工場に入り、利ざやも保つ 利益 7 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 8,814 円106 億円
半導体の工場の建設と更新が10年続き、MIEは表面の仕上げを磨いた継手で取引を広げる。熊本や北海道の工場の配管工事に、商社を通じて部品が入る。食品や薬品の工場の更新も堅く、数量は10年で2割5分増える。
値段は材料の値上がりより少し上を行く。業界のすみ分けが続き、輸入品は安い品の一部にとどまる。営業利益率は9%台を保つ。
借金は在庫の回転を上げて返し切り、利払いはむしろ減る。会社は還元を少し厚くし、配当性向は2割ほどに上がる。それでも利益の多くは会社に貯まる。株主の資本は大きく膨らむが、ROEは資本コストを少し上回る程度に落ち着く。
- 溶接継手・フランジ:数量 3,005(販売量(トン))× 価格 345(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 104 億円・営業利益 10 億円。販売量1.25倍・単価1.38倍・利益率9.5%
- ねじ込み継手・建築用・プレハブ加工:数量 700(販売量(トン))× 価格 276(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。販売量1.25倍・単価1.38倍・利益率9.5%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍。全体の PER 14.21 倍、時価総額 104 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体向けへの参入が実り、数量を2割5分増やしたうえで、過去最高の利益率を保つ必要がある。業界のすみ分けが続き、輸入品に押されない姿で、確度は低いが前例のある利益率なので1割は置ける。
やや楽観 25% 値上げの成果が大半残る 利益 5 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 6,206 円75 億円
値上げで広げた利ざやは、少し縮みながらも大半が残る。材料が下がる局面では製品の値段も下がるが、業界のすみ分けが崩れず、値下げは材料の下げ幅にとどまる。営業利益率は8%強で落ち着く。
数量は、食品や薬品の工場の更新と半導体の工場の一部で、10年で1割強増える。プレハブ加工も、現場の人手不足で工場で組んで届ける形が広がる。
借金は在庫を絞って減らし、利払いの増えは小さい。配当は少しずつ増えるが、配当性向は1割台のままだ。利益は会社に貯まり続け、自己資本は今の2倍を超える。ROEは資本コストを下回るが、事業の稼ぐ力は堅い。
- 溶接継手・フランジ:数量 2,693(販売量(トン))× 価格 335(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 90 億円・営業利益 7 億円。販売量1.12倍・単価1.34倍・利益率8.3%
- ねじ込み継手・建築用・プレハブ加工:数量 627(販売量(トン))× 価格 268(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。販売量1.12倍・単価1.34倍・利益率8.3%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.22 倍、時価総額 70 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:3期続けて利益率8%を超えた実績があり、業界の値上げは定着しつつある。利益率を少し下げつつ、半導体向けで数量を1割強増やす姿で、中立より一段上。
中立 40% 利ざやは半ば戻り、数量は横ばい 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 4,554 円55 億円
材料の値段が落ち着き、値上げで広げた利ざやは半分ほど戻る。営業利益率は7%前後で、過去の平均より高く、今の山より低い。業界のすみ分けは保たれ、値下げ合戦にはならない。
数量は、食品や薬品の工場とビルの配管の更新で、ほぼ横ばいを保つ。半導体向けはいくらか取れるが、専門の会社が先にいて、全体を押し上げるほどではない。値段は材料と人件費に沿って、物価並みに上がる。
借金は在庫に合わせて残り、借り換えの金利が上がって利払いは年1億円近く増える。配当は細いまま増え、利益の多くは会社に貯まる。自己資本は10年で2倍に膨らみ、ROEは資本コストを下回る。事業は堅いが、株主の取り分は貯め込みで薄まる。
- 溶接継手・フランジ:数量 2,476(販売量(トン))× 価格 325(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 80 億円・営業利益 6 億円。販売量1.03倍・単価1.30倍・利益率7%
- ねじ込み継手・建築用・プレハブ加工:数量 577(販売量(トン))× 価格 260(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。販売量1.03倍・単価1.30倍・利益率7%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 48 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今の利益率9%は過去12年の山で、平均の5%前後との間に戻るのが自然だ。国内の設備の更新は横ばいで、半導体向けは参入の途中。過去の実績の範囲に収まる姿を中心に置いた。
やや悲観 17% 輸入品に押され、利ざやが昔に戻る 利益 2 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,727 円21 億円
ニッケルの値段が下がり、製品の値段も下がる。そこに中国や東南アジアの安い継手が攻め込み、商社は安い品に切り替え始める。業界のすみ分けが崩れ、値下げ合戦が始まる。
営業利益率は4%台に落ち、値上げの前の水準に戻る。数量も、国内の設備の更新が細り、輸入品に取られて1割強減る。在庫の評価損も出る。
借金の利払いは重くなり、手元に残る利益は年1.5億円ほどになる。配当は据え置かれ、会社は借金の返済を急ぐ。事業は続くが、ここ数年の高い利益は一時の出来事だったことになる。
株主に残るのは、細い配当と貯め込んだ自己資本だけだ。
- 溶接継手・フランジ:数量 2,116(販売量(トン))× 価格 310(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 66 億円・営業利益 3 億円。販売量0.88倍・単価1.24倍・利益率4.5%
- ねじ込み継手・建築用・プレハブ加工:数量 493(販売量(トン))× 価格 248(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。販売量0.88倍・単価1.24倍・利益率4.5%
倍率:ROE約2.8%でkを大きく下回る。稼ぐ力(純利益1.51億円÷k)は約17.8億円で、利益が細り在庫の評価損も出る筋書きなので、その約8割弱の9.0倍に置いた。EV(時価総額+純負債約22億円)÷営業利益は約10倍で、借金の重さを足しても過大ではない。
確率:2015年以前の利益率は0〜4%で、値上げ前の姿に戻る前例がある。材料の値下がりと輸入品の攻勢が重なれば、利ざやは過去の平均を下回る。
悲観 8% 値下げ合戦で赤字に戻る 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 415 円5 億円
輸入品の攻勢と国内の設備投資の冷え込みが重なり、継手の値段は10年で物価に大きく届かない。数量も3割減る。商社は安い品に切り替え、MIEの品ぞろえの強みは薄れる。
営業利益はほとんど消え、借金の利払いを引くと赤字になる。在庫の評価損と工場の縮小の費用も出る。自己資本は少しずつ減る。
会社は在庫を絞って借金を返し、事業を縮める。桑名の工場の土地と、在庫と売掛金の回収で借金はほぼ返せるが、株主に残る値打ちは小さい。その使い道も、取引先の株主が多い会社では少数株主が決められない。
10年前の苦しい時代に戻る姿だ。
- 溶接継手・フランジ:数量 1,683(販売量(トン))× 価格 288(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 48 億円・営業利益 0 億円。販売量0.70倍・単価1.15倍・利益率1%
- ねじ込み継手・建築用・プレハブ加工:数量 392(販売量(トン))× 価格 230(1トンあたりの平均売上(万円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。販売量0.70倍・単価1.15倍・利益率1%
倍率:利払い後で赤字なので稼ぐ力の床は無い。在庫と売掛金を回収して借金を返した残りと桑名の工場の土地建物で約10億円、戻り方0.5を掛けた約5億円を床とし、今の自己資本32.5億円の0.154倍に置いた。EV(時価総額+純負債約22億円)÷営業利益は約48倍と意味をなさない。利益がほぼ消える筋書きで、株主の取り分は資産の床でしか測れない。
確率:2009〜2015年に5回の赤字があり、利益率が赤字に戻る前例はある。ただ今は財務が当時より厚く、配管の更新の需要も残るので1割弱にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
溶接継手・フランジ
エルボやチーズなどのステンレスの溶接継手と、管をボルトで留めるフランジ。
| 数量販売量(トン) | 価格1トンあたりの平均売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,404 | 250 | 60 | 5 |
| 10 年後 中立 | 2,476 | 325 | 80 | 6 |
取り方:販売量は未開示。溶接継手45.2億円とフランジ14.9億円の計60.1億円を、ステンレスの加工品の平均1トン250万円で割った推定。営業利益は単一の事業のため全社の利益率約9.1%で按分。
ねじ込み継手・建築用・プレハブ加工
ねじで留める継手、ビルの配管用の継手、工場で配管を組んで届ける加工。
| 数量販売量(トン) | 価格1トンあたりの平均売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 560 | 200 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 577 | 260 | 15 | 1 |
取り方:販売量は未開示。その他の売上11.2億円を、1トン200万円で割った推定。営業利益は全社の利益率で按分。
リスクと懸念
利ざやの戻り
今の営業利益率9%は、材料の値上がりを機に業界が一斉に値上げした結果だ。過去12年を均すと5%前後にすぎない。ニッケルの値段が下がれば製品の値段も下がり、広げた利ざやは縮みやすい。
輸入品の攻勢
継手は規格品で、中国や東南アジアの品は安い。品質も年々上がっている。商社は値段の差が開けば安い品に替える。MIE自身も海外から仕入れており、輸入品との差は品ぞろえと納期だけだ。
商社への依存
大一商会とイシグロの2社で売上の3分の1を占める。どちらも大株主で関係は深いが、2社のどちらかが仕入れ先を替えれば売上は大きく減る。
在庫と借金
在庫は18億円で総資産の2割を占め、それを30億円を超える借入で賄う。借り換えのたびに金利が上がり、利払いは10年で年1億円ほど増える。材料の値段が下がると在庫の評価損も出る。
細い還元と安定株主
配当は利益の1割強で、自社株買いは無い。上位の株主は取引先の持株会、商社、同業、銀行で、還元を強く求める声は出にくい。利益が会社に貯まり続ければ、ROEは下がり、株主の取り分は薄まる。
半導体向けの参入の難しさ
半導体の工場の配管は、表面の仕上げや清浄さの基準が厳しい。専門の会社が先に入っており、新しく入るには設備と認定の時間がかかる。中期計画の成長の柱が育たない恐れがある。
今後の分かれ目
- 営業利益率が材料の値下がりの局面でも8%を保ったら
- 値決めの力は本物とみて、やや楽観の確率を厚くし、中立の利益率を上げる。
- 配当性向を3割以上に上げる、または自社株買いを始めたら
- 溜まる現金の戻り方を0.75〜1.0に上げる。価値は一段上がる。
- 半導体の工場向けの継手の受注や認定が開示されたら
- 中立の数量を上げ、楽観の確率を厚くする。
- 営業利益率が2期続けて6%を下回ったら
- 利ざやの戻りが始まったとみて、やや悲観の確率を厚くする。
- 取引先の商社や同業による買収の提案が出たら
- 買付けの値段と、安定株主がどう応じるかを見る。
見ておくもの
- 営業利益率と売上総利益率
- ステンレス(ニッケル)の値段
- 在庫と借入金
- 配当性向と自社株買い
- 半導体向けの受注
- 大一商会・イシグロ向けの売上
倍率と資本コストの決め方
今の株価は見ずに、継手とその他の販売量(推定)と単価、利益率から10年後の営業利益を積み、借り換えの利払いを引いた。中立の利益率は今の9.1%(過去12年の山)でなく7%に下げた。中立のROEは資本コスト7.75%を下回るので、PERは1÷k(約11.8倍)を上限に利益の質で8割に置いた。今のPERが5倍前後と低いことは見たが、倍率の根拠にはしていない。貯まる現金は安定株主が厚く還元が細いので、戻り方を0.5とした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→14.21 倍・やや楽観 PER 10→13.22 倍・中立 PER 9.4→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。