結論
エスイーは、橋や斜面を支えるアンカー、PC用ケーブル、落橋防止装置などの建設用資機材を作る会社である。筆者の結論は「事業は堅いが、新規事業への出費が利益を削り、いまの値段は割高の側」だ。
稼ぎの中心は建設用資機材と建築用資材で、売上の9割弱を占める。補修・補強工事は国土強靱化を追い風に過去最高の売上を記録した。この3つの部門利益を合わせると14億円ある。
ところが連結の営業利益は6億円にとどまる。研究開発の人件費と経費が年8億円あり、発電事業などの新規事業に使われているからだ。しかも発電事業の開始は、当初計画の2029年3月期には間に合わない。
直近期は繰延税金資産の取崩しで4億円の純損失となった。本業が崩れたわけではないが、会社が掲げる「営業利益28億円」の中期目標は遠い。
筆者は、本業の堅さを評価するが、新規事業の成否が見えない限り、10年先の稼ぎは今の時価総額を上回らないと見る。割安に見える帳簿の厚みも、稼ぐ力が資本コストに届かないうちは、根拠にならない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い土台の上で、お金を燃やしている」会社に見える。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、3つの堅い部門の14億円から、研究開発費の8億円と設備の維持費を引いたものだ。表の純利益よりも、手元に残る額はさらに細い。
資本の使い方が最大の論点だ。中期計画は、収益の見えない事業に営業キャッシュの半分近くを投じる。それが当たれば価値は大きく増えるが、外れれば配当の原資を食う。過去の計画の達成率を見ると、期待より慎重に見たい。
補修・補強や橋梁部材という本業は、10年たっても残る。この部分だけで測れば、営業利益は10億円台に乗る。ただ、そのためには新規事業の費用を減らす経営判断が要る。
安全域は薄い。時価総額は純資産の8割ほどだが、稼ぐ力は資本コストを下回る。筆者は、研究開発の費用が減り始めるまで、評価を上げない。
何で稼ぐ会社か
報告セグメントは4つで、直近期の売上は254億円である。
建設用資機材が120億円、部門利益7億円。グラウンドアンカー、落橋防止装置、PC用ケーブル、外ケーブル、斜材などを、橋・高速道路・斜面対策の現場に納める。製造原価の約7割が鉄やPC鋼線などの原材料費だ。
建築用資材が99億円、部門利益4億円。内装関連と仮設建材、鉄骨工事を手がける。首都圏の再開発は続くが、競争は厳しい。
補修・補強工事は28億円で、前期比19%増と過去最高。橋や道路の補修で、技術者の確保が成長の天井になる。建設コンサルタントは売上7億円と小さく、2年ぶりに黒字へ戻った。
売上の約6割は国内の建設市場向けで、ベトナムの設計子会社もある。残りは民間の建築向けや海外で、地域の景気にも左右される。連結の従業員は559人。
このほかに、部門に属さない研究開発費が約8億円ある。発注者は西日本の高速道路会社や自治体などで、公共の予算が需要を決める。国内調達の金属を燃料にするCO2フリー発電を目指すエスイーパワーなど、新規事業に回る費用だ。
優良さと弱いところ
筆者の評価は「用途に根を張った堅い事業を持つが、新規事業が資本効率を下げている」だ。
アンカーやケーブルは、橋や斜面の安全に直結する部材で、設計に組み込まれると一度採用されれば長く使われる。国土強靱化で老朽化した橋の補修が続くため、需要は途切れにくい。ここは堀と呼べる。
弱みは三つある。第一に、建築用資材は内装も仮設も競争が厳しく、価格を自分で決められない。第二に、原材料費が原価の約7割で、鋼材の市況に利益が揺れる。第三に、研究開発費が営業利益を大きく食っている。
自己資本利益率は直近でマイナスで、5年平均でも資本コストに届かない。借入には、経常損益が2期連続で赤字にならないことを求める財務の特約がある。足元は黒字だが、赤字が続く筋書きでは制約になる。
経営は意欲的で、中期計画には売上370億円、営業利益28億円を掲げる。ただ、前の計画も達成していない。実績の積み上げを見るのが先だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の建設市場は、老朽インフラの補修と防災で底堅い一方、人手不足と労働時間の規制が工期を押し上げている。直近期は工期の見直しで納入が後ろにずれ、建設用資機材と建築用資材で10億円弱の減収になった。受注が消えたわけではなく、ずれ込みである点は救いだ。
橋やトンネルの補修需要は、国土強靱化の予算に支えられ、10年は続くと見る。ただ、西日本の高速道路会社や自治体の発注が小型化し、競争が強まり、利益率は下がり気味だ。
鋼材とPC鋼線の価格は、中国の過剰生産で天井が抑えられ、物価ほど上がらない。一方、人件費は物価並みに上がるため、粗利の確保は価格転嫁にかかっている。
建築用資材は、首都圏の再開発が続くが、内装は縮み、仮設は猛暑や労働時間規制で施工量が減った。数量は10年で1割ほど減ると置く。
補修では、技術者を確保できるかが受注の天井を決める。海外は、ASEANでの防災が新しい需要になる。ただし規模は小さく、収益になるのは先だ。国内では公共工事の予算が年度ごとに決まり、受注は期末に偏りやすい。部材の競争は、価格だけでなく設計への食い込みで決まる。
資本政策と M&A
還元は、株主資本配当率(DOE)3.5%以上を目安にした安定配当である。年間の配当総額は約4億円で、純利益が赤字でも払い続けた。来期は小幅な減配を予想している。
新しい中期計画は、5年で120億円のキャッシュを生み、新規3事業に25億円、発電事業に30億円、基盤の整備に40億円、株主還元に20億円を充てる。つまり、営業キャッシュの半分近くを、いまだ収益のない事業に投じる。
M&Aは、補修・補強工事で技術者を確保するために必要と会社は言うが、具体策はない。過去にコンクリート製品のホンシュウを子会社にした。
その他の関係会社の有限会社エヌセックが、議決権の約36%を持つ。会社は同社と取引がないと説明する。持株が大きく、TOBは同社の意向しだいだが、材料は見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
本業の部門利益は14億円あり、研究開発費の8億円を除けば、営業利益は倍以上になる。国土強靱化の補修需要は10年続き、補修・補強工事は過去最高を更新した。
研究開発費は過渡期の費用で、発電事業やESCON、道路のレジリエンス事業が育てば、利益として戻る。中期計画は2031年3月期に営業利益28億円を掲げ、新規3事業で売上75億円を狙う。
建設用資機材は、橋の落橋防止やアンカーなど、設計に組み込まれた部材だ。工期の後ろ倒しで一時的に売上が減っても、案件は消えていない。2027年3月期には納入が戻る。
繰延税金資産の取崩しは会計上の処理で、現金は減っていない。直近の純損失は一過性だ。配当も、DOE3.5%以上という方針の下で払い続けている。
筆頭株主の安定した持株と、厚めの自己資本は、投資を続ける体力になる。ベトナムの設計子会社を使ったBIM関連も、人手不足の建設業には追い風だ。補修の需要は構造的で、会社の技術者が増えれば受注はさらに積み上がる。
慎重な見方
研究開発費の約8億円は、年を追うごとに重くなる。発電事業は開始が当初計画に間に合わず、ESCONの売上は想定の10分の1まで下方修正された。新規事業は期待どおりに進んでいない。180件の事業案から絞る作業も、事業化は次年度以降に持ち越された。
本業の利益も薄い。建築用資材は営業利益が24%減り、補修・補強も競争の激化で利益率が下がっている。工期の見直しは、人手不足と労働時間規制という構造の問題で、一時的とは言い切れない。
中期計画の達成率も低い。前の計画の最終年は売上265億円、ROE0.5%だったが、実績は254億円、マイナス4.0%だった。今回の営業利益28億円は、直近の5倍近い水準だ。
原材料が原価の約7割を占めるため、鋼材の値上がりを転嫁できなければ、利益は直ちに削られる。
借入には経常損益が2期連続の赤字を避ける特約がある。赤字が重なれば、財務の自由度は一気に狭まる。配当を守るために、資本を減らす局面もありうる。海外の新規事業は、現地の規制と発注者の予算に左右され、立ち上がりが読みにくい。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分には本業の堅さという根拠があり、慎重な言い分には研究開発費と達成率という根拠がある。筆者は、費用が現に出ていて、収益が見えない点を重く見た。
確率は中立に4割を置き、やや悲観に2割台半ばを割いた。楽観は、新規事業が当たる筋書きなので1割未満にとどめた。悲観は、売れる資産が床になるため同じく1割未満とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 359 円108 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 117 円35 億円)。 今の値に割り戻すと 251 円76 億円、今との差 −4.7%、 期待の年率 +6.1%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 841 円254 億円 | 149 円45 億円 | +276.5% | +14.2% | 79 円24 億円 |
| やや楽観 | 20% | 581 円176 億円 | 139 円42 億円 | +173.9% | +10.6% | 144 円44 億円 |
| 中立 | 40% | 359 円108 億円 | 126 円38 億円 | +84.3% | +6.3% | 194 円59 億円 |
| やや悲観 | 24% | 108 円33 億円 | 99 円30 億円 | −21.1% | −2.3% | 50 円15 億円 |
| 悲観 | 8% | 73 円22 億円 | 40 円12 億円 | −57.2% | −8.1% | 9 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 359 円108 億円 | 117 円35 億円 | +81.0% | +6.1% | 476 円144 億円 |
今の株価時価総額 263 円79 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:新規事業が育ち、研究開発費が収益に変わる 利益 18 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 841 円254 億円
建設用資機材は補修需要で数量が1.15倍に伸び、価格は物価並みに上がる。補修・補強工事は技術者の確保が進み、数量は1.5倍になる。
発電事業や道路のレジリエンス事業、ASEANの防災が収益化し、研究開発費は減る一方で、新規事業の利益が加わる。
営業利益は27億円に近づき、会社の中期目標の水準に届く。純利益は17億円台になり、自己資本利益率は11%に乗る。
配当は利益の3割に上がり、現金が増える。ただし、この筋書きには発電の実証が成功し、国の支援が付くことが条件になる。道路のレジリエンスの統合基盤も、自治体に広く採用される必要がある。これは会社の計画を、ほぼそのまま達成する姿だ。
- 建設用資機材(アンカー・ケーブル等):数量 27.6(出荷量(千トン,推定))× 価格 67(平均単価(万円/トン,名目,推定))→ 売上 185 億円・営業利益 14 億円。営業利益率7.5%
- 建築用資材(内装・仮設・鉄骨):数量 20,000(施工・納入件数(件,推定))× 価格 64(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 128 億円・営業利益 7 億円。営業利益率5.5%
- 補修・補強工事:数量 600(工事件数(件,推定))× 価格 949(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 57 億円・営業利益 6 億円。営業利益率10.0%
- 建設コンサルタント:数量 299(受注業務数(件,推定))× 価格 400(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。営業利益率8.0%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍。全体の PER 14.44 倍、時価総額 254 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新規3事業が当たり、研究開発費が収益になって営業利益が20億円台に乗る筋書き。前の計画も達成しておらず、1割未満にとどめた。
やや楽観 20% やや楽観:研究開発費が減り、補修が伸びる 利益 13 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 581 円176 億円
建設用資機材は数量が8%増え、補修・補強工事は1.35倍になる。建築用資材は横ばいに近い。
研究開発費は3億円台まで減り、新規事業の損失は縮む。営業利益は20億円近くまで上がり、営業利益率は5%台半ばに届く。鋼材の価格は物価ほど上がらず、粗利は守られる。
配当は利益の3〜4割で、DOEの方針を維持する。自己資本利益率は9%台に乗る。
新規事業の成否が見えるまで、費用は一定残る。それでも、本業の利益が費用を上回る形になる。補修・補強の技術者の採用が進み、小さなM&Aで人材を取り込む動きも出る。建築用資材は選別受注で利益率を守る。
- 建設用資機材(アンカー・ケーブル等):数量 25.9(出荷量(千トン,推定))× 価格 66(平均単価(万円/トン,名目,推定))→ 売上 171 億円・営業利益 12 億円。営業利益率7.0%
- 建築用資材(内装・仮設・鉄骨):数量 19,200(施工・納入件数(件,推定))× 価格 64(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 123 億円・営業利益 6 億円。営業利益率4.8%
- 補修・補強工事:数量 540(工事件数(件,推定))× 価格 949(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 51 億円・営業利益 5 億円。営業利益率9.5%
- 建設コンサルタント:数量 253(受注業務数(件,推定))× 価格 388(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。営業利益率6.5%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.61 倍、時価総額 176 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:研究開発費が段階的に減り、補修・補強が伸びて営業利益が20億円近くになる筋書き。直近の部門利益(14億円)の改善を踏まえ2割。
中立 40% 中立:本業は堅調、研究開発費が利益を食い続ける 利益 8 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 359 円108 億円
建設用資機材の数量は横ばいで、価格は物価より少し低い1.30倍。補修・補強工事は1.2倍に伸び、部門利益率は8.5%を保つ。建築用資材は数量が1割弱減る。
研究開発費は5億円台まで減る。新規事業は成果が小さく、利益には届かない。営業利益は13億円と、直近の2倍強だ。
設備の償却は今の設備の分が取得原価のまま続き、更新の投資は建築費の上昇で膨らむ。償却を上回る分は借入か自己資金で賄う。
配当は利益の4〜5割で、DOE3.5%の水準を保つ。自己資本利益率は6〜7%で、資本コストには届かない。新規事業は小さな成果にとどまり、費用を回収するには至らない。会社の中期目標は、この筋書きでは未達に終わる。
- 建設用資機材(アンカー・ケーブル等):数量 24.0(出荷量(千トン,推定))× 価格 65(平均単価(万円/トン,名目,推定))→ 売上 156 億円・営業利益 9 億円。営業利益率6.0%
- 建築用資材(内装・仮設・鉄骨):数量 18,400(施工・納入件数(件,推定))× 価格 63(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 116 億円・営業利益 5 億円。営業利益率4.2%
- 補修・補強工事:数量 480(工事件数(件,推定))× 価格 949(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 46 億円・営業利益 4 億円。営業利益率8.5%
- 建設コンサルタント:数量 230(受注業務数(件,推定))× 価格 388(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。営業利益率5.0%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 108 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業界の見通し(補修需要は堅調、建築用資材は縮小)に沿った中心。研究開発費は中計の期間が終わる頃に、今の7割まで減るとみる。
やや悲観 24% やや悲観:研究開発費が続き、価格転嫁が遅れる 利益 4 億円 · PER 7.6 倍 · 株価時価総額 108 円33 億円
建設用資機材の数量は5%減り、価格転嫁は物価に届かない。補修・補強は技術者不足で数量が横ばいにとどまる。
研究開発費は物価で膨らみ、7億円台で残る。新規事業は収益化せず、発電事業の国の支援も得られない。
営業利益は7億円と、直近並みにとどまる。経常損益は黒字を保つが、余裕は薄い。補修・補強の利益率は競争で下がり、建築用資材は選別受注で数量を落とす。
配当は金額を維持するが、利益の大半を占める。自己資本利益率は4%に届かない。借入の返済は進まず、設備の更新を先送りする判断も出てくる。財務の特約に触れない水準を保つのが精一杯だ。
- 建設用資機材(アンカー・ケーブル等):数量 22.8(出荷量(千トン,推定))× 価格 63(平均単価(万円/トン,名目,推定))→ 売上 143 億円・営業利益 8 億円。営業利益率5.5%
- 建築用資材(内装・仮設・鉄骨):数量 17,000(施工・納入件数(件,推定))× 価格 59(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 101 億円・営業利益 4 億円。営業利益率3.5%
- 補修・補強工事:数量 400(工事件数(件,推定))× 価格 921(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。営業利益率7.5%
- 建設コンサルタント:数量 207(受注業務数(件,推定))× 価格 358(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。営業利益率3.0%
倍率:自己資本利益率は約3.8%で資本コストに届かず、新しく投じるお金の稼ぎは5.5%。g3%で正当化PERは約9.5倍、構造的に細る部門を抱えるのでその8割の7.6倍。
確率:研究開発費が現状のまま残り、鋼材高の転嫁が遅れる筋書き。直近の営業利益率2.4%の延長線上で、2割台半ばの確率。
悲観 8% 悲観:赤字が続き、財務の特約が重しになる 利益 −5 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 73 円22 億円
建設用資機材の数量が2割減り、建築用資材も3割減る。価格の転嫁が遅れ、粗利が痩せる。
研究開発費は減らされず、営業損失は5億円規模になる。経常赤字が2期続き、財務の特約に触れて借入条件が悪化する。
新規事業は撤退となり、研究開発の資産が減損される。自己資本は80億円まで減る。離職も増え、設計に食い込んだ顧客との関係が弱まる。
時価総額は稼ぐ力でなく、売れる資産で測る。配当は大きく減らされ、少数株主に戻る額は小さい。補修・補強の技術者も流出し、本業の足場まで傷む。時間をかけて立て直すにしても、10年のうちには戻りきらない。
- 建設用資機材(アンカー・ケーブル等):数量 19.2(出荷量(千トン,推定))× 価格 58(平均単価(万円/トン,名目,推定))→ 売上 111 億円・営業利益 3 億円。営業利益率3.0%
- 建築用資材(内装・仮設・鉄骨):数量 14,000(施工・納入件数(件,推定))× 価格 54(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 76 億円・営業利益 −1 億円。営業利益率-1.0%
- 補修・補強工事:数量 340(工事件数(件,推定))× 価格 850(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。営業利益率4.0%
- 建設コンサルタント:数量 161(受注業務数(件,推定))× 価格 329(1件あたり売上(万円,名目,推定))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。営業利益率-5.0%
倍率:赤字では稼ぐ力は測れない。床は売れる資産の税後で測り、今の自己資本105億円に対するPBR0.21倍(時価総額22億円)に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.28 倍・時価総額 22 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:本業の数量が構造的に減り、研究開発費が続いて赤字になる筋書き。売れる資産が床になるため、1割未満にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設用資機材(アンカー・ケーブル等)
アンカー、落橋防止装置、PC用ケーブルなどの建設用資機材。売上の約47%、部門利益の約50%。
| 数量出荷量(千トン,推定) | 価格平均単価(万円/トン,名目,推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 24.0 | 50 | 120 | 7 |
| 10 年後 中立 | 24.0 | 65 | 156 | 9 |
取り方:有報の部門売上120.2億円・部門利益7.2億円をそのまま使い、数量は売上÷単価の推定(単価は非開示、トンあたり約50万円と置いた)。数量は補修需要と工期のずれ戻しで10年1.0倍、価格は鋼材が物価ほど上がらず1.30倍。
建築用資材(内装・仮設・鉄骨)
内装・仮設の建築用資材と鉄骨工事。売上の約39%、部門利益の約29%。
| 数量施工・納入件数(件,推定) | 価格1件あたり売上(万円,名目,推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20,000 | 49 | 99 | 4 |
| 10 年後 中立 | 18,400 | 63 | 116 | 5 |
取り方:有報の部門売上98.6億円・部門利益4.1億円。数量は件数の推定(1件あたり約49万円と置いた)。数量は内装の縮小と施工量の減少で10年0.92倍、価格は競争が厳しく1.28倍。
補修・補強工事
橋・道路などの補修・補強工事。売上の約11%、部門利益の約18%。
| 数量工事件数(件,推定) | 価格1件あたり売上(万円,名目,推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 709 | 28 | 2 |
| 10 年後 中立 | 480 | 949 | 46 | 4 |
取り方:有報の部門売上28.3億円・部門利益2.5億円。数量は件数の推定(1件あたり約700万円と置いた)。数量は国土強靱化で10年1.2倍(技術者の数が上限)、価格は物価並み1.34倍。
建設コンサルタント
橋梁などの設計を行う建設コンサルタント。売上の約3%。
| 数量受注業務数(件,推定) | 価格1件あたり売上(万円,名目,推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 230 | 299 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 230 | 388 | 9 | 0 |
取り方:有報の部門売上6.9億円・部門利益0.4億円。数量は受注業務数の推定。海外のJICA案件以外の受注は道半ばで、10年1.0倍、価格は1.30倍。
リスクと懸念
研究開発費が収益を生まない
部門に属さない研究開発費が年8億円ある。発電事業の開始は計画より遅れ、ESCONも想定を大きく下回った。新規事業が実らなければ、営業利益の大半を食い続ける。
工期の見直しと人手不足
時間外労働の規制や「4週8閉所」で工期の見直しが相次ぎ、納入が後ろにずれた。直近期は2事業で10億円弱の減収になった。今後も構造的に続く恐れがある。
原材料と価格転嫁
製造原価の約7割が鋼材やPC鋼線などの原材料費だ。市況が上がっても、発注先への転嫁には時間がかかる。建築用資材は競争が厳しく、選別受注で量が減る。
財務特約と赤字
借入には、経常損益が2期連続の赤字にならないこと、純資産を維持することが求められる。研究開発費が続く中で赤字が重なれば、借入条件が悪化する。
補修・補強の技術者不足
補修・補強工事は過去最高だが、成長は技術者の数に制約される。競争も激しく、案件の小型化で利益率が下がっている。
繰延税金資産と純利益の振れ
繰延税金資産を取り崩すと、本業が堅くても純損失になる。利益の見通しが甘ければ、再び取り崩しが出る。
今後の分かれ目
- 研究開発費が半分に絞られる、または新規事業が収益化する
- 営業利益は10億円台に乗り、自己資本利益率は資本コストに近づく。やや楽観から楽観の筋書きに寄る。
- 鋼材が急騰し、転嫁が1年以上遅れる
- 粗利が圧迫され、営業利益は半分以下に落ちる。やや悲観の筋書きに寄る。
- 経常損益が2期連続で赤字になる
- 財務の特約に抵触し、借入条件が悪化する。悲観の筋書きに寄る。
- 国土強靱化の予算が拡充される
- 補修・補強とアンカーの需要が伸び、建設用資機材の数量が1.2倍に近づく。
- エヌセックが持株比率を引き上げる、または再編を提案する
- 少数株主に上乗せ価格が付く可能性がある。ただ、材料はなく織り込まない。
見ておくもの
- 研究開発費の額と発電事業の進捗
- 建設用資機材の受注と納入の戻り
- 補修・補強工事の売上と利益率
- 鋼材価格と価格転嫁
- 経常損益と財務特約
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。10年後の自己資本利益率は4〜11%で、資本コスト7.75%を中立では下回り、正当化PERの8〜9割に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。直近の純損失は繰延税金資産の取崩しによる一過性として、起点の純利益はならして3.5億円とした。研究開発費は中立で今の7割(物価込み)まで減る前提。新リース会計基準の影響は小さいとみて、10年後は今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.9→14.44 倍・やや楽観 PER 10.9→13.61 倍・中立 PER 9.7→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。