結論
アマテイは尼崎で釘を作り、岩手の子会社ナテックで自動車や電子機器向けの特殊なねじを作る会社だ。筆者の結論は、今の値段は割高だというものだ。稼ぎは安定してきたが、資本コストを上回るほどではなく、借入も重い。
釘の国内の需要は、8割を輸入品が占める。アマテイは国産の特殊な釘と釘打機で、残りの2割の上の方を取る。住宅の着工は細るが、木造の中高層建築やツーバイフォーの住宅という新しい出番もある。
営業利益率は4年続けて3〜4%台に乗り、前の中期計画の目標もすべて達成した。経営は身の丈を守っている。ただ、借入は自己資本に近く、金利が上がれば利払いが利益を削る。
10年後の中立でも、自己資本利益率は5%台にとどまると筆者は見る。帳簿の自己資本16億円は、資本コストを下回る稼ぎでは床にならない。安定はしたが、優良な事業に変わったわけではない。
大株主は鉄鋼商社の伊藤忠丸紅鉄鋼と神戸製鋼所で、原料の仕入れでも結びつく。少数の株主にとっては、大株主が残りの株を買う時の値段が、いちばん現実的な出口になるだろう。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、アマテイは「誠実に経営された、平凡な事業」だ。前の中期計画の目標を達成し、利益率を戻した経営は評価できる。ただ、事業の経済性そのものは変わっていない。
釘は汎用品で、国内の需要の8割を輸入品が取る。アマテイは残りの席で品質を売るが、その席は住宅の着工とともに細る。ナテックのねじは少し強いが、全社の3割にすぎない。
筆者がいちばん気にしているのは、資本コストとの差だ。いちばん良い年でも、自己資本利益率は資本コストに届かない。その場合、利益をためても株主の価値は額面ほど増えない。借入が自己資本を上回る形も、金利が上がる世界では安全域を薄くする。
長く持ちたい事業とは言いにくいが、壊れる事業でもない。値段が帳簿の価値を大きく下回れば話は別だが、今の値段にその余裕は見えない。
何で稼ぐ会社か
事業は2つに分かれる。売上の7割を占める建設・梱包向と、3割の電気・輸送機器向だ。
建設・梱包向は、尼崎の本社工場で作る釘が中心だ。普通の釘のほか、住宅の構造に使う特殊な釘、テープやワイヤでつないだ連結釘、それを打つ釘打機を売る。売り先は建材の問屋や商社で、大東スチール1社が売上の2割強を占める。物を梱包する木箱やパレット用の釘も扱う。
釘の国内の需要の8割は、中国や東南アジアからの輸入品だ。アマテイは海外の協力工場に作らせた品と国産品を組み合わせ、国産の高い品質が要る釘で利益を取る。2026年3月期は売上38億円で、セグメントの利益は3.2億円だった。
電気・輸送機器向は、2021年に完全子会社にしたナテックが担う。岩手県奥州市の工場で、自動車のモーターやバッテリー、電子機器に使う小さなねじと特殊な締結部品を作る。海外の特許を使うライセンス品が強みだ。売上は16億円、利益は1.1億円だった。
本社の費用は年2億円で、2つの事業の利益の半分近くを食う。小さな会社では、この固定費の重さが利益率の天井を決める。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは薄いと筆者は見る。釘は汎用品で、需要の8割を安い輸入品に取られている。アマテイが守るのは、品質と納期が要る国産の特殊な釘という狭い席だ。
値段を決める力は弱いが、ゼロではない。2022年以降、鋼材の値上がりを値上げで取り戻し、営業利益率は0%台から4%台に戻った。売上総利益率は18%台を保っている。
ナテックのねじは、自動車のモーターやバッテリーの部品に入る。一度採用されると車の型が変わるまで使われ続ける。ここは釘より少し強い。
弱い点は資本の効率と借入だ。自己資本利益率は2026年3月期で9.6%と、過去10年で最も良い水準にある。それでも資本コストを少し下回る。借入は19億円と自己資本16億円を上回り、金利が上がる世界では重しになる。金利が3.5%に上がれば、利払いだけで純利益の3割近くが消える。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
釘の需要は、木造の住宅の着工にほぼ連動する。新設住宅の着工は人口と世帯の減少で細り、10年先は今より2割ほど少ないとの見方が多い。持家の着工は、建築費と金利の上昇でさらに弱い。
一方で新しい出番もある。国は公共の建物や中高層の建物に木材を使う政策を進めており、木造の店舗や事務所が増えている。こうした建物には、強度の認定を取った特殊な釘が要る。人手不足で、組み立ての速いツーバイフォーの住宅も増えている。釘の量の減りは、住宅ほど大きくはならないと筆者は見る。
競争の相手は、何より輸入品だ。普通の釘は値段で勝てない。国内の同業は小さな会社が多く、釘打機ではマックスやマキタといった大手がいる。
ねじの側は、自動車の生産に左右される。国内の生産は横ばいからやや減る見方が多いが、電動車の部品は1台あたりのねじの数を増やす。2つの事業の量の動きは、少しずつ逆を向いている。
原料の線材は、大株主の神戸製鋼所などから買う。鋼材の値段は中国の過剰な生産が天井を抑えるが、電気代と物流費は上がり続ける。値上げが遅れる間の利益の目減りは、これからも毎年の課題になる。
資本政策と M&A
還元は年1回の配当で、配当性向は4割だ。2026年3月期は総額0.6億円を払った。自社株買いの実績はほとんどない。
大株主は鉄鋼商社の伊藤忠丸紅鉄鋼と神戸製鋼所で、議決権をそれぞれ2割前後持つ。原料の線材の仕入れと販売の両方で、この2社とのつながりは深い。2023年には名証メインにも上場した。
買収は2021年のナテックの完全子会社化が最後だ。大株主の2社が残りの株を買う可能性はあるが、会社は何も示していない。借入を減らすことが当面の資本の使い道になる。利益は配当と借入の返済に回り、現金が積み上がる形ではない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益の形は変わった。2022年までは利益率1%を割る年が続いたが、この4年は3〜4%台に乗っている。値上げが通り、海外の協力工場の品と国産品の組み合わせも上手くなった。前の中期計画の目標はすべて達成し、今の計画でも自己資本利益率の目標を1年目で超えた。
木造の中高層建築は、国の政策で確実に増える。こうした建物には認定を取った特殊な釘が要り、輸入品では代わりにくい。ツーバイフォーの住宅も、人手不足で増えている。住宅の着工が減っても、釘の量は思ったほど減らない。
ナテックは電動車の部品で伸びる。モーターやバッテリーには、樹脂やアルミを留める特殊なねじが多く要る。海外の特許を使うライセンス品は、作れる会社が限られる。
大株主の伊藤忠丸紅鉄鋼と神戸製鋼所は、いずれ残りの株を買い取るかもしれない。その時は帳簿の価値に近い値段がつきうる。
借入も減ってきた。2026年3月期は長期借入を返し、純有利子負債は2年で半分近くになった。利払いが増えても、返済を進めれば痛手は限られる。
慎重な見方
4年の好調は、鋼材の値上がりを値上げで取り戻した一度きりの動きにすぎない。2015年から2022年まで、営業利益率は0〜3%台を行き来していた。値上げが一巡すれば、利益率は元に戻りうる。
住宅の着工は細る一方で、持家は特に弱い。木造の中高層建築は増えるが、釘の量で見れば住宅の減りを埋めるほどではない。売上の2割強を持つ大東スチールが仕入れ先を変えれば、利益は一度に消える。
ナテックの売り先は自動車だ。国内の自動車の生産が海外へ移れば、ねじの量も減る。2026年3月期も一部の売り先の生産調整で利益が1割減った。
借入19億円は自己資本16億円を上回る。今は年1%ほどの金利で済んでいるが、3.5%に上がれば利払いは3倍になり、純利益の3割近くが消える。資本コストを下回る稼ぎの会社に、帳簿の価値どおりの値段は払えない。
帳簿にない強みも小さい。土地の含み益は少しあるが、工場を止めない限り現金にはならない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方がやや強い。4年の利益率の回復は本物だが、値上げの一巡と金利の上昇が、その先の伸びを抑える。強気の見方で確かなのは、経営の誠実さと木造建築という新しい出番だ。中立は今の利益率をほぼ保つ筋書きに置き、確率は日本パワーファスニングより少し上の側に寄せた。悲観は清算の積み上げで置き、帳簿の自己資本には頼らない。木造建築の伸びが数字で見えてくれば、確率を上の側へ動かす。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 145 円17 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 41 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 89 円11 億円、今との差 −43.5%、 期待の年率 +1.6%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 367 円43 億円 | 76 円9 億円 | +180.0% | +10.8% | 31 円4 億円 |
| やや楽観 | 18% | 243 円29 億円 | 61 円7 億円 | +91.9% | +6.7% | 55 円6 億円 |
| 中立 | 38% | 160 円19 億円 | 48 円6 億円 | +31.2% | +2.8% | 79 円9 億円 |
| やや悲観 | 24% | 53 円6 億円 | 21 円3 億円 | −53.3% | −7.3% | 18 円2 億円 |
| 悲観 | 13% | 17 円2 億円 | 8 円1 億円 | −84.0% | −16.7% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 145 円17 億円 | 41 円5 億円 | +17.3% | +1.6% | 185 円22 億円 |
今の株価時価総額 158 円19 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 木造建築と電動車の部品で、利益率が6%台に乗る 利益 3 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 367 円43 億円
10年後、アマテイは小さいながら一段上の会社になっている。国が進める木造の中高層建築が広がり、強度の認定を取った特殊な釘の量が伸びる。住宅の着工は減るが、釘の量は1割も減らない。値上げは物価より少し強く通る。
ナテックは電動車のモーターやバッテリーの部品で採用を増やし、ねじの量は2割5分増える。2つの事業の利益率はそろって9〜10%に乗り、全社の営業利益率は6%台になる。
借入は利益で少しずつ返し、利払いの重さも和らぐ。自己資本利益率は10%を超え、ようやく資本コストを上回る。配当は利益に合わせて増える。
- 建設・梱包向(釘・釘打機):数量 7,235(推定出荷量(トン))× 価格 70(1トンあたり平均単価(万円))→ 売上 51 億円・営業利益 5 億円。木造の中高層で特殊な釘が伸びる
- 電気・輸送機器向(ナテックのねじ):数量 196(推定出荷本数(百万本))× 価格 14(1本あたり平均単価(円))→ 売上 27 億円・営業利益 2 億円。電動車の部品で量が伸びる
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.24 倍、時価総額 40 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率6%台は1990年代の山を超える水準で、記録の裏づけが薄い。木造建築と電動車の両方が追い風になる時だけなので小さく置いた。
やや楽観 18% 今の中期計画に届き、利益率5%前後を保つ 利益 2 億円 · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 243 円29 億円
10年後、アマテイは今の中期計画の目標を超えた水準で安定している。住宅向けの釘は1割減るが、木造の建物とツーバイフォーの住宅がその一部を埋める。ナテックの量は電動車の部品で1割増える。
値上げは物価並みに通り、営業利益率は5%に近づく。本社の費用は物価で増えるが、売上の伸びがそれを吸収する。
借入の金利は上がるが、借入の額を減らすことで利払いの増えを抑える。自己資本利益率は8%前後で、資本コストにあと一歩届かない。配当は配当性向4割のまま増え、大株主との関係も変わらない。
利益は配当と借入の返済に回り、純有利子負債は今の半分ほどに減る。
- 建設・梱包向(釘・釘打機):数量 6,854(推定出荷量(トン))× 価格 69(1トンあたり平均単価(万円))→ 売上 47 億円・営業利益 4 億円。住宅の減りを木造建築が補う
- 電気・輸送機器向(ナテックのねじ):数量 175(推定出荷本数(百万本))× 価格 14(1本あたり平均単価(円))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。電動車の部品がやや伸びる
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.0 倍。全体の PER 11.99 倍、時価総額 25 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今の中期計画(売上60億円・営業利益2.45億円)の線を少し上回る道。前の計画を達成した実績があるので2割弱を置いた。
中立 38% 住宅の縮みを木造建築で一部埋め、利益率4%前後を保つ 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 160 円19 億円
10年後、アマテイは今とあまり変わらない姿だ。住宅の着工の減りで釘の量は15%減るが、木造の建物とツーバイフォーの住宅が減りを和らげる。ナテックの量は、国内の自動車生産の減りと電動車の部品の増えが打ち消し合い、横ばいにとどまる。
値段は物価並みに上がり、売上は64億円ほどになる。2つの事業の利益率は今とほぼ同じで、本社の費用も物価で増える。全社の営業利益率は4%弱だ。
借入の金利が3.5%に上がり、利払いは今の3倍になる。純利益は今とほぼ同じ1.4億円にとどまり、自己資本利益率は5%台に下がる。配当は細々と続き、大株主の2社との関係も今のままだ。
- 建設・梱包向(釘・釘打機):数量 6,474(推定出荷量(トン))× 価格 67(1トンあたり平均単価(万円))→ 売上 43 億円・営業利益 4 億円。住宅の減りを一部補う
- 電気・輸送機器向(ナテックのねじ):数量 157(推定出荷本数(百万本))× 価格 13(1本あたり平均単価(円))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。横ばい
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 16 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:この4年の利益率3〜4%台がほぼ続く道。値上げの一巡と金利の上昇で伸びはしないが、崩れる理由も今は見えないので最も厚く置いた。
やや悲観 24% 値上げが一巡し、輸入品に押されて利益がほぼ消える 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 53 円6 億円
10年後、アマテイは再び薄利の会社に戻っている。鋼材の値上がりを取り戻す値上げは一巡し、その後の値上げは物価に届かない。安い輸入品が国産の釘の席にも入り込み、釘の量は4分の1減る。
ナテックも、国内の自動車生産が海外へ移り、ねじの量が15%減る。営業利益はほぼゼロになり、上がった金利の利払いで純利益は赤字に沈む。
配当は減り、やがて止まる。会社は人員と設備を絞って耐えるが、借入の返済が先に立つ。大株主の2社が支えるかどうかが、少数の株主の行方を決める。帳簿の自己資本は残っていても、それを動かす力は少数の株主には無い。
- 建設・梱包向(釘・釘打機):数量 5,712(推定出荷量(トン))× 価格 63(1トンあたり平均単価(万円))→ 売上 36 億円・営業利益 2 億円。輸入品に押され量が減る
- 電気・輸送機器向(ナテックのねじ):数量 133(推定出荷本数(百万本))× 価格 13(1本あたり平均単価(円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。国内の生産が減る
倍率:純利益が赤字でPERは使えない。今の自己資本15.7億円に0.25倍。床の資産3.9億円(floor_assets)で置いた。営業利益0.4億円に対しEV(時価総額+純負債12億円)は約41倍で、利益の倍率では測れない筋書き。
確率:2015〜2022年の利益率0〜3%台へ戻る道。値上げの一巡と輸入品の圧力、金利の上昇が重なれば自然に起きるので厚めに置いた。
悲観 13% 大口を失い、事業の整理に追い込まれる 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 17 円2 億円
10年後、アマテイは構造的に負けている。売上の2割強を持つ大口の取引先が仕入れ先を輸入品に切り替え、釘の量は4割減る。ナテックも主な売り先が生産を海外へ移し、量は3分の1減る。
営業赤字が続き、工場の減損で自己資本は大きく減る。借入の金利は上がり、赤字を深くする。配当は止まり、会社は事業の売却や大株主への統合で生き残りを探る。
少数の株主には、資産の使い道を決める力がない。帳簿の自己資本は床にならず、価値は借入を返したあとに残る土地と運転資金のごく一部だけになる。
大株主の2社が手を差し伸べるかどうかは、少数の株主にはわからない。救済の形になれば、その値段は帳簿を大きく下回る。
- 建設・梱包向(釘・釘打機):数量 4,570(推定出荷量(トン))× 価格 58(1トンあたり平均単価(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。大口を失い量が4割減る
- 電気・輸送機器向(ナテックのねじ):数量 102(推定出荷本数(百万本))× 価格 12(1本あたり平均単価(円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。売り先の生産が海外へ
倍率:赤字でPERは使えない。今の自己資本15.7億円に0.13倍。床の資産2.0億円(floor_assets)で置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.127 倍・時価総額 2 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:大東スチールへの2割強の依存と、2010年前後の赤字の前例がある。ただ前の計画を達成した経営で財務の存続の疑いは今は無く、日本パワーファスニングより少し低く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設・梱包向(釘・釘打機)
尼崎の本社工場で作る普通釘・特殊釘・連結釘と釘打機。海外の協力工場の品も扱う。
| 数量推定出荷量(トン) | 価格1トンあたり平均単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,616 | 50 | 38 | 3 |
| 10 年後 中立 | 6,474 | 67 | 43 | 4 |
取り方:セグメントの売上38.08億円・利益3.20億円(2026/03期短信)。数量の開示は無く、普通釘・特殊釘・連結釘・釘打機を合わせた平均単価を1トン50万円と推定し、約7,600トンとした。中立の数量は住宅着工の減少(2割弱)を木造の中高層建築とツーバイフォーで一部補い10年0.85倍、価格は物価並み1.34倍。償却費は年0.7億円で物価では増えず、更新の分だけ増える。
電気・輸送機器向(ナテックのねじ)
子会社ナテック(岩手県奥州市)の精密ねじ・自動車部品用ねじ・ライセンス品の特殊締結部品。
| 数量推定出荷本数(百万本) | 価格1本あたり平均単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 157 | 10 | 16 | 1 |
| 10 年後 中立 | 157 | 13 | 21 | 2 |
取り方:セグメントの売上15.66億円・利益1.13億円(同)。数量の開示は無く、1本の平均単価を10円と推定し約1.6億本とした。中立の数量は国内の自動車生産の横ばい〜減少と電動車の部品の増加が打ち消し合い10年1.0倍、価格は物価並み。
リスクと懸念
大東スチールへの依存
売上の2割強を大東スチール1社が占める。仕入れ先を輸入品や他社に切り替えられれば、釘の事業の利益は一度に消える。値段の交渉でも買い手の側が強い。
金利の上昇と借入
借入19億円は自己資本16億円を上回る。今は年1%ほどの金利だが、借り換えで3.5%に上がれば利払いは年0.4億円ほど増え、純利益の3割近くを削る。
住宅着工の減少と輸入品
釘の需要は木造住宅の着工に連動し、人口とともに細る。需要の8割は既に輸入品で、国産の特殊な釘の席にも安い品が入り込みうる。
値上げの一巡
この4年の利益率の回復は、鋼材の値上がりを値上げで取り戻した動きが大きい。値上げが一巡すれば、2015〜2022年の0〜3%台へ戻るおそれがある。
自動車の生産の海外移転
ナテックのねじは国内の自動車と電子機器の生産に頼る。売り先が生産を海外へ移せば、量は減る。2026年3月期も一部の売り先の生産調整で利益が1割減った。
今後の分かれ目
- 今の中期計画の売上60億円・営業利益2.45億円に届いたら
- 利益率の回復が値上げの一巡を越えて続くと見て、やや楽観の確率を厚くする。
- 営業利益率が2年続けて3%を割ったら
- 値上げの効果が切れたと見て、やや悲観の側へ確率を移す。
- 大東スチール向けの比率が15%を割ったら
- 大口が仕入れ先を絞り始めた兆しと見て、悲観の確率を上げる。
- 伊藤忠丸紅鉄鋼か神戸製鋼所が残りの株の取得を示したら
- 本質価値の外の話として、条件と少数株主の扱いを見て判断する。
- ナテックの電動車向けの売上が開示で伸びを示したら
- ねじの量を中立でも増やす根拠と見て、中立の数量を上げる。
見ておくもの
- セグメント別の売上と利益率
- 新設住宅着工戸数と木造の非住宅の着工
- 大東スチール向けの売上の比率
- 借入金の額と平均金利
- 国内の自動車生産台数
倍率と資本コストの決め方
釘とねじに分け、数量は推定(釘は1トン50万円、ねじは1本10円)で、中立は釘0.85倍・ねじ1.0倍、価格は物価並み。中立の営業利益率3.9%は過去12年の山4.4%以下。償却費は年1.5億円前後で物価では増えない。倍率はROEがkを下回るので1÷kの約7割、悲観側は清算の積み上げで置き、今のPER13倍・PBR1.2倍から逆算していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.9→13.24 倍・やや楽観 PER 8.6→11.99 倍・中立 PER 7.8→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality+1.75%。黒字が続き財務の存続に疑いは無いので上乗せは置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 8.75%。