結論
フジマックは、病院や学校の給食室、ホテル、外食店の厨房に使う機器を、設計から製造・施工・保守までまとめて請け負う会社だ。売上は470億円台で、営業利益率は6%台である。筆者の結論は、10年で見れば今の値段はやや割安というものだ。
理由は二つある。一つは、利益の水準に対して値段が低いこと。もう一つは、2026年に東京都港区の賃貸用の土地を売り、現金が一段と厚くなったことだ。売却益は約32億円、これは時価総額の2割に当たる。
事業そのものは派手でない。国内の外食店や病院の数は増えないが、厨房機器は10〜15年で替え時が来る。人手不足は省人化の機器を後押しする。値上げも物価並みには通してきた。海外は小さく、成長の主役になる規模ではない。
慎重に見る点も多い。2026年の上期は営業利益が1割以上減り、会社予想に届かなかった。ステンレスや電子部品の値上がりが利益を削る。上位2社で株の4割強を持つ構造から、現金が株主へ戻る姿勢も強くない。余った現金は帳簿の半分しか数えなかった。それでも値段には余裕が残る。
売上の伸びは物価の分が中心で、数量は横ばいと置いた。それでも10年で利益が1.3倍ほどになれば、値段との差は埋まっていく。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「地味だが現金に守られた会社」と映る。事業の質は平凡で、独自の堀は限られる。ただし病院や給食、更新需要という安定した需要を持ち、設計から保守までを担う関係は簡単には崩れない。
いちばんの魅力は値段との関係だ。利益の水準に比べて値段が低く、しかも2026年の土地売却で現金が増えた。事業を中くらいに評価しても、安全域が残る。
一方で、懸念は資本の使い方にある。ROEが資本コストをわずかに上回る程度で、現金を持ち過ぎている。筆頭株主が事業会社で、上位2者が4割強を持つ以上、買収や自社株買いで資本効率を高める保証はない。そこで、余った現金の価値は半分だけ数えた。
10年持つ前提なら、見るべきは二つだ。一つは営業利益率が6%台を保てるか。もう一つは現金が株主に戻るかである。この会社に高い成長を期待する必要はない。成長しなくても、物価並みに利益が積み上がり、現金が少しずつ戻れば、結果は悪くならない。筆者はそう見ている。
経営者の質は、資産の使い方に表れる。賃貸用の土地を売って特別配当を出したことは、悪くない判断だ。次の一手が自社株買いなど資本効率の改善になるかどうかを、見ておきたい。
何で稼ぐ会社か
フジマックの仕事は、厨房を丸ごと整えることだ。加熱機器、冷蔵・冷凍、洗浄、配膳、炊飯、パン用の機器、省人化の機器までそろえる。自社で作るものに加え、仕入れて売るものも多いとみられる。製造原価で測った生産実績は70億円ほどにとどまり、連結売上との差は仕入れ品と施工、保守が埋めている。
顧客は病院・老健施設、学校・企業の給食、ホテル・旅館、外食チェーン、セントラルキッチンや食品工場だ。給食や病院は景気に左右されにくく、外食やホテルは新店と改装の波を受ける。同じ機械でも、現場の動線や衛生基準に合わせた設計と施工が付くため、価格だけで選ばれにくい。
代表的な製品は、オーブンの一種であるコンビオーブンだ。蒸気と熱風を使い分け、大量調理を均一に仕上げる。1992年にドイツ・ラショナル社製の輸入と国内販売の事業を引き継いだことが、出発点になった。ほかに、ベルトで運ぶジェットオーブン、食器の自動仕分けロボット、厨房の温度を管理するクラウドの仕組みなどを出している。
拠点は日本、中国、シンガポール、ベトナムにあり、グループは子会社21社を抱える。開示は厨房機器の単一セグメントで、国内と海外に分けた数字は筆者の推定である。国内が約9割、海外が約1割とみている。従業員は約1,160人と、売上の割に人手を要する事業だ。
2026年は、保有していた賃貸用の土地を譲渡した。本業ではないが、会社の資産の使い方を考える材料になる。
優良さと弱いところ
強みは、設計から保守までを一括で担える点にある。厨房は設計の良し悪しで作業の速さが変わり、故障すると店や給食が止まる。保守の網があることが、乗り換えにくさにつながる。コンビオーブンなど輸入の主力製品を長く扱ってきた実績も、顧客との関係の土台だ。
弱みは、値決めの力と規模である。国内市場の首位級はホシザキで、冷蔵や製氷の分野で強い。マルゼンや中西製作所、タニコーも似た領域で競い、見積もりの競争は厳しい。粗利益率は33%で、悪くない水準だが、製品の独自性だけで高く売れる会社ではない。
業績の振れも大きい。営業利益率は2018年3月期の7.0%が過去の山で、コロナ下の2020年12月期は0.2%まで落ちた。景気や外食の投資意欲に素直に連動する。直近は6%台で、山に近い所にいる。
資本効率は平凡だ。ROEは9%で、資本コストを少し上回る。ただし、2026年の土地売却で自己資本が一時的に厚くなり、ROEは見かけ上下がる。筆頭株主の事業会社が3割強を持ち、経営は安定している反面、資本効率を高める外部の圧力は弱い。優待は2023年に廃止し、配当に切り替えた。
過去の数字を見ると、営業利益率は5〜7%の幅で動き、伸びても7%を超えない。ここに高い倍率を払う理由は乏しく、筆者は成長でなく安定と現金を評価している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業務用厨房機器の需要は、新しい店を作る分と、機器を入れ替える分に分かれる。機器は10〜15年で替え時が来るため、更新の需要は安定している。国内の外食店舗や病院の数は伸びないが、人手不足が厨房の省人化と自動化を後押ししている。皿洗い、仕分け、調理の機械を入れて、人を減らす動きだ。
市場の規模は、同じ領域のマルゼンの節にある推定を使い、国内で6,500億円規模とみる。成長は物価の分が中心で、数量はほぼ横ばいだ。外食の客数は人口とともに伸びず、訪日客の増加が下支えする。病院や給食は高齢化でむしろ底堅い。
競争は、大きく二つの型に分かれる。ホシザキやマルゼンのように、標準品を大量に作って売る会社。フジマックや中西製作所のように、顧客の現場に合わせて設計し、施工まで担う会社である。後者は景気の波を受けやすいが、案件ごとに値段を決められる余地がある。
外部環境の逆風は、材料費だ。ステンレスや電子部品が値上がりし、輸入品の為替も響く。2026年の上期にフジマックの営業利益が減ったのも、この影響が一因とみられる。値上げを通せるかが、利益率の分かれ目になる。
海外は、東南アジアと中国で日系の外食とホテルが広がり、需要がある。だが現地の競合も多く、国内ほどの利益率は見込みにくい。
もう一つの追い風は、衛生基準の厳格化である。食品衛生管理の義務化で、洗浄・殺菌・温度管理の機器を入れ替える動きがある。クラウドで温度を記録する仕組みは、この流れに合う。ただし、これだけで数量が大きく伸びるわけではなく、更新時期を前倒しする程度の効果と見る。
資本政策と M&A
資本政策の特徴は、現金が余っていることと、還元が控えめなことだ。配当性向は22〜23%で、方針に具体的な目標は見当たらない。自己株式は約117万株、発行済みの8%に達する。最近の自社株買いの実績は確認できていない。
2026年3月に、東京都港区の賃貸用の土地を譲渡すると発表した。売却益は約32億円で、中間期の特別利益に入る。これを原資に、中間と期末に特別配当を出す(総額で約2.6億円)。売却益のうち約20億円が税引き後の純利益に上乗せされ、自己資本は一段と厚くなる。
筆頭株主は事業会社のノヴァックスで、持株比率は3割強だ。個人筆頭の熊谷俊範氏と合わせると4割強になる。経営が安定する反面、現金を株主に戻すかどうかは大株主の意向に左右される。このため、余った現金は帳簿の半分だけを価値に数えた。
M&Aは、大きなものは見当たらない。海外の子会社は設立が中心で、買収は目立たない。TOBの可能性は、kabufuの推定で10年に3割余りある。現金が厚く、大株主が動けば実現しうるが、今は筋書きの確率に入れていない。
株主優待は2023年に廃止し、配当で還元する方針に切り替えた。
土地の売却代金の額と使い道は、確認できた開示の範囲では不明である。現金は純現金の26億円に売却の手取りが加わり、50億円前後になると推定した。設備投資は年18億円ほどで、借入なしで賄える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
省人化の波に乗る展開が考えられる。人手不足は外食だけでなく、病院や給食でも深刻だ。食器の自動仕分けロボットや、厨房の温度を遠隔で管理するクラウドの仕組みは、導入すれば人件費が減る。売り切りでなく、保守やサービスの収入が積み上がる形になれば、利益率は今より高く安定する。
海外にも伸びしろがある。東南アジアと中国に拠点を持ち、日系の外食やホテルの出店に合わせて設備を納められる。現在の売上の1割という規模が、10年で倍以上になっても不思議ではない。
財務面でも余地がある。土地売却で現金は厚くなり、借金はない。大株主が資本効率を意識し、自社株買いや増配を進めれば、ROEは資本コストを明確に上回る。特別配当を出した姿勢は、その兆しと読める。
物価上昇も追い風だ。厨房機器の更新は10〜15年に一度で、建築費や機器の値上がりを価格に転嫁しやすい。営業利益率が過去の山を超え、8%近くになる10年は、十分ありうる。
さらに、上期の減益は一時的な要因と読める。値上げは遅れて効いてくるため、下期から利益率が戻る可能性がある。会社が通期予想を据え置いているのは、そうした自信の表れかもしれない。
慎重な見方
2026年の上期は、売上が横ばいなのに営業利益が1割以上減り、会社予想の経常利益を2割以上下回った。ステンレスや電子部品の値上がり、為替、人件費が利益を削っている。値上げが顧客の予算に収まるかは、案件ごとの交渉次第だ。
国内の需要は人口とともに細る。外食店の数は伸びず、客数も減る。省人化の機器は売れても、設備投資を絞る顧客が増えれば、案件が先送りされる。ホシザキなど大手が標準品で攻めてくれば、フジマックの得意な案件にも価格競争が及ぶ。
利益の波も大きい。コロナ下の2020年12月期は営業利益がほぼゼロになった。次の不況では、同じことが起こりうる。さらに、ROEは資本コストを少し上回る程度で、現金を抱えるほど資本効率は下がる。上位2者の株主が4割強を持つ以上、現金が株主に戻る保証はない。
土地売却の益は一度きりで、利益の実力ではない。賃貸用の土地を手放せば、賃料の収入も失う。売却益を除いた実力の利益は、23億円前後にすぎない。
海外の売上は1割で、成長を担えるだけの規模ではない。国内の穴を海外で埋める絵は、数字の裏づけに乏しい。
決算の質も確かめたい。会社が示す2026年の純利益予想には、土地売却益が含まれている。
どちらに重みを置いたか
上期の営業利益の減少と、原材料高の転嫁の難しさは、慎重な見方が当たっている。一方で、土地売却による現金の厚みと、利益に比べた値段の低さは動かしにくい事実だ。
中立は、国内の数量を少し減らして価格を物価並みに上げ、利益率を過去の山の手前に置く形とした。確率は、景気循環の振れと上期の失速を重く見て、悲観の側を厚めにした。余った現金は、還元の実績が薄い点を考えて半分だけ数えた。その結果、値段には安全域が残るという判断になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 2,803 円367 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 668 円88 億円)。 今の値に割り戻すと 1,825 円239 億円、今との差 +57.9%、 期待の年率 +11.6%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,012 円657 億円 | 960 円126 億円 | +416.6% | +17.8% | 478 円63 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,036 円529 億円 | 824 円108 億円 | +320.4% | +15.4% | 972 円127 億円 |
| 中立 | 40% | 3,241 円425 億円 | 721 円95 億円 | +242.8% | +13.1% | 1,585 円208 億円 |
| やや悲観 | 23% | 1,089 円143 億円 | 488 円64 億円 | +36.4% | +3.2% | 363 円48 億円 |
| 悲観 | 9% | 534 円70 億円 | 286 円38 億円 | −29.0% | −3.4% | 74 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,803 円367 億円 | 668 円88 億円 | +200.3% | +11.6% | 3,471 円455 億円 |
今の株価時価総額 1,156 円152 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 省人化とサービス収入が伸びる 利益 43 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 5,012 円657 億円
人手不足が深まり、皿洗い、仕分け、調理の自動化が外食・病院・給食の標準になる。フジマックは食器の自動仕分けロボットや温度管理のクラウドを売り、導入後の保守とサービスの収入が積み上がる。
国内の台数はほぼ横ばいだが、1台あたりの単価は高付加価値の製品が増えて物価を上回って上がる。海外は日系外食とホテルの出店に合わせて拡大し、売上が2倍半に増える。
原材料の値上がりは価格に転嫁でき、営業利益率は8%に乗る。過去の山を超える姿だ。余った現金は大株主の理解を得て自社株買いと増配に回り、ROEは資本コストを上回る。10年かけて、会社の質が一段上がる筋書きである。
10年後には、売り切りの機器より、保守とクラウドの料金のほうが利益の安定に効く会社になっている。
- 国内の厨房機器・施工・保守:数量 17.9(台数換算(万台、施工・保守を含む概算))× 価格 35(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 627 億円・営業利益 50 億円。省人化機器で単価が物価超え
- 海外(中国・シンガポール・ベトナム):数量 2.5(台数換算(万台、概算))× 価格 54(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 134 億円・営業利益 12 億円。日系外食の出店に合わせ2倍半
倍率:事業の純利益 42 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 14.97 倍、時価総額 657 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:省人化の機器と保守の収入が積み上がり、海外も伸びる筋書き。人手不足は追い風だが、競合も同じ動きをするため8%にとどめた。
やや楽観 20% 値上げが通り海外が伸びる 利益 37 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 4,036 円529 億円
国内の台数は横ばいで、1台あたりの単価が物価をわずかに上回って上がる。省人化の機器の比率が少しずつ高まる効果だ。
海外は2倍強に増え、売上の比率が1割から1割強に上がる。海外の利益率は低い水準から少し改善する。原材料高の転嫁は遅れずに進み、営業利益率は7%台に乗る。過去の山と並ぶ水準である。
還元は配当性向を上げる形で進むが、自社株買いは限定的にとどまる。現金は積み上がる一方で、大株主の意向で一部は戻る。強気の見方が実現するが、突き抜けはしない筋書きである。
国内では病院と給食の更新が堅調で、外食の不振を補う。海外の拠点は赤字を脱し、全社の利益に小さく寄与する。
- 国内の厨房機器・施工・保守:数量 17.4(台数換算(万台、施工・保守を含む概算))× 価格 34(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 596 億円・営業利益 45 億円。台数横ばい・単価は物価超え
- 海外(中国・シンガポール・ベトナム):数量 2.1(台数換算(万台、概算))× 価格 54(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 113 億円・営業利益 9 億円。海外が2倍強
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 14 倍、時価総額 529 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げが物価並み以上で通り、海外が倍に増えるが、国内は横ばいにとどまる筋書き。上期の失速を考慮し、2割とした。
中立 40% 数量は横ばいで物価の分だけ伸びる 利益 31 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 3,241 円425 億円
国内の台数は人口減と店舗の減少で3%ほど減るが、省人化の機器と更新需要が下支えする。価格は物価並みに上がり、売上は3割弱増える。
海外は拠点を生かして8割ほど増える。ただし利益率は低く、全社の足を引く。営業利益率は7%で、過去の山を超えない。国内の人件費や材料費は物価で増えるため、利益率は一定に保たれる。
土地を売ったことで賃料の収入はなくなるが、現金の利息で一部を補う。還元は配当性向を上げながら続け、10年で自己資本は大きく積み上がる。ROEは資本コストにわずかに届かない。現金を持ち過ぎるため、資本効率は平凡のままだ。
外食の景気循環で数年ごとに利益が振れるが、10年を通した平均では横ばいの利益率に収まる。
- 国内の厨房機器・施工・保守:数量 16.9(台数換算(万台、施工・保守を含む概算))× 価格 34(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 566 億円・営業利益 40 億円。台数3%減・価格は物価並み
- 海外(中国・シンガポール・ベトナム):数量 1.8(台数換算(万台、概算))× 価格 54(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 97 億円・営業利益 6 億円。海外は8割増
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 425 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の台数は横ばいから微減、価格は物価並み、海外は倍近く。上期の失速はあるが、更新需要が下支えする最も普通の姿として4割を置いた。
やや悲観 23% 原材料高で利益率が落ち込む 利益 15 億円 · PER 7.6 倍 · 株価時価総額 1,089 円143 億円
原材料高の転嫁が遅れ、価格は物価に追いつかない。国内の台数は外食の店舗減で1割減る。大手の標準品との価格競争も強まる。
海外は現地の競合に押され、数量は4割増にとどまる。利益は出ない。営業利益率は4%台まで下がり、2022年12月期に近い水準になる。
利益が伸びないまま、現金だけが積み上がる。還元は性向を下げて続けるが、ROEは3〜4%と資本コストを大きく下回る。事業の稼ぐ力が弱まる10年である。
大手の標準品が値引きで攻め、設計・施工案件の単価も下がる。現金の厚みだけが救いになり、株価は割安のまま放置される。
- 国内の厨房機器・施工・保守:数量 15.7(台数換算(万台、施工・保守を含む概算))× 価格 32(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 501 億円・営業利益 23 億円。台数1割減・価格転嫁遅れ
- 海外(中国・シンガポール・ベトナム):数量 1.4(台数換算(万台、概算))× 価格 52(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 73 億円・営業利益 2 億円。現地競合に押される
倍率:ROE 3.7%は資本コスト 7.5% を大きく下回る。式の正当化 PER は 8.0 倍。景気の谷が長引く筋書きなので、やや悲観は 7.6 倍に置いた。余った現金は谷で食うとして 0.75 倍で数えた。
確率:原材料高の転嫁が遅れ、外食の設備投資も鈍る筋書き。2026年上期の失速が示す方向でもあり、2割強を置いた。
悲観 9% 外食不況と競争で構造的に縮む 利益 2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 534 円70 億円
外食・ホテルの設備投資が長く冷え込み、国内の台数が2割以上減る。大手との価格競争で値上げは通らず、価格は物価の半分ほどしか上がらない。
固定費の重い国内の拠点と人員を縮められず、営業利益率は1%台に落ちる。海外は撤退に近い状態で、利益は出ない。
もう優良な会社ではなくなっている。それでも、現金と土地・工場などの売却価値が、下値を支える。清算されない限り、少数株主に現金の使い道を決める力はない。
配当は大幅に減り、余った現金の一部は事業の穴埋めに消える。上場を維持する意味さえ問われる状況になる。
病院や給食の安定した需要も、財政難で設備更新が先送りされれば当てにならない。人手不足で施工と保守の人員も確保できず、受注を取りこぼす。
- 国内の厨房機器・施工・保守:数量 13.6(台数換算(万台、施工・保守を含む概算))× 価格 30(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 407 億円・営業利益 6 億円。台数2割減・値上げ通らず
- 海外(中国・シンガポール・ベトナム):数量 1.0(台数換算(万台、概算))× 価格 48(1台あたり単価(万円、概算))→ 売上 48 億円・営業利益 0 億円。撤退に近い
倍率:事業の稼ぐ力はほぼ無く(純利益は 2 億円に届かない)、帳簿の自己資本でなく純現金と売れる資産で測る。今の自己資本 281 億円に 0.25 倍を掛けた 70 億円。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.27 倍・時価総額 70 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:外食とホテルの設備投資が長く冷え込み、大手との価格競争が続く筋書き。コロナ下の落ち込みの再来を考えて9%を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内の厨房機器・施工・保守
病院・給食・外食・ホテル向けの業務用厨房機器の販売、設計、施工、保守。
| 数量台数換算(万台、施工・保守を含む概算) | 価格1台あたり単価(万円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 17.4 | 25 | 435 | 32 |
| 10 年後 中立 | 16.9 | 34 | 566 | 40 |
取り方:開示は厨房機器の単一セグメント。連結売上474億円のうち海外を約40億円と推定し、国内約435億円を、国内市場約6,500億円(同領域の業界ノートの推定)の約6.7%と置いた。1台あたり約25万円の平均で台数換算。利益は筆者の配分。
海外(中国・シンガポール・ベトナム)
アジアの拠点で製造・販売する厨房機器。日系の外食・ホテルが中心。
| 数量台数換算(万台、概算) | 価格1台あたり単価(万円、概算) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 40 | 40 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.8 | 54 | 97 | 6 |
取り方:海外の売上は開示されていないため、連結売上の約8%の約40億円と推定した。利益は低いと見て1億円。
リスクと懸念
原材料と為替で利益が削られる
ステンレスや電子部品が値上がりし、輸入品は為替の影響を受ける。値上げは案件ごとの交渉で、時間差が出る。2026年の上期に営業利益が1割以上減ったのは、この影響が一因とみられる。通期予想の達成に疑問が残る。
外食・ホテルの設備投資の振れ
新店と改装の投資は景気に連動する。2020年12月期は営業利益がほぼゼロまで落ちた。給食や病院は安定しているが、全体を支えるほどの比率ではないとみている。次の不況でも、同じ落ち込みがありうる。
大手との価格競争
ホシザキ、マルゼンなどが標準品で攻めると、フジマックの設計・施工案件にも値引きの圧力が及ぶ。粗利益率は33%で余裕はあるが、独自の堀は限られる。受注の質が落ちれば、利益率が低下する。
現金が株主に戻らない
土地売却で現金が増えたが、配当性向は22〜23%と低い。筆頭株主は事業会社で、上位2者が4割強を持つため、資本効率を高める外部の圧力が弱い。現金が溜まるだけなら、ROEが下がり、価値は帳簿ほどにはならない。
売却益の一過性と賃料の喪失
2026年の純利益は土地売却益で大きく膨らむが、一度きりだ。賃貸用の土地を手放せば賃料収入も失う。売却益を実力と誤解すると、利益の水準を過大に見積もる。
人手不足と人件費の上昇
従業員は約1,160人と、売上の割に人手を要する。設置や保守の現場は人が足りず、賃金の上昇が利益を圧迫する。省人化を売る会社が、自社の省人化に遅れるおそれもある。
海外展開が実を結ばない
中国、シンガポール、ベトナムの拠点は小さく、利益への貢献は限られる。現地の競合が多く、採算に乗るまで時間がかかる。投資だけが先行すれば、全体の利益率を押し下げる。
今後の分かれ目
- ステンレスなどの値上がりを価格に転嫁できる
- 営業利益率は6%台後半に定着し、中立の上の筋書きの確率が上がる。
- 省人化の機器と保守の収入が伸びる
- 利益率の安定度が増し、強気の筋書きに近づく。売り切りでない収入が増えるかが分かれ目になる。
- 2026年の営業利益が会社予想を大きく下回る
- 原材料高の転嫁が遅れていると判断でき、やや悲観の筋書きの確率が上がる。
- 創業家の関連会社が株を買い増す、またはTOBを仕掛ける
- 現金の厚みが評価され、価値が顕在化する。逆に、売却や非公開化なら買い手の言い値に左右される。
- 自社株買いや配当性向の引き上げが発表される
- 余った現金の戻り方が改善し、現金の評価を半分から引き上げられる。
- 不況で外食・ホテルが設備投資を絞る
- 営業利益は大きく減り、悲観の筋書きに近づく。現金の厚みが下値を支える。
見ておくもの
- 営業利益率(6%台を保てるか)
- 通期予想の修正の有無と下期の受注
- 配当性向と自社株買いの方針
- 土地売却後の現金の使い道
- 省人化の機器・保守の売上の伸び
- ステンレス・電子部品の価格動向
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。資本コスト7.5%、成長4%、ROEから正当化PERを求め、中立は上限の8.5割に置いた。今の株価やPERは使っていない。ROEが資本コストを下回る悪い筋書きは、1÷kを上限とする検査に従った。悲観の床は、過去のPBRの底ではなく、純現金と売れる資産の見立てから出した。結果は割安の側に出たが、土地売却で現金が増えた分と、値段の低さが大きく効いている。今の株価に寄せたのではない。余った現金は戻り方0.5で数えており、帳簿どおりには足していない。会計基準の形は、今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.06→14.97 倍・やや楽観 PER 10.83→14 倍・中立 PER 9.7→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を足して 8.0%。事業が傾いている様子はなく extra は 0。大株主の資本政策や現金の戻り方は k に足さず、余った現金の戻り方と筋書きで表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。