結論
アルインコは、建設現場の足場を作って売り、貸す会社である。足場の製造・販売とレンタルの2つで売上の約7割、利益のほぼ全てを稼ぐ。残りは、高所作業台やフィットネス機器などの住宅機器と、業務用無線機の電子機器だ。この2つは赤字が続いている。
筆者の結論は、今の値段はやや割高というものだ。足場の事業は堅く、配当も2010年3月期以降は減らしていない。だが、稼ぐ力に対して資本が厚く、ROE(自己資本利益率)は5%前後と資本コストに届かない。
足場では、新型足場「アルバトロス」への切り替えが追い風になる。従来のわく組足場は製造がほぼ終わり、市場の3〜4割が新型に移った。ここでシェアを守れるかが、10年の利益を決める。
一方、輸入に頼る住宅機器と電子機器は、円安が利益を直撃する。会社は2027年3月期に営業利益30億円を見込むが、赤字2事業の解消は計画どおりに進んでいない。中立の筋書きでも、10年後の営業利益は50億円弱にとどまる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、アルインコは「悪くない事業と、足を引く事業が同居する、堅実だが儲けが薄い会社」と映る。
足場は、安全に関わる道具で、需要が長く続き、保守的な経営と相性がよい。レンタルは資本を食うが、顧客を囲い込める。この2つが続けば、利益はゆっくり増える。
だが、資本の使い方には不満が残る。過去10年のROEは6%台で、資本コストを下回る。赤字の2事業に資金を回し続け、足場事業の稼ぎを薄めている。オーナーなら、この2事業の整理か、黒字化の期限を求めるだろう。
経営は誠実で、配当を減らさず、自己資本比率も45%を保つ。これは評価できる。ただ、借金を増やして投資と還元を続ける形は、景気後退期に余裕を失う。
筆者は、今の値段は、利益が緩やかに回復する前提をすでに織り込んでおり、安全域がないと見る。配当利回りの高さは魅力だが、それだけで割安とは言えない。
何で稼ぐ会社か
アルインコの稼ぎは4つの事業に分かれる。2026年3月期の売上は626億円で、うち建設機材とレンタルの2つが約425億円と7割近くを占める。
建設機材は、仮設足場の製造・販売だ。ゼネコンや足場工事会社に、新型足場「アルバトロス」、足場板、くさび式足場などを売る。足場は工事ごとに組んで壊す道具で、安全性と組立ての速さが選ばれる理由になる。国内は仮設工業会の認定制度があり、安い海外品は入りにくい。
レンタルは、足場や仮設資材を貸し出し、運搬や整備まで含めて提供する。機材を持つ負担は重いが、売り切りの景気変動を均す役割を持つ。会社は機材センターへの投資を続けている。
住宅機器は、建機レンタル向けの高所作業台、玄米保冷庫、ホームフィットネス機器、アルミ建材などを扱う。輸入品が多く、為替の影響を受ける。電子機器は、アマチュア無線機と消防・防災向けの業務無線機だ。
2026年3月期のセグメント利益は、建設機材が約20億円、レンタルが約13億円、住宅機器が約4億円の赤字、電子機器が約4億円の赤字。全社の営業利益は22億円である。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、足場の事業にある。安全認定を受けた製品の開発力、全国の機材センターと物流、ゼネコンとの取引実績が積み上がっている。新型足場は、会社によれば競合の中で自社の開発がいちばん進んでいる。
ただし堀は厚くない。次世代足場の「デファクト」の座はタカミヤが先に取り、信和も追っている。製品は互いに似ており、値段や供給の速さで競り合う局面が多い。足場板など利益率の低い品が増えると、利益が減る。
レンタルは、機材をゼネコンの現場にそろえられる点が強みだが、投資が先行し、償却が利益を削る。
赤字の2事業は、堀らしいものを築けていない。住宅機器は輸入の安価品との競争、電子機器は無線機の需要の縮小に直面している。
資本の効率は低い。過去10年のROE(自己資本利益率)の中央値は6.3%で、資本コストに届かなかった。経営は堅実で、赤字を出す年が少なく、減配もない。ただ、M&Aは利益に結びつく案件が見つからず予算を使えていない。攻める力より、守る力が目立つ会社だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
足場の需要は、建設投資と建物の更新で決まる。建設経済研究所は、2026年度の建設投資が名目で80兆円を超えると見る。ただし、新築住宅は人口減で細り、職人の高齢化も供給を制限する。物価の分を除いた実質の需要は、ほぼ横ばいか緩やかな減少と筆者は見る。支えるのは、改修、インフラの更新、都市の再開発だ。
足場の構造は変わっている。従来のわく組足場は製造がほぼ終わり、作業スペースが広く、手すりが先に付く新型足場に切り替わっている。市場の3〜4割がすでに新型になった。安全規制の強化も新型への移行を後押しする。この移行期は、先に量産と供給体制を整えた会社がシェアを取りやすい。
競合は、タカミヤ、信和、日綜産業が主な相手だ。レンタルは足場の「機材を持つ力」が競争力になるため、規模が効く。原材料はアルミと鋼材で、価格は国際相場と為替に連動する。値上げでどこまで転嫁できるかが、利益率の分かれ目だ。
住宅機器は、高所作業台を建機レンタル会社に売る商売が伸びている。フィットネス機器は、輸入品が多く、為替と競合の安売りに振られる。電子機器は、消防無線のデジタル化に伴う更新が追い風だが、民生向けの無線機は縮んでいる。
為替は、会社にとって重い変数だ。ドル建て仕入れは約7,000万ドルあり、ヘッジしなければ、為替が1割動くだけで約10億円の差になる。
資本政策と M&A
株主還元は厚い。2027年3月期の配当は連結配当性向の目標40%をわずかに上回る見込みで、累進配当が続き、2010年3月期以降は減配がない。自社株買いは、2026年5月から上限10億円・110万株で始まった。前回は2018年に8億円で、頻度は低い。
投資は重い。中期計画の3年間で165億円を見込み、新型足場とレンタル資産、機材センターに回す。営業活動によるキャッシュフローは、在庫の積み増しで前期に約10億円減った。還元と投資を両立させるため、純有利子負債は207億円まで増えている。
M&Aは、利益に結びつく案件が見つからず、予算を下回った。資金は新製品の開発に振り向けている。
中期経営計画2027は、2026年5月に下方修正された。経常利益は50億円から32億円に下げ、理由は住宅機器・電子機器の想定外の赤字と円安である。当初は4事業すべてが黒字の前提だった。
筆頭株主は15.8%を持つアルメイトで、次いで6.9%のアルインコ共栄会が続く。持ち合いや安定株主が厚く、時価総額が小さいことから、買収の対象になる可能性はある。ただし、会社が支配株主の意向に左右される面も見ておきたい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アルインコの利益は、足場の追い風でこれから伸びる。従来のわく組足場の製造が終わり、市場の3〜4割が新型へ移ったが、まだ残りの6割が控えている。アルバトロスは、作業スペースが広く突起もなく、安全性で選ばれる。ゼネコンへの販売拡大と中堅企業の新規開拓で、シェアは上がる余地がある。
建設投資は2026年度に80兆円を超え、改修やインフラ更新の需要も長く続く。レンタルは機材センターの整備が進み、価格改定で償却の増加を吸収できる。
赤字の2事業は、為替予約と値上げで改善に向かう。会社は2027年3月期に営業利益30億円と、3割超の増益を計画している。4事業すべてが黒字になれば、当初の経常利益50億円を早期に上回る。
株主還元も厚い。配当性向40%の目標と累進配当、さらに自社株買いで総還元性向は9割近い。PBRが低いことは、改善の余地が大きいことを意味する。
足場は、安全に直結する道具なので、品質で選ばれる傾向がある。事故が起きたときの責任は元請けのゼネコンにも及ぶため、認定を受けた製品を安定して供給できる会社に発注が集まりやすい。アルインコは国内の自社工場と物流網を持ち、大型案件にも応じられる。10年という長さで見れば、新型への切り替えが終わった後も、更新需要と保守の収益が残る。
慎重な見方
足場の需要は、これから緩やかに細る。新築住宅は人口減で減り、職人の高齢化は工事量を制限する。実質の需要はほぼ横ばいか減少で、勝ち残りの会社でシェアを奪い合う形になる。
アルバトロスは良い製品だが、タカミヤのIqシステムが先に標準の座を取り、信和も追っている。製品に大きな差はなく、値段で競る局面が増える。足場板など低採算の品が増えたことで、前期は足場の利益が約1割減った。
レンタルも、償却の増加で利益が減っている。機材への投資を続けるほど、利益が薄くなる。
赤字の2事業は、計画のたびに黒字化が遅れてきた。住宅機器は輸入品との競争、電子機器は需要の縮小に直面する。円安が続けば、仕入れ負担が増える。
ROEは5%前後で資本コストを下回る。借金を増やして配当と自社株買いを続ける姿は、景気の後退局面で余裕を失う。
さらに、会社が掲げる「4事業すべてが黒字」という絵姿は、為替が円安に傾くたびに遠のく。円安は仕入れを直撃し、値上げで吸収しきれない。M&Aも不発で、成長の手段が自社の投資に限られる点は、10年先の利益の伸びを細くする。配当と自社株買いの厚さは魅力だが、稼ぎが追いつかなければ維持できない。
どちらに重みを置いたか
足場の事業は堅く、株主還元も本物だ。ただ、強気の言い分が頼る赤字2事業の黒字化は、これまで繰り返し遅れている。確率は、中立を最も厚く置き、悲観側に少し寄せた。中立でも10年後の価値は今の時価総額に届かない。楽観側が2割台後半、悲観側が3割強。差し引きでやや割高とした。
結局のところ、強気の言い分と慎重な言い分は、赤字2事業をどう見るかで分かれる。筆者は、整理か黒字化かの実行が確認できるまで、中立の利益を少し控えめに置くのが筋だと考えた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,683 円327 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 533 円104 億円)。 今の値に割り戻すと 1,143 円222 億円、今との差 +12.3%、 期待の年率 +8.1%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,788 円736 億円 | 916 円178 億円 | +362.5% | +16.6% | 376 円73 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,508 円488 億円 | 705 円137 億円 | +216.0% | +12.2% | 643 円125 億円 |
| 中立 | 40% | 1,865 円363 億円 | 571 円111 億円 | +139.6% | +9.1% | 975 円189 億円 |
| やや悲観 | 22% | 437 円85 億円 | 365 円71 億円 | −21.1% | −2.3% | 177 円34 億円 |
| 悲観 | 10% | 360 円70 億円 | 103 円20 億円 | −54.5% | −7.6% | 46 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,683 円327 億円 | 533 円104 億円 | +117.9% | +8.1% | 2,216 円431 億円 |
今の株価時価総額 1,017 円198 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 新型足場の首位固めと、住宅機器・電子機器の黒字化 利益 53 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 3,788 円736 億円
10年後、新型足場への切り替えが進み、アルバトロスは大手ゼネコンから中堅の工務店にまで広がる。従来のわく組足場はほぼ姿を消し、アルインコは国内の次世代足場でタカミヤと並ぶ二強の一角を占める。シェアは今の約10%から12%台に上がり、足場の販売の営業利益率は10%に乗る。レンタルは機材センターの整備で稼働率が高まり、償却を吸収して9%近い利益率を出す。住宅機器は高所作業台と玄米保冷庫が伸び、為替予約と値上げで黒字が定着する。電子機器は消防無線の更新需要と防災需要を取り込む。全社の営業利益は80億円を超えるが、これは過去の最高(営業利益率で約8%)に並ぶ水準で、ほぼ最良の姿だ。借金は返済が進み、配当は利益の4割台半ばを保つ。
- 建設機材(仮設足場の製造・販売):数量 315(国内の仮設機材の販売市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.38(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 435 億円・営業利益 44 億円。市場 ×1.05・シェア 12.5%・利益率 10%
- レンタル(足場・仮設の総合レンタル):数量 217(国内の仮設レンタル市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.38(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 300 億円・営業利益 26 億円。市場 ×1.05・シェア 11.5%・利益率 8.5%
- 住宅機器(高所作業台・フィットネス・家庭用品など):数量 58.4(出荷台数相当(万台))× 価格 4.14(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 242 億円・営業利益 12 億円。台数 ×1.2・利益率 5%
- 電子機器(無線機):数量 3.3(出荷台数相当(万台))× 価格 28(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 91 億円・営業利益 5 億円。台数 ×1.2・利益率 5%
倍率:事業の純利益 53 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍。全体の PER 13.89 倍、時価総額 736 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新型足場の切り替えが想定より速く進み、赤字事業も黒字に転じる姿。過去12年に営業利益率が7.8%を超えたことはなく、2つの条件が同時に揃う必要がある。
やや楽観 20% 足場は着実に伸び、赤字の2事業が収支均衡に近づく 利益 39 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,508 円488 億円
足場の拡販が続き、アルバトロスが標準品として定着する。従来品の廃止が進み、買い替えと新規の工事が重なって、シェアは11.5%まで緩やかに上がる。営業利益率は9%へ戻る。足場板など低採算品の比率が下がることが効く。レンタルはゼネコンの需要を取り込み、価格改定で減価償却の増加を吸収する。住宅機器は輸入コストの上昇を価格に転嫁でき、黒字に戻る。電子機器は収支均衡に近づく。全社の営業利益は60億円台で、過去の最高水準を下回る。配当は利益の4割台前半を続け、自社株買いも小さく行う。借金は減らず、横ばいで推移する。会社の計画よりは遅いが、方向は正しい10年になる。
- 建設機材(仮設足場の製造・販売):数量 279(国内の仮設機材の販売市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.36(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 379 億円・営業利益 34 億円。市場 ×1.01・シェア 11.5%・利益率 9%
- レンタル(足場・仮設の総合レンタル):数量 200(国内の仮設レンタル市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.36(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 272 億円・営業利益 22 億円。市場 ×1.01・シェア 11%・利益率 8%
- 住宅機器(高所作業台・フィットネス・家庭用品など):数量 53.6(出荷台数相当(万台))× 価格 4.08(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 219 億円・営業利益 8 億円。台数 ×1.1・利益率 3.5%
- 電子機器(無線機):数量 3.0(出荷台数相当(万台))× 価格 27(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 82 億円・営業利益 2 億円。台数 ×1.1・利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 39 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 488 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:アルバトロスの拡販が続き、レンタルの投資が実を結ぶ姿。会社計画(2027年3月期の営業利益30億円)の延長線にある。
中立 40% 足場は堅調、赤字の2事業はわずかな黒字にとどまる 利益 29 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,865 円363 億円
足場は、建設投資の底堅さに支えられる。人口と新築住宅は減るが、改修、インフラの更新、都市の再開発が補う。新型足場への切り替えで、アルインコのシェアは10%台前半を保つ。ただ、タカミヤや信和との競争で値上げは物価に追いつく程度にとどまり、営業利益率は8.5%と今より少し高い程度だ。レンタルは投資の負担が続き、7.5%程度に収まる。住宅機器は黒字に戻るが2%と薄く、電子機器はほぼ収支がとれる程度。全社の営業利益は49億円で、売上は860億円前後。利息の増加で純利益は29億円にとどまり、ROEは6%台と資本コストに届かない。配当は性向4割強を保つ。
- 建設機材(仮設足場の製造・販売):数量 256(国内の仮設機材の販売市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 343 億円・営業利益 29 億円。市場 ×0.97・シェア 11%・利益率 8.5%
- レンタル(足場・仮設の総合レンタル):数量 183(国内の仮設レンタル市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.34(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 246 億円・営業利益 18 億円。市場 ×0.97・シェア 10.5%・利益率 7.5%
- 住宅機器(高所作業台・フィットネス・家庭用品など):数量 48.7(出荷台数相当(万台))× 価格 4.02(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 196 億円・営業利益 4 億円。台数 ×1.0・利益率 2%
- 電子機器(無線機):数量 2.8(出荷台数相当(万台))× 価格 27(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 74 億円・営業利益 1 億円。台数 ×1.0・利益率 1%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 362 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足場の需要は建設投資に支えられるが、住宅機器・電子機器の赤字解消は遅れるという落としどころ。過去の営業利益率の中央値を少し上回る程度に置いた。
やや悲観 22% 足場の競争が値下げに向かい、利益が低位に戻る 利益 10 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 437 円85 億円
足場の競争が値下げに向かう。タカミヤのIqシステムが標準として定着し、アルバトロスは追随する立場になる。シェアは10%に下がり、値段は物価に追いつかない。足場板などの低採算品の販売で数量を稼ぐ形になり、営業利益率は6%に下がる。レンタルは償却の重さが残り、5%台にとどまる。住宅機器は円安と競合で赤字が残り、電子機器は無線機の需要縮小で赤字が続く。会社は2つの事業の整理を迫られるが、整理の損失が先に出る。全社の営業利益は22億円で、今の水準に戻る。配当は維持されるが、成長のための投資は絞られる。優良とは言えない水準だ。売上は物価の分だけ増えても、数量が減って利益は伸びない。経営は守りに入り、新しい柱を育てる余力は乏しい。
- 建設機材(仮設足場の製造・販売):数量 223(国内の仮設機材の販売市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.30(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 290 億円・営業利益 17 億円。市場 ×0.93・シェア 10%・利益率 6%
- レンタル(足場・仮設の総合レンタル):数量 167(国内の仮設レンタル市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.30(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 218 億円・営業利益 12 億円。市場 ×0.93・シェア 10%・利益率 5.5%
- 住宅機器(高所作業台・フィットネス・家庭用品など):数量 43.8(出荷台数相当(万台))× 価格 3.90(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 171 億円・営業利益 −2 億円。台数 ×0.9・利益率 −1%
- 電子機器(無線機):数量 2.3(出荷台数相当(万台))× 価格 26(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 61 億円・営業利益 −2 億円。台数 ×0.85・利益率 −4%
倍率:ROE 2%台で資本コストを大きく下回り、稼ぐ力(純利益÷k)は約 115 億円。ただ、レンタル資産・土地・在庫は換金できる。売れる資産の税後を負債控除後で 85 億円と置き、その大きい方の 85 億円を床とした。内訳は floor_assets_why に書いた。自己資本の厚さや市場の倍率は根拠にしない。
確率:タカミヤ・信和との競争で値上げが通りにくくなり、住宅機器・電子機器の赤字が残る姿。過去も営業利益率が2〜4%の年が多かった。
悲観 10% 足場が値下げ競争に巻き込まれ、赤字事業も重荷になる 利益 −11 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 360 円70 億円
建設投資が後退し、足場の需要が実質で1割強減る。新型足場でも同業が値段を下げ、アルインコの値段は物価に追いつかない。シェアは8.5%に落ち、営業利益率は3%台まで下がる。レンタルは稼働率の低下で償却を吸収できない。住宅機器と電子機器は円安と輸入品との競争で赤字が膨らみ、減損が出る。全社の営業利益はほぼゼロになり、借金は300億円まで増える。配当は削られ、自己資本の厚さを売却可能な資産(レンタル資産・土地・在庫)の換金で補う局面に入る。会社の独立性が問われ、買収提案も選択肢に入る。足場の事業そのものは残るが、売却や再編で株主に残る価値は小さくなる。
- 建設機材(仮設足場の製造・販売):数量 180(国内の仮設機材の販売市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.25(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 224 億円・営業利益 8 億円。市場 ×0.88・シェア 8.5%・利益率 3.5%
- レンタル(足場・仮設の総合レンタル):数量 143(国内の仮設レンタル市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア)× 価格 1.25(値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 178 億円・営業利益 5 億円。市場 ×0.88・シェア 9%・利益率 3%
- 住宅機器(高所作業台・フィットネス・家庭用品など):数量 39.0(出荷台数相当(万台))× 価格 3.75(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 146 億円・営業利益 −7 億円。台数 ×0.8・利益率 −5%
- 電子機器(無線機):数量 1.9(出荷台数相当(万台))× 価格 25(1台あたりの平均販売額(万円))→ 売上 48 億円・営業利益 −4 億円。台数 ×0.7・利益率 −8%
倍率:営業赤字に近く、稼ぐ力では値が付かない。会社が清算されない限り少数株主は資産の使い道を決められないので、売れる資産の税後を負債控除後で、やや悲観より低い 70 億円(レンタル資産・在庫を買い叩かれる想定)と置いた。内訳は floor_assets_why に書いた。市場の値付けは根拠にしない。
確率:建設投資の後退と円安の長期化、足場の値下げ競争が重なる姿。借金が自己資本の8割と軽くはないため、1割は置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設機材(仮設足場の製造・販売)
新型足場「アルバトロス」、足場板、くさび式・枠組足場などの仮設機材を、ゼネコン・足場工事会社に販売する。
| 数量国内の仮設機材の販売市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア | 価格値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 244 | 1.00 | 244 | 20 |
| 10 年後 中立 | 256 | 1.34 | 343 | 29 |
取り方:国内の仮設機材の販売市場を約2,400億円と置き(公表統計は確認できず、筆者の推定。タカミヤ・信和・日綜産業などの規模から)、外部売上244億円(セグメント売上262.8億円から内部売上約19億円を除いた筆者の割当)をシェア約10.2%とした。セグメント利益は開示の19.7億円。数量は市場の実質の大きさ×シェア、価格は値段の指数。
レンタル(足場・仮設の総合レンタル)
足場や仮設資材を工事会社に貸し出し、組立・解体や物流まで含めて提供する。
| 数量国内の仮設レンタル市場(今の値段のまま・億円)× アルインコの金額シェア | 価格値段の指数(今を 1.0、10 年で物価並みなら 1.34) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 181 | 1.00 | 181 | 13 |
| 10 年後 中立 | 183 | 1.34 | 246 | 18 |
取り方:国内の仮設レンタル市場を約1,800億円と置き(筆者の推定)、開示の売上180.7億円をシェア約10%とした。利益は開示の12.7億円で、レンタル資産の償却増で前期から減った。
住宅機器(高所作業台・フィットネス・家庭用品など)
建機レンタル向けの高所作業台、玄米保冷庫、ホームフィットネス機器、アルミ建材や家庭用品。輸入品が多い。
| 数量出荷台数相当(万台) | 価格1台あたりの平均販売額(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 48.7 | 3.00 | 146 | −4 |
| 10 年後 中立 | 48.7 | 4.02 | 196 | 4 |
取り方:外部売上146億円(セグメント売上152.2億円から内部売上約6億円を除いた筆者の割当)を、平均販売額3万円で割った換算台数48.7万台とした。内訳の開示はなく筆者の換算。利益は開示の−3.6億円。
電子機器(無線機)
アマチュア無線機、消防・防災向けの業務無線機、通信機器。
| 数量出荷台数相当(万台) | 価格1台あたりの平均販売額(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2.8 | 20 | 55 | −4 |
| 10 年後 中立 | 2.8 | 27 | 74 | 1 |
取り方:外部売上55億円(セグメント売上56.3億円から内部売上約1億円を除いた筆者の割当)を、平均販売額20万円で割った換算台数2.75万台とした。消防無線の更新需要で今期は伸びた。内訳の開示はなく筆者の換算。利益は開示の−4.4億円。
リスクと懸念
赤字2事業の黒字化が遅れる
住宅機器と電子機器は、2026年3月期にそれぞれ約4億円の赤字を出した。会社は2027年3月期に改善を見込むが、中期計画は4事業すべての黒字を前提にしながら修正を余儀なくされた。赤字が続けば足場事業の稼ぎが薄まり、減損も出うる。
円安と原材料の高騰
ドル建て仕入れは約7,000万ドルあり、ヘッジしなければ、為替が1割動くだけで約10億円の負担になる。住宅機器やフィットネス機器は輸入比率が高い。アルミと鋼材の相場上昇も重なると、値上げが追いつかない年が出る。
足場の競争と値下げ
次世代足場はタカミヤのIqシステムが先行し、信和も追う。製品が似ているため、値段と供給で競り合い、足場板など低採算品の比率が上がると利益が減る。実際に前期は建設機材の利益が約1割減った。
建設投資の後退と職人不足
新築住宅は人口減で細り、職人の高齢化で工事量にも限界がある。建設投資の名目額は伸びても、実質では足場の需要が減りうる。景気が後退すれば、現場の稼働とレンタル機材の稼働率が同時に落ちる。
レンタル投資の負担
新型足場を中心とした機材投資で、償却費が増え続ける。中期計画の3年間で投資は165億円。需要が想定を下回れば、償却が利益を食い、借金だけが残る。純有利子負債は207億円まで増えた。
支配株主・安定株主の影響
筆頭株主のアルメイトは15.8%を持ち、アルインコ共栄会も6.9%を持つ。安定株主が厚い会社は、少数株主の意向が経営に反映されにくい。資本効率の改善より、安定を優先する判断が続く可能性がある。
今後の分かれ目
- アルバトロスなど新型足場の比率が上がり、建設機材の営業利益率が2年続けて10%近くに戻る
- 楽観・やや楽観の確率を上げてよい。価格競争から抜けた証拠になる。
- 住宅機器と電子機器が通期で営業黒字になる
- 中立の前提が実現する。全社の営業利益は計画の30億円を超えるので、悲観側の確率を下げる。
- 円安が想定より1割以上進んだまま続き、為替予約の効果が切れる
- 住宅機器・電子機器の赤字が膨らむ。やや悲観の確率を上げる。
- タカミヤ・信和が新型足場で値下げを始める
- 足場の利益率が下がる構造的な変化とみて、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 赤字2事業の整理、または他社による買収提案が出る
- 足場事業の価値が見えやすくなる。提案の価格が事業の価値を反映しているかを別に確認する。
- 純有利子負債が250億円を超え、投資の回収が遅れる
- 借金の傷みが増したとみて、資本コストの借金の上乗せを引き上げる。
見ておくもの
- 建設機材とレンタルの営業利益率(新型足場の構成比)
- 住宅機器・電子機器のセグメント損益
- 純有利子負債とレンタル資産の投資額
- ドル円と為替予約の水準
- 自社株買いの進捗と配当性向
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価・PERを見ず、足場・レンタル・住宅機器・電子機器を数量×価格で積んだ利益と、その時点のROE・資本コスト(基本 7.5% に循環 +0.5%・借金 +0.5% を足した 8.5%)・長期の成長から置いた。中立のROEは約6%で資本コストに届かず、長く続くROEが薄れるため、式の正当化PERは約10.2倍。その約9割弱の9.0倍に置いた。やや悲観・悲観は稼ぐ力ではなく、売れる資産を負債控除後に概算した床から置き、今の自己資本に対する倍率で確かめた。配当利回りの高さや低いPBRは根拠にしていない。中立の営業利益率は5.7%で、過去12年の最高7.8%より低く、純利益÷営業利益は0.59で過去の中央値0.65に近い。会社の中期計画の利益目標はそのまま使わず、10年の筋書きで再計算した。実行済みの自社株買いはまだ小さく、10億円の取得枠を還元に加えた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.3→13.89 倍・やや楽観 PER 10.2→12.5 倍・中立 PER 9→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。