結論
共和工業所は、建設機械に使う高強度ボルトで国内トップの専業メーカーだ。石川県小松市に拠点を置き、売上の約4割はコマツとその物流会社に向く。
筆者の結論は割高だ。会社の稼ぐ力に対して、今の値段は高い。足元の2027年4月期の予想は営業利益が3割以上減る。
事業の質は悪くない。借金はなく、現金が41億円ある。自己資本比率は86%と厚い。
だが、その厚みを株主が受け取れるかは別の話だ。大株主の資産管理会社が35%を持ち、配当性向は12%にとどまる。現金は積み上がっても戻らず、ROEは5%前後に薄まる。
分かれ目はコマツとの関係だ。国内の調達を維持できるかで、10年後の利益が大きく動く。
同社は上場時の規模が小さく、市場でも目立たない。だが、建機の足回りを支える部品で、一度採用されれば長く使われる。筆者はその固さを評価しつつ、株主の取り分が薄い点を重く見る。
今の株価は、現金の厚みと建機の回復を先取りしている。筆者はその前提に余裕がないと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、安全だが資本の使い方に物足りない会社だ。
本質価値は、事業が1年に株主へ残す現金で測る。営業利益10億円、純利益9億円は、帳簿の自己資本172億円に対してわずか5%だ。資本コストの8%に届かず、ためた利益は、額面ほどの値打ちで働いていない。
現金41億円は魅力に見えるが、戻る保証がない。大株主が支配する会社で、配当性向12%の方針は動いていない。バリュー投資家は、現金が使われる先を見て値を付ける。
顧客のコマツへの依存も、答えにくい問いだ。10年後もこの関係が続くか、筆者にはわからない。
安全域は無い。割高な値段を払ってまで持つ理由が見当たらない。
オーナーとして持ちたい会社の条件は、稼いだ現金が再投資か還元で働くことだ。同社は事業の質こそ悪くないが、その条件を満たしていない。
何で稼ぐ会社か
事業は建設機械用ボルトと、それ以外のボルトの2本立てだ。冷間・熱間の鍛造で、素材から熱処理までを自社で通す。
建設機械用は、ブルドーザーの履帯(キャタピラのシュー)を留めるボルトや、ショベルの旋回装置に使うボルトが中心だ。高い強度が求められ、不良が出れば機械が止まる。
売上の割合は開示がなく、筆者は約65%と推定する。主要顧客はコマツで、直接分が22%、物流子会社経由が15%ある。
それ以外では、JISの六角ボルト、船舶用エンジンのボルト、無段変速機のシャフトがある。グループ会社がメッキ加工と高周波焼入れを担う。
2026年4月期の売上は108億円、営業利益は10.9億円だった。従業員は本社・工場で約300人の小さな会社だ。
中期経営計画の開示は目立たず、事業の方向は建機向けの高強度ボルトを軸に、産業機械向けを広げるという範囲にとどまる。海外の売上比率は低く、国内の鍛造設備で作って運ぶ形が中心だ。
売上の大半は国内向けで、円安は輸出の採算を押し上げる一方、鋼材などの輸入原料の負担も増やす。
優良さと弱いところ
優良な部類には入るが、堀は強くない。ほぼ独占でもない。
強みは、建機向けの高強度ボルトで培った品質と実績だ。顧客は機械の安全に直結する部品を、簡単には替えられない。国内では最大手と会社は説明する。
弱みは、顧客が偏ることと、値段を自分で決めにくいことだ。コマツへの依存が3.7割に及び、値下げの要求や調達の見直しがあれば直撃する。鋼材の値上がりを価格へ移すにも時間がかかる。
数字がそれを示す。営業利益率は過去12年で3.5%から12.9%まで振れ、ROEは10%に届いたことがない。
財務は盤石だ。借金はなく、現金は41億円ある。だが資本の使い方は消極的で、配当性向は12%と低い。株主から見ると、安全だが稼ぎに結びつかない会社だ。
値付けの力を測る物差しは粗利率だが、同社は顧客の購買部門に毎年の見直しを求められる立場にある。堀はあっても、顧客が決める価格帯の中での堀にすぎない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要は建設機械の生産で決まる。景気と公共投資、鉱山の投資、そして海外の住宅・インフラ投資で動く循環の強い業界だ。
国内の建機市場は成熟しており、量は人口とともに増えない。コマツや日立建機は海外生産を広げ、部品の調達先も世界で見直している。これが同社の長期の逆風だ。
一方、建機は世界的に更新需要がある。鉱山機械や電動化に伴う新しい部品の需要も加わりうる。国内トップの高強度ボルトは、品質の要求が厳しい分野で残りやすい。
競合は国内の中小ボルトメーカーのほか、中国・アジアの低価格品だ。品質の差で守れる範囲は、強度の高い重要部品に限られる。
鋼材は中国の輸出増で上がりにくく、値上がり分を価格へ移す力が試される。
国内で鍛造ボルトを作る会社は減っており、設備の更新費を負担できない会社は退出する。この淘汰が、残る会社の数量を押し上げる可能性はある。ただし建機メーカー自身が部品を海外調達に切り替える動きが、それを打ち消しかねない。
需要は量よりも、顧客がどこで作るかで決まる。電動化が進んでも、掘る・運ぶ・積む機械の足回りに高強度ボルトが要る点は変わらない。
資本政策と M&A
資本政策は消極的だ。配当性向は12%にとどまる。手元の現金は41億円あり、借金はない。
大株主は有限会社ワイ・エム・ジィで35%を持つ。名古屋中小企業投資育成が8%を保有する。支配株主がいる構造で、少数株主へ現金が戻る力は強くない。
株主優待は、4月末に100株以上を持つ株主へQUOカードPayを千円分贈る。総額は年1億円に届かず、差への影響は小さい。
M&Aの実績は目立たない。事業の中心は鍛造ボルトで、他分野への広がりは小さい。同社は小さく、買収されうる規模だが、支配株主がいるため敵対的な買収は難しい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内トップの高強度ボルトは、品質の要求が高い分野で代わりが利かない。コマツの品質基準を満たす調達先は限られ、乗り換えには試験と認定が要る。一度入れば長く使われ、価格の交渉でも一方的には押し込まれにくい。建機は更新需要が底堅く、鉱山機械やインドの需要も加わる。
借金がなく現金が41億円ある。景気が崩れても、財務が傷む心配はない。会社が配当を増やせば、現金の価値が表に出る。
足元の営業利益の落ち込みは循環の谷にすぎない。過去の山の12.9%に戻れば、純利益は15億円を超える。支配株主がいることは、経営が安定している証拠でもある。
さらに、鋼材高が一服し、国内の機械の更新需要が続けば、価格への転嫁も進む。インドや東南アジアの建機生産が増えれば、現地向けの高強度ボルトで新しい需要も生まれる。国内の設備を守る会社が減るほど、残る同社の立場は強くなる。品質事故を起こさない実績は、建機メーカーが調達先を選ぶ際の最も重い条件になる。
慎重な見方
最大顧客のコマツは、海外生産を広げ、調達先を世界で見直している。購買部門は毎年、コスト低減を求めてくる。鋼材の高止まりを価格に移せない年もすでにあり、利益率が下がる方向の力が働く。国内の高強度ボルトへの依存は、10年で下がる方向だ。顧客が3.7割を占める会社に、安定の根拠は薄い。
営業利益率は景気循環で3〜13%を行き来し、2027年4月期の予想はすでに6.7%に落ちている。ROEは5%前後で資本コストに届かない。
現金は大株主の支配の下にあり、少数株主には戻らない。配当性向12%の方針は何年も変わっていない。現金は価値ではなく、使われない資産になりかねない。
支配株主が会社を長く持つ以上、少数株主には買収による出口も期待しにくい。値段が現金の価値を織り込んでいても、受け取れなければ意味がない。配当性向を引き上げる動きが出るまで、慎重に見る。強気の見方は、割安さを現金の戻りに頼っている。その戻りを決めるのは大株主であり、少数株主ではない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強いと見て、確率を悲観側へ寄せた。強気の根拠は事業の質と財務の厚さだが、どちらも株主の利益に直結しない。
中立を4割、やや悲観を25%に置いた。悲観は8%で、コマツの調達見直しを構造的な負けとして残した。
足元の予想の弱さと、一社に偏る売上の構造を考えると、強気の側の見立ては時間がかかる。慎重な見方を軸にしつつ、財務の厚さは悲観の床として生かした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 11,622 円150 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,185 円15 億円)。 今の値に割り戻すと 6,325 円82 億円、今との差 −28.4%、 期待の年率 +3.8%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 18,299 円236 億円 | 1,857 円24 億円 | +128.3% | +8.6% | 1,411 円18 億円 |
| やや楽観 | 20% | 15,690 円203 億円 | 1,548 円20 億円 | +95.2% | +6.9% | 3,447 円45 億円 |
| 中立 | 40% | 13,108 円169 億円 | 1,238 円16 億円 | +62.5% | +5.0% | 5,738 円74 億円 |
| やや悲観 | 25% | 6,603 円85 億円 | 851 円11 億円 | −15.6% | −1.7% | 1,864 円24 億円 |
| 悲観 | 8% | 3,869 円50 億円 | 464 円6 億円 | −50.9% | −6.9% | 347 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 11,622 円150 億円 | 1,185 円15 億円 | +45.0% | +3.8% | 12,807 円166 億円 |
今の株価時価総額 8,830 円114 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 世界の建機需要が戻り、シェアを広げる 利益 17 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 18,299 円236 億円
世界の建設機械の需要が戻り、コマツの国内外の工場が高い稼働で回る。同社の高強度ボルトは国内トップの座を守り、海外拠点向けにも出荷を増やす。
数量は建機向けで1.25倍、産業機械向けで1.15倍に伸びる。鋼材の値上がりは遅れずに価格へ移せる。営業利益率は11%前後まで戻り、過去12年の山である12.9%には届かない。
余った現金は戻らず、配当の増え方も緩やかなままだ。ROEは6%台で、資本コストには届かない。
筆者は、この筋書きでも株主の取り分が薄い点は変わらないと見る。高い稼働で儲けても、現金の戻りは支配株主の方針しだいだ。
- 建設機械用ボルト:数量 8,750(出荷量(トン))× 価格 1.34(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 117 億円・営業利益 13 億円。建設機械向け
- 産業機械・船舶・自動車用ボルト:数量 5,462(出荷量(トン))× 価格 1.07(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 59 億円・営業利益 6 億円。産業機械ほか
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)21 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 231 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建機の更新需要とインド・北米の伸びが重なり、顧客の値下げ圧力も弱い必要がある。過去12年で営業利益率が11%を超えたのは3回で、それが10年続く姿は軽くは見ない。
やや楽観 20% 建機が堅調で、利益率が9%台に乗る 利益 14 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 15,690 円203 億円
建設機械の需要は循環しながら緩やかに増える。コマツ向けの出荷は底堅く、新しい機種向けの採用も加わる。電動化した建機でも足回りの部品は残り、需要は崩れない。
建機向けの数量は1.12倍、産業機械向けは1.07倍。価格は物価並みに上がり、営業利益率は9%台に乗る。
純現金は積み上がるが、配当性向は低いまま据え置かれ、現金の戻り方は半分に見る。
建機向けの新規採用も増える。悪くない10年だが、割安をつくるほどの上振れではない。コマツ向けの比率が下がらないことが前提になる。工場の稼働が上がり、鍛造設備の更新も無理なく進む。
- 建設機械用ボルト:数量 7,840(出荷量(トン))× 価格 1.34(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 105 億円・営業利益 11 億円。建設機械向け
- 産業機械・船舶・自動車用ボルト:数量 5,082(出荷量(トン))× 価格 1.07(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 54 億円・営業利益 5 億円。産業機械ほか
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)21 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 191 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建機の需要は循環しながらも底堅く、同社は値上げの転嫁が遅れても回収する。会社の足元の予想は減益だが、その後は戻るという読みで厚めに置く。
中立 40% 数量は横ばいで、価格は物価並みに上がる 利益 11 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 13,108 円169 億円
数量は横ばいで、価格は物価並みの1.34倍に上がる。売上は145億円ほどになる。
営業利益率は過去12年の中央値に近い8.5%前後とする。減価償却は取得時の値段のままで、新設備の分だけが物価込みで増え、10年で年3.6億円が4億円台に乗る。更新投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を上回る分は現金が出る。
純利益は10億円強にとどまり、積み上がる自己資本に対してROEは4%台に薄まる。
筆者は、この筋書きを最も確からしいと見る。事業は10年後も続くが、株主の取り分はほぼ増えない。コマツ向けは横ばいで、新しい取引先の広がりも限られる。
- 建設機械用ボルト:数量 7,000(出荷量(トン))× 価格 1.34(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 94 億円・営業利益 8 億円。建設機械向け
- 産業機械・船舶・自動車用ボルト:数量 4,750(出荷量(トン))× 価格 1.07(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 51 億円・営業利益 4 億円。産業機械ほか
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.1% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)21 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 154 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建機の需要は人口と関係が薄いが、国内の成熟市場とコマツ依存の構造から、数量は横ばいを最も確からしいと見る。足元の予想営業利益率6.7%と過去12年の中央値8.5%の間で置く。
やや悲観 25% 値下げ圧力で利益率が5〜6%に沈む 利益 6 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 6,603 円85 億円
建機の需要が弱含み、コマツの海外生産が増えて国内向けのボルトが減る。数量は建機向けで0.9倍、産業機械向けで0.92倍にとどまる。
鋼材高の転嫁が遅れ、顧客の値下げ要求も続く。価格は1.28倍と物価に届かない。営業利益率は5〜6%台で、10年間の中立を大きく下回る。
現金の戻り方は変わらず、配当も据え置きになる。中小の鍛造会社が退出しても、同社の数量はその恩恵を受けず、顧客の調達見直しが先に効く。
足元の予想がすでに弱く、この筋書きは遠い話ではない。固定費が重い鍛造業で、数量の1割減は利益率に響く。熱処理や鍛造の設備は減価償却が先に立ち、稼働が落ちると採算が急に悪くなる。
- 建設機械用ボルト:数量 6,300(出荷量(トン))× 価格 1.28(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 81 億円・営業利益 5 億円。建設機械向け
- 産業機械・船舶・自動車用ボルト:数量 4,370(出荷量(トン))× 価格 1.00(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。産業機械ほか
倍率:ROEは2%台。PERの上限は12.1倍で、利益の質が低いので上限の約7割の8.5倍に置いた。
確率:足元の2027年4月期予想が営業利益率6.7%で、1四半期も営業利益が2割減っている。顧客の値下げ要求と鋼材の転嫁遅れで、過去の低い水準が長引く筋書きは軽くない。
悲観 8% コマツ向けが細り、小さな専業に戻る 利益 3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 3,869 円50 億円
コマツが海外の調達先へ切り替え、国内の高強度ボルトの需要が細る。中国などの低価格品も入り、数量は建機向けで0.7倍、産業機械向けで0.8倍まで落ちる。
固定費が重く営業利益はほぼ消える。会社は小さな専業に戻り、評価は稼ぐ力ではなく、持っている現金と換金できる資産で決まる。工場の稼働が大きく落ち、熱処理や鍛造の設備は余る。人員の整理や設備の売却が進んでも、利益は戻らない。
この筋書きの確率は低いが、顧客が一社に偏る会社では、起きたときの傷が深い。バリュー投資家が最初に確かめる点だ。配当と現金の戻りも止まり、評価は帳簿の資産の一部まで下がる。
- 建設機械用ボルト:数量 4,900(出荷量(トン))× 価格 1.20(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 59 億円・営業利益 1 億円。建設機械向け
- 産業機械・船舶・自動車用ボルト:数量 3,800(出荷量(トン))× 価格 0.95(1トン当たり平均単価(百万円))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。産業機械ほか
倍率:事業は縮み、稼ぐ力では値が付かない。売れる資産と純現金の価値まで下がる。内訳は floor_assets_why に書いた。
確率:最大顧客の内製化・海外調達への切り替えは、同社が最も恐れる筋書き。コマツ向けの比率が高く、起きれば生産が一気に細る。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設機械用ボルト
ブルドーザーの履帯やショベルの旋回輪に使う高強度ボルト。コマツ向けが中心。
| 数量出荷量(トン) | 価格1トン当たり平均単価(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 7,000 | 1.00 | 70 | 7 |
| 10 年後 中立 | 7,000 | 1.34 | 94 | 8 |
取り方:開示は無い。売上108億円のうちコマツ向け2社で約37%(有価証券報告書の主要販売先)、建設機械向けを約65%と推定して70億円とし、ボルト1kgを約1千円(高強度の鍛造品)と仮定して約7,000トンとした。営業利益は全社10.9億円を売上比で割り振った推定。
産業機械・船舶・自動車用ボルト
JISの六角ボルト、船舶用内燃機関ボルト、無段変速機用シャフトなど。
| 数量出荷量(トン) | 価格1トン当たり平均単価(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 4,750 | 0.80 | 38 | 4 |
| 10 年後 中立 | 4,750 | 1.07 | 51 | 4 |
取り方:開示は無い。残り約35%を産業機械・船舶・自動車向けとして38億円と推定。量産のJIS品が混じるため単価は1kg約8百円と仮定し約4,750トンとした。推定。
リスクと懸念
コマツへの依存
コマツとその物流会社への売上が約4割。調達先の見直しや内製化が進めば、売上が大きく落ちる。直近でもコマツ向けは前年比で16%減った。
建機の循環
建設機械は景気・公共投資・鉱山投資で生産が大きく振れる。過去12年の営業利益率は3.5%から12.9%まで動き、2027年4月期の予想は6.7%まで下がる。
鋼材高の転嫁の遅れ
主要原料の鋼材が上がっても、顧客への価格転嫁は時間がかかる。中国の過剰生産で鋼材の天井が低い一方、転嫁の力が試される。
低価格品の流入
中国・アジアの鍛造ボルトが、品質要求の低い汎用品から入ってくる。高強度品を守れるかが分かれ目になる。
資本の使い方
現金41億円は、配当性向12%の方針では株主に戻りにくい。大株主が35%を持つため、少数株主が方針を変える力は弱い。
今後の分かれ目
- コマツ向けの売上比率が3割を割る
- 調達の見直しが進んだ合図。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 配当性向を30%以上に引き上げる
- 現金の戻り方を0.5から0.75〜1.0へ上げる。差が大きく縮む。
- 営業利益率が2期続けて10%を超える
- 数量か価格の構造が良くなったと判断し、楽観寄りに確率を動かす。
- 支配株主が株を売る・TOBが出る
- 現金の戻りが一気に改善する可能性がある。少数株主に有利に働く。
- 鋼材の値上がりが転嫁できず、粗利が落ちる
- 価格が物価に届かない筋書きへ寄せる。
見ておくもの
- コマツ向けの売上比率
- 営業利益率(四半期)
- 配当性向と自己株式の取得
- 現金・有価証券の増減
- 鋼材価格と転嫁の状況
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。ROEが資本コスト以下なので、PERの上限は1÷k=12.1倍で、その7〜9割に置いた。今の株価や同業の倍率には寄せていない。数量は建機の生産と国内の成熟需要から横ばい、価格は物価並みの1.34倍を基本とした。営業利益率は過去12年の中央値8.5%。セグメントの数量・単価は開示がなく推定。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.9 倍・やや楽観 PER 10.5→12.9 倍・中立 PER 10→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。