結論
ホッカンホールディングスは、缶詰用の缶やPETボトルの容器を作り、飲料の受託充填もする会社だ。売上は約900億円、営業利益率は4%台である。
筆者の結論は、今の値段は割高ということだ。最大の理由は、稼ぐ力が資本コストに届かないことにある。過去10年のROEの中央値は4%台で、資本コスト9%台を一度も安定して超えていない。
事業は二本柱だ。容器は国内の人口減で数量が縮む。受託充填は伊藤園という大口が売上の27%を占め、安定の源でもあり、弱みでもある。海外はインドネシアで新工場を建てたが、まだ利益が出ていない。
財務も軽くない。純負債は約360億円で時価総額を上回る。借り換えのたびに金利が上がるので、利払いは重くなる。2027年4月には子会社の北海製罐と日本キャンパックを吸収合併して、国内を一体運営する。効率化の効果はあるが、稼ぐ力を資本コスト以上に変えるほどではない。
確率で重みづけた本質価値は、今の時価総額を約45%下回る「割高」だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社はよい事業とは言いにくい。ROEが10年連続で資本コストを下回り、稼いだ利益のほとんどが設備の更新と海外の投資に消えてきたからだ。経営が掲げるROE6.5%の目標も、資本コストの9%台には遠い。
オーナー利益、つまり投資を引いて株主が自由に使える利益は、ほとんど出ていない。2026年3月期は設備投資が131億円で、純利益の4倍近い。借金が増えたのはそのためだ。
堀の持続は、受託充填と伊藤園の関係に懸かる。この関係が続く間は利益が出るが、1社に頼る構造はバリュー投資の目では危うい。
今の時価総額は純資産の約5割で、割安に見える。だが、ROEが資本コストを下回る会社では、ためた利益は額面の価値に満たない。純資産を見て安いと判断するのは誤りだ。
安全域は薄い。悲観の筋書きでも、土地や設備の売却価値は純負債を上回る見込みだが、その価値は今の時価総額の4割ほどにとどまる。筆者は、この値段に妥協する理由を見つけにくい。
何で稼ぐ会社か
ホッカンホールディングスは純粋持株会社で、傘下に約15社をもつ。事業は大きく四つだ。
容器事業は、北海製罐が缶詰用の空缶、エアゾール缶、PETボトルのもとになるプリフォーム、プラスチック容器を作る。売上は約320億円で、その他の事業を含めると約350億円になる。営業利益は17億円で、利益率は5%台と低い。
充填事業は、日本キャンパックが飲料メーカーから中身の充填を請け負う。売上は約400億円で営業利益は38億円ある。利益率は10%近く、全社の稼ぎの柱だ。主要顧客は伊藤園で、売上の27%(約250億円)を占める。
海外事業はインドネシアが中心で、カップ飲料容器、PET用プリフォーム、飲料水の充填を手がける。売上は約150億円だが営業利益はほぼゼロで、前期は14%減収だった。2026年2月に新しいカップ成形機が動き出したが、現地の家計は節約を強めている。
本社の費用は約20億円かかる。2027年4月に北海製罐と日本キャンパックを吸収合併する予定で、国内の間接部門と工場の運営を一つにまとめる。
優良さと弱いところ
同社の強みは、顧客のラインに組み込まれた取引関係にある。缶の容器と中身の充填は、飲料メーカーの生産計画と一体で動く。特に伊藤園とは長い取引があり、簡単には切り替えにくい。
だが筆者は、これを強い堀とは認めない。容器は買い手が価格を決める汎用品に近く、原料の鋼板や樹脂の上昇を完全には転嫁できない。ROEは過去10年のほとんどで資本コストを下回ってきた。2023年3月期には営業赤字に沈んでいる。
顧客の偏りも大きい。伊藤園が売上の27%で、前期の24.7%から上がった。取引が安定している間は強みだが、方針が変われば一気に崩れる。
資本の使い方には改善が見える。政策保有株を純資産の17%から10%に減らし、配当性向35%以上を掲げている。ただ、インドネシアに131億円規模の設備投資をした結果、純負債は283億円から362億円に増えた。海外の投資が稼ぐ力に変わるかは、まだ証明されていない。
大株主は信託銀行や日本生命などで、特定の支配株主は見えない。経営の規律を外から迫る力は、強くない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の容器市場は、人口減で数量が縮む。缶詰用の空缶は需要が緩やかに縮み、PETボトルも飲料の数量が伸びず、容器の薄肉化で使う樹脂が減る。
競合では、東洋製罐グループが金属缶で国内の約4割、PETボトルで約3割のシェアをもつ最大手だ。ホッカンは規模で劣り、価格交渉ではやや不利になりやすい。
飲料の受託充填は、中身を作る飲料メーカーの方針で量が決まる。同社の日本キャンパックは、無菌充填の設備を生かして受託を担うが、顧客が伊藤園に偏る。
海外は、インドネシアでカップ飲料がまだ成長分野と見られている。ただ家計の節約が強まり、足元は需要が冷えた。為替や現地の景気にも左右されやすい。インドネシアでは新工場の稼働率が上がるまで、償却と人件費が利益を押し下げる。
分かれ目は、国内の人口減をどれだけ海外と充填で補えるか、鋼板と樹脂の値上がりを転嫁できるかである。
中期計画VENTURE-5は2026年度で終わる。次の計画で、営業利益率の目標をどこに置くかも、見ておく点だ。国内で工場を減らしながら、海外へ設備を足す方針が続くのかが問われる。
資本政策と M&A
配当は手厚くなってきた。方針は連結配当性向35%以上で、2026年3月期の配当総額は約12億円で、純利益の約35%にあたる。中期計画は配当を増やす目標を掲げる。自社株買いの実績は確認できていない。
政策保有株は、純資産の17.4%から2027年3月末に約10%まで減らす計画だ。2024年11月以降に8銘柄を約17億円で売った。残りの上場株は約108億円で、売却した資金は借金の返済に回せる。
設備投資は2026年3月期に131億円と大きかった。インドネシアの容器製造設備に71億円を投じ、2026年5月に完了予定だ。有利子負債は476億円ある。
2027年4月1日付で、当社を存続会社として北海製罐と日本キャンパックを吸収合併する。国内の運営は一つになり、重複する費用を減らす。
株主優待は、100株以上を1年以上持つ株主に3千円相当などを出している。費用の年額は確認できていないが、1億円に届かないと推定し、還元の額には足していない。
10年の還元は、純利益の約4割を配当とみた。利益が減る筋書きでは、還元も減る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社の足元は底打ちしている。2024年3月期から3期続けて営業黒字を保ち、配当総額は約10億円から約12億円へ増えた。今期予想は売上が9%増え、第1四半期は経常利益が14%増えた。
インドネシアの新工場は2026年2月にカップ成形機が動き出し、飲料水の充填にも用途を広げている。現地ではカップ飲料がまだ成長分野で、需要が戻れば海外は赤字を抜ける。海外の営業利益が数%でも出れば、全体の利益は一気に1割以上増える。
2027年4月の吸収合併で、国内の容器と充填の運営が一つになる。重複する工場や間接部門の費用を減らす余地は大きい。北海製罐の岩槻工場はすでに閉鎖した。
政策保有株の売却は進み、売却資金で借金を返せば利払いも減る。受託充填は長い取引に支えられ、伊藤園との関係は続くと見てよい。純資産に対して時価総額が5割という今の値段は、これらの改善を一つも織り込んでいない。
中期計画は営業利益率5.8%と配当の増額を掲げており、実現すれば株主還元の力も増す。会社が資本効率を意識し始めたことは、これまでと違う点だ。
慎重な見方
稼ぐ力は資本コストに届かない。ROEは過去10年の中央値が4%台で、資本コスト9%台を一度も超えていない。純資産が厚くても、それを使って稼げなければ価値にならない。
純負債は約360億円で時価総額を上回る。インドネシアの設備投資で借金が増え、借り換えのたびに金利が上がる。10年国債が3%の世界では、利払いは今より約9億円増え、純利益を2割近く削る。
売上の27%を占める伊藤園への依存は上がり続けている。方針が変われば、充填の利益が一気に消える。国内の容器は人口減で数量が縮み、値上げでしのぐしかない。
海外は前期に14%減収で、営業利益はほぼゼロだ。新工場の償却が始まる今後は、利益を食う方向に働く。今期予想の売上9%増は、受注の積み上げが確かではない。
合併や政策保有株の売却は、効率化にはなるが稼ぐ力そのものを変えない。過去20年で赤字の期は5回ある。この財務で景気後退が来れば、配当の維持も危うくなる。
どちらに重みを置いたか
事業の足元の改善は本物だが、値段の議論では慎重な見方が勝つ。稼ぐ力が資本コストを下回る構造は変わらず、借金の重さも残るからだ。
中立は、容器が縮み、海外が緩やかに伸びて、営業利益率は4%台前半に落ち着く。倍率は上限の1÷kの約8割に置いた。確率は中立を軸に、顧客の偏りと借金の重さを踏まえ、やや悲観と悲観に計38%を置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,605 円321 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 862 円106 億円)。 今の値に割り戻すと 1,661 円205 億円、今との差 −37.1%、 期待の年率 +2.8%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,611 円691 億円 | 1,543 円190 億円 | +170.9% | +10.5% | 572 円70 億円 |
| やや楽観 | 18% | 4,087 円503 億円 | 1,275 円157 億円 | +103.0% | +7.3% | 965 円119 億円 |
| 中立 | 36% | 2,733 円337 億円 | 966 円119 億円 | +40.1% | +3.4% | 1,332 円164 億円 |
| やや悲観 | 26% | 1,226 円151 億円 | 568 円70 億円 | −32.0% | −3.8% | 467 円57 億円 |
| 悲観 | 12% | 981 円121 億円 | 114 円14 億円 | −58.6% | −8.4% | 131 円16 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,605 円321 億円 | 862 円106 億円 | +31.3% | +2.8% | 3,467 円427 億円 |
今の株価時価総額 2,641 円325 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% インドネシアが育ち、受託充填も利益を伸ばす 利益 62 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 5,611 円691 億円
海外が想定以上に育つ。インドネシアのカップ容器の新工場が満稼働し、現地の消費が戻れば、海外の数量は10年でほぼ倍になる。海外の営業利益率は7%まで上がる。国内では北海製罐と日本キャンパックの合併が効き、工場の統廃合で固定費が下がる。伊藤園との受託充填も増え、充填の営業利益率は10%を超える。本社費は合併で少し減る。政策保有株の売却で借金も減り、利払いの負担が軽くなる。会社が掲げる営業利益率5.8%を大きく上回る、理想的な10年だ。ただし国内の缶の需要は人口減で細り、容器はほぼ横ばいが限度である。ブランドの力ではなく、規模と稼働率が利益を決める事業なので、数量が積み上がれば利益率の伸びは大きい。
- 容器・その他(缶詰用空缶・エアゾール缶・PETプリフォーム・プラ容器):数量 13.9(容器の出荷個数(億個・推定))× 価格 35(1個あたりの平均単価(円・名目))→ 売上 480 億円・営業利益 31 億円。営業利益率6.5%
- 充填(飲料の受託充填):数量 12.1(受託充填の処理本数(億本・推定))× 価格 50(1本あたりの受託単価(円・名目))→ 売上 605 億円・営業利益 64 億円。営業利益率10.5%
- 海外(インドネシアのカップ容器・PETプリフォーム・飲料水の充填):数量 17.1(海外の容器・充填の出荷個数(億個・推定))× 価格 24(1個あたりの平均単価(円・名目、為替150円固定))→ 売上 409 億円・営業利益 29 億円。営業利益率7.0%
倍率:事業の純利益 62 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 691 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:海外の自走と合併の効果が揃う必要があり、過去10年で営業利益率が5%を超えたのは数年だけ。実現すれば大きいが確率は低い。
やや楽観 18% 海外が黒字化し、国内は踏みとどまる 利益 45 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 4,087 円503 億円
海外は黒字化し、数量は10年で6割増える。ただし現地の消費は鈍く、利益率は5%台にとどまる。国内の充填は伊藤園との取引が続き、数量はわずかに増える。合併で工場と間接部門が整理され、本社費の増加は小さく収まる。容器の国内需要は縮むが、値上げは通る。営業利益率は5%台半ばまで改善し、会社の目標に近づく。借金は政策保有株の売却と利益の積み上げでゆるやかに減る。配当は中期計画の増配の目標どおり維持される。着実だが、資本コストを超えるほどの稼ぎには届かない10年だ。会社が掲げる配当の増額も、利益の積み上がりで無理なく賄える。
- 容器・その他(缶詰用空缶・エアゾール缶・PETプリフォーム・プラ容器):数量 13.2(容器の出荷個数(億個・推定))× 価格 34(1個あたりの平均単価(円・名目))→ 売上 449 億円・営業利益 27 億円。営業利益率6.0%
- 充填(飲料の受託充填):数量 11.3(受託充填の処理本数(億本・推定))× 価格 49(1本あたりの受託単価(円・名目))→ 売上 558 億円・営業利益 55 億円。営業利益率9.8%
- 海外(インドネシアのカップ容器・PETプリフォーム・飲料水の充填):数量 14.4(海外の容器・充填の出荷個数(億個・推定))× 価格 24(1個あたりの平均単価(円・名目、為替150円固定))→ 売上 340 億円・営業利益 19 億円。営業利益率5.5%
倍率:事業の純利益 45 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 503 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画が目指す営業利益率5.8%に近づく筋書き。海外の黒字化には新工場の稼働が前提で、実績はまだ乏しい。
中立 36% 国内は縮み、海外が少しずつ補う 利益 30 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 2,733 円337 億円
国内の容器は人口減と容器の軽量化で、数量が10年で1割強減る。値上げで金額は保つが、利益率は5%強が限度だ。受託充填は伊藤園という大口に支えられ、数量は横ばいに近い。利益率は9%前後を保つ。海外は新工場の稼働で数量が3分の1ほど増えるが、現地の消費が冷えており、利益率は4%どまりだ。本社費は物価で増える。合併の効果は出るものの、営業利益率は4%台前半に落ち着く。借金は利払いが重く、配当を保ちながら返済に回る資金は限られる。海外が足を引っ張る局面は続くが、充填と容器が利益の土台を保つ。海外が足を引っ張る局面は続くが、充填と容器が利益の土台を保つ。政策保有株の売却は進み、借金の増加は止まる。
- 容器・その他(缶詰用空缶・エアゾール缶・PETプリフォーム・プラ容器):数量 12.5(容器の出荷個数(億個・推定))× 価格 34(1個あたりの平均単価(円・名目))→ 売上 419 億円・営業利益 22 億円。営業利益率5.3%
- 充填(飲料の受託充填):数量 10.7(受託充填の処理本数(億本・推定))× 価格 49(1本あたりの受託単価(円・名目))→ 売上 518 億円・営業利益 47 億円。営業利益率9.0%
- 海外(インドネシアのカップ容器・PETプリフォーム・飲料水の充填):数量 12.2(海外の容器・充填の出荷個数(億個・推定))× 価格 23(1個あたりの平均単価(円・名目、為替150円固定))→ 売上 278 億円・営業利益 11 億円。営業利益率4.0%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 337 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の縮小を海外で一部補う中心の筋書き。今期予想の営業利益率4.1%と、過去の実績に近い。
やや悲観 26% 国内の縮小が進み、海外も赤字を抜けられない 利益 10 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,226 円151 億円
国内の缶詰用空缶とPETの数量が2割減り、値上げも原料高の転嫁が遅れて通りにくくなる。受託充填は伊藤園が一部を他社に振り分け、数量が1割減る。海外は新工場の償却が重く、赤字すれすれが続く。本社費は物価で増え、合併による削減は限られる。営業利益率は2%台まで下がる。借り換えのたびに利払いが増え、純利益はほぼ出ない。配当は縮小し、政策保有株を売って資金をつなぐ。設備は残るが、稼ぐ力は資本コストを大きく下回る。配当を維持するかどうかが、経営の分かれ目になる。配当を維持するかどうかが、経営の分かれ目になる。合併の効果も、売上が細る中では打ち消されやすい。
- 容器・その他(缶詰用空缶・エアゾール缶・PETプリフォーム・プラ容器):数量 11.4(容器の出荷個数(億個・推定))× 価格 32(1個あたりの平均単価(円・名目))→ 売上 364 億円・営業利益 15 億円。営業利益率4.2%
- 充填(飲料の受託充填):数量 9.9(受託充填の処理本数(億本・推定))× 価格 46(1本あたりの受託単価(円・名目))→ 売上 459 億円・営業利益 34 億円。営業利益率7.4%
- 海外(インドネシアのカップ容器・PETプリフォーム・飲料水の充填):数量 9.9(海外の容器・充填の出荷個数(億個・推定))× 価格 22(1個あたりの平均単価(円・名目、為替150円固定))→ 売上 217 億円・営業利益 2 億円。営業利益率1.0%
倍率:ROE 1.3%は k 9% を大きく下回り、稼ぐ力(純利益 9.7 億円÷k≒105 億円)は売れる資産から純負債を引いた額より小さい。このため稼ぐ力でなく、その約 150 億円を床とし、今の自己資本 604 億円に 0.25 倍を掛けた。EV(時価総額+純負債)÷営業利益は 23 倍と高いが、谷の営業利益が小さいためで、純負債 362 億円は床の資産から差し引き済み。
確率:国内縮小に加え、顧客が伊藤園に偏る構造と借金の重さがあり、過去20年で赤字の期が5回ある。領域の弱めの見方より重く置いた。
悲観 12% 主力の顧客を失い、設備だけが重く残る 利益 −17 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 981 円121 億円
伊藤園との取引が縮み、受託充填の数量が3分の1減る。国内の容器も人口減で2〜3割減り、固定費の重い工場の稼働が下がる。海外は新工場に投じた資金が回収できず、減損と赤字が続く。営業損益は赤字に沈み、配当は最低限に絞られる。借金は高い金利に借り換えられ、利払いが重くのしかかる。会社は工場の売却や閉鎖で資産を売りながら延命する。もう設備産業としての稼ぐ力はなく、土地と設備、保有株の売却価値で測られる会社になる。合併や政策保有株の売却で得た資金も、赤字の穴埋めに消える。合併や政策保有株の売却で得た資金も、赤字の穴埋めに消える。ブランドや技術で守れる堀はなく、顧客の方針ひとつで事業の価値が決まる。
- 容器・その他(缶詰用空缶・エアゾール缶・PETプリフォーム・プラ容器):数量 9.2(容器の出荷個数(億個・推定))× 価格 29(1個あたりの平均単価(円・名目))→ 売上 265 億円・営業利益 7 億円。営業利益率2.5%
- 充填(飲料の受託充填):数量 7.2(受託充填の処理本数(億本・推定))× 価格 42(1本あたりの受託単価(円・名目))→ 売上 298 億円・営業利益 10 億円。営業利益率3.5%
- 海外(インドネシアのカップ容器・PETプリフォーム・飲料水の充填):数量 8.1(海外の容器・充填の出荷個数(億個・推定))× 価格 20(1個あたりの平均単価(円・名目、為替150円固定))→ 売上 159 億円・営業利益 −3 億円。営業利益率-2.0%
倍率:営業赤字で、稼ぐ力ではなく売れる資産で測る。投資有価証券・土地・設備・売掛金の売却価値の税後から純負債を引いた約 120 億円を床とし、今の自己資本 604 億円に 0.20 倍を掛けた。減損で自己資本が減る分は、すでに自己資本に反映している。
確率:純負債が時価総額の1倍を超え、売上の27%が1社に頼る。構造的に負ける筋書きの確率は、同じ領域の東洋製罐グループ(8%)より高めに置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
容器・その他(缶詰用空缶・エアゾール缶・PETプリフォーム・プラ容器)
北海製罐が作る缶詰用の缶、エアゾール缶、プラスチック容器、飲料用PETのもとになるプリフォーム。
| 数量容器の出荷個数(億個・推定) | 価格1個あたりの平均単価(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 14.2 | 25 | 355 | 20 |
| 10 年後 中立 | 12.5 | 34 | 419 | 22 |
取り方:容器事業 317 億円とその他 37 億円の計 355 億円を、平均単価を 25(円/個)と置いて出荷個数を約 14 億個と推定した(個数は開示されない)。数量は国内の人口と容器の軽量化で動き、価格は鋼板・樹脂の転嫁を含む名目で、物価並みに動く。
充填(飲料の受託充填)
日本キャンパックが飲料メーカーから中身の充填を請け負う。伊藤園が主要顧客。
| 数量受託充填の処理本数(億本・推定) | 価格1本あたりの受託単価(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 11.0 | 36 | 398 | 38 |
| 10 年後 中立 | 10.7 | 49 | 518 | 47 |
取り方:充填事業の売上約 398 億円を、1 本あたりの平均単価を 36(円/本)と置いて処理本数を約 11 億本と推定した(開示されない)。数量は国内の飲料の数量と、伊藤園など受託先の方針で動く。価格は人件費・エネルギーを転嫁する名目の単価。
海外(インドネシアのカップ容器・PETプリフォーム・飲料水の充填)
インドネシア子会社が作るカップ飲料容器、PET用プリフォーム、飲料水の受託充填。
| 数量海外の容器・充填の出荷個数(億個・推定) | 価格1個あたりの平均単価(円・名目、為替150円固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9.0 | 17 | 154 | 0 |
| 10 年後 中立 | 12.2 | 23 | 278 | 11 |
取り方:海外事業の売上約 154 億円を、カップ容器など平均単価を 17(円/個)と置いて約 9 億個と推定した(開示されない)。数量はインドネシアの消費と新工場の稼働率で動く。為替は 150 円固定。
リスクと懸念
伊藤園への依存
伊藤園が売上の27.3%を占め、前期の24.7%から上がった。充填事業の利益の大半がこの取引にかかる。方針の変更や内製化があれば、利益が一気に消える。
借金の重さと利払い
純負債は約362億円で時価総額を上回る。設備投資で前期に約80億円増えた。借り換えのたびに金利が上がり、10年で利払いは約9億円増える。景気が悪化すれば財務の余裕は小さい。
インドネシア事業が稼げない
海外は前期14%減収で、営業利益はほぼゼロ。新工場の償却が始まる一方、現地の家計は節約を強め、消費財の需要は冷えている。計画が見直された設備もあり、減損の恐れがある。
国内容器の縮小
人口減と容器の軽量化・代替で、国内の缶・PETの数量は構造的に縮む。値上げで金額を保てる範囲には限りがあり、原料の鋼板や樹脂の転嫁も遅れやすい。
合併の実行
2027年4月に北海製罐と日本キャンパックを吸収合併する。工場や間接部門の整理は効率化になるが、実行がもたつくと混乱や追加の費用が出る。
稼ぐ力が資本コストに届かない
過去10年のROE中央値は4%台で、資本コストを下回る。設備投資を続けても株主の取り分が増えにくく、配当は維持できても価値は積み上がらない。
今後の分かれ目
- 海外事業の営業利益が通期で10億円を超えたら
- 新工場が稼ぐ力に変わったサインとみて、楽観・やや楽観側の確率を上げてよい。
- 伊藤園の売上比率が30%を超えるか、取引の縮小が伝えられたら
- 充填の利益が崩れる前触れとみて、悲観側の確率を上げる。
- 合併後の本社費と固定費が目に見えて下がったら
- 効率化が実現した証拠で、中立の利益率をやや上げて見てよい。
- 営業利益率が3%を割り込む期が続いたら
- 配当の維持が難しくなる入り口とみて、やや悲観側に確率を寄せる。
- 純負債が時価総額の1.5倍を超えるか、減損が出たら
- 財務の余裕が尽きる局面で、悲観の筋書きの重みを増やす。
見ておくもの
- 海外事業の営業利益と稼働率
- 伊藤園向け売上の比率
- 純負債と利払いの推移
- 合併後の本社費・固定費
- 政策保有株の売却額と配当の水準
倍率と資本コストの決め方
数量と価格から10年後の利益を積み、倍率は ROE が資本コストを下回るため、上限 1÷k=10.8 倍に対する8〜8.8割に置いた(k 9%、弱い堀)。やや悲観・悲観は稼ぐ力でなく売れる資産から純負債を引いた床で測り、過去のPBRの底は使っていない。今のPER・PBRは最後に比べただけで、寄せていない。決算の形は今と同じ(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.11 倍・やや楽観 PER 9→11.11 倍・中立 PER 8.6→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.75% を足して 9.25%。同じ領域の東洋製罐グループ(+1.0%)より、借金の重さと顧客の偏りの分だけ上げた。合併の実行や海外の失敗は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 9.00%。