結論
エムケー精工は、長野県千曲市に本社を置く機械メーカーだ。主力は、ガソリンスタンドやカーディーラー向けの門型洗車機で、売上の約7割を占める。残りは、調理家電や低温貯蔵庫などの生活機器と、住宅設備だ。
筆者の結論は割安寄りだ。今の値段は、10年後の稼ぐ力と現金の戻りを割り引いた価値より低い。2026年3月期は売上298億円、営業利益27億円と、営業利益率9.1%の過去最高だった。この水準はそのまま続かないと見て、中立では営業利益率を6〜7%に置いた。それでも、自己資本が194億円と時価総額108億円を大きく上回り、純有利子負債もほとんど無い。
強みは、洗車機の国内でのトップクラスの地位と、導入後の保守・部品で得る継続的な収入だ。弱みは、ガソリンスタンドの減少で国内の新設需要が縮むことと、配当性向が9%と低く、ためた現金が株主に届きにくいことだ。
分かれ目は、ライフ&サポートの利益が定着するかと、ためた現金が配当や自社株買いで戻るかだ。
財務は堅く、自己資本比率は68.5%。倒産の心配はほとんどない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「資産は厚く、稼ぐ力は山を過ぎた」会社だ。
帳簿の自己資本は194億円と、今の時価総額108億円を大きく上回る。純利益は23.5億円と、時価総額の2割を超える。ただし2026年3月期の利益は、営業利益率の山と特別な利益を含む。中立では、純利益は20億円ほどに落ち着くと見る。
それでも、現金とほぼ同額の借金に、政策保有株が加わった財務は、安全域になる。
気になるのは、ガソリンスタンドの減少という長期の逆風と、配当性向の低さだ。利益が積み上がっても、株主に届かなければ、評価は帳簿を割れ続ける。
洗車機は、導入後の保守・部品の収入があり、10年後も存在する事業だ。ライフ&サポートの伸びは、新しい芽になる。
安全域は、PBR0.56倍と、財務の堅さにある。オーナーとして持ちたいかと問われれば、還元が増える兆しがあれば持ちたい。値段は安全域をほぼ与えるが、すべてではない。
何で稼ぐ会社か
事業は3本柱だ。2026年3月期の売上298億円のうち、モビリティ&サービスが約7割、ライフ&サポートが約2割、住設機器が約1割を占める。
モビリティ&サービスは、門型洗車機、オイル交換などのオイル機器、販売・整備の情報機器を、ガソリンスタンドとカーディーラー、コイン洗車場に売る。導入後の保守・部品の収入が積み上がる点が特徴だ。2026年2月には、既存の排水設備とレールをそのまま使える新機種を発売し、買い替えの負担を下げた。ガソリンスタンドの数は減るが、1拠点に複数台を置く動きが、台数を下支えする。
ライフ&サポートは、調理家電、低温貯蔵庫、シニア向け家電などだ。セグメント利益は、2024年3月期の2.5億円から、2026年3月期の9.9億円へ、4倍近くに伸びた。
住設機器は、住宅の設備機器で、利益は薄い。
利益の大半はモビリティが稼ぐ。全社費用は年に15億円ほどあり、利益を押し下げている。生産は長野県を中心とした自社工場で行う。従業員は連結で千人規模の中堅メーカーだ。ガソリンスタンドの設備更新や、カーディーラーの店舗改装に合わせて機器が入れ替わるため、受注は設備投資の景気に連動しやすい。
優良さと弱いところ
優良とは言えない。堀、つまり他社がまねできない強みは、普通だ。
強みは、洗車機の国内トップクラスの地位と、導入後の保守・部品で続く収入だ。ガソリンスタンドの設備として、機器の信頼性と保守網が選ぶ理由になる。ライフ&サポートの調理家電は、独自の機能で差を付けられる。
弱みは、値段を自分で決めにくいことだ。洗車機の国内の競合は、ダイフク系のダイフクプラスモアなどで、価格の競争がある。ガソリンスタンドの減少で、新設の需要は先細る。
数字がそれを示す。営業利益率は過去12年、3.1%から9.1%の間で、直近が山だ。ROEは過去10年の中央値が5.3%と、資本コストに届かない年が多い。2026年3月期の12.1%は、利益率の山と特別な利益の影響が大きい。
財務は堅い。自己資本比率は68.5%で、純有利子負債は2億円だ。株主還元は配当性向9%と低い。
経営は、ライフ&サポートの利益改善に成果を出した。ただし、来期の会社予想は営業利益22億円と、直近から2割減る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要は、ガソリンスタンドの設備投資、カーディーラーの店舗更新、コイン洗車場の新設で決まる。ガソリンスタンドは長期に減っており、新設の洗車機は縮む。一方、1拠点に複数台を置く流れと、10〜15年で来る買い替えが、台数を下支えする。
最大の波は、設備投資の景気だ。ガソリンスタンドの経営者は小規模が多く、利益が落ちると更新を先送りする。カーディーラー向けは、新車販売に左右される。
コイン洗車場は、車の保有が続く限り需要がある。人手を要さない無人の洗車が、人手不足の中で伸びる。
生活機器では、調理家電が高齢化で需要を取り込む。ただし家電は競争が激しい。
競合は、洗車機ではダイフク系のダイフクプラスモアなどで、国内は2社で大半を占める。生活機器では大手の家電メーカーだ。同社は小さく、価格交渉力は強くない。10年の中立は、台数が横ばいで、価格が物価並みに上がる姿だ。
悲観の筋書きは、ガソリンスタンドの廃業が速まり、更新が止まる姿だ。分かれ目は、洗車機の台数を複数台化と買い替えで保てるかにある。保守・部品の収入は台数に比例して続くため、設置済みの台数が減らない限り、利益の下支えになる。
資本政策と M&A
配当性向は2026年3月期が9%と低い。2027年3月期は増配を予想し、配当性向は17%ほどに上がる。方針の詳細は確認できなかった。
純有利子負債は2億円で、財務は堅い。現金25億円に対し、有利子負債は34億円。大きな買収の実績は目立たず、設備投資が中心だ。
政策保有株は上場27銘柄で、簿価で約33億円ほどだ。持ち合い株の配当は利益に入っているため、時価総額にそのまま足しはしない。
株主優待は、2026年3月末の権利分から、QUOカードPayとカタログギフトに変わった。100株で少額、長期保有でやや増える。費用は開示がなく、株主数から年1億円に届かないと推定し、差への影響は小さい。
親会社はない。大株主は、東京中小企業投資育成が8.4%、八十二長野銀行が4.9%、みずほ銀行が4.9%で、長期の安定株主が中心だ。買収される可能性は小さくない。時価総額が小さく、自己資本が厚いからだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
PBRは0.56倍で、帳簿の資産の半分ほどしか値が付いていない。自己資本は194億円、純有利子負債は2億円で、現金と政策保有株、土地・工場の価値を考えれば、今の値段には大きな安全域がある。
2026年3月期の営業利益は27億円と過去最高で、ライフ&サポートの利益は2年で4倍になった。会社は2027年3月期も営業利益22億円、2028年3月期は27億円を見込み、増益に戻る。
洗車機は、導入後の保守・部品の収入があり、国内トップクラスの地位を持つ。2026年2月の新機種で、既存設備をそのまま使えるため、買い替えが進みやすい。ガソリンスタンドが減っても、複数台設置とコイン洗車場で台数は支えられる。
配当性向は9%と低い。自己資本比率が68.5%と厚いため、増配の余地が大きい。会社は2027年3月期に増配を予想する。還元が増えれば、現金の取り分が増え、評価は変わる。
10年で見れば、自己資本が膨らみ、株主の取り分も増える。今の値段は、中立の筋書きでも安い。
慎重な見方
2026年3月期の営業利益率9.1%は、過去12年の山で、中央値(4.7%)の2倍近い。この水準は続かない。会社自身が、2027年3月期の営業利益を22億円と、2割減で見ている。
1Qの営業利益は1.94億円と少なく、経常利益は前年から35%近く減った。利益の山を過ぎた徴候で、会社は理由を開示していない。
ガソリンスタンドは長期に減り続ける。複数台設置で補えるかは確かでない。カーディーラー向けは伸び悩み、設備投資の景気に左右される。
PBRが0.56倍と低いのは、理由がある。ROEは過去10年の中央値で5.3%と、資本コストに届かない。ためた利益は額面ほどの値打ちで働いていない。配当性向は9%と低く、現金は株主に届かない。
政策保有株は上場27銘柄あり、資本効率を下げている。優待を手厚くしても、利益の質は変わらない。
帳簿の資産は、在庫や工場など、稼ぐ力があって初めて値打ちが出るものが多い。稼ぐ力が弱ければ、売って得られる額は、帳簿を大きく下回る。
どちらに重みを置いたか
中立を4割弱に置き、直近の山からの戻りをやや悲観で28%と厚めに見た。強気の根拠であるライフ&サポートの定着と還元の強化は、やや楽観の20%で拾った。
利益率の山を過ぎた徴候は、1Qの減益と来期予想の減益で見える。ただし、帳簿の資産の厚みと、倍率が低い現状が、悲観の傷を浅くする。確率の幅は広めに取った。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,834 円256 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 435 円61 億円)。 今の値に割り戻すと 1,193 円166 億円、今との差 +53.3%、 期待の年率 +11.3%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,830 円534 億円 | 645 円90 億円 | +475.2% | +19.1% | 313 円44 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,719 円379 億円 | 574 円80 億円 | +323.2% | +15.5% | 659 円92 億円 |
| 中立 | 38% | 2,018 円281 億円 | 466 円65 億円 | +219.2% | +12.3% | 944 円132 億円 |
| やや悲観 | 28% | 840 円117 億円 | 323 円45 億円 | +49.5% | +4.1% | 326 円45 億円 |
| 悲観 | 7% | 287 円40 億円 | 108 円15 億円 | −49.3% | −6.6% | 28 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,834 円256 億円 | 435 円61 億円 | +191.6% | +11.3% | 2,269 円316 億円 |
今の株価時価総額 778 円109 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 洗車機の複数台設置と調理家電が伸び、利益率が8%台を保つ 利益 33 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 3,830 円534 億円
洗車機の更新需要が続き、1拠点に複数台を置く流れが広がる。排水設備やレールを既存のまま使える新機種で、買い替えのハードルが下がり、モビリティの数量は1割増える。価格は付加価値の高い機種へ移り、物価を上回る1.40倍になる。
ライフ&サポートは、調理家電と低温貯蔵庫が高齢者向けの需要を取り込み、数量が1.5倍になる。営業利益率は15%に乗る。
住設機器は横ばいだが、価格は物価並みを少し上回る。全社費用は物価並みに増える。
営業利益率は全体で8%台を保つ。過去12年の山である9.1%を超えない水準で、直近の姿の延長にあたる。10年続けるには、洗車機の更新サイクルが途切れないことと、調理家電の定着が欠かせない。
- モビリティ&サービス:数量 2,265(出荷台数(台、洗車機・オイル機器・情報機器の換算))× 価格 0.14(1台当たり平均単価(億円、保守を含む))→ 売上 317 億円・営業利益 43 億円。モビリティ&サービス
- ライフ&サポート:数量 186(出荷台数(千台))× 価格 0.70(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 130 億円・営業利益 20 億円。ライフ&サポート
- 住設機器ほか:数量 298(出荷台数(千台))× 価格 0.14(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 3 億円。住設機器ほか
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.4 倍、時価総額 500 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ガソリンスタンドの減少を、複数台設置と新機種の更新需要が上回り、調理家電が柱に育つ姿。営業利益率は直近の9.1%に近い水準が続く。ただし10年続く保証はなく、確率は低い。
やや楽観 20% 洗車機の価格を保ち、調理家電が伸びる 利益 25 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 2,719 円379 億円
モビリティの数量は4%増える。ガソリンスタンドが減る一方、1拠点の複数台化とコイン洗車場の新設がそれを補う。価格は物価並みを少し上回る1.37倍で、利益率は12.5%を保つ。
ライフ&サポートは調理家電の広がりで数量が1.3倍に伸び、利益率は14%に乗る。
住設機器は3%減るが、価格は物価並みに上がる。
営業利益率は全体で7%台に入る。過去12年の中央値(4.7%)より高いが、直近3年の7%台を維持する姿で、事業の力が上がった前提に立つ。
配当性向は9%と低く、会社は増配を予想する。還元が増えれば、ためた現金の取り分も増える。
- モビリティ&サービス:数量 2,141(出荷台数(台、洗車機・オイル機器・情報機器の換算))× 価格 0.14(1台当たり平均単価(億円、保守を含む))→ 売上 293 億円・営業利益 37 億円。モビリティ&サービス
- ライフ&サポート:数量 162(出荷台数(千台))× 価格 0.68(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 110 億円・営業利益 15 億円。ライフ&サポート
- 住設機器ほか:数量 289(出荷台数(千台))× 価格 0.13(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 3 億円。住設機器ほか
倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 13.98 倍、時価総額 344 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:洗車機の更新需要が底堅く、値上げを価格に反映できる姿。ライフ&サポートは利益が前々期から4倍近くに伸びた勢いを保つ。直近の高い利益率の一部は残る。
中立 38% 洗車機は横ばい、調理家電は緩やかに伸び、価格は物価並み 利益 18 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 2,018 円281 億円
モビリティの数量は横ばい。ガソリンスタンドの減少を、複数台設置と買い替えが補う。価格は物価並みの1.34倍で、利益率は11.5%と、直近の14.4%から下がる。
ライフ&サポートは数量が1.15倍に伸びるが、広告と競争で利益率は13%にとどまる。
住設機器は数量が5%減る。利益率は6%と薄い。
全社費用は物価並みの1.34倍に増える。営業利益率は全体で6〜7%と、会社の来期予想7.3%と過去12年の中央値(4.7%)の間に収まる。減価償却は取得時の値段のままで、新しい設備の分だけ増える。
純利益の営業利益に対する比は0.70とする。過去10年の中央値は0.60で、直近は財務が改善して利息が減り、持ち合い株の配当も入る分だけ高い。
筆者は、これを最も確からしいと見る。ためた現金は事業に使い切れず、自己資本が膨らむ。
- モビリティ&サービス:数量 2,059(出荷台数(台、洗車機・オイル機器・情報機器の換算))× 価格 0.13(1台当たり平均単価(億円、保守を含む))→ 売上 276 億円・営業利益 32 億円。モビリティ&サービス
- ライフ&サポート:数量 143(出荷台数(千台))× 価格 0.67(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 96 億円・営業利益 12 億円。ライフ&サポート
- 住設機器ほか:数量 283(出荷台数(千台))× 価格 0.13(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。住設機器ほか
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 243 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ガソリンスタンドの減少で国内の台数は横ばいから緩やかな減少、複数台設置と更新がそれを補う姿。営業利益率は直近の9.1%から、会社予想の7.3%付近まで戻る。
やや悲観 28% 値上げを通せず、洗車機の需要が弱り、利益率が4%台に戻る 利益 9 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 840 円117 億円
モビリティの数量は12%減る。ガソリンスタンドの閉鎖が進み、カーディーラー向けの更新も鈍る。価格は物価に届かない1.28倍にとどまり、利益率は10.5%に下がる。
ライフ&サポートの数量は横ばいで、価格競争から利益率は11%に落ちる。
住設機器は数量が1割減り、利益率は4%に薄くなる。
営業利益率は全体で4%台まで戻る。これは過去12年の中央値(4.7%)と同じ水準で、直近の高さは一時的だったことになる。
人件費と部材費の上昇は、全社費用として物価並みに増え続ける。純利益は営業利益の0.65倍にとどまり、配当も低く抑えられる。
- モビリティ&サービス:数量 1,812(出荷台数(台、洗車機・オイル機器・情報機器の換算))× 価格 0.13(1台当たり平均単価(億円、保守を含む))→ 売上 232 億円・営業利益 24 億円。モビリティ&サービス
- ライフ&サポート:数量 124(出荷台数(千台))× 価格 0.64(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 79 億円・営業利益 9 億円。ライフ&サポート
- 住設機器ほか:数量 268(出荷台数(千台))× 価格 0.13(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円。住設機器ほか
倍率:事業のROEは4%台。PERの上限は12.9倍だが、利益が薄く変動も大きいので約66%の8.5倍に置いた。
確率:ガソリンスタンドの減少が速く、複数台化では補えない姿。過去12年の中央値に近い営業利益率4〜5%へ戻る。今期の会社予想(7.3%)でも1Qの利益は前年を下回り、軽い筋書きではない。
悲観 7% 国内需要が縮み、赤字になる 利益 −9 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 287 円40 億円
モビリティの数量が3割減る。ガソリンスタンドの廃業が続き、更新の先送りが広がる。価格も1.2倍と物価に届かない。
ライフ&サポートの数量は2割減り、調理家電は競合に押される。住設機器も2割減る。
どのセグメントも利益率は3%以下に落ち、全社費用はほとんど減らせないため、営業損益は赤字になる。
工場や設備の稼働が落ち、減損と人員整理が出る。自己資本は目減りし、配当は大きく減る。評価は稼ぐ力ではなく、売れる資産で決まる。
過去12年では、2009年3月期と2011年3月期に赤字になり、営業利益率は2011年に-2.9%まで落ちた。この筋書きは確率が低いが、起きたときの傷は深い。
- モビリティ&サービス:数量 1,441(出荷台数(台、洗車機・オイル機器・情報機器の換算))× 価格 0.12(1台当たり平均単価(億円、保守を含む))→ 売上 173 億円・営業利益 5 億円。モビリティ&サービス
- ライフ&サポート:数量 99.4(出荷台数(千台))× 価格 0.60(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 60 億円・営業利益 2 億円。ライフ&サポート
- 住設機器ほか:数量 238(出荷台数(千台))× 価格 0.12(1千台当たり平均単価(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 −1 億円。住設機器ほか
倍率:事業が赤字に沈み、稼ぐ力では値が付かない。在庫・売掛金・工場・持ち合い株など売れる資産の価値まで下がる。内訳は floor_assets_why に書いた。
確率:ガソリンスタンドの廃業が一段と進み、洗車機の新設・更新が止まる。海外の販路も弱く、調理家電も振るわない。過去に赤字の期が2009年と2011年にあり、起きうる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
モビリティ&サービス
門型洗車機、オイル機器、情報機器(ガソリンスタンド・カーディーラー・コイン洗車場向け)と、設置後の保守・部品。
| 数量出荷台数(台、洗車機・オイル機器・情報機器の換算) | 価格1台当たり平均単価(億円、保守を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,059 | 0.10 | 206 | 30 |
| 10 年後 中立 | 2,059 | 0.13 | 276 | 32 |
取り方:台数の開示は無い。外部売上205.9億円を、1台約1,000万円(洗車機の本体と保守・部品を含む平均、推定)で割って約2,060台とした。セグメント利益は29.7億円で、全社費用は調整に入れた。
ライフ&サポート
調理家電(米飯・煮炊き)、低温貯蔵庫、シニア向け家電などの生活機器。
| 数量出荷台数(千台) | 価格1千台当たり平均単価(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 124 | 0.50 | 62 | 10 |
| 10 年後 中立 | 143 | 0.67 | 96 | 12 |
取り方:台数の開示は無い。外部売上62.1億円を、1台約5万円(推定)で割って約12.4万台とした。セグメント利益は9.9億円で、前々期の2.5億円から大きく伸びた。
住設機器ほか
住宅用の設備機器(住設機器)とその他事業。
| 数量出荷台数(千台) | 価格1千台当たり平均単価(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 298 | 0.10 | 30 | 3 |
| 10 年後 中立 | 283 | 0.13 | 38 | 2 |
取り方:台数の開示は無い。住設機器27.7億円とその他2.1億円の合計29.8億円を、1台約1万円(部材中心、推定)で割って約30万台とした。セグメント利益は住設1.6億円とその他1.3億円。
リスクと懸念
ガソリンスタンドの減少
洗車機の主な設置先であるガソリンスタンドは長期に減っている。複数台設置で補えなければ、国内の台数は縮む。
設備投資の景気
ガソリンスタンドの経営者は小規模が多く、利益が落ちると更新を先送りする。営業利益率は過去12年で3.1%から9.1%まで振れた。
直近の利益は山
2026年3月期の営業利益率9.1%は過去最高。会社は来期を営業利益22億円と2割減で見て、1Qの経常利益も前年から減った。
競合との価格競争
洗車機の国内は、ダイフク系のダイフクプラスモアなどとの競争がある。生活機器では大手の家電メーカーが相手で、価格交渉力は強くない。
還元が増えない
配当性向は9%と低く、ためた現金や政策保有株の価値が株主に届かない恐れがある。
今後の分かれ目
- 営業利益率が2期続けて7%を超える
- 山でなく水準が上がったと判断し、やや楽観の確率を上げる。
- 営業利益率が5%を割る
- やや悲観の確率を上げ、中立の倍率を下げる。
- 配当性向を30%以上に引き上げる
- ためた現金の取り分が増える合図。倍率の上限に近づける。
- ライフ&サポートの営業利益が10億円を超えて定着する
- 柱に育ったとみて、楽観寄りに確率を動かす。
- 政策保有株の売却と自社株買いを発表する
- 資本効率の改善と判断し、倍率を上げる。
見ておくもの
- 営業利益率(四半期)
- 洗車機の受注
- ライフ&サポートの営業利益
- 配当性向
- 政策保有株の残高
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。ROEが資本コスト以下なので、PERの上限は1÷k=12.9倍で、その6〜8割に置いた。今の株価やPBRには寄せていない。数量は洗車機の横ばいから緩やかな減少、生活機器の緩やかな伸び、価格は物価並みの1.34倍を基本とした。営業利益率は過去12年の山(9.1%)以下。セグメントの数量・単価は開示がなく推定。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→15.4 倍・やや楽観 PER 10.5→13.98 倍・中立 PER 10→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。