結論
サンコーテクノは、コンクリートに物を固定する「あと施工アンカー」で国内首位の千葉の会社だ。筆者の結論は「やや割安」。事業の安定と財務の堅さに比べ、今の値段は低く見える。
国内の市場約465億円のうち、約4割を握る。橋やトンネルなど、建設後50年を超える社会資本は今後20年で急に増え、補修工事の需要が続く。会社は全国19の拠点と25,000点以上の商品で、現場に密着している。
営業利益は18億円、営業利益率は8%台で、過去10年は6〜10%の幅に収まる。赤字は2009年3月期の1度だけだ。自己資本比率は69%で、借金は小さい。
弱みは、ROEが資本コストに届かない点と、買収の成否だ。機能材事業は買収した会社が多く、利益は薄い。
筆者は、事業の安定に比べて今の値段が低いと見る。10年の中立でも、価値は今の時価総額を上回る。
気がかりは2つある。アンカーは規格品で、大手が自社ブランドで参入できる。もう1つは、買収を重ねる経営の資本の使い方だ。堀は普通と見て、資本コストは低く置かなかった。それでも、事業の安定に見合う値段は、今の時価総額より高い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るべきは「事業が10年先も残るか」と「稼いだお金をうまく使うか」だ。サンコーテクノは、前者に強い。インフラの老朽化は確実に進み、橋やトンネルの補修でアンカーの需要は続く。国内の4割を握る首位で、全国の拠点と25,000点の商品が顧客の手間を省く。
後者は、これから試される。自己資本比率を65〜70%に保つ方針で、利益の7割以上が内部にたまる。買収した会社の利益は薄く、会社自身が掲げるROIC5%以上の目標は、資本コストを大きく上回らない。ただ、買収を重ねても本業の財務は崩れていない。
安全域は、ある。時価総額は自己資本の6割で、純利益の7〜9倍だ。10年の中立でも、価値は今の値段を上回る。
気がかりは、アンカーが代わりの利く商品である点と、買収の成否だ。堀は普通と見て、資本コストは低く置かなかった。
筆者は、この会社に今の値段で安全域を見いだせる。
何で稼ぐ会社か
サンコーテクノは、建設資材の「あと施工アンカー」を主力とする会社だ。事業は2つに分かれる。
1つはファスニング事業で、2026年3月期の売上の約8割にあたる。コンクリートに穴をあけ、アンカーを打ち込んで、設備や配管、天井などを固定する。金属製の打ち込み式の「オールアンカー」は1965年に製品化した。穴をあけるドリルビット、打ち込み機、強度を確かめる試験機、電動油圧工具も売る。土木や耐震の工事管理まで手がけ、調査から設計、施工までを一貫して提供する。営業利益率に近いセグメント利益率は約15%と高い。
もう1つが機能材事業で、約2割。紫外線で固まるFRPシート(橋の補修や受水槽のライニング)、電子プリント基板、アルコール検知器、包装・物流機器を扱う。子会社の買収で広げた事業で、利益率は低い。
客は建設会社、設備工事会社、商社、ホームセンターで、特定の大口客は多くない。
2026年3月期の連結は、売上218億円、営業利益18億円、純利益16億円だった。会社の予想では、2027年3月期の売上は240億円、営業利益は17.7億円になる。
会社は2034年3月期に売上500億円を目指し、買収と新規事業に力を入れる。
優良さと弱いところ
サンコーテクノは、「小さな部品で、現場に根を張った首位」の会社だ。
強みは3つある。1つ目は商品の厚みだ。25,000点以上の品ぞろえと、穿孔から施工、強度確認まで一貫して扱えることで、現場は1社で済む。2つ目は全国19の拠点で、地域の設備会社や商社と顔の見える関係がある。3つ目は、一度採用されると、設計図や施工要領に品番が入り、変えにくいことだ。
弱みもある。アンカー自体は代わりの利く商品で、大手の工具メーカーや商社が自社ブランドで参入できる。堀は強いとまでは言えず、普通の堀と見る。
収益は安定している。営業利益率は過去10年で6〜10%の幅に収まり、2009年3月期の赤字が唯一だ。ファスニング事業の価格改定も、駆け込み需要が出るほど通った。
ただROEは過去10年の中央値で7.7%、直近は8%台で、資本コストを大きく上回らない。自己資本比率を65〜70%に保つ方針で、利益の多くが内部にたまる。買収した会社の利益も薄い。
経営は、洞下英人氏が社長で、15%を持つ。東京中小企業投資育成が9%、有限会社サンワールドが8.6%で、株主は安定している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
あと施工アンカーの市場は、2024年の販売額で465億円(業界団体の調査、24社)。サンコーテクノはその約4割を握る。需要は、設備の据え付け、改修、耐震、土木の補修に結びつく。
建築の新設は人口の減少で細るが、インフラの老朽化が追い風だ。国土交通省によれば、建設後50年を超える橋は2023年の37%から2040年に75%へ増える。橋の補修では、アンカーを使う工事が増える。
ただ国の予算は限られ、人手不足で工事が進まない側面もある。公共の土木は、ゼネコンの技術者が足りない中で受注できる量が決まる。
競合は、ヒルティなどの外資、国内の工具メーカー、ケミカルアンカー専業などだ。ケミカル系は接着剤で固定するもので、金属系の打ち込み式とは競合する。
最近は価格改定が通り、市場全体が値上げ基調だ。原材料の鋼材は中国の過剰生産で高騰しにくい。
筆者は、建築の落ち込みを土木が補い、台数は10年で横ばいと置いた。値段は物価並みに上がる。
数量の見通しは、建築と土木で分けて考えた。建築の新設は10年で2割ほど減る。一方、インフラ補修は国の維持管理の予算と老朽化の進行で、年に数%の台数増が見込める。加えて、耐震補強や再開発の工事も下支えする。両者を合わせると、台数は横ばいとなる。物価の分は、価格改定で通すことが多く、鋼材の価格の天井が低いため、利益率は物価に沿って維持される。
資本政策と M&A
資本政策は、安定を優先する。自己資本比率は65〜70%に保つ方針で、借金は小さい。配当は前年実績を下限とする累進配当で、2025年3月期まで15年連続で増配した。性向は27〜29%だ。自社株買いは、投資案件と株価を見て実施する。株主優待は100株以上でQUOカードを贈る制度で、2025年7月に拡充した。年間の費用は1億円に満たない。
買収が成長の柱だ。2019年に浦和電研と成光産業、2021年に日本メカニック、2023年にWDS・新光ナイロン・光洋、2024年にアキヤ電気を子会社にした。3年間で30億円の設備投資を計画し、新しい物流倉庫に約20億円を投じた。
外部の推計では、10年以内にTOBや買収が起きる確率は31%と高い。ただ、今回の調べでは、公開買付けや非公開化の発表は確認できなかった。持ち合い株は必要最低限とする方針だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
サンコーテクノは、国内のあと施工アンカーで約4割を握る首位だ。商品の厚み、全国の販売網、設計図に品番が入る採用の慣性が、シェアを守る。橋やトンネルなどの老朽化はこれから急に進み、補修で使うアンカーの需要は確実に増える。
営業利益率は過去10年で6〜10%の幅に収まり、赤字は2009年3月期の1度だけだ。価格改定も通り、物価の上昇を転嫁できる力がある。財務は堅く、自己資本比率は69%で、15年連続の増配を続けている。
土木向けの高付加価値製品は、2026年3月期の9億円弱から2027年3月期に9.5億円へ伸びる計画だ。機能材では、電子基板とアルコール検知器が育ち、買収した会社が利益を出し始めれば、利益率が上がる。時価総額は自己資本の6割と低く、純利益の7〜9倍でしかない。10年で利益が1.5倍になれば、再評価は十分に起こる。
買収で広げた機能材も、電子基板、アルコール検知器、FRPシートと、市場が成長する分野に入っている。配当は累進で、利益が増えれば自動的に増える。株主優待の拡充も、長く持つ株主への姿勢を示す。
慎重な見方
あと施工アンカーは、代わりの利く商品だ。大手の工具メーカーや商社が自社ブランドで参入すれば、シェアが落ちる。ケミカル系アンカーとの競争もあり、堀は強いとは言えない。
国内の建築の新設は、人口の減少で細る。インフラ補修は国の予算と人手不足に左右され、期待ほど伸びない恐れがある。2027年3月期の会社予想は、売上が増えるのに経常利益が4%減る。
ROEは過去10年の中央値で7.7%、直近は8%台で、資本コストを大きく上回らない。自己資本比率を65〜70%に保つ方針で、利益が内部にたまり、ROEは低下する。
機能材は買収の積み重ねで利益が薄く、2026年3月期の第2四半期は利益が57%減った。買収した会社ののれんは、減損のリスクを抱える。会社の長期目標(2034年に売上500億円)は大きすぎ、買収の失敗が価値を壊す恐れがある。
自己資本比率69%という数字は、安全というより、資本を使い切れていない証拠でもある。借金で買収を進める力があっても、買収の値段が高ければ価値を壊す。国内中心の事業は、海外の売上が1割にも届かず、成長の余地が国内の補修に限られる。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや強い。首位の位置と、赤字が1度だけという実績は事実で、10年の中立でも価値は今の値段を上回る。ただし堀は普通で、資本の効率が低い点は割り引く。中立の倍率は式の上限(13.8倍)の8割にあたる11倍に置いた。確率は、土木が補う姿に3割台半ば、楽観側に3割台半ば、悲観側に3割弱を置いた。強気に寄せ切らない理由は、買収の成否が見えないことだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,240 円257 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 614 円49 億円)。 今の値に割り戻すと 2,174 円172 億円、今との差 +52.0%、 期待の年率 +10.4%(資本コスト 6.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 5,827 円462 億円 | 896 円71 億円 | +370.2% | +16.7% | 807 円64 億円 |
| やや楽観 | 25% | 4,251 円337 億円 | 732 円58 億円 | +248.4% | +13.3% | 1,246 円99 億円 |
| 中立 | 36% | 3,339 円265 億円 | 631 円50 億円 | +177.6% | +10.8% | 1,429 円113 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,025 円81 億円 | 417 円33 億円 | +0.8% | +0.1% | 288 円23 億円 |
| 悲観 | 7% | 1,010 円80 億円 | 189 円15 億円 | −16.1% | −1.7% | 84 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,240 円257 億円 | 614 円49 億円 | +169.5% | +10.4% | 3,854 円305 億円 |
今の株価時価総額 1,430 円113 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.5% を下回るほど割高。
楽観 12% 土木のインフラ補修で台数が伸び、買収した会社も加わって売上が大きく増える 利益 27 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 5,827 円462 億円
社会資本の老朽化が進み、橋やトンネルの補修工事が増え続ける。サンコーテクノは、メタルアンダーカットアンカーなど土木向けの高付加価値品で台数を1割増やし、値段も物価以上に上がる。ファスニング事業の利益率は18%に上がり、過去の最高(2024年3月期の連結営業利益率9.8%)に近づく。機能材では、電子基板とアルコール検知器が育ち、買収した会社が連結に加わる。売上は物価の分を含めて400億円に近づき、会社が掲げる長期目標(2034年3月期に500億円)の途中まで来る。配当は性向35%まで上がり、10年で70億円ほどを返す。自己資本比率は65〜70%の方針を守る。
- ファスニング事業(あと施工アンカー・ドリルビット・電動油圧工具・工事管理):数量 12,686(出荷数量相当(万個。推定))× 価格 0.02(1個あたり売上(万円。名目))→ 売上 266 億円・営業利益 48 億円。数量1.10倍・単価1.40倍
- 機能材事業(FRPシート・電子基板・測定器・包装機器):数量 134(出荷セット相当(万セット。推定))× 価格 0.69(1セットあたり売上(万円。名目))→ 売上 92 億円・営業利益 6 億円。数量1.50倍・単価1.38倍
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.3%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍。全体の PER 16.91 倍、時価総額 462 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:インフラ補修の追い風と買収の成功が重なる筋書きだ。会社の長期目標は500億円と大きい。ただ過去の買収は小さく、確率は1割強にとどめた。
やや楽観 25% インフラ補修と値上げが効き、利益率がじわりと上がる 利益 22 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 4,251 円337 億円
インフラの補修が着実に伸び、民間の建築の落ち込みを補う。台数は4%増え、値上げも物価並みに通る。ファスニングの利益率は16.5%に上がる。機能材は、電子基板とアルコール検知器が伸びて売上が3割増えるが、新製品の開発費もかさみ、利益率は5%にとどまる。物流の新倉庫が稼働して、物流費の抑制に効く。配当は累進の方針を守り、10年で60億円ほどを返す。自己資本比率は65〜70%を保つ。ただ買収の効果は途中で足踏みし、会社が掲げるROIC5%以上の目標を超える程度にとどまる。耐震補強や再開発の工事も、台数を下支えする。アンカーは設計図に品番が入るため、一度採用されると、変えられにくい。
- ファスニング事業(あと施工アンカー・ドリルビット・電動油圧工具・工事管理):数量 11,994(出荷数量相当(万個。推定))× 価格 0.02(1個あたり売上(万円。名目))→ 売上 246 億円・営業利益 41 億円。数量1.04倍・単価1.37倍
- 機能材事業(FRPシート・電子基板・測定器・包装機器):数量 116(出荷セット相当(万セット。推定))× 価格 0.68(1セットあたり売上(万円。名目))→ 売上 79 億円・営業利益 4 億円。数量1.30倍・単価1.36倍
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 6.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 6.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍。全体の PER 15.66 倍、時価総額 337 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:土木向けの高付加価値品は、すでに売上に出始めている。インフラの老朽化は確実に進む。台数が緩やかに伸びる筋書きとして、2割台半ばを置いた。
中立 36% 建築は細り土木が補い、台数は横ばいで物価の分だけ増収 利益 17 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 3,339 円265 億円
建築の新設は人口の減少で細るが、土木のインフラ補修が補い、台数は横ばいで続く。値段は物価並みに上がり、売上は300億円に届く。ファスニングの営業利益率は15.5%で、直近の水準と変わらない。全社の費用(本社・物流・研究費)は物価で増え、13億円になる。新しい自動倉庫の償却は、取得時の値段で10年にわたり足される。既存設備の償却は物価で増えないので、利益は見かけよりやや良く出る。一方、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、現金は細る。配当は性向30%強を保ち、10年で50億円ほどを返す。買収は続くが、大型案件はない。
- ファスニング事業(あと施工アンカー・ドリルビット・電動油圧工具・工事管理):数量 11,533(出荷数量相当(万個。推定))× 価格 0.02(1個あたり売上(万円。名目))→ 売上 232 億円・営業利益 36 億円。数量1.00倍・単価1.34倍
- 機能材事業(FRPシート・電子基板・測定器・包装機器):数量 103(出荷セット相当(万セット。推定))× 価格 0.67(1セットあたり売上(万円。名目))→ 売上 69 億円・営業利益 3 億円。数量1.15倍・単価1.34倍
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 6.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.38 倍、時価総額 264 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去10年の営業利益率は6〜10%で、直近は8%台。国内の建築は細るが、補修が補う姿を最も重く見て、3割台半ばにした。
やや悲観 20% 公共・民間の建設投資が細り、値上げも通らなくなる 利益 9 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 1,025 円81 億円
公共投資と民間の建築が細り、アンカーの台数が8%減る。建設会社が値下げを求め、値上げも通りにくくなる。ファスニングの利益率は12%に下がる。機能材は、新製品の開発費が重く、利益率は2%にとどまる。買収した会社の統合が遅れ、のれんの償却が利益を削る。物流の新倉庫は稼働が計画に届かず、固定費の負担が重い。配当は累進の方針を守るが、額が増えず、10年で33億円ほどにとどまる。自己資本比率は保たれるが、ROEは3%台に落ちる。工事の人手不足で、受注した工事が進まない年が続く。ゼネコンの調達部門は一括購買を広げ、アンカーの値決めの力が弱まる。
- ファスニング事業(あと施工アンカー・ドリルビット・電動油圧工具・工事管理):数量 10,610(出荷数量相当(万個。推定))× 価格 0.02(1個あたり売上(万円。名目))→ 売上 207 億円・営業利益 25 億円。数量0.92倍・単価1.30倍
- 機能材事業(FRPシート・電子基板・測定器・包装機器):数量 89.2(出荷セット相当(万セット。推定))× 価格 0.64(1セットあたり売上(万円。名目))→ 売上 57 億円・営業利益 1 億円。数量1.00倍・単価1.28倍
倍率:k は6.5%。利益が小さく、新製品の開発費も重い。式の上限(13.8倍)の7割弱として9.5倍。
確率:建設投資が細り、値上げが通らなくなる筋書きだ。2009年3月期には赤字になった実績がある。2割を置いた。
悲観 7% 商社と大手の自社ブランドに押され、シェアを失う 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,010 円80 億円
構造的に負ける。大手の工具メーカーや商社が自社ブランドのアンカーを広げ、サンコーテクノのシェアは40%から30%を割る。建設会社は調達を一括にして値下げを求め、中国製の安いアンカーも入ってくる。台数は4分の1減り、値上げも通らない。機能材は、電子基板とアルコール検知器の新製品が育たず赤字になる。買収した会社ののれんの減損が出る。会社は配当を累進の方針から外し、10年の還元は15億円ほどにとどまる。株主の取り分は、現金と売れる資産が中心になる。海外への展開は小さく、国内の縮みを補えない。10年後の会社は、規模が小さくなった国内の部品メーカーだ。
- ファスニング事業(あと施工アンカー・ドリルビット・電動油圧工具・工事管理):数量 8,650(出荷数量相当(万個。推定))× 価格 0.02(1個あたり売上(万円。名目))→ 売上 149 億円・営業利益 12 億円。数量0.75倍・単価1.15倍
- 機能材事業(FRPシート・電子基板・測定器・包装機器):数量 75.8(出荷セット相当(万セット。推定))× 価格 0.58(1セットあたり売上(万円。名目))→ 売上 44 億円・営業利益 −1 億円。数量0.85倍・単価1.15倍
倍率:構造的に負けた事業は稼ぐ力がほぼ消え、床は売れる資産に頼る。今の自己資本200億円に0.40を掛ける(ためた利益には掛けない)。
確率:大手工具メーカーや商社の自社ブランド化と中国製品の流入が重なる筋書きだ。シェア4割と全国の販売網があるので、確率は1割に届かない7%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ファスニング事業(あと施工アンカー・ドリルビット・電動油圧工具・工事管理)
コンクリートに物を固定するあと施工アンカーを中心に、穴をあけるドリルビット、打ち込み機、強度を確かめる試験機、土木・耐震の工事管理まで一貫して扱う。国内シェア約4割。
| 数量出荷数量相当(万個。推定) | 価格1個あたり売上(万円。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 11,533 | 0.02 | 173 | 26 |
| 10 年後 中立 | 11,533 | 0.02 | 232 | 36 |
取り方:売上は2026/03期のファスニング事業約173億円(決算資料で172億円・前期比1.6%減とされる)、セグメント利益26.3億円。数量は開示がないので、1個あたり平均150円(25,000点以上の品ぞろえの加重平均)と置いて売上から推定した。
機能材事業(FRPシート・電子基板・測定器・包装機器)
紫外線硬化型のFRPシート(橋や受水槽の補修)、電子プリント基板、アルコール検知器などの測定器、包装・物流機器。買収した子会社が中心。
| 数量出荷セット相当(万セット。推定) | 価格1セットあたり売上(万円。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 89.2 | 0.50 | 45 | 2 |
| 10 年後 中立 | 103 | 0.67 | 69 | 3 |
取り方:売上は連結217.6億円からファスニング事業を引いた約44.6億円(前期35.6億円。2024年10月に買収したアキヤ電気が加わった)。セット数は開示がないので、1セット平均0.5万円と置いて推定した。利益は第2四半期累計が0.44億円(前年同期比57%減)で、通期1.5億円と推定。全社費用は営業利益17.9億円との差で、−9.9億円と推定。
リスクと懸念
代わりの利く商品
あと施工アンカーは、規格化された部品で、大手の工具メーカーや商社が自社ブランドで参入できる。サンコーテクノのシェアは2015年の約5割から約4割に下がっている。価格競争が強まれば、利益率が下がる。
国内建築の縮み
建築の新設は人口の減少で細る。インフラ補修が補うはずだが、国の予算と人手不足に左右される。2027年3月期の会社予想は、売上が増えるのに経常利益が4%減る。
買収の失敗
機能材は買収で広げた事業で、利益が薄い。第2四半期は利益が57%減った。会社は2034年3月期に売上500億円を目指し、買収を続ける。高い値段で買えばのれんの減損が出て、価値を壊す。
資本の効率
自己資本比率を65〜70%に保つ方針で、利益の7割以上が内部にたまる。ROEは8%台で、資本コストを大きく上回らない。使い道が見つからなければ、価値が薄まる。
新しい物流倉庫
約20億円を投じた自動倉庫が2026年に稼働する。稼働が計画に届かなければ、償却が先に出て利益を圧迫する。建築費の上昇で、今後の更新の投資も膨らむ。
中国製の安いアンカー
中国製の安い金属系アンカーが入ってくれば、価格競争が強まる。品質の評価や試験の裏づけが、サンコーテクノの強みを守れるかが課題だ。
今後の分かれ目
- 土木向け製品の売上が、計画の9.5億円を大きく上回った場合
- インフラ補修の追い風が数字に出たと見て、強気の筋書きに近づく。
- 大手の工具メーカーが自社ブランドのアンカーを広げた場合
- シェアが4割を割る恐れがあり、慎重な筋書きに寄る。
- 機能材の利益が2期続けて赤字になった場合
- 買収した事業の利益が出ないと見て、のれんの減損と資本効率の低下を織り込む。
- 自社株買いや配当性向の引き上げが発表された場合
- 資本効率を意識した経営に動いたと見て、評価は上がる。
- 大型の買収が発表された場合
- 買収の値段と、買う会社の利益率で判断が分かれる。高い値段なら価値を壊す。
見ておくもの
- ファスニング事業の営業利益率
- 土木向け製品の売上(2027年3月期の計画9.5億円)
- 機能材事業の利益(四半期)
- 新物流倉庫の稼働と物流費
- 配当性向と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(正当化PER)から置いた。事業のROEが5〜6%で資本コスト6.5%を下回り、上限は1÷k。堀は普通と見て上限の8割とした。今の株価や自己資本の6割という水準は根拠にしていない。今の株価が倍でも半分でも、数字は変わらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→16.91 倍・やや楽観 PER 12→15.66 倍・中立 PER 11→15.38 倍)。
資本コスト 6.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に quality −0.25% を足した7.25%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.25% → 6.50%。