結論
トーソーは、カーテンレールやブラインド、ロールスクリーンを作る窓まわりの専業だ。カーテンレールでは国内の最大手で、立川ブラインド工業、ニチベイと並ぶ 3 社の一角を占める。売上は約 233 億円である。
筆者の結論は、今の値段はほぼ妥当だ、というものだ。時価総額は自己資本の 3 分の 1 にすぎないが、PBR の低さは割安の根拠にならない。ROE が 4% 前後と、資本コストの半分ほどしか稼いでいないからだ。
足元は悪くない。2026 年 3 月期は新製品と値上げで営業利益が 3 割近く増えた。ただ、過去 12 年の営業利益率は 2〜5% で、山を作っても長く続かなかった。
10 年先の中立では、出荷の数は 1 割弱減り、値段は物価並みに上がる。営業利益は 12 億円前後とみる。稼ぎが資本に見合わないかぎり、帳簿の厚さは株主の価値になりにくい。
筆者がいちばん気にしているのは、値上げで戻った利益率が一時のものかどうかだ。会社自身が 2027 年 3 月期の減益を見込んでいる点は軽くない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「帳簿は厚いが、稼ぐ力が資本に見合わない」部類に入る。
事業は分かりやすく、長く続く。窓がある限りカーテンやブラインドは要り、3 社の寡占は簡単には崩れない。施工の販路と短い納期の仕組みは、新しい会社がすぐにまねできるものではない。
ただ、その堀から上がる利益が薄い。営業利益率は 2〜5% で、資本コストを上回る ROE を出した年はほとんど無い。資本を足しても稼ぎは比例して増えず、ためた利益は帳簿より低い価値になる。
安全域、つまり値段と価値の間のゆとりは、思ったほど厚くない。PBR は低いが、帳簿の中身は在庫と売掛金、設備が中心で、すぐに株主の手に戻る資産ではない。
長く持つなら、値上げの定着と、利益率が 5% を超えて保てるかを見続けることになる。
筆者は、この会社を安いからという理由だけで持つ気にはならない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、窓に付く内装品だ。カーテンを吊るレール、横型や縦型のブラインド、ロールスクリーン、ローマンシェード、間仕切りのパネルなどを作り、仕入れも合わせて売る。売上の 98% がこの室内装飾関連の事業で、残りは介護用品などだ。
販路は二つある。一つはインテリア専門店や内装の施工業者を通じて、新築とリフォームの住宅に入る道だ。もう一つは住宅メーカーや建設会社を通じた、マンションやオフィス、病院、学校など非住宅の物件である。
商品は寸法に合わせた受注生産が多い。窓ごとに幅と高さが違うので、短い納期で作って届ける仕組みそのものが競争力になる。国内に工場と物流の拠点を持ち、在庫は 43 億円と売上の 2 割近い。
2026 年 3 月期は住宅向けの新製品と価格改定で売上が 2% 増え、営業利益は 9.6 億円と 3 割近く増えた。一方で非住宅と海外は計画に届かなかった。2027 年 3 月期の会社の予想は営業利益 8.5 億円と、減益を見込む。
費用の面では、アルミの押し出し材や樹脂の部品、生地の仕入れ、運賃が大きい。いずれも物価とともに上がるので、毎年の価格改定が利益を守る生命線になる。
優良さと弱いところ
同社の強みは、窓まわりの寡占と、施工の販路だ。カーテンレールやブラインドは、立川ブラインド工業、ニチベイ、トーソーの 3 社で国内の大半を占める。施工業者は使い慣れたメーカーの部品を選び、取り替えの時も同じメーカーの品を使うことが多い。
ただ、値段を決める力は 3 社の中で弱い方だ。立川ブラインド工業の営業利益率が 10% 前後なのに対し、同社は 2〜5% にとどまる。品ぞろえは広いが、高単価の電動品や調光の品で差をつけきれていない。
資本の効率は低い。ROE は 2〜6% で、資本コストを長く下回ってきた。自己資本比率は 68% と厚いが、その中身は在庫と売掛金、設備が多い。
経営は中期経営計画で ROE 6% を掲げるが、届いた実績は無い。筆者は、値上げで戻った利益率を保てるかどうかが、この会社の評価の分かれ目だと見る。
品質と納期の評判は高く、施工業者の支持は厚い。それが値段に表れていないのが、この会社の弱さだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
窓まわりの内装品の需要は、住宅の着工とリフォームに連動する。新設住宅の着工は 2010 年代の 90 万戸台から、足元は 80 万戸を割り込む水準に下がった。10 年後は 60 万戸前後まで細るとの見方が多い。
支えはリフォームと非住宅だ。窓の断熱の改修には国の補助金が続き、遮熱や断熱のブラインド、ハニカム構造のスクリーンが選ばれる。オフィスや病院、学校の改修でもブラインドの取り替えが出る。
値段の面では、2022 年から各社が値上げを重ねた。アルミや樹脂、生地、運賃、人件費が上がり、3 社がそろって転嫁した。寡占の業界なので、値上げは比較的通りやすい。
競争は 3 社の間の量の取り合いが中心だ。立川ブラインド工業は高単価の品と駐車場装置で利益率が高く、ニチベイは非上場で、住宅と非住宅の両方で競う。ネットやホームセンターで売る安価な既製品も広がり、施工を伴わない取り替えの一部を取っている。
10 年の中立では、同社の出荷の数は 1 割弱減り、値段は物価並みに上がるとみる。
業界の伸びは名目で横ばいからやや増えにとどまり、3 社の中で誰が値上げを主導するかが利益を分ける。
資本政策と M&A
同社の還元は控えめだ。2026 年 3 月期は期末の配当を増やし、年間で約 1.4 億円を払った。利益の 2 割ほどにあたる。2027 年 3 月期は減益の予想に合わせ、配当も少し下げる見込みだ。
2025 年には自社株買いを行い、株数は 1% 強減った。この分は今の株数に入っている。株主優待は図書カードなどで、額は小さい。
帳簿には現預金 41 億円と短期借入 27 億円があり、差し引きの純現金は約 14 億円だ。投資有価証券は 13 億円あり、取引先の株が中心とみられる。
買収で規模を取る会社ではない。時価総額は 51 億円と小さく、PBR は 0.3 倍台だ。同業の再編や、投資ファンドが還元を求める動きは起こりうるが、具体的な兆しは見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、帳簿の 3 分の 1 の値段で寡占の一角が買える銘柄だ。窓まわりは 3 社で国内の大半を占め、カーテンレールでは同社が最大手である。施工業者は慣れたメーカーの部品を使い続けるので、取引は簡単には離れない。
利益は戻り始めた。2026 年 3 月期は新製品と値上げで営業利益が 3 割近く増えた。原材料と運賃の上げが一服すれば、値上げの分が利益に残る。
断熱の改修という追い風もある。窓の断熱には補助金が続き、遮熱や断熱のスクリーンは単価が高い。新築が減っても、取り替えの需要は家の数に比例して出続ける。
資本の効率を上げる余地も大きい。在庫を絞り、持ち合いの株を売り、還元を厚くするだけで ROE は上がる。中期経営計画の ROE 6% は、手の届く目標だ。
小さな会社の割に、ブランドの名は施工の現場でよく知られている。営業の地盤が崩れない限り、値上げは今後も 3 社そろって通るはずだ、という主張になる。
慎重な見方
PBR の低さは、資本を生かせない会社の正しい値段だ。ROE は 10 年以上、資本コストの半分ほどで推移してきた。帳簿の厚さは在庫と売掛金、設備で、株主の手に戻る資産ではない。
寡占と言っても、同社は 3 社で最も利益が薄い。立川ブラインド工業の利益率 10% 前後に対し、同社は 2〜5% だ。値上げは 3 社がそろって通したもので、同社だけの力ではない。原価が落ち着けば、値下げの圧力が戻る。
需要は確実に細る。新設住宅の着工は 10 年で 2 割以上減る見込みだ。断熱の補助金は政策次第で、いつ終わるかわからない。ネットの安価な既製品も、取り替えの一部を奪っている。
会社の予想も 2027 年 3 月期は減益だ。直近の増益を、構造が変わった証拠と読むのは早い。
筆者の目から見ても、在庫の厚さは重い。売上の 2 割近い在庫は、需要が細る局面で値下げの種になりうる。直近の増益だけで評価を上げるのは危うい、という主張だ。
どちらに重みを置いたか
寡占と販路の強さは本物で、最悪でも会社が傾く形は考えにくい。この点は強気の見方が正しい。一方で、利益の薄さと資本の効率の低さは 10 年以上続く事実で、慎重な見方の方が証拠は厚い。値上げの効果が一巡した後も利益率を保てた証拠はまだ無い。確率は中立を中心に、やや悲観側に少し寄せた。
今後 2〜3 期の利益率が判断の材料になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,124 円100 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 202 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 701 円62 億円、今との差 +21.3%、 期待の年率 +8.7%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,783 円158 億円 | 305 円27 億円 | +261.2% | +13.7% | 146 円13 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,584 円140 億円 | 250 円22 億円 | +217.3% | +12.2% | 348 円31 億円 |
| 中立 | 37% | 1,395 円123 億円 | 210 円19 億円 | +177.7% | +10.8% | 594 円53 億円 |
| やや悲観 | 26% | 592 円52 億円 | 165 円15 億円 | +31.0% | +2.7% | 197 円17 億円 |
| 悲観 | 11% | 260 円23 億円 | 117 円10 億円 | −34.7% | −4.2% | 41 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,124 円100 億円 | 202 円18 億円 | +129.5% | +8.7% | 1,327 円117 億円 |
今の株価時価総額 578 円51 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 電動と高単価の窓まわりが広がり、利益率が 5% 台に乗る 利益 11 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,783 円158 億円
電動のカーテンレールやブラインド、遮熱や調光の高単価品が、住宅とオフィスの改修で広がる筋書きだ。窓の断熱の補助金が続き、窓まわりの取り替えが厚くなる。出荷の数はほぼ今の量を保ち、単価は物価より速く上がる。
同社は立川ブラインド工業、ニチベイと並ぶ 3 社の一角で、カーテンレールでは最大手だ。施工業者とインテリア店の販路を握るので、値上げを通しやすい。営業利益率は過去の山に近い 5.2% まで戻る。
還元も厚くなり、配当性向は 3 割に上がる。それでも海外と非住宅は小さく、伸びの柱にはならない。
10 年後の利益は今の 1.7 倍になるが、資本も膨らむので ROE は 5% 台にとどまる。
- 室内装飾関連(窓まわり):数量 284(出荷数(万台・推定))× 価格 11,224(1 台あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 319 億円・営業利益 17 億円。出荷数(万台)× 平均単価(円)。推定
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 155 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率 5.2% は 2021 年 3 月期の 5.1% にほぼ並ぶ。過去に届いた水準だが、新築の減少に逆らうので 7% にとどめた。
やや楽観 19% 値上げとリフォームで、数の減りを単価で埋める 利益 10 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,584 円140 億円
新築の着工は細るが、リフォームと賃貸住宅の内装の更新が下支えし、出荷の数は 10 年で 5% ほどの減りにとどまる筋書きだ。価格改定は物価よりやや速く通る。
2026 年 3 月期は住宅向けの新製品と値上げで営業利益が 3 割近く増えた。この流れが続き、営業利益率は 4.7% まで上がる。原価の低減も効く。
配当は利益の 3 割弱で、自社株買いは時々行う。手元の資金は運転資金と借入の返済に回り、財務はさらに堅くなる。中期経営計画の ROE 6% には届かないが、近づく。
値上げを主導できるかどうかで、立川ブラインド工業との利益率の差が少し縮む。
- 室内装飾関連(窓まわり):数量 276(出荷数(万台・推定))× 価格 10,983(1 台あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 303 億円・営業利益 14 億円。出荷数(万台)× 平均単価(円)。推定
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.6% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 134 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の 1 期で利益が大きく増えた実績がある。値上げが続けば起こりうる筋書きとして、中立の次に重い 19% を置いた。
中立 37% 数は 1 割弱減り、値段は物価並み、利益率は 4% 台前半 利益 8 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,395 円123 億円
新築の着工が 10 年で 2 割余り減り、リフォームが一部を埋める筋書きだ。同社の出荷の数は 1 割弱減る。値段は物価並みに上がり、売上は名目で 280 億円台に乗る。
営業利益率は 4.2% と、過去 10 年の真ん中より少し上だ。アルミや樹脂、生地の値段、運賃、人件費は物価並みに上がるが、値上げで追いつく。工場は国内に持つが、設備は軽く、償却費が利益を大きく削ることはない。
配当は利益の 2〜3 割で、残りは会社にたまる。自己資本は 200 億円を超えて膨らみ、ROE は 4% 前後にとどまる。
- 室内装飾関連(窓まわり):数量 267(出荷数(万台・推定))× 価格 10,743(1 台あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 287 億円・営業利益 12 億円。出荷数(万台)× 平均単価(円)。推定
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.1% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 113 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の営業利益率は 2〜5% で動き、中央は 3.5% 前後だ。値上げの定着を少し見込んで 4.2% とし、いちばん起こりやすい形として最大の 37% を置いた。
やや悲観 26% 住宅の着工が細り、価格競争で利益率が 3% に沈む 利益 5 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 592 円52 億円
新築の着工が 10 年で 3 割減り、住宅メーカーとの取引で相見積もりが厳しくなる筋書きだ。出荷の数は 2 割近く減り、値上げは物価に届かない。
立川ブラインド工業やニチベイとの間で、量の取り合いが起きる。ネットで売る安価なカーテンレールやブラインドも広がり、施工を伴わない取り替えの需要が流れる。
営業利益率は 3.0% と、2024 年 3 月期の谷に近い水準に沈む。配当は細り、資本はたまっても稼ぐ力は落ちる。
在庫の評価損や工場の稼働の低下も重なり、固定費の重さが表に出る。ROE は 2% 台に沈み、資本を足すほど効率が下がる形になる。
- 室内装飾関連(窓まわり):数量 238(出荷数(万台・推定))× 価格 10,262(1 台あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 244 億円・営業利益 7 億円。出荷数(万台)× 平均単価(円)。推定
倍率:事業の ROE は 2.5% で k の 3 分の 1 にとどまり、ためた利益は帳簿よりかなり低い価値になる。構造的に負ける筋書きなので、上限 12.9 倍の 54% の 7.0 倍に置いた(中立より低い)。
確率:2024 年 3 月期に営業利益率が 2.2% まで落ちた実績があり、着工の減少は確実に進む。慎重な見方にも理があるので、中立の次に重い 26% にした。
悲観 11% 量の取り合いに負け、本業の利益がほぼ消える 利益 2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 260 円23 億円
新築の着工が 10 年で 4 割近く減り、量販とネットの安価な品が施工の市場にまで入り込む筋書きだ。同社の出荷の数は 3 割減り、値段も物価に届かない。
工場と在庫を抱える分、固定費が重くのしかかる。営業利益率は 1.2% と、2009 年 3 月期の谷に近い水準まで落ちる。配当は下がり、自社株買いは止まる。
価値を支えるのは、純現金と持ち合いの株、それに会社が清算されない限り動かせない在庫と設備だけになる。少数株主が使い道を決められない資産は、帳簿の額では数えられない。
10 年後の純利益は今の 4 分の 1 ほどになる。
- 室内装飾関連(窓まわり):数量 203(出荷数(万台・推定))× 価格 9,620(1 台あたりの平均単価(円・推定))→ 売上 195 億円・営業利益 2 億円。出荷数(万台)× 平均単価(円)。推定
倍率:本業はほとんど稼がず、稼ぐ力(純利益÷k)は約 21 億円。床は純現金 14 億円と投資有価証券 13 億円の税後 7 割の合計で約 23 億円とし、今の自己資本 158 億円に対して 0.146 倍にした(中立の PBR より低い)。
確率:最悪の営業利益率は 2009 年 3 月期の 0.4% だ。構造的に負ければ起こりうるが、3 社の寡占は簡単には崩れないので 11% にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
室内装飾関連(窓まわり)
カーテンレール、ブラインド、ロールスクリーン、ローマンシェード、間仕切り。住宅と非住宅の物件に施工業者を通じて納める。
| 数量出荷数(万台・推定) | 価格1 台あたりの平均単価(円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 290 | 8,017 | 233 | 10 |
| 10 年後 中立 | 267 | 10,743 | 287 | 12 |
取り方:出荷の数は開示が無い。カーテンレールの一式(数千円)とブラインド・スクリーン(数万円)の構成から平均単価を八千円ほどと推定し、売上 232.5 億円から約 290 万台と逆算した。室内装飾関連が売上の 98% で、その他(介護用品など)も合わせた全社の営業利益 9.55 億円を置いた。
リスクと懸念
新築住宅の着工の減少
売上の多くは新築の住宅と連動する。着工が 10 年で 2〜4 割減れば、出荷の数は確実に落ちる。リフォームと非住宅の改修が下支えするが、新築の減りを全部は埋められない。
値上げの一巡と利益率の後戻り
直近の増益は価格改定の効果が大きい。原材料と運賃が落ち着き、3 社の間で量の取り合いが起きれば、利益率は 2024 年 3 月期の 2% 台に戻りうる。会社自身も 2027 年 3 月期は減益を見込む。
資本の効率が上がらない
ROE は 10 年以上、資本コストの半分ほどだ。在庫と売掛金が厚く、利益の多くが会社に残る。中期経営計画の ROE 6% に届かなければ、帳簿の厚さは株主の価値になりにくい。
安価な既製品との競争
ネットやホームセンターで売る既製のカーテンレールやブラインドが広がり、施工を伴わない取り替えの一部を取っている。単価の低い品が増えれば、平均の単価と利益率が押される。
断熱の補助金の打ち切り
窓の断熱の改修は国の補助金に支えられている。政策が変われば、遮熱や断熱のスクリーンなど単価の高い品の需要がしぼむ恐れがある。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 5% を超えたら
- 値上げの定着とみて、やや楽観の確率を上げる。
- 2027 年 3 月期の減益が想定より深く、利益率が 3% を割ったら
- 値決めの力が弱いとみて、やや悲観の確率を上げる。
- 配当性向の引き上げや持ち合いの株の売却が示されたら
- 資本の効率が上がる道筋が見え、倍率の前提を上げる。
- 新設住宅の着工が年 70 万戸を割り込む速さで減ったら
- 出荷の数の前提を下げ、中立の利益を引き下げる。
- 同業との統合や投資ファンドの提案が出たら
- 寡占の値決めが強まる見込みとみて、楽観側の確率を上げる。
見ておくもの
- 営業利益率(四半期)
- 新設住宅の着工戸数とリフォームの市場
- 配当性向と自社株買い
- 在庫の水準(売上に対する割合)
- 立川ブラインド工業との利益率の差
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の ROE(4% 前後)が k 7.25% を下回るので、上限 1÷k の 12.9 倍から利益の質で 8〜9 割を置いた。PBR の低さや過去・同業の PER は見ていない。純現金 14 億円は運転資金と短期借入の返済に要るとみて分けていない。悲観の床は純現金と投資有価証券の税後に置いた。設備は軽く、償却費は物価で膨らませていない。新リース会計基準の影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.3→13.79 倍・やや楽観 PER 11.6→13.79 倍・中立 PER 10.3→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.25% = 7.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.25%。