結論
南日本銀行は、鹿児島市を本拠に鹿児島県内で営業する第二地方銀行だ。貸出は 6,200 億円、預金は 8,100 億円で、2026 年 3 月期の純利益は 28 億円。筆者は、10 年の本源価値は今の時価総額を下回ると見る。
理由は二つある。一つは、直近の利益の質だ。純利益 28 億円は経常利益 29 億円とほぼ同額で、税の負担が小さい期だった。2027 年 3 月期の経常利益は 19 億円へ 35% 減る予想で、ならした利益は 19 億円ほどになる。もう一つは、10 年後も ROE が 4% 弱と、資本コスト 8.5% に届かないことだ。
優先株も重しになる。2021 年に鹿児島銀行や地元の財団・企業が引き受けた 85 億円の優先株は、2031 年に普通株へ一斉に替わる仕組みで、会社の価値が 190 億円を割ると、既存の普通株の持ち分は 3 割まで薄まる。
筆者なら、ならした利益が 20 億円を超えて安定し、優先株を現金で整理する計画が示されるまで待つ。鹿児島銀行との競争も見ておきたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見た目の PER は低いが、利益の質と順番が悪い株だ。
時価総額は 105 億円で、自己資本 444 億円の 0.24 倍。純利益 28 億円に対する PER は 4 倍弱だが、これは税の負担が軽い期の数字だ。ならした利益 19 億円に直すと、PER は 5.5 倍になる。さらに、優先株 85 億円は普通株主より先に請求する。
事業の儲け口は広がらない。鹿児島県の人口は 26.3% 減り、貸出の金利は鹿児島銀行との競争で決まる。ROE は 10 年後も 4% 弱と、資本コストの半分に届かない。
筆者なら、ならした利益が 20 億円を超えて安定し、優先株を現金で整理する計画が示されるまで待つ。例えば、2028 年 10 月から現金での取得が始まれば、見方は変わる。安全域は今の値段にあるように見えて、優先株を引くと薄い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、鹿児島県内の貸出と、預金で集めたお金の運用だ。
貸出は 6,156 億円で、前の期より 236 億円増えた。預金は 8,071 億円で 312 億円増えた。有価証券は 865 億円と小さく、日銀などへの預け金を含む現預金が 1,453 億円(総資産の 17%)と厚い。金利が上がるほど、現預金の運用の利息が増える構造だ。
2026 年 3 月期は、経常収益が 171 億円で 4% 増え、経常利益は 29.2 億円、純利益は 28.0 億円で 28% 増えた。預金利息と経費の増加が費用を押し上げた。2027 年 3 月期は経常利益 19 億円と、35% の減益を見込む。
第 2 次中期経営計画は、2028 年度に当期純利益 40 億円以上、国内基準の自己資本比率 8% 以上、コア OHR 75% 程度、ROE 7% 程度を掲げる。国内基準の連結自己資本比率は 9.82% だ。2018 年に宮崎太陽銀行・豊和銀行と販路開拓で業務提携した。
貸出の大半は鹿児島県内の中小企業と個人で、県外への広がりは小さい。
優良さと弱いところ
良さは県内に根ざした預金の厚みにあり、弱さは首位との差と優先株にある。
良い点は、預金が前の期から 312 億円増え、現預金が厚く、国内基準の自己資本比率が連結 9.82% と最低基準の 4% を倍以上上回ることだ。公的資金の A 種優先株 150 億円は、2022 年 9 月に整理回収機構から取得して完済した。
弱い点は三つある。一つ目に、鹿児島県では鹿児島銀行(九州 FG)が圧倒的な首位で、貸出の金利は競争が決める。二つ目に、2026 年 3 月期の利益は税の負担が軽い期で、ならした水準は 19 億円ほどにとどまる。三つ目に、鹿児島県の人口は 2050 年に 26.3% 減る。
quality は、循環 +0.5%、値決め力 +0.25%(鹿児島銀行が首位)、借金 0%、寿命 +0.25%(人口 26.3% 減)の合計 +1.0%、k は 8.5% とした。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方銀行は、2024 年の政策金利の解除で「金利のある世界」に入った。
短期金利が 2% に上がる間、変動金利の貸出はほぼ全部が上がる。預金金利は預金ベータ(4 割ほど)の分だけ遅れて追うので、利ざやは広がる。10 年後に短期 2%・長期 3% で落ち着けば、貸出の利ざやは今より 0.4% ほど高い水準で安定する。南日本銀行は現預金が厚く、短期金利の上昇が運用の利息に直接効く点が、有価証券の多い銀行と違う。
鹿児島県は人口が 2050 年に 26.3% 減る見通しで、貸出は名目で物価並みにしか伸びない。鹿児島市に人が集まる一方、離島と周辺の町は細る。農業・畜産と観光が地盤を支える。
競争の構図は、九州 FG の鹿児島銀行が首位として厚く、南日本銀行は第二地銀として小口の取引と地域密着で補う形だ。九州では地銀の連携と再編が進む。南日本銀行は 2018 年に宮崎太陽銀行・豊和銀行と販路開拓の提携を結んだが、経営統合には進んでいない。分かれ目は、手数料などの本業の収益を積み上げられるかにある。
資本政策と M&A
資本の使い方は、普通株の配当を低く抑え、優先配当を先に払う形だ。
普通株の配当は年間で純利益の 1 割台にとどまる。優先株の配当は年約 1.5 億円で、普通株より先に出る。自社株買いは行っていない。
優先株は 2021 年 9 月に地元の取引先などへ 85 億円で発行した B 種優先株で、転換請求権はない。会社は 2028 年 10 月 1 日から現金で取得でき、取得しないまま 2031 年 10 月 1 日になると、普通株へ一斉に替わる。会社は、内部留保の積み上げで現金による取得を目指し、転換を避ける方針だ。
筆者は、年に 20 億円規模の利益で 85 億円を現金で整理できるかを重く見る。整理が進めば、普通株主の取り分は大きく回復する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
南日本銀行は、預金と現預金の厚みを持つ堅実な銀行だ。預金は 8,071 億円で 312 億円増え、現預金は総資産の 17% を占める。短期金利が 2% に上がれば、現預金の運用の利息が直接増え、貸出の利ざやも広がる。2026 年 3 月期の純利益は 28 億円と、前の期から 28% 増えた。中計は 2028 年度に純利益 40 億円を掲げ、国内基準の自己資本比率は 9.82% あり、貸出を増やす余力が大きい。優先株の 85 億円は、鹿児島銀行や地元の財団・企業が持つ安定した株主で、会社は 2028 年から現金での取得を目指している。時価総額は自己資本の 0.24 倍、直近の純利益の 4 倍弱と極端に安く、再編の観測が出れば、見直し買いも起きうる。 鹿児島県内の取引先との結びつきが強く、預金の流出も起きにくい。金利が上がる局面では、預金の厚い銀行ほど調達の面で有利になる。 地域の金融機関として、県内の企業や自治体との長い取引の蓄積があり、貸出の質も保ちやすい。
慎重な見方
2026 年 3 月期の純利益 28 億円は、税の負担が小さい期の数字だ。2027 年 3 月期の経常利益は 19 億円へ 35% 減る予想で、ならした純利益は 19 億円ほどにとどまる。中計の純利益 40 億円は、その倍以上の高い目標だ。純利益は自己資本の 4% 前後と、資本コスト 8.5% の半分に届かない。鹿児島県では鹿児島銀行が首位で、貸出の金利は競争が決める。鹿児島県の人口は 2050 年に 26.3% 減り、貸出は名目でも伸びにくい。優先株 85 億円は、2031 年に普通株へ一斉に替わり、会社の価値が 190 億円を割ると、既存株主の持ち分は 3 割まで薄まる。優先配当も毎年約 1.5 億円出ていく。九州の再編の中で、小さな側が不利な条件を飲む道もある。 預金金利の引き上げ競争が続けば、利ざやの改善は預金の調達費用に食われる。鹿児島市以外の地域では貸出先が減り、優良な先の取り合いも激しくなる。
どちらに重みを置いたか
ならした利益の薄さと優先株の重しが、金利の追い風を上回ると見る。中立の 10 年後の会社全体の価値は 194 億円、優先株を引いた普通株の取り分は 0.56 で 109 億円ほどになる。今の時価総額 105 億円とほぼ同じだが、時間価値と還元を含めた現在価値では下回る。悲観の確率は地銀の標準の 10% に置き、やや悲観を 25% と厚めにした。楽観は、優先株を現金で整理できる道に限り 8% とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,718 円130 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 487 円37 億円)。 今の値に割り戻すと 1,084 円82 億円、今との差 −17.0%、 期待の年率 +5.4%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,396 円256 億円 | 856 円65 億円 | +225.6% | +12.5% | 340 円26 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,732 円206 億円 | 712 円54 億円 | +163.8% | +10.2% | 586 円44 億円 |
| 中立 | 40% | 2,121 円160 億円 | 579 円44 億円 | +106.7% | +7.5% | 1,080 円81 億円 |
| やや悲観 | 25% | 429 円32 億円 | 246 円19 億円 | −48.3% | −6.4% | 169 円13 億円 |
| 悲観 | 10% | 266 円20 億円 | 48 円4 億円 | −76.0% | −13.3% | 31 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,718 円130 億円 | 487 円37 億円 | +68.9% | +5.4% | 2,206 円166 億円 |
今の株価時価総額 1,306 円99 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:中計の純利益 40 億円に迫り、優先株を現金で買い戻す 利益 31 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 3,396 円256 億円
中計の方針どおり、貸出と預かり資産の両方が伸びる。短期金利 2% の定着で、日銀預け金など現預金の運用も利息を生み、貸出の利ざやも広がる。鹿児島県の人口は減るが、鹿児島市周辺と離島を含む貸出先は底堅い。経費は物価と賃金で増えるが、コア OHR(経費率)を 75% 程度まで下げる計画が進む。純利益は 31 億円。優先株は 2028 年 10 月以降に現金で買い戻され、希薄化は起きない。配当は性向を引き上げ、自社株買いも検討できる。 手数料収入も預かり資産の増加で積み上がり、利益の底上げに寄与する。取引先の景況も保たれ、倒産は増えない。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.6(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.02(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 91 億円・営業利益 21 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 31 億円・営業利益 2 億円。n
- 現預金・有価証券の運用:数量 0.2(現預金と有価証券の残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 29 億円・営業利益 15 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。n
倍率:事業の純利益 31 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.8% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 361 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の純利益 40 億円(2028 年度)は直近の水準から大きく伸びる目標で、達成は例外に近い。8% に置いた。
やや楽観 17% やや楽観:利ざやの回復が進み、純利益が 27 億円に乗る 利益 27 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,732 円206 億円
貸出が名目で年 3% 前後伸び、利ざやの広がりが経費の増加を上回る。鹿児島県は人口が 2050 年に 26% 減る見通しだが、鹿児島市の需要は底堅く、貸出の下支えになる。有価証券の売却益は減るが、現預金と貸出の利息収入がそれを補う。純利益は 27 億円で、優先株の一部が現金で買い戻される。預金は直近で 312 億円増え、調達も安定している。与信費用は平常の水準に収まる。 経費の増加は賃金の上昇でやや重いが、店舗の見直しや事務の効率化で一部を吸収できる。手数料収入もゆるやかに伸びる。 取引先の業況が保たれ、貸倒れの費用も低い水準にとどまる。地域の景気は観光の回復に支えられ、貸出の需要も途切れない。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.6(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 82 億円・営業利益 18 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。n
- 現預金・有価証券の運用:数量 0.2(現預金と有価証券の残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 27 億円・営業利益 14 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。n
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 322 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の水準を保ちつつ、貸出の伸びで緩やかに増える標準より良い道。17% を置いた。
中立 40% 中立:売却益が剥げた後、利ざやの回復と人口減が相殺して純利益は 24 億円 利益 24 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,121 円160 億円
短期金利 2%・長期 3% が定着し、貸出の利ざやは今より 0.4% 前後広い水準で落ち着く。鹿児島県の人口は 2050 年に 26% 減る見通しで、貸出は名目で年 2.4% 前後の伸びにとどまる。事業性貸出は 5,430 億円、個人向けは 2,100 億円まで増える。現預金が総資産の 17% と厚く、金利が上がるほど運用の利息が増える。預金金利は遅れて追い、広がった利ざやの一部は預金集めの競争で消える。経費は物価と賃金で増える。純利益は 24.3 億円。優先株 85 億円は、2031 年までに現金で整理されるか、普通株に転換される。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.5(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 76 億円・営業利益 16 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。n
- 現預金・有価証券の運用:数量 0.2(現預金と有価証券の残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 26 億円・営業利益 13 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。n
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 286 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の純利益 28 億円は税の負担が小さい期で、ならすと 19 億円程度。本業の回復と相殺される標準的な筋書き。最も重く 40% を置いた。
やや悲観 25% やや悲観:鹿児島銀行に押され、優先株の転換が現実味を帯びる 利益 15 億円 · PER 7.1 倍 · 株価時価総額 429 円32 億円
県内首位の鹿児島銀行が貸出の金利を下げて取りにくる。利ざやは広がらないまま預金金利だけが上がる。2026 年 3 月期に押し上げた税の軽さは戻り、利益は 2027 年 3 月期予想の 19 億円(経常利益)を下回る水準に落ちる。貸出は名目で年 1.2% しか伸びない。与信費用は人口減の地域で高止まりする。純利益は 15 億円で、会社全体の価値は 108 億円ほどにとどまる。優先株は 2031 年に下限に近い価格で普通株に転換され、既存株主の取り分は 0.30 まで下がる。 預金を集めるための金利引き上げが続き、費用が収益の伸びを上回る。手数料収入も伸び悩み、経費の削減だけでは減益を止められない。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.5(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 58 億円・営業利益 10 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。n
- 現預金・有価証券の運用:数量 0.2(現預金と有価証券の残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 21 億円・営業利益 8 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。n
倍率:事業の ROE は 2.5%(純利益 15.2 億円 ÷ 自己資本 598 億円)。k 8.50%、g 3%、残る割合 1/2 で式の PER は 8.3 倍(ROE が k 以下なので上限は 1÷k = 11.8 倍)。式の 85% の 7.1 倍に置いた。
確率:鹿児島県では鹿児島銀行が圧倒的な首位で、第二地銀の利益は伸びにくい。中計の目標が高いことも踏まえ、25% を置いた。
悲観 10% 悲観:人口減と信用コストの急増で、優先株が普通株の 7 割を奪う 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 266 円20 億円
構造的に負ける筋書き。県内の人口減が加速し、貸出が名目でも縮む。取引先の倒産で与信費用が急増し、利益はほとんど出ない。債券の評価損が自己資本を削り、国内基準の 4% の最低基準が近づく。優先株は現金で整理できず、2031 年に下限の価格で普通株に転換される。既存の普通株主に残る割合は 0.30。再編は救済に近い形になり、少数株主に不利な比率になる。自己資本は 380 億円まで減る。貸出の縮小と利ざやの低下が重なり、純利益は 1 億円ほどにとどまる。 預金の流出を止めるため、金利を上げて資金を集めざるを得ず、調達費用が重くのしかかる。経営の選択肢は限られ、再編による救済が現実味を帯びる。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.4(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 40 億円・営業利益 1 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。n
- 現預金・有価証券の運用:数量 0.2(現預金と有価証券の残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。n
倍率:悲観の床は、会社全体の今の自己資本(444 億円。優先株 85 億円を含む)に 0.15 を掛けた 67 億円。地銀の悲観の目安(0.45)より低いのは、単純な自己資本比率が 5.1% と薄く、悲観では利益が自己資本の 1 割にも届かず、優先株が先に請求するため。会社全体の価値に、優先株の転換後の既存株主の取り分を掛ける。
確率:鹿児島県の人口減は大きく、構造的な負けを 10% に置いた。2009 年 3 月期に赤字を出した実績がある。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
法人・公共向け貸出
鹿児島県内の中小企業・事業性融資と自治体向けの貸出。
| 数量事業性・公共向け貸出残高(兆円) | 価格貸出利ざや(預金調達差引後・率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.4 | 0.01 | 43 | 10 |
| 10 年後 中立 | 0.5 | 0.01 | 76 | 16 |
取り方:貸出は 6,156 億円(2026 年 3 月末)。個人ローンの比率は確かめられず、3 割と置いて残りの約 7 割 4,309 億円を事業性・公共向けとした。利ざやは 1.0% と置いた。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 29.2 億円に合わせた。
個人向け貸出
住宅ローン・個人ローンなど個人向けの貸出。
| 数量個人向け貸出残高(兆円) | 価格貸出利ざや(率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 0.01 | 16 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 0.01 | 26 | 2 |
取り方:貸出の 3 割にあたる約 1,847 億円を個人向けと置いた。住宅ローンは競争が厳しく、利ざやは 0.85% と事業性より薄い。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 29.2 億円に合わせた。
現預金・有価証券の運用
日銀預け金などの現預金、国債・地方債・外債・投信・株式の運用。
| 数量現預金と有価証券の残高(兆円) | 価格運用利回り-調達(率、売買損益を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 0.01 | 33 | 18 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 0.01 | 26 | 13 |
取り方:有価証券 865 億円と現預金 1,453 億円(総資産の 16.8%)のうち、運用する分を合わせて約 2,318 億円と置いた。2026 年 3 月期は売却益や税の軽さが利益を押し上げたので、売買損益を含めて 1.4% と置いた。10 年後は売却益が剥げた水準に戻す。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 29.2 億円に合わせた。
手数料・預り資産
投信・保険の販売、為替・ローン関連の手数料。
| 数量預り資産残高(兆円) | 価格手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.1 | 0.01 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.1 | 0.01 | 10 | 1 |
取り方:預り資産の残高は確かめられず、預金の約 1 割の 800 億円と置いた。為替・ローン手数料を含めた総額を預り資産で割った率を 0.95% と置いた。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 29.2 億円に合わせた。
リスクと懸念
優先株の一斉転換
優先株 85 億円は、2031 年 10 月に普通株へ一斉に替わる。会社の価値が 190 億円を割ると、既存株主の取り分は 3 割まで下がる。
ならした利益の水準
2026 年 3 月期の純利益 28 億円は税の負担が軽い期の数字。2027 年 3 月期の経常利益は 19 億円の予想で、ならすと中計の 40 億円には遠い。
首位行との競争
鹿児島銀行が圧倒的な首位で、貸出の金利を決める位置にある。競り負ければ、第二地銀の利ざやは広がらない。
人口減と地盤の細り
鹿児島県の人口は 2050 年に 26.3% 減る。貸出は名目でも伸びにくく、物価と賃金で膨らむ経費を吸収しきれないおそれがある。
評価損と与信費用
金利の急変で債券に評価損が出れば、自己資本が削られる。取引先の倒産が増えれば与信費用も急増する。
今後の分かれ目
- 優先株を現金で取得する発表が出る
- 転換による希薄化の心配が消え、中立の普通株の取り分は 0.56 から 0.7 以上へ上がる。
- 2027 年 3 月期の経常利益が予想の 19 億円を超える
- ならした利益の水準が上がり、楽観側の重みが 8% から 15% 前後へ上がる。
- 九州の地銀との経営統合の発表がある
- 比率次第で少数株主の取り分が変わる。優先株の扱いも条件に入り、見方は大きく動く。
- 短期金利が 2% に届かず 1% 台前半で止まる
- 現預金と貸出の利息が増えず、純利益は 18 億円前後にとどまる。優先株の整理は遠のく。
- 債券の評価損が自己資本の 2 割を超える
- 貸出を絞って利益が落ち、悲観の確率が 10% から 20% 近くへ上がる。
見ておくもの
- ならした純利益と四半期の経常利益
- 優先株の取得方針と時期
- 現預金と貸出の利ざや
- 中計の純利益 40 億円への進捗
- 九州の地銀の再編
倍率と資本コストの決め方
本源価値は、貸出・現預金と有価証券・手数料の利益から会社全体の ROE を式で組み、PER は ROE と k から決めた。今の PBR 0.24 倍や PER 4 倍弱は市場の見方であり、比較に使うだけで置き場にはしていない。起点の純利益は税の軽い期の 28 億円でなく、ならした 19 億円とした。優先株 85 億円が普通株に先立つ点は、既存株主の取り分の係数で別に表し、倍率に混ぜていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.76 倍・やや楽観 PER 8.7→11.76 倍・中立 PER 8→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。優先株の転換による希薄化は k に足さず、既存株主の取り分の係数で表した。