結論
高知銀行は、高知市を本拠に高知県内で営業する地方銀行だ。貸出は 7,300 億円、預金は 9,800 億円で、2026 年 3 月期の純利益は 6 億円。2026 年 4〜6 月は 4.7 億円の純損失だった。筆者は、10 年の本源価値は今の時価総額を大きく下回ると見る。
理由は三つある。一つは、有価証券の評価差額金の赤字が 136 億円と、純資産の 27% に達することだ。金利が上がるたびに自己資本を削る。二つは、高知県の人口が 2050 年に 35% 減り、全国で最も減りが大きい県の一つに入ることだ。三つは、2023 年に発行した優先株 68 億円が、2033 年に普通株へ一斉に替わる仕組みで、会社の価値が 120 億円を割ると、普通株の持ち分は 4 割に薄まることだ。
中期経営計画は 2026 年 5 月に数値目標を引き下げた。残高の拡大から利ざやの拡大へ軸足を移した判断は妥当だが、利益の戻りは時間がかかる。
筆者なら、評価損が縮み、純利益が 15 億円を超えて安定するまで買わない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見た目は安いが、資本の質が悪い株だ。
時価総額は 107 億円で、自己資本 459 億円の 0.23 倍。しかし 459 億円のうち 68 億円は優先株で、評価差額金の赤字 136 億円はすでに引かれている。純利益 6 億円に対する PER は 18 倍だ。
事業の儲け口は広がらない。高知県の人口は 34.8% 減り、ROE は 10 年後も 3% 以下と、資本コストの 3 分の 1 に届かない。ためた利益は、額面より低い価値でしか見られない。
筆者なら、評価損が縮み、純利益が 15 億円を超えて安定するまで買わない。例えば、貸出の利ざやが広がり、経費率が下がれば、見方は変わる。逆に、再編で不利な比率を迫られる道には注意したい。安全域は今の値段に十分にはない。地域の銀行が報われるかは、資本を守れるかで決まる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、高知県内の貸出と、預金で集めたお金の運用だ。
連結の貸出は 7,326 億円で、前の期より 129 億円減った。預金は 9,777 億円で、譲渡性預金を含めると 1 兆 107 億円。余った資金は有価証券 2,972 億円で運用し、前の期より 133 億円増やした。貸出に比べて有価証券の比率が 4 割と高い。
2026 年 3 月期は、経常収益が 284 億円で 21% 増え、経常利益は 13.8 億円、純利益は 6.0 億円で 31% 減った。包括利益は 43 億円の赤字で、債券の評価損が純資産を削った。純資産は 495 億円。2027 年 3 月期の第 1 四半期は、経常損失が 4.8 億円だった。
中期経営計画「地域とこうぎんの『みらい』」第 I 期は 2024 年度から 2026 年度。2026 年 5 月に数値目標を見直し、貸出金平均残高と当期純利益の目標を引き下げて、残高の拡大から利ざやの拡大へ軸足を移した。2026 年 6 月に本部組織を再編し、法人営業部とリテール営業部を新設した。
優良さと弱いところ
良さは地域との結びつきにあり、弱さは資本の薄さと評価損にある。
良い点は、国内基準の自己資本比率が連結 9.06% と最低基準の 4% を倍以上上回り、格付会社の評価も安定していることだ。2023 年には公的資金の優先株 150 億円を、期日の 1 年 3 か月前に完済した。県内企業に新しい優先株を引き受けてもらえたことは、地域の信用の厚さを示す。
弱い点は四つある。一つ目に、評価差額金の赤字が 136 億円と、純資産の 27%。二つ目に、不良債権の比率が 4% を超える。三つ目に、高知県の人口は 2050 年に 34.8% 減る。四つ目に、単純な自己資本比率が 3.9% と薄い。
quality は、循環 +0.5%、値決め力 0%、借金 +0.25%(評価差額金の赤字が自己資本の 15% 超)、寿命 +0.5%(人口 34.8% 減)の合計 +1.25%、k は 8.75% とした。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方銀行は、2024 年の政策金利の解除で「金利のある世界」に入った。
短期金利が 2% に上がる間、変動金利の貸出はほぼ全部が上がる。預金金利は預金ベータ(4 割ほど)の分だけ遅れて追うので、利ざやは広がる。10 年後に短期 2%・長期 3% で落ち着けば、貸出の利ざやは今より 0.4% ほど高い水準で安定する。一方、債券は金利が上がると評価損が出る。高知銀行は評価差額金の赤字が大きく、金利の道筋が利益と自己資本の両方に響く。
高知県は人口が 2050 年に 34.8% 減る見通しで、全国で最も減りが大きい県の一つだ。貸出は名目で物価並みにしか伸びない。高知市に人口が集まる一方、中山間地は細る。農業と観光、水産が地盤を支えるが、製造業の集積は薄い。
競争の構図は、四国銀行が同じ県内で競い、四国では阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行(いよぎんHD)が広域に展開する。2026 年は伊予銀行と愛媛銀行の経営統合が決まるなど、四国でも再編が動く。小さな銀行は、システムの費用と人材の面で厳しくなる。
資本政策と M&A
資本の使い方は、配当を低く抑え、優先配当を先に払う形だ。
普通株の配当は中間と期末の合計で、純利益に対する性向は 4 割を超える年もある。優先株の配当は年約 1.2 億円で、普通株より先に出る。自社株買いは行っていない。
優先株は 2023 年 3 月に県内外の企業へ 68 億円で発行した第 2 種優先株で、2030 年 3 月 18 日から会社が現金で取得でき、2033 年 3 月 16 日に未取得分が普通株へ一斉に替わる。公的資金の第 1 種優先株 150 億円は、2023 年 9 月に完済した。
筆者は、純利益が 6 億円の中で、優先配当と普通配当で 4 億円近くが出ていく点を重く見る。自己資本を厚くする余力は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
高知銀行は、赤字寄りの底を打ちつつある。評価差額金の赤字は前の期の 85 億円から 136 億円へ広がったが、債券は満期まで持てば元本が戻り、時間とともに縮む。中計の軸足を残高の拡大から利ざやの拡大へ移したことで、短期金利 2% の追い風を利益に取り込みやすくなった。国内基準の自己資本比率は 9.06% あり、貸出を増やす余力がある。公的資金を前倒しで完済し、新しい優先株は県内外の企業が引き受けており、地域の信用は厚い。時価総額は自己資本の 0.23 倍と、純資産の 4 分の 1 以下で、再編の観測が出れば、見直し買いも起きうる。評価損が解消に向かえば、純利益は 15 億円を超える水準まで戻る余地がある。高知県内で県民に近い銀行は少なく、預金の厚みと信用は短期間では他行に奪われにくい。評価損を満期まで持てるだけの預金基盤があることは、強みだ。経営陣は利益の水準よりも、自己資本の質の改善を優先する姿勢を示している。
慎重な見方
純利益は 6 億円と、自己資本の 1% 台で、資本コスト 8.75% の 7 分の 1 にすぎない。評価差額金の赤字が 136 億円と純資産の 27% に達し、金利が上がるたびに自己資本を削る。2026 年 4〜6 月は 4.7 億円の純損失で、回復は遠のいた。中計の数値目標も 2026 年 5 月に下方修正された。高知県の人口は 2050 年に 34.8% 減り、貸出は名目でも伸びにくい。不良債権の比率も 4% を超える。優先株 68 億円は、2033 年に普通株へ一斉に替わり、会社の価値が 120 億円を割ると、既存株主の持ち分は 4 割に薄まる。再編が進む四国で、小さな側が不利な条件を飲む道もある。地方の小さな銀行は、システムの更新費用が重く、金利が上がっても経費の増加に利ざやの改善が消える。評価損がある間は、運用の自由度も狭い。回復の時期が見えないまま、配当の余力も小さい。再編の波に乗れないまま、時間がたつほど資本の薄さが重くなる。
どちらに重みを置いたか
薄い収益と資本の傷みが、利ざやの回復を大きく上回ると見る。中立の 10 年後の会社全体の価値は 97 億円、優先株を引いた普通株の取り分は 0.43 で 42 億円ほどになる。今の時価総額 107 億円を大きく下回る。悲観の確率は、2009 年 3 月期の 84 億円の赤字と直近の悪化を踏まえて地銀の標準より高い 13% に置き、やや悲観を 26% と厚めにした。楽観は、評価損が消えて利ざやが広がる道に限り 7% とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 582 円59 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 181 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 371 円38 億円、今との差 −63.6%、 期待の年率 −2.8%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,499 円152 億円 | 367 円37 億円 | +83.1% | +6.2% | 131 円13 億円 |
| やや楽観 | 16% | 939 円95 億円 | 251 円25 億円 | +16.8% | +1.6% | 190 円19 億円 |
| 中立 | 38% | 669 円68 億円 | 199 円20 億円 | −14.8% | −1.6% | 330 円33 億円 |
| やや悲観 | 26% | 194 円20 億円 | 136 円14 億円 | −67.6% | −10.7% | 86 円9 億円 |
| 悲観 | 13% | 174 円18 億円 | 34 円3 億円 | −79.6% | −14.7% | 27 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 582 円59 億円 | 181 円18 億円 | −25.1% | −2.8% | 764 円77 億円 |
今の株価時価総額 1,019 円103 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:利ざやの拡大が計画を超え、評価損が消えて純利益が 21 億円へ 利益 21 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,499 円152 億円
中計の方針転換が当たり、残高拡大から利ざや拡大へ軸足を移した効果が出る。短期金利 2% の定着で事業性貸出の利ざやが広がり、法人営業部とリテール営業部の新体制で個人向けの採算も上がる。債券は評価損が満期で消え、運用の利回りが上がる。経費は物価と賃金で増えるが、システムの共同化で抑える。与信費用は平常の水準に収まり、純利益は 21 億円。優先株は 2030 年以降に現金で買い戻され、希薄化は起きない。配当は性向 3 割台に引き上げられる。高知市と周辺の需要は底堅く、貸出の質も保たれる。預金の厚みが、調達の安定を支える。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.7(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 92 億円・営業利益 13 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.3(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 36 億円・営業利益 4 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.3(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 37 億円・営業利益 15 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.2(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。n
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.9% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 241 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の数値目標を引き下げた直後で、ここまで回復する道は例外に近い。7% に置いた。
やや楽観 16% やや楽観:評価損が縮み、純利益が 17 億円台まで戻る 利益 17 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 939 円95 億円
債券の評価損は満期で縮み、運用の利回りが緩やかに上がる。貸出の利ざやが広がり、経費の増加を上回る。高知県の人口は 2050 年に 35% 減る見通しで、貸出は名目で年 2.5% 前後の伸びにとどまるが、利益の水準は戻る。純利益は 17 億円で、配当は性向 3 割台を保つ。優先株の一部は現金で買い戻される。県内の取引先の倒産は少なく、与信費用は平常の水準に収まる。貸出先の業種は農業・水産・観光に分散し、特定の大口の破綻で利益が崩れるおそれは小さい。経費率も少しずつ下がる。金利の上昇が貸出の利ざやを押し上げる。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.6(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 84 億円・営業利益 10 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.3(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 33 億円・営業利益 3 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.3(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 34 億円・営業利益 13 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.2(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。n
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.3% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 194 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の赤字寄りの利益から標準より良い道に戻る。16% を置いた。
中立 38% 中立:利ざやは広がるが、人口減と評価損の重さで ROE は 3% 以下の十年 利益 14 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 669 円68 億円
短期金利 2%・長期 3% が定着し、貸出の利ざやは今より 0.4% 前後広い水準で落ち着く。高知県の人口は 2050 年に 35% 減る見通しで、貸出は名目で年 2.2% 前後の伸びにとどまる。事業性貸出は 6,100 億円、個人向けは 2,690 億円まで増える。有価証券は貸出の 4 割と大きく、評価損は満期で縮むが、金利の上昇が新たな評価損を生む。預金金利は遅れて追い、利ざやの一部は預金集めの競争で消える。経費は物価と賃金で増える。純利益は 13.8 億円。会社全体の価値は 158 億円ほどで、優先株が普通株の 4 割を取る。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.6(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 77 億円・営業利益 8 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.3(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.3(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 32 億円・営業利益 11 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.2(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。n
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.7% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 158 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利ざやの回復と高知県の人口減が相殺する標準的な筋書き。直近の弱さを踏まえて最も重く 38% を置いた。
やや悲観 26% やや悲観:評価損が再び膨らみ、利益が伸びない 利益 8 億円 · PER 6.1 倍 · 株価時価総額 194 円20 億円
金利の急変で債券の評価損が再び膨らみ、自己資本比率の低下で貸出を絞る。利ざやは広がらないまま預金金利だけが上がる。貸出は名目で年 1.0% しか伸びない。与信費用は人口減の地域で高止まりする。純利益は 7.5 億円で、会社全体の価値は 46 億円ほどにとどまる。優先株は 2033 年に下限の価格で普通株に転換され、既存株主の取り分は 0.43 になる。配当は削られ、優先配当だけが先に出る。貸出の質は保たれるが、利益率が薄く、自己資本の積み上がりは遅い。評価損の解消にも時間がかかる。数年に一度は赤字の期が混じる。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.5(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 59 億円・営業利益 4 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.3(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 25 億円・営業利益 7 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。n
倍率:事業の ROE は 1.5%(純利益 7.5 億円 ÷ 自己資本 494 億円)。k 8.75%、g 3%、残る割合 1/2 で式の PER は 7.2 倍(ROE が k 以下なので上限は 1÷k = 11.4 倍)。式の 85% の 6.1 倍に置いた。
確率:2026 年 4〜6 月に純損失を出し、評価差額金の赤字が自己資本の 27% に達している。標準より重く 26% を置いた。
悲観 13% 悲観:人口減と大きな評価損が重なり、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 174 円18 億円
構造的に負ける筋書き。高知県の人口減が加速し、貸出が名目でも縮む。金利の急変で債券に大きな評価損が出て、売却で損失を確定する。取引先の倒産で与信費用も急増し、赤字が続く。国内基準の比率が最低基準の 4% に近づき、配当は止まる。自己資本は 330 億円まで減る。優先株は 2033 年に下限の価格で普通株に転換される。再編は救済に近い形になり、少数株主に不利な比率になる。貸出の縮小と利ざやの低下が重なり、赤字が数期続く。預金の流出も進み、資金繰りの手当てに費用がかさむ。経営の立て直しには数年かかる。
- 法人・公共向け貸出:数量 0.4(事業性・公共向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(預金調達差引後・率))→ 売上 41 億円・営業利益 0 億円。n
- 個人向け貸出:数量 0.2(個人向け貸出残高(兆円))× 価格 0.01(貸出利ざや(率))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。n
- 有価証券・市場運用:数量 0.2(有価証券残高(兆円))× 価格 0.01(運用利回り-調達(率、売買損益を含む))→ 売上 19 億円・営業利益 0 億円。n
- 手数料・預り資産:数量 0.1(預り資産残高(兆円))× 価格 0.01(手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。n
倍率:悲観の床は、会社全体の今の自己資本(459 億円。優先株 68 億円を含む)に 0.09 を掛けた 41 億円。地銀の悲観の目安(0.45)より低いのは、評価差額金の赤字が自己資本の 27% に達し、単純比率が 3.9% と薄く、悲観では赤字が続くため。会社全体の価値に、優先株の転換後の既存株主の取り分を掛ける。
確率:高知県は人口減が最も大きい県の一つで、2009 年 3 月期に 84 億円の赤字を出した実績がある。構造的な負けを 13% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
法人・公共向け貸出
高知県内の中小企業・事業性融資と自治体向けの貸出。
| 数量事業性・公共向け貸出残高(兆円) | 価格貸出利ざや(預金調達差引後・率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.5 | 0.01 | 44 | 3 |
| 10 年後 中立 | 0.6 | 0.01 | 77 | 8 |
取り方:連結の貸出は 7,326 億円(2026 年 3 月末)。個人ローンの比率は確かめられず、3 割強と置いて残りの約 4,900 億円を事業性・公共向けとした。利ざやは 0.9% と置いた。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 13.8 億円に合わせた。
個人向け貸出
住宅ローン・個人ローンなど個人向けの貸出。
| 数量個人向け貸出残高(兆円) | 価格貸出利ざや(率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.2 | 0.01 | 20 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.3 | 0.01 | 30 | 2 |
取り方:貸出の約 3 割強にあたる約 2,400 億円を個人向けと置いた。住宅ローンは競争が厳しく、利ざやは 0.85% と置いた。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 13.8 億円に合わせた。
有価証券・市場運用
国債・地方債・外債・投信・株式などの運用。
| 数量有価証券残高(兆円) | 価格運用利回り-調達(率、売買損益を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.3 | 0.01 | 30 | 9 |
| 10 年後 中立 | 0.3 | 0.01 | 32 | 11 |
取り方:有価証券は 2,972 億円(2026 年 3 月末)。運用利回りから調達コストを引き、売却損益を含めて 1.0% と置いた。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 13.8 億円に合わせた。
手数料・預り資産
投信・保険の販売、為替・ローン関連の手数料。
| 数量預り資産残高(兆円) | 価格手数料率(為替・ローン手数料を含む総額÷預り資産) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.1 | 0.01 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 0.01 | 15 | 2 |
取り方:預り資産の残高は確かめられず、預金の約 1 割強の 1,200 億円と置いた。為替・ローン手数料を含めた総額を預り資産で割った率を 0.9% と置いた。 【推定】開示の内訳ではない。数量は名目の残高、率は物価を掛けていない利ざや・手数料率で置く。4 つのセグメントの利益の合計を、2026/03 期の連結経常利益 13.8 億円に合わせた。
リスクと懸念
評価差額金の赤字
評価差額金の赤字は 136 億円で、純資産の 27%。金利が想定より速く上がれば、自己資本比率が下がり、貸出を絞る圧力になる。
優先株の一斉転換
優先株 68 億円は、2033 年 3 月に普通株へ一斉に替わる。会社の価値が 120 億円を割ると、既存株主の取り分は 4 割まで下がる。
人口減と地盤の細り
高知県の人口は 2050 年に 34.8% 減り、全国で最も減りが大きい県の一つに入る。貸出は名目でも伸びにくい。
利益の弱さ
純利益は 6 億円で、2026 年 4〜6 月は純損失だった。優先配当と普通配当で利益の大半が出ていき、自己資本が積み上がらない。
再編で不利な立場になる
四国では伊予銀行と愛媛銀行の統合が決まるなど再編が動く。小さな銀行は、システムの費用と人材の面で劣勢になり、統合の条件も不利になりうる。
今後の分かれ目
- 評価差額金の赤字が自己資本の 2 割を下回る
- 自己資本比率の不安が薄れ、悲観の確率が 13% から 8% 前後へ下がる。
- 2027 年 3 月期の純利益が通期で赤字になる
- 配当が削られ、悲観の確率が 13% から 25% 近くへ上がる。
- 優先株の一部を現金で買い戻す発表が出る
- 希薄化の心配が薄れ、中立の普通株の取り分は 0.43 から 0.6 前後へ上がる。
- 四国の地銀同士の経営統合の発表がある
- 比率次第で少数株主の取り分が変わる。小さな側なら不利な比率になりうる。
- 純利益が 15 億円を超えて 2 期続く
- 利ざやの回復が裏づけられ、配当の増額と優先株の整理が現実味を帯びる。
見ておくもの
- 評価差額金の赤字と純資産の推移
- 純利益と四半期ごとの損益
- 貸出金の伸びと利ざや
- 優先株の取得方針
- 四国の地銀の再編
倍率と資本コストの決め方
本源価値は、貸出・有価証券・手数料の利益から会社全体の ROE を式で組み、PER は ROE と k から決めた。今の PBR 0.23 倍や同業の PER は市場の見方であり、比較に使うだけで置き場にはしていない。優先株 68 億円が普通株に先立つ点は、既存株主の取り分の係数で別に表し、倍率に混ぜていない。評価差額金の赤字は自己資本にすでに含まれるため、二重には引いていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.7→11.43 倍・やや楽観 PER 7.8→11.43 倍・中立 PER 7→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。優先株の転換による希薄化は k に足さず、既存株主の取り分の係数で表した。