結論
ソムニグループは、テンピュール・シーリー製の寝具からマットレス・ファームの店頭販売まで抱える、世界最大級の睡眠関連企業である。筆者の結論は割高だ。ブランドと流通の強みは本物だが、買収を重ねて膨らんだ資産に対して、株主が手にできる利益がまだ細い。
2025年の売上は約75億ドル、純利益は約4億ドルである。2026年8月にはばね・フォームなどの部材大手レゲット・アンド・プラットも買収し、事業の輪郭は大きく変わった。売上の比較には注意が要る。2025年の財務は買収前の連結範囲だが、10年先にはこの部材事業も含める。
寝具は人口の数ほど突然には増えず、買い替えの周期と所得で需要が変わる。米国製マットレスの2025年の数量は約1,590万枚と低迷し、2026年4〜6月にも市場の数量が落ちた。それでもテンピュールの高価格帯ブランド、約2,100店の小売網、欧州のドリームズ、世界の工場は容易に一から造れない。部材の内製化がうまく進めば利益率には上積みがある。
ただし同業に売る部材は顧客が価格を比較しやすく、店舗の賃料と買収の利払いは不況でも残る。2026年4〜6月期は売上が前年同期比3%減り、会社は通期の調整後利益見通しを引き下げた。ただしGAAP純利益は前年同期比12%増であり、統合による改善も見え始めている。基準株数の古さにも注意したい。添付の時価総額約135億ドルに対し、買収で増えた株を含む2026年10月23日の市場価値は約149億ドルである。5つの筋書きの時価総額と正味還元を割り戻すと、本質価値は約74億ドルとなる。添付の基準時価総額より約45%低く、買収後の市場価値と比べれば差は約50%に広がる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、10年後にも眠る人がいてマットレスを買い替えることは疑わない。繰り返し買われるブランドと、試し寝ができる広い販路は、簡単には消えない資産である。強いメーカーが小売網を持つことには理があり、店舗で何が売れるかを知れば製品改良と在庫の配置を早められる。
しかし会社を丸ごと買うつもりで見ると、安い買い物とは言い切れない。のれんや商標は、客が離れれば現金に換えにくい。メーカーの高い粗利に目を奪われると、小売の賃料、販売員、部材事業の低い利ざや、買収の利払いを見落とす。2025年のフリーキャッシュフローは約6億ドルだが、株式報酬や店舗の改装、将来の設備更新にも使われる。
さらに経営者の腕を確かめる必要がある。二度の大型買収で売上は増えたが、それだけで一株主の取り分が増えたわけではない。新株で買ったレゲットの売上が連結に加わっても、旧株主にとっては新たな持ち分を渡した費用がある。正味還元から新株の払い込み相当額を引き、利益の質は株式報酬と買収関連償却を含むGAAPで評価する。
10年先に大事なのは、米国の寝具販売がよく売れる年の利益ではなく、悪い年を通じて残る平均的な稼ぎである。中立の事業は十分に生き残り、製造・小売・部材を束ねる利点も一部は出るだろう。それでも買収後の時価総額と比べると、必要な株主利回りを得るだけの安全域は見えない。値段が下がって初めて魅力が増す種類の企業だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは三つの既存事業に、2026年8月に加えた部材事業を重ねて考える。マットレス・ファームは米国の約2,100店と通販で複数メーカーの商品を売り、販売員が寝心地を試してもらって高額品へ導く。2025年の連結売上は35億ドルで、買収した2月以降の約11カ月分である。賃料と販売員の人件費が重く、製造より利益率が低い。
テンピュール・シーリー北米はテンピュール・ペディック、シーリー、スターンズ&フォスターを製造する。自社店舗や通販に加え、他の小売店へ卸す。2025年の外部売上は約27億ドルで、マットレス・ファーム向けの社内販売約10億ドルは連結から消去される。これを二重に足すと、買収で売上が増えたように錯覚する。高密度フォームや寝心地の設計、広告が値段の違いを作る。
海外事業は英国のドリームズ約225店を含み、欧州・アジアなど100カ国以上へ商品を出す。2025年の売上は約13億ドル。北米より小さく、海外の市場は細かいメーカーに分かれるため、流通先を増やす余地がある。一方、国別の規制、輸送費、為替換算が利益を揺らす。
レゲット・アンド・プラットは寝具のばねやフォームだけでなく、自動車用部材、家具、床材、繊維品を製造する。買収前の2025年の売上は約41億ドルで、その約7%は元からソムニグループへの販売だった。連結ではこの重複を除く。ソムニグループが部材の仕入れ先を持つ効果はあるが、他社向けの製造まで独占できるわけではない。2025年の営業利益の基礎は寝具より低い利益率にあり、景気と鉄鋼価格にも左右される。
数量と価格の開示は不ぞろいだ。米国の市場生産枚数、店舗数、海外の寝具市場、レゲットの外販売上を別々の物差しに使う。どの事業も物価上昇を数量へ紛れ込ませず、想定した販売量と価格を掛けて売上を見積もった。
優良さと弱いところ
最大の堀は、寝具を触って買う習慣と、長年かけて築いたブランドである。テンピュールの素材と寝心地は安価な無名品と同じではない。シーリーは幅広い価格帯に広がり、マットレス・ファームは多くのブランドを一か所で比べられる。広告、製品開発、販売員、配送拠点が結びつき、単なるネット通販では再現しにくい。
とはいえブランドの強さは独占を意味しない。サータ・シモンズ、パープル、スリープ・ナンバー、キャスパーなどは独自の設計や直販で顧客を奪う。店舗に来た客でもスマートフォンで価格を調べられ、購入を先送りできる。マットレス・ファーム内で自社製品の比率を上げることは利益に効くが、他社製品を減らしすぎると「比較できる店」の価値を壊す。
本業の製造には高い利益率があるが、全社の資本効率をそのまま評価しない。2025年にはマットレス・ファーム買収でのれんと商標が増え、帳簿の自己資本は約31億ドルになった。過去の極端に高いROEは自社株買いで自己資本が小さかったためで、今後の買収事業を育てる元手の利回りではない。10年後には利益を期末自己資本で割り、買収で積んだ資産も無視しない。
レゲット買収はばね・フォームの技術を社内へ取り込む一方、同社の顧客である競合寝具メーカーとの利益相反を生む。販路や製造拠点を自社のためだけに使えば、外販売上が逃げるおそれがある。2026年時点で新しい部材事業の数量回復を断言できないため、堀は全社では「普通」と評価する。レゲットの2026年上期純利益は約0.67億ドルであり、対価として交付した株式の価値約13億ドルに対し、利益の上乗せは資本コストを大きく超えるほどではない。AIエージェントに人月や席課金を代替される型の事業には当たらないが、買い物の入口をAIが握る影響は残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
寝具の需要は、住宅販売以上に買い替え周期と家計の余裕を映す。米国で製造されたマットレスは2021年の約2,470万枚から2025年には約1,590万枚へ減った。輸入品を含む小売数量とは異なるものの、歴史的な低水準だ。2026年4〜6月にはレゲット側の見立てで米国のマットレス需要数量が前年同期比2桁減った。景気回復を先取りして強い数量成長を当たり前と見るのは危うい。
2026年の投資家説明資料による市場の大きさは、北米の寝具約450億ドル、北米以外は約750億ドルである。ここには小売段階の価格も含まれ、卸売だけを営むメーカーの売上からシェアを直接比べると過小に出る。米国のマットレス製造ではテンピュール・シーリーとサータ・シモンズが有力な二社である。IBISWorldを用いた時点不明の古い集計では前者が約28%、後者が約33%だが、現在の確定シェアとしては採用しない。全寝具市場での占有率が一桁になることと、製造市場で有力であることは両立する。マットレス・ファームは店舗網では最大級だが、アマゾン、コストコ、オンライン専業、独立小売も販路を持つ。
海外では英国のドリームズと、地域の家具店・寝具店・地場メーカーが競う。欧州やアジアに北米と同じブランド構造をそのまま広げるのは難しい。レゲットのばね・フォームは繊維・鋼材などの原料に依存し、自動車部材は完成車メーカーの生産計画に左右される。寝具の数量が戻っても部材全体が同じ速さで増えるわけではない。
10年の中立は、米国のマットレス実物数量が大きく増えず、価格が物価並みに上がる世界である。住宅の入れ替わりと高齢化は高機能寝具を支えるが、利払いの高止まりは新築と大型支出を抑える。楽観は買い替え需要の回復にブランドのシェア拡大が重なる場合であり、悲観は通販の価格比較、長い買い替え周期、部材の市況悪化が同時に起きる場合だ。業界ノートの「住関連小売は住宅金利の重さを受ける」という前提は使うが、寝具製造をホームセンターの来店客数と同一視しない。
資本政策と M&A
資本配分は、過去10年で会社を大きく変えた。かつては自社株買いが中心で、2021年と2022年にはそれぞれ約8億ドルと約7億ドルを使い、株数を減らした。2025年2月のマットレス・ファーム買収では現金と株式の両方を投じたため、買い戻しの効果より株式発行の増加が大きかった。2025年の自社株買い約1.3億ドルは主に株式報酬の源泉徴収税の納付に伴うもので、自由裁量の株主還元と同じではない。2026年8月にはレゲット・アンド・プラットを株式交換で買い、旧株主に統合会社の約9%を渡した。
2026年8月の買収完了発表では、部材の共同調達・工場運営・製品開発による年間0.75億ドルの相乗効果を掲げた。別にマットレス・ファーム統合でも、2027年までの年間約2.6億ドルの相乗効果を調整後EBITDAの目標として示している。レゲットの相乗効果は当初の0.50億ドルから増えたが、これは実現済みのGAAP利益ではない。公正価値への評価替えに伴う年0.50億ドル程度の非現金費用などが、利益に逆風になる。2026年4〜6月期の会社見通しは通期の調整後利益が下方修正されており、買収の利益をそのまま楽観に足せない。
会社の方針は、純負債/調整後EBITDAを2〜3倍の範囲へ戻し、2026年にはフリーキャッシュフローの約半分を配当・自社株買いに向けることだった。四半期配当は2026年に増額し、年換算で約1.5億ドルの規模となる。2026〜2028年には単体ベースで売上の年率中程度の一桁成長を目指すと示したが、買収後の長期GAAP利益の保証ではない。まず債務と店舗更新を優先し、残った現金だけを正味の還元として扱う。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
長期の上振れを支えるのは、単なる景気回復ではない。テンピュールの高価格帯製品とシーリーの普及価格帯、マットレス・ファームの全国的な店舗網が結びつけば、販売データから売れ筋を設計し、原材料の調達と配送を最適化できる。米国のマットレス生産量は2025年に約1,590万枚まで落ち込んだ。この低い出発点から買い替えが戻るだけでも、店舗の固定費を超える増分利益は大きい。
マットレス・ファームの店で扱うグループ製品の比率は2026年に6割台半ばに近づく想定が示された。外部のサータ・シモンズやパープルも並べたまま、グループ製品の販売比率を上げられれば、製造の利益と小売の利益を両方取れる。海外の寝具市場は北米より大きく、テンピュール・シーリーの占有率はまだ低い。英国のドリームズを足場に欧州・アジアへの製品導入が進めば、国内の人口に縛られない。
レゲットは長年の取引先であり、まったく知らない業種を高値で買ったわけではない。買収後の相乗効果目標は年間0.75億ドルへ上がり、工場の相互活用と部材技術が製品の差別化を深める可能性がある。大口の部材調達が自社化で安くなり、取引先も失わずに済めば、薄利の製造から生じる余剰現金を債務削減と還元へ回せる。楽観ではこれらが同時に進み、10年後の純利益は現在の数倍になる。
慎重な見方
買収した二社の規模に比べ、株主の手元に残る利益がまだ少ない。2025年の連結売上増はマットレス・ファームを取り込んだ効果が大半で、既存店や既存メーカーの数量が劇的に伸びたわけではない。2026年4〜6月期の売上は前年同期比で減り、レゲットの需要調査も米国マットレス数量が二桁減だった。住宅ローンと家計の利払いが高止まりする世界で、買い替えが突然力強く戻る保証はない。
垂直統合にも落とし穴がある。マットレス・ファームが自社のブランドに棚を偏らせれば、消費者は他社の品を試せる独立店へ行くかもしれない。レゲットのばねやフォームをサータ・シモンズなどに売り続けるには、情報管理と公正な価格が欠かせない。販売先の競合が仕入れを切り替えれば、買収で期待した売上も工場の稼働率も落ちる。
総資産の大きな部分はのれんと商標であり、店舗の賃料を払う義務も長い。レゲットには自動車部材、床材、家具のように消費と設備投資の循環にさらされる部門がある。景気が悪くなれば、厚くなった製造資産と小売店舗の固定費が同時に効く。株式交換で旧株主の持ち分も薄まっている。会社の調整後利益や予定した相乗効果だけを根拠に買うなら、GAAPでの償却や株式報酬、将来の減損を見逃す。
どちらに重みを置いたか
ブランドと販路の存在価値は強気の論拠を認めるが、全社の採算は小売と部材の比率が増えたことで弱くなった。既存事業だけなら改善を待つ余裕がある。しかし大型買収の統合、米国の低い販売数量、リースと金利を考え、やや悲観と悲観を計38%とした。強気26%に対して慎重側を厚くしたのは、AI代替ではなく買収の投下資本が利益に変わるかを確認できないためだ。5筋書きの本質価値約74億ドルは添付時価総額より約45%低く、割高という結論になる。株数が増えた後の実際の時価総額で比べると安全域はさらに薄い。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 56.35 ドル118 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 17.78 ドル37 億ドル)。 今の値に割り戻すと 35.36 ドル74 億ドル、今との差 −44.4%、 期待の年率 +1.8%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 130.51 ドル273 億ドル | 33.46 ドル70 億ドル | +158.0% | +11.5% | 13.12 ドル27 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 94.91 ドル199 億ドル | 26.77 ドル56 億ドル | +91.4% | +7.7% | 21.90 ドル46 億ドル |
| 中立 | 36% | 64.15 ドル134 億ドル | 20.55 ドル43 億ドル | +33.3% | +3.4% | 30.49 ドル64 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 21.34 ドル45 億ドル | 9.56 ドル20 億ドル | −51.4% | −8.0% | 7.73 ドル16 億ドル |
| 悲観 | 13% | 3.06 ドル6 億ドル | 3.82 ドル8 億ドル | −89.2% | −24.1% | 0.89 ドル2 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 56.35 ドル118 億ドル | 17.78 ドル37 億ドル | +16.6% | +1.8% | 74.13 ドル155 億ドル |
今の株価時価総額 63.56 ドル133 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:買い替え回復と垂直統合が利益に結びつく 利益 19 億ドル · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 130.51 ドル273 億ドル
米国のマットレス生産は2025年の約1590万枚という低水準から回復し、10年先には1800万枚程度になる。テンピュール・シーリーは高価格帯と普及価格帯の新製品で、製造ブランドの占有率を約25%から約29%へ上げる。マットレス・ファームは2400店程度の店舗と通販を使い、販売密度を高めた3000店換算の実質取引量を確保する。独立した寝具販売店が残り、強い自社ブランドと他社製品の品ぞろえが両立する。
海外では約1000億ドルの実質寝具市場で占有率2.45%を取る。ドリームズや各地の提携小売店が高級寝具の試用機会を増やし、シェアが上がる。レゲットは外販先のサータ・シモンズなども維持し、ばね、フォーム、自動車と床材の数量が回復する。技術と物流を共有し、会社が掲げた年0.75億ドルの相乗効果を超える改善が定着する。
メーカーの営業利益率は23%、小売は8.5%、部材は10.5%へ改善する。10年目のGAAP純利益は18.7億ドル。期間利益の累計126億ドルから、配当・自社株買いの正味70億ドルを返しても自己資本が残る。株式交換による増資約13億ドルと株式報酬控除後の還元であり、買収による持ち分の希薄化を二重には差し引かない。
- マットレス・ファーム(米国小売・通販):数量 3,000(2025年の2174店を基準とした、客数・店舗の稼働を織り込む実質店舗換算数)× 価格 0.02(実質店舗換算1店当たり年間売上(億ドル、2025年の約11か月実績を基準))→ 売上 71 億ドル・営業利益 6 億ドル。店舗数約2400×販売密度1.25、値段は物価をやや上回る
- テンピュール・シーリー北米(製造・卸・直販):数量 5.2(米国生産マットレス枚数(百万枚)×同社製品の推定実質占有率(カナダ等も換算))× 価格 10(推定販売百万枚換算当たりの連結外部売上(億ドル))→ 売上 52 億ドル・営業利益 12 億ドル。北米実質市場約1800万枚×製造シェア約29%
- テンピュール・シーリー海外(ドリームズを含む):数量 24.5(北米外の寝具市場の2025年固定価格の市場規模(億ドル)×実質売上占有率)× 価格 1.47(2025年=1とする同社の実現販売価格指数)→ 売上 36 億ドル・営業利益 7 億ドル。海外実質市場1000億ドル×シェア2.45%、値段は1.47倍
- レゲット・アンド・プラット(2026年成立の部材・製造):数量 54.0(2025年の外部向け部材売上(固定価格の億ドル、親会社との社内売上を控除))× 価格 1.43(2025年=1とする部材の販売単価指数)→ 売上 77 億ドル・営業利益 8 億ドル。旧レゲット外販37.7億ドルに対する数量拡大と高付加価値化
倍率:k9.0%、moat普通(RONICへの超過ROE残存率1/2)、10年後の自己資本87.1億ドルに対するGAAP純利益18.7億ドルからROE21.5%を計算。RONIC=15.2%、10年先の名目g=4.0%(北米の実質市場・シェア、海外、部材の実質数量と販売単価で推定)。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)×(1+g)で15.3倍が利益ベースの上限。利益の質と構造リスクから14.6倍(上限の95%)を採用。これは今のPERや過去の評価から逆算せず、GAAP利益の株式報酬・買収無形資産の償却を戻さない。10年後の会社全体の時価総額は18.7×14.6=273.02億ドル。
確率:景気回復だけでなく、北米の製造シェア拡大、海外展開、レゲットの既存外部顧客維持、協業利益の実現が全て必要であり8%にとどめた。
やや楽観 18% やや楽観:ブランドの棚取りと海外の販路拡大 利益 15 億ドル · PER 13.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 94.91 ドル199 億ドル
2026年の米国市場が弱かった反動で買い替えは持ち直すが、住宅ローンと家計の利払いが高いため急回復は続かない。マットレス・ファームは店舗数をほぼ維持し、販売員の教育と品ぞろえの改善で実質取引量を2700店換算へ増やす。店頭の自社ブランド比率が高くなっても他社品を残し、比較できる店として顧客を保つ。
北米メーカーは生産枚数の緩やかな増加に、シェア約28%を重ねる。自社店舗とオンラインだけでなく、独立小売との取引を守る。海外はドリームズを中心に英国で強さを保ち、アジアへの卸先を増やす。レゲットは主力の寝具部材で取引先を少し広げ、自動車部品と床材が生産の減少を止める。予定の年0.75億ドルの共同購買効果はおおむね実現する。
ただしメーカーの価格競争は消えず、部材の利益率は9.5%にとどまる。10年先には営業利益約24.5億ドル、GAAP純利益14.6億ドルとなる。債務を減らした後に還元を再開し、買収株式と株式報酬を差し引いた正味の10年間の還元は56億ドルとする。
- マットレス・ファーム(米国小売・通販):数量 2,700(2025年の2174店を基準とした、客数・店舗の稼働を織り込む実質店舗換算数)× 価格 0.02(実質店舗換算1店当たり年間売上(億ドル、2025年の約11か月実績を基準))→ 売上 63 億ドル・営業利益 5 億ドル。販売密度の上昇を店舗換算に、価格は1.44倍
- テンピュール・シーリー北米(製造・卸・直販):数量 4.9(米国生産マットレス枚数(百万枚)×同社製品の推定実質占有率(カナダ等も換算))× 価格 9.75(推定販売百万枚換算当たりの連結外部売上(億ドル))→ 売上 48 億ドル・営業利益 10 億ドル。北米実質販売約492万枚相当、価格に上質品の比率を反映
- テンピュール・シーリー海外(ドリームズを含む):数量 21.0(北米外の寝具市場の2025年固定価格の市場規模(億ドル)×実質売上占有率)× 価格 1.43(2025年=1とする同社の実現販売価格指数)→ 売上 30 億ドル・営業利益 6 億ドル。海外実質市場約950億ドル×シェア約2.2%
- レゲット・アンド・プラット(2026年成立の部材・製造):数量 47.0(2025年の外部向け部材売上(固定価格の億ドル、親会社との社内売上を控除))× 価格 1.42(2025年=1とする部材の販売単価指数)→ 売上 67 億ドル・営業利益 6 億ドル。外販売上37.7億ドルを基準に実質数量を約25%増やす
倍率:k9.0%、moat普通(RONICへの超過ROE残存率1/2)、10年後の自己資本78.1億ドルに対するGAAP純利益14.6億ドルからROE18.7%を計算。RONIC=13.8%、10年先の名目g=3.8%(北米の実質市場・シェア、海外、部材の実質数量と販売単価で推定)。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)×(1+g)で14.5倍が利益ベースの上限。利益の質と構造リスクから13.6倍(上限の94%)を採用。これは今のPERや過去の評価から逆算せず、GAAP利益の株式報酬・買収無形資産の償却を戻さない。10年後の会社全体の時価総額は14.6×13.6=198.56億ドル。
確率:製造ブランドの優位が続き、2026年の小売再編と部材の共同調達がほどほどに成功する余地はあるが、回復数量と競争上の制約を考え18%とする。
中立 36% 中立:寝具は生き残るが買収の利益は着実にしか増えない 利益 11 億ドル · PER 12.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 64.15 ドル134 億ドル
米国のマットレス生産は2025年の1600万枚弱から1700万枚程度まで回復するが、2010年代後半の高水準には戻らない。マットレス・ファームの実質販売量は2460店換算で、店舗数の大幅増より販売の密度改善を見込む。寝具の値段は10年で物価並みの約1.41倍になるが、販売員と配送の費用も上がるため、小売の営業利益率は6.8%にとどまる。
テンピュール・シーリー北米の実質販売量は約455万枚換算となり、概算の占有率は27%前後へ小幅に上がる。サータ・シモンズやパープルとの競争は続き、高機能フォームの特許だけで値上げし続けられるわけではない。海外は北米外約900億ドルの実質寝具市場で約2%を取る。レゲットは旧来の外部売上をおおむね維持するが、自動車部材や床材の安定成長は期待しない。
年間0.75億ドルの相乗効果の一部は原価改善として実現する一方、取得資産の公正価値償却と工場更新も続く。10年目の営業利益は約19.5億ドル、GAAP純利益は11億ドル。期間のGAAP利益累計88億ドルと、買収新株・株式報酬を引いた正味還元43億ドルから、10年末の自己資本は約76億ドルとなる。売上の伸びは市場、占有率、価格から来ており、ROEそのものを成長率の理由にはしていない。
- マットレス・ファーム(米国小売・通販):数量 2,460(2025年の2174店を基準とした、客数・店舗の稼働を織り込む実質店舗換算数)× 価格 0.02(実質店舗換算1店当たり年間売上(億ドル、2025年の約11か月実績を基準))→ 売上 56 億ドル・営業利益 4 億ドル。店舗数約2150前後×販売密度1.14、価格は物価並み
- テンピュール・シーリー北米(製造・卸・直販):数量 4.6(米国生産マットレス枚数(百万枚)×同社製品の推定実質占有率(カナダ等も換算))× 価格 9.58(推定販売百万枚換算当たりの連結外部売上(億ドル))→ 売上 44 億ドル・営業利益 9 億ドル。実質北米市場約1700万枚×シェア約26.8%
- テンピュール・シーリー海外(ドリームズを含む):数量 18.0(北米外の寝具市場の2025年固定価格の市場規模(億ドル)×実質売上占有率)× 価格 1.41(2025年=1とする同社の実現販売価格指数)→ 売上 25 億ドル・営業利益 5 億ドル。海外実質市場900億ドル×シェア2.0%
- レゲット・アンド・プラット(2026年成立の部材・製造):数量 40.0(2025年の外部向け部材売上(固定価格の億ドル、親会社との社内売上を控除))× 価格 1.41(2025年=1とする部材の販売単価指数)→ 売上 56 億ドル・営業利益 5 億ドル。2025年外部販売約37.7億ドル→数量指数40、値段は1.41倍
倍率:k9.0%、moat普通(RONICへの超過ROE残存率1/2)、10年後の自己資本76.1億ドルに対するGAAP純利益11.0億ドルからROE14.5%を計算。RONIC=11.7%、10年先の名目g=3.5%(北米の実質市場・シェア、海外、部材の実質数量と販売単価で推定)。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)×(1+g)で13.2倍が利益ベースの上限。利益の質と構造リスクから12.2倍(上限の92%)を採用。これは今のPERや過去の評価から逆算せず、GAAP利益の株式報酬・買収無形資産の償却を戻さない。10年後の会社全体の時価総額は11.0×12.2=134.20億ドル。
確率:北米市場の実物数量は大きく増えず、高品質ブランドが少しシェアを取り、部材事業は外販を守るという現実的な中心として36%とした。
やや悲観 25% やや悲観:実物需要が戻らず薄利の店舗と部材が重くなる 利益 5 億ドル · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 21.34 ドル45 億ドル
米国の買い替えが長く低迷し、実質のマットレス需要は2025年の水準からほとんど回復しない。マットレス・ファームでは来店客数が減り、店舗網を縮めながら販売密度を守るが、実質取引量は2110店換算まで下がる。価格は物価に追いつかず、値引きと配送費で営業利益率は3.5%となる。
北米の製造ブランドはサータ・シモンズやネット通販専業へ取引が流れ、実質販売量は約385万枚相当へ減る。海外はドリームズの存在で市場から消えないが、価格比較が広まり占有率の伸びが止まる。レゲットは寝具部材で競合メーカーが代替調達を進め、自動車部材も顧客の内製化に押される。工場の稼働率が落ち、部材の営業利益率は5.5%に縮む。
連結の営業利益は約9.4億ドル、純利益は4.7億ドルへ減る。債務と賃貸借契約を返すため、自社株買いは大幅に抑える。期間利益累計48億ドルと正味還元20億ドルを想定し、過去の買収で積んだ資産はなお残るが株主資本利益率は資本コストに届かない。新株交換の希薄化は正味還元の控除で反映した。
- マットレス・ファーム(米国小売・通販):数量 2,110(2025年の2174店を基準とした、客数・店舗の稼働を織り込む実質店舗換算数)× 価格 0.02(実質店舗換算1店当たり年間売上(億ドル、2025年の約11か月実績を基準))→ 売上 45 億ドル・営業利益 2 億ドル。店当たり実質購買が弱く客単価の名目上昇も物価未満
- テンピュール・シーリー北米(製造・卸・直販):数量 3.9(米国生産マットレス枚数(百万枚)×同社製品の推定実質占有率(カナダ等も換算))× 価格 9.00(推定販売百万枚換算当たりの連結外部売上(億ドル))→ 売上 35 億ドル・営業利益 5 億ドル。実質販売約385万枚相当、製造シェア後退
- テンピュール・シーリー海外(ドリームズを含む):数量 14.0(北米外の寝具市場の2025年固定価格の市場規模(億ドル)×実質売上占有率)× 価格 1.34(2025年=1とする同社の実現販売価格指数)→ 売上 19 億ドル・営業利益 3 億ドル。海外の実質市場成長が限られシェア低下
- レゲット・アンド・プラット(2026年成立の部材・製造):数量 33.0(2025年の外部向け部材売上(固定価格の億ドル、親会社との社内売上を控除))× 価格 1.34(2025年=1とする部材の販売単価指数)→ 売上 44 億ドル・営業利益 2 億ドル。競合向け部材の発注減、物価転嫁の遅れ
倍率:k9.0%、moat普通(RONICへの超過ROE残存率1/2)、10年後の自己資本59.1億ドルに対するGAAP純利益4.7億ドルからROE8.0%を計算。RONIC=8.5%、10年先の名目g=2.0%(北米の実質市場・シェア、海外、部材の実質数量と販売単価で推定)。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)×(1+g)で11.1倍が利益ベースの上限。利益の質と構造リスクから9.5倍(上限の86%)を採用。これは今のPERや過去の評価から逆算せず、GAAP利益の株式報酬・買収無形資産の償却を戻さない。10年後の会社全体の時価総額は4.7×9.5=44.65億ドル。ROEがkを下回るため上限1/k=11.1倍を超えず、残った利益に保守的な倍率を適用。過去の谷の倍率からは算定しない。
確率:米国のマットレス出荷が2026年まで続けて落ち、借入と家計負担に弱いという現実を重く見た。買収した工場・店舗の固定費が残るため25%。
悲観 13% 悲観:販路の入口を失い部材の外販も崩れる 利益 1 億ドル · PER 8.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3.06 ドル6 億ドル
米国で寝具の買い替えがさらに長期化し、安価な通販品と他社ブランドが購入の入口を握る。AIによる価格比較と通販の推薦が進み、消費者は高価な寝具を店頭で試してから別の販路で買う。マットレス・ファームは店舗を閉じても賃料と閉店費用が残り、実質取引量は1700店換算に落ちる。自社製品を棚に押し込むほど他社製品を求める客は去る。
北米メーカーの実質数量は約305万枚換算へ下がり、テンピュール製品は高価格帯の一角にとどまる。海外では英国のドリームズも地場小売と通販に押される。レゲットは元の顧客が自社系列へ供給を依存することを嫌い、別のばね・フォーム製造会社へ移る。自動車や家具の不況も重なり、部材の実質外販は2025年比で大幅に減る。
営業利益は約4.6億ドル、利息と税を支払うとGAAP純利益は0.8億ドルだけ残る。工場と商標の一部で減損が起き、10年間の純利益累計は減損約25億ドルを含め10億ドルにとどまる。利益の出ていた前半に払う配当などを加味しても、正味の還元は8億ドルしか残らない。のれんは売却可能な現金とは見ず、株主の値打ちはわずかに残る稼ぐ力から測る。
- マットレス・ファーム(米国小売・通販):数量 1,700(2025年の2174店を基準とした、客数・店舗の稼働を織り込む実質店舗換算数)× 価格 0.02(実質店舗換算1店当たり年間売上(億ドル、2025年の約11か月実績を基準))→ 売上 33 億ドル・営業利益 1 億ドル。相次ぐ閉店と客離れ、値段は物価を大幅に下回る
- テンピュール・シーリー北米(製造・卸・直販):数量 3.1(米国生産マットレス枚数(百万枚)×同社製品の推定実質占有率(カナダ等も換算))× 価格 8.45(推定販売百万枚換算当たりの連結外部売上(億ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 3 億ドル。ブランドシェア後退、廉価通販へ数量が流出
- テンピュール・シーリー海外(ドリームズを含む):数量 10.0(北米外の寝具市場の2025年固定価格の市場規模(億ドル)×実質売上占有率)× 価格 1.25(2025年=1とする同社の実現販売価格指数)→ 売上 13 億ドル・営業利益 1 億ドル。地場競合とネット小売に押され数量と単価が下がる
- レゲット・アンド・プラット(2026年成立の部材・製造):数量 25.0(2025年の外部向け部材売上(固定価格の億ドル、親会社との社内売上を控除))× 価格 1.22(2025年=1とする部材の販売単価指数)→ 売上 31 億ドル・営業利益 2 億ドル。競合顧客の調達切替、自動車・家具部材の構造的縮小
倍率:k9.0%、moat普通(RONICへの超過ROE残存率1/2)、10年後の自己資本33.1億ドルに対するGAAP純利益0.8億ドルからROE2.4%を計算。RONIC=5.7%、10年先の名目g=0.0%(北米の実質市場・シェア、海外、部材の実質数量と販売単価で推定)。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)×(1+g)で11.1倍が利益ベースの上限。利益の質と構造リスクから8.0倍(上限の72%)を採用。これは今のPERや過去の評価から逆算せず、GAAP利益の株式報酬・買収無形資産の償却を戻さない。10年後の会社全体の時価総額は0.8×8.0=6.40億ドル。ROEがkを大きく下回るので上限1/k=11.1倍以内とし、固定費と取引先の喪失から8倍まで下げる。売れる資産の税後残余は0に近く、過去のPBRを床に使わない。
確率:垂直統合が取引先を逃がすことに加え、10年にわたる業界の低迷と買収の減損が重なる構造的敗北。十分にあり得るが主筋書きではないため13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
マットレス・ファーム(米国小売・通販)
米国約2,100店舗と通販で、グループ製品と競合製品のマットレス・寝具を販売。店舗固定費が大きい。
| 数量2025年の2174店を基準とした、客数・店舗の稼働を織り込む実質店舗換算数 | 価格実質店舗換算1店当たり年間売上(億ドル、2025年の約11か月実績を基準) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,174 | 0.02 | 35 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,460 | 0.02 | 56 | 4 |
取り方:2025年10-Kでマットレス・ファームの連結期間売上は35.054億ドル、営業利益は1.908億ドル、2025年末の店舗数は2174。35.054÷2174=1店当たり0.01612億ドル。ただし期中の約11か月のみで2025年を通年とみなさず、2026年の約2155店を確認。2026年に取り扱いの自社ブランド比率を6割台へ引き上げるが、客単価と顧客件数は会社がセグメント別に未開示。将来のvolumeは実店舗の数だけでなく、店舗当たり実質販売件数を掛けた店換算数で、priceは1取引の名目価格変化を含める。店舗当たり売上は推計であり、販売枚数の実測ではない。競合はサータ・シモンズ、パープル製品を売る独立店、アマゾン、コストコ等。米国寝具市場は2026年投資家資料で約450億ドル、同社店舗の2025年約11か月売上35.1億ドルはその約7.8%相当。ただし店舗と卸の重複・決算期間差があるため厳密な小売シェアとみなさず、競合各社の最新小売シェアも未開示とする。
テンピュール・シーリー北米(製造・卸・直販)
テンピュール、シーリー、スターンズ&フォスターなどを北米で製造し、外部小売・直販に販売。マットレス・ファーム向け社内売上を消去。
| 数量米国生産マットレス枚数(百万枚)×同社製品の推定実質占有率(カナダ等も換算) | 価格推定販売百万枚換算当たりの連結外部売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.0 | 6.80 | 27 | 6 |
| 10 年後 中立 | 4.6 | 9.58 | 44 | 9 |
取り方:2025年10-Kの北米外部売上27.012億ドル(売上総額36.775億ドルから、マットレス・ファームなどへの社内売上9.763億ドルを除く)と営業利益5.533億ドル。2026年の投資家資料にあるISPA等の2025年米国生産枚数約1590万枚に、同社の製造ブランドシェアを25%とする独立した推定を掛けて397.5万枚の実質数量指数とした。27.012÷3.975=百万枚当たり6.796億ドル、平均約680ドル相当。ただしカナダ・直販・枕・調整式ベースも含み、実測単価や正確な市場占有率ではない。製造市場ではサータ・シモンズ、スリープ・ナンバー、パープル等と競争する。IBISWorldに由来する古い米国製造市場の比率はテンピュール・シーリー28%、サータ・シモンズ33%、スリープ・ナンバー5%という参考値があるが、時点が特定できず2025年の実測値と扱わない(https://concentrationcrisis.openmarketsinstitute.org/industry/mattress-manufacturing/)。推定25%はこの旧来の比率を安全側に丸めた仮定であり、継続的な実績として断定しない。
テンピュール・シーリー海外(ドリームズを含む)
欧州・アジアなどの製造、販売、ライセンスと英国ドリームズの小売。
| 数量北米外の寝具市場の2025年固定価格の市場規模(億ドル)×実質売上占有率 | 価格2025年=1とする同社の実現販売価格指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.7 | 1.00 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 1.41 | 25 | 5 |
取り方:2025年10-Kの海外外部売上12.699億ドルと営業利益2.212億ドル。2026年投資家説明資料の北米外寝具市場約750億ドルを使い、12.699÷750=占有率約1.69%と推計する。会社も国際事業の占有率は低い一桁と説明。volumeは市場の2025年実質額×シェアで、物価による価格上昇はpriceにのみ入れる。英国のドリームズは225店超だが地域別売上がないため全社海外売上からの二重加算はしない。地場の寝具・家具小売と競合。
レゲット・アンド・プラット(2026年成立の部材・製造)
2026年8月に買収成立した寝具部材、自動車、家具、床材、繊維の製造。2025年のソムニグループ連結業績には含まれない。
| 数量2025年の外部向け部材売上(固定価格の億ドル、親会社との社内売上を控除) | 価格2025年=1とする部材の販売単価指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 1.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 1.41 | 56 | 5 |
取り方:2025年はソムニグループ未連結なのでnowは数量・売上・営業利益とも0。買収が2026年8月26日に成立したため10年先には含む。レゲット単体2025年10-K(https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/58492/000005849226000107/leg-20251231.htm)では外販売上40.551億ドル、内訳は寝具15.584、特殊11.224、家具・床材・繊維13.743億ドル。買収発表でソムニグループ向けが約7%と明示され、連結後の外部売上開始点は40.551×93%=約37.7億ドル。2025年のレゲットEBIT3.56億ドルには不動産・事業売却益等の非反復要素があり、連結後は毎年約0.5億ドルの評価替え費用も想定されるため、そのまま利益率を維持しない。volumeは2025年固定価格の外部売上を実質数量の指数とし、2025年未連結の表示を補うため将来の数量だけ正にする。ばね・床材・自動車部材の合計市場規模と競合各社の比較可能な最新シェアは一次開示がなく、同社の外販実績を実質数量の起点として、将来の増減を外販数量のシナリオで示す。
リスクと懸念
寝具数量と住宅市場の低迷
寝具は毎日使うが、購入は繰り延べられる。米国のマットレス生産は2021年約2470万枚から2025年約1590万枚へ減り、2026年春も需要は弱かった。金利が高いまま住宅の住み替えが鈍れば、メーカーの生産設備と小売店舗の両方で稼働率が下がる。市場が人口どおりに伸びると想定するのは危険だ。
買収の希薄化と統合費用
マットレス・ファーム取得後、2026年にはレゲットも株式交換で加わった。元株主の持ち分は旧レゲット株主への約9%の交付で薄まった。相乗効果の目標は年0.75億ドルだが、現実のGAAP利益には取得資産の償却、統合費用、店舗更新費用が残る。調整後利益だけを見ると買収の投下資本を過小評価する。
部材の外販先が競合へ逃げる
レゲットのばねやフォームはサータ・シモンズなど競合の製品にも入る。ソムニグループが仕入れ先を買ったことで、外部メーカーは製品仕様や販売情報の流出を恐れるかもしれない。外販の数量が下がれば、レゲットの工場は固定費を回収できなくなり、調達の節約で得た利益を打ち消す。
リースと借り換え金利
添付factsで2025年の純負債は約65億ドルで、約20億ドルの賃借契約債務も含まれる。店舗賃料は不況でも減りにくい。2026年半ばの会社の財務レバレッジは約3倍で、買収後は約2.8倍へ下がったとされるが、調整後EBITDA基準である。10年以内の借り換えを5.75%前後で考え、利益には金利負担増を織り込む。
通販・AIによる価格比較
マットレスの触感は店頭で確かめられても、購入場所は必ずしも同じ店ではない。アマゾンや直販ブランドが比較を簡単にし、AIエージェントが消費者に最安値を示すようになれば、店舗は商品の体験だけを無償で提供する場になるおそれがある。AIが事業そのものを自動化する型ではないが、流通の価格決定力を弱める。
商品・工場の採算と減損
高密度フォームの原料、鋼線、輸送費、関税と賃金が上がる一方、顧客が値上げを拒めば利益率は下がる。レゲットは寝具以外に自動車や家具の循環事業も抱える。買収で計上したのれんとブランド資産は約束された換金価値ではなく、販売数量や利益率が長く低迷すれば減損となる。過去の高いROEは床の証拠にならない。
今後の分かれ目
- 米国の年産マットレスが1800万枚を超え、業界の回復が数四半期続いたら
- 北米メーカーと小売の実質数量の回復が確認できる。楽観側に寄せるが、値上げと実物数量を分けて評価する。
- マットレス・ファームの自社ブランド比率が6割台半ばで定着し、他社品の取扱いと客数も維持されたら
- 製造と小売の二重の利益が本当に増えた証拠となる。店舗利益率が7〜8%へ近づくかを確かめる。
- レゲットの外販売上が2025年換算の約37.7億ドルを下回り続けたら
- 垂直統合で競合顧客が逃げた可能性を疑う。部材利益率と相乗効果の見通しを引き下げ、悲観の重みを増やす。
- 買収の相乗効果が年0.75億ドルに達し、GAAP営業利益にも反映されたら
- 調整後指標ではなく償却込みの改善を確認できる。中立の利益率を上げる余地が生まれる。
- 純負債/調整後EBITDAが2.5倍程度まで低下し、借り換え後もGAAP利益が伸びたら
- 債務負担を減らした実績として正味還元を厚くできる。自社株買いだけでなく新株交付と株式報酬も控除する。
- 店舗の来店件数が落ち、価格だけで売上を保ちつつ小売営業利益率が4%を割ったら
- 固定の賃料と人件費が利益を食い、競争力が薄れる兆候だ。やや悲観の事業構造へ近づいたと判断する。
見ておくもの
- 米国のマットレス生産・出荷枚数(ISPA等、輸入品との違いに注意)
- マットレス・ファームの店当たり売上、実質取引量、販売店舗数と自社ブランド比率
- テンピュール・シーリー北米の外部卸売と直販の数量・利益率
- 海外のドリームズ店舗数と地場市場での実質占有率
- レゲットの外部顧客向け売上と寝具・自動車・家具別の採算
- 買収の年0.75億ドルの相乗効果のGAAP利益への反映と取得資産の償却
- 純負債/調整後EBITDAと賃借料、借り換え利率、正味の配当・買戻し
- 2026年11月9日発表予定の第3四半期決算と買収後の新しい連結セグメント開示
倍率と資本コストの決め方
添付factsの2025年売上約74.8億ドルと純利益3.8億ドルを起点とし、2026年8月に成立したレゲット買収を将来の部材セグメントへ別建てで加えた。2025年のレゲット売上は現在の連結額に混ぜない。米国市場の実物数量、店当たり売上、海外市場の実質規模と占有率、部材の外販売上を切り分け、物価年3.5%を価格だけへ入れた。利益にはリースの固定費、GAAPの償却、借り換え金利を含めた。倍率はk9.0%、moat普通、10年後の利益に対するROEと市場・シェア・価格からのgで算出し、今のPERや過去の谷には依らない。添付株数20920万株は2026年8月の約2040万株交付を反映していない模様で、2026年10月23日の実際の時価総額約148.9億ドルと約10%ずれる。計算の比較に用いる基準時価総額は添付基準を保持したため、割高の判定は控えめに出る。米国ASC842の賃借料は既にBSに両建てされており、二重に負債控除していない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に事業の質の加減+1.0%を加え、k=9.0%。βと市場倍率は使わない。景気の山・借金・ブランド・耐久的な需要だけで評価し、買収の実行失敗など個別の不確実性は確率と採算の筋書きで示す。存続危機の追加金利は課さない。同じ住関連領域ではホーム・デポ8.8%、ロウズ9.0%の物差しと比べる。SGIは住宅改修ほど安定せず部材の循環が大きいが、高級寝具の値付け力を認め、ロウズ並みの9.0%にした。