結論
ゲームストップは、ゲーム機とソフトを売る店から、トレーディングカードや収集品を扱う専門店へ姿を変えつつある。筆者の結論は割高だ。現金と投資有価証券が厚いのは事実だが、上場株主がその額を受け取れるか、そして新しい商売が10年続くかには大きな隔たりがある。
2025年度の売上は36.3億ドル、営業利益は2.9億ドルである。2026年5~7月期には収集品が四半期売上の45.1%に達し、営業利益率も改善した。ただし同じ四半期にゲーム本体と中古品の売上は減った。2028年からソニーの新作ゲームがダウンロード版に移ることは、かつての主力にとって長期的な逆風だ。店舗を減らしながらカード需要を取り込む力はあるが、利益率の高さが続くとはまだ言えない。
より難しいのは資本の使い方である。2026年にはイーベイ株式を約9.8%取得し、同社全体への非拘束的な買収提案は拒絶された。転換社債の株式交換による希薄化も起きた。財産を持つ小売業から、投資の当たり外れで純資産が動く会社に変わったと見るべきだ。
10年後の中立では、収集品の売上が増えても旧来のゲーム販売の縮小が相殺し、営業利益は4.66億ドルにとどまる。余剰資産を事業利益から分けて評価すると、10年後の時価総額は約82億ドルとなる。各筋書きと正味の還元を資本コスト10.0%で現在価値に直した約34億ドルは、添付の基準時価総額約111億ドルを大幅に下回る。思惑で上がる株価と、長く保有して回収できる価値は分けて考えたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、10年後にも必要とされる商品と、10年後には消える商品をまず分ける。人はゲームを続けるだろう。しかしゲームをすることと、ディスクやゲーム機を特定の店で買うことは別の話だ。会社の古い商売の収益基盤には先細りがある。収集品は現物の所有と真贋確認という別の需要に支えられるが、流行する作品やカードの相場を10年先まで言い当てることはできない。
次にオーナー利益を見る。店を閉めて家賃や人件費を減らした効果は、利益にも現金収支にも表れている。だから小売を即座に無価値とはしない。一方、純利益には運用利息や保有株の値動きが混ざる。余った資産まで小売の倍率で値付けすれば、同じ財産を二度数える。保有資産は帳簿の額を把握したうえで、株主のもとに返るかを別に判断する。
ここに最大の疑問がある。現金があることと、その現金を合理的に使うことは同義ではない。拒絶された大型買収提案、株式の大量発行、実行前の自社株買い枠は、経営が大きな選択肢を持つことを示すが、株主に分配してきた実績とは違う。カード事業への投資が資本コストを超えるなら伸ばしてよい。しかし他社株への集中投資や大型買収に再び向かうなら、少数株主にとっての安全域は薄まる。
中立の10年後ですら資本を十分に回収できる価格とは言い難い。保有株の売却と還元が継続的に確認され、カード取引の利益が景気と流行をまたいで残るまで、確かな堀を持つ企業と同じ値段は払えない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの入口は、収集品、ゲーム機と周辺機器、ゲームソフトの三つに分かれる。2025年度の収集品売上は10.6億ドルで、ポケモンなどのカード、フィギュア、玩具、衣料に加え、鑑定会社へのカード提出の取次料を含む。実物を持ち込み、買い取り、再販売する店舗は、画面の中だけでは済まない顧客接点になる。米国の店舗網は2026年1月末に1,598店あり、通販も併用する。
ゲーム機と周辺機器は2025年度に18.4億ドルを売った。任天堂、ソニー、マイクロソフトの機械やコントローラーなどが中心で、メーカーの発売周期に売上が左右される。ゲームソフトは7.3億ドルで、パッケージ、中古品、デジタルのコード類を含む。ただしメーカー自身のダウンロード販売が増えると、店頭で商品を渡す役割は薄れる。
2026年5~7月期から会社の販売区分は「収集品」「ゲーム」「中古・再生品」に変更された。同四半期の売上は順に3.56億、2.63億、1.71億ドルで、2025年度の旧区分とはそのまま比較できない。投下資本の少ない買い取り・鑑定取次は有望だが、商品の数量や平均単価、品目別の営業利益は開示されていない。数量と単価の欄は販売金額と現実的な単価帯から逆算した推定であり、会社の販売点数の発表ではない。
本来の報告セグメントは地域別である。2025年度は米国26.7億ドル、豪州4.9億ドル、欧州4.3億ドルなどを売ったが、カナダ事業は売却済みで、2026年7月には最後の欧州事業だったフランスも売却した。今後は米国と豪州が中心となる。店舗と倉庫の賃料は、売上が落ちても一定期間残る費用である。
金融資産は小売の売上とは別の財布だ。2026年8月時点のイーベイ株式は約49億ドル、現預金と市場性証券は約51億ドルで、転換社債などの負債と対になる。株式の値上がり益は商品を売って得た営業利益ではない。将来の買収先の売上や相乗効果も、合意が成立していない段階ではここに加えていない。
優良さと弱いところ
堀、つまり客が簡単には離れない力は狭く、場所によって濃さが違う。実物カードの査定、持ち込み、買い取りと鑑定への取次を一カ所で済ませられることには利便性がある。大量の店舗を一度に用意できない小さな競合には参入障壁だ。一方、カードの値段は公開相場で決まり、イーベイ、TCGplayer、ファナティクス、地域店でも売買できる。値上げ後も客が残ったという長期の実績は確認できない。
より弱いのはゲーム本体とソフトである。任天堂、ソニー、マイクロソフトが流通と価格を握り、アマゾン、ウォルマート、ベスト・バイも同じ新品を売る。顧客が店を乗り換える費用はほぼゼロだ。中古の買い取り網には局所的な強みがあるが、デジタル専用ゲームには仕入れる中古品自体が生まれない。
資本効率は見かけの数字をうのみにできない。2025年度のROEは7.7%まで戻ったが、過去10年の中央値はマイナス11.6%である。店舗閉鎖による費用削減と収集品への転換には成果があるものの、それ以前の大きな損失を無かったことにはできない。2026年上期の純利益にはイーベイ関連の評価益とデリバティブ利益が含まれるため、経常的な稼ぎと分けて見る。
AIエージェント代替の指定対象である人月商売、席課金ソフト、画面操作の販売事業には該当しない。ただしAIによる価格比較と購入代行は、顧客が店へ向かう理由を弱めうる。したがって事業全体の堀は弱いと判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム市場の総額が大きくても、ゲームストップの取り分が大きいとは限らない。業界団体とサーカナによると、2025年の米国ゲーム消費は約608億ドルだが、大部分はモバイルやダウンロードなどのコンテンツである。ゲーム機は約54億ドル、周辺機器は約29億ドルにすぎない。世界のゲーム売上が増えても、それが店頭の販売点数に直結するとは考えない。
実物ソフトへの逆風は具体的になった。ソニーは2026年7月、2028年1月以降の新作ゲームのディスク生産を終えると発表した。既発売品の中古市場は残るが、新作から中古在庫が生まれる経路が一つ細る。任天堂製品や旧世代機は例外になり得るとしても、ゲームストップのソフト販売が市場全体並みに育つとみる根拠にはならない。
反対に、米国のトレーディングカード市場は2025年に約59億ドルとの調査推計がある。ただしゲームストップの収集品10.6億ドルには海外売上やカード以外も入るので、これを割って市場占有率とは呼べない。米国売上の比率とカード比率を仮置きすると、米国カード小売での取り分はおおむね一桁台後半という粗い推計になる。イーベイ、TCGplayer、ファナティクス、ワットノット、地域専門店の同一分母でのシェアは非開示で、序列を数字で断定できない。
カード鑑定では2025年の取扱枚数でPSAが約72%、CGCが約18%を占めた。これは鑑定会社のシェアであり、ゲームストップの販売シェアではない。PSAの2026年10月の処理待ちはなお720万枚で、市場の熱さと供給制約を同時に示す。中立のカード数量は市場の実質拡大と店舗での獲得率上昇を合わせて増やすが、ブームの永続は前提にしない。価格は物価3.5%よりやや弱く、中古や鑑定の競争が利益率を抑える。
業界ノートの「専門小売は客数と客単価で決まる」という骨格は使える。ただし住関連商品のように繰り返し買う必需品ではない。ゲームのディスク廃止とカード価格の流行は、ベスト・バイ以上に10年後の品ぞろえを変える。
資本政策と M&A
資本配分には功罪の両方がある。過去には配当と自社株買いを行ったが、2019年以降は配当を停止した。2024~25年度には株式の発行で多額の現金を集め、店舗を閉じ、負債を組み替えた。2026年8月の四半期資料には最大20億ドルの自社株買い枠があるが、その時点で実行はゼロだった。株主還元の額や時期を約束する長期目標はない。
2026年度の会社見通しは調整後EBITDAが6.5億ドル超で、6月の6.0億ドル超から引き上げた。ただし調整後の指標をそのままGAAP純利益とは扱わない。実物店舗の売上数量、営業利益、増分の投下資本利益率について10年の数字の約束はない。
最大の賭けはイーベイである。約49億ドルの株式を保有する一方、同社全体を買う非拘束的提案は2026年5月に拒絶された。買収を成立済みとみなさず、相手の利益は合算しない。再提案に巨額の借り入れや新株が伴えば、株主は小売の改善以上に財務と統合のリスクを負う。
2026年9月には約14億ドルの転換社債を整理する取引で約5,550万株を発行し、現金も支払った。9月3日時点の発行済株式は約5億450万株で、添付の評価基準にある4億4,880万株より多い。将来の株数を重ねて掛け引きすることはしないが、希薄化は資本配分の判断材料である。取締役会が買い戻しと買収のどちらを優先するかが、余剰資産を持つ株主の実際の取り分を左右する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
店舗網は消えゆくゲームディスクを売るためだけの資産ではない。カードを持ち込み、その場で買い取り、真贋の確認を依頼し、次の商品を選ぶための拠点になる。会社は2025年度に収集品を前年より伸ばし、2026年5~7月期には四半期売上の45%を収集品から得た。収集品の粗利益率が高いため、ゲーム機の売上減にもかかわらず営業利益は改善した。これは単なる株式市場の人気ではなく、商品構成が変わった結果である。
収集品の販売点数が増えれば、既存の店舗で追加の在庫を回せる。閉鎖した店舗の固定費も戻ってこない。PSAへの鑑定取次は、持ち込みと引き渡しを伴うので、インターネット専業より便利な顧客がいる。カードは中古ゲームと違い、新しい作品が生まれるたびに現物の所有需要が再び立ち上がる。任天堂の実物ソフトも一定期間残り、機械の更新周期による売上を下支えする。
金融面では、巨額の現預金とイーベイ株式の価値を小さく見すぎるべきではない。イーベイ株式は売却できる金融資産で、投資先の配当も得られる。自社株買いの20億ドル枠が実行されれば、滞留している資産が株主へ戻る道が開く。イーベイとの取引が将来協業に発展すれば、ゲームストップの店舗をカードの鑑定と集荷に利用する構想にも経済性が生まれる。ただし拒絶された買収の成立やイーベイ全社の利益を、既に実現した利益としては数えない。
強い場合には収集品の販売点数が2025年の2倍以上となり、全社の営業利益は10億ドル近くまで育つ。保有資産の毀損も防ぎ、還元が戻るなら、いまの事業を純粋なゲーム小売として見る評価は低すぎる。
慎重な見方
収集品の好調は本物でも、永続する独占力とは違う。カードの相場は日々表示され、売り手はイーベイ、TCGplayer、ファナティクス、地域のカード店を簡単に比較できる。仕入れで人気カードを確保できても、それが10年後まで続く価格決定力になるとは限らない。PSAが鑑定を担っている以上、ゲームストップ自体が鑑定の標準を独占するわけでもない。
主力だった実物ゲームの衰退は、景気循環ではなく流通経路そのものの喪失だ。ソニーが2028年から新作ディスクの生産を終了する方針を公表し、利用者の支出はメーカーのオンラインストアやサブスクリプションへ向かう。中古は新作の現物が世に出て初めて生まれる。ゲーム機とソフトの売上が減れば、同じ場所にあるカード売場へ来る客も減りかねない。アマゾンやウォルマートもカードを扱い、競争に勝つための値下げは利益を直接削る。
2026年上期の利益を何倍にもして10年後へ伸ばすのも危うい。利益には保有株の評価益やデリバティブ益があり、カードの人気も急伸した時期に重なる。金融資産の中身がイーベイ一社へ集中し、相場が下がれば自己資本も傷む。現金の多さは倒産の危険を減らすが、投資判断の失敗まで帳消しにはしない。
少数株主の立場では、資産を配る代わりに買収と株式交換を重ねる経営にも注意が要る。2026年には転換社債の交換で発行済株式が大きく増えた。実物小売の商売が傾いても、保有資産が残る限り会社は存続し得る。しかしそれだけでは、現在の時価総額を株主が10年で回収できるとは言えない。
どちらに重みを置いたか
収集品の立ち上がりは明らかな改善であり、会社が直ちに苦境に陥る見方は採らない。ただし新しい販売経路の優位性には長期の証拠が乏しく、実物ソフトの縮小と集中投資の危険は具体的である。そのため楽観とやや楽観は合計26%、やや悲観と悲観は44%に寄せた。保有資産を小売利益から分離し、株主に戻る比率も慎重に見れば、10年後の中立値に現在の評価を支える余裕はなく、総合は約69%の割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 18.22 ドル82 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 0.68 ドル3 億ドル)。 今の値に割り戻すと 7.44 ドル33 億ドル、今との差 −69.3%、 期待の年率 −2.5%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 35.67 ドル160 億ドル | 3.57 ドル16 億ドル | +61.9% | +5.2% | 3.14 ドル14 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 27.48 ドル123 億ドル | 2.01 ドル9 億ドル | +21.7% | +2.1% | 5.31 ドル24 億ドル |
| 中立 | 30% | 18.28 ドル82 億ドル | 0.67 ドル3 億ドル | −21.8% | −2.5% | 5.69 ドル26 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 12.42 ドル56 億ドル | −0.33 ドル−2 億ドル | −50.1% | −6.6% | 3.14 ドル14 億ドル |
| 悲観 | 18% | 9.45 ドル42 億ドル | −0.45 ドル−2 億ドル | −62.8% | −9.2% | 1.62 ドル7 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 18.22 ドル82 億ドル | 0.68 ドル3 億ドル | −22.0% | −2.5% | 18.90 ドル85 億ドル |
今の株価時価総額 24.23 ドル109 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:カードの拠点網が育ち、保有資産も守られる 利益 10 億ドル · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 35.67 ドル160 億ドル
カードと収集品の実質市場が大きくなり、会社も専門店とネット販売から取り分を奪う。販売点数は8,300万点に増え、平均単価も物価に近い41.5ドルとなる。収集品の売上は34.4億ドル、営業利益率は30%に達する。PSAへの取次だけに依存せず、買い取りと再販売の在庫回転が速くなり、同じ店舗面積から多くの粗利益を生む。
ソニーのディスク廃止で実物ソフトは減るが、任天堂の機械や付属品の購入は続き、ゲーム機部門は17.5億ドルを維持する。アマゾンやベスト・バイとの価格競争があるため、機械の利益率はなお低い。収集品の上振れが全社を引っ張り、営業利益9.71億ドル、純利益10.0億ドルとなる。イーベイ全社の利益は足していない。
10年のGAAP純利益累計は85億ドルを想定する。初期の余剰40億ドルに利益を加え、正味の還元16億ドルと成長投資9億ドルを引くと期末の余剰金融資産は100億ドル、自己資本は123.4億ドルとなる。実現しない大型買収に資金を使わず、買い戻しを進めることで株主にも価値が戻る。
- 収集品・トレーディングカード:数量 83.0(推定販売点数(百万点。カード・玩具・取次件数を同じ販売行数で表す))× 価格 42(推定平均販売単価(ドル/点。取次手数料を含む混合単価))→ 売上 34 億ドル・営業利益 10 億ドル。収集品の点数は約2.37倍。市場実質拡大と店舗シェア上昇、単価は約1.37倍。
- ゲーム機・周辺機器:数量 7.0(推定販売点数(百万点。ゲーム機と周辺機器の混合))× 価格 250(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 18 億ドル・営業利益 1 億ドル。メーカー新製品の周期を取り込み、点数は7割を維持。
- ゲームソフト・デジタルコード:数量 4.7(推定販売点数(百万点。ゲームソフトとコードの販売行数))× 価格 54(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。ディスク廃止でも任天堂と旧作の取引を残す。
倍率:k10.0%、10年目以降のg4.0%(カード市場の実質数量成長約1.0%、シェア小幅上昇と販売単価上昇を合わせ、旧ゲーム事業の縮小分を控除)。余剰現金控除後の事業利益8.60億ドル÷事業に要る自己資本23.4億ドルで事業ROE36.8%。moat弱で残存割合1/3、RONIC18.9%、(1−g/RONIC)/(k−g)×(1+g)の正当化PER上限13.67倍。高い収集品の成長が定着するが流行の振れを考え上限の93.6%で12.8倍。時価総額=(10.0−100×0.014)×12.8+100×0.5=160.08億ドル。
確率:カードの販売点数が2倍を超え、取次と買い取りの利益率が長期維持される強い成功例である。需要の流行と競争を考え8%に絞り、拒絶済みのイーベイ買収成立は前提としない。
やや楽観 18% やや楽観:カード販売の成長と店舗の選別が続く 利益 8 億ドル · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 27.48 ドル123 億ドル
カード・収集品の販売点数は6,900万点となり、単価は42ドルに近づく。カード鑑定への持ち込みと買い取りを増やし、地域の専門店から一定の顧客を奪う。米国カード市場の実質成長とシェア拡大が重なり、収集品の売上は約29億ドルに増える。ただしイーベイやTCGplayerとの価格比較が進み、営業利益率は27%で止まる。
新しいゲーム機が発売される年は売上が増えるものの、ソフトをダウンロードで買う人が主流になり、ゲームの点数は減る。任天堂の実物ソフトと中古の買い取り網が一部を補うため、全社売上は約47.5億ドルで下支えされる。営業利益7.34億ドル、純利益7.9億ドルへ育つが、10年後にもゲーム販売そのものに強い値決め力はない。
イーベイ株の保有を金融資産として続けつつ、買収提案の成立を利益へ先取りしない。10年間の純利益累計65億ドルから正味の還元9億ドル、店舗と在庫の増分投資6億ドルを差し引き、期末余剰90億ドル、自己資本110.4億ドルとなる。
- 収集品・トレーディングカード:数量 69.0(推定販売点数(百万点。カード・玩具・取次件数を同じ販売行数で表す))× 価格 42(推定平均販売単価(ドル/点。取次手数料を含む混合単価))→ 売上 29 億ドル・営業利益 8 億ドル。点数約1.97倍、単価約1.39倍。カード市場での販売シェアを高める。
- ゲーム機・周辺機器:数量 6.4(推定販売点数(百万点。ゲーム機と周辺機器の混合))× 価格 252(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 16 億ドル・営業利益 1 億ドル。新型機の周期を取り込むが量販店の値引きで利益率は低い。
- ゲームソフト・デジタルコード:数量 4.4(推定販売点数(百万点。ゲームソフトとコードの販売行数))× 価格 54(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。実物ソフト減少を中古・旧作とデジタルコードが一部補う。
倍率:k10.0%、g3.5%。2036年以降のカード市場の実質伸びと物価3.5%の転嫁から旧ゲームの縮小分を控除した値。余剰資産を引いた事業純利益6.64億ドル÷事業自己資本20.4億ドルで事業ROE32.5%、moat弱の残存1/3からRONIC17.5%。正当化PER上限12.74倍の92.6%で11.8倍を採用。時価総額=(7.9−90×0.014)×11.8+90×0.5=123.352億ドル。
確率:カードの実質需要と販売シェアの伸びは確認し始められたが、競合による単価の圧迫を考えると最良の状態は続きにくい。18%は収集品の成長を評価した配分である。
中立 30% 中立:収集品が旧ゲームの縮小をようやく補う 利益 6 億ドル · PER 9.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 18.28 ドル82 億ドル
収集品は成長するが、ブーム初期の勢いが10年続くとは考えない。市場の実質需要が約25%増え、ゲームストップの販売シェアも約30%拡大すると、販売点数は3,500万点から5,700万点になる。単価は40ドルまで上がるが、10年間の物価上昇である約1.41倍には届かない。カードの相場を見ながら値引きする必要があるためだ。
ソニーの新作ディスク生産終了とメーカー直販により、ゲームソフトの点数は2025年度の約2割へ減る。ハードと付属品もアマゾン、ベスト・バイ、ウォルマートとの競争で販売点数を失う。それでもカードの売上増と店舗閉鎖後の低い固定費が下支えし、全社の売上は約39.1億ドル、営業利益は4.66億ドル、純利益は5.5億ドルとなる。
金融資産は運用し続けるが、イーベイ一社の評価益を毎年得るという前提にはしない。10年のGAAP純利益累計49億ドルから正味の還元3億ドルと必要な増分投資6億ドルを引き、余剰金融資産80億ドルが残る。自己資本100.4億ドルに対するROEは約5.5%で、収集品の増分投資が極めて高い利回りで回る会社にはなっていない。
- 収集品・トレーディングカード:数量 57.0(推定販売点数(百万点。カード・玩具・取次件数を同じ販売行数で表す))× 価格 40(推定平均販売単価(ドル/点。取次手数料を含む混合単価))→ 売上 23 億ドル・営業利益 5 億ドル。実質市場1.25倍×シェア1.30倍で点数1.63倍。単価は競争で物価以下。
- ゲーム機・周辺機器:数量 5.8(推定販売点数(百万点。ゲーム機と周辺機器の混合))× 価格 245(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 14 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場の実質数量ほぼ横ばい、同社シェアは約4割縮小。単価は約1.33倍。
- ゲームソフト・デジタルコード:数量 4.0(推定販売点数(百万点。ゲームソフトとコードの販売行数))× 価格 52(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。実物市場と同社シェアがともに縮小し、点数は約2割に。
倍率:k10.0%、g3.0%。カード市場の10年目以降の実質数量が約0.5~1%増え、単価が物価3.5%へおおむね追随する一方、旧ゲームのシェア減を差し引いた全社成長率。余剰金融資産を除いた事業利益は5.5−80×0.014=4.38億ドル、必要な事業自己資本は100.4−80=20.4億ドルなので事業ROE21.5%。moat弱でRONIC13.82%、正当化PER上限11.52倍の83.3%となる9.6倍。時価総額=(5.5−80×0.014)×9.6+80×0.5=82.048億ドル。
確率:カード需要の立ち上がりと利益率改善は実績として認める一方、伸び続ける強い堀は確認できない。旧来の販売数量の減りも織り込める中間の筋書きとして30%とする。
やや悲観 26% やや悲観:カードの競争激化で旧主力の減少を補えない 利益 3 億ドル · PER 8.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 12.42 ドル56 億ドル
カードの需要そのものは残るが、ゲームストップの仕入れ条件と集客力が弱まる。収集品の販売点数は4,000万点にとどまり、単価も37ドルしか通らない。イーベイ、TCGplayer、ファナティクス、ワットノット、地域専門店に客が分かれ、収集品の営業利益率は18%まで下がる。利益は保てても、高い価格で次の商品を仕入れる再投資は報われにくい。
ゲーム機と付属品の販売点数は4,800万ではなく480万点へ縮み、ソフトの取扱点数も280万点に減る。メーカー直販とオンライン通販の勢いが上回り、規模による仕入れの利点が失われる。総売上は約26.7億ドル、営業利益は1.83億ドルにとどまる。資産運用による経常的な受取収益で純利益は3.22億ドルを保つが、商売の競争力は弱い。
保有するイーベイ株は売却せず、経営陣は買い戻しもほとんど進めない。株式報酬と少額の新株発行が還元を上回り、10年間の正味還元はマイナス1.5億ドルとなる。純利益累計36億ドル、増分投資2.5億ドルを経て期末余剰75億ドル、自己資本91.9億ドルとなる。
- 収集品・トレーディングカード:数量 40.0(推定販売点数(百万点。カード・玩具・取次件数を同じ販売行数で表す))× 価格 37(推定平均販売単価(ドル/点。取次手数料を含む混合単価))→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。実質市場の成長を競合へのシェア流出が相殺し、値段は物価に負ける。
- ゲーム機・周辺機器:数量 4.8(推定販売点数(百万点。ゲーム機と周辺機器の混合))× 価格 220(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 11 億ドル・営業利益 0 億ドル。販売点数は約半分、値引き負担で営業利益率1%。
- ゲームソフト・デジタルコード:数量 2.8(推定販売点数(百万点。ゲームソフトとコードの販売行数))× 価格 48(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。新作ディスクの消失で旧作と中古の棚維持費が重い。
倍率:k10.0%、g2.0%。カード数量は2036年以降横ばい、客単価は物価を下回り、ゲームの流失を引くと全社成長は名目2%にとどまる。事業利益3.22−75×0.014=2.17億ドル÷事業自己資本16.9億ドルでROE12.8%、moat弱からRONIC10.95%。式の正当化PER上限10.42倍より低い8.4倍。中立より利益の持続性が弱い。時価総額=(3.22−75×0.014)×8.4+75×0.5=55.728億ドル。
確率:品ぞろえは変わっても、イーベイや専門店による価格競争とディスク廃止は避けにくい。店舗の閉鎖が客離れを招く場合も考え、中立よりわずかに低い26%とする。
悲観 18% 悲観:カードの流行が終わり、事業価値は換金資産の床へ 利益 1 億ドル · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 9.45 ドル42 億ドル
トレーディングカードの流行が去り、取引の中心はイーベイや専門の仲介業者へ移る。ゲームストップの収集品販売点数は2,700万点へ減り、平均単価も32ドルにしかならない。人気商品の仕入れ競争で粗利が減り、収集品の営業利益率は12%まで縮む。ゲーム機は販売点数300万点、ソフトは150万点となり、販売価格も物価ほど上がらない。
ソニーの新作ディスク廃止に加え、任天堂でもデジタル販売が強まり、店頭に置く中古品が細る。固定の賃料と撤退費用は残り、売上は約15.3億ドル、営業利益は約0.14億ドルに落ちる。投資収益で純利益が約1.36億ドル残っても、店の商売に資本を追加する理由は乏しい。イーベイ株の評価損と不採算店舗の閉鎖費用が2027~31年に集中し、2026年の一時利益を相殺するため、10年間のGAAP純利益累計はマイナス2億ドルとする。
買い戻しはできず、株式報酬の正味負担が2億ドルとなるので自己資本は54.4億ドルのまま、余剰金融資産は40億ドルを維持する。店舗の棚卸資産などは売却値引きと残存リースの清算負担を差し引くと税後で約2.0億ドルしか残らず、金融資産と合わせた清算価値約42.0億ドルが床だ。株価はゼロにはならないが、収集品の期待で高い値段を払った株主は長い間資金を回収できない。
- 収集品・トレーディングカード:数量 27.0(推定販売点数(百万点。カード・玩具・取次件数を同じ販売行数で表す))× 価格 32(推定平均販売単価(ドル/点。取次手数料を含む混合単価))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。流行の反動と店舗のシェア喪失で点数が基準年の77%に減少。
- ゲーム機・周辺機器:数量 3.0(推定販売点数(百万点。ゲーム機と周辺機器の混合))× 価格 200(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 6 億ドル・営業利益 0 億ドル。メーカー直販の浸透で販売点数は3割、店舗維持で赤字。
- ゲームソフト・デジタルコード:数量 1.5(推定販売点数(百万点。ゲームソフトとコードの販売行数))× 価格 43(推定平均販売単価(ドル/点))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。新作ディスクがほぼ消え、旧作棚の維持に費用がかかる。
倍率:事業ROEは資本コスト10%を下回り、通常の利益倍率より資産の換金価値が支配する。過去の谷のPBRは使わず、FY2025の自己資本54.4億ドルを基準とし、金融資産40.0億ドルと売却できる純事業資産約2.0億ドルの税後回収可能性を踏まえてPBR0.78倍とした。時価総額54.4×0.78=42.432億ドルは清算の床42.0億ドルを下回らず、中立のPBR約0.82倍より低い。10年での純利益累計マイナス2億ドルとSBC等の正味還元マイナス2億ドルにより、期末自己資本も54.4億ドルとなる。
確率:10年でカード価格が崩れ、実物ゲーム販売も構造的に失う深い失敗例である。ただし純金融資産が厚く、すぐに倒産する会社ではないため、床を残した18%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
収集品・トレーディングカード
カード、収集玩具、フィギュア、関連衣料とPSAへのカード鑑定取次。2026年に最大の販売分類へ成長した。
| 数量推定販売点数(百万点。カード・玩具・取次件数を同じ販売行数で表す) | 価格推定平均販売単価(ドル/点。取次手数料を含む混合単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 35.0 | 30 | 11 | 3 |
| 10 年後 中立 | 57.0 | 40 | 23 | 5 |
取り方:2025年度10-KのCollectibles売上10.602億ドルを正とする。販売点数・単価の開示はないので、カード・玩具・サービスを混ぜた単価約30ドル、年間約3,500万点という仮説を使い、販売点数×単価×0.01で再現した。米国のカード市場59億ドルはGrand View Researchの2025年推計(https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/us-trading-cards-market-report)。米国売上比73.5%、この分類のカード比率50~70%を仮定すると米国カード売上3.9~5.5億ドル、市場の7~9%程度だが未開示の推定であり、海外・中古流通の定義差がある。営業利益2.65億ドルは高い粗利益と店舗費用の配賦からの推定で、開示された品目別利益ではない。
ゲーム機・周辺機器
新品・中古のゲーム機、コントローラー、ヘッドセットなど。2025年の旧会計分類であり、2026年からは新品と中古が別区分。
| 数量推定販売点数(百万点。ゲーム機と周辺機器の混合) | 価格推定平均販売単価(ドル/点) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.0 | 184 | 18 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5.8 | 245 | 14 | 0 |
取り方:2025年度10-KのHardware and accessories売上18.404億ドルを正とする。台数は未開示なので、ゲーム機と安価な周辺品の混合単価184ドルから約1,000万点を推定した。米国ゲーム機市場は2025年54億ドル、周辺機器29億ドル(ESA/Circana、https://www.theesa.com/2025-u-s-consumer-spending-on-video-games-nears-pandemic-level-peak-at-60-7-billion-second-highest-on-record/)。会社の18.4億ドルは海外・中古を含むのでその83億ドルで直接割らない。米国の新品相当を8~10億ドルと仮定すれば約10~12%だが非開示の幅である。営業利益0.70億ドルは新品機器の薄い粗利を反映した推定配賦。
ゲームソフト・デジタルコード
新品・中古のゲームソフト、ダウンロードコード、ゲーム内通貨。新品ディスクの衰退を強く受ける。
| 数量推定販売点数(百万点。ゲームソフトとコードの販売行数) | 価格推定平均販売単価(ドル/点) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18.0 | 41 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 52 | 2 | 0 |
取り方:2025年度10-KのSoftware売上7.293億ドルを正とする。数量と単価は非開示なので、旧作・中古と新品とコードを混ぜた平均40.5ドル、約1,800万点と推計した。2025年米国ゲームコンテンツ市場524億ドルの大半はモバイル・オンラインで、ゲームストップの実物ソフトとの同一分母でのシェアは出せない。競争相手はソニー、任天堂、マイクロソフトの直販とSteam、量販店で、各社の店頭物理ソフト占有率は非開示。営業利益0.30億ドルは店舗費用を割り振った推定値。
リスクと懸念
新作ディスクの消滅
ソニーは2028年1月から新作ゲームのディスク生産を終える方針を公表した。旧作の中古取引は続くが、将来の中古品を生む経路が細り、店頭の来客数も減りうる。任天堂の実物ソフトが残る場合でも、ソフト販売の回復を業界全体の成長から推定するのは危険だ。
カード価格と需要の反転
2026年に収集品の売上構成比は急上昇したが、人気カードの相場や購買回数は安定した生活必需品とは違う。流行が終わると高値仕入れの在庫評価損と値引きが同時に起きる。利益率の高い売上への依存が増えた分、反転したときの営業利益の落ち込みは大きくなり得る。
eBay株への集中と巨額買収
2026年8月時点で約49億ドルのイーベイ株を持ち、会社全体への買収案は先方に拒絶されている。投資先株価の下落は小売の営業利益と無関係に純資産を傷つける。再提案に資金を使えば、借り入れと統合の失敗で保有資産の安全性が失われる。成立していない買収の相乗効果は評価に足していない。
株主還元の不確実性と希薄化
会社には最大20億ドルの自社株買い枠があるが、2026年8月時点では実行されていない。一方、2026年9月の転換社債交換では約5,550万株が発行された。現金を多く持つことが、従来株主への分配や合理的な投資につながる保証はない。新たな買収のための株式発行が続けば、保有する経済的な取り分は変わる。
メーカーと量販店への従属
ゲーム機の供給と価格は任天堂、ソニー、マイクロソフトが握り、アマゾン、ウォルマート、ベスト・バイと同じ商品を競う。ゲーム機の更新時には一時的に数量が増えるが、長い目で見るとメーカー直販や値引きに利益を奪われる。買い取り・再生品にもオンラインの比較相場があり、独自の値上げ余地は狭い。
固定家賃とAIによる購買経路の変化
店舗の数を減らして固定費を削ってきたものの、残る店舗のリースや物流費は来客が減ってもすぐには消えない。AIによる商品検索や購入代行がカードやゲーム機の価格を横並びにすれば、店舗への訪問を省く客も増える。これは人月・席課金ソフトへのAIエージェント代替とは異なり、実物小売の集客リスクである。
今後の分かれ目
- 収集品の四半期売上構成比が40%以上で2年以上続き、取扱数量も前年を上回ったら
- 高単価商品の一時ブームでなく、店舗でのカード販売基盤が育った可能性が高まる。やや楽観側を厚くするが、価格競争後の営業利益率と在庫回転を同時に確認する。
- カードの取扱数量が減り、収集品の粗利益率も3四半期連続で下がったら
- 価格上昇だけで売上が保たれていた疑いが強まる。収集品の10年数量と営業利益率を下げ、やや悲観・悲観の確率を引き上げる。
- 2028年以降のソニー向け実物ソフト売上が急減し、任天堂・中古でも埋められなかったら
- ソフト販売の縮小が恒久的と確認される。ゲーム機も来客減の影響を受けるため、二つの旧来部門の数量見通しを同時に下げる。
- イーベイ買収について両社が拘束力のある合意を結んだら
- 現在は拒絶済みの提案として、イーベイ全社の売上と利益を含めていない。合意時には負債・新株・買収価格・統合費用・競争法上の条件を確認し、分析全体を作り直す。
- 2029年までに最大20億ドルの自社株買い枠が実際に使われ、金融資産の一部が返還されたら
- 余剰資産が少数株主に戻る実績となる。excess_cash_returnを0.5から1.0に近づける余地が生まれるが、買い戻しの価格と同時に残余の金融資産を確かめる。
- イーベイ株式が大きく下落し、追加借入や新株発行で投資損失を補い始めたら
- 純現金が堅いという投資仮説を取り消す。保有資産の床を引き下げ、損失の累計を自己資本の道筋へ入れ、悲観の確率を増す。
見ておくもの
- 収集品の販売点数、平均売価、売上構成比、粗利益率と在庫回転
- ゲームと中古・再生品の数量、任天堂新製品発売時以外の既存店客数
- ソニーの2028年以降の新作ディスク終了が中古仕入れに及ぼす影響
- 米国のトレーディングカード市場の実質取引量、PSAの処理待ちと鑑定取次の手数料
- 米国・豪州の店舗数と解約不能な賃借料、閉鎖後の固定費
- イーベイ株の保有時価と処分・買い増し、買収提案に関する法的合意の有無
- 転換社債の残高と転換・償還、発行済株式の増加
- 最大20億ドルの自社株買い枠の実行額と正味の株主還元
- GAAP営業利益と営業キャッシュフローを、デリバティブ・株式評価損益から分離した推移
倍率と資本コストの決め方
販売数量と単価を会社の非開示項目として推定し、3つの旧製品区分の2025年度売上を添付の36.3億ドルへ一致させた。中立では収集品の実質需要とシェア増、旧ゲームの市場縮小を別に積み、資本コスト10.0%と弱い堀のRONICからPER上限11.52倍、採用9.6倍を導いた。今の株価・過去や同業のPER、βは倍率に使っていない。余剰金融資産は利益から利息相当を除いて別に足し、戻る割合は過去の還元実績から0.5とした。米国ASC842では店舗リース負債が既に計上され、家賃は営業費用のままである。なお添付の448.8百万株は2026年9月の転換社債交換前で、SECの9月3日時点504.5百万株との差は12%強である。同じ10月23日終値なら新株を含む時価総額は約125億ドルとなり、添付基準111.4億ドルからずれる。検索の直近10月27日は117.9億ドル。これは価値の倍率を調整する理由ではなく、評価時の株数を更新すべき点検事項である。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%にqualityの4要因の合計2.0%を加え、資本コストは10.0%。β、過去の株価変動、現在のPERは使っていない。多額の金融資産があり現時点で存続危機ではないためdistressの追加はゼロ。