結論
テキサス・ロードハウスは、手切りステーキと焼きたてのパン、活気ある接客を値頃な価格で提供する米国の外食企業である。筆者の結論はやや割高だ。客を増やす力は同業でも際立つが、店舗を自ら運営するため、牛肉、人件費、家賃の上昇を直接負う。今の値段には、出店と値上げによる将来の増益がかなり織り込まれている。
事業の質は高い。2025年の売上は58.8億ドル、純利益は4.1億ドルで、主力のテキサス・ロードハウスは成熟店の年間売上が約870万ドルに達する。2025年の既存店客数は2.8%増え、2026年4〜6月期も3.0%増えた。来店客が減る外食チェーンが多いなか、価格を上げても客を増やしている事実は、ブランドの強さを裏付ける。ただし2026年4〜6月期は牛肉を中心とする食材費が7.0%上がり、売上が11.1%増えたのに営業利益は2.4%減った。
10年後も、家族や友人と手頃な価格でステーキを食べる需要は残る。主力店の増設に加え、ババズ33とジャガーズが新しい成長源になる可能性もある。一方で、競争相手のロングホーン・ステーキハウスやチリーズも強く、牛肉の調達価格を自由には決められない。成熟後は出店余地が細り、売上の増加ほど利益が増えない展開も考えられる。
中立では2035年の売上が約118億ドル、純利益が8.8億ドルとなる。10年の正味還元を42億ドルと見ても、資本コスト8.0%で割り引いた確率加重の本質価値は約88.5億ドルで、基準時点の時価総額約110億ドルを約20%下回る。優良な会社であることと、優良な投資価格であることは別だ。利益の伸びが今後も続くと期待するなら、牛肉価格、客数、出店後の採算を継続して確かめる必要がある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に問うべきなのは、10年後にも客がこの店に行きたがるかどうかである。答えはおそらくイエスだ。ステーキを家で焼くことはできても、家族や友人との食事、焼きたての料理、接客、店の活気は家庭の調理だけでは代替しにくい。AIが普及してもこの需要は残る。ブランドが地域に根を下ろし、スタッフが店舗の運営技術を受け継ぐ限り、同社の価値は長く続く。
次に、その価値を守るためにいくらの投資が必要かを考える。直営店は開業時に厨房、建物、家具、駐車場へ資金を投じ、その後も改装が欠かせない。2025年の純利益4.1億ドルに対し、実際のフリーキャッシュフローは3.4億ドルだった。成長投資をすべて維持費とみなす必要はないが、純利益の全額がそのまま株主の手元に残る会社ではない。新店投資から資本コストを十分に超える利益が生まれる間は、無理な買い戻しより出店を優先する判断に価値がある。
最大の不確実性は牛肉価格だ。食材費は2025年から2026年にかけて利益率を押し下げたが、顧客にすべて転嫁すれば値頃感が失われる。経営者が守るべきなのは四半期の利益率より、客がまた来たくなる価格と体験の組み合わせである。短期的な減益を受け入れてブランドを育てるなら、長期株主にはむしろ好ましい。
最後に払う値段を考える。主力店の成熟後は、新しい都市に店舗を増やす余地が現在ほど広くないかもしれない。ババズ33とジャガーズの成功も、まだ十分に証明されていない。その不確実性を考えると、現在の時価総額には安全域が乏しい。筆者は会社を所有する魅力と、今すぐその持分を取得する魅力を分けて判断する。優れた経営文化は大切だが、それだけでどんな価格も正当化されるわけではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、米国で直営するテキサス・ロードハウスだ。店内でステーキを切り分け、注文を受けてから焼き、作りたての付け合わせを提供する。料理だけでなく、にぎやかな店内、スタッフの接客、焼きたてのパンまで含めて食事体験を売る。2025年末には同ブランドの直営店が648店、加盟店が国内外で96店あり、直営店の売上だけで全社の約93%を占めた。会社の利益は、客が払う飲食代から食材、人件費、家賃、店舗運営費、減価償却、本社費を引いた残りである。
二つ目のババズ33は、ハンバーガー、ピザ、手羽先、酒類を提供するスポーツバー型のレストランだ。2025年末の直営店は56店で、年間売上は約3.35億ドル。成熟店の年間売上は約630万ドルで、主力ブランドより小さいが、メニュー構成が異なるため、牛肉の価格変動への依存を分散できる。2025年には7店を開業し、2026年も最大10店程度を開く計画が示されている。ここが高い投資採算を保ちながら規模を増やせるかが、次の成長段階を左右する。
三つ目のジャガーズは、ハンバーガー、チキン、サラダなどを短時間で提供する業態だ。2025年末は直営10店、加盟店6店とまだ小さい。平均的な店舗の週間売上は約7.3万ドルで、主力ブランドとは違う小型の出店機会を狙う。会社が運営する店舗の売上は全額計上する一方、加盟店については飲食代そのものではなく、ロイヤルティと加盟料を計上する。この違いから、加盟店の増加は売上額への寄与が小さくても、高い限界利益を生みうる。
会社全体では2025年末に816店、2026年6月末に832店を展開した。2025年の全社売上58.8億ドルのうち、ロイヤルティと加盟料は約0.31億ドルにすぎない。マクドナルドやヤム・ブランズのような資産の軽い加盟店本部ではなく、厨房、スタッフ、建物への継続投資が必要な直営飲食事業と見るべきだ。AIエージェント代替の対象業務には該当しない。予約や発注、厨房管理にはAIを活用できても、料理と接客という本業の需要そのものを置き換えることはできない。
優良さと弱いところ
最大の堀、つまり競争相手が簡単にはまねできない強みは、味と接客の安定した体験を、比較的安い価格で提供する運営文化にある。成熟した主力店の年間売上は約870万ドルで、ロングホーン・ステーキハウスの約540万ドル、チリーズの約460万ドルを上回る。単に高い料理を売っているのではない。立地、客席の回転、接客、店舗責任者の運営能力を組み合わせ、多くの客を呼び込む仕組みが強い。
値上げの実績にも説得力がある。2024年の既存店売上は8.5%増え、そのうち4.4ポイントは客数の増加だった。2025年も客数が2.8%増え、客単価が2.1%上がった。2026年4〜6月期は客数が3.0%増え、客単価は3.2%上昇した。値上げに対する客離れが今のところ小さいことは、ブランドが物価上昇に耐える証拠だ。ただし、客が他のレストランに乗り換えるための費用はほぼなく、顧客を囲い込む独占的な仕組みはない。
資本効率も優れている。2025年のROEは27.8%で、過去10年の中央値21.1%を上回る。2025年の新店設備投資は約1.81億ドルで、年間の開業28店との単純比較では1店当たり約650万ドルになる。開業時期や投資の計上時期は一致しないが、主力店の年間売上と店舗段階利益率から見て、新店の税引き後の増分資本利回りはおおむね12〜16%を狙えると推定する。資本コスト8.0%を超える再投資先が残ることは、長期株主にとって最大の魅力だ。
弱点は、ブランドの強さが原材料価格の交渉力に直結しないことだ。2025年の食材インフレは6.1%で、全社のレストラン段階利益率は17.1%から15.5%へ下がった。2026年も牛肉高が続いた。店舗の大半を直営するため、仕入れや賃金の上昇を加盟店へ移すことはできない。強い堀は認めるが、利益率まで常に守られる堀ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の外食市場は巨大だが、数量の伸びは緩やかである。全米レストラン協会は2026年の外食・フードサービス売上見通しを、2026年10月の統計改定で1.55兆ドルから1.36兆ドルへ修正した。これは主として統計基準の見直しであり、同年の成長率予想は名目4.3%、実質0.8%のままである。今後10年も、市場の実質需要は年0.5〜1%程度しか伸びず、名目売上の大半は価格上昇によると考える。
主戦場はフルサービス型のカジュアルレストランだ。統計改定前の2025年の米国フルサービス市場は約5330億ドルという参考値があり、テキサス・ロードハウスの米国システム売上約59億ドルはその約1.1%に当たる。ただし新統計の詳細な業態別母数は確認できないため、厳密な現在シェアではない。2025年の米国カジュアルダイニングの主要チェーンでは、テキサス・ロードハウスが約59億ドル、チリーズが約55億ドル、オリーブガーデンが約54億ドル、ロングホーンが約33億ドルだった。上位ブランドのなかでも、テキサス・ロードハウスは1店当たり売上が突出している。
競争は強まっている。チリーズは既存店の立て直しで2025年のシステム売上を約21%増やし、価格と食事体験を武器に客を取り戻した。ダーデン・レストランツのロングホーンも約8%増収となった。アウトバック・ステーキハウスや独立系ステーキ店も同じ客層を狙う。値頃感で勝っている間はシェアを増やせるが、料理を安くする競争になれば、牛肉を多く使うテキサス・ロードハウスの利益は圧迫される。
ババズ33の市場はスポーツバーやカジュアルダイニングと重なる。2025年の売上約3.35億ドルは旧フルサービス市場の約0.06%にすぎず、バッファロー・ワイルド・ウィングスやチリーズに比べて規模は小さい。ジャガーズはさらに小さく、ハンバーガーを中心とする限定サービス市場で、シェイクシャック、カルバーズ、ワッタバーガーなどと競う。両業態には出店余地があるが、成功した主力ブランドの名前だけで勝てる市場ではない。
10年の中立では米国の外食全体が実質で約1.08倍に伸びる一方、テキサス・ロードハウスは競合から客と立地を奪い、稼働店舗数を約1.38倍にする。名目価格は約1.41倍となり、主力店売上は約2倍になる。楽観では他社の閉店跡への進出と出店採算の改善でシェアがさらに増え、悲観では牛肉高、最低賃金、GLP-1による食事量の減少、競争激化でシェアを失う。2026年時点は需要の底ではなく、客数が好調でも利益が原価に圧迫される局面と見る。
資本政策と M&A
資本配分の基本は、新店の建設と既存店の改装を優先し、残った現金を配当と自社株買いで戻すことだ。2025年の営業キャッシュフローは7.3億ドル、設備投資は約3.9億ドル、フリーキャッシュフローは約3.4億ドルだった。配当は約1.8億ドル、自社株買いは1.5億ドルで、株式報酬約0.5億ドルを差し引くと正味の還元は約2.8億ドルになる。過去10年も配当と買い戻しを続け、株数の増加を抑えながら出店を進めてきた。
2025年には国内の加盟店20店を買い戻し、2026年前半にも5店を約0.72億ドルで取得した。すでに顧客と店舗運営の実績を持つ店を取り込むことで、加盟料収入を直営店利益へ転換できる。ただし後者の買収価格は1店当たり約1400万ドルであり、通常の新店投資より高い。成長のために加盟店を高値で買い続ければ、増分の投資利回りは下がる。大型の異業種買収より、この小規模買収の採算を厳しく見るべきだ。
2026年の会社見通しは、既存店売上の増加、稼働店舗週数の5〜6%増、食材インフレ約5%、賃金インフレ3〜4%、設備投資約4億ドルである。長期の店舗数やROICについて数字の約束はない。2025年に承認された自社株買い枠は5億ドルで、2026年6月末の残枠は約3.09億ドル。四半期配当も継続しているが、10年間の総還元額を約束する方針ではない。
優先株の発行権限はあるものの、2025年末の発行済優先株はゼロで、上場普通株主と異なる支配的な議決権構造は確認できない。一部の加盟店には役員の少数持分があり、関連当事者取引の買収価格と利益相反には注意する。2026年10月28日時点で、非公開化や上場廃止につながる合意済み取引は確認されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
テキサス・ロードハウスの強みは、客数の増加が長期間続いていることだ。2025年まで、2020年を除けば60四半期連続で既存店売上を伸ばした。2026年4〜6月期も既存店客数は3.0%増え、売上の伸びはメニュー価格の引き上げだけに頼っていない。外食全体の実質需要がほぼ横ばいでも、同社が競合から客を獲得することで、十分な数量成長を実現できる。
主力店の年間売上は約870万ドルに達する。ロングホーンやチリーズより高い稼働率は、同じ土地や厨房に投じた資金から多くの売上を生む力を示している。デジタル厨房、客席の増設、駐車場の改善、注文管理の効率化が進めば、厨房の生産能力を大きく増やさずに客数を伸ばせる。2025年の店舗段階利益率15.5%が17〜18%へ回復するだけでも、売上増と合わせて営業利益は大きく増える。
ババズ33は2025年末の56店から、今後10年で100店を大きく超える可能性がある。ジャガーズも、直営だけでなく加盟店の展開が成功すれば、出店資金の負担を抑えてブランドを広げられる。両業態は主力ステーキ店と違う客層や立地を取り込むため、同じ市場内での自社店舗同士の競合も限定できる。
牛肉価格の上昇率が長期的に一般物価へ近づき、客単価の上昇が続けば、利益率は2026年の圧迫局面から回復する。過去の加盟店取得も顧客基盤を持つ店舗の追加であり、未知の事業への大型買収ではない。経営の規律が続けば、2035年の純利益は現在の3倍超に達する余地がある。高い店舗生産性と複数ブランドの成長を持つ企業として、長期間の再投資を通じて株主価値を増やせる。
慎重な見方
最も危険なのは、テキサス・ロードハウスが良いレストランであっても、良い収益事業であり続けるとは限らないことだ。主力商品は牛肉であり、供給量や畜産コストを会社が支配できない。2026年4〜6月期には食材インフレが7.0%に達し、売上が11.1%増えても営業利益は減った。客数が伸びている時点で利益率を守れないなら、客数まで減った時の打撃は大きい。
競争も以前より厳しい。チリーズは値頃感と料理の見直しによって客を取り戻し、ロングホーンも売上を伸ばしている。ステーキ専門店には独自のブランドがあるが、顧客に乗り換えの負担はない。原材料が高いからといって値上げを繰り返せば、安く食べられることを好む顧客から離れていく。米国の実質所得が伸び悩み、外食の機会が減れば、店舗数を増やしても1店当たり売上が落ちる。
資産の構造も見かけほど軽くない。2025年末の直営714店のうち556店は賃借物件で、営業リース負債は約9.7億ドル、将来の契約賃料総額は約17億ドルに達する。家賃を払う義務は、客数が減っても簡単には消えない。閉店が増える局面では、解約費用と設備の減損が同時に発生し、利益と自己資本を圧迫する。
ババズ33とジャガーズも、出店数を増やすだけでは成功とはいえない。競合チェーンより低い認知度のまま店舗数が増えれば、広告、採用、品質管理の費用が先行する。さらに、肥満治療薬の普及や健康志向の強まりによって、ステーキや高カロリーの外食機会が減る可能性もある。利益を守ろうとする値上げが客数の減少を招き、その減少を補うために再び値上げする悪循環に入れば、現在の高いROEは維持できない。
どちらに重みを置いたか
ブランド、客数、店舗の生産性については強気の根拠が厚い。特に2026年前半にも客数が増え続けたことは、単なる値上げ頼みの外食企業とは違う。ただし2025年からの牛肉高によって利益率が下がり、出店資金も増えている。直営中心の構造は景気が悪化した時の利益の振れを大きくする。
確率は楽観側28%、悲観側31%、中立41%と、やや慎重な方向へ寄せた。これは強いブランドが消えるからではなく、価格競争と固定費が利益に与える影響を重く見た結果だ。中立でも売上は約2倍になるが、10年後には成長が落ち着くため、現在と同じ高い収益期待を永久には続けられない。総合はやや割高である。事業の優良さを認めても、購入価格にはより厚い安全域が必要だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 208.78 ドル139 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 57.25 ドル38 億ドル)。 今の値に割り戻すと 135.67 ドル90 億ドル、今との差 −25.7%、 期待の年率 +4.4%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 427.67 ドル284 億ドル | 91.71 ドル61 億ドル | +184.6% | +12.5% | 41.55 ドル28 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 328.81 ドル219 億ドル | 73.67 ドル49 億ドル | +120.5% | +9.3% | 80.50 ドル54 億ドル |
| 中立 | 41% | 215.88 ドル144 億ドル | 63.15 ドル42 億ドル | +52.9% | +5.0% | 114.40 ドル76 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 87.04 ドル58 億ドル | 36.08 ドル24 億ドル | −32.5% | −4.4% | 27.09 ドル18 億ドル |
| 悲観 | 9% | 12.78 ドル9 億ドル | 15.04 ドル10 億ドル | −84.8% | −20.9% | 2.50 ドル2 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 208.78 ドル139 億ドル | 57.25 ドル38 億ドル | +45.8% | +4.4% | 266.04 ドル177 億ドル |
今の株価時価総額 182.52 ドル121 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:主力店がシェアを奪い、ババズ33とジャガーズも大きく育つ 利益 15 億ドル · PER 19.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 427.67 ドル284 億ドル
主力ブランドは、チリーズやアウトバックなどの競争相手から顧客を奪い、出店の余地を広げる。成熟店の客数が増え、厨房の効率化によって席の回転も上がる。2035年には主力直営店の年間稼働店舗数が1040店相当に達する。牛肉の調達コストが長期的に一般物価の伸びへ近づき、店舗段階利益率は17.5%まで回復する。米国のフルサービス市場が実質で約1.08倍となるなか、主力店の実効数量は現在の約1.64倍となり、シェアは大きく広がる。
ババズ33は165店年まで拡大し、既存店の集客力も強まる。ジャガーズは加盟店の開拓と小型店舗の出店が進み、直営換算90店年に成長する。両業態が地域の認知度を高め、会社は主力ステーキ店に依存しすぎない収益構造を築く。加盟店のロイヤルティ収入も増えるが、成長の中心はあくまで直営店の増収である。
売上は約157億ドル、営業利益は約19.2億ドル、純利益は14.6億ドルとなる。10年間の純利益累計は約92億ドルで、新店や改装へ資金を振り向けながら、株式報酬控除後の正味還元61億ドルを実現する。自己資本は45.6億ドルに増え、資本効率を維持できる。大規模な異業種買収には頼らず、店舗運営の技術とブランドが株主価値を増やす。
- テキサス・ロードハウス直営店:数量 1,040(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.13(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 135 億ドル・営業利益 24 億ドル。店年数1.64倍、実効単価1.50倍。客数と値決め力がともに伸び、食材費の上昇が落ち着く。
- ババズ33直営店:数量 165(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.10(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 16 億ドル・営業利益 3 億ドル。店舗数が約3倍になり、認知度と客席回転率が改善する。
- ジャガーズ直営店・小売その他:数量 90.0(年間稼働店数換算(小売事業を含む実効店年))× 価格 0.06(1実効店年当たり売上(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。小型店の出店成功で実効店舗年数が大きく増える。
- 国内・海外加盟店ロイヤルティ:数量 165(加盟店の年間稼働店数換算)× 価格 0.00(1加盟店年当たり本社収入(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル。海外とジャガーズの加盟店が拡大し、ロイヤルティの限界利益が高まる。
倍率:k8.0%、長期g4.0%(外食市場の実質成長0.5%、シェアの維持0%、客単価3.5%)。2035年の事業ROEは14.6÷45.6=32.0%。強い堀の残存率2/3からRONICは24.0%。正当化PER=(1−0.04÷0.240)÷(0.08−0.04)×1.04=約21.7倍。客数の伸びと新業態の採算がともに改善する高品質な利益だが、直営店の設備負担を考慮し上限の約89%に当たる19.2倍とする。株式報酬と償却を戻さないGAAP純利益を使用する。
確率:主力店の強い客数と店舗生産性は確認できるが、今より速い出店、牛肉価格の正常化、新業態の成功が同時に必要になる。三つが揃う上振れとして8%を配分する。
やや楽観 20% やや楽観:主力店の出店が順調に続き、原価圧力も緩む 利益 12 億ドル · PER 18.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 328.81 ドル219 億ドル
主力のテキサス・ロードハウスは、現在の立地戦略を保ちながら毎年の新規出店を積み重ねる。ロングホーンやチリーズとの競争は続くが、高い店舗生産性を武器に地域のシェアを少しずつ奪う。2035年の年間稼働店舗数は965店相当となり、現在より約52%増える。客単価は名目物価に近い水準で上がり、店舗段階利益率は17.0%に回復する。
ババズ33は135店年、ジャガーズは60店年まで拡大する。どちらも主力店ほどの店舗収益力には達しないが、新店の利益が本社費用の増加を上回る。加盟店の純増は海外が中心となり、国内は一部の加盟店を買い戻して直営化する。牛肉の価格上昇は続くが、2035年の物価上昇率に近づくため、2025年から2026年にかけての利益率圧迫は恒久化しない。
売上は約136億ドル、営業利益は約15.4億ドル、純利益は11.7億ドルとなる。店舗段階の利益改善と、出店数の増加が両立する。10年間の純利益累計は約76億ドルで、正味還元49億ドルを続けながら自己資本は41.6億ドルになる。無理な大型買収や借入拡大を行わず、自社ブランドに資金を再投資する経営が続く。
- テキサス・ロードハウス直営店:数量 965(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.12(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 120 億ドル・営業利益 20 億ドル。主力店年数は約1.52倍、実効単価は約1.44倍。既存店の客数と価格がともに増える。
- ババズ33直営店:数量 135(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.09(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。スポーツバー需要を取り込み、店舗数を増やして採算を改善する。
- ジャガーズ直営店・小売その他:数量 60.0(年間稼働店数換算(小売事業を含む実効店年))× 価格 0.06(1実効店年当たり売上(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。主力店とは異なる小型立地で採算を確立する。
- 国内・海外加盟店ロイヤルティ:数量 145(加盟店の年間稼働店数換算)× 価格 0.00(1加盟店年当たり本社収入(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル。海外加盟店の拡大が国内加盟店の買い戻しを上回る。
倍率:k8.0%、長期g3.8%(実質市場成長0.5%、シェア横ばい、価格3.3%)。事業ROEは11.7÷41.6=28.1%、強い堀の残存率2/3からRONICは約21.4%。正当化PER=(1−0.038÷0.214)÷(0.08−0.038)×1.038=約20.3倍。主力店の安定した集客力と改善した利益率を評価するが、新規出店に資金が必要なため上限の約90%となる18.25倍を採用する。
確率:主力店の実績と2026年の客数増加は強い根拠だが、新業態の拡大速度には不確実性がある。牛肉高が緩和し、出店計画が概ね順調に進む場合として20%とする。
中立 41% 中立:主力ブランドの増店と物価並みの客単価上昇が続く 利益 9 億ドル · PER 16.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 215.88 ドル144 億ドル
主力店は年20〜30店程度の純増を中心に規模を広げ、2035年には年間稼働875店相当となる。市場全体の実質需要は緩やかな成長にとどまるが、同社は競合より高い客席回転と接客品質を保ち、相対的なシェアを増やす。既存店の客数は大きく増えなくても、値上げを顧客が受け入れる状態が続く。実効単価は10年で約1.41倍となり、主力店の売上は約107億ドルへ増える。
ババズ33は105店年まで成長し、ジャガーズは32店年へ拡大する。チリーズやバッファロー・ワイルド・ウィングスなどとの競争によって、両業態の店舗利益率は主力店より低いまま推移する。それでも新店の売上が本社費用を上回り、全社の利益成長に寄与する。国内加盟店の買い戻しは選別的に行われ、海外加盟店の増加は緩やかに続く。
2026年の牛肉高は初期の利益成長を抑えるが、10年間を通じて食材費と客単価の伸びが徐々に釣り合う。2035年の売上は約118億ドル、営業利益は約11.6億ドル、純利益は8.8億ドルとなる。期間の純利益累計は約61億ドルで、新店投資と既存店の改装を続けながら正味42億ドルを還元する。自己資本は33.6億ドルとなり、既存店の高い稼働率に支えられて資本効率は保たれる。
- テキサス・ロードハウス直営店:数量 875(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.12(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 107 億ドル・営業利益 17 億ドル。店年数は約1.38倍、実効単価は1.41倍。市場成長を上回る出店でシェアを増やす。
- ババズ33直営店:数量 105(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.09(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。店舗数が約2倍になり、競合との価格競争を吸収して15%程度の店舗利益率を保つ。
- ジャガーズ直営店・小売その他:数量 32.0(年間稼働店数換算(小売事業を含む実効店年))× 価格 0.05(1実効店年当たり売上(億ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。小型店舗の出店を続けるが、広告と人材育成の負担で利益率は低めにとどまる。
- 国内・海外加盟店ロイヤルティ:数量 125(加盟店の年間稼働店数換算)× 価格 0.00(1加盟店年当たり本社収入(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。海外加盟店の増加を国内加盟店買収が一部相殺する。
倍率:k8.0%、長期g3.5%(2035年以降の外食市場の実質伸び0.3%、成熟後のシェア変化0%、客単価3.2%)。10年までの値上げは年3.5%程度だが、その後は価値訴求を守るため価格上昇率がやや鈍る。事業ROEは8.8÷33.6=26.2%。強い堀の残存率2/3からRONICは約20.1%。正当化PER=(1−0.035÷0.201)÷(0.08−0.035)×1.035=約19.0倍。直営店の継続的な設備投資、原材料コストの振れ、成熟後の出店余地を考慮し、上限の約84%となる16.0倍を採用する。式のROEは伸びに必要な自己資本の利回りであり、成長率の根拠には用いていない。
確率:2025年から2026年前半まで客数が増え続けた事実を重視する。一方、牛肉高と人件費の圧迫は無視できないため利益率の大幅な上昇を前提にしない。既存店の強さと新店の資本負担を両方反映した筋書きとして41%を最も厚くする。
やや悲観 22% やや悲観:値頃感が薄れ、牛肉高と人件費が利益を圧迫する 利益 5 億ドル · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 87.04 ドル58 億ドル
テキサス・ロードハウスはブランドを保つが、ロングホーンやチリーズの価格競争が激しくなり、客数の伸びが止まる。牛肉価格の上昇が一般物価を上回る年が重なり、値上げを控える店舗が増える。2035年の主力直営店は年間稼働765店相当まで増えるものの、競合よりも成長速度が遅くなる。既存店の客数は長期的には微減となり、主力店の店舗段階利益率は14.2%に低下する。
ババズ33も競争の激しいスポーツバー市場で伸び悩み、年間稼働80店相当にとどまる。ジャガーズは小型店の出店採算が十分に上がらず、16店年程度で成長が鈍る。加盟店の一部が契約を更新せず、ロイヤルティ収入の伸びも止まる。新店が増えても既存店の売上が弱いため、全社の営業利益率は現在より低くなる。
2035年の売上は約97億ドル、営業利益は約6.5億ドル、純利益は4.5億ドルとなる。10年間の純利益累計は約43億ドルで、配当中心の正味還元は24億ドルに減る。自己資本は33.6億ドルに増えるが、増えた資本から十分な利益を生めずROEは約13%に落ちる。店舗の設備やリース契約を抱えたまま利益が停滞し、かつての高収益チェーンとしての評価を維持できなくなる。
- テキサス・ロードハウス直営店:数量 765(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.12(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 89 億ドル・営業利益 13 億ドル。店年数の伸びが鈍化し、客数減と値上げ抑制で実効単価は物価を下回る。
- ババズ33直営店:数量 80.0(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.09(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。競合の値引きと人件費上昇で、出店と店舗利益率がともに低下する。
- ジャガーズ直営店・小売その他:数量 16.0(年間稼働店数換算(小売事業を含む実効店年))× 価格 0.05(1実効店年当たり売上(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。ブランドの認知度が広がらず、小型店の出店を抑制する。
- 国内・海外加盟店ロイヤルティ:数量 105(加盟店の年間稼働店数換算)× 価格 0.00(1加盟店年当たり本社収入(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。国内の直営化と海外加盟店の開業遅れで、ロイヤルティの数量が増えない。
倍率:k8.0%、長期g2.5%(市場実質0%、シェア年-0.5%、客単価年+3.0%)。事業ROEは4.5÷33.6=13.4%、強い堀が一部残る場合のRONICは約11.6%。理論上の正当化PERは10年目の利益基準で約14.6倍だが、牛肉高と固定賃料により再投資利回りが低下するため11.6倍とした。中立の16.0倍より低く、時価総額52.2億ドルは保守的な稼ぐ力4.5÷0.08=56.25億ドルを超えない。資産処分額を価値の上乗せには使わない。
確率:既存店客数は強いが、2025年と2026年の原価圧力は実際に利益を削った。競争相手の値頃感が改善し、値上げが十分に通らない状態が続く可能性を重視して22%とする。
悲観 9% 悲観:主力ブランドが構造的に負け、直営店の固定費が重荷になる 利益 1 億ドル · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 12.78 ドル9 億ドル
米国で外食の実質需要が伸び悩み、テキサス・ロードハウスは新しい消費者の食事習慣に適応できない。チリーズやロングホーンが低価格の食事体験を改善し、健康志向とGLP-1の普及も重なって、ステーキ店で食べる回数が減る。主力直営店の年間稼働店舗数は620店相当となり、2025年より少なくなる。客単価は10年で上がるが物価には追いつかず、店舗段階利益率は10.2%へ落ち込む。
店舗を閉めても、土地の賃借契約、設備の償却、従業員の退職費用をすぐには消せない。ババズ33は55店年にとどまり、ジャガーズも10店年程度へ縮小する。加盟店の廃業と契約終了が進み、ロイヤルティ収入も減少する。経営は増店を止めて不採算店を閉鎖し、資産を整理するが、長年培った店舗運営文化は以前ほど高い利益を生まなくなる。
2035年の売上は約70億ドルとなり、名目では2025年を上回るものの、営業利益は約1.6億ドル、純利益は1.0億ドルまで落ちる。期間の前半には利益を維持するが、後半の店舗整理と減損を含む10年間の純利益累計は25億ドルにとどまる。正味還元は10億ドルまで減り、自社株買いは停止する。自己資本は29.6億ドル残るが、ROEは約3%となり、帳簿資産を株主価値へ変える力は失われる。事業が存続しても、株主にとっては大幅な価値毀損となる。
- テキサス・ロードハウス直営店:数量 620(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.11(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 65 億ドル・営業利益 7 億ドル。閉店と客数減で実効数量が縮小し、牛肉高と固定費で店舗利益率が大幅に低下する。
- ババズ33直営店:数量 55.0(年間稼働店数換算(52店舗週で1店年))× 価格 0.08(1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。新店の採算が悪化し、不採算店を閉鎖してほぼ現在の規模に戻る。
- ジャガーズ直営店・小売その他:数量 10.0(年間稼働店数換算(小売事業を含む実効店年))× 価格 0.04(1実効店年当たり売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。加盟展開と直営拡大が失敗し、小規模な事業として残る。
- 国内・海外加盟店ロイヤルティ:数量 65.0(加盟店の年間稼働店数換算)× 価格 0.00(1加盟店年当たり本社収入(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。加盟店の閉店と契約終了でロイヤルティ対象店が減少する。
倍率:k8.0%、長期g1.0%(実質需要-0.5%、シェア年-1.5%、名目客単価+3.0%)。ROEは1.0÷29.6=3.4%で資本コストを下回る。超過利益を生まない事業のPER上限は1÷0.08=12.5倍であり、店舗の閉鎖費用と再投資の非効率を考慮して8.5倍に抑える。時価総額8.5億ドルは残存利益の保守的な稼ぐ力1.0÷0.08=12.5億ドル以下であり、処分可能資産の床3.2億ドル以上でもある。過去のPBRの底を根拠にしていない。
確率:店舗の高い稼働率と長年の既存店増収が一度に失われる可能性は高くない。しかし牛肉高、健康志向、競争激化、閉店費用が重なれば、直営型外食の価値は大きく損なわれる。構造的な敗北として9%を配分する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
テキサス・ロードハウス直営店
手切りステーキを中心とするフルサービス店。店舗の売上を全額連結し、店舗段階利益から本社費や償却費を控除して稼ぐ。
| 数量年間稼働店数換算(52店舗週で1店年) | 価格1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 634 | 0.09 | 55 | 9 |
| 10 年後 中立 | 875 | 0.12 | 107 | 17 |
取り方:2025年10-KのTexas Roadhouse直営売上54.758億ドル、年間稼働店舗週数32970週、年末直営648店を使用。32970÷52=約634店年で、売上÷店年=約0.08637億ドル。開示された成熟店AUV868.7万ドルとも整合する。客数と客単価の絶対値は非開示のため、店年当たり売上を実効単価の代理とする。既存店売上は2025年に客数+2.8%と客単価+2.1%に分かれる。op_okuは店舗段階利益8.516億ドルで、減価償却や本社費は含まず、シナリオのadjust_okuでまとめて控除する。
ババズ33直営店
ハンバーガー、ピザ、手羽先、酒類を提供するスポーツバー型のフルサービス店。主力店とは客層と食材構成が異なる。
| 数量年間稼働店数換算(52店舗週で1店年) | 価格1店年当たり売上(億ドル。客数と平均客単価を合わせた実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 52.3 | 0.06 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.09 | 9 | 1 |
取り方:2025年10-KのBubba's 33の直営売上3.352億ドル、年間稼働店舗週数2719週を使用。2719÷52=52.3店年で、店年当たり売上は約641万ドル。成熟店AUV628.3万ドルと新店を含む実績の差は開業時期と店舗構成による。2025年末56店、同年新規開店7店。店舗段階利益0.492億ドル、利益率14.7%を採用する。客単価の絶対額は非開示なので、価格は実効店舗売上単価であり、将来の客数変化は各筋書きで明示する。
ジャガーズ直営店・小売その他
ハンバーガーやチキンを中心とする小型店と、ブランド商品の小売・ライセンス事業。売上規模は小さく、将来の成長余地は出店数に左右される。
| 数量年間稼働店数換算(小売事業を含む実効店年) | 価格1実効店年当たり売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9.4 | 0.04 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 32.0 | 0.05 | 2 | 0 |
取り方:2025年10-KのOther部門の直営・小売売上0.362億ドルを使用。全社店舗週36178週からTexas Roadhouse32970週とBubba's 33の2719週を引くと残り489週で、489÷52=約9.4店年となる。売上÷店年は約385万ドル。会社の年間報告で示されたJaggersの週間売上約7.3万ドル、年換算約380万ドルと近い。小売売上が混じるため厳密な客単価ではない。2025年末の直営店は10店で、店舗段階利益は約0.049億ドル。
国内・海外加盟店ロイヤルティ
国内外のテキサス・ロードハウスとジャガーズの加盟店から、売上連動のロイヤルティと加盟料を受け取る。加盟店の飲食売上は連結しない。
| 数量加盟店の年間稼働店数換算 | 価格1加盟店年当たり本社収入(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 108 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 125 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2025年10-Kのロイヤルティ0.282億ドルと加盟料0.027億ドル、合計0.308億ドルを採用。年末加盟店は102店だが、2025年中に国内加盟店20店を買収したため、年間平均稼働加盟店は約108店と推定した。1加盟店年当たりの本社収入は約28.5万ドル。国内36店、海外60店のTexas Roadhouseと、国内5店、海外1店のJaggersが年末内訳。加盟料と商品ライセンス収入を含むため、厳密な飲食売上連動率ではない。利益は共通費を引く前の収入として扱い、加盟店管理費はadjust_okuに含める。
リスクと懸念
牛肉価格の構造的な上昇
最大の利益変動要因は牛肉だ。2025年の食材インフレは6.1%、2026年4〜6月期は7.0%に達し、売上の増加にもかかわらず営業利益が減少した。米国の牛の飼養頭数、飼料費、気候、輸入条件によって供給が制約されれば、値上げしても店舗段階利益率を守れない。数量ではなく利益率に最も大きく効くリスクである。
値頃感の喪失と客数の減少
ブランドの強さは、手作りの料理を手頃な価格で提供する点にある。牛肉高をすべてメニュー価格へ転嫁すれば、チリーズ、ロングホーン、独立系レストランに顧客が流れる。2025年と2026年前半は客数が増えているが、この傾向が反転すると、新店が増えても既存店売上が弱まり、店舗と本社の固定費が重くなる。
リース負債と閉店時の固定費
2025年末の営業リース負債は約9.7億ドルで、将来の契約賃料は割引前で約17億ドルに達する。店舗の多くは借地や賃借物件にあるため、売上が落ちても家賃をすぐには減らせない。閉店時には造作や厨房設備の減損も生じる。帳簿上の有形固定資産を、そのまま売却可能な資産価値と見ることはできない。
新業態への再投資の失敗
ババズ33とジャガーズは出店余地が大きい反面、主力ステーキ店ほどの利益の履歴がない。スポーツバー市場ではチリーズやバッファロー・ワイルド・ウィングス、小型飲食市場ではシェイクシャックなどが競合する。店舗数を優先して開業費用が増えれば、売上成長とROICの低下が同時に起こる。店舗ごとの収益性が確認できるまで高い成長率を永久には続けられない。
加盟店買収の価格と関連当事者取引
2025年には国内加盟店20店を取得し、2026年前半には5店を約0.72億ドルで取得した。加盟店を買い戻すとロイヤルティ収入が直営店売上へ変わるが、投資額と維持費も増える。一部の加盟店には役員の持分があり、利益相反管理が必要だ。取得価格が高くなれば、利益の増加が株主価値の増加につながらない可能性がある。
健康志向、GLP-1、労働規制
肥満治療薬の普及や健康志向の変化は、肉料理の注文量や外食頻度を減らす可能性がある。ただし実際の数量への影響はまだ不確実である。同時に、最低賃金やチップ制度の変更は人件費を押し上げうる。客数の減少と賃金の上昇が重なると、直営店の利益率は急速に下がる。AIによる業務効率化だけで料理と接客の人件費をすべて相殺することは難しい。
今後の分かれ目
- 既存店の客数が4四半期連続で前年を上回り、平均客単価も物価並みに上昇したら
- 値頃感とブランドが両立している証拠となる。やや楽観の確率を上げ、主力店の数量と利益率を上方に見直す。
- 牛肉を中心とする食材インフレが2年続けて5%を超え、店舗段階利益率が15%未満になったら
- 仕入れコストの上昇が一時的ではなく構造的である可能性が高まる。中立の営業利益率を引き下げ、やや悲観の確率を厚くする。
- ババズ33の店舗数が100店を超え、成熟店の利益率が16%以上で安定したら
- 主力店以外にも再投資先があると確認できる。中立の店舗数量と将来利益を増やし、収益源の集中リスクを小さく評価する。
- ジャガーズの加盟店が継続的に増え、店舗閉鎖率が低い状態で加盟料収入が伸びたら
- 小型店舗のブランドが資産の軽い成長源として成立する兆しとなる。加盟店部門の数量と利益率を上方に見直す。
- 新店投資額の増加にもかかわらず、店舗段階の投資利回りが資本コスト8%を下回ったら
- 出店による成長が株主価値を増やさなくなる。新店の数量見通しを下げ、資本を配当や適切な価格での自社株買いへ振り向ける前提に変える。
- 加盟店の買収額が増え、取得店舗の利益やキャッシュフローの伸びが購入価格に見合わなくなったら
- 経営の資本配分に疑問が生じる。買収後のROICと減損リスクを点検し、やや悲観の確率を増やす。
- 既存店客数が2年以上減少し、閉店数が開店数を上回るようになったら
- 一時的な景気循環ではなく、ブランドの競争力が落ちている可能性が高い。悲観の数量と営業利益率を再評価し、継続的な増配や自社株買いを前提にしない。
見ておくもの
- 主力テキサス・ロードハウスの既存店客数と平均客単価の増減
- 牛肉を中心とする食材インフレとレストラン段階利益率
- 成熟店の年間売上高と客席回転率
- テキサス・ロードハウス直営店の新規開業数と店舗週数の伸び
- ババズ33の出店数、成熟店売上、店舗段階利益率
- ジャガーズの直営・加盟店数と加盟店の契約更新状況
- 新店設備投資額、改装投資額、増分ROIC
- 配当と自社株買いから株式報酬を引いた正味の還元額
- 加盟店買収額と取得店舗の利益貢献
- 営業リース負債、閉店費用、現金及び銀行借入
- 2026年11月5日に発表予定の2026年第3四半期決算と2027年の出店見通し
倍率と資本コストの決め方
今の株価や過去のPERを使わず、テキサス・ロードハウス、ババズ33、ジャガーズ、加盟店収入を、それぞれ年間稼働店数と1店年当たりの売上から積み上げた。客単価の絶対額は会社が開示していないため、店舗単位売上を代理値とし、既存店客数と客単価の変化を分けて将来を判断した。倍率はk8.0%、各筋書きの事業ROE、強い堀の残存率2/3、成熟後の市場・シェア・価格から求めたgを使い、正当化PERの上限の範囲内で設定した。中立の正当化PER上限は約19.0倍で、直営店の設備負担と原材料変動を考慮して16.0倍とした。過去の市場倍率、現在の時価総額、株価からの逆算はしていない。米国基準では営業リース使用権資産と負債がすでに計上され、家賃は営業費用であるため、借金の利息を二重計上していない。結果の約20%の割高方向は、あらかじめ狙ったものではなく数量、利益、還元、倍率、確率の帰結として受け入れた。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%にqualityの合計0.0%を加えた。業態の景気感応度を考慮する一方、ブランドの強さと事業寿命を評価した。銀行借入より営業リースが大きく、家賃はすでに営業利益から控除している。牛肉価格、M&A、出店失敗などの個別リスクは資本コストに上乗せせず、利益率とシナリオ確率で表現した。