結論
メープルベアは、インスタカートの名で食料品の注文と配達を仲介し、食品メーカーの広告も売る会社である。10年先も必要な役割は残るが、現在の時価総額に対してはやや割高と見る。食料品そのものへの需要は消えない。しかし注文の入口を誰が握るかは、まだ決着していない。
2025年の売上は37.4億ドル、営業利益は6.2億ドルだった。2026年4~6月期には取扱高が前年同期比14%増の103.5億ドル、注文数が9%増の9,030万件となり、成長が加速した。広告・その他も16%伸びている。小売業者2,200超の系列と約10万店舗をつなぎ、一回の買い物から配送手数料と広告収益を重ねて得られるのが強みだ。
一方、食料品の店頭価格とネット価格を揃える小売業者が増え、配達の便利さを高い手数料に変える力は弱まっている。ウォルマート、アマゾン、ドアダッシュ、ウーバーが競争相手だ。さらにAIエージェントが買い物の入口を代行すれば、広告表示や小売業者向け操作ソフトの価値が削られる。会社はAIとの接続も進めるが、AI関連契約の収入額はまだ開示していない。
2026年10月にはドアダッシュによる買収交渉が報じられたが、分析時点で合意は確認できない。同月には買収したスマートカート事業からの撤退も決まった。目先の買収観測を確定利益とみなさず、単独経営が続く場合の利益、投資、正味の自社株買いを評価する。中立では収益性が改善しても、現在の値段から十分な安全域は生まれない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初にこの会社が10年後も顧客に必要かを問う。食品を店から消費者へ届ける仕事は残る。しかも北米の小売業者、買い物代行者、食品メーカーを結ぶ網は一朝一夕には築けない。だが買い物かごを動かす画面まで自社が所有し続ける保証はない。顧客が他社のAIに献立を頼み、最終的な注文だけがインスタカートを通る世界では、広告の価値が変わる。
次はオーナー利益だ。2025年の純利益4.5億ドルに対し、フリーキャッシュフローは9.1億ドルと大きい。その差には現金支出を伴わない株式報酬も含まれる。株式報酬を費用として差し引いた純利益を基礎にし、さらに買戻しから将来の希薄化分を引かなければ、株主の取り分を誇張する。設備投資が小さいことだけで資本効率の高さを保証してはならない。
経営は成長投資を取捨選択できるか。スマートカートの撤退は、失敗を認めて支出を止める点では評価できるが、過去の買収資金が戻らない事実も消せない。小売業者の囲い込みと広告の増分収益が資本コストを超えるなら、還元と成長は両立する。一方で大型買収に高い対価を払うなら、少数株主の長期利益は削られる。
安全域を考えると、10年後の中立では注文が増え、広告の利益率も保たれる。それでも今日の評価額に対する割安さは十分でない。競争、AIの入口変更、売却交渉という三つの不確実性を持つ会社に、楽観の現金収入を先に支払うべきではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの第一の柱は取引手数料だ。消費者がアプリや提携スーパーの通販サイトで注文すると、買い物代行者が店内で品物を集め、配達または店頭受け取りにつなぐ。商品代金全額ではなく、消費者の配達・サービス料、会費、スーパーの手数料から代行者への支払いと値引きなどを差し引いた純額が売上になる。2025年は3億3,880万件の注文から取引収入26.77億ドルを得た。注文当たりの収入は約7.90ドルだ。
第二の柱はインスタカート・アッズだ。ブランドは検索結果や商品画面に広告を出し、購入に結びついたかを測れる。2025年の広告・その他収入は10.65億ドルで、その大半が広告である。9,000を超える広告ブランドを抱え、広告網は310超の小売サイト・提携媒体にも広がる。店頭で誰が何を買ったかというデータが、配達手数料より高い利益率の源になる。ただし広告の制作・運用を請け負う代理店ではなく、自社の購買媒体に広告枠を提供する事業だ。
第三の柱は小売業者向けの技術だ。ストアフロント・プロなどで380超の小売通販サイトを動かし、フードストームで予約注文、在庫分析や配送の手配も支える。ソフトの利用料は広告・その他に含まれるが、金額は独立開示されない。このため売上への寄与は小さいものとして独立推定し、同じ注文の手数料を二重には数えない。2026年のアルパルス買収では棚の在庫を画像から把握する技術を補い、AIを既存の買い物や店舗業務につなげようとしている。
会社は会計上単一の報告セグメントである。ここでの取引、広告、店舗向けソフトという三分法は経済的な収益源の切り分けであって、会社が公表した部門別利益ではない。店頭カートのハードウェア事業は2026年10月に撤退が決まり、将来の独立した成長源には含めない。
優良さと弱いところ
堀、つまり競合が簡単にまねできない強みは、加盟店との接続と注文履歴の厚みにある。2025年末の取扱注文は創業以来16億件を超え、北米の世帯の98%超を配達圏に収めている。小売業者は自社サイト、注文代行、広告配信を一度につなげられる。食品メーカーにとっても、商品が買い物かごに入ったかを測れることが魅力だ。店舗・ブランド・買い物代行者が集まるほど利便性が増す網の効果は、本物である。
だが、この網は独占ではない。小売業者は顧客との直接接点を手放したくないため、店頭との同一価格や自社アプリを求める。会社は2026年にも値上げより手数料の適正化と買い物代行の効率化を強調した。顧客が移る負担は小さく、独占的な値決め力を示す継続的な手数料引き上げの証拠も乏しい。したがって強い堀ではなく、優位はあるが競争で削られる普通の堀と評価する。
2025年の自己資本利益率は16.5%で、営業利益率は16.7%だった。営業利益を生むための大型物流施設を自社で持たないため、注文の増分が既存システムに乗れば資本効率は高い。広告が伸びれば増分の利益率も高いはずだ。ただし株式報酬は2025年に3.5億ドルに達し、報告された現金収支だけをオーナー利益とすることはできない。買戻しがその希薄化を消して初めて株主の取り分になる。
経営の弱さは隣接領域への投資判断だ。2021年に買収したケイパーのスマートカートは普及が進まず、2026年に撤退を決めた。現場のハードウェアで網を広げる目論見が外れたことは、増分の投資利回りが自動的に高いわけではない証拠である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の食料品通販は、なお店舗販売に比べて小さい。イーマーケターは2026年の食料品販売に占めるネット比率を約13.5%と見ている。2025年の同社推計でインスタカートの食料品通販シェアは17.2%だった。これは年372億ドルの取扱高を持つ同社と、推定で2,160億ドル前後の市場規模におおむね整合する。ただし同社の取扱高には税やチップも入るので、両者を直接割った数字は厳密なシェアではない。
数量の追い風は、週末のまとめ買いだけでなく、少量の補充注文もネットに移ることだ。オンライン食料品市場は2035年に名目で5,500~6,200億ドル程度へ育つと考える。一方、現実的な中立では会社の年間注文数は3.39億件から5.60億件へ増えるものの、シェアは約15%へやや低下する。小売業者が自社で宅配を増やし、同じ消費者の財布を複数のアプリが奪い合うからだ。
最も厳しい競争相手はウォルマートとアマゾンで、前者は店舗網と会員制、後者は配送網と既存の通販会員を使う。ドアダッシュとウーバー・イーツは外食で集めた客を食料品へ誘導する。大型の週次注文にはインスタカートが強いが、即時配達や少量の補充で競争が厳しくなる。2026年の提携拡大と価格の店頭同一化は、利用数の増加には役立っても手数料率には逆風だ。
広告には別の市場がある。米国の小売媒体広告費は2025年に約588億ドルで、アマゾンとウォルマートが新規予算の大半を集める。インスタカートの広告収入はこの広い市場の2%弱にすぎないが、食品に特化した購買データの価値は高い。クローガーなど小売業者の独自広告網も伸びるため、媒体の増加と広告単価の上昇を同時に当てにはしない。AIエージェントが注文を実行する時代には、検索結果の広告より、購買結果を測れるデータ連携の方が長持ちするとみる。
資本政策と M&A
配当は出していない。2025年は約13.9億ドルの自己株買いを行い、同時に3.5億ドルの株式報酬を計上した。したがって株主への正味の還元は総買戻し額ほど大きくない。2026年4月に買戻し枠を累計35億ドルへ増額し、6月末時点の残枠は約10億ドルだった。経営は2026年のフリーキャッシュフローの過半を買戻しで返す方針だが、その後10年間の金額保証はない。
買収の通信簿は割れる。フードストームやエバーサイトは食品業者の業務に組み込めたが、2021年に約3.5億ドルで買ったケイパーは採算に合わず撤退する。2026年10月25日に決めた撤退では、主として同年第4四半期に税前0.55~0.80億ドルの費用を見込む。2026年7月のアルパルス買収は棚の在庫精度を上げる狙いだが、取得額も投資回収率も公表されていない。
2026年9月21日には転換優先株が全て普通株約583万株へ転換し、優先株の残高はなくなった。転換による持分の薄まりと、その後の買戻しは区別する。さらに10月26日、ドアダッシュが約170億ドルでの買収に向け協議中と報じられた。合意済みではなく、独禁審査も残るため、未成立の売却対価を本質価値に加えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最も強い根拠は、オンラインの食料品注文がまだ利用初期にあることだ。2025年の3億件余りの注文は、北米の食卓の反復需要に比べれば小さい。2026年4~6月期の取扱高は14%伸び、新規顧客の獲得速度も改善した。店頭と同じ価格の品ぞろえが増えれば、これまで価格差を嫌っていた消費者も使い始める。配送拠点を丸ごと造る必要がないため、増えた注文は既存の小売網を通じて利益に変わる。
広告はさらに有利だ。9,000超の食品ブランドが購入履歴の分かる媒体を使い、小売店の自社サイトへも配信できる。ブランドにとっては売上に結びついた広告を測りやすく、媒体が広がれば広告の売上を取扱高以上に伸ばせる。アマゾンやウォルマートは競合であると同時に、多くの地域スーパーには直接競争したくない相手だ。独立したインスタカートを使えば、地域スーパーは自社名で通販を展開できる。
AIも追い風に変えられる。グーグルのジェミニやチャット型の購入導線と連携し、インスタカートは実際の商品在庫、店ごとの価格、配達員の割当を受け持つ。献立の発見が別画面に移っても、最後に商品を届ける網がなければ注文は完結しない。アルパルスの棚情報が欠品による取消しを減らせば、顧客満足度も上がる。
資本配分では、既存の大型買収より広告技術と自社株買いが優先される。ケイパーから退く決断は損失を止める。将来の買収がまとまれば早期に株主へ価値が現れる可能性はあるが、合意前の対価は利益予想に混ぜない。
慎重な見方
食料品は生活必需品でも、配達会社は生活必需品ではない。大手スーパーは顧客データと会員を自分で握りたい。ウォルマートは既存の店舗と物流を使い、アマゾンは生鮮食品を当日配送へ組み込む。ドアダッシュとウーバーは外食の注文画面から食料品を勧める。顧客は送料や値引きですぐ使うアプリを変えられる。店頭との価格差をなくす動きは注文を増やしても、インスタカートが高い手数料を取り続ける根拠を弱める。
広告の優位も過信できない。ブランド広告の予算は際限なく増えず、アマゾンとウォルマートが新しい小売媒体予算の大半を吸収している。クローガーやアルバートソンズは独自の購買データを持つ。生成AIが献立や買い物リストを作成し、客に代わって複数の小売店へ注文すれば、従来の検索順位に払われていた広告費が減る。購入データは残っても、価値の配分がAI側へ移る。
小売向け業務ソフトも万能の堀ではない。ストアフロントや分析画面はAIエージェントに操作を代行され、席数や使用料を維持しにくくなる。顧客の正式な商品台帳や会計の記録まで独占しているわけではないため、長期の高い更新率を確証できない。ハードのケイパーカート撤退は、隣接市場での競争力を示す失敗だ。
さらに株式報酬が大きく、会社は2025年にフリーキャッシュフローを上回る買戻しを行った。目先の買収観測が消えれば、市場価格の支えも消える。買収が成立しても、規制や株主への対価の形次第では、10年保有の前提自体が変わる。
どちらに重みを置いたか
注文の実需と広告の購買データでは前向きな見方が勝つが、値決め力と事業の独立性では慎重な見方を重くした。将来の買収成立を確定事実とせず、会社が単独で競争を続ける結果を評価している。楽観・やや楽観は計32%、やや悲観・悲観は計40%とし、競争激化とAIによる広告の入口変更を反映した。ただしAIの影響を二重に数えないよう、小売向けソフトの数量・単価と長期成長率で直接減速させ、資本コストの寿命で同じ損失をさらに足してはいない。五つの道筋の期待値は現在の時価総額より約15%低く、判断はやや割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 75.90 ドル178 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 21.42 ドル50 億ドル)。 今の値に割り戻すと 47.81 ドル112 億ドル、今との差 −15.3%、 期待の年率 +6.4%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 189.97 ドル446 億ドル | 42.57 ドル100 億ドル | +311.9% | +17.6% | 27.90 ドル66 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 129.28 ドル304 億ドル | 31.92 ドル75 億ドル | +185.6% | +12.8% | 32.24 ドル76 億ドル |
| 中立 | 28% | 81.49 ドル191 億ドル | 23.41 ドル55 億ドル | +85.8% | +7.4% | 29.37 ドル69 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 16.63 ドル39 億ドル | 11.49 ドル27 億ドル | −50.2% | −8.1% | 6.47 ドル15 億ドル |
| 悲観 | 17% | 3.58 ドル8 億ドル | 4.26 ドル10 億ドル | −86.1% | −21.8% | 1.33 ドル3 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 75.90 ドル178 億ドル | 21.42 ドル50 億ドル | +72.4% | +6.4% | 97.32 ドル229 億ドル |
今の株価時価総額 56.45 ドル133 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 楽観:買い物の実行基盤を守り広告と取引が飛躍する 利益 30 億ドル · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 189.97 ドル446 億ドル
2035年には米国の食料品通販市場が約6,200億ドルとなり、同社は週次のまとめ買いに加えて日常の補充注文も獲得する。年間注文数は8.1億件、平均買い物額は物価上昇で約155ドルへ増える。税やチップを含む取扱高の市場比率はおおむね20%となり、2025年より少し上がる。ウォルマートとアマゾンに押されず、地域スーパーとの提携が優位を保つ。
取引の手数料率は安売りによる圧力を受けるが、配送の効率化と利用頻度の上昇で利益が厚くなる。広告は食品メーカーの購買データ需要を背景に、注文当たりの収益が伸びる。グーグルなどのAIが買い物を仲介しても、在庫情報と実際の買い物代行を持つインスタカートの接続が必要になる。ただし新しいAIソフトの売上を未開示のまま大きく予測しない。
2026年に撤退を決めたスマートカートの損失は初期に処理し、2035年の持続利益からは除く。10年間に純利益172億ドルを積み上げ、株式報酬を差し引いた正味100億ドルを株主へ返す。大手による買収交渉が不成立でも、この事業の力で成長する場合である。
- 食料品注文・配達・会員の取引収入:数量 8.1(年間取扱注文数(億件。2025年は3.388億件))× 価格 12(1注文当たり取引収入(ドル/件。2025年の平均取扱額約110ドル×実効手数料率約7.2%))→ 売上 100 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場6,200億ドル・市場比率約20%。注文単価上昇と配達効率化が進み、取引の収益性が改善する。
- 購買データに基づくリテール広告:数量 8.1(広告が接触する自社注文量の代理指標(億件/年)。提携小売サイトの追加在庫は単価側に反映)× 価格 5.20(1注文当たり広告売上(ドル/件。自社媒体と提携先広告の収益配分を含む実効値))→ 売上 42 億ドル・営業利益 23 億ドル。広告媒体の成長と提携小売サイトへの配信で、1注文当たり広告5.20ドル。
- 小売業者向け通販・業務ソフト:数量 380(店舗向け通販システムを使う小売サイト数(サイト、2025年380超を便宜上380))× 価格 0.00(年間1サイト当たりソフト利用料(億ドル/サイト。契約単価非公表につき推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIの新規契約額未開示のためサイト数は2025年比1.0倍に留める。
倍率:普通の堀で超過ROEの残存は1/2。ROE29.8÷99.1=30.1%、k8.5%、g_long2.5%よりRONIC19.3%、来期利益基準の正当化PER約14.5倍、10年目の利益への換算で14.87倍。AI代替が当たる部分を数量・価格・gで減額したため、残る利益には式の上限を使用する。余剰現金4.0億ドルを1ドル=1ドルで足し、その税後受取利息相当0.056億ドルをGAAP純利益29.8億ドルから差し引く。時価総額=(29.8−0.056)×14.87+4.0=446.2933億ドル。
確率:食料品通販の浸透が進み、自社と提携媒体を横断する購買広告が拡大する展開。現実の競合の厚さを考えれば1割強に限る。
やや楽観 20% やや楽観:地域スーパーとの網が広がり広告も高収益 利益 21 億ドル · PER 14.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 129.28 ドル304 億ドル
米国の食料品通販が2035年に約6,000億ドルへ拡大し、年間注文数は6.8億件に達する。ウォルマートやアマゾンは大型店舗と会員配送を拡大するが、インスタカートは地域スーパーと専門店の通販を束ねて対抗する。市場の概算比率は約18%となり、既存の存在感をほぼ守る。
利用者は週末のまとめ買いに加えて、日用品の補充にも同じサービスを使う。取引収入率は大幅には下がらず、広告は9,000超の食品ブランドを起点に提携小売サイトへ広がる。大型小売の自前広告網が広告単価の上限になるが、同社の購買測定はまだ差別化に役立つ。業務ソフトではAIが画面操作を代替するため、利用サイトは2025年以下に抑える。
スマートカート撤退費用と初期の投資負担は吸収し、追加売上に対する利益率を改善する。純利益の期間累計は124.5億ドル、正味の買戻しは75億ドルとなる。買収の協議は取引成立を前提とせず、本業の収益力だけで評価する。
- 食料品注文・配達・会員の取引収入:数量 6.8(年間取扱注文数(億件。2025年は3.388億件))× 価格 11(1注文当たり取引収入(ドル/件。2025年の平均取扱額約110ドル×実効手数料率約7.2%))→ 売上 78 億ドル・営業利益 11 億ドル。注文6.8億件・取扱高約1,050億ドル。価格は2025年比約1.44倍。
- 購買データに基づくリテール広告:数量 6.8(広告が接触する自社注文量の代理指標(億件/年)。提携小売サイトの追加在庫は単価側に反映)× 価格 4.65(1注文当たり広告売上(ドル/件。自社媒体と提携先広告の収益配分を含む実効値))→ 売上 32 億ドル・営業利益 16 億ドル。提携媒体とブランド増が寄与する。AIによる入口の移動は一部にとどまる。
- 小売業者向け通販・業務ソフト:数量 345(店舗向け通販システムを使う小売サイト数(サイト、2025年380超を便宜上380))× 価格 0.00(年間1サイト当たりソフト利用料(億ドル/サイト。契約単価非公表につき推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。画面型SaaSの利用量は345/380=0.91倍。AI代替を反映する。
倍率:ROE20.5÷76.6=26.8%、k8.5%、g_long2.5%、普通の堀の残存割合1/2からRONIC17.6%、10年目GAAP利益基準の正当化PER上限約14.66倍。AI影響を当該部門の収入へ織り込んだため式の上限を使用する。余剰現金4億ドルの利息税後0.056億ドルはGAAP純利益20.5億ドルから除き、現金4億ドルを末尾で加算。時価総額=(20.5−0.056)×14.66+4.0=303.7090億ドル。
確率:2026年の二桁の取扱高成長と店舗提携の拡大が続くが、過度のシェア獲得は想定しない。
中立 28% 中立:注文は増えるが手数料と広告の伸びは成熟する 利益 13 億ドル · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 81.49 ドル191 億ドル
2035年の米国食料品通販は約5,800億ドルへ増える。年間注文数は5.6億件となり、2025年比で約1.65倍だ。平均買い物額は物価に沿って約155ドルへ上がるが、取扱高の概算市場比率は約15%へ低下する。ウォルマート、アマゾン、ドアダッシュ、ウーバーの利用回数が増えるため、インスタカートだけが市場拡大を取り込むわけではない。
取引収入は1注文当たり10.60ドルとなる。これは買い物額の伸びを全て収益へ移せず、収益率が2025年の約7.2%から約6.8%へ下がることを意味する。広告は注文当たり4.10ドルで、AIが画面の広告を飛ばす影響と、提携小売サイトへの配信増がほぼ相殺する。小売向けソフトはAIエージェント代替で利用サイトが380から304へ減り、単価の伸びも物価を下回る。
ケイパー撤退を経た後、物流システムと広告配信の効率化でGAAP営業利益率は約21%に改善する。10年間の純利益累計88.5億ドルから、正味55億ドルを還元し、残りを成長と運転資金に使う。買収交渉の成否は未知とし、2035年まで単独経営する前提を守る。
- 食料品注文・配達・会員の取引収入:数量 5.6(年間取扱注文数(億件。2025年は3.388億件))× 価格 11(1注文当たり取引収入(ドル/件。2025年の平均取扱額約110ドル×実効手数料率約7.2%))→ 売上 59 億ドル・営業利益 7 億ドル。米国市場5,800億ドル・同社取扱高約870億ドル。比率15%前後、実効手数料率約6.8%。
- 購買データに基づくリテール広告:数量 5.6(広告が接触する自社注文量の代理指標(億件/年)。提携小売サイトの追加在庫は単価側に反映)× 価格 4.10(1注文当たり広告売上(ドル/件。自社媒体と提携先広告の収益配分を含む実効値))→ 売上 23 億ドル・営業利益 11 億ドル。自社と小売サイトの広告枠の増加を織り込むが、AIが検索入口を一部奪う。
- 小売業者向け通販・業務ソフト:数量 304(店舗向け通販システムを使う小売サイト数(サイト、2025年380超を便宜上380))× 価格 0.00(年間1サイト当たりソフト利用料(億ドル/サイト。契約単価非公表につき推定))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。操作画面型SaaSはサイト数0.80倍・単価1.06倍。10年後以降の成長0%。
倍率:期末自己資本60.6億ドルからROE13.2÷60.6=21.8%。普通の堀の超過収益残存1/2、k8.5%、g_long2.5%でRONIC約15.1%、10年目のGAAP利益に掛ける正当化PER上限約14.26倍。広告・SaaSのAI代替を数量・価格・長期成長に直接織り込んだため式の上限を使用。事業外余剰現金4.0億ドルの税後利息0.056億ドルを純利益から引き、4.0億ドルを足す。時価総額=(13.2−0.056)×14.26+4.0=191.4334億ドル。ROEを売上成長の根拠に使っていない。
確率:食料品通販の拡大は確度が高い一方、競争によるシェア低下と広告単価の伸び悩みを織り込む中心的な道筋。
やや悲観 23% やや悲観:値引きとAIの広告代替で収益力が薄まる 利益 4 億ドル · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 16.63 ドル39 億ドル
食料品のネット販売市場は2035年に約5,500億ドルまで大きくなるが、インスタカートの年間注文は4.0億件にとどまる。ウォルマートは店頭同一価格と会員制で大口注文を囲い込み、ドアダッシュとウーバーは小口注文を奪う。買い物額が物価で上がっても、同社の実効手数料率が低下し、1注文の取引収入は8.40ドルまでしか増えない。
広告の表示面はAIエージェントに一部置き換わる。ブランドはクリックではなく外部AI経由の購入成果へ予算を移し、広告収入は1注文当たり2.65ドルにとどまる。小売業者向けSaaSの利用サイトも260まで減り、更新契約の値上げはほとんど通らない。広告の厚い利益が失われるため、全社の営業利益は2025年を下回る。
初期には自社株買いを続けるが、後半は成長投資と現金維持へ切り替える。10年間の純利益累計40.5億ドルのうち、株式報酬を控除した正味27億ドルを還元する。余剰現金の一部は再投資と事業再編に使われ、2035年には3億ドル程度が残る。
- 食料品注文・配達・会員の取引収入:数量 4.0(年間取扱注文数(億件。2025年は3.388億件))× 価格 8.40(1注文当たり取引収入(ドル/件。2025年の平均取扱額約110ドル×実効手数料率約7.2%))→ 売上 34 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場比率は概算11%。物価上昇による買い物額の増加分を手数料に転嫁できない。
- 購買データに基づくリテール広告:数量 4.0(広告が接触する自社注文量の代理指標(億件/年)。提携小売サイトの追加在庫は単価側に反映)× 価格 2.65(1注文当たり広告売上(ドル/件。自社媒体と提携先広告の収益配分を含む実効値))→ 売上 11 億ドル・営業利益 4 億ドル。AIによる検索広告の飛び越しで、広告単価の伸びが止まる。
- 小売業者向け通販・業務ソフト:数量 260(店舗向け通販システムを使う小売サイト数(サイト、2025年380超を便宜上380))× 価格 0.00(年間1サイト当たりソフト利用料(億ドル/サイト。契約単価非公表につき推定))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。画面型ソフトの顧客離れにより260サイト、単価は2025年比約1.03倍。
倍率:ROE3.65÷40.6=9.0%で資本コスト8.5%に近づき、広告の利益の質も低下。普通の堀、g_long2.5%の正当化PER上限約12.2倍をさらに控えめに見て10.0倍。中立14.26倍より低い。余剰現金は2025年の4億ドルの75%に当たる3億ドルとし、利息相当0.042億ドルをGAAP純利益3.65億ドルから引き、現金3億ドルを足す。時価総額=(3.65−0.042)×10.0+3.0=39.08億ドル。
確率:市場の拡大は続いても、大手の無料配送と買い物AIの普及によって収益率が低下する展開を重く見る。
悲観 17% 悲観:注文の入口と広告予算を失い、資産価値しか残らない 利益 0 億ドル · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3.58 ドル8 億ドル
2035年の米国食料品通販市場は約5,200億ドルへ広がるが、インスタカートの注文は2.4億件へ減る。小売の自社配送とドアダッシュ、ウーバーの配達網が注文を吸収し、取扱高の概算市場比率は7%前後となる。値引きを強いられ、1注文の取引収入は6.00ドルまで下がる。2025年の値段より低いのは、配達員報酬を価格に転嫁できず、取引の実効手数料が崩れるためだ。
広告は外部AIによる発注と食品メーカーの自前の広告計測に押され、1注文当たり1.95ドルしか得られない。業務ソフトも210サイトに縮み、解約が続く。全社売上は約19.4億ドルと2025年のほぼ半分になる。ケイパー撤退後も人員整理と資産減損が繰り返され、期間累計の純利益は途中の損失を含め20億ドルにとどまる。
初期の買戻しから株式報酬分を引いた10年間の正味還元は10億ドル。その後は還元を止め、食料品の実行網の一部だけが存続する。2035年の会計上の自己資本は37.1億ドルでも、資本コスト未満のROEしか稼げないため帳簿額を床にしない。基準時点の純現金と回収可能資産だけが株主を守る。
- 食料品注文・配達・会員の取引収入:数量 2.4(年間取扱注文数(億件。2025年は3.388億件))× 価格 6.00(1注文当たり取引収入(ドル/件。2025年の平均取扱額約110ドル×実効手数料率約7.2%))→ 売上 14 億ドル・営業利益 1 億ドル。2035年市場5,200億ドル・シェア概算7%。取引手数料率が大きく低下。
- 購買データに基づくリテール広告:数量 2.4(広告が接触する自社注文量の代理指標(億件/年)。提携小売サイトの追加在庫は単価側に反映)× 価格 1.95(1注文当たり広告売上(ドル/件。自社媒体と提携先広告の収益配分を含む実効値))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。AIエージェントが表示広告を飛び越し、小売側で広告購買データが内製化。
- 小売業者向け通販・業務ソフト:数量 210(店舗向け通販システムを使う小売サイト数(サイト、2025年380超を便宜上380))× 価格 0.00(年間1サイト当たりソフト利用料(億ドル/サイト。契約単価非公表につき推定))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。操作型ソフト利用数0.55倍・価格は2025年並み。契約価値が毀損。
倍率:稼ぐ力が消え、ROE0.35÷37.1=約0.9%でk8.5%を大幅に下回るため、純現金と売却可能資産の税後回収価値を床とする。事業の稼ぐ力と余剰現金の合計は約6億ドル、純現金8.2億ドルと売掛金等の税後回収可能分0.2億ドルを合わせた資産の床は8.4億ドルであり、大きい方の8.4億ドルを採用する。PBR換算では基準時点の自己資本27.1億ドルに対して8.4÷27.1=約0.309963倍となる。10年後に留保で増えた37.1億ドルには掛けない。過去の谷の市場PBRは参照しない。
確率:AIエージェントの台頭、直販化、配達員規制が重なって構造的に負ける尾部事象。単独存続しても値決め力が失われるため17%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
食料品注文・配達・会員の取引収入
インスタカート市場とスーパーの自社通販を通る注文から、商品代金ではなく決済・配達・会費・小売手数料の純額を得る。物流と小売業者の接続が価値の中心であり、席数課金ソフトには分類しない。
| 数量年間取扱注文数(億件。2025年は3.388億件) | 価格1注文当たり取引収入(ドル/件。2025年の平均取扱額約110ドル×実効手数料率約7.2%) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.4 | 7.90 | 27 | 2 |
| 10 年後 中立 | 5.6 | 11 | 59 | 7 |
取り方:2025年10-Kの年間注文338.8百万件と取引収入2,677百万ドルを使用。数量3.388億件×単価7.90142ドル=26.77億ドル。対応する総取扱高372.24億ドル、平均買い物額約109.9ドル、収益率7.2%。小売業者の自社通販経由も同社の取扱注文に含め、独立したSaaS収入に二重計上しない。2025年の部門利益は未開示なので、全社GAAP営業利益6.2億ドルを広告等と配分し、取引部門2.0億ドルは推定値と明記する。2025年の米国食料品通販シェア17.2%はイーマーケター推計。
購買データに基づくリテール広告
ブランドが購入直前の広告枠と効果測定に対価を払う。自社媒体と提携小売サイトの広告枠販売であり、広告制作・人月請負ではない。
| 数量広告が接触する自社注文量の代理指標(億件/年)。提携小売サイトの追加在庫は単価側に反映 | 価格1注文当たり広告売上(ドル/件。自社媒体と提携先広告の収益配分を含む実効値) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.4 | 2.97 | 10 | 5 |
| 10 年後 中立 | 5.6 | 4.10 | 23 | 11 |
取り方:10-Kの広告・その他売上10.65億ドルはほぼ全て広告とされるが店舗向けSaaSが混じるため、広告10.05億ドル、SaaS0.60億ドルを分析上の仮定として分割。広告10.05億ドル÷3.388億注文=2.96635ドル/件。9,000超の広告ブランドと310超の連携媒体は会社の開示。広告部門のGAAP営業利益は非開示で、部門利益4.5億ドルは推定。米国小売媒体広告市場は2025年約588億ドルで、同社の広義シェアは2%弱。AIエージェント代替は広告の入口減少として注文量と実効単価に反映する。
小売業者向け通販・業務ソフト
ストアフロント、注文管理、商品棚分析などのソフト利用料。操作画面・分析サービスにAIエージェント代替が当たる。加盟店の在庫や会計の正式な記録は独占していない。
| 数量店舗向け通販システムを使う小売サイト数(サイト、2025年380超を便宜上380) | 価格年間1サイト当たりソフト利用料(億ドル/サイト。契約単価非公表につき推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 380 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 304 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年10-Kの小売業者向け通販サイト380超が数量の代理指標。広告・その他10.65億ドルのうち約0.60億ドルをSaaSと推定し、1サイト約15.8万ドル/年へ割る。会社は正確なソフト売上とサイト別料金を開示しないため推定幅が大きく、この金額が確認された実績とは主張しない。380サイトに運用・画面サービスを代表させ、2025年の部門営業損失0.1億ドルは共通費の配分推定。AIエージェント代替の席・画面型として中立数量0.80倍、単価1.06倍、当該部分のg_longは0%とし、独自データと正式な記録の正本を混同しない。
リスクと懸念
注文の入口を奪うAIエージェント代替
献立提案から発注までをグーグルなどのAIエージェントが代行すると、検索結果画面の広告枠が売れにくくなる。配達と店舗接続の需要は残っても、顧客を最初に集める会社は変わる。自社の広告媒体には注文数と広告単価で影響を入れ、小売向け操作ソフトには利用サイト数と実効価格で減速を織り込んだ。
ウォルマート・アマゾン・配達大手との競争
ウォルマートの店舗網とアマゾンの会員配送は、客にとって宅配の代わりとなる。ドアダッシュとウーバーも食料品を増やし、価格同一化を求める小売業者の交渉力も強い。2025年の取引収入率7.2%が下がると注文数が増えても営業利益が伸びなくなる。
広告の集中と小売側の内製化
広告は高収益だが、小売媒体広告市場ではアマゾンとウォルマートが追加予算の大半を得る。クローガーなどの小売業者が自前の広告網と顧客IDを強化すると、インスタカートの提携媒体への依存度が高まる。広告を外部のAIが最適化するほど、クリック課金と検索順位の値決め力も落ちる。
配達員の労働分類と費用
米国の州・都市で買い物代行者を従業員として扱う義務や最低報酬が強まれば、配達の変動費が増える。インスタカートは商品を在庫として持たずとも、配達員の確保と事故補償の支出から逃れられない。手数料を値上げできなければ、取引部門の営業利益率を大きく削る。
買収交渉と株主の受取条件
2026年10月にドアダッシュとの買収交渉が報じられたが、正式合意や対価の確定は確認できない。株式対価なら買い手の株価に、現金対価なら独禁審査と成立条件に株主の取り分が左右される。交渉決裂の場合は本業だけが残るため、報道価格を本質価値の床にはできない。
買収失敗・株式報酬・流動性の消耗
2021年に買ったスマートカートから2026年に撤退し、0.55~0.80億ドルの税前費用が生じる。2025年の自社株買いはフリーキャッシュフローを上回り、株式報酬も3.5億ドルある。買収を繰り返したり割高な株価で買戻しを続けたりすると、純現金が減り、会計上の利益ほど持分価値が増えない。
今後の分かれ目
- 年間注文数が2028年まで2桁増で推移し、1注文当たり取引収入が物価に近いペースで伸びたら
- 需要の拡大に値決め力が伴っている証拠となり、やや楽観・楽観の比重を上げる。単に割引で注文数だけ増えた場合は据え置く。
- 広告・その他収入のGTV比率が3%台を維持し、広告ブランド数が増え続けたら
- 購買データを媒体収益に変える堀が維持されており、広告の利益率と長期成長率を上に見直す。提携媒体での収益分配費用も確認する。
- グーグルなどのAI経由の注文は伸びるのに、自社広告収入が注文数を下回る伸びになったら
- 買い物の入口がAIへ移り、広告の実効単価が下がる兆候と判断してやや悲観側へ寄せる。取引収入そのものを重複して減らさない。
- ストアフロント系の契約サイト数が縮小し、業務ソフトの単価更新も止まったら
- 画面依存SaaSのAIエージェント代替が表面化したとみる。広告や配達と分け、当該小部門の数量と価格を引き下げる。
- 独立した第三者への売却が正式契約となり、対価・株式比率・独禁審査条件が示されたら
- 単独会社の2035年価値と切り離し、成立確率と株主の実際の受取対価で評価し直す。未成立の段階で170億ドルを利益に加えない。
- 自社株買いが自由現金収支の範囲に収まり、株式報酬控除後の還元が継続して増えたら
- 自己資本を毀損しない資本配分として評価し、資本効率と期末純現金の見通しを改善する。売上成長だけを根拠に倍率は上げない。
- 配達員の雇用規制で費用率が上昇し、店頭と同価格の販売が維持されたら
- 手数料への転嫁余地が限られるため取引部門の営業利益率を低下させ、やや悲観または悲観の確率を高める。
見ておくもの
- 四半期の注文数、注文当たりGTV、取引収入率と広告・その他収入率
- 店頭同一価格の加盟店割合、2025年の食料品通販シェア17.2%との比較
- 広告ブランド数、310超の連携媒体数、媒体費用控除後の広告利益率
- グーグル・ジェミニや他社AI経由の注文と広告収入の伸びの差
- ストアフロント利用サイト数、契約更新率、AI分析ソフトの実売上
- GAAP営業利益率、株式報酬、FCF、正味の自己株買い、現金残高
- ドアダッシュによる買収交渉の正式合意の有無と当局審査、Caper撤退費用
倍率と資本コストの決め方
2025年の注文3.388億件と取引収入26.77億ドル、広告・その他10.65億ドルを出発点とした。広告・ソフトの非公表内訳は推定と明記した。2035年の注文数は市場の実質拡大と同社シェアを分け、1件当たり手数料には物価1.41倍と競争による値引きを別々に入れた。ROEから売上を逆算していない。
中立の帳簿ROEは13.2÷60.6=21.8%。普通の堀では増分超過収益の残存を半分とし、k8.5%、g2.5%からRONIC約15.1%、10年目利益に対する正当化PER上限約14.26倍を得る。AIによる縮小を数量・単価・長期成長に反映したうえで上限を使った。市場の現在・過去のPERや競合の株価は使っていない。純現金の事業外4億ドルは1ドルを1ドルで加算し、受取利息相当を利益から引いた。悲観のPBRは将来37.1億ドルでなく基準時点の自己資本27.1億ドルに掛ける。買収報道による株価変動を独立企業の利益に混ぜず、10年の割引価値約112.4億ドルは台帳時価総額約132.6億ドルを約15.2%下回る。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国基本8.0%に四要素の合計+0.5%を加えた8.5%。競争と買収交渉の個別リスクは成長率・利益率・確率で扱い、βや市場の評価倍率は用いない。存続危機による上乗せは不要。