結論
NVR は米国の住宅建設会社(ライアン・ホームズ、NVホームズ、ハートランド・ホームズ)で、2025 年の引き渡しは 21,915 戸(米国の新築一戸建て販売の約 3.2%、推定)、売上 101 億ドル、純利益 13.4 億ドル。最大の特徴は区画(宅地)を自分で持たず、大手の土地開発会社から手付金つきの契約で買う仕組みで、2025 年末に約 17 万区画を契約で押さえながら自己資本は 39 億ドルと軽く、ROE は 34.7% と住宅建設の中で最も高い。
足元は弱い。2026 年 4〜6 月期は売上 23.3 億ドル(-10%)、純利益 2.37 億ドル(-29%)、住宅建設の粗利益率は 19.2%(前年 21.5%)。区画原価の上昇、値引き、契約済み区画の手付金の減損(0.22 億ドル)が重なった。一方、新規受注は 5,885 戸(+9%)、バックログは 10,998 戸(+9%)と増え、解約率は 15% に下がった。1〜6 月は自社株買いに 9.9 億ドルを使い、株数は前年比 -7%。
バリュー投資の観点では、「10 年後も存在し、今より強いか」に対し答えは「ある」。資本を使わず伸びられる構造が堀で、利益は循環で振れるのでならした営業利益率 14.5% で値付けする。市場(新築販売)× シェア × 価格(物価並み)で積み、資本コスト 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)と利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(筋書きの ROE − k)。土地を持たない仕組みは住宅建設の中では堀だが、景気で振れるので普通。上限 15.9 倍)の 8 割で倍率を決めると、10 年後の中立は純利益 21.8 億ドル・PER 約 12.8 倍で時価総額 285 億ドル(今の 1.8 倍)。総合の差は +16% の「やや割安」で、粗利益率が下がる中でも利益ベースの倍率でやや割安が残る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。住宅は生活の必需で、世帯形成と住宅不足が需要を支え、NVR の堀は資本を使わず伸びる仕組みと、株主還元を最優先する規律にある。ただし堀は「価格を決める力」ではなく「資本の軽さ」で、粗利益率は区画の値段(外部が決める)に押される。
オーナー利益で見ると、純利益 13.4 億ドルのうち成長に要る再投資は小さく(区画は契約で買い、在庫の回転も速い)、FCF は 2025 年に約 11 億ドルと純利益に近い。株式報酬は小さい。山の利益(2022 年 ROE 49%)が続くとは考えず、ならした営業利益率 14.5%・ROE 33% で値付けする。
安全域は、10 年の中立(PER 12.8 倍・時価総額 285 億ドル、還元込みの年率 +9.7%)が資本コスト 8.75% を上回る点と、構造で負ける悲観の 10 年でも稼ぐ力の内側(時価総額 58 億ドルと還元 69 億ドルで今の約 8 割)が残る点にある。予測しにくい部分は住宅ローン金利と区画原価で、確率で厚く見た。経営の資本配分は良いが、買い戻しの値段を気にしたい。循環株は山で買う失敗が多いので、確信は事業の質(高)に比べ値段(中)に控えめに置く。
何で稼ぐ会社か
売上の 98% 前後は一戸建て・タウンハウス・コンドミニアムの販売で、ブランドはライアン・ホームズ(主力。東部から南部へ広がる)、NVホームズ(高めの価格帯、ワシントン周辺)、ハートランド・ホームズ(ピッツバーグ周辺の高級帯)。平均の引き渡し価格は 45 万ドル前後で、買い手は初回購入者から買い替えまで広い。
稼ぎ方の核は土地の持ち方である。NVR は区画を自分で開発せず、大手の土地開発会社と、最大で購入価格の 10% の手付金を入れる契約(区画購入契約)を結び、家を建てる時点で完成区画を買う。2025 年末に約 16.9 万区画を契約で押さえる一方、自社の所有は約 2,300 区画の開発分だけで、2026 年 6 月末の管理区画は 18.4 万。需要が落ちた時の損は原則として手付金までに限られ(4〜6 月期に 0.22 億ドルの減損)、土地の価格下落で数十億ドルを減損する他社と構造が違う。
残りの売上は住宅ローン事業(NVR モーゲージ)で、売上は約 2 億ドル、税引前利益は 2026 年 4〜6 月期で 0.25 億ドル、自社の買い手の約 85% が使う。利益の中心は「引き渡し戸数 × 平均価格 × 粗利益率(今は約 19〜21%)− 販売管理費」で、固定費の割合が小さい分、数量の減り方に対し利益の振れが小さい一方、値引きと区画原価の上昇には素直に利益が減る。事業は米東部・中部大西洋が中心で、地域の集中が弱みでもある。
優良さと弱いところ
堀は、資本の軽さ、区画を契約で確保する仕組み、そして長年の規律。第 1 に、土地を持たないことで資本が軽く、ROE は 2014 年以降 25〜49%、純現金で借金も無い。需要が落ちた 2008〜09 年も営業利益率は 9% 前後(2012 年の最低で 7.2%)、株価の下げは -51% で、住宅建設の中で最も浅かった。第 2 に、約 85% が使う自社のローン会社が成約の確度を上げる。第 3 に、利益を成長ではなく自社株買いで還元する規律で、2014 年から株数が約 4 割減った。
弱点は 3 つある。価格を決める力が弱い(4〜6 月期の平均価格 -3%、受注の平均価格 -5%)。区画の値段は大手の土地開発会社が決めるので、粗利益率は 2024 年 10〜12 月期の 23.6% から 2026 年 4〜6 月期の 19.2% まで下がった。東部への集中が大きい。さらに、土地を持たない仕組みは他社にもまねされ(ホートンとレナーも「土地を軽く」する方向)、優位は少しずつ薄れる。経営は資本配分を最優先に守る会社で、買収は小さく、無駄な拡大をしない点は評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の新築一戸建て販売は年 65〜70 万戸で、2026 年 8 月は年率 68.4 万戸(前年比 -2.0%)、在庫は 8.5 か月分、販売価格の中央値は 39.4 万ドル(前年比 -5.8%)。住宅ローンは 30 年で 7% 前後、10 年国債が 5% なので下がらない。高金利で借りた人が今のローンを手放さず中古の売り物が出ない「ロックイン」のおかげで新築が増分を取っているが、買い手の月々の支払いは限界で、建築業者は価格を上げられず、値引きと金利の買い下げで数量を守る。
需要は世帯形成と構造的な住宅不足(300〜400 万戸、推定)が下を支える。供給側は、区画原価が上がり続け、建築原価(木材・人件費)は落ち着く。関税(木材・鋼)は今の水準が続く前提が中立。競争の形は上位 4 社(ホートン、レナー、プルトグループ、NVR)で新築の 3〜4 割(推定)を取り、残りは中小。入門向けはホートンとレナー(ホートンの粗利益率 20.7%、レナー 15.8%)が値引きで競り、プルトグループは中級〜高齢者向けで粗利益率 約 26%。NVR は中級帯で、インセンティブに頼る度合いが小さい。
循環上の位置は、山を過ぎて下がっている途中。NVR の売上は 2022 年の 104 億ドルから 2025 年は 101 億ドル、営業利益率は 19.9% から 14.3% へ下がったが、新築販売の崩れ方は 2007〜09 年(-70%)のような急落ではなく、横ばい圏の弱さにとどまる。
資本政策と M&A
還元のほぼ全部が自社株買いで、配当は出さない。2026 年 1〜6 月は 9.9 億ドル(約 14.5 万株)で、期末の株数は 267.8 万株、前年比 -7%。2025 年は約 18 億ドルで株数 -6.7%、2014 年からでは約 4 割の減少。純利益の約 130% を買い戻しに使う年も多く、現金等は 2025 年末の約 19 億ドルから 2026 年 6 月末の約 11 億ドルへ減った。
M&A は 2000 年代に小さな建築業者を買った程度で、近年は大型の買収をしない。他社に買われる可能性は低い(経営が自社株買いを重んじ、株式交換の買収に動く会社でもない)。
資本配分で見るべきは、「利益が落ちている時に高い PER で買う自社株買い」になっていないか。2026 年 1〜6 月の平均買い付け価格(買い戻し額 ÷ 株数)は今の株価より約 15% 高く、売上が 16% 落ちている中で純利益の 2 倍強を使った。今の PER 11.9 倍・PBR 4.1 倍なら高すぎないが、買い戻しが利益を超える状態が続くと、景気後退期に純現金が尽きる。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 10.1 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(28.5 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
土地を持たない仕組みは、景気の下りで最も強い。区画は手付金を失うだけで、他社のような土地の減損を出さず、2008〜09 年も赤字を出さなかった。足元の粗利益率 19.2% は 2024 年 10〜12 月期の 23.6% からの下りで、区画原価の上昇と値引きは永続しにくい。受注は +9%、バックログは +9% で、4〜6 月期の解約率は 15% に下がり、需要の底は見えている。活動コミュニティ数は +4% で、シェアは東部から南部へ広がっている。
ROE は 34.7% と高く、自社株買いで株数を毎年 5〜7% 減らす。純利益が横ばいでも 1 株の価値は年 6% 以上ふえる。金利が下がらなくても、ロックインの解消で中古の売り物が増えれば新築の買い手も増える。10 年後の新築 90〜100 万戸、価格は物価並みの 1.4 倍とすれば、営業利益は今の 1.8〜2.8 倍になり、資本を要さず伸びるので式の PER は 20 倍超が妥当になる。今の PER 11.9 倍は、利益が落ちた分をすべて織り込んでいる。
慎重な見方
利益は下りの途中である。2026 年 4〜6 月期の純利益は -29%、1〜6 月で -31%、住宅建設の税引前利益は -34%。粗利益率は 2024 年 10〜12 月期の 23.6% から 19.2% へ下がり、原因の区画原価の上昇は大手の土地開発会社が決めるので NVR が止められない。受注が +9% なのは、平均価格 -5% の値引きで買ったからで、バックログの平均価格も 47.2 万から 45.4 万ドルへ下がった。
自社株買いが利益の 2 倍強で、現金等が半年で約 8 億ドル減った。景気後退が来た時の備えが薄れている。東部への集中と、ホートン・レナーが「土地を軽く」する方向に動く中で、NVR の優位が薄れる。10 年国債が 5% なのに住宅ローンは 7% に張り付き、若い世帯の購入力は戻らない。式の PER は、資本コスト 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)と g 4% の差(k − g = 4.75%)に敏感で、k が 1 ポイント上がると倍率は 2 割ほど下がる。10 年後は、新築が 62 万戸で停滞し、区画の値上がりを転嫁できず粗利益率が 15% 台で定着する。
どちらに重みを置いたか
事業の質(資本の軽さ・赤字を出さない谷の浅さ)は強気の見方が強く、10 年の確率は楽観・やや楽観を 28% に置いた。一方、足元の粗利益率の下り(19.2%)と値引きによる受注、買い戻しの過大は慎重な見方に分があり、やや悲観 24%・悲観 14% と悲観側をやや厚くした。倍率は循環株として式の外で割り引かず、利益ベース(資本コスト 8.75%、上限 15.9 倍の 8 割で 10 年の中立 約 12.8 倍)。結論は「10 年でやや割安(差 +16%)。ただし倍率は資本コストに敏感で、利益率の下りが止まるかが分かれ目」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 9,694 ドル261 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 3,665 ドル99 億ドル)。 今の値に割り戻すと 6,600 ドル178 億ドル、今との差 +8.0%、 期待の年率 +8.1%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 18,798 ドル507 億ドル | 4,556 ドル123 億ドル | +282.2% | +14.3% | 1,868 ドル50 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 14,387 ドル388 億ドル | 4,259 ドル115 億ドル | +205.1% | +11.8% | 3,729 ドル101 億ドル |
| 中立 | 34% | 10,576 ドル285 億ドル | 3,926 ドル106 億ドル | +137.3% | +9.0% | 4,931 ドル133 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 5,909 ドル159 億ドル | 3,370 ドル91 億ドル | +51.8% | +4.3% | 2,227 ドル60 億ドル |
| 悲観 | 14% | 2,131 ドル58 億ドル | 2,183 ドル59 億ドル | −29.4% | −3.4% | 604.08 ドル16 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 9,694 ドル261 億ドル | 3,665 ドル99 億ドル | +118.6% | +8.1% | 13,359 ドル360 億ドル |
今の株価時価総額 6,111 ドル165 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:土地を持たない仕組みで全米に広がり、シェアと利益率がともに上がる 利益 35 億ドル · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 18,798 ドル507 億ドル
10 年後(2035 年 12 月期)、新築は年 100 万戸、NVR はシェア 3.6% で引き渡し約 3.6 万戸(今の 1.6 倍)。平均価格は 66.0 万ドル(10 年 1.46 倍。物価 1.41 倍に高めの間取りの混ざりを上乗せ)。区画を大手の開発会社から契約で買う仕組みは、資本を使わずに新しい地域へ出られる強みで、粗利益率は 23% 台、住宅建設の営業利益率は 18%(2022 年のピーク 19.9% に近い)。営業利益は 45 億ドル、純利益 34.5 億ドル。10 年の還元は 123 億ドル。倍率は正当化 PER 16.1 倍の 9.0 割にあたる 14.5 倍に置いた。
- 住宅建設:数量 1,000(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア)× 価格 2.38(シェア × 1 戸の平均引き渡し価格(万ドル)。2025 年 45.3 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.41 倍)→ 売上 238 億ドル・営業利益 43 億ドル。市場 1000 千戸・シェア 3.6%・平均価格 66.0 万ドル、税引前の営業利益率 18.0%
- 住宅ローン事業:数量 1,000(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 0.05(1 戸あたりの住宅ローン事業の売上(市場の千戸あたり、万ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 3 億ドル。住宅の戸数に連動(自社ローンの利用率 約 85% を保つ)、税引前利益率 55%
倍率:上限の正当化 PER 16.1 倍に対し、14.5 倍(9.0 割)に置いた。中立の 8.0 割に、利益の質がよい分を上乗せした(楽観 +1.0 割)。上限の中身は g 4.0%、RONIC 17.0%(k 8.75% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 25.3%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 34 億ドル × 14.5 倍(余った現金は別に足す)で 507 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:ロックインの解消・世帯形成・NVR のコミュニティ展開が重なる筋書き。10 年後の「優良さが保たれる側」として 8% に置いた。
やや楽観 20% やや楽観:新築 95 万戸、営業利益率 16.5% 利益 28 億ドル · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 14,387 ドル388 億ドル
10 年後、新築は年 95 万戸、NVR のシェアは 3.4% で引き渡し約 3.2 万戸。平均価格は 64.5 万ドル(10 年 1.42 倍)。粗利益率は 22% 台、住宅建設の営業利益率は 16.5%。営業利益は 37 億ドル、純利益 27.9 億ドル。競合のレナー・ホートンが入門向けで値下げ競争を続ける一方、NVR は中級帯でインセンティブに頼らず利益率を守る。10 年の還元は 115 億ドル。倍率は正当化 PER 16.1 倍の 8.5 割にあたる 13.7 倍に置いた。区画を契約で押さえる方式で資本を使わず、新しい地域へ出て規模を伸ばす筋書きである。
- 住宅建設:数量 950(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア)× 価格 2.19(シェア × 1 戸の平均引き渡し価格(万ドル)。2025 年 45.3 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.41 倍)→ 売上 208 億ドル・営業利益 34 億ドル。市場 950 千戸・シェア 3.4%・平均価格 64.5 万ドル、税引前の営業利益率 16.5%
- 住宅ローン事業:数量 950(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 0.04(1 戸あたりの住宅ローン事業の売上(市場の千戸あたり、万ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 2 億ドル。住宅の戸数に連動(自社ローンの利用率 約 85% を保つ)、税引前利益率 55%
倍率:上限の正当化 PER 16.1 倍に対し、13.7 倍(8.5 割)に置いた。中立の 8.0 割に、利益の質がよい分を上乗せした(やや楽観 +0.5 割)。上限の中身は g 4.0%、RONIC 16.9%(k 8.75% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 25.0%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 28 億ドル × 13.7 倍(余った現金は別に足す)で 388 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:世帯形成が続き、NVR がコミュニティを増やしてシェアが微増する筋書き。業界ノートの楽観より少し低く 20% に置いた。
中立 34% 中立:新築 90 万戸、ならした営業利益率 14.5% 利益 22 億ドル · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 10,576 ドル285 億ドル
10 年後、新築は年 90 万戸(今の 1.3 倍)、NVR のシェアは 3.2% を保って引き渡し約 2.9 万戸。平均価格は 63.9 万ドル(10 年 1.41 倍、物価並み)。売上は 184 億ドル(今の 1.8 倍)。粗利益率は 21% 前後、住宅建設の営業利益率は景気の山谷をならして 14.5%(2014〜2025 年の平均 約 13.6% より少し上、直近の 14.3% と同じ)。営業利益は 29 億ドル、純利益 21.8 億ドル、ROE 22%(帳簿)。10 年の還元は 106 億ドル。優良な成熟した循環企業としての評価に収まる。倍率は正当化 PER 15.9 倍の 8.0 割にあたる 12.8 倍に置いた。
- 住宅建設:数量 900(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア)× 価格 2.04(シェア × 1 戸の平均引き渡し価格(万ドル)。2025 年 45.3 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.41 倍)→ 売上 184 億ドル・営業利益 27 億ドル。市場 900 千戸・シェア 3.2%・平均価格 63.9 万ドル、税引前の営業利益率 14.5%
- 住宅ローン事業:数量 900(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 0.04(1 戸あたりの住宅ローン事業の売上(市場の千戸あたり、万ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 2 億ドル。住宅の戸数に連動(自社ローンの利用率 約 85% を保つ)、税引前利益率 55%
倍率:上限の正当化 PER 15.9 倍に対し、12.8 倍(8.0 割)に置いた。新しく投じる資本の稼ぎは先で薄れるので 8.0 割に置いた。上限の中身は g 4.0%、RONIC 16.5%(k 8.75% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 24.2%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 22 億ドル × 12.8 倍(余った現金は別に足す)で 285 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:業界ノートの中立(新築は年 +2.5% で 90 万戸、価格は物価並み、粗利益率は横ばい)に沿う。
やや悲観 24% やや悲観:価格が物価に届かず、利益率が 12% に下がる 利益 13 億ドル · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 5,909 ドル159 億ドル
10 年後、新築は年 80 万戸にとどまり、NVR のシェアは 3.0%、引き渡し約 2.4 万戸。平均価格は 56.0 万ドル(10 年 1.24 倍。物価 1.41 倍に届かない:買い手の月々の支払いが限界で、小さな家と値引きで抑える)。区画原価の上昇(直近の粗利益率低下の主因)を価格に転嫁できず、粗利益率は 18% 台、住宅建設の営業利益率は 12%。営業利益は 18 億ドル、純利益 13.4 億ドル。10 年の還元は 91 億ドル。倍率は正当化 PER 15.3 倍の 7.5 割にあたる 11.5 倍に置いた。
- 住宅建設:数量 800(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア)× 価格 1.68(シェア × 1 戸の平均引き渡し価格(万ドル)。2025 年 45.3 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.41 倍)→ 売上 134 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 800 千戸・シェア 3.0%・平均価格 56.0 万ドル、税引前の営業利益率 12.0%
- 住宅ローン事業:数量 800(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 0.03(1 戸あたりの住宅ローン事業の売上(市場の千戸あたり、万ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 2 億ドル。住宅の戸数に連動(自社ローンの利用率 約 85% を保つ)、税引前利益率 55%
倍率:上限の正当化 PER 15.3 倍に対し、11.5 倍(7.5 割)に置いた。中立(8.0 割)より 0.5 割低くした。利益の質が悪い筋書きだからだ。上限の中身は g 4.0%、RONIC 14.6%(k 8.75% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 20.5%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 13 億ドル × 11.5 倍(余った現金は別に足す)で 159 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:金利が高いまま若い世帯の購入力が戻らず、土地原価の上昇を価格に転嫁できない筋書き。足元の粗利益率の低下が続く向きなので 24% に厚く置いた。
悲観 14% 悲観:構造的に負ける(新築 62 万戸で停滞、区画原価に利益を食われる) 利益 6 億ドル · PBR 1.5 倍 · 株価時価総額 2,131 ドル58 億ドル
10 年後、住宅ローン金利が高いまま購入力が戻らず、新築は年 62 万戸で停滞する。NVR はシェア 2.8% に下がって引き渡し約 1.7 万戸、平均価格は 48.0 万ドル(10 年 1.06 倍。物価に大きく届かない)。大手の土地開発会社が区画の値段を上げ続け、NVR の契約の優位が薄れて粗利益率は 15% 台で定着し、住宅建設の営業利益率は 8.5%。営業利益は 8 億ドル、純利益 6.1 億ドル。もう高 ROE の会社ではなく、ならした ROE は 14% に下がる。10 年の還元は 59 億ドル。
- 住宅建設:数量 620(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア)× 価格 134.4%(シェア × 1 戸の平均引き渡し価格(万ドル)。2025 年 45.3 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.41 倍)→ 売上 83 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 620 千戸・シェア 2.8%・平均価格 48.0 万ドル、税引前の営業利益率 8.5%
- 住宅ローン事業:数量 620(米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 0.03(1 戸あたりの住宅ローン事業の売上(市場の千戸あたり、万ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。住宅の戸数に連動(自社ローンの利用率 約 85% を保つ)、税引前利益率 55%
倍率:谷に近い純利益(6.1 億ドル)に PER を掛けると二重に下げるので、自己資本に PBR を掛けて測る。PBR は式 (ROE − g)/(k − g) に、ならした ROE 14%・g 3.0%(市場の伸び 0%・価格 3.0%、シェア横ばい)・k 8.75% を入れると 1.91 倍だが、悲観は稼ぐ力(純利益 6.1 億ドル ÷ k 8.75% = 約 70 億ドル)の内側に置き、今の自己資本 39 億ドルの 1.49 倍(約 58 億ドル)とした(自己資本に掛けるので ×(1+g) はしない)。市場の値付けには寄せていない。純現金は自己資本に含まれ、別に足さない。
確率:リーマン級の不況に加え、構造の負けが起きる。新築が 62 万戸で停滞し、土地・人件費・関税を転嫁できず、NVR も優良な高 ROE の会社ではなくなる。確率は 14% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
住宅建設
ライアン・ホームズ・NVホームズ・ハートランド・ホームズの一戸建て・タウンハウスを区画購入契約で建てて引き渡す。売上の約 98%。
| 数量米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア | 価格シェア × 1 戸の平均引き渡し価格(万ドル)。2025 年 45.3 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.41 倍 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 680 | 146.0% | 99 | 15 |
| 10 年後 中立 | 900 | 2.04 | 184 | 27 |
取り方:市場は米国の新築一戸建て販売 年 68 万戸(2025 年、Census と業界ノート)。NVR の引き渡し 21,915 戸でシェア 3.22%、平均価格 45.3 万ドル。売上 = 市場 × シェア × 平均価格 × 0.1(千戸 × 万ドル → 億ドル)。営業利益は住宅建設の税引前利益に近い値で、純利益 13.4 億ドルと、2026 年 1〜6 月の税率(約 24%)で戻した税引前利益 約 16 億ドルから住宅ローン事業の 1.1 億ドルを引いた値(kabufu の営業利益 14.3 億ドルとは定義がずれる。2025 年の税率は株式の権利行使の節税で低かった)。競合はホートン(約 12.6%)、レナー(約 12%)、プルトグループ(約 4%)。
住宅ローン事業
NVR モーゲージ。自社の買い手の約 85% にローンを出し、組成後は売却する。
| 数量米国の新築一戸建て販売(千戸)× NVR のシェア(自社ローンの利用に連動) | 価格1 戸あたりの住宅ローン事業の売上(市場の千戸あたり、万ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 680 | 0.03 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 900 | 0.04 | 4 | 2 |
取り方:2026 年 4〜6 月期の融資実行額 13.5 億ドル、税引前利益 0.25 億ドル(1〜6 月 0.53 億ドル)から、通年の売上は約 2 億ドル、税引前利益は約 1.1 億ドル(推定)。住宅の戸数と自社ローンの利用率(85%)に連動すると置いた。
リスクと懸念
区画原価と粗利益率の下り
区画の値段は大手の土地開発会社が決める。粗利益率は 2024 年 10〜12 月期の 23.6% から 2026 年 4〜6 月期の 19.2% まで下がり、「区画原価の上昇」を会社自身が主因に挙げる。価格に転嫁できなければ営業利益率は 12% 台へ下がる。
景気後退と循環の落ち込み
2007〜09 年は新築が約 70% 減り、NVR の株価も -51%。土地を持たないので赤字は避けられ、営業利益率も 9% 前後を保ったが、売上は 5 割近く減った。2020 年 3 月(-33%)と 2022 年の利上げ(-32%)でも株価は下げており、数量が落ちる局面は何度も来る。
値引きによる受注と平均価格の下落
4〜6 月期の受注は +9% だが平均価格は -5%、バックログの平均価格も 47.2 万から 45.4 万ドルへ下がった。数量を値下げと小さめの間取りで買う局面が続くと、粗利益率がさらに下がり、バックログが増えても利益は増えない。
東部への地域集中
売上の大半は中部大西洋・北東・南東の一部。ワシントン周辺の政府関連の雇用や、特定地域の需要の落ち込みが利益に直接響く。南部・中西部への展開は進むが、新しい地域では区画を供給する開発会社と施工の人手を一から確保する必要があり、資本の軽さの利点が出るまで時間がかかる。
自社株買いの過大
2026 年 1〜6 月に 9.9 億ドルを買い戻し、純利益 4.3 億ドルの 2 倍を超えた。現金等が約 8 億ドル減り、景気後退期の備えが薄れる。1 株の価格が高く、買い付け価格が内在価値を上回る年は価値を壊す。
土地を軽くする仕組みの普及
ホートン(フォレスターの区画供給)やレナーも土地を軽くする方向に動く。区画を契約で押さえる大手が増えると、同じ開発会社の区画を取り合うことになり、NVR の優位が薄れて区画原価がさらに上がる。NVR 自身の 10 年前の強みが、業界の標準になっていく危険である。
関税・移民政策
木材・鋼への関税が上がれば建築原価が上がり、転嫁できなければ粗利益率が下がる。移民の受け入れが減れば下請けの人件費が上がり、世帯形成も鈍って需要が減る。どちらも会社の力では動かせない外部の変数であり、見通しの幅を広げる。
今後の分かれ目
- 区画原価の上昇が止まり、粗利益率が 21% に戻ったら
- 営業利益率は 16% 台へ戻り、楽観・やや楽観の確率を上げる。純利益は 2025 年の水準を上回って伸びる。
- 住宅ローン金利が下がらず、受注の平均価格の下落(-5%)が続いたら
- やや悲観の確率を上げる。粗利益率は 17% 台へ下がり、純利益は 2025 年より 3 割少ない水準が続く。
- 新築販売が 2007〜09 年のように急に減り(年率 50 万戸割れ)、解約が 25% 超になったら
- 悲観(純利益が大きく落ち、倍率が縮む)に当たる。土地を持たないので倒産の心配は小さく、株主の損は主に倍率の縮みである。
- 自社株買いが純利益を超え続け、現金等が 5 億ドルを割ったら
- 資本配分の評価を下げ、景気後退への備えが薄いとして悲観側の確率を上げる。
- 区画の確保競争で、大手の土地開発会社が区画購入契約の条件(手付金・価格)を厳しくしたら
- 土地を持たない優位が薄れる。ROE をならして下げ、倍率を式で引き直す。
- 南部・中西部での展開が進み、シェアが 3.5% を超えたら
- 資本をかけずにシェアが伸びる証拠で、楽観・やや楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 住宅建設の粗利益率(19.2%)と区画原価の伸び
- 新規受注の戸数・平均価格・解約率(15%)とバックログ(10,998 戸)
- 新築販売の年率戸数と在庫月数、住宅ローン金利(30 年)
- 自社株買いの額と現金等(2026 年 6 月末 約 11 億ドル)
- 管理区画の数(18.4 万)と区画購入契約の手付金・減損
- 平均の活動コミュニティ数(442、+4%)と地域別の受注の吸収率
- ホートン・レナー・プルトグループの粗利益率との差
倍率と資本コストの決め方
今の PER 11.9 倍・PBR 4.1 倍を見る前に、新築市場(68 万戸)× シェア(3.22%)× 価格(10 年 1.41 倍)で売上を、営業利益率で利益を積み、そのあと ROE・g・k から倍率を決めた。資本コストは基本 8.0% + quality +0.75% の 8.75%。10 年の中立は g 4%・筋書きの ROE 24%(余った現金を除く)・k 8.75% の利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(筋書きの ROE − k)。土地を持たない仕組みは堀だが、景気で振れるので普通)の上限 15.9 倍の 8 割、約 12.8 倍とした。過去や今の PER には寄せず、式の外の割り引きもしていない。悲観は稼ぐ力(純利益 ÷ k)の内側に置いた。結果は 10 年でやや割安(差 +16%)で、今の株価に寄せていない。確信は、利益率の下りが読めない点で 1 段下げた。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β 0.95 × 5%。資本コスト k = 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%(v2。株価の揺れ(β)は使わない)。住宅は景気と金利で需要が振れるので cycle で見たが、土地のオプション方式で資産が軽く純現金で、同業より振れは小さい。個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と確率、悲観の深さで表した。extra は 0。