結論
ホーム・デポは、米国の住宅の修繕・改装で約 3 割の占有率を持つ世界最大のホームセンターで、約 2,350 店の店舗と通販、そして SRS・GMS を加えたプロ向けの建材流通を持つ。2025 年度(2026 年 2 月 1 日終了)は売上 1,647 億ドル(+3.2%)、営業利益 209 億ドル(営業利益率 12.7%)、純利益 142 億ドル、既存店は +0.3% にとどまった。2026 年 5〜7 月期は売上 479 億ドル(+5.7%。うち GMS の買収分 14 億ドル)、既存店 +1.7%(米国 +1.3%)で、通期の見通しは売上 +2.5〜4.5%、営業利益率 12.4〜12.6% を据え置いた。
事業の質は高い。売上の約半分を占めるプロ向けは、品ぞろえ・在庫・配送・与信が一体で、小さな店に取り替えにくい。ただし住宅は、高い住宅ローン金利で中古の売買が止まり、大型案件が延期される局面が 3 年続き、営業利益は 2022 年の 240 億ドルから 209 億ドルへ減った。2024〜25 年の SRS(約 182 億ドル)と GMS(約 55 億ドル)の買収で純負債は 640 億ドルに膨らみ、自社株買いは止まり、自己資本は 128 億ドルしかない。
バリュー投資の観点では、値段との釣り合いを見る。資本コストは 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)で、事業の ROE 34〜42%(ROIC から直した値)・g 4% の利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k))の上限は 17.1 倍。利益の質が高く住宅の振れも小売の中では小さいので上限の 9 割の約 15.4 倍に置くと、今の PER 21.8 倍よりかなり低い。事業ごとに市場 × 占有率 × 価格(10 年で物価並みの約 1.4 倍)を積むと、10 年後の中立は営業利益 321 億ドル、純利益 219 億ドルで、時価総額は約 3,366 億ドルと今の 1.1 倍。配当込みの年率は +4.8% で資本コストに届かない。純負債 640 億ドルを抱えるため悲観の確率を厚く(10 年 14%)置くと、総合の差は -24% でやや割高。「優良な事業だが、値段は先を織り込んでいる」が結論である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後を問う。ホーム・デポは、家を持つ人が続く限り修繕と改装の需要が続く事業で、わからなさは小さい。築 40 年の住宅、プロとの長い関係、店舗網という堀は、10 年後も存在する可能性が高く、むしろ SRS・GMS でプロ向けの外側まで広がる分だけ堀は広がる。
次にオーナー利益を見る。純利益 142 億ドルに償却を足し、設備投資を引いたフリーキャッシュフローは 126 億ドルで、株式報酬の約 5 億ドル(推定)を引くと約 121 億ドル。今の時価総額 3,081 億ドルに対する利回りは約 3.9% で、10 年国債の 5% を下回るが、国債と違って利益は物価についていく。配当の利回りは約 3%。成長が年 +4% 台なら、この利回りに足して 8% 前後で、資本コスト 8.75% にわずかに届かない。
資本配分は、SRS・GMS という大型買収が最大の論点。約 240 億ドルを投じ、買収価格に見合う利益が出るかは 3〜5 年で見えてくる。自社株買いは 2020 年代前半に年 70〜150 億ドルを続け、買収後に止めた。倍率の高い局面で買っていた面が否めない。
安全域は厚くない。中立の 10 年後で配当込みの年率は +4.8% と資本コスト 8.75% に届かず、楽観(10 年で確率 10%)でも年率 +8% 前後、構造的に負ける悲観でも時価総額と還元の合計は今の約 79% 残る。わからない事業ではない代わりに、債務の重さが下振れを深くする。値段はやや高く、住宅の停滞で株価が下がる局面を待つ価値もある。
何で稼ぐ会社か
ホーム・デポの売上は大きく 3 つに分かれる。一つめは米国の店舗と通販(2025 年度の売上 約 1,360 億ドル)。大型の倉庫型店舗で、建材・工具・電気・水回り・園芸・家電・塗料などを売る。客は一般の持ち家の所有者(自分で直す人と、業者に頼む人)と、工務店・リフォーム業者などのプロの 2 層で、プロが売上の約半分を占める(開示は幅があり約 5 割と推定)。プロは 1 回の購入額が大きく、来店の頻度が高く、品切れと配送の遅れを嫌うので、店舗の在庫、当日配送、プロ専用の与信(プロ・クレジット)が堀の中心になる。
二つめはカナダとメキシコの店舗(約 150 億ドルと推定、営業利益率は米国よりやや低い)。三つめは 2024 年に約 182 億ドルで買ったスペシャルティ・リソース・サプライ(SRS。屋根材・造園・プール用品の流通)と、2025 年 9 月に約 55 億ドルで買って完了した GMS(石こうボード・天井材・鉄骨下地の流通、約 300 の拠点)を合わせた、プロ向けの建材流通(2025 年度 約 140 億ドル。GMS は期中の 5 か月分のみで、2026 年度から通年)。店舗で扱いにくい大口・配送中心・現場への直送の領域で、ホームセンターの店舗網が届かなかった取引を取りに行く動きである。流通は営業利益率が店舗より低く(買収で積んだ無形資産の償却を含めて約 9%)、利益の大半はなお店舗が稼ぐ。
利益の構造は、仕入れの規模(年 1,000 億ドル超の商品調達)による粗利益率 33% 前後、店舗の固定費の高い運営(人件費と店舗の運営費)、営業利益率 12〜15% という形である。本部費は各事業に配分されているので、セグメントごとの営業利益は推定で置いた(店舗 180 億ドル、海外 17 億ドル、流通 12 億ドル。いずれも開示が薄いため、how に推定の方法を書いた)。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第 1 は規模と店舗網で、年 1,000 億ドル超の仕入れが価格と品ぞろえの力になり、これに並ぶのは国内ではロウズ(Lowe's)だけ。ホームセンターは 2 強で、米国の売上の約 5 割を占める(推定)。第 2 はプロとの関係で、プロ専用の与信、配送、取引先ごとの価格、プロ用の品ぞろえが、1 度使い始めると切り替えにくい。第 3 はブランドで、「自分で直す」ときの最初に思い出す店舗である。第 4 は SRS・GMS を加えた建材流通で、店舗に来ないプロの大口取引を取り込む。
資本効率は非常に高い。過去 12 期の営業利益率は 12.7〜15.3% で、2008〜10 年の底(7.4〜8.6%)は今の水準から遠い。ROE は 110% だが、これは自社株買いを続けて自己資本を 128 億ドルまで削った結果で、実態は投下資本利益率(純負債 640 億ドル + 自己資本)で見るべき。税引き後営業利益 約 160 億ドル ÷ 投下資本 約 770 億ドル = 20% 台。経営は現場主義の伝統が強く、現 CEO のテッド・デッカー(2022 年〜)は SRS・GMS の買収を決めた。
弱みは 3 つ。(1)住宅の回転率が低い間は、大型案件(キッチン・浴室・屋根)が延期され、既存店が伸びない(2025 年度 +0.3%)。(2)買収で純負債 640 億ドル(EBITDA の約 2.3 倍と推定)となり、自社株買いを止めた。(3)営業利益率が 12.7% まで下がり、2022 年のピーク 15.3% から 2.6 ポイント低い。物価 3.5% の世界でも、値上げで人件費と関税を吸収しきれていない。事業の質は高いが、いま優良さが一時的に薄まっている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の住宅リフォーム市場は約 5,000 億ドル(推定)で、2025 年は前年比ほぼ横ばい。要因は 3 つ。第 1 に、住宅ローン金利が高い局面で低い金利で借りた持ち家の所有者が売らず(ロックイン効果)、中古住宅の回転率が低水準。引っ越さない代わりに直す需要が出るが、大型案件は借入が重く延期される。第 2 に、持ち家の平均築年数は約 40 年と古く、修繕の需要そのものは底堅い。第 3 に、2025 年の IEEPA 関税は工具・家電・建材の仕入れ価格を押し上げ、2026 年に一部が還付されたが一回限りで、正常利益から除く。
競争は 3 つの層。店舗はホーム・デポとロウズの 2 強で、小さな店とアマゾン・ウォルマートが周辺にいる。プロ向けは専門流通の戦いで、フェルグソン、ビーコン(QXO が買収)、ロウズが買った FBM、ホーム・デポの SRS・GMS が競う。ロウズのプロ比率は約 3 割で、ホーム・デポの約 5 割に追いつこうとしている。通販ではアマゾン、ウェイフェア、ウォルマートが工具・家具・小物を削る。
循環のどこにいるか:住宅は 2022 年から 3 年以上の停滞で、金利が下がらない世界でも、金利への慣れ・築年数・世代交代の需要で、緩やかな回復が入ると見る。ただしリーマン級の急落は、住宅と借入の両方に敏感なこの業界が最も深く傷む。業界ノートの中立(市場 年 +3.5%、住宅ローン金利への慣れによる回復、営業利益率は横ばい)を使い、ホーム・デポが特別に強い・弱いという見方はしていない。
資本政策と M&A
還元は配当が中心。2025 年度の配当は約 92 億ドルで純利益の約 65%、四半期の配当は 2026 年 2 月に +1.3% の引き上げで、増配の幅は小さい。自社株買いは SRS の買収後、調整後の純負債/EBITDA が 2.0 倍に戻るまで止める方針で、2025 年度はゼロ。2.0 倍に戻るのは 2027 年ごろ(推定)。
M&A は SRS(2024 年、約 182 億ドル)と GMS(2025 年 9 月、約 55 億ドル)で、ホームセンターのプロ向けの外側にある建材の流通を取りにいった。いずれも大型で、買収の価格が高く、統合の費用と無形資産の償却が利益率を押し下げている。今後は大型の買収は止め、SRS の拠点網と GMS を結びつける統合に集中するとみる(推定)。独占禁止法の面で、ホームセンター・建材流通の大型の買収は難しい。ホーム・デポ自身が買われる側になる可能性はない。
論点は、買収で積んだ約 240 億ドルの資本が、投下資本利益率の中で何 % を稼ぐか。流通の営業利益率が 9% 前後で、店舗の 13% を下回る限り、全社の利益率は買収の分だけ薄まる。自社株買いの再開が遅れるほど、株数が減らず、利益の増え方が遅くなる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ホーム・デポは住宅の停滞の底にいる。2022 年から 3 年以上、住宅の回転率が低水準で、大型案件が延期され、既存店は +0.3%(2025 年度)。それでも営業利益率は 12.7%(調整後 13.1%)を保ち、2026 年 5〜7 月期は既存店が +1.7% と上向き、粗利益率は 33.7% に上がった。金利が下がらなくても、買い手と売り手が高金利に慣れ、築 40 年の住宅の修繕と、プロの手による大型案件が戻れば、市場は年 +4% 台、営業利益率は 14% に近づく。
プロ向けが売上の約半分を占め、SRS・GMS で建材の流通まで広がった。プロは店舗の在庫・配送・与信に縛られるので、取り替えが難しい。ロウズより一段上のプロ比率と、流通まで一貫した供給網は、10 年のうちにプロの取引を一段と囲い込む。
自社株買いが止まっているのは債務を減らすためで、2027 年に債務比率が 2.0 倍に戻れば再開できる。10 年の純利益の合計は約 1,900 億ドル、還元(配当と自社株買い)は約 9 割。投下資本利益率は 20% 台で、住宅の回復という景気の力を借りなくても、堀はなお効いている。
慎重な見方
ホーム・デポの PER 21.8 倍は、資本コスト 8.75%・g 4% の利益ベースの上限(17.1 倍)を大きく上回り、安全域がない。資本コストが 1% 上がれば上限は 14 倍台に落ちる。
成長の質も怪しい。2025 年度の既存店は +0.3%、営業利益は 3 年で 240 億ドルから 209 億ドルに減り、営業利益率は 15.3% から 12.7% へ下がった。2026 年の見通しの営業利益率 12.4〜12.6% には、一回限りの関税の還付が入っている。住宅の回転が戻る保証はなく、金利が 5% で動かないなら、ロックインはさらに続く。
さらに SRS(182 億ドル)と GMS(55 億ドル)の買収は高値で、流通の営業利益率は 9% 前後と店舗の 13% を下回り、無形資産の償却で利益を削る。フェルグソン・ビーコン(QXO が買収)・ロウズ(FBM を買収)が配送と与信で追い上げ、プロの囲い込みの堀は想定より狭い。純負債 640 億ドルのもとで景気が悪化すれば、増配も自社株買いの再開も遅れる。アマゾンの建材・工具の通販と AI の購入窓口が、DIY の価格を比較し尽くす可能性もある。
どちらに重みを置いたか
事業の質と堀は強気の見方が強い(特にプロ向け)。確率は楽観・やや楽観の合計を 30% とし、債務の重さを見て悲観を 14% に厚くした。値段の議論では、資本コスト 8.75% の利益ベースの上限が 17.1 倍で、中立の倍率は上限の 9 割の約 15.4 倍と今の 21.8 倍よりかなり低い。中立の 10 年後で配当込みの年率は +4.8% と資本コストに届かず、楽観でも年率 +8% 前後で、安全域はない。結論は「優良な事業だが、値段は先を織り込んでいる」(総合の差 -24%、やや割高)。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 318.60 ドル3,170 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 149.05 ドル1,483 億ドル)。 今の値に割り戻すと 235.70 ドル2,345 億ドル、今との差 −28.1%、 期待の年率 +3.6%(資本コスト 8.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 503.91 ドル5,014 億ドル | 190.75 ドル1,898 億ドル | +112.0% | +7.8% | 69.47 ドル691 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 408.79 ドル4,068 億ドル | 172.26 ドル1,714 億ドル | +77.3% | +5.9% | 116.21 ドル1,156 億ドル |
| 中立 | 36% | 338.29 ドル3,366 億ドル | 154.57 ドル1,538 億ドル | +50.4% | +4.2% | 177.43 ドル1,765 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 224.03 ドル2,229 億ドル | 127.84 ドル1,272 億ドル | +7.4% | +0.7% | 70.37 ドル700 億ドル |
| 悲観 | 14% | 141.86 ドル1,412 億ドル | 102.21 ドル1,017 億ドル | −25.5% | −2.9% | 34.17 ドル340 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 318.60 ドル3,170 億ドル | 149.05 ドル1,483 億ドル | +42.7% | +3.6% | 467.65 ドル4,653 億ドル |
今の株価時価総額 327.73 ドル3,261 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:プロ向けの囲い込みが進み、店舗と流通が一体で利益率が上がる 利益 291 億ドル · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 503.91 ドル5,014 億ドル
市場は 10 年で 1.6 倍(年 +4.8%:中古の回転が戻り、築 40 年の住宅の修繕と高齢者のバリアフリー改装が重なる)。ホームデポの占有率は 28.8% に上がり、米国の店舗・通販の売上は 2,304 億ドル、営業利益率 14.5%。プロ向け流通(SRS・GMS)はフェルグソンなどから取り、占有率 12.5% で売上 371 億ドル、営業利益率 12%。カナダ・メキシコは 285 億ドル。営業利益 416 億ドル、純利益 291 億ドル。ROE は自己資本が小さいので意味が薄いが、投下資本の利益率は 20% 台を保つ。倍率は正当化 PER 17.8 倍の 9.7 割にあたる 17.2 倍に置いた。
- 米国の店舗・通販(一般向けと小口のプロ):数量 5,674(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.41(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 2,304 億ドル・営業利益 334 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 28.8%・物価指数 1.41)
- カナダ・メキシコの店舗:数量 1,755(カナダ・メキシコの住関連の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.16(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 285 億ドル・営業利益 37 億ドル。カナダ・メキシコの店舗(占有率 11.5%・物価指数 1.41)
- プロ向け建材流通(SRS・GMS):数量 2,106(米国の専門流通の対象市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.18(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 371 億ドル・営業利益 45 億ドル。SRS・GMS の占有率と利益率(占有率 12.5%・物価指数 1.41)
倍率:上限の正当化 PER 17.8 倍に対し、17.2 倍(9.7 割)に置いた。需要が安定し利益の質が高いので、中立(9.0 割)にさらに 0.7 割を上乗せした(上限の内側)。上限の中身は g 4.0%、RONIC 25.6%(k 8.75% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 42.4%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 28%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.6(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 291 億ドル × 17.2 倍で 5014 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:金利が下がらない前提で、利益率が過去最高(15.3%)に近づくには数量と価格の両方が要る。10%。
やや楽観 20% やや楽観:占有率が少し上がり、流通が利益に厚みを足す 利益 250 億ドル · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 408.79 ドル4,068 億ドル
市場は 1.52 倍。ホームデポの占有率は 28.2% で、米国の店舗・通販の売上 2,143 億ドル、営業利益率 13.8%。流通は占有率 11.5%(バリューチェーンの統合とクロスセル)で売上 321 億ドル、営業利益率 11%。カナダ・メキシコは 256 億ドル。営業利益 362 億ドル(営業利益率 13.3%)、純利益 250 億ドル。物価 3.5% の中でも値上げで人件費と関税を吸収でき、営業利益率は 2022 年のピーク(15.3%)には戻らないが 13% 台に回復する。債務比率が下がった 2027 年以降は自社株買いが配当と並ぶ還元になり、10 年の還元は 1,714 億ドル。倍率は正当化 PER 17.5 倍の 9.3 割にあたる 16.3 倍に置いた。
- 米国の店舗・通販(一般向けと小口のプロ):数量 5,390(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.40(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 2,143 億ドル・営業利益 296 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 28.2%・物価指数 1.41)
- カナダ・メキシコの店舗:数量 1,649(カナダ・メキシコの住関連の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.16(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 256 億ドル・営業利益 31 億ドル。カナダ・メキシコの店舗(占有率 11%・物価指数 1.41)
- プロ向け建材流通(SRS・GMS):数量 1,979(米国の専門流通の対象市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.16(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 321 億ドル・営業利益 35 億ドル。SRS・GMS の占有率と利益率(占有率 11.5%・物価指数 1.41)
倍率:上限の正当化 PER 17.5 倍に対し、16.3 倍(9.3 割)に置いた。需要が安定し利益の質が高いので、中立(9.0 割)にさらに 0.3 割を上乗せした。上限の中身は g 4.0%、RONIC 23.7%(k 8.75% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 38.6%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 26%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.6(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 250 億ドル × 16.3 倍で 4068 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:堀(規模・品ぞろえ・プロ向けの関係)が保たれ、住宅の回転がある程度戻る筋書き。債務の返済で還元が細る期間を見て 20%。
中立 36% 中立:優良な成熟小売として名目 +4% 台で伸び、倍率は資本コスト 8.75% の利益ベースの上限の 9 割 利益 219 億ドル · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 338.29 ドル3,366 億ドル
住宅リフォーム市場は名目で年 +3.9%(価格は物価並みの 1.41 倍、実質の数量は年 +0.3%)で 10 年後に 7,250 億ドル。ホームデポの占有率は 27.6% で、米国の店舗・通販の売上は 2,001 億ドル、営業利益率 13.3%。プロ向け流通は占有率 10.5%、売上 280 億ドル、営業利益率 10%。カナダ・メキシコは 233 億ドル。営業利益 321 億ドル(今の 1.5 倍、年 +4%)、営業利益率 12.8%、純利益 219 億ドル。借り換えで利払いは約 11 億ドル増える。設備投資は売上の 2.5〜3%、還元は純利益の約 9 割(配当と自社株買い、株式報酬の分を差し引く)。倍率は正当化 PER 17.1 倍の 9.0 割にあたる 15.4 倍に置いた。
- 米国の店舗・通販(一般向けと小口のプロ):数量 5,142(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.39(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 2,001 億ドル・営業利益 266 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 27.6%・物価指数 1.41)
- カナダ・メキシコの店舗:数量 1,575(カナダ・メキシコの住関連の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.15(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 233 億ドル・営業利益 27 億ドル。カナダ・メキシコの店舗(占有率 10.5%・物価指数 1.41)
- プロ向け建材流通(SRS・GMS):数量 1,889(米国の専門流通の対象市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.15(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 280 億ドル・営業利益 28 億ドル。SRS・GMS の占有率と利益率(占有率 10.5%・物価指数 1.41)
倍率:上限の正当化 PER 17.1 倍に対し、15.4 倍(9.0 割)に置いた。需要が安定し利益の質が高い(景気で利益がほとんど振れない)ので、上限の 9.0 割に置いた。上限の中身は g 4.0%、RONIC 21.2%(k 8.75% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 33.7%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 23%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.6(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 219 億ドル × 15.4 倍で 3366 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:業界ノートの中立(市場 約 1.45 倍、営業利益率横ばい)に従い、プロ向けで占有率がわずかに上がる分を足した。
やや悲観 20% やや悲観:プロ向けで専門流通に追われ、店舗の利益率が下がる 利益 169 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 224.03 ドル2,229 億ドル
市場は 1.35 倍。プロ向けでフェルグソン、ビーコン(QXO が買収)、ロウズ(FBM を買収)が配送と与信で追い上げ、ホームデポの占有率は 26.4% に下がる。米国の店舗・通販の売上は 1,782 億ドル、営業利益率 12.2%。流通は占有率 9.2%、営業利益率 8.5%(石こうボード・屋根材の価格競争)。営業利益 257 億ドル、純利益 169 億ドル。アマゾンの建材・工具の通販が DIY の小物を削り、関税の転嫁も遅れて、営業利益は今の 1.2 倍にとどまる(年 +2%)。カナダ・メキシコは 203 億ドル。債務は返せるが、還元は純利益の 85% 前後で成長の再投資は小さく、成長は年 +3.5% に落ちる。倍率は正当化 PER 17.6 倍の 7.5 割にあたる 13.2 倍に置いた。
- 米国の店舗・通販(一般向けと小口のプロ):数量 4,787(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.37(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,782 億ドル・営業利益 217 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 26.4%・物価指数 1.41)
- カナダ・メキシコの店舗:数量 1,468(カナダ・メキシコの住関連の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.14(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 203 億ドル・営業利益 21 億ドル。カナダ・メキシコの店舗(占有率 9.8%・物価指数 1.41)
- プロ向け建材流通(SRS・GMS):数量 1,762(米国の専門流通の対象市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.13(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 229 億ドル・営業利益 19 億ドル。SRS・GMS の占有率と利益率(占有率 9.2%・物価指数 1.41)
倍率:上限の正当化 PER 17.6 倍に対し、13.2 倍(7.5 割)に置いた。中立(9.0 割)より 1.5 割低くした。住宅の停滞で利益率が下がる筋書きだからだ。上限の中身は g 4.0%、RONIC 24.3%(k 8.75% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 39.9%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 169 億ドル × 13.2 倍で 2229 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:競争は現実的で、プロ向けの取り合いは既に始まっている。20%。
悲観 14% 悲観:構造的に負ける(プロの囲い込みが崩れ、AI と通販が入口を奪う) 利益 109 億ドル · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 141.86 ドル1,412 億ドル
10 年後、プロ向けの取引の入口が専門流通・ロウズ・アマゾンのビジネス購買に分散し、ホームデポの占有率は 24.5% まで下がる。さらに AI の購入窓口が価格比較を完全にし、店舗の価格を決める力が弱まる。米国の店舗・通販の売上は 1,494 億ドル(今より 10% 増で物価の 3 割)、営業利益率 10.5%。流通は買収価格に見合う利益が出ず営業利益率 6%(減損の可能性)。営業利益 181 億ドル、純利益 109 億ドル(今の 77%)。成長はほぼ止まり、利益ベースの式の 90% の PER 約 17.6 倍で、時価総額は今の 6 割前後に沈む。店舗網・物流網の資産が床で、二重には下げていない。
- 米国の店舗・通販(一般向けと小口のプロ):数量 4,326(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.35(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,494 億ドル・営業利益 157 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 24.5%・物価指数 1.41)
- カナダ・メキシコの店舗:数量 1,330(カナダ・メキシコの住関連の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.12(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 165 億ドル・営業利益 13 億ドル。カナダ・メキシコの店舗(占有率 8.8%・物価指数 1.41)
- プロ向け建材流通(SRS・GMS):数量 1,596(米国の専門流通の対象市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.11(ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 176 億ドル・営業利益 11 億ドル。SRS・GMS の占有率と利益率(占有率 7.8%・物価指数 1.41)
倍率:式どおり:g 1.5%(g はこの筋書きの数量と価格から置いた)、ROE 31.1%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))、k 8.75%。(1−g÷RONIC)÷(k−g) の値は来年の利益に対する倍率なので、10 年目の利益には ×(1+g) で 12.9 倍。RONIC = k + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k)= 19.9%。上限の正当化 PER 16.8 倍の 7.7 割で、上限の内側。10 年目の利益の伸びは年 10% 未満なので 1 段。時価総額は、書いた純利益 109 億ドル × 12.9 倍で 1412 億ドル。
確率:14%:10 年の構造変化(専門流通との取り合い、AI の購入窓口)で優良さを失う確率。買収の債務が重く、失敗したときの傷が深いので厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国の店舗・通販(一般向けと小口のプロ)
米国の店舗と通販。建材・工具・水回り・園芸など。売上の約半分はプロ向け。
| 数量米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,000 | 0.27 | 1,359 | 180 |
| 10 年後 中立 | 5,142 | 0.39 | 2,001 | 266 |
取り方:米国の住宅の修繕・改装・建築資材の市場を業界ノートの 5,000 億ドルと置き、2025 年度の店舗・通販の売上(総売上 1,647 億ドルから海外 150、流通 138 を引いた 1,359 億ドル)を割って占有率 27.2%。営業利益は全社 209 億ドルから海外 17・流通 12 を引いた 180 億ドル(営業利益率 13.2%)。いずれも開示が薄く推定。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。競合はロウズ(売上 約 840 億ドル、同じ市場で占有率 2 割弱、推定)と地域のホームセンター・金物店。市場の名目の伸びのうち物価分(10 年 1.41 倍)は価格に、残りを実質の数量に置いた。
カナダ・メキシコの店舗
カナダとメキシコの店舗。米国と同じ業態。
| 数量カナダ・メキシコの住関連の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 0.10 | 150 | 17 |
| 10 年後 中立 | 1,575 | 0.15 | 233 | 27 |
取り方:両国の住関連の市場を 1,500 億ドルと置き、売上 約 150 億ドル(推定)を割って占有率 10%。営業利益率は米国よりやや低い 11.3% と置いた(推定)。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。カナダではロウズ撤退後の首位級。
プロ向け建材流通(SRS・GMS)
屋根材・造園・プール用品(SRS)と、石こうボード・天井材・鉄骨下地(GMS)の流通。大口・配送中心。
| 数量米国の専門流通の対象市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ホーム・デポの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,800 | 0.08 | 138 | 12 |
| 10 年後 中立 | 1,889 | 0.15 | 280 | 28 |
取り方:屋根材・造園・プール・石こうボード・天井材の専門流通の市場を約 1,800 億ドルと置き、2025 年度の SRS 約 115 億ドルと GMS(2025 年 9 月 4 日から期末までの約 5 か月分)約 23 億ドルの合計 138 億ドルを割って占有率 7.7%。営業利益率 8.7%(買収で積んだ無形資産の償却を含む)は推定。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。競合はフェルグソン、ビーコン(QXO が買収)、ロウズ(FBM を買収)。
リスクと懸念
値段(倍率の縮み)
PER 21.8 倍は資本コスト 8.75% の利益ベースの上限(17.1 倍)を上回り、安全域は薄い。k が 1% 上がれば上限は 14 倍台に下がる。利益が計画どおり伸びても、倍率が上限に近づけば株価の伸びは利益の伸びより小さい。2022 年の利上げ局面で −33%、リーマンで −44% と、倍率と景気で大きく動いた過去がある。
住宅の停滞の長期化
住宅ローン金利が下がらず、ロックイン効果が続けば、中古の回転が戻らず、大型案件が延期され続ける。2025 年度の既存店は +0.3% で、見通しの営業利益率 12.4〜12.6% には関税の還付が含まれる。還付が剥がれると利益は想定より減る。
買収後の債務と統合
SRS(約 182 億ドル)・GMS(約 55 億ドル)で純負債は 640 億ドル。自社株買いは債務比率が 2.0 倍に戻るまで止まる。流通の営業利益率が店舗を下回り、償却で利益を削り、景気悪化時には債務の重さが残る。
プロ向けの競争
プロの取引は売上の約半分で、堀の中心。フェルグソン、ビーコン(QXO が買収)、ロウズ(FBM を買収)が配送・与信・在庫で追い上げ、価格の競争も起きる。プロの囲い込みが崩れれば、店舗と流通の両方の利益率が下がる。
関税と調達
2025 年の関税は工具・家電・建材の仕入れを押し上げ、一部が 2026 年に還付された。関税が続けば、価格に転嫁しきれない期間が営業利益率を 0.5〜1 ポイント削る。調達の分散(中国から他国へ)には時間と費用がかかる。
通販と AI の購入窓口
アマゾン・ウォルマート・ウェイフェアが DIY の小物・工具の価格を比べ尽くし、AI のエージェントが購入の入口を握れば、店舗の価格を決める力が弱まる。10 年の構造的な悲観の主因で、プロ向けの取引が通販の入口に流れる場合は店舗網の堀も狭まる。
今後の分かれ目
- 中古住宅の販売件数が年 500 万件を超え、住宅ローン金利が下がって既存店が +3% を超えたら
- 大型案件が戻り、営業利益率は 14% に向かう。楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし倍率は先に成長を映しているので、時価総額が追いつく保証はない。
- 関税の還付が終わり、営業利益率が 12% を割ったら
- 還付の押し上げが一時的だったとわかり、やや悲観の確率を上げる。倍率も 1〜2 倍下げて見る。
- 2027 年に債務比率が 2.0 倍に戻り、自社株買いが再開されたら
- 還元が配当と並ぶ形に戻り、株数が減り始める。今の値段はほぼ理論値なので買い戻しで価値は大きく壊れないが、債務の返済が先。
- SRS・GMS の流通の営業利益率が 12% に近づき、プロ向けの占有率が上がったら
- 買収の価値が確認され、10 年の楽観の確率を上げる。逆に営業利益率が 7% を割れば、減損とプロ向けの競争の悪化を疑う。
- リーマン級の急落(失業率 8% 超・住宅価格 −20%)が来たら
- 売上は 2 割減、営業利益率は 9% 台まで下がる。株価は −40% 前後まで下がる可能性があり、その時が買い場かどうかは、配当と債務の余裕で判断する。
見ておくもの
- 米国の既存店売上(客数と客単価)とプロ・一般の比率
- 中古住宅の販売件数と 30 年住宅ローン金利
- 営業利益率(調整後)と関税の還付の額
- SRS・GMS の売上の伸びと営業利益率
- 純負債/EBITDA と自社株買いの再開
- フェルグソン・ビーコン・ロウズのプロ向けの占有率
- ホーム・デポの新しい長期目標(Investor Day)の有無
倍率と資本コストの決め方
今の PER 21.8 倍を見る前に、米国の店舗・通販、カナダ・メキシコ、プロ向け流通の 3 つに分け、市場(実質)× 占有率 × 物価指数で売上を、営業利益率で利益を積み上げた。倍率は事業の ROE 34〜42%(ROIC から直した値)・g 4%・k 8.75%(基本 8.0% + quality +0.75%)の利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k)で、資本コストを超える稼ぎは先で薄れる)の 7.5〜9.7 割(10 年中立は 9 割で約 15.4 倍。10 年目の利益に掛けるので ×(1+g))で置き、式の外の割り引き・上乗せはせず、今の倍率にも過去 20 期の中央(21.3 倍)にも寄せていない。債務の重さは k の debt と、悲観の確率の厚さ(14%)で表した。悲観は稼ぐ力の式で置き、谷の年の PER は使っていない。結果は今の値段が上限を大きく上回り、やや割高に出た。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β 0.97 × 5%。資本コスト k = 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%(v2。株価の揺れ(β)は使わない)。住宅市場と金利への連動を cycle で、借金(自社株買いで自己資本が薄い)を debt で見た。個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と確率、悲観の深さで表した。extra は 0。