結論
D.R.ホートンは米国最大の住宅建設会社で、2025 年 9 月期の引き渡しは約 8.6 万戸(米国の新築一戸建て販売の約 12〜13%、推定)、売上 342 億ドル、営業利益 47 億ドル(営業利益率 13.7%)。初回購入者向けの 30〜40 万ドルの家を、土地の開発子会社フォレスターと自社の住宅ローン会社を使って大量に売る。2026 年 4〜6 月期は売上 92 億ドル(前年並み)、純利益 9.05 億ドル(-12%)、引き渡し 23,983 戸(+4%)、粗利益率 20.7%、解約率 20%(前年 17%)。通期の見通しは売上 325〜308 億ドル、引き渡し 83,800〜84,300 戸へ下げ、「量より利益率を守る」と会社が言うとおり、需要は鈍っている。
事業の質は住宅建設の中では上位だが、景気循環の山と谷の差が最も大きい業種である。ROE は 2022 年の 30% から 2025 年は 14.8% へ下がった。利益を縮めている原因は、買い手の月々の支払いを軽くするための金利の買い下げ(平均 1.6%)、土地原価の上昇(+5%)、コミュニティ数を 9% 増やしたことによる販売管理費率の上昇(8.3%)である。
バリュー投資の観点では、「10 年後も存在し、今より強いか」を問う。人口の世帯形成と住宅不足(300〜400 万戸、推定)が需要の床を支え、土地を持たない規模と金利を買い下げられる資金力は大手が有利で、答えは「ある」。ただし利益は景気で大きく振れるので、ならした利益で値付けする。市場(新築販売)× シェア × 価格(10 年で 1.34 倍)で積み、資本コスト 9.0%(基本 8.0% + quality +1.0%)と利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/3 ×(筋書きの ROE − k)。堀は弱い。上限 12.9 倍)の 8 割で倍率を 10.3 倍に置くと、10 年後の中立は営業利益 80 億ドル、時価総額 約 620 億ドル、今の時価総額(393 億ドル)の 1.6 倍。総合は差 +15% の「やや割安」で、景気の山谷で大きく振れる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。住宅は生活の必需で、世帯形成と住宅不足が需要を支え、規模・土地・ローン会社という堀は小さな建築業者との差を広げる方向にある。ただし堀は「価格を決める力」ではなく「コストと資金の力」で、利益は景気で大きく振れる。
オーナー利益で見ると、純利益 36 億ドルのうち、成長に再投資が必要な分(在庫と土地)は、土地を持たない仕組みで軽く、FCF は 2025 年に 33 億ドルと純利益にかなり近い。株式報酬は小さい。山の利益(2022 年 ROE 30%)がそのまま続くとは考えず、ならした利益(営業利益率 12〜13%、ROE 14〜16%)で値付けする。
安全域は、10 年の中立(PER 10.3 倍・時価総額 約 620 億ドル)を資本コスト 9.0% で今に割り戻すと今を上回り、構造で負ける悲観の 10 年でも稼ぐ力の式で時価総額 136 億ドルと還元 150 億ドルが残る(今の約 7 割)。予測しにくい部分は、住宅ローン金利と景気の山谷であり、そこは確率で厚く見た。経営の資本配分は、買収で価値を壊さず、自社株買いもおおむね利益で賄っているので良い。ただし循環株は、割安に見えて買った時が山だったという失敗が多いので、確信は事業の質(高)に比べて値段(中)に控えめに置く。
何で稼ぐ会社か
売上の約 93% は一戸建て(住宅)の販売で、ブランドは D.R.ホートン(中心)、エクスプレス(最も安い価格帯)、エメラルド(高め)、フリーダム。引き渡し 1 戸の平均価格は 36〜37 万ドル、買い手の 6 割超が初回購入者で、小さめの家を大量に建てる。土地は「持たずに押さえる」方針で、区画のうち 22% だけを保有、78% はオプション等で、引き渡し区画の 67% を子会社フォレスター(ホートンが過半を持つ上場会社)が開発して供給する。在庫の回転を 2 回から 3 回へ上げるのが目標で、資産を軽くして ROE を保つ設計である。
残りの売上は 3 つある。第 1 は賃貸事業で、一戸建て賃貸(ビルド・トゥ・レント)と賃貸集合住宅を建てて機関投資家に売る。2026 年 4〜6 月期は売上 2.66 億ドル、税引前利益 0.31 億ドル、在庫約 30 億ドルで、住宅不足の中の補助的な出口になっている。第 2 はフォレスターの外部への区画販売。第 3 は金融サービスで、自社の住宅ローンと権原保険を扱い、売上は約 9 億ドル、税引前利益率 32%、買い手の金利を 4.9% まで下げる補助の出し手でもある。
つまり利益の中心は住宅の「引き渡し戸数 × 平均価格 × 粗利益率(約 21%)− 販売管理費(約 8%)」で、金融と賃貸は小さい。需要は住宅ローン金利(市場 6.5% 前後)と所得に直結するので、価格を上げて利益を守るより、金利の買い下げ(インセンティブ)で数量を維持する構造になっている。価格を決める力は弱く、戸数と粗利益率のどちらを守るかを四半期ごとに選ぶ会社である。
優良さと弱いところ
堀は、規模と土地の仕組み、そして資金力の 3 つ。第 1 は規模で、約 8.4 万戸を全米の多くの都市で建てる力が、資材・下請け・土地の購入で小さな建築業者より安く買う力を与える。第 2 は土地で、フォレスターが区画を供給し、オプションで押さえる比率が高いため、需要が落ちた時に土地の減損と借入が膨らみにくい。第 3 は自社のローン会社で、金利を 1.6% 下げる補助を出せる力は、中小の建築業者にはまねできない。
資本効率は高いが今は下り坂にある。ROE は 2022 年 30%、2024 年 18.8%、2025 年 14.8% と、利益率の低下で下がった。それでも自己資本比率は 67%、負債比率は 23%(長期目標 20%)と財務は軽く、2025 年は自社株買い 43 億ドルで株数が 6.4% 減った。
弱点は、価格を決める力が弱いこと。競争相手のレナー(Lennar)は販売価格の約 12% をインセンティブに使って台数を取りにきており、同じ入門向けの市場で価格が引き合う。さらに完成在庫が 7,600 戸あり、解約率が上がっている。プルトグループ(PulteGroup)は粗利益率が約 26% と高く、NVR は土地を持たない仕組みで ROE 35% と、ホートンより資本効率で上の会社もある。経営は台数を優先しすぎて粗利益率が落ちた局面があり、足元は利益率を守る方向に切り替えた点が評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の新築一戸建て販売は年 65〜70 万戸で、2026 年 8 月は年率 68.4 万戸(前年比 -2.0%)、在庫は 8.5 か月分、販売価格の中央値は 39.4 万ドル(前年比 -5.8%)。住宅ローン金利は 30 年で 6.5〜7%、10 年国債が 5% なので、この水準が続く前提では下がらない。高金利で借りた人が今のローンを手放さず中古の売り物が出ない「ロックイン」のおかげで、新築が増分を取っている。つまり新築は中古の不足を埋めているが、買い手の月々の支払いが限界に近く、価格は上げられず、建築業者は金利の買い下げで数量を保つ。
需要は世帯形成(若い世帯の増加)と構造的な住宅不足(300〜400 万戸、推定)で支えられる一方、所得に対して家が高く、小さな家へ移る流れが平均価格を抑える(ホートンの引き渡し平均は前年比 -2%)。供給側は、区画原価が +5% で上がり、建築原価(木材・人件費)は -5% で下がっている。関税(木材・鋼)は今の水準が続く前提を中立とする。
競争の形は、上位 4 社(ホートン、レナー、プルトグループ、NVR)で新築の 3〜4 割(推定)を取り、残りは中小。入門向けはホートンとレナーが正面から競り、プルトグループは高めの価格帯、NVR は土地を持たない中級帯。ホートンは 2026 年 9 月期を「量より利益率」に切り替え、レナーは台数を優先して粗利益率が 15.8% まで下がった。循環上の位置は、山を過ぎて下がっている途中で、新築販売はまだ 2007〜09 年の 7 割減のような崩れ方ではなく、横ばい圏の弱さにとどまる。
資本政策と M&A
還元は大きい。2026 年 9 月期は自社株買い 約 25 億ドル、配当 約 5 億ドル(四半期で約 1.3 億ドル)の合計 30 億ドルで、純利益(約 33 億ドル)にほぼ等しい。株数は前年比 -6% と減っているが、会社は買い戻しが営業キャッシュフローを超えており、今期はこれ以上増やす余地が小さいと言う。負債は 71 億ドル、流動性 61 億ドルで、負債比率は 23%(目標 20%)。
M&A は、過去に中堅の建築業者を買って市場と土地を広げてきたが、近年は金利が高く土地も高いので、大型の買収より自前の区画開発(フォレスター)と賃貸事業で伸ばす姿勢である(推定)。他社に買われる可能性は低く、規模が大きすぎる。
資本配分で見るべきは、「利益率が落ちている時に高い値段で買う自社株買い」になっていないか。2025 年の買い戻し(43 億ドル)は PER 12 倍前後で、利益の山を過ぎた時期だった。今の PER 11 倍・PBR 1.6 倍なら割高とは言えないが、需要が下がる局面で借入を増やして買うのは避けてほしい。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 22.0 億ドル(10-Q・2025 年 10 月〜2026 年 6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(219.9 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
住宅不足は構造的で、300〜400 万戸の不足は金利が動かなくても埋まらない。ロックインが時間とともに解け(転居・住み替えで売る人が増える)、中古が増えると新築の購入層も増える。人口の世帯形成も続く。ホートンは規模で中小の建築業者を押しのけ、金利の買い下げを出せる力で、シェアを 12.6% から 13% 超へ伸ばす。土地はフォレスターのおかげで軽く、在庫回転が 2 回から 3 回へ上がれば、ROE は 20% に戻る。
利益率も戻りうる。建築原価は前年比 -5% と下がっており、土地原価の上昇(+5%)を吸収できれば、粗利益率は 22% 台へ戻り、販売管理費率も新しいコミュニティが成熟すれば 8% を下回る。金融サービスの利益率 32% と賃貸事業が加わり、営業利益率は 15% 以上になる。さらに自社株買いで株数が毎年減るので、1 株あたりの価値はなお増える。10 年後の新築は 95〜100 万戸、価格は物価並みの 1.4 倍とすれば、営業利益は今の 2.5 倍になりうる。
慎重な見方
需要は鈍っている。解約率は 17% から 20% に上がり、通期の見通しを下げた。買い手の平均ローン金利は 4.9% でも、市場は 6.5% 前後で、補助(1.6% の買い下げ)を外せば成り立たない。完成在庫が 7,600 戸あり、レナーとの値下げ競争で粗利益率は 20% を割りうる。販売管理費率はコミュニティ増で上がり続け、営業利益率は 2022 年の 23% から 2025 年は 13.7%、今は 12% 台へ下り坂にある。
ROE は 30% から 14.8% へ落ちている。利益が 3 割減れば、今の PER 11 倍もほぼ 16 倍に見える。10 年国債が 5% なのに、住宅ローンは 6.5〜7% に張り付き、若い世帯の購入力は戻らない。2007〜09 年は新築が 7 割減り、ホートンの株価は 69% 下がった。今回は在庫が軽くても、景気後退が来れば 3 年以内に営業利益は大きく減る。過去の PER の中央も 11〜12 倍で、市場が循環株に高い倍率を付け続けるとは限らない。10 年後は、金利が高いまま新築が 60 万戸で停滞し、土地・人件費の上昇を価格に転嫁できず、粗利益率が 15% 台で定着する。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気の見方が強く、10 年の確率は楽観・やや楽観を 3 割強に置いた。一方、足元の需要の弱さ(解約 20%、見通しの引き下げ、粗利益率の低下)と金利の重さは慎重な見方に分があり、やや悲観 22%・悲観 14% と悲観側を厚くした。住宅は不況の底で数量が 4 割落ちるので、悲観(構造で負ける)は 14% に置いた。倍率は利益ベース(資本コスト 9.0%、資本コストを超える稼ぎは先で薄れ、堀が弱いので 1/3 しか残らない)の上限 12.9 倍の 8 割で 10.3 倍。結論は、「10 年の伸びは見込めるが、利益ベースの倍率では総合の差は +15% でやや割安。景気の山谷で振れる」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 211.10 ドル596 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 101.13 ドル285 億ドル)。 今の値に割り戻すと 154.90 ドル437 億ドル、今との差 +4.9%、 期待の年率 +7.8%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 403.05 ドル1,137 億ドル | 133.95 ドル378 億ドル | +263.7% | +13.8% | 53.70 ドル152 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 302.98 ドル855 億ドル | 123.32 ドル348 億ドル | +188.7% | +11.2% | 93.78 ドル265 億ドル |
| 中立 | 32% | 219.84 ドル620 億ドル | 109.14 ドル308 億ドル | +122.8% | +8.3% | 105.28 ドル297 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 122.93 ドル347 億ドル | 87.88 ドル248 億ドル | +42.8% | +3.6% | 46.38 ドル131 億ドル |
| 悲観 | 14% | 48.16 ドル136 億ドル | 45.36 ドル128 億ドル | −36.7% | −4.5% | 13.09 ドル37 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 211.10 ドル596 億ドル | 101.13 ドル285 億ドル | +111.5% | +7.8% | 312.23 ドル881 億ドル |
今の株価時価総額 147.66 ドル417 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:住宅不足が解消に向かい、シェアと利益率がともに上がる 利益 93 億ドル · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 403.05 ドル1,137 億ドル
10 年後(2035 年 9 月期)、新築は年 100 万戸、ホートンはシェア 13.5% で引き渡し約 13.5 万戸、平均価格は物価並みの 51.9 万ドル(10 年 1.41 倍)。規模と自社ローン・フォレスターの区画で小さな建築業者を圧倒し、粗利益率は 23% 台、住宅の営業利益率は 16%。賃貸と金融も育ち、営業利益は 123 億ドル(今の 2.6 倍)、純利益 93 億ドル。在庫回転が 3 回に上がり ROE は約 20%。山に近く堀も弱いので、利益ベースの式の 70% が 1÷k を下回り PER 約 11.1 倍、時価総額は 1,030 億ドル。10 年の還元は 378 億ドル。倍率は正当化 PER 13.6 倍の 9.0 割にあたる 12.3 倍に置いた。
- 住宅(一戸建て):数量 1,000(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア)× 価格 7.00(シェア × 1 戸の平均価格(万ドル)。2025 年 36.8 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍)→ 売上 700 億ドル・営業利益 112 億ドル。市場 100 万戸・シェア 13.5%・物価指数 1.41、営業利益率 16%
- 賃貸・区画販売・その他:数量 1,000(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(住宅の活動に連動))× 価格 37.6%(シェア × 1 戸あたりのその他の売上(万ドル。2025 年 1.98 万ドル))→ 売上 38 億ドル・営業利益 4 億ドル。営業利益率 11%
- 金融サービス:数量 1,000(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 19.5%(シェア × 1 戸あたりの金融サービス売上(万ドル。2025 年 1.02 万ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 7 億ドル。営業利益率 34%
倍率:上限の正当化 PER 13.6 倍に対し、12.3 倍(9.0 割)に置いた。中立の 8.0 割に、利益の質がよい分を上乗せした(楽観 +1.0 割)。上限の中身は g 4.0%、RONIC 12.6%(k 9.00% + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k))、moat は 弱い。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 19.7%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 93 億ドル × 12.3 倍で 1137 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:ロックインの解消・世帯形成・規模の効果が重なる筋書き。10 年後の「優良さが保たれる」側として 1 割に置いた。
やや楽観 22% やや楽観:新築 95 万戸、粗利益率は 22% 台 利益 75 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 302.98 ドル855 億ドル
10 年後、新築は年 95 万戸、ホートンのシェアは 13.0% で引き渡し約 12.4 万戸、平均価格は 50.8 万ドル(10 年 1.38 倍:物価よりやや低い)。粗利益率は 22% 台、販売管理費率は 8% で、住宅の営業利益率は 14.5%。営業利益は 100 億ドル(今の 2.1 倍)、純利益 75 億ドル、ROE 約 18%。レナーとの競争は落ち着き、土地を持たない仕組み(フォレスター)と賃貸が景気の山谷を和らげ、金融サービスの利益も戸数とともに増える。自己資本は 413 億ドルまで積み上がる。PER は 1÷k の約 11.1 倍、時価総額は 836 億ドル。10 年の還元は 348 億ドル。倍率は正当化 PER 13.4 倍の 8.5 割にあたる 11.4 倍に置いた。
- 住宅(一戸建て):数量 950(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア)× 価格 6.60(シェア × 1 戸の平均価格(万ドル)。2025 年 36.8 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍)→ 売上 627 億ドル・営業利益 91 億ドル。市場 95 万戸・シェア 13.0%・物価指数 1.38、営業利益率 14.5%
- 賃貸・区画販売・その他:数量 950(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(住宅の活動に連動))× 価格 35.5%(シェア × 1 戸あたりのその他の売上(万ドル。2025 年 1.98 万ドル))→ 売上 34 億ドル・営業利益 3 億ドル。営業利益率 10%
- 金融サービス:数量 950(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 18.4%(シェア × 1 戸あたりの金融サービス売上(万ドル。2025 年 1.02 万ドル))→ 売上 17 億ドル・営業利益 6 億ドル。営業利益率 33%
倍率:上限の正当化 PER 13.4 倍に対し、11.4 倍(8.5 割)に置いた。中立の 8.0 割に、利益の質がよい分を上乗せした(やや楽観 +0.5 割)。上限の中身は g 4.0%、RONIC 12.1%(k 9.00% + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k))、moat は 弱い。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 18.2%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 75 億ドル × 11.4 倍で 855 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:業界ノートの楽観より少し低い置き方。世帯形成が続き、シェアが微増する筋書きで 22%。
中立 32% 中立:新築 90 万戸、ならした営業利益率 13% 利益 60 億ドル · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 219.84 ドル620 億ドル
10 年後、新築は年 90 万戸(今の 1.3 倍、年 +2.8%)、ホートンのシェアは 12.5% を保って引き渡し約 11.3 万戸、平均価格は 49.3 万ドル(10 年 1.34 倍、年 +3%)。売上は 600 億ドル規模(今の 1.75 倍)。粗利益率は 21% 前後、販売管理費率は 8% で、住宅の営業利益率は景気の山谷をならして 13%。営業利益は 80 億ドル、純利益 60 億ドル、自己資本 377 億ドル(ROE 約 16%)。ROE 16%・g 4%・k 9% の利益ベースの式(13.4 倍)の 70% が 1÷k を下回るので PER 約 11.1 倍で、時価総額は 667 億ドル(今の 1.7 倍)。10 年の還元は 308 億ドル。優良な成熟した循環企業としての評価に収まる。倍率は正当化 PER 12.9 倍の 8.0 割にあたる 10.3 倍に置いた。
- 住宅(一戸建て):数量 900(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア)× 価格 6.16(シェア × 1 戸の平均価格(万ドル)。2025 年 36.8 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍)→ 売上 555 億ドル・営業利益 72 億ドル。市場 90 万戸・シェア 12.5%・物価指数 1.34、営業利益率 13%
- 賃貸・区画販売・その他:数量 900(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(住宅の活動に連動))× 価格 33.1%(シェア × 1 戸あたりのその他の売上(万ドル。2025 年 1.98 万ドル))→ 売上 30 億ドル・営業利益 3 億ドル。営業利益率 9%
- 金融サービス:数量 900(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 17.1%(シェア × 1 戸あたりの金融サービス売上(万ドル。2025 年 1.02 万ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 5 億ドル。営業利益率 31%
倍率:上限の正当化 PER 12.9 倍に対し、10.3 倍(8.0 割)に置いた。新しく投じる資本の稼ぎは先で薄れるので 8.0 割に置いた。上限の中身は g 4.0%、RONIC 11.3%(k 9.00% + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k))、moat は 弱い。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 15.9%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 60 億ドル × 10.3 倍で 620 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:業界ノートの中立(新築は年 +2.5%で 90 万戸、価格は年 +3%、粗利益率は 20〜22% で横ばい)に沿う。
やや悲観 22% やや悲観:金利が高止まりし、価格が物価に届かない 利益 39 億ドル · PER 8.9 倍 · 株価時価総額 122.93 ドル347 億ドル
10 年後、新築は年 80 万戸にとどまり、ホートンは入門向けのレナー・小さな建築業者との競り合いでシェア 12.0%、引き渡し約 9.6 万戸。平均価格は 46.0 万ドル(10 年 1.25 倍。物価 1.41 倍に届かない:買い手の月々の支払いが限界で、小さな家と金利の買い下げで抑える)。粗利益率は 19% 台、販売管理費率は 8.5% で、住宅の営業利益率は 10.5%。営業利益は 52 億ドル、純利益 39 億ドル、ROE 約 12%。PER は 1÷k の約 11.1 倍、時価総額は 431 億ドルと、10 年で今の 1.1 倍にとどまる。10 年の還元は 248 億ドル。倍率は正当化 PER 11.9 倍の 7.5 割にあたる 8.9 倍に置いた。
- 住宅(一戸建て):数量 800(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア)× 価格 5.52(シェア × 1 戸の平均価格(万ドル)。2025 年 36.8 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍)→ 売上 442 億ドル・営業利益 46 億ドル。市場 80 万戸・シェア 12.0%・物価指数 1.25、営業利益率 10.5%
- 賃貸・区画販売・その他:数量 800(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(住宅の活動に連動))× 価格 29.7%(シェア × 1 戸あたりのその他の売上(万ドル。2025 年 1.98 万ドル))→ 売上 24 億ドル・営業利益 2 億ドル。営業利益率 7%
- 金融サービス:数量 800(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 15.4%(シェア × 1 戸あたりの金融サービス売上(万ドル。2025 年 1.02 万ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。営業利益率 30%
倍率:上限の正当化 PER 11.9 倍に対し、8.9 倍(7.5 割)に置いた。中立(8.0 割)より 0.5 割低くした。利益の質が悪い筋書きだからだ。上限の中身は g 4.0%、RONIC 9.9%(k 9.00% + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k))、moat は 弱い。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 11.7%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 39 億ドル × 8.9 倍で 347 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:金利が高く若い世帯の購入力が戻らず、価格が物価に届かない筋書き。足元の状況が続くので 22% に厚く置いた。
悲観 14% 悲観:構造的に負ける(金利高止まりで新築が停滞、粗利益率が定着して低下) 利益 15 億ドル · PER 8.9 倍 · 株価時価総額 48.16 ドル136 億ドル
10 年後、住宅ローン金利が高いまま若い世帯の購入力が戻らず、新築は年 62 万戸で停滞する(2025 年より低い)。ホートンはシェア 11.5% に下がり、引き渡し約 7.1 万戸、平均価格は 41.2 万ドル(10 年 1.12 倍。物価に大きく届かない)。土地・人件費・関税(木材)の上昇を価格に転嫁できず、粗利益率は 15% 台で定着し、住宅の営業利益率は 6.5%。営業利益は 21 億ドル、純利益 15 億ドル。もう優良な建築会社ではなく普通の循環企業として扱われ、時価総額は稼ぐ力の式(純利益 15 億ドル × 8.9 倍)で約 136 億ドル、自己資本 333 億ドルの 4 割にとどまる。10 年の還元は 128 億ドル。
- 住宅(一戸建て):数量 620(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア)× 価格 4.74(シェア × 1 戸の平均価格(万ドル)。2025 年 36.8 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍)→ 売上 294 億ドル・営業利益 19 億ドル。市場 62 万戸・シェア 11.5%・物価指数 1.12、営業利益率 6.5%
- 賃貸・区画販売・その他:数量 620(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(住宅の活動に連動))× 価格 25.5%(シェア × 1 戸あたりのその他の売上(万ドル。2025 年 1.98 万ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 0 億ドル。営業利益率 0%
- 金融サービス:数量 620(米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(自社ローンの利用に連動))× 価格 13.2%(シェア × 1 戸あたりの金融サービス売上(万ドル。2025 年 1.02 万ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。営業利益率 25%
倍率:式どおり:g 1.5%(g はこの筋書きの数量と価格から置いた)、ROE 4.6%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))、k 9.00%。(1−g÷RONIC)÷(k−g) の値は来年の利益に対する倍率なので、10 年目の利益には ×(1+g) で 8.9 倍。RONIC = k + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k)= 7.5%。上限の正当化 PER 11.1 倍の 8.0 割で、上限の内側。10 年目の利益の伸びは年 10% 未満なので 1 段。時価総額は、書いた純利益 15 億ドル × 8.9 倍で 136 億ドル。
確率:リーマン級の景気後退に加え、構造の負け(金利高で新築が 62 万戸で停滞、土地・人件費を転嫁できず利益率が低位で定着)が起きる。確率は 14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
住宅(一戸建て)
初回購入者向けの一戸建てを D.R.ホートン・エクスプレス・エメラルドなどのブランドで引き渡す。売上の約 93%。
| 数量米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア | 価格シェア × 1 戸の平均価格(万ドル)。2025 年 36.8 万ドル、中立で 3 年 1.09 倍・10 年 1.34 倍 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 680 | 4.65 | 317 | 43 |
| 10 年後 中立 | 900 | 6.16 | 555 | 72 |
取り方:市場は米国の新築一戸建て販売 年 68 万戸(2025 年、Census と業界ノート)。ホートンの引き渡し約 8.6 万戸(推定)でシェア 12.65%、平均価格 36.8 万ドル。売上 = 市場 × シェア × 平均価格 × 0.1(千戸 × 万ドル → 億ドル)。営業利益は全社 47 億ドルから金融サービスと賃貸の分を引いた値(営業利益率 13.5%)。競合はレナー(約 12%)、プルトグループ(約 4%)、NVR(約 3%)。
賃貸・区画販売・その他
一戸建て賃貸と賃貸集合住宅の建設・売却、フォレスターの外部への区画販売など。
| 数量米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(住宅の活動に連動) | 価格シェア × 1 戸あたりのその他の売上(万ドル。2025 年 1.98 万ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 680 | 25.0% | 17 | 2 |
| 10 年後 中立 | 900 | 33.1% | 30 | 3 |
取り方:賃貸事業は 2026 年 4〜6 月期で売上 2.66 億ドル・税引前 0.31 億ドルなので、年約 10 億ドル、区画の外部販売が約 5 億ドル、ほか含め約 17 億ドル(推定)。営業利益率は約 9%。住宅の戸数に連動すると置いた。
金融サービス
自社の住宅ローン・権原保険。買い手の金利補助の出し手でもある。
| 数量米国の新築一戸建て販売(千戸)× ホートンのシェア(自社ローンの利用に連動) | 価格シェア × 1 戸あたりの金融サービス売上(万ドル。2025 年 1.02 万ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 680 | 12.9% | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 900 | 17.1% | 15 | 5 |
取り方:2026 年 4〜6 月期の税引前利益 0.70 億ドル・利益率 31.9% から、売上は年約 9 億ドル、税引前利益は年約 2.8 億ドル(推定)。住宅の戸数と自社ローンの利用率に連動すると置いた。
リスクと懸念
住宅ローン金利が下がらない
市場の金利は 6.5% 前後、10 年国債は 5% で、前提では下がらない。買い手の月々の支払いは補助(平均 1.6% の買い下げ)でようやく成り立ち、補助を外せば数量が減る。補助を続ければ粗利益率が削られる。
景気後退と循環の落ち込み
2007〜09 年は新築が約 70% 減り、ホートンの株価は 69% 下がった。今回は在庫が軽くても、景気後退が来れば引き渡しは 4 割減り、営業利益は大きく減りうる。コロナ(-42%)と 2022 年の利上げ(-39%)でも大きく下がった。
入門向け市場の価格競争
レナーは販売価格の約 12% をインセンティブに使い、粗利益率は 15.8%。ホートンの粗利益率 20.7% との差が大きく、レナーがさらに値を下げれば、ホートンも台数を守るために粗利益率を下げることになる。
解約と完成在庫
解約率は 17% から 20% に上がった。完成在庫は 7,600 戸あり、半年超の未販売は 600 戸と少ないが、需要が一段落ちれば値下げやさらなる金利の買い下げで処分することになり、粗利益率と営業利益が下がる。完成在庫の回転が鈍ると、土地や建築の資金も固定される。
土地原価と販売管理費
区画原価は前年比 +5% で上がっている。建築原価の下落(-5%)で埋めているが、土地は価格への転嫁が難しい。コミュニティ数 +9% で販売管理費率は 7.8% から 8.3% へ上がり、売上が伸びないと固定的な販売費が利益率を押し下げる。
関税・木材・移民政策
木材・鋼への関税は今の水準が続くのが中立だが、上がれば建築原価が上がり、価格に転嫁できなければ粗利益率が下がる。移民の受け入れが減れば下請けの人件費が上がり、世帯形成も鈍って需要が減る。どちらも会社の力では動かせない外部の変数である。
自社株買いの質
株数を 6% 減らす自社株買いが営業キャッシュフローを超えている。需要が弱い局面で借入を増やして買うと、景気後退が来た時に財務が重くなり、土地の購入や在庫の資金繰りにも響く。会社は今期これ以上増やす余地は小さいと言うが、規律が緩めば価値を壊す。
今後の分かれ目
- 住宅ローン金利が下がらない(30 年 7% 前後)まま、解約率が 20% を超え続けたら
- やや悲観の確率を上げる。粗利益率は 19% 台へ下がり、営業利益は今より 3 割少ない水準が続く。
- 新築販売が 2007〜09 年のように急に減り(年率 50 万戸割れ)、解約が 30% 超になったら
- 悲観(営業利益が大きく落ち、倍率が縮む)に当たる。ただし在庫が軽く財務も軽いので、倒産の心配は小さく、株主の損は主に倍率の縮みである。
- レナーとの値下げ競争が収まり、粗利益率が 22% に戻ったら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。営業利益率は 15% に戻り、ROE は 20% へ戻る。
- 区画原価の上昇が止まり、フォレスターの在庫回転が 3 回に達したら
- 資産がさらに軽くなり、ROE を支える。ならした ROE を上げて倍率を式で引き直してよい。
- ホートンが大型の買収に動いたら
- 高い値段での買収は価値を壊しやすい。資本配分の評価を下げ、悲観側の確率を上げる。
- 賃貸と区画の需要を増やす住宅政策(ROAD to Housing Act など)が進んだら
- 賃貸事業が育ち、住宅の循環を和らげる。やや楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 住宅ローン金利(30 年)と、ホートンの買い下げ率(平均 1.6%)
- 新築販売の年率戸数と在庫月数
- ホートンの粗利益率(20.7%)・解約率(20%)・新規受注
- レナーのインセンティブ率と粗利益率
- 区画原価・建築原価・販売管理費率
- フォレスターの供給比率(67%)と在庫回転
- 自社株買いの額と負債比率(23%)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 11.0 倍・PBR 1.6 倍を見る前に、新築市場(68 万戸)× シェア(12.65%)× 価格(10 年 1.34 倍)で売上を、営業利益率で利益を積み、そのあと ROE・g・k から倍率を決めた。資本コストは基本 8.0% + quality +1.0% の 9.0%(業界ノートの 10.5〜11.5% には寄せていない)。利益ベースの PER は ROE 16%・g 4%・k 9%・残る割合 1/3 で上限 12.9 倍、その 7〜9 割で倍率を置いた(中立 10.3 倍)。中立の利益はすでに山谷をならした値なので、式の外で割り引かない(二重の下げになる)。悲観は事業の純利益 ÷ k に近い稼ぐ力の式(約 8.9 倍)で置いた。過去の PER の中央値や今の値には寄せていない。結果は 10 年でやや上で、総合はやや割安(差 +15%)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β 1.24 × 5%。資本コスト k = 基本 8.0% + quality +1.0% = 9.0%(v2。株価の揺れ(β)は使わない)。住宅は景気と金利で需要が最も大きく振れるので cycle で見た。財務は堅く、規模は大きいが堀は弱い。個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と確率、悲観の深さで表した。extra は 0。