結論
トリバゴは、旅行者がホテルの宿泊料金を比較する検索サイトを運営し、予約サイトへ客を送ることで広告収入を得る会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。事業再生の成果は認めるが、10年後も旅行者の入口を握れる保証がなく、現在の時価総額には十分な安全域がない。
2025年の売上は6.2億ドルで、営業利益はほぼゼロだった。ただし、2026年4〜6月期の売上は前年同期比21%増加し、ブランドを覚えて訪れる客の増加と予約への転換率の改善が続いている。会社は2026年の売上成長見通しを10%台半ばへ引き上げ、調整後EBITDAを約3000万ユーロと予想した。2028年には同利益率10%を目指す。回復は実際に進んでいる。
しかし、売上の約97%を占めるホテル紹介広告には、顧客が離れにくい仕組みがない。2025年の紹介収益ではブッキング系が40%、親会社エクスペディア系が34%を占めた。2つの顧客グループが広告費を減らせば、トリバゴ自身には値上げで補う力が乏しい。グーグルのホテル検索とAIエージェントも、料金比較という仕事を直接代替できる。
10年後の中立では、既存の紹介クリック数が減り、単価の上昇と買収済みの予約事業がそれを補う。売上は約7.1億ドル、営業利益は約0.46億ドル、純利益は約0.34億ドルになる。5つの筋書きの確率を合わせ、資本コスト9.0%で割り引くと、今の本質価値は約2.27億ドルである。台帳の時価総額約2.71億ドルを約16%下回る。
2023年の大型特別配当と2026年の自社株買いは、現金を株主へ戻す意思を示す。一方、エクスペディアが議決権の約84%を支配しており、少数株主が資本政策を左右することは難しい。事業再生への期待だけでなく、広告の経済性が10年後も残るかを確認したい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に問うのは10年後も利用者がお金を払う事業かどうかである。ホテル料金を比較したい需要は確実に残る。しかし、その比較をトリバゴが行う必要があるかは別の話だ。料金と空室情報は他社も入手でき、AIエージェントが比較と予約をまとめて行う時代には、独立した比較画面の価値が低くなる。
次にオーナー利益を見る。2025年は営業利益がほぼゼロで、純利益の一部は税効果と買収持分の評価益だった。広告費を削れば短期の利益は増えるが、将来の訪問者も減る可能性がある。したがって、表面的な営業利益に広告費の大部分を足し戻すことはできない。ブランドを維持するための広告支出は、工場の維持費と同じく必要な支出として考える。
2026年には広告の効率が改善し、会社は2028年の調整後EBITDA利益率10%を目指している。これは価値を回復する重要な一歩だ。ただし調整後利益には株式報酬や償却費などの除外がある。株主が自由に使える利益は、GAAP利益から維持投資を考慮した現金創出力で判断したい。
財務面では純現金があり、直ちに存続が危うい会社ではない。2023年の特別配当は現金の価値を株主へ移す判断だった。一方で、支配株主への依存が大きく、少数株主の議決権は限られる。
中立では改善後の利益を評価しても、現在の株価に十分な安全域はない。強いブランド再生が続けば大きな上振れがあるが、その成果を10年先まで確実なものとして買うことは避けたい。筆者が長く保有するなら、広告費を増やさずに紹介収益が伸びる証拠と、正味の現金還元が続く証拠を重視する。
何で稼ぐ会社か
トリバゴの本業はホテル料金の比較である。世界190か国以上の700万件を超えるホテル・宿泊施設について、ブッキング・ドットコム、エクスペディア、ホテルチェーンなどが提示する料金を並べる。旅行者の利用は原則無料で、広告主が表示された宿泊プランへの紹介クリックに対して料金を支払う。予約が成立した場合に報酬を受け取るCPA型の契約も広げている。
報告セグメントは米州、欧州先進国、その他地域の3つである。2025年の紹介収益は、それぞれ約2.26億ドル、2.49億ドル、1.27億ドルとなった。欧州では比較検索のブランド認知が高く、広告費を差し引いた収益性も相対的に良い。米州は大きな市場だが広告の獲得競争が厳しい。その他地域には日本やトルコ、オーストラリアなどが含まれ、為替と航空事情の影響を受けやすい。
収益の式は紹介クリック数と1クリック当たり収益の掛け算である。広告主は紹介先で実際に予約が成立する割合と予約金額を見て入札額を決める。したがってホテル代が上がっても、それだけでトリバゴの取り分が増えるわけではない。送客の質が良く、広告主が十分な利益を得られることが必要だ。
2025年7月には、ホテル予約技術を持つホリストを完全子会社化し、トリバゴ・ディールズへ改称した。直接予約を支援するBook & Goと、複数の宿泊料金を組み合わせる技術が加わった。2025年の同事業の連結売上は1260万ユーロだったが、2026年4〜6月期にはその他収益が1700万ユーロとなり、新事業が売上増加に寄与している。ただし、この四半期には会計上4か月分の事業実績が含まれ、単純な年率換算は過大になりうる。
ホテル向け情報サービスのBusiness Studioなどもあるが、会社が個別売上を開示していないため、残りの小規模なその他事業として扱う。全社の稼ぐ力を左右するのは、依然として既存の広告市場の送客効率と広告費である。
優良さと弱いところ
トリバゴにはブランドという強みがある。ホテル料金比較の広告を長年続けてきたため、安く泊まりたい旅行者の記憶に残っている。2023年に経営陣が復帰して以降、ブランド投資と商品改善を組み合わせた再生策が進んだ。2026年4〜6月期には、予約への転換率が2023年同期比で64%改善したと会社は説明している。
ただし、ブランドは広告を止めても客が来るほど強いかという問いには、まだ十分に答えられない。2025年の広告支出は4.7億ドル程度に相当し、紹介収益の大部分を使っていた。広告費に対する紹介収益の比率であるROASは128.4%で、2024年より3.7ポイント低下した。ブランドを再構築するための投資には一定の成果があるが、維持する費用も大きい。
堀、つまり競合が容易に奪えない強みは限定的である。宿泊料金とホテル情報は多くの予約サイトで共通しており、利用者が別の検索サービスへ移る手間は小さい。検索結果の掲載順位と広告単価は入札で決まるため、トリバゴは自由に値上げできない。ブッキングやエクスペディアが直接顧客を獲得すれば、仲介の必要性も薄れる。
2025年のROEは約5%だったが、10年間の中央値はマイナス5.4%である。2022年には高い営業利益率を実現したものの、その後は減損と広告投資によって利益が振れた。2025年の純利益には一時的な税効果と買収持分の評価益も含まれる。増分ROICが資本コストを継続的に超えると判断するには、GAAP利益とフリーキャッシュフローによる裏付けが足りない。
ブランドと予約技術には価値があるが、事業の寿命を守る仕組みとしては弱い。総合的な堀は弱いと判定する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
旅行需要そのものは長期的に成長する。国連世界観光機関によると、2025年の世界の国際観光客到着数は約15.2億人で、前年比4%増加した。ただし2026年は地政学的な混乱などで伸びが鈍化し、最新の見通しは1〜2%程度となっている。10年後も旅行者は存在するが、旅行の検索方法が現在と同じとは限らない。
競争は二段階で起こる。最初は旅行者を集める競争で、グーグル・ホテル広告、カヤック、トリップアドバイザー、チェック24などが相手となる。次に広告主の予算を獲得する競争がある。ブッキング、エクスペディア、トリップ・ドットコム、ホテルチェーンは、トリバゴへ広告費を払う一方で、自社アプリと直販サイトにも投資している。
世界の宿泊検索市場は、予約取扱高やサイト訪問数について部分的な統計がある。しかし、各社の紹介クリック数と広告単価を共通の定義で集計した市場規模は確認できない。そのため、トリバゴの世界シェアを厳密な百分率で断定することはできない。2025年の紹介収益5.33億ユーロを出発点とし、地域ごとの旅行需要、クリック数、広告単価の変化から考える。
中立では国際旅行を含む宿泊検索の潜在需要が実質で年2%程度増えると想定する。ただし、グーグルと大手予約サイトへの流入集中、AIによる検索画面の省略が起きるため、トリバゴの紹介クリック数は減少する。2035年には既存の紹介クリック数が2025年の8割前後となり、単価上昇が減少を補う構図を基本とする。
AIエージェントは宿泊条件を聞き、複数サイトの料金を比較し、予約まで進められる。利用者がトリバゴの画面を開かなくなれば、広告表示と紹介クリックの価値は落ちる。トリバゴもAI検索と自社予約導線で対抗するが、競合が持つ検索流入と予約顧客の規模は大きい。ホテル業界の成長とトリバゴの市場シェアの成長は分けて考える必要がある。
資本政策と M&A
過去10年の資本配分は、株主価値を安定して増やしたとは言いにくい。広告による急成長の時代を経て、2020年と2023年には大きな減損損失が発生した。2023年には約2億ドルの特別配当を実施して余剰資本を株主へ戻したが、自己資本は大きく縮小した。還元自体は評価できるものの、利益の再投資先に確信を持てなかったことも示している。
2024年にはホリストへ約1020万ユーロを投資し、2025年7月には残りの持分を約2230万ユーロの現金で取得した。既存持分を含む取得対価は約3220万ユーロである。2025年の連結売上には1260万ユーロ、純利益には270万ユーロが加わった。2026年のその他収益の増加は買収効果を示すが、今後も同じ速度で拡大するかは別問題である。
2026年4月には最大2000万ユーロの自社株買い枠が承認された。2026年7月末までに約350万ドル相当のClass A株を取得している。固定の終了期限はなく、全枠の実行を約束しているわけではない。長期の配当性向や自社株買いの数値目標もない。
最も大きな資本政策上の制約は支配株主である。エクスペディアは2025年末時点で約59.2%の経済的持分と83.9%の議決権を持つ。Class B株の議決権はClass A株の10倍だ。支配株主は配当、買収、経営陣の選任などで強い影響力を持つ。非公開化や親会社による完全取得は将来の可能性として残るが、2026年10月28日までに成立済みの合意は確認していない。
今後は買収拡大より、既存事業の広告効率改善と継続的な正味の株主還元を優先することが望ましい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
トリバゴの再生は、単なる広告費の増額ではなく商品の改善によって進んでいる。2026年4〜6月期には売上が21%伸び、ROASも改善した。予約転換率は2023年同期から64%高まった。旅行者がブランドを覚えて直接訪れるようになれば、グーグルなどから高い費用で集客する必要が減る。かつて広告費に大部分を吸収されていた収益が、株主の利益として残るようになる。
欧州ではブランドの知名度が高く、ホテルの料金を比較したい消費者に明確な価値を提供している。広告主にとっても、自社では獲得しにくい価格重視の旅行者へ届く手段となる。CPA型の契約が拡大すれば、予約成立までの成果を広告主と共有できる。ホテルチェーンや中小の予約サイトが競争する場所として、トリバゴの広告市場は引き続き必要とされる。
買収済みのトリバゴ・ディールズにも可能性がある。従来は旅行者を外部へ送るだけだったが、Book & Goでは予約までの体験をまとめられる。広告主に対する価値が増え、紹介クリック数が増えなくても収益が伸びる。2025年の買収事業の収益貢献は小さかったものの、2026年にはその他収益が急増している。すでに成立した買収だけで利益源を広げられる。
純現金があり、2023年の特別配当と2026年の自社株買いの実績もある。広告費を抑えて利益率を高め、余剰資金を株主へ還元する経営を維持できれば、現在の企業規模に対してオーナー利益は大きく増える。旅行需要が伸びるなかでブランドの入口を維持するだけでも、株主価値の上振れは十分に考えられる。
慎重な見方
トリバゴの根本的な弱点は、自社にしかできない仕事が少ないことだ。ホテルの料金と空室を比較する機能は、グーグル、ブッキング、エクスペディア、カヤックにもある。AIエージェントが旅行者の希望を聞いて予約まで済ませるなら、利用者が複数の宿泊プランをクリックして比較する工程そのものが省略される。トリバゴの広告枠は、その工程に依存している。
顧客の集中も深刻である。2025年の紹介収益の74%をブッキング系とエクスペディア系が占めた。両社は同時に強力な競争相手でもある。予約サイトが自社アプリや直接集客を強めれば、紹介クリックへの入札額を引き下げられる。広告主との契約は多くが短期間の通知で終了できるため、トリバゴには長期契約による保護も乏しい。
広告効率が改善したことは事実だが、2025年のROASは2024年より低かった。ブランド投資は競合が広告を増やせば効率を落としやすく、マーケティング支出が必要な状態から抜けられるとは限らない。2026年上半期もGAAPベースでは純損失だった。調整後EBITDAの改善を、そのまま株主の自由な利益と考えるのは危険である。
予約事業の拡大も万能ではない。予約手数料は大手OTAとの競争で押し下げられ、旅行者の前受金や顧客対応など新しい負担も生む。買収した技術が数年で陳腐化すれば、のれんと無形資産が再び減損する。
支配株主の議決権は約84%で、少数株主が資本配分を変えることは難しい。事業が縮んでも独立上場を維持し続ける可能性があり、現金を持っているだけでは安全域にならない。長い期間で見れば、利益を守る力より競合が利益を削る力の方が大きい。
どちらに重みを置いたか
足元の再生については強気の見方に根拠がある。売上成長と広告効率の改善は実績であり、買収した予約事業もすでに収益へ寄与している。しかし10年の保有で重要なのは、一時的に利益が回復することではなく、その利益を競争から守れることだ。この点では慎重な見方が勝る。
楽観とやや楽観の確率は合計26%、中立は31%、やや悲観と悲観は合計43%とした。AIによる検索数量の減少は中立の数量と長期成長率に反映済みであり、悲観確率をさらに厚くした主な理由は、広告主2グループへの集中、支配株主、広告投資の収益性が不安定なことである。現在の株価との差は約マイナス16%で、結論はやや割高となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 6.14 ドル4 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 0.90 ドル1 億ドル)。 今の値に割り戻すと 3.18 ドル2 億ドル、今との差 −11.4%、 期待の年率 +7.6%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 18.34 ドル13 億ドル | 2.94 ドル2 億ドル | +492.6% | +22.0% | 1.70 ドル1 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 10.52 ドル8 億ドル | 1.89 ドル1 億ドル | +245.7% | +14.8% | 2.23 ドル2 億ドル |
| 中立 | 31% | 6.50 ドル5 億ドル | 0.98 ドル1 億ドル | +108.3% | +8.3% | 2.32 ドル2 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 2.08 ドル1 億ドル | 0.14 ドル0 億ドル | −38.1% | −4.8% | 0.60 ドル0 億ドル |
| 悲観 | 16% | 1.24 ドル1 億ドル | −0.07 ドル0 億ドル | −67.5% | −10.4% | 0.19 ドル0 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 6.14 ドル4 億ドル | 0.90 ドル1 億ドル | +96.1% | +7.6% | 7.04 ドル5 億ドル |
今の株価時価総額 3.59 ドル3 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:ブランド直接流入が定着し、予約事業が第二の利益源となる 利益 1 億ドル · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 18.34 ドル13 億ドル
2035年にはトリバゴの名前を覚えて直接訪れる旅行者が定着し、広告費を増やさずに予約への転換率を改善できる。欧州を中心にブランドが残り、ホテル紹介の数量はおおむね現在の水準を維持する。宿泊料金の上昇と送客の質の改善で紹介単価が上がるため、紹介収益は拡大する。
ブッキング・エクスペディアに加えてホテル直販と中小OTAの入札が活発になり、広告主の集中度が下がる。CPA型の契約が浸透し、予約成立の価値を広告主と分け合える。買収済みのトリバゴ・ディールズは自社ブランドの予約導線として定着し、年間約300万件の収益機会を生む。
グーグルやAIエージェントによる競争は続くが、独立した料金比較を求める利用者が残る。広告費控除後の地域別利益率が改善し、全社の営業利益は約1.34億ドルに拡大する。AIを導入した効果による未確認の新規売上は見込まず、旅行需要とブランドの維持による成果だけを数える。期間純利益は約4.5億ドルとなり、正味で約2.1億ドルを株主へ返す。純現金とブランドを持つ高収益の小型プラットフォームとして存続する。
- 米州・ホテル紹介広告:数量 1.0(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 3.23(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。2025年比でクリック数1.03倍、単価1.43倍。ブランド直接流入でシェアを維持し、広告費効率が改善する。
- 欧州先進国・ホテル紹介広告:数量 1.5(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 2.37(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。クリック数約1.02倍、単価1.40倍。ブランドが最も強い地域として高いROAS貢献率を維持する。
- その他地域・ホテル紹介広告:数量 1.3(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 1.42(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数横ばい、単価1.40倍。旅行市場の成長と自社のシェア変化がほぼ相殺する。
- トリバゴ・ディールズと直接予約:数量 3.0(収益を生むホテル予約件数(百万件、推計))× 価格 45(予約1件当たり収益(ドル、推計))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。買収済み事業の通年化と予約機能の普及で300万件。新規AI売上を別途計上しない。
- Business Studio・その他B2Bサービス:数量 100(有料契約・その他収益機会の数量指数(2025年=100、推計))× 価格 0.00(数量指数1点当たり収益(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替型。数量は1.0倍以下、価格は1.15倍に制限し、記録の正本の価値を認めない。
倍率:k=9.0%、g=2.0%、moat=weakで超過収益の残存率は1/3。余剰現金の税引後受取利息0.0168億ドルを純利益から除くと、事業利益は0.9532億ドル。事業ROEは0.9532÷(4.9−1.2)=25.8%。RONICは9.0%+1/3×(25.8%−9.0%)=約14.6%。正当化PERの上限は(1−g/RONIC)÷(k−g)×(1+g)=約12.58倍で、利益の質が改善した楽観として上限の約99%となる12.5倍を採用する。現金は別に数え、0.9532×12.5+1.2=13.115億ドル。市場のPERは参照しない。
確率:広告費の効率改善が長く続き、予約事業も順調に育つ展開。ただし、ブッキングとグーグルの競争を受けながら10年間維持する必要があり、強い堀のない会社として成功確率は8%にとどめる。
やや楽観 18% やや楽観:ブランド投資が回収され、旅行検索の有力な選択肢として残る 利益 1 億ドル · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 10.52 ドル8 億ドル
2035年も旅行者の一定数は、予約前に複数サイトの料金を比較する。ブッキングやエクスペディアの自社予約は伸びるが、トリバゴのブランドは欧州を中心に残る。紹介クリック数は2025年より5%程度減るものの、宿泊価格の上昇と高品質な送客によって単価は上がる。
グーグルのホテル検索とAIエージェントに流入を一部奪われるが、独立した比較サービスの需要は消えない。広告主は送客の成果を確認しながら入札を続ける。自社ブランドへの直接訪問が増えた分、広告費を抑えられ、欧州のROAS貢献率は比較的高い水準を維持する。
トリバゴ・ディールズの予約件数は年間250万件に育つ。予約手数料は競争で制約を受けるが、ホテル検索から予約への移行が滑らかになり、既存広告にも好影響を与える。全社売上は約9億ドル、営業利益は約0.75億ドルとなる。買収の追加効果を大きく見込まず、期間の純利益は約3.25億ドルとする。株式報酬を差し引いた正味の還元は約1.35億ドルとなり、純現金を保ったまま株主価値を増やす。
- 米州・ホテル紹介広告:数量 1.0(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 3.16(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。クリック数0.95倍、単価1.40倍。直接流入の増加で広告費率が改善する。
- 欧州先進国・ホテル紹介広告:数量 1.4(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 2.34(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。クリック数約0.95倍、単価1.38倍。欧州のブランド認知を維持する。
- その他地域・ホテル紹介広告:数量 1.2(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 1.37(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数約0.95倍、単価1.35倍。地域差による利益率の制約は残る。
- トリバゴ・ディールズと直接予約:数量 2.5(収益を生むホテル予約件数(百万件、推計))× 価格 42(予約1件当たり収益(ドル、推計))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。予約件数250万件。大手OTAとの競争を受けつつ、買収事業の通年化から拡大する。
- Business Studio・その他B2Bサービス:数量 95.0(有料契約・その他収益機会の数量指数(2025年=100、推計))× 価格 0.00(数量指数1点当たり収益(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代替型。数量0.95倍、価格1.15倍で、画面型機能の単価上昇は限定する。
倍率:k=9.0%、g=2.0%、moat=weak。余剰現金1.0億ドルの税引後受取利息0.014億ドルを控除した事業純利益は0.546億ドル。事業ROEは0.546÷(4.4−1.0)=16.1%。RONICは9.0%+1/3×(16.1%−9.0%)=約11.35%。10年目利益への正当化PER上限は約12.00倍となる。ブランドと予約事業の改善が定着するやや楽観のため上限の約99.6%に当たる11.95倍とする。時価総額は0.546×11.95+1.0=7.5247億ドル。
確率:2026年の転換率改善と広告効率向上が中期的に定着するが、長期では競合によってクリック数がわずかに減る展開。2028年の利益率目標への接近を評価して18%とする。
中立 31% 中立:比較検索の数量減少を単価と予約事業が補い、利益は限定的に回復する 利益 0 億ドル · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6.50 ドル5 億ドル
2035年には旅行市場が実質で拡大しているが、旅行者が使う検索手段は変わっている。グーグルやAIエージェントが予約の入口を多く引き受け、トリバゴの紹介クリック数は米州で2025年の約82%、欧州で85%、その他地域で78%となる。ホテル料金の上昇と予約転換率の改善によって単価は上がるが、物価上昇分をすべて獲得することはできない。
2026年に始まった利益改善の一部は定着する。広告費の管理が進み、欧州は引き続き収益を支える。ただし、ブッキングやエクスペディアが直接集客を増やすため、広告主に対する交渉力は弱いままである。新たな大型買収を前提とせず、買収済みのトリバゴ・ディールズが年間190万件程度の予約収益機会を生む。
全社売上は約7.06億ドル、営業利益は約0.46億ドル、GAAP純利益は約0.34億ドルになる。2025年と比べれば利益率は大きく改善するが、大手OTAのような高い利益率には届かない。10年間の累積純利益は約2.2億ドル、株式報酬控除後の正味還元は約0.7億ドルとする。独立した料金比較ブランドとして存続するものの、堀が強い会社にはならない。
- 米州・ホテル紹介広告:数量 0.8(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 2.87(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数0.82倍、単価1.27倍。AI検索への流出と広告主の入札圧力を反映する。
- 欧州先進国・ホテル紹介広告:数量 1.2(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 2.17(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。クリック数0.85倍、単価1.28倍。ブランドが残るため米州より数量の減少が小さい。
- その他地域・ホテル紹介広告:数量 1.0(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 1.24(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数0.78倍、単価1.22倍。地域競争とAI検索による代替が強い。
- トリバゴ・ディールズと直接予約:数量 1.9(収益を生むホテル予約件数(百万件、推計))× 価格 40(予約1件当たり収益(ドル、推計))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。2025年の買収事業が通年化し、2035年は約190万件。手数料競争のため利益率は控えめ。
- Business Studio・その他B2Bサービス:数量 80.0(有料契約・その他収益機会の数量指数(2025年=100、推計))× 価格 0.00(数量指数1点当たり収益(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替の席・画面型として数量0.80倍、単価1.10倍。長期成長率0%を想定する。
倍率:k=9.0%、長期g=2.0%、moat=weakで超過収益の残存割合1/3。余剰現金0.9億ドルの税引後受取利息0.0126億ドルを引き、事業純利益を0.3274億ドルとする。現金を除いた事業の自己資本は4.0−0.9=3.1億ドル、事業ROEは約10.56%。RONIC=9.0%+1/3×(10.56%−9.0%)=約9.52%。10年目利益への正当化PERは約11.51倍。AI代替を数量とg_longに反映済みであり、さらに倍率を二重に削らず、上限の約99.5%となる11.45倍を採用する。時価総額は0.3274×11.45+0.9=4.64873億ドル。
確率:足元の再生を認める一方、長期ではグーグル、ブッキング、AI検索への流入移転が進む。2026年の高い伸びを10年間延長せず、広告費改善と構造的な数量減少が共存する最頻の筋書きとして31%とする。
やや悲観 27% やや悲観:AIと大手OTAへの流入集中で広告収益が縮小する 利益 0 億ドル · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2.08 ドル1 億ドル
2035年には旅行の入口をグーグル、ブッキング、エクスペディアなどがさらに強く握る。旅行者がトリバゴに立ち寄る回数は減り、紹介クリック数は米州で2025年の65%、欧州で70%、その他地域で65%となる。物価が上昇してもクリック単価は十分には上がらず、既存の紹介収益が減少する。
広告費を減らすとブランドの存在感も落ちるため、経営は利益率を守ることと集客を維持することの間で難しい選択を迫られる。Book & Goとディールズの予約事業は残るが、ブッキングなどとの価格競争で収益率が低い。2025年の買収技術の一部も、AI予約サービスの普及によって競争力を失う。
全社売上は約5.13億ドルに縮み、営業損失は約0.14億ドルとなる。2026年の改善後に数年間の小幅な黒字があっても、後半の赤字と打ち消し合い、10年間の累積純利益はほぼゼロとなる。正味の株主還元は約0.1億ドルにとどまる。会社は純現金と費用削減によって存続するが、資本コストを超える利益を継続的に稼げない。既存のブランドと技術の価値は縮小し、売れる資産と残存する現金が企業価値の中心になる。
- 米州・ホテル紹介広告:数量 0.7(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 2.59(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数0.65倍、単価1.15倍。直接予約とAI検索への流出が続く。
- 欧州先進国・ホテル紹介広告:数量 1.0(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 2.00(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数0.70倍、単価1.18倍。欧州ブランドは残るが競争で広告単価が伸び悩む。
- その他地域・ホテル紹介広告:数量 0.8(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 1.10(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数0.65倍、単価1.08倍。競合への流入移転が最も厳しい。
- トリバゴ・ディールズと直接予約:数量 1.4(収益を生むホテル予約件数(百万件、推計))× 価格 33(予約1件当たり収益(ドル、推計))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。予約件数140万件。予約単価と手数料の競争で利益率が縮小する。
- Business Studio・その他B2Bサービス:数量 70.0(有料契約・その他収益機会の数量指数(2025年=100、推計))× 価格 0.00(数量指数1点当たり収益(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。画面型B2Bサービスの需要が減少し、利益率もマイナスになる。
倍率:最終年がGAAP赤字で事業のROEが資本コスト9.0%に届かないため、赤字へPERを掛けず、売れる資産と残余の事業価値からPBRで測る。2035年自己資本2.4億ドルに対するPBR0.62倍で時価総額1.488億ドル。現在の自己資本2.5億ドルに対しては約0.60倍である。資産回収の床1.25億ドルを上回る。将来の純現金はPBRと資産の床に含め、別に足して二重計上しない。
確率:広告主が直接集客へ予算を移し、ブランド広告の費用対効果も悪化する展開。AIそのものによる数量減少は中立に織り込み済みだが、広告主2グループへの依存と支配株主の資本政策リスクが重なるため27%とする。
悲観 16% 悲観:独立したホテル比較の役割が薄れ、資産回収が価値の中心となる 利益 0 億ドル · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1.24 ドル1 億ドル
2035年には旅行者がAIエージェントに宿泊条件を伝えるだけで、比較から予約まで完了するようになる。グーグルと大手OTAが検索や予約の入口を握り、独立したホテル比較サイトを経由する必要性が薄れる。トリバゴの紹介クリック数は米州で2025年の42%、欧州で45%、その他地域で40%まで減少する。広告主は残った流入にも高い単価を支払わなくなる。
経営は広告費と人員を削減するが、費用を減らすほどブランドの存在感も失われる。買収したディールズの技術も競争上の優位を保てず、予約収益は縮小する。追加の大型買収は行わず、既存の資産を縮小して現金を守る。宿泊料金の比較という機能は市場に残るが、トリバゴが利益を得る余地は非常に小さい。
全社売上は約2.95億ドルと2025年の半分弱になり、営業損失は約0.27億ドルとなる。10年間には一時的な黒字もあるが、その後の事業縮小と減損・再編費用によって累積純損失は約0.85億ドルに達する。自社株買いは止まり、株式報酬による希薄化が残る。事業を整理して一部の現金と債権を回収できるものの、ブランドの帳簿価値はほぼ失われる。破綻を必然とはせず、資産の純回収価値を下限として評価する。
- 米州・ホテル紹介広告:数量 0.4(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 2.48(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数0.42倍、単価1.10倍。AIによる入口の喪失と広告入札の縮小が重なる。
- 欧州先進国・ホテル紹介広告:数量 0.7(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 1.86(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数0.45倍、単価1.10倍。欧州でもブランド維持費を十分に回収できない。
- その他地域・ホテル紹介広告:数量 0.5(広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計))× 価格 1.02(紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。クリック数0.40倍、単価横ばい。競争で実質の広告価格が大幅に下がる。
- トリバゴ・ディールズと直接予約:数量 0.5(収益を生むホテル予約件数(百万件、推計))× 価格 30(予約1件当たり収益(ドル、推計))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。予約件数50万件。買収技術が陳腐化し、事業維持に損失が生じる。
- Business Studio・その他B2Bサービス:数量 50.0(有料契約・その他収益機会の数量指数(2025年=100、推計))× 価格 0.00(数量指数1点当たり収益(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェントに操作画面を代替され、契約・収益機会は半減する。
倍率:最終年は営業・純利益とも赤字で、資本コストを超える利益を生めない。成長型PERではなく、残る現金と売れる資産を基準にする。2035年自己資本1.7億ドルにPBR0.52倍を掛けると時価総額0.884億ドルとなる。これは現在の自己資本2.5億ドルの約0.35倍に相当し、過去の市場PBRを根拠にした値ではない。税後回収資産の床0.75億ドルを上回り、現在の自己資本を全額回収できるという仮定も置かない。現金はPBRの内部に含み、別に上乗せしない。
確率:大手OTAの直接集客、AIエージェントによる比較工程の消滅、買収技術の陳腐化、ブランド投資の失敗が重なる構造的な敗北。純現金で急な破綻を避けられる可能性はあるが、広告主集中による非連続な収益悪化を考慮して16%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米州・ホテル紹介広告
米国を中心とした米州で、ホテル料金の比較を通じてOTAやホテルへ旅行者を紹介する。CPC課金とCPA課金が主体である。
| 数量広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計) | 価格紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 2.26 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.8 | 2.87 | 2 | 0 |
取り方:2025年20-Fの米州Referral Revenueは1億9976万ユーロで、factsの全社売上6.2億ドルと20-Fの全社売上5億4891万ユーロの比率で換算した。2025年の紹介クリック絶対件数と地域別RPRは非開示である。2019年第1四半期に会社が開示した全社RPR1.59ユーロを参考に、米州は約2ユーロと仮定して約1億クリックを推計した。会社の実際の開示数量ではない。2025年の米州紹介クリック数は前年比6%増、RPRは9%増という開示を数量と単価の裏付けに使う。op_okuは広告費控除後のROAS貢献額を換算したもので、共通費控除前の利益である。AIエージェント代替は自社広告媒体型とし、中立では紹介クリック数が減る。
欧州先進国・ホテル紹介広告
ドイツ、英国、フランス、スペインなどでホテル料金を比較する。既存ブランドの認知と直接流入が収益性を支える主要市場である。
| 数量広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計) | 価格紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.5 | 1.70 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 2.17 | 3 | 1 |
取り方:2025年20-Fの欧州先進国Referral Revenueは2億2067万ユーロ。2025年の紹介クリック絶対件数は非開示のため、2019年に開示された全社RPRと各地域の広告市場の相違を参考に欧州の平均単価を約1.50ユーロと仮定し、約1.47億クリックと推計した。2025年の同地域の紹介クリック数は前年比8%増、RPRは7%増だった。op_okuは会社開示の広告支出控除後ROAS貢献額6217万ユーロをドル換算したもので、営業利益そのものではない。AIエージェント代替を受ける自社媒体型だが、ブランド直接流入の相対的な強さを米州より高く評価する。
その他地域・ホテル紹介広告
日本、トルコ、オーストラリアなどを含む地域で宿泊料金を比較し、外部予約サイトへの紹介を収益化する。
| 数量広告主へのホテル紹介クリック数(億件、推計) | 価格紹介1クリック当たり平均収益(ドル、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.3 | 1.02 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 1.24 | 1 | 0 |
取り方:2025年20-Fのその他地域Referral Revenueは1億1246万ユーロ。紹介クリックの絶対件数は非開示なので、平均単価を約0.90ユーロとする独自仮定から約1.25億クリックを推計した。2025年のクリック数は前年比10%増、RPRは13%増と会社が開示している。op_okuは広告支出を引いたROAS貢献額1968万ユーロから換算した。2026年第2四半期には紹介収益が11%減少したため、2035年の中立では旅行市場の成長がそのまま自社のクリック増加になるとは考えない。AI代替に加え、地域競争と航空事情を数量へ反映する。
トリバゴ・ディールズと直接予約
2025年に完全取得したホリストを基盤とし、Book & Go、ホテル料金の組み合わせ、予約導線の提供を行う。
| 数量収益を生むホテル予約件数(百万件、推計) | 価格予約1件当たり収益(ドル、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.5 | 28 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.9 | 40 | 1 | 0 |
取り方:2025年20-Fの買収注記では、ホリストの連結後の売上が1260万ユーロ、純利益が270万ユーロと開示された。売上を約0.142億ドルに換算した。予約件数とテイクレートは非開示なので、平均宿泊代金と予約手数料から1件28.4ドルの収益を仮定し、約50万件と推計した。件数は実績開示ではない。営業利益は開示純利益を手掛かりに推定した。直接予約は人月・席課金ではなく取引型プラットフォームであり、AIによる予約導線の代替リスクを受ける。2026年のその他収益には買収後の通年化と連結月数の変化が含まれるため、初年度の倍率を単純延長しない。
Business Studio・その他B2Bサービス
ホテル向け掲載情報、データ分析、表示改善などの機能とその他の提携収益。全社に占める規模は小さい。
| 数量有料契約・その他収益機会の数量指数(2025年=100、推計) | 価格数量指数1点当たり収益(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2025年のその他収益1602万ユーロから、買収済みホリストの連結売上1260万ユーロを引いた約342万ユーロをドル換算した。Business Studioだけの売上、契約数、解約率は開示されず、残額にはその他提携収益も含まれる。契約数を捏造しないため、数量は2025年を100とした指数を使う。AIエージェント代替のうち、操作画面が価値の中心となる業務ソフト型として保守的に扱う。中立では10年数量0.80倍、価格1.10倍、独立した長期成長率0%を採用する。記録の正本となる証拠は確認できず、強い堀は認めない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
ホテル料金の比較と予約サイトへの送客は、AIエージェントが直接行える仕事である。トリバゴの中核は自社媒体の広告枠だが、その価値は利用者がサイトを訪れて広告をクリックすることに依存する。AIが比較画面を省略すれば数量が減り、広告主の入札単価も下がる。中立の既存紹介クリック数と長期gを引き下げ、同じ理由で資本コストの寿命項目を上げる二重計上は避けた。
ブッキングとエクスペディアへの売上集中
2025年の紹介収益では、ブッキング系が40%、エクスペディア系が34%を占めた。両社は主要顧客であると同時に直接の競合でもある。2026年4〜6月期にはエクスペディア系の構成比が前年から低下しているが、集中そのものは続く。広告主が自社アプリやグーグルへ予算を移せば、紹介収益と広告オークションの競争が同時に弱くなる。
ブランド広告費の回収率
2025年のROASは128.4%で、前年から3.7ポイント低下した。2026年には改善が見られるが、テレビ広告やブランド宣伝の費用を減らした後も利用者が残るかは未確認である。集客費の削減が翌年以降の流入減少を招くなら、目先の営業利益増加は持続しない。ブランドを維持する広告費を必要な経費として残すことが、オーナー利益を過大評価しない条件となる。
支配株主と少数株主の利害
エクスペディアは経済的持分約59%に対して議決権約84%を保有する。Class B株の強い議決権により、少数株主は取締役の選任や重要な資本政策を主導しにくい。親会社も広告主であり、広告契約の条件、買収、資金還元をめぐって利害が完全には一致しない。親会社による完全取得は可能性として残るが、買収プレミアムを本質価値へ加えていない。
買収した予約技術の回収
2025年にホリストを完全取得し、トリバゴ・ディールズを連結した。予約事業は収益源を広げるが、ホテル予約の手数料市場は大手OTAとの競争が厳しい。予約技術の償却、顧客対応、旅行者からの前受金など、従来の紹介広告には少なかった負担も生じる。買収で認識した無形資産やのれんが十分な利益を生まなければ、再び減損する可能性がある。
景気、旅行需要、為替と地域別の変動
旅行は裁量的な支出であり、景気後退、航空運賃の高騰、地政学的な混乱によって需要が減る。2026年第2四半期には、その他地域の紹介収益が前年同期比11%減少した。為替と中東地域の航空事情が影響したと会社は説明している。長期の計算ではドル円を固定するが、実際の会社収益はユーロ建て報告と現地通貨の動きで変動する。
利益の質と資本効率の再悪化
2025年の純利益には一時的な税効果と買収持分の評価益が含まれ、GAAP営業利益はほぼゼロだった。2026年上半期もGAAPベースでは赤字である。調整後EBITDAが改善しても、株式報酬、償却、技術開発、広告費を考慮したオーナー利益が増えるとは限らない。過去の大きな減損とROEの不安定さを踏まえ、将来の利益率と還元を楽観しすぎない必要がある。
今後の分かれ目
- 2027年末まで紹介収益の前年比成長率が10%以上を維持し、広告費の増加率が紹介収益の増加率を継続して下回ったら
- ブランド直接流入が定着している可能性が高まる。やや楽観の確率を上げ、2035年の広告費控除後利益率を再検討する。
- 2028年に調整後EBITDA利益率10%の会社目標を達成し、GAAP営業利益率も5%以上に改善したら
- 改善が会計上の調整だけではないと判断しやすくなる。中立の営業利益率と累積株主還元を引き上げる余地が生まれる。
- ブッキング系とエクスペディア系の合計紹介収益構成比が60%を下回り、新しい広告主の入札が増えたら
- 顧客集中の危険が和らぎ、広告単価を維持する力が増す。利益の継続性を高く評価できる。
- 検索エンジン・AIエージェント経由の予約が広がり、トリバゴの紹介クリック数が2年続けて年10%以上減少したら
- 独立した料金比較画面の構造的な代替が進んでいると判断する。やや悲観と悲観の数量を採用する可能性が高まる。
- トリバゴ・ディールズの年間収益が1億ドル規模へ拡大し、GAAP営業利益と営業キャッシュフローも増加したら
- 買収済み予約事業が利益源として定着したと評価する。既存紹介広告への依存度を下げ、中立の売上構成と利益率を更新する。
- 2026年の自社株買い枠の実行後も、株式報酬を上回る正味の株主還元が数年間続いたら
- 現金を株主へ戻す実績が強まり、余剰現金の回収可能性に対する確信が高まる。反対に現金が不採算買収へ使われれば評価を下げる。
- 親会社エクスペディアが完全子会社化を正式提案し、取引価格と少数株主の保護条件が公表されたら
- 取引成立の可能性と提示された対価を別途評価する。ただし、正式な合意以前は買収プレミアムを本質価値へ加えない。
見ておくもの
- 米州・欧州先進国・その他地域の紹介収益と、紹介クリック数・RPRの前年比変化
- ブランド直接流入の伸び、予約転換率、広告支出、地域別ROAS
- ブッキング系とエクスペディア系の広告収益構成比、CPA契約の普及
- トリバゴ・ディールズの売上、予約件数、収益率、買収無形資産の償却と減損
- 2026年11月3日に発表予定の第3四半期決算と通期ガイダンスの変更
- 2028年の調整後EBITDA利益率10%目標とGAAP営業利益率の差
- GAAP純利益、営業キャッシュフロー、維持投資、株式報酬を控除した正味の還元
- グーグルのホテル検索とAI予約エージェントによるユーザー流入・紹介クリックの変化
- エクスペディアの議決権比率、関連当事者取引、完全子会社化や事業再編の有無
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額を目標値として売上や利益率を逆算していない。2025年の地域別紹介収益、広告費、クリック数と単価の開示変化を出発点にした。絶対クリック数と一部の予約件数は非開示なので、2019年の開示RPRを手掛かりとする推計と明示した。既存広告については旅行市場の伸びと自社シェア低下を分け、AI代替を中立数量とg_longへ反映した。倍率はk、事業ROE、RONIC、弱い堀から計算し、余剰現金を別に加えた。2025年の一時的な税効果は将来の経常利益として延長せず、GAAP利益を使った。米国上場ADRとClass B株を含む会社全体の時価総額で比較した。市場の過去PER・PBRは倍率決定に用いていない。結果の本質価値約2.27億ドルが市場時価総額約2.71億ドルを下回ることを、そのまま結論とした。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本資本コスト8.0%に事業の質による+1.0%を加え、k=9.0%とした。株価のβや規模による上乗せは使わない。純現金と事業の継続性から、現在は存続そのものに疑義がある会社とは見なさない。経営支配、顧客集中、買収、AI代替の固有リスクは筋書きの数量・利益と確率に反映し、extraは0%。