株譜
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ナイキ NKE

世界最大のスポーツブランドが利益の谷にいる。回復を利益ベースの倍率で測るとほぼ適正、勝負は卸の棚と中国

適正
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)39.81 ドル590 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)38.3 ドル568 億ドル差 +3.9%
10 年後から見ると 適正 価値 39.81 ドル590 億ドル · 差 +3.9% · 期待の年率 +7.4%
期待の年率リターン(10 年)+7.4%資本コスト比 −1.1 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

ナイキは世界最大のスポーツ用品ブランドで、売上は 464 億ドル(2026 年 5 月期、横ばい)、営業利益は 42 億ドル(一回限りの関税還付 約 10 億ドルを含む)、純利益は 31 億ドル。売上の内訳は北米 44%・EMEA 27%・大中華圏 13%・APLA 13%・コンバース 3%、販売経路は卸が約 6 割、直営(店舗とデジタル)が約 4 割である。

2023 年のピーク(売上 512 億ドル、純利益 57 億ドル)から、直営偏重で卸の棚を失った反動、クラシック靴の飽き、中国の消費の弱さと現地ブランドの台頭、関税の費用で、利益は半分近くまで落ちた。2026 年 6〜8 月期は売上 112 億ドル(−4%)、大中華圏 −22%、直営 −8%(デジタル −13%)、会社は 2027 年 5 月期の売上を高い一桁の減少、調整後 1 株利益 1.15〜1.35 と見る。底は 2027 年とみる。

バリュー投資の観点では、10 年後も世界最大のスポーツブランドとして存在する確率は高い。堀(ブランド・選手と大会の契約・流通網・購買の規模)は削れたが消えていない。一方、ホカ・オン・ニューバランス・アディダスが棚と若い客を取っており、堀が広がっているとは言えない。積み上げた中立の 10 年は売上 699 億ドル・営業利益率 10.9%・純利益 58 億ドルで、時価総額 約 820 億ドル(利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(筋書きの ROE − k)で、資本コストを超える稼ぎは先で薄れる)17.7 倍の 80% の約 14.2 倍、今の約 1.5 倍)。資本コストは 8.5%(基本 8.0% + quality 0.5%)。総合は適正(差 +7%)。10 年の期待の年率 +7.7% は資本コストをわずかに下回り、利益の谷から戻る前提の値で、競合に棚を取られ続ける筋書き(悲観側の合計 35%)では年率 3% 前後にとどまる。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、ナイキは理解しやすく、10 年後も世界最大のスポーツブランドとして残る確率が高い。ブランド・選手との契約・流通網・購買の規模という堀があり、2018〜2023 年には資本の 3〜4 割の利益率を稼ぎ、その多くを配当と自社株買いで株主に返した。現在は堀が削れている局面で、ここが評価の分かれ目である。

堀が削れている根拠は具体的にある。ホカとオンはランニングの棚と若い客を取り、アディダスとニューバランスはライフスタイル靴で勢いがあり、中国では安踏・李寧が国内の愛国消費を取る。直営を急に広げて卸の棚を渡した判断は、経営の資本配分と戦略の誤りだった。一方、新しい経営陣が卸との関係を戻し、性能品(ランニング・バスケ・トレーニング)に絞って立て直している。立て直しが成功すれば、堀は元に戻るが、広がるとまでは言えない。

オーナー利益(再投資を引いた株主のものになる利益)は、純利益の約 8〜9 割。中立の 10 年は純利益 58 億ドル、利益ベースの倍率 約 14 倍で時価総額 約 820 億ドル。谷の利益に対する値段は割安に見えるが、谷が本当に底かどうかは 2027〜28 年の卸の売上・粗利益率・中国の動きで決まる。確信度は事業の存続には高く、利益が元に戻る時期と水準には中くらいである。安全域は、構造的な負けの筋書きでも時価総額が今の約 5 割、還元を足せば約 8 割残る点にある。

何で稼ぐ会社か

ナイキの収益は 4 つの地域とコンバースで、どれも「靴・衣料・用品(バッグ・ボール・帽子)」を卸(スポーツ用品店・百貨店・アマゾン)と直営(自社の店舗・アプリ・サイト)で売る形である。靴が約 3 分の 2、衣料が約 3 割、用品が 1 割弱(推定)。製造はベトナム・インドネシア・中国などの委託工場で、ナイキ自身は設計・マーケティング・流通を持つ。

北米(2026 年 5 月期の売上は約 205 億ドル、+5%)は最大で、地域の営業利益率も最も高い(約 21% の概算)。2026 年 6〜8 月期は +2% で、卸が +9%(29.8 億ドル)と戻る一方、直営は減った。ランニングが伸び、バスケとトレーニングも回復し、クラシック靴は会社が意図して縮めている。EMEA(約 126 億ドル、通貨を除き −3%)は 2026 年 6〜8 月期が −5%。大中華圏(約 58.5 億ドル)は −11% のあと 2026 年 6〜8 月期は −22% と最も弱く、会社は「全面的な立て直し」を掲げる。APLA(約 62.5 億ドル)は日本・韓国・インド・オーストラリア・ラテンアメリカで、2026 年 6〜8 月期は −2%。

コンバース(12 億ドル、−31%)はチャック・テイラーなど定番に偏り、全地域で減っている。

全体を決める変数は 3 つ。第 1 は卸と直営の比率:卸は粗利益率が低いが売上が安定し、直営は粗利益率が高いが集客に広告費がかかる。第 2 は定価で売れる比率(値引きの程度)。第 3 は関税:輸入原価が上がり、2026 年 5 月期には一回限りの還付が出たが、水準自体は続く。

売上は数量 × 価格で置く。数量は「地域のスポーツ靴・衣料の市場(世界で年 +4〜5% の名目)× ナイキのシェア」、価格は平均販売単価(物価 3.5% の中立から、卸への回帰と中国の値引きで割り引く)。点数と単価は開示がないので、売上から逆算した推定である。

優良さと弱いところ

堀は 4 つある。第 1 はブランド:「ジャスト・ドゥ・イット」とスウッシュは世界で最も知られたスポーツの印で、価格を決める力の源泉。第 2 は選手・チーム・大会との契約(ジョーダン、レブロン、各国のクラブ・代表のユニフォームなど)で、性能の物語を作る。第 3 は流通網と購買の規模:世界の約 190 か国の卸と直営、委託工場への発注量はほかのブランドが真似できない。第 4 は財務:現金・短期投資が 84 億ドル、純負債は軽く、不況でも広告と開発を続けられる。

価格を決める力は、2023 年までは強かった(粗利益率 44〜46%、営業利益率 12〜16%)。いまは粗利益率 40% 台前半(還付を除く)、営業利益率は 7% 前後(還付を除く)に落ち、値引きと関税で一部を失った。自己資本利益率は 2018〜2023 年に 30〜45% だったが、利益の減少で 2026 年 5 月期は約 21%。

弱い所は 4 つ。①ホカ(デッカーズ)がロードランニングのシェアを 2 ポイント上げ、オンも高価格帯で伸び、ナイキの最も大事な「走る人」の入口を侵食した。②直営偏重の戦略(2020〜2023 年)で卸の棚を渡した結果、棚の回復に時間がかかる。③クラシック靴が一巡し、次の柱の成長が見えるまで時間がかかる。④中国は現地ブランド(安踏・李寧)と愛国消費に押される。経営はエリオット・ヒルが復帰して立て直し中だが、会社自身が回復に 24〜36 か月と述べている。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

世界のスポーツ靴・衣料の市場は約 4,000 億ドル(推定)で、名目で年 +4〜5% の伸び(業界ノート)。中身は走る・歩く・ジム(ランニング、トレーニング、ライフスタイル)と、球技・チームスポーツである。ナイキは世界で約 1 割強(売上 464 億ドル)を持つ最大手で、直近の競争の中心はランニングとライフスタイル靴である。

競合は 4 つの型に分かれる。①ホカ(デッカーズ):2025 年 12 月・2026 年 3 月の四半期売上は 6.3〜6.7 億ドル(+14〜18%)、会社全体の営業利益率は約 21.5% と高い(ナイキは 7%)。クッション性のロードランニングで 2 ポイントのシェアを上げた。②オン(スイス):高価格のランニングで伸び、ナイキの棚を侵食する。③アディダス・ニューバランス・アシックス:クラシックとランニングの両方で勢いがあり、卸の棚を競う。④中国の安踏・李寧:国内で愛国消費を背に伸び、中国のナイキの売上を押し下げる。

業界の形は 2 つの変化の最中にある。第 1 は直営と卸の振り子:ナイキは直営偏重から卸へ戻り(アマゾン復帰、フットロッカー・ディックスとの関係修復)、卸は 2026 年 5 月期に +6%(275 億ドル)、直営は −6%(177 億ドル)。第 2 は関税と調達:衣料・靴は輸入比率が 75〜78%(ユーロモニター)で、関税が上がった。2026 年は関税の還付が出たが、水準は続く。

業界ノートは、ナイキを「2 年の回復の後、年 +4〜5%、粗利益率 44〜45% に戻る、営業利益率 11〜13%」と置く。2026 年の実績(売上横ばい、2027 年は −8% 前後の見通し)はこれを下回るので、この会社は回復が遅れる形にし、10 年で業界ノートの水準(営業利益率 11% 前後)に届く中立とした。

資本政策と M&A

資本政策は配当を欠かさず、増やすことを重視する。配当は 2026 年 5 月期で約 24 億ドル、2026 年 6〜8 月期は 6.1 億ドル(+3%)。自社株買いは 2025 年から大きく減り、2026 年 5 月期は 2 億ドル前後。承認済みの枠は残っており、利益が回復すれば再開できる。株式報酬は年約 7〜9 億ドルで、自社株買いはこれを打ち消す役を担ってきた。

2026 年 3 月に費用の見直しを発表し、これを広げた Pace(2031 年度までの累計節約約 25 億ドル、費用約 10 億ドル、2027 年 5 月期に約 3 億ドル)を 2026 年 10 月に示した。M&A はほとんどなく、大型買収の計画もない。コンバースの扱い(再建か縮小か)は未発表で、懸案である。創業者フィル・ナイト関連の議決権株(クラス A)が経営の支配を握り、TOB や再編の可能性は時価総額 550 億ドルでも低い。

現金は額面どおりに数える。純有利子負債は約 20 億ドル(現金 90 億・借金 110 億。リースを含む)で時価総額の 4% 以下で小さい。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

ナイキは 2 年の谷を抜け、競合に奪われた分を取り戻す。ランニングは 2025 年秋に 20% 超の伸びで、新製品がホカやオンと同じ価格帯で戦えている。卸は 2026 年 6〜8 月期の北米で +9%(29.8 億ドル)と戻り、アマゾン・フットロッカー・ディックスの棚が回復した。クラシック靴の縮小は 2027 年に終わり、2028 年からは「縮めた分が基準」になって増える側へ回る。

会社の費用の見直し(Pace)は 2031 年度までに 25 億ドルを節約し、在庫は 78 億ドルまで下がって値引きが減る。関税の水準が下がるか、調達の分散で原価を抑えれば、粗利益率は 44〜45% に戻る(2026 年 6〜8 月期は 42.8%)。中国は 2027 年に底を打ち、現地ブランドと同じ価格帯の新製品で、2030 年代には年 +5% 以上の成長に戻る。

10 年で売上は年 +6〜7% の成長で 880 億ドル前後、営業利益率は 2020〜2021 年の 15〜16% 近く(純利益は 100 億ドル)。この場合、利益ベースの倍率(g 4%・ROE 35%)で時価総額は約 1,540 億ドルとなる。ナイキの規模でシェアを取り戻すだけでなく、世界のスポーツ市場そのものが名目で年 +5% 伸びる前提がある。

慎重な見方

ナイキの谷は一時的な調整ではなく、構造の変化である。直営偏重で渡した卸の棚は、ホカ・オン・ニューバランス・アディダスが取って離さない。ランニングの 20% 超の伸びは小さな土台からの回復で、ホカは年 26 億ドル規模ながら伸びが速い。クラシック靴の縮小で穴が空き、新しい柱はまだ見えない。中国は −22% で、安踏・李寧は価格と愛国で勝っており、2027 年に底を打つ根拠が乏しい。

関税は 2026 年に還付が出たが、水準は続く。会社は 2027 年 5 月期の売上を高い一桁の減少と見ており、2026 年 6〜8 月期に北米が +2% でも、EMEA −5%・中国 −22%・直営 −8% は、需要の弱さを示す。粗利益率 42.8%(+60bp)は物流費の減少が主因で、値引きを含めた本当の改善ではない。

結果として、10 年後の営業利益率は 7〜8%(いまの還付を除く実力と同じ)にとどまり、純利益は 37 億ドル前後、売上は年 +3% 以下。利益ベースの倍率 約 12 倍(ROE 20%)で時価総額は約 455 億ドル、今の約 0.8 倍で、配当を足しても年率は資本コスト 8.5% に届かない。しかもこれは、さらにシェアを失う悲観(時価総額 約 300 億ドル)を除いた中間である。

どちらに重みを置いたか

事業の質と立て直しの手順は強気の見方が勝ち(ブランド・流通網・財務は残る)、競合への棚の喪失と中国は慎重な見方が勝つ。確率は 10 年で中立 35%、やや楽観 22%、楽観 8%、やや悲観 23%、悲観 12% とし、悲観側(やや悲観+悲観)を 35% と厚くした(GRMN は 33%、ROST は 30%)。ナイキは利益率が谷にあり、競合が複数でそれぞれ勢いがあるため。楽観を 8% に抑えたのは、15% 近い利益率に戻るには関税とシェアの両方が要るため。倍率は利益ベースで、中立の 10 年は約 14.2 倍(g 4%・ROE 26%・k 8.5% の正当化 PER ×(1+g) の 80%)。結論は適正。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 54.67 ドル810 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 23.51 ドル348 億ドル)。 今の値に割り戻すと 39.81 ドル590 億ドル、今との差 +3.9%、 期待の年率 +7.4%(資本コスト 8.5%)→ 適正

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 8% 103.79 ドル1,537 億ドル 35.11 ドル520 億ドル +262.5% +13.7% 11.11 ドル165 億ドル
やや楽観 22% 79.76 ドル1,181 億ドル 29.03 ドル430 億ドル +183.9% +11.0% 23.94 ドル354 億ドル
中立 35% 55.26 ドル818 億ドル 24.31 ドル360 億ドル +107.6% +7.6% 27.85 ドル412 億ドル
やや悲観 23% 30.72 ドル455 億ドル 19.24 ドル285 億ドル +30.4% +2.7% 11.49 ドル170 億ドル
悲観 12% 20.09 ドル298 億ドル 11.48 ドル170 億ドル −17.6% −1.9% 3.79 ドル56 億ドル
加重平均100% 54.67 ドル810 億ドル23.51 ドル348 億ドル +104.0% +7.4% 78.18 ドル1,158 億ドル

今の株価時価総額 38.32 ドル568 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 8% 楽観:シェアを取り戻し、営業利益率 15% の世界最大ブランド 利益 102 億ドル · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 103.79 ドル1,537 億ドル

ナイキは棚と若い客を取り戻し、世界のスポーツ市場の成長(年 +5% の名目)以上に伸びる。北米は数量 1.35 倍・価格 1.42 倍で売上 393 億ドル、ランニングでホカ・オンに並び、バスケ(ジョーダン)とトレーニングも柱になる。EMEA はサッカーとランニングで数量 1.22 倍、大中華圏は現地ブランドと同じ価格帯の新製品で数量 1.55 倍(売上 122 億ドル、利益率 19.5%)、APLA はインド・日本で数量 1.5 倍、コンバースは縮小が止まり 1.3 倍。売上 884 億ドル(年 +6.7%)、営業利益 134 億ドル(15.2%:2020〜21 年の 14.5〜16% と同水準)、純利益 102 億ドル。

  • 北米:数量 72,765(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 54(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 393 億ドル・営業利益 94 億ドル。点数と平均単価の推定
  • EMEA:数量 50,020(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 43(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 215 億ドル・営業利益 48 億ドル。点数と平均単価の推定
  • 大中華圏:数量 37,200(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 33(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 122 億ドル・営業利益 24 億ドル。点数と平均単価の推定
  • APLA:数量 33,000(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 40(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 131 億ドル・営業利益 28 億ドル。点数と平均単価の推定
  • コンバース:数量 4,160(販売点数(万点:主に靴))× 価格 53(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 22 億ドル・営業利益 2 億ドル。点数と平均単価の推定

倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質 1.25%+価格 3.5% は 4.75% だが上限の 4% に)・事業の ROE 35.1%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 21.8%、10 年目より先の正当化 PER 18.1 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 18.9 倍。棚と客を取り戻す側だが、流行で売れ方が変わるので上限の 80% に置き 15.1 倍。

確率:シェアの回復・関税の低下・中国の復活が同時に要る。10 年で売上 1.9 倍・利益率 15% の筋書きで 8%。

やや楽観 22% やや楽観:ランニングを取り戻し、利益率 13.7% 利益 81 億ドル · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 79.76 ドル1,181 億ドル

立て直しが成功し、ランニングは取り返すが、クラシック靴は元ほど戻らない。北米は数量 1.22 倍・価格 1.40 倍で 350 億ドル、EMEA は 198 億ドル、大中華圏は数量 1.30 倍で 101 億ドル(利益率 18%)、APLA は 112 億ドル、コンバースは 18 億ドル(利益率 8%)。売上 780 億ドル(年 +5.3%)、営業利益 107 億ドル(13.7%)、純利益 81 億ドル。ホカ(営業利益率 21%前後)には及ばないが、規模の購買力で 13〜14% を保つ。 卸の棚が戻り、ランニングは性能品で並ぶが、直営のデジタルは広告費の割に伸びが鈍く、中国は現地ブランドとの差を詰めきれない。

  • 北米:数量 65,758(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 53(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 350 億ドル・営業利益 81 億ドル。点数と平均単価の推定
  • EMEA:数量 46,740(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 42(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 198 億ドル・営業利益 43 億ドル。点数と平均単価の推定
  • 大中華圏:数量 31,200(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 32(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 101 億ドル・営業利益 18 億ドル。点数と平均単価の推定
  • APLA:数量 28,600(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 39(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 112 億ドル・営業利益 22 億ドル。点数と平均単価の推定
  • コンバース:数量 3,520(販売点数(万点:主に靴))× 価格 52(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 18 億ドル・営業利益 2 億ドル。点数と平均単価の推定

倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質 1.0%+価格 3.5% は 4.5% だが上限の 4% に)・事業の ROE 29.7%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 19.1%、10 年目より先の正当化 PER 17.6 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 18.3 倍。回復が構造になる側だが、競合が多いので上限の 80% に置き 14.6 倍。

確率:立て直しが成功し、利益率が 2022〜23 年(約 12%)を超える。22%。

中立 35% 中立:谷から回復、営業利益率 10.9%、売上 699 億ドル 利益 58 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 55.26 ドル818 億ドル

2027〜28 年が底で、その後ランニング・バスケ・トレーニングの性能品と卸の回復で、数量は 10 年で北米 1.12 倍・EMEA 1.08 倍・APLA 1.20 倍・大中華圏 1.05 倍(2027 年の落ち込みを含む)。価格は物価の 1.41 倍より低く、卸の比率が上がる平均単価の希薄化と中国の値引きを反映して 1.30〜1.38 倍。売上 699 億ドル(年 +4.1%)、営業利益は 76 億ドル(10.9%、還付を除く 2026 年 5 月期の実力 7% と 2023 年の 12% の中間)、純利益は 58 億ドル。ホカが営業利益率 21% 前後を稼ぎ続け、アディダス・ニューバランスも伸びる中で、ナイキは「最大だが最も儲かるわけではない」位置を保つ。

  • 北米:数量 60,368(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 52(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 317 億ドル・営業利益 68 億ドル。点数と平均単価の推定
  • EMEA:数量 44,280(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 42(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 185 億ドル・営業利益 37 億ドル。点数と平均単価の推定
  • 大中華圏:数量 25,200(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 32(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 80 億ドル・営業利益 12 億ドル。点数と平均単価の推定
  • APLA:数量 26,400(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 39(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 103 億ドル・営業利益 19 億ドル。点数と平均単価の推定
  • コンバース:数量 2,880(販売点数(万点:主に靴))× 価格 51(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 15 億ドル・営業利益 1 億ドル。点数と平均単価の推定

倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質+価格で 4%)・事業の ROE 25.7%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 17.1%、10 年目より先の正当化 PER 17.0 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 17.7 倍。利益の谷から戻る途中で、競合も強いので上限の 80% に置き 14.2 倍。

確率:谷から業界ノートの水準へ。最も確からしく 35%。

やや悲観 23% やや悲観:棚と客を失い、利益率は 7.7% のまま 利益 37 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 30.72 ドル455 億ドル

ナイキは棚と客の一部を恒久的に失い、売上は伸びるが利益率は上がらない。北米は数量 1.02 倍・価格 1.36 倍で 284 億ドル、EMEA は 164 億ドル、大中華圏は安踏・李寧に押されて数量 0.90 倍・価格 1.27 倍で 67 億ドル(利益率 12%)、APLA は 88 億ドル、コンバースは 12 億ドル(損益ゼロ)。売上 615 億ドル(年 +2.9%)、営業利益 47 億ドル(7.7%、いまの還付を除く実力と同じ水準)、純利益 37 億ドル。広告費で守っても粗利益率は 40% 前後に戻らない。

  • 北米:数量 54,978(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 52(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 284 億ドル・営業利益 55 億ドル。点数と平均単価の推定
  • EMEA:数量 40,180(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 41(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 164 億ドル・営業利益 29 億ドル。点数と平均単価の推定
  • 大中華圏:数量 21,600(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 31(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 67 億ドル・営業利益 8 億ドル。点数と平均単価の推定
  • APLA:数量 23,100(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 38(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 88 億ドル・営業利益 13 億ドル。点数と平均単価の推定
  • コンバース:数量 2,400(販売点数(万点:主に靴))× 価格 49(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 12 億ドル・営業利益 0 億ドル。点数と平均単価の推定

倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 3.5%(市場の実質 0%+価格 3.5%)・事業の ROE 19.6%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 14.1%、10 年目より先の正当化 PER 15.0 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 15.5 倍。棚と客の一部を恒久的に失う側なので上限の 80% に置き 12.4 倍。

確率:棚と客を恒久的に失い、利益率が低いまま。ホカ・オン・安踏の勢いを考えると厚めの 23%。

悲観 12% 悲観:構造的に負け、売上は伸びず利益率 5.8% 利益 25 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 20.09 ドル298 億ドル

ナイキの堀が構造的に薄れ、優良ではなくなる筋書き。ランニングはホカ・オンが、ライフスタイルはアディダス・ニューバランスが、中国は安踏・李寧が奪い続け、卸の棚は縮み、直営のデジタルは広告費の割に客が戻らない。数量は北米 0.92 倍・EMEA 0.86 倍・大中華圏 0.75 倍、価格も物価に届かず(1.22〜1.30 倍)、売上は 519 億ドル(年 +1.1%)、営業利益率は 5.8%(営業利益 30 億ドル)、純利益 25 億ドル。 直営の広告費を積んでも客が戻らず、関税の費用も価格に転嫁しきれず、粗利益率は 40% を割る。コンバースは再建できず縮小する。

  • 北米:数量 49,588(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 49(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 245 億ドル・営業利益 42 億ドル。点数と平均単価の推定
  • EMEA:数量 35,260(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 39(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 138 億ドル・営業利益 20 億ドル。点数と平均単価の推定
  • 大中華圏:数量 18,000(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 30(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 54 億ドル・営業利益 5 億ドル。点数と平均単価の推定
  • APLA:数量 20,240(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 36(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 74 億ドル・営業利益 9 億ドル。点数と平均単価の推定
  • コンバース:数量 1,920(販売点数(万点:主に靴))× 価格 47(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。点数と平均単価の推定

倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 3.0%(市場の実質 −0.5%+価格 3.5%)・事業の ROE 10.8%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 9.7%、10 年目より先の正当化 PER 12.5 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 12.9 倍。堀が構造的に薄れる側なので上限の 80% は床の 1÷k(11.8 倍)を下回るので、1÷k に置く。

確率:構造的な負け(優良ではなくなる)。ブランドの規模があるので大きくはなく 12%。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

北米

ナイキ・ブランドの北米の靴・衣料・用品。卸(ディックス・フットロッカー・アマゾン)と直営。

数量販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア価格1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合)売上営業利益
今 2025/12 53,900 38 205 43
10 年後 中立 60,368 52 317 68

取り方:点数と単価は推定(開示なし)。売上は開示の約 205 億ドル(2026 年 5 月期、+5%)。北米のスポーツ靴・衣料の市場を約 1,000 億ドル(推定)、ナイキの取り分を 2 割前後とみて点数を置き、平均単価は売上 ÷ 点数で逆算した。営業利益 43 億ドル(利益率 約 21%)は地域別の営業利益の概算。2026 年 6〜8 月期は +2%、卸 +9%、直営は減。

EMEA

欧州・中東・アフリカ。卸と直営。サッカー(クラブ・代表のユニフォーム)の比率が高い。

数量販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア価格1 点あたりの平均販売単価売上営業利益
今 2025/12 41,000 31 126 27
10 年後 中立 44,280 42 185 37

取り方:点数と単価は推定。売上は約 126 億ドル(通貨を除き −3%、換算で +3%)。2026 年 6〜8 月期は −5%(31.8 億ドル)。営業利益 26.5 億ドル(利益率 約 21%)は概算。アディダス・プーマ・ニューバランス・オン・ホカと競る。

大中華圏

中国本土・香港・台湾。直営のデジタルと店舗、卸(スポーツ小売)。

数量販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア価格1 点あたりの平均販売単価売上営業利益
今 2025/12 24,000 24 59 10
10 年後 中立 25,200 32 80 12

取り方:点数と単価は推定。売上は約 58.5 億ドル(2026 年 5 月期、−11%、通貨を除き −13%)。2026 年 6〜8 月期は 11.8 億ドル(−22%、通貨を除き −26%)。営業利益 10.4 億ドル(2026 年 5 月期は −20%)。安踏・李寧・ルルレモン・オンと競り、現地ブランドは価格と愛国で伸びる。

APLA

アジア太平洋・ラテンアメリカ(日本・韓国・インド・オーストラリア・ブラジルなど)。

数量販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア価格1 点あたりの平均販売単価売上営業利益
今 2025/12 22,000 28 63 12
10 年後 中立 26,400 39 103 19

取り方:点数と単価は推定。売上は約 62.5 億ドル(全体から他の地域とコンバースを引いた値)。2026 年 6〜8 月期は 14.6 億ドル(−2%)。営業利益 12 億ドルは概算。アシックス・ホカ・オン・ニューバランスが日本・韓国・インドで伸びる。

コンバース

チャック・テイラーなどのキャンバス靴。ナイキ・ブランドとは別の事業単位。

数量販売点数(万点:主に靴)価格1 点あたりの平均販売単価売上営業利益
今 2025/12 3,200 38 12 0
10 年後 中立 2,880 51 15 1

取り方:点数と単価は推定。売上は 12 億ドル(2026 年 5 月期、−31%、全地域で減)。2026 年 6〜8 月期は 2.6 億ドル(−28%)。営業利益はほぼゼロ(概算)。ヴァンズ・アディダス・ニューバランスなどにライフスタイル靴の客を取られた。

リスクと懸念

競合に棚と客を取られ続ける

ホカ(デッカーズ)はロードランニングのシェアを 2 ポイント上げ、四半期売上 6〜7 億ドルで +14〜18%、会社の営業利益率は約 21.5%。オン・ニューバランス・アディダスも伸びる。ナイキの性能品が価格帯で競り負けると、卸の棚が戻らず、中立の売上(10 年で年 +4.1%)に届かない。

大中華圏の下落が止まらない

2026 年 6〜8 月期は −22%(通貨を除き −26%)で、2026 年 5 月期の −11% より悪化した。安踏・李寧は価格と愛国消費で伸び、会社の「全面的な立て直し」の効果はまだ見えない。大中華圏は地域別の営業利益の約 1 割を稼ぐ事業で、10 年で利益率 15% を置いた中立に対し、現地ブランドに負ければ 12% 以下になる。

関税の費用と還付の一回性

2026 年 5 月期の粗利益に入った IEEPA 関税の回収 9.86 億ドル(受領は 3.02 億ドル、6.84 億ドルは未収)は一回限り。関税の水準が続くと輸入原価(輸入比率 75〜78%)が重く、調達の分散に数年かかる。還付を除く 2026 年 5 月期の営業利益率は約 7%。

卸への回帰で粗利益率が下がる

卸は粗利益率が直営より低い。2026 年 5 月期は卸 +6%、直営 −6%。直営のデジタルは 2026 年 6〜8 月期に −13%。卸の比率が上がると売上は安定するが、粗利益率は 44〜46% の過去の水準に戻りにくい(中立は 10 年でも 42〜43% 台)。

コンバースの縮小

2026 年 5 月期の売上は −31%(12 億ドル)、2026 年 6〜8 月期は −28%。ヴァンズ・アディダス・ニューバランスなどにライフスタイル靴の客を取られた。営業損益はほぼゼロから赤字で、全社の利益を押し下げ、減損や売却の判断を迫られる可能性がある。

景気と低所得層の消費

ナイキは 2008〜09 年に株価が 38% 下がった。いまは利益率が低いまま不況を迎えると、卸先の在庫が積み上がり値引きが増える。K 字の消費で低所得層の靴の購入が減る影響は大きい。

立て直しの時間と投資の重さ

経営は回復に 24〜36 か月と述べ、Pace で 25 億ドルを節約する一方、広告・製品開発の投資も増やす。2027 年 5 月期の調整後 1 株利益は 1.15〜1.35 と前年から半減に近く、2028 年にも伸びなければ、利益の谷が長引き、式の倍率の前提(谷からの回復)が崩れる。

今後の分かれ目

2027 年下半期から北米の卸が +8% 以上を保ち、ランニングがホカ・オンに並ぶ
回復が谷でなく構造と分かり、楽観・やや楽観の確率を上げる。中立の売上の道筋が上振れる。
大中華圏が 2027 年下半期も −15% より悪い
現地ブランドへの負けが固定され、やや悲観と悲観の確率を上げる。中国の数量(中立の 10 年で 1.05 倍)を下げる。
粗利益率が還付を除いて 44% 台に戻る(2026 年 6〜8 月期は 42.8%)
営業利益率の中立 10.9% は保守的になり、楽観に寄る。関税の水準・卸の比率・値引きの程度が分かれ目。
関税の水準が下がる(または大幅に免除される)
粗利益率が 1.5〜2 ポイント上がり、営業利益率が 1.5 ポイント程度上がる。式の中立の純利益が約 12〜15% 増える。
ホカ・オンの伸びが鈍り、営業利益率が下がり始める
ナイキが棚を取り戻す余地が増える。競合の利益率が高いまま伸び続けるなら、構造の悲観の確率を上げる。
コンバースの売却・大幅な縮小を発表
全社の営業損益のノイズが消え、売上は 12 億ドル減るが営業利益はほぼ変わらない。時価総額への影響は小さい。

見ておくもの

  • 北米の卸の売上の伸び(四半期)とアマゾン・ディックス・フットロッカーの棚の広さ
  • ランニング・バスケ・トレーニングの売上と、ホカ・オンのシェア(Circana)
  • 粗利益率(関税の還付を除く)と値引きの程度、在庫
  • 大中華圏の売上の伸びと、安踏・李寧の勢い
  • 直営のデジタルの売上と、会員の動き
  • Pace の節約の進み具合(累計 25 億ドル)と広告費の比率
  • コンバースの売上と、事業の扱いの発表

倍率と資本コストの決め方

倍率は今の PER(17.7 倍、谷の利益に対する値)に寄せず、利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(筋書きの ROE − k)で、資本コストを超える稼ぎは先で薄れる)に k 8.5%(基本 8.0% + quality 0.5%)・g 3〜4%(上限 4%)・ROE(帳簿の自己資本 ROE。40% を超える筋書きだけ ROIC から)を入れ、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g)、その 80% に置いた。悲観は構造(卸の棚と客の喪失)から積み上げ、順序を保つために稼ぐ力を超えないようにした。業界ノートの倍率や過去の期末の PER の分布にも寄せていない。売上は数量 × 価格で積み上げ、2026 年 6〜8 月期と会社の通期見通し(売上 −8% 前後、調整後 1 株利益 1.15〜1.35)を 2027 年の起点に使った。今の株価を見て決めていない。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.5%。スポーツ用品は景気と流行で売上が振れる(cycle +0.25%)。ブランドの値決め力は強いが堀は削れており(pricing は 0)、借金は小さい(debt は 0)。製品の周期と競合の台頭で寿命の見通しに不確かさがある(life +0.25%)。個別のリスク(卸の棚の喪失・中国の現地ブランド・関税)は k に足さず、悲観の確率と悲観の営業利益率・g・ROE で表した。

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プロ向けの配送網と部品小売の安定で堀は厚い。利益ベースで測ると今の値段は妥当からやや高めで、中立の年率は資本コストに届かない 本質価値との差 −14.8% · 10 年 やや割高(年 +4.6%) やや割高 ジェニュイン・パーツGPC 自動車の NAPA と産業のモーションの 2 本立て。分離(2027 年第 1 四半期)で価値が出るが、自動車の利益率の低さと借金が重い 本質価値との差 −16.0% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 ヤム・ブランズYUM ピザハットを売って KFC とタコベルに絞った外食フランチャイズ本社で、堀は厚く成長も続くが、倍率が k−g の薄さに敏感で、利益ベースで測ると中立の 10 年は年 +5% 前後で、総合はやや割高 本質価値との差 −16.2% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ベスト・バイBBY 米国最大の家電専門店。パソコン・携帯の買い替えで利益率は持ち直したが、アマゾン・ウォルマートに挟まれ、堀が薄い耐久財の小売として見る 本質価値との差 −16.9% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 ノルウェージャン・クルーズ・ラインNCLH 大型クルーズ 3 位。NCL ブランドの需要が崩れ、純レバレッジ 6 倍超の中で立て直し中。資本コスト 10.25% の利益ベースの倍率で測ると、回復を入れても今の値段はやや割高 本質価値との差 −17.4% · 10 年 やや割高(年 +7.5%) やや割高 ダーデン・レストランツDRI フルサービス外食の最大手で、ロングホーンの勢いと出店で伸びるが、オリーブガーデンの客数の弱さと牛肉・人件費が重い。利益ベースで測ると 10 年の中立は今の時価総額を上回るが、悲観側の厚みと資本コストを織り込むと総合はやや割高 本質価値との差 −19.3% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 トラクター・サプライTSCO 田舎暮らしのペット・畜産・庭・補修用品を 2,600 店超で売る米国最大の農村向け専門小売。堀は店の近さと専門品だが、2026 年は既存店が落ち、利益率の下げ止まりが論点 本質価値との差 −23.7% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 ラルフローレンRL 世代を超えて売れる定番ブランドで利益率は過去最高。勝負は熱の持続とアジアの伸び 本質価値との差 −25.3% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 アマゾン・ドット・コムAMZN AWS と広告の利益は本物。設備投資の重さを ROE に入れ、資本コスト 8% と利益ベースの倍率で測ると、今の値段は楽観の筋書きまで先取りしてやや割高 本質価値との差 −27.7% · 10 年 やや割高(年 +4.1%) やや割高 イーベイEBAY 取扱高と手数料率が上向く成熟した古参の中古市場。今の PER 26 倍は利益ベースの倍率(約 14 倍)を大きく超えており、買収提案の観測を除くと本質価値は下でやや割高 本質価値との差 −28.0% · 10 年 やや割高(年 +3.7%) やや割高 ホーム・デポHD プロの囲い込みで堀は厚い。資本コスト 8.75% の利益ベースで倍率を引き直すと、住宅の停滞と買収後の債務を厚く見て、今の値段はやや割高 本質価値との差 −28.1% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 アプティブ・ホールディングスAPTV 配線事業を分離した後の「ニュー・アプティブ」。EC が稼ぎ、IS が足を引く部品会社で、純負債 46 億ドルと、中国・欧州の弱さを抱える 本質価値との差 −28.1% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) 割高 エアビーアンドビーABNB 民泊の最大手で資産が軽く高収益。10 年で年 1 割の成長と純現金を数えても、利益ベースの倍率(約 14 倍)で測ると今の PER 41 倍は高く、やや割高 本質価値との差 −30.2% · 10 年 割高(年 +3.6%) 割高 アルタ・ビューティULTA 化粧品の「安い品から高級品、美容室まで」を一つの店で売る米国最大の美容専門小売。会員と品ぞろえが堀だが、セフォラとマスに挟まれる位置で、利益ベースの倍率では今の値段はやや割高 本質価値との差 −33.1% · 10 年 割高(年 +2.8%) 割高 ロス・ストアーズROST 米国オフプライス 2 位。客数が絶好調だが、利益ベースの倍率(約 16 倍)で測ると今の値段は高く、総合は割高 本質価値との差 −33.2% · 10 年 割高(年 +2.8%) 割高 マリオット・インターナショナルMAR 世界最大のホテル手数料事業で堀は厚いが、今の PER 39 倍は利益ベースの倍率(約 18 倍)を大きく上回り、中立の 10 年の年率は +3% にとどまり割高 本質価値との差 −35.8% · 10 年 割高(年 +1.9%) 割高 ハスブロHAS 利益の約 9 割をマジックが稼ぐ一本足の玩具・ゲーム会社。利益ベースの倍率で測ると今の値段はやや割高で、2025〜26 年の高い水準が続くかが焦点 本質価値との差 −36.3% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 カルバナCVNA 年 80 万台まで来た中古車ネット販売の最大手。利益ベースの倍率で測ると今の時価総額を大きく下回り割高。利益は景気と与信市場に強く振れる 本質価値との差 −38.6% · 10 年 割高(年 +3.4%) 割高 ウィリアムズ・ソノマWSM 家具とキッチンの設計を自社で握る高収益の小売。10 年で稼ぎは伸びるが、利益ベースの倍率で見ると今の値段は割高で、関税と住宅の回転が値段を大きく左右する 本質価値との差 −40.1% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスHLT 世界最大級の手数料事業で堀は厚いが、今の PER 54 倍は利益ベースの倍率の上限(約 23 倍)の倍以上で、中立の 10 年の時価総額は今を下回り割高 本質価値との差 −41.4% · 10 年 割高(年 +0.8%) 割高 スターバックスSBUX 世界 4.1 万店のコーヒーの堀は残るが、立て直しの反動を織り込んだ今の時価総額は利益の回復後の値より高く、中立でも 10 年の年率は 2% 前後で資本コスト 8.5% に届かず割高 本質価値との差 −43.6% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 ドアダッシュDASH 米国の即時配達で約 6 割を握る成長企業。利益率の立ち上がりが全てで、資本コスト 8.5% と利益ベースの倍率で見ると今の値段は強気の筋書きも上回り、割高 本質価値との差 −51.1% · 10 年 割高(年 +0.8%) 割高 ガーミンGRMN 専門機器の優良企業。利益ベースの倍率(約 13 倍)で測ると今の値段は高く、総合は割高 本質価値との差 −53.4% · 10 年 割高(年 −0.5%) 割高 テスラTSLA 本業の利益は薄いのに、ロボタクシーとロボットへの期待だけで時価総額は 1.1 兆ドル超。今の値段に届くのは楽観の筋書きだけ 本質価値との差 −83.4% · 10 年 割高(年 −9.3%)

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読んだ資料

  1. NIKE, Inc. 2026 年度第 4 四半期・通期の決算発表(Business Wire)
  2. NIKE 2026 年度 年次報告書(SEC)
  3. ナイキの 2026 年度通期(the industry fashion)
  4. ナイキの 2027 年度第 1 四半期(beancount.io)
  5. ナイキ 第 1 四半期と Pace(The Stock Observer)
  6. ナイキの卸の立て直し(SGI Europe)
  7. ホカ・デッカーズの決算と競争(SGB)
  8. デッカーズ・ホカの決算(Fintool)
  9. ナイキ 時価総額(Motley Fool)

分析日 2026-10-16