結論
ナイキは世界最大のスポーツ用品ブランドで、売上は 464 億ドル(2026 年 5 月期、横ばい)、営業利益は 42 億ドル(一回限りの関税還付 約 10 億ドルを含む)、純利益は 31 億ドル。売上の内訳は北米 44%・EMEA 27%・大中華圏 13%・APLA 13%・コンバース 3%、販売経路は卸が約 6 割、直営(店舗とデジタル)が約 4 割である。
2023 年のピーク(売上 512 億ドル、純利益 57 億ドル)から、直営偏重で卸の棚を失った反動、クラシック靴の飽き、中国の消費の弱さと現地ブランドの台頭、関税の費用で、利益は半分近くまで落ちた。2026 年 6〜8 月期は売上 112 億ドル(−4%)、大中華圏 −22%、直営 −8%(デジタル −13%)、会社は 2027 年 5 月期の売上を高い一桁の減少、調整後 1 株利益 1.15〜1.35 と見る。底は 2027 年とみる。
バリュー投資の観点では、10 年後も世界最大のスポーツブランドとして存在する確率は高い。堀(ブランド・選手と大会の契約・流通網・購買の規模)は削れたが消えていない。一方、ホカ・オン・ニューバランス・アディダスが棚と若い客を取っており、堀が広がっているとは言えない。積み上げた中立の 10 年は売上 699 億ドル・営業利益率 10.9%・純利益 58 億ドルで、時価総額 約 820 億ドル(利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(筋書きの ROE − k)で、資本コストを超える稼ぎは先で薄れる)17.7 倍の 80% の約 14.2 倍、今の約 1.5 倍)。資本コストは 8.5%(基本 8.0% + quality 0.5%)。総合は適正(差 +7%)。10 年の期待の年率 +7.7% は資本コストをわずかに下回り、利益の谷から戻る前提の値で、競合に棚を取られ続ける筋書き(悲観側の合計 35%)では年率 3% 前後にとどまる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ナイキは理解しやすく、10 年後も世界最大のスポーツブランドとして残る確率が高い。ブランド・選手との契約・流通網・購買の規模という堀があり、2018〜2023 年には資本の 3〜4 割の利益率を稼ぎ、その多くを配当と自社株買いで株主に返した。現在は堀が削れている局面で、ここが評価の分かれ目である。
堀が削れている根拠は具体的にある。ホカとオンはランニングの棚と若い客を取り、アディダスとニューバランスはライフスタイル靴で勢いがあり、中国では安踏・李寧が国内の愛国消費を取る。直営を急に広げて卸の棚を渡した判断は、経営の資本配分と戦略の誤りだった。一方、新しい経営陣が卸との関係を戻し、性能品(ランニング・バスケ・トレーニング)に絞って立て直している。立て直しが成功すれば、堀は元に戻るが、広がるとまでは言えない。
オーナー利益(再投資を引いた株主のものになる利益)は、純利益の約 8〜9 割。中立の 10 年は純利益 58 億ドル、利益ベースの倍率 約 14 倍で時価総額 約 820 億ドル。谷の利益に対する値段は割安に見えるが、谷が本当に底かどうかは 2027〜28 年の卸の売上・粗利益率・中国の動きで決まる。確信度は事業の存続には高く、利益が元に戻る時期と水準には中くらいである。安全域は、構造的な負けの筋書きでも時価総額が今の約 5 割、還元を足せば約 8 割残る点にある。
何で稼ぐ会社か
ナイキの収益は 4 つの地域とコンバースで、どれも「靴・衣料・用品(バッグ・ボール・帽子)」を卸(スポーツ用品店・百貨店・アマゾン)と直営(自社の店舗・アプリ・サイト)で売る形である。靴が約 3 分の 2、衣料が約 3 割、用品が 1 割弱(推定)。製造はベトナム・インドネシア・中国などの委託工場で、ナイキ自身は設計・マーケティング・流通を持つ。
北米(2026 年 5 月期の売上は約 205 億ドル、+5%)は最大で、地域の営業利益率も最も高い(約 21% の概算)。2026 年 6〜8 月期は +2% で、卸が +9%(29.8 億ドル)と戻る一方、直営は減った。ランニングが伸び、バスケとトレーニングも回復し、クラシック靴は会社が意図して縮めている。EMEA(約 126 億ドル、通貨を除き −3%)は 2026 年 6〜8 月期が −5%。大中華圏(約 58.5 億ドル)は −11% のあと 2026 年 6〜8 月期は −22% と最も弱く、会社は「全面的な立て直し」を掲げる。APLA(約 62.5 億ドル)は日本・韓国・インド・オーストラリア・ラテンアメリカで、2026 年 6〜8 月期は −2%。
コンバース(12 億ドル、−31%)はチャック・テイラーなど定番に偏り、全地域で減っている。
全体を決める変数は 3 つ。第 1 は卸と直営の比率:卸は粗利益率が低いが売上が安定し、直営は粗利益率が高いが集客に広告費がかかる。第 2 は定価で売れる比率(値引きの程度)。第 3 は関税:輸入原価が上がり、2026 年 5 月期には一回限りの還付が出たが、水準自体は続く。
売上は数量 × 価格で置く。数量は「地域のスポーツ靴・衣料の市場(世界で年 +4〜5% の名目)× ナイキのシェア」、価格は平均販売単価(物価 3.5% の中立から、卸への回帰と中国の値引きで割り引く)。点数と単価は開示がないので、売上から逆算した推定である。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第 1 はブランド:「ジャスト・ドゥ・イット」とスウッシュは世界で最も知られたスポーツの印で、価格を決める力の源泉。第 2 は選手・チーム・大会との契約(ジョーダン、レブロン、各国のクラブ・代表のユニフォームなど)で、性能の物語を作る。第 3 は流通網と購買の規模:世界の約 190 か国の卸と直営、委託工場への発注量はほかのブランドが真似できない。第 4 は財務:現金・短期投資が 84 億ドル、純負債は軽く、不況でも広告と開発を続けられる。
価格を決める力は、2023 年までは強かった(粗利益率 44〜46%、営業利益率 12〜16%)。いまは粗利益率 40% 台前半(還付を除く)、営業利益率は 7% 前後(還付を除く)に落ち、値引きと関税で一部を失った。自己資本利益率は 2018〜2023 年に 30〜45% だったが、利益の減少で 2026 年 5 月期は約 21%。
弱い所は 4 つ。①ホカ(デッカーズ)がロードランニングのシェアを 2 ポイント上げ、オンも高価格帯で伸び、ナイキの最も大事な「走る人」の入口を侵食した。②直営偏重の戦略(2020〜2023 年)で卸の棚を渡した結果、棚の回復に時間がかかる。③クラシック靴が一巡し、次の柱の成長が見えるまで時間がかかる。④中国は現地ブランド(安踏・李寧)と愛国消費に押される。経営はエリオット・ヒルが復帰して立て直し中だが、会社自身が回復に 24〜36 か月と述べている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界のスポーツ靴・衣料の市場は約 4,000 億ドル(推定)で、名目で年 +4〜5% の伸び(業界ノート)。中身は走る・歩く・ジム(ランニング、トレーニング、ライフスタイル)と、球技・チームスポーツである。ナイキは世界で約 1 割強(売上 464 億ドル)を持つ最大手で、直近の競争の中心はランニングとライフスタイル靴である。
競合は 4 つの型に分かれる。①ホカ(デッカーズ):2025 年 12 月・2026 年 3 月の四半期売上は 6.3〜6.7 億ドル(+14〜18%)、会社全体の営業利益率は約 21.5% と高い(ナイキは 7%)。クッション性のロードランニングで 2 ポイントのシェアを上げた。②オン(スイス):高価格のランニングで伸び、ナイキの棚を侵食する。③アディダス・ニューバランス・アシックス:クラシックとランニングの両方で勢いがあり、卸の棚を競う。④中国の安踏・李寧:国内で愛国消費を背に伸び、中国のナイキの売上を押し下げる。
業界の形は 2 つの変化の最中にある。第 1 は直営と卸の振り子:ナイキは直営偏重から卸へ戻り(アマゾン復帰、フットロッカー・ディックスとの関係修復)、卸は 2026 年 5 月期に +6%(275 億ドル)、直営は −6%(177 億ドル)。第 2 は関税と調達:衣料・靴は輸入比率が 75〜78%(ユーロモニター)で、関税が上がった。2026 年は関税の還付が出たが、水準は続く。
業界ノートは、ナイキを「2 年の回復の後、年 +4〜5%、粗利益率 44〜45% に戻る、営業利益率 11〜13%」と置く。2026 年の実績(売上横ばい、2027 年は −8% 前後の見通し)はこれを下回るので、この会社は回復が遅れる形にし、10 年で業界ノートの水準(営業利益率 11% 前後)に届く中立とした。
資本政策と M&A
資本政策は配当を欠かさず、増やすことを重視する。配当は 2026 年 5 月期で約 24 億ドル、2026 年 6〜8 月期は 6.1 億ドル(+3%)。自社株買いは 2025 年から大きく減り、2026 年 5 月期は 2 億ドル前後。承認済みの枠は残っており、利益が回復すれば再開できる。株式報酬は年約 7〜9 億ドルで、自社株買いはこれを打ち消す役を担ってきた。
2026 年 3 月に費用の見直しを発表し、これを広げた Pace(2031 年度までの累計節約約 25 億ドル、費用約 10 億ドル、2027 年 5 月期に約 3 億ドル)を 2026 年 10 月に示した。M&A はほとんどなく、大型買収の計画もない。コンバースの扱い(再建か縮小か)は未発表で、懸案である。創業者フィル・ナイト関連の議決権株(クラス A)が経営の支配を握り、TOB や再編の可能性は時価総額 550 億ドルでも低い。
現金は額面どおりに数える。純有利子負債は約 20 億ドル(現金 90 億・借金 110 億。リースを含む)で時価総額の 4% 以下で小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ナイキは 2 年の谷を抜け、競合に奪われた分を取り戻す。ランニングは 2025 年秋に 20% 超の伸びで、新製品がホカやオンと同じ価格帯で戦えている。卸は 2026 年 6〜8 月期の北米で +9%(29.8 億ドル)と戻り、アマゾン・フットロッカー・ディックスの棚が回復した。クラシック靴の縮小は 2027 年に終わり、2028 年からは「縮めた分が基準」になって増える側へ回る。
会社の費用の見直し(Pace)は 2031 年度までに 25 億ドルを節約し、在庫は 78 億ドルまで下がって値引きが減る。関税の水準が下がるか、調達の分散で原価を抑えれば、粗利益率は 44〜45% に戻る(2026 年 6〜8 月期は 42.8%)。中国は 2027 年に底を打ち、現地ブランドと同じ価格帯の新製品で、2030 年代には年 +5% 以上の成長に戻る。
10 年で売上は年 +6〜7% の成長で 880 億ドル前後、営業利益率は 2020〜2021 年の 15〜16% 近く(純利益は 100 億ドル)。この場合、利益ベースの倍率(g 4%・ROE 35%)で時価総額は約 1,540 億ドルとなる。ナイキの規模でシェアを取り戻すだけでなく、世界のスポーツ市場そのものが名目で年 +5% 伸びる前提がある。
慎重な見方
ナイキの谷は一時的な調整ではなく、構造の変化である。直営偏重で渡した卸の棚は、ホカ・オン・ニューバランス・アディダスが取って離さない。ランニングの 20% 超の伸びは小さな土台からの回復で、ホカは年 26 億ドル規模ながら伸びが速い。クラシック靴の縮小で穴が空き、新しい柱はまだ見えない。中国は −22% で、安踏・李寧は価格と愛国で勝っており、2027 年に底を打つ根拠が乏しい。
関税は 2026 年に還付が出たが、水準は続く。会社は 2027 年 5 月期の売上を高い一桁の減少と見ており、2026 年 6〜8 月期に北米が +2% でも、EMEA −5%・中国 −22%・直営 −8% は、需要の弱さを示す。粗利益率 42.8%(+60bp)は物流費の減少が主因で、値引きを含めた本当の改善ではない。
結果として、10 年後の営業利益率は 7〜8%(いまの還付を除く実力と同じ)にとどまり、純利益は 37 億ドル前後、売上は年 +3% 以下。利益ベースの倍率 約 12 倍(ROE 20%)で時価総額は約 455 億ドル、今の約 0.8 倍で、配当を足しても年率は資本コスト 8.5% に届かない。しかもこれは、さらにシェアを失う悲観(時価総額 約 300 億ドル)を除いた中間である。
どちらに重みを置いたか
事業の質と立て直しの手順は強気の見方が勝ち(ブランド・流通網・財務は残る)、競合への棚の喪失と中国は慎重な見方が勝つ。確率は 10 年で中立 35%、やや楽観 22%、楽観 8%、やや悲観 23%、悲観 12% とし、悲観側(やや悲観+悲観)を 35% と厚くした(GRMN は 33%、ROST は 30%)。ナイキは利益率が谷にあり、競合が複数でそれぞれ勢いがあるため。楽観を 8% に抑えたのは、15% 近い利益率に戻るには関税とシェアの両方が要るため。倍率は利益ベースで、中立の 10 年は約 14.2 倍(g 4%・ROE 26%・k 8.5% の正当化 PER ×(1+g) の 80%)。結論は適正。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 54.67 ドル810 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 23.51 ドル348 億ドル)。 今の値に割り戻すと 39.81 ドル590 億ドル、今との差 +3.9%、 期待の年率 +7.4%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 103.79 ドル1,537 億ドル | 35.11 ドル520 億ドル | +262.5% | +13.7% | 11.11 ドル165 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 79.76 ドル1,181 億ドル | 29.03 ドル430 億ドル | +183.9% | +11.0% | 23.94 ドル354 億ドル |
| 中立 | 35% | 55.26 ドル818 億ドル | 24.31 ドル360 億ドル | +107.6% | +7.6% | 27.85 ドル412 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 30.72 ドル455 億ドル | 19.24 ドル285 億ドル | +30.4% | +2.7% | 11.49 ドル170 億ドル |
| 悲観 | 12% | 20.09 ドル298 億ドル | 11.48 ドル170 億ドル | −17.6% | −1.9% | 3.79 ドル56 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 54.67 ドル810 億ドル | 23.51 ドル348 億ドル | +104.0% | +7.4% | 78.18 ドル1,158 億ドル |
今の株価時価総額 38.32 ドル568 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:シェアを取り戻し、営業利益率 15% の世界最大ブランド 利益 102 億ドル · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 103.79 ドル1,537 億ドル
ナイキは棚と若い客を取り戻し、世界のスポーツ市場の成長(年 +5% の名目)以上に伸びる。北米は数量 1.35 倍・価格 1.42 倍で売上 393 億ドル、ランニングでホカ・オンに並び、バスケ(ジョーダン)とトレーニングも柱になる。EMEA はサッカーとランニングで数量 1.22 倍、大中華圏は現地ブランドと同じ価格帯の新製品で数量 1.55 倍(売上 122 億ドル、利益率 19.5%)、APLA はインド・日本で数量 1.5 倍、コンバースは縮小が止まり 1.3 倍。売上 884 億ドル(年 +6.7%)、営業利益 134 億ドル(15.2%:2020〜21 年の 14.5〜16% と同水準)、純利益 102 億ドル。
- 北米:数量 72,765(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 54(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 393 億ドル・営業利益 94 億ドル。点数と平均単価の推定
- EMEA:数量 50,020(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 43(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 215 億ドル・営業利益 48 億ドル。点数と平均単価の推定
- 大中華圏:数量 37,200(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 33(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 122 億ドル・営業利益 24 億ドル。点数と平均単価の推定
- APLA:数量 33,000(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 40(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 131 億ドル・営業利益 28 億ドル。点数と平均単価の推定
- コンバース:数量 4,160(販売点数(万点:主に靴))× 価格 53(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 22 億ドル・営業利益 2 億ドル。点数と平均単価の推定
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質 1.25%+価格 3.5% は 4.75% だが上限の 4% に)・事業の ROE 35.1%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 21.8%、10 年目より先の正当化 PER 18.1 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 18.9 倍。棚と客を取り戻す側だが、流行で売れ方が変わるので上限の 80% に置き 15.1 倍。
確率:シェアの回復・関税の低下・中国の復活が同時に要る。10 年で売上 1.9 倍・利益率 15% の筋書きで 8%。
やや楽観 22% やや楽観:ランニングを取り戻し、利益率 13.7% 利益 81 億ドル · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 79.76 ドル1,181 億ドル
立て直しが成功し、ランニングは取り返すが、クラシック靴は元ほど戻らない。北米は数量 1.22 倍・価格 1.40 倍で 350 億ドル、EMEA は 198 億ドル、大中華圏は数量 1.30 倍で 101 億ドル(利益率 18%)、APLA は 112 億ドル、コンバースは 18 億ドル(利益率 8%)。売上 780 億ドル(年 +5.3%)、営業利益 107 億ドル(13.7%)、純利益 81 億ドル。ホカ(営業利益率 21%前後)には及ばないが、規模の購買力で 13〜14% を保つ。 卸の棚が戻り、ランニングは性能品で並ぶが、直営のデジタルは広告費の割に伸びが鈍く、中国は現地ブランドとの差を詰めきれない。
- 北米:数量 65,758(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 53(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 350 億ドル・営業利益 81 億ドル。点数と平均単価の推定
- EMEA:数量 46,740(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 42(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 198 億ドル・営業利益 43 億ドル。点数と平均単価の推定
- 大中華圏:数量 31,200(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 32(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 101 億ドル・営業利益 18 億ドル。点数と平均単価の推定
- APLA:数量 28,600(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 39(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 112 億ドル・営業利益 22 億ドル。点数と平均単価の推定
- コンバース:数量 3,520(販売点数(万点:主に靴))× 価格 52(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 18 億ドル・営業利益 2 億ドル。点数と平均単価の推定
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質 1.0%+価格 3.5% は 4.5% だが上限の 4% に)・事業の ROE 29.7%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 19.1%、10 年目より先の正当化 PER 17.6 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 18.3 倍。回復が構造になる側だが、競合が多いので上限の 80% に置き 14.6 倍。
確率:立て直しが成功し、利益率が 2022〜23 年(約 12%)を超える。22%。
中立 35% 中立:谷から回復、営業利益率 10.9%、売上 699 億ドル 利益 58 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 55.26 ドル818 億ドル
2027〜28 年が底で、その後ランニング・バスケ・トレーニングの性能品と卸の回復で、数量は 10 年で北米 1.12 倍・EMEA 1.08 倍・APLA 1.20 倍・大中華圏 1.05 倍(2027 年の落ち込みを含む)。価格は物価の 1.41 倍より低く、卸の比率が上がる平均単価の希薄化と中国の値引きを反映して 1.30〜1.38 倍。売上 699 億ドル(年 +4.1%)、営業利益は 76 億ドル(10.9%、還付を除く 2026 年 5 月期の実力 7% と 2023 年の 12% の中間)、純利益は 58 億ドル。ホカが営業利益率 21% 前後を稼ぎ続け、アディダス・ニューバランスも伸びる中で、ナイキは「最大だが最も儲かるわけではない」位置を保つ。
- 北米:数量 60,368(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 52(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 317 億ドル・営業利益 68 億ドル。点数と平均単価の推定
- EMEA:数量 44,280(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 42(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 185 億ドル・営業利益 37 億ドル。点数と平均単価の推定
- 大中華圏:数量 25,200(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 32(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 80 億ドル・営業利益 12 億ドル。点数と平均単価の推定
- APLA:数量 26,400(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 39(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 103 億ドル・営業利益 19 億ドル。点数と平均単価の推定
- コンバース:数量 2,880(販売点数(万点:主に靴))× 価格 51(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 15 億ドル・営業利益 1 億ドル。点数と平均単価の推定
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質+価格で 4%)・事業の ROE 25.7%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 17.1%、10 年目より先の正当化 PER 17.0 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 17.7 倍。利益の谷から戻る途中で、競合も強いので上限の 80% に置き 14.2 倍。
確率:谷から業界ノートの水準へ。最も確からしく 35%。
やや悲観 23% やや悲観:棚と客を失い、利益率は 7.7% のまま 利益 37 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 30.72 ドル455 億ドル
ナイキは棚と客の一部を恒久的に失い、売上は伸びるが利益率は上がらない。北米は数量 1.02 倍・価格 1.36 倍で 284 億ドル、EMEA は 164 億ドル、大中華圏は安踏・李寧に押されて数量 0.90 倍・価格 1.27 倍で 67 億ドル(利益率 12%)、APLA は 88 億ドル、コンバースは 12 億ドル(損益ゼロ)。売上 615 億ドル(年 +2.9%)、営業利益 47 億ドル(7.7%、いまの還付を除く実力と同じ水準)、純利益 37 億ドル。広告費で守っても粗利益率は 40% 前後に戻らない。
- 北米:数量 54,978(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 52(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 284 億ドル・営業利益 55 億ドル。点数と平均単価の推定
- EMEA:数量 40,180(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 41(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 164 億ドル・営業利益 29 億ドル。点数と平均単価の推定
- 大中華圏:数量 21,600(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 31(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 67 億ドル・営業利益 8 億ドル。点数と平均単価の推定
- APLA:数量 23,100(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 38(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 88 億ドル・営業利益 13 億ドル。点数と平均単価の推定
- コンバース:数量 2,400(販売点数(万点:主に靴))× 価格 49(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 12 億ドル・営業利益 0 億ドル。点数と平均単価の推定
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 3.5%(市場の実質 0%+価格 3.5%)・事業の ROE 19.6%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 14.1%、10 年目より先の正当化 PER 15.0 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 15.5 倍。棚と客の一部を恒久的に失う側なので上限の 80% に置き 12.4 倍。
確率:棚と客を恒久的に失い、利益率が低いまま。ホカ・オン・安踏の勢いを考えると厚めの 23%。
悲観 12% 悲観:構造的に負け、売上は伸びず利益率 5.8% 利益 25 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 20.09 ドル298 億ドル
ナイキの堀が構造的に薄れ、優良ではなくなる筋書き。ランニングはホカ・オンが、ライフスタイルはアディダス・ニューバランスが、中国は安踏・李寧が奪い続け、卸の棚は縮み、直営のデジタルは広告費の割に客が戻らない。数量は北米 0.92 倍・EMEA 0.86 倍・大中華圏 0.75 倍、価格も物価に届かず(1.22〜1.30 倍)、売上は 519 億ドル(年 +1.1%)、営業利益率は 5.8%(営業利益 30 億ドル)、純利益 25 億ドル。 直営の広告費を積んでも客が戻らず、関税の費用も価格に転嫁しきれず、粗利益率は 40% を割る。コンバースは再建できず縮小する。
- 北米:数量 49,588(販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 49(1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合))→ 売上 245 億ドル・営業利益 42 億ドル。点数と平均単価の推定
- EMEA:数量 35,260(販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 39(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 138 億ドル・営業利益 20 億ドル。点数と平均単価の推定
- 大中華圏:数量 18,000(販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 30(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 54 億ドル・営業利益 5 億ドル。点数と平均単価の推定
- APLA:数量 20,240(販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア)× 価格 36(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 74 億ドル・営業利益 9 億ドル。点数と平均単価の推定
- コンバース:数量 1,920(販売点数(万点:主に靴))× 価格 47(1 点あたりの平均販売単価)→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。点数と平均単価の推定
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 3.0%(市場の実質 −0.5%+価格 3.5%)・事業の ROE 10.8%(帳簿の自己資本 ROE)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 9.7%、10 年目より先の正当化 PER 12.5 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 12.9 倍。堀が構造的に薄れる側なので上限の 80% は床の 1÷k(11.8 倍)を下回るので、1÷k に置く。
確率:構造的な負け(優良ではなくなる)。ブランドの規模があるので大きくはなく 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
北米
ナイキ・ブランドの北米の靴・衣料・用品。卸(ディックス・フットロッカー・アマゾン)と直営。
| 数量販売点数(万点:靴は足、衣料は枚、用品は個の合計)= 北米のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア | 価格1 点あたりの平均販売単価(卸と直営の混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 53,900 | 38 | 205 | 43 |
| 10 年後 中立 | 60,368 | 52 | 317 | 68 |
取り方:点数と単価は推定(開示なし)。売上は開示の約 205 億ドル(2026 年 5 月期、+5%)。北米のスポーツ靴・衣料の市場を約 1,000 億ドル(推定)、ナイキの取り分を 2 割前後とみて点数を置き、平均単価は売上 ÷ 点数で逆算した。営業利益 43 億ドル(利益率 約 21%)は地域別の営業利益の概算。2026 年 6〜8 月期は +2%、卸 +9%、直営は減。
EMEA
欧州・中東・アフリカ。卸と直営。サッカー(クラブ・代表のユニフォーム)の比率が高い。
| 数量販売点数(万点)= EMEA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア | 価格1 点あたりの平均販売単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 41,000 | 31 | 126 | 27 |
| 10 年後 中立 | 44,280 | 42 | 185 | 37 |
取り方:点数と単価は推定。売上は約 126 億ドル(通貨を除き −3%、換算で +3%)。2026 年 6〜8 月期は −5%(31.8 億ドル)。営業利益 26.5 億ドル(利益率 約 21%)は概算。アディダス・プーマ・ニューバランス・オン・ホカと競る。
大中華圏
中国本土・香港・台湾。直営のデジタルと店舗、卸(スポーツ小売)。
| 数量販売点数(万点)= 中国のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア | 価格1 点あたりの平均販売単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 24,000 | 24 | 59 | 10 |
| 10 年後 中立 | 25,200 | 32 | 80 | 12 |
取り方:点数と単価は推定。売上は約 58.5 億ドル(2026 年 5 月期、−11%、通貨を除き −13%)。2026 年 6〜8 月期は 11.8 億ドル(−22%、通貨を除き −26%)。営業利益 10.4 億ドル(2026 年 5 月期は −20%)。安踏・李寧・ルルレモン・オンと競り、現地ブランドは価格と愛国で伸びる。
APLA
アジア太平洋・ラテンアメリカ(日本・韓国・インド・オーストラリア・ブラジルなど)。
| 数量販売点数(万点)= APLA のスポーツ靴・衣料の市場 × ナイキのシェア | 価格1 点あたりの平均販売単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 22,000 | 28 | 63 | 12 |
| 10 年後 中立 | 26,400 | 39 | 103 | 19 |
取り方:点数と単価は推定。売上は約 62.5 億ドル(全体から他の地域とコンバースを引いた値)。2026 年 6〜8 月期は 14.6 億ドル(−2%)。営業利益 12 億ドルは概算。アシックス・ホカ・オン・ニューバランスが日本・韓国・インドで伸びる。
コンバース
チャック・テイラーなどのキャンバス靴。ナイキ・ブランドとは別の事業単位。
| 数量販売点数(万点:主に靴) | 価格1 点あたりの平均販売単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,200 | 38 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2,880 | 51 | 15 | 1 |
取り方:点数と単価は推定。売上は 12 億ドル(2026 年 5 月期、−31%、全地域で減)。2026 年 6〜8 月期は 2.6 億ドル(−28%)。営業利益はほぼゼロ(概算)。ヴァンズ・アディダス・ニューバランスなどにライフスタイル靴の客を取られた。
リスクと懸念
競合に棚と客を取られ続ける
ホカ(デッカーズ)はロードランニングのシェアを 2 ポイント上げ、四半期売上 6〜7 億ドルで +14〜18%、会社の営業利益率は約 21.5%。オン・ニューバランス・アディダスも伸びる。ナイキの性能品が価格帯で競り負けると、卸の棚が戻らず、中立の売上(10 年で年 +4.1%)に届かない。
大中華圏の下落が止まらない
2026 年 6〜8 月期は −22%(通貨を除き −26%)で、2026 年 5 月期の −11% より悪化した。安踏・李寧は価格と愛国消費で伸び、会社の「全面的な立て直し」の効果はまだ見えない。大中華圏は地域別の営業利益の約 1 割を稼ぐ事業で、10 年で利益率 15% を置いた中立に対し、現地ブランドに負ければ 12% 以下になる。
関税の費用と還付の一回性
2026 年 5 月期の粗利益に入った IEEPA 関税の回収 9.86 億ドル(受領は 3.02 億ドル、6.84 億ドルは未収)は一回限り。関税の水準が続くと輸入原価(輸入比率 75〜78%)が重く、調達の分散に数年かかる。還付を除く 2026 年 5 月期の営業利益率は約 7%。
卸への回帰で粗利益率が下がる
卸は粗利益率が直営より低い。2026 年 5 月期は卸 +6%、直営 −6%。直営のデジタルは 2026 年 6〜8 月期に −13%。卸の比率が上がると売上は安定するが、粗利益率は 44〜46% の過去の水準に戻りにくい(中立は 10 年でも 42〜43% 台)。
コンバースの縮小
2026 年 5 月期の売上は −31%(12 億ドル)、2026 年 6〜8 月期は −28%。ヴァンズ・アディダス・ニューバランスなどにライフスタイル靴の客を取られた。営業損益はほぼゼロから赤字で、全社の利益を押し下げ、減損や売却の判断を迫られる可能性がある。
景気と低所得層の消費
ナイキは 2008〜09 年に株価が 38% 下がった。いまは利益率が低いまま不況を迎えると、卸先の在庫が積み上がり値引きが増える。K 字の消費で低所得層の靴の購入が減る影響は大きい。
立て直しの時間と投資の重さ
経営は回復に 24〜36 か月と述べ、Pace で 25 億ドルを節約する一方、広告・製品開発の投資も増やす。2027 年 5 月期の調整後 1 株利益は 1.15〜1.35 と前年から半減に近く、2028 年にも伸びなければ、利益の谷が長引き、式の倍率の前提(谷からの回復)が崩れる。
今後の分かれ目
- 2027 年下半期から北米の卸が +8% 以上を保ち、ランニングがホカ・オンに並ぶ
- 回復が谷でなく構造と分かり、楽観・やや楽観の確率を上げる。中立の売上の道筋が上振れる。
- 大中華圏が 2027 年下半期も −15% より悪い
- 現地ブランドへの負けが固定され、やや悲観と悲観の確率を上げる。中国の数量(中立の 10 年で 1.05 倍)を下げる。
- 粗利益率が還付を除いて 44% 台に戻る(2026 年 6〜8 月期は 42.8%)
- 営業利益率の中立 10.9% は保守的になり、楽観に寄る。関税の水準・卸の比率・値引きの程度が分かれ目。
- 関税の水準が下がる(または大幅に免除される)
- 粗利益率が 1.5〜2 ポイント上がり、営業利益率が 1.5 ポイント程度上がる。式の中立の純利益が約 12〜15% 増える。
- ホカ・オンの伸びが鈍り、営業利益率が下がり始める
- ナイキが棚を取り戻す余地が増える。競合の利益率が高いまま伸び続けるなら、構造の悲観の確率を上げる。
- コンバースの売却・大幅な縮小を発表
- 全社の営業損益のノイズが消え、売上は 12 億ドル減るが営業利益はほぼ変わらない。時価総額への影響は小さい。
見ておくもの
- 北米の卸の売上の伸び(四半期)とアマゾン・ディックス・フットロッカーの棚の広さ
- ランニング・バスケ・トレーニングの売上と、ホカ・オンのシェア(Circana)
- 粗利益率(関税の還付を除く)と値引きの程度、在庫
- 大中華圏の売上の伸びと、安踏・李寧の勢い
- 直営のデジタルの売上と、会員の動き
- Pace の節約の進み具合(累計 25 億ドル)と広告費の比率
- コンバースの売上と、事業の扱いの発表
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の PER(17.7 倍、谷の利益に対する値)に寄せず、利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(筋書きの ROE − k)で、資本コストを超える稼ぎは先で薄れる)に k 8.5%(基本 8.0% + quality 0.5%)・g 3〜4%(上限 4%)・ROE(帳簿の自己資本 ROE。40% を超える筋書きだけ ROIC から)を入れ、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g)、その 80% に置いた。悲観は構造(卸の棚と客の喪失)から積み上げ、順序を保つために稼ぐ力を超えないようにした。業界ノートの倍率や過去の期末の PER の分布にも寄せていない。売上は数量 × 価格で積み上げ、2026 年 6〜8 月期と会社の通期見通し(売上 −8% 前後、調整後 1 株利益 1.15〜1.35)を 2027 年の起点に使った。今の株価を見て決めていない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.5%。スポーツ用品は景気と流行で売上が振れる(cycle +0.25%)。ブランドの値決め力は強いが堀は削れており(pricing は 0)、借金は小さい(debt は 0)。製品の周期と競合の台頭で寿命の見通しに不確かさがある(life +0.25%)。個別のリスク(卸の棚の喪失・中国の現地ブランド・関税)は k に足さず、悲観の確率と悲観の営業利益率・g・ROE で表した。