結論
ロウズは、米国に 1,759 店を持つホームセンターの 2 番手で、売上 863 億ドル(2025 年度=2026 年 1 月期、営業利益 102 億ドル、営業利益率 11.8%、純利益 66 億ドル)。米国の住宅の修繕・改装で約 17% の占有率を持つ。2025 年度の既存店は +0.2%(客単価 +3.0%、取引数 −2.8%)にとどまり、2026 年 5〜7 月期も +0.2%(Pro・住宅サービス・オンラインが強く、DIY が弱い)で、通期の見通しは売上 920 億ドル・既存店 横ばい・営業利益率 11.2% へ下がった。
同社は住宅の停滞の中で、Pro(工務店・リフォーム業者)の取り込みに舵を切った。2025 年に住宅建設会社向けの内装の設計・施工の ADG(13.3 億ドル)と、内装建材の流通 FBM(88 億ドル、2024 年の売上約 65 億ドル)を買い、純負債は 433 億ドルに膨らみ、自社株買いはレバレッジが 2.75 倍に戻る 2027 年半ばまで止めている。自己資本は自社株買いの累積でマイナス(−99 億ドル)。
バリュー投資の観点では、事業の質は高いが、ホーム・デポより利益率・Pro 比率・買収の実績で一段劣る 2 番手である点を差し引いて見る。資本コスト 9.0%(基本 8.0% + quality +1.0%)で、のれんを除いた投下資本利益率 22% 前後(事業の ROE は 38% 前後)・長期の成長 4% の利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k))は 10 年目の利益に対し上限 16.6 倍、その 85% の約 14.1 倍で、今の 16.6 倍より低い。中立の 10 年後は営業利益 164 億ドル、純利益 111 億ドル、時価総額は約 1,568 億ドル(今の 1.4 倍)、配当を足した年率は +7.5% で資本コストに届かず、総合の差は -6% 前後(適正)。債務と DIY の弱さを見て悲観を 14% と厚く置いている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後を問う。ロウズは、家を持つ人が続く限り修繕と改装の需要が続く事業で、わからなさは小さい。築 40 年の住宅、店舗網、Pro との関係という堀は 10 年後も存在する可能性が高いが、ホーム・デポとの差が縮むか開くかが分かれ目になる。
次にオーナー利益を見る。純利益 66 億ドルに償却を足し、設備投資(年 25 億ドル以下)を引いた FCF は 70 億ドル台、株式報酬の約 3 億ドルを引くと 70 億ドル弱。今の時価総額 1,105 億ドルに対する利回りは約 6%で、ホーム・デポ(約 4%)より高く、10 年国債の 5% を上回る。しかも利益は物価についていく。配当の利回りは約 2.5%。
資本配分は、FBM・ADG の約 100 億ドルが最大の論点で、追いかける買収は価格が高くなりがち。自社株買いは 2021〜23 年に倍率が 17〜21 倍の局面で大量に買い、自己資本をマイナスにした。
安全域は、ホーム・デポより薄い。中立の 10 年の年率は +7.5% と資本コスト 9.0% に届かず、悲観(10 年 14%)を厚く置くと総合の差は -6% 前後にとどまる。DIY の弱さと債務の重さは安全域を削る。わかる事業で、値段はほぼ適正。
何で稼ぐ会社か
ロウズの売上は 2 つに分かれる。一つめは米国の店舗と通販(2025 年度の売上 約 832 億ドルと推定)。大型店舗で、建材・工具・電気・水回り・塗料・家電・園芸などを売る。客は自分で直す一般の持ち家の所有者(DIY)と、工務店・リフォーム業者などの Pro で、Pro は売上の約 3 割(推定、ホーム・デポの約 5 割に追いつこうとしている)。家電・塗料・建材・園芸が主力で、住宅サービス(設置工事の請負)とオンライン(直近 +15% 台)が伸びている。カナダの小売は 2023 年に売却して撤退済みで、売上はほぼ米国。
二つめは 2025 年に加えた Pro 向けの内装の流通と施工(推定 31 億ドル分の取り込み)。ADG は住宅建設会社向けの床材・キャビネット・カウンターの設計・調達・施工(2025 年 4〜6 月に取得)、FBM は石こうボード・天井材・鉄骨下地など内装建材の流通で 370 超の拠点と Pro 顧客 4 万を持つ(2025 年 10 月に取得。2026 年度から通年)。会社はこの二つで、これまで入れなかった約 2,500 億ドルの住宅の内装市場に入ると位置づける。通年では売上 80 億ドル台前半と推定。無形資産の償却(四半期約 1 億ドル)を含む営業利益率は店舗より低い。
利益の構造は、大量仕入れによる粗利益率 33% 台、店舗の固定費の重さ、営業利益率 11〜13% である。店舗の利益の大半を稼ぎ、営業利益の配分は開示が薄いため店舗 100 億ドル・流通 2 億ドル(2025 年度は FBM が約 3.5 か月分)と推定した。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 は規模と店舗網で、年 800 億ドル規模の仕入れが価格と品ぞろえを支え、米国でこれに並ぶのはホーム・デポだけ。第 2 は Pro との関係で、プロ専用の価格・与信・配送・取引先ごとの価格が切り替えを難しくする。ただし Pro 比率はホーム・デポより低く、ここが追う側の弱みでもある。第 3 は住宅サービスとオンラインなど、店舗に来ない取引を取る力で、2026 年は既存店の伸びの主因になっている。
資本効率は高く見えるが、見かけの ROE は自己資本がマイナスで意味が薄い。実態は投下資本利益率(税引き後営業利益 約 77 億ドル ÷ 投下資本 約 340 億ドル程度)で見るべきで 20% 前後、FBM・ADG の買収後は 16〜18% に下がるとみる。経営は CEO のマービン・エリソン(2018 年〜)が、店舗の運営の標準化、在庫と物流の改善、Pro 戦略を進めてきた。営業利益率は 2018 年の 8.6% から 2023 年の 13.4% まで上がったが、2025 年度は 11.8% に戻った。
弱みは 3 つ。(1)DIY が弱く、2025 年度の取引数は −2.8%、5〜7 月期も既存店 +0.2% で、見通しは下がった。(2)買収で純負債 433 億ドル(リース込みのレバレッジ 3.0 倍)となり、自社株買いを止めている。(3)FBM・ADG の償却と統合で、全社の営業利益率が約 0.5 ポイント薄まる。優良さは保たれているが、いまホーム・デポより一段弱い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の住宅リフォーム・ホームセンターの市場は約 5,000 億ドル(推定)で、2025 年は前年比ほぼ横ばい。要因は 3 つ。第 1 に、住宅ローン金利が高い局面で、低い金利で借りた持ち家の所有者が売らず(ロックイン効果)、中古の回転が低水準。引っ越さずに直す需要は出るが、大型案件は借入が重く延期される。第 2 に、持ち家の平均築年数は約 40 年と古く、修繕の需要は底堅い。第 3 に、2025 年の IEEPA 関税は工具・家電・建材の仕入れを押し上げ、2026 年に一部が還付されたが一回限りで、正常利益から除く(5〜7 月期の 1 株利益にも一部の還付が入っている)。
競争は 3 つの層。店舗はホーム・デポ(占有率約 27%)とロウズ(約 17%)の 2 強で、メナーズ・小さな金物店・アマゾン・ウォルマートが周辺にいる。Pro 向けの建材流通はフェルグソン、ビーコン(QXO が買収)、ホーム・デポの SRS・GMS、そしてロウズの FBM が競い、ホーム・デポが一足先に拠点網を作った。家電・家具・小物はアマゾン・ウェイフェアなどの通販に削られる。
循環のどこにいるか:住宅は 2022 年から停滞が 3 年以上続き、緩やかな回復が入ると見る。業界ノートの中立(市場 年 +3.5%、営業利益率横ばい)を使い、ロウズが特別に強い・弱いという見方はしない。ただし DIY の比率がホーム・デポより高く、住宅の停滞の影響を強く受ける。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、年 28 億ドル前後(純利益の約 4 割)。自社株買いは、リース込みの調整後レバレッジ(負債 ÷ EBITDAR)が 2.75 倍に戻る 2027 年半ばまで止める方針で、7 月末は 3.0 倍(前期 3.1 倍)、第 2 四半期は FCF 31 億ドルを生み現金は 32 億ドル。2021〜23 年に年 130〜140 億ドルを買い戻したが、倍率の高い局面で買い、自己資本をマイナスにした面がある。
M&A は ADG(13.3 億ドル)と FBM(88 億ドル)で、いずれも 2025 年。ホーム・デポが SRS・GMS で先行したのを追う動きで、買収価格が高く、FBM の EBITDA 倍率は 14 倍近い(6.35 億ドルに対し 88 億ドル)。独占禁止法の面で、店舗の大型買収は難しいが、流通は小さな買収が続く。ロウズ自身が買われる可能性はない。
論点は、約 100 億ドルの買収が投下資本利益率を何 % 稼ぐか。流通・内装の営業利益率が償却込みで店舗を下回る限り、全社の利益率は薄まる。また、自社株買いの再開が遅れるほど利益の増え方が遅くなる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ロウズは住宅の停滞の底にいる。2022 年から 3 年以上、中古の回転が低水準で、DIY の大型案件が延期され、既存店は +0.2%(2025 年度、2026 年 5〜7 月期)。それでも営業利益率は 11.8% を保ち、5〜7 月期は粗利益率 33.0%・営業利益率 13.7%(調整前)と、利益は崩れていない。Pro・住宅サービス・オンラインが伸び、DIY が戻れば既存店は一段と伸びる。
ホーム・デポは SRS・GMS を 2 年先行したが、ロウズも ADG・FBM で内装の流通を取り、約 2,500 億ドルの新しい市場に入った。Pro 比率 3 割は伸びしろが大きく、占有率が 1 ポイント上がれば営業利益は約 8 億ドル増える。
自社株買いが止まっているのは債務を減らすためで、2027 年半ばにレバレッジが 2.75 倍に戻れば再開できる。FCF は第 2 四半期だけで 31 億ドル。PER 16.6 倍はホーム・デポの 21 倍台より低く、同じ堀を持つ会社にしては安い。利益ベースの倍率(約 20 倍)に戻るだけで 2 割の余地があり、成長と配当で年率 9〜10% が見込める。
慎重な見方
ロウズは 2 番手の弱みが出始めている。2025 年度の取引数は −2.8%、2026 年の見通しは売上・既存店・営業利益率をそろって下げ、営業利益は 3 年で 127 億ドル(2022 年)から 102 億ドルへ減った。営業利益率の 13.0% から 11.8% への低下は、ホーム・デポの下げ幅より大きい。5〜7 月期の 1 株利益に入った関税の還付分は一回限りで、正常な利益はもっと低い。
FBM・ADG の買収は約 100 億ドルで、FBM は EBITDA の約 14 倍と高い。ホーム・デポが先に作った SRS・GMS の網に対し、ロウズは後から追う側で、フェルグソン・ビーコン(QXO が買収)とも競り合う。営業利益率の低い流通が全社の利益率を薄め、償却で純利益を押し下げ、投下資本利益率を 20% 台から 16% 前後へ下げる。
純負債は 433 億ドル(リース込み 3.0 倍)で、景気が悪化すれば配当しか払えず、自社株買いの再開も遅れる。DIY はアマゾン・ウォルマートの価格比較と AI の購入窓口に削られる。今の PER 16.6 倍が安く見えるのは、買収の償却と債務の重さ、成長の低さを映した値段かもしれない。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気の見方が強い。一方で、2 番手としての弱み(Pro 比率・利益率・DIY の依存)と債務の重さは慎重な見方に分がある。確率は楽観・やや楽観の合計を 28%、悲観とやや悲観の合計を 36% と、ホーム・デポ(34%)より少し厚くした。倍率はのれんを除いた投下資本利益率の差(ホーム・デポ 25% に対し 22%)と長期の成長を式に入れ、資本コスト 9.0% の利益ベースの上限 16.6 倍の 85% の約 14.1 倍(ホーム・デポの 9 割より低い位置)に置いた。式の外では割り引いていない。結論は、ホーム・デポ(やや割高)よりやや安い「適正」(差 -6%)。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 257.24 ドル1,441 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 117.25 ドル657 億ドル)。 今の値に割り戻すと 184.87 ドル1,035 億ドル、今との差 −9.5%、 期待の年率 +6.2%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 421.57 ドル2,361 億ドル | 153.39 ドル859 億ドル | +181.3% | +10.9% | 46.00 ドル258 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 347.20 ドル1,944 億ドル | 140.18 ドル785 億ドル | +138.5% | +9.1% | 97.48 ドル546 億ドル |
| 中立 | 36% | 280.07 ドル1,568 億ドル | 125.89 ドル705 億ドル | +98.6% | +7.1% | 146.15 ドル818 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 190.30 ドル1,066 億ドル | 106.25 ドル595 億ドル | +45.1% | +3.8% | 65.24 ドル365 億ドル |
| 悲観 | 14% | 81.29 ドル455 億ドル | 58.93 ドル330 億ドル | −31.4% | −3.7% | 19.63 ドル110 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 257.24 ドル1,441 億ドル | 117.25 ドル657 億ドル | +83.2% | +6.2% | 374.49 ドル2,097 億ドル |
今の株価時価総額 204.37 ドル1,144 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:Pro の取り込みが進み、店舗と内装の流通が一体で稼ぐ 利益 146 億ドル · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 421.57 ドル2,361 億ドル
店舗の市場は 10 年で名目 1.57 倍(年 +4.6%:中古の回転が戻り、築 40 年の住宅の修繕とバリアフリー改装が重なる)。ロウズは Pro の取り込みを進めて占有率 17.8%、店舗の売上 1393 億ドル、営業利益率 13.4%(2023 年の水準)。FBM・ADG が住宅建設会社・商業の請負業者向けの内装流通で占有率 5.0% に伸び、売上 211 億ドル、営業利益率 9.5%(償却が薄れる)。営業利益 207 億ドル、純利益 146 億ドル。レバレッジを戻したのち、自社株買いが配当と並ぶ。倍率は正当化 PER 17.0 倍の 9.5 割にあたる 16.2 倍に置いた。
- 米国の店舗・通販(DIY と Pro):数量 5,550(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.25(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,393 億ドル・営業利益 187 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 17.8%・物価指数 1.41)
- Pro 向け内装の流通・施工(FBM・ADG):数量 3,000(米国の住宅・商業の内装の流通・施工の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、会社の説明 約 2,500 億ドル))× 価格 0.07(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 211 億ドル・営業利益 20 億ドル。FBM・ADG の占有率と利益率(占有率 5%・物価指数 1.41)
倍率:上限の正当化 PER 17.0 倍に対し、16.2 倍(9.5 割)に置いた。需要が安定し堀もあるので、中立(8.5 割)にさらに 1.0 割を上乗せした(上限の内側)。上限の中身は g 4.0%、RONIC 26.8%(k 9.00% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 44.7%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 27%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.8(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 146 億ドル × 16.2 倍で 2361 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:占有率が上がり利益率が 2023 年の最高(全社 13.4%)近くへ戻るには、数量・価格・Pro の取り込みがそろう必要があり 8%。
やや楽観 20% やや楽観:占有率が少し上がり、流通が利益に厚みを足す 利益 128 億ドル · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 347.20 ドル1,944 億ドル
店舗の市場は名目 1.5 倍。ロウズの占有率は 17.4% で、店舗の売上 1313 億ドル、営業利益率 12.9%。流通・内装は占有率 4.6%、売上 185 億ドル、営業利益率 8.5%。物価 3.5% の中でも値上げで人件費と関税を吸収し、利益率は 2022〜23 年の水準には戻らないが 12% 台後半に回復する。営業利益 185 億ドル、純利益 128 億ドル。倍率は正当化 PER 16.9 倍の 9.0 割にあたる 15.2 倍に置いた。2026 年度に下がった見通しが底になり、DIY の弱さは薄れるが、利益率はホーム・デポほどには戻らない。FBM・ADG の償却は続くものの、拠点の統合で粗利益率は少し上がる。自社株買いの再開で株数が減り、還元は純利益の 87% 前後になる。
- 米国の店舗・通販(DIY と Pro):数量 5,350(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.25(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,313 億ドル・営業利益 169 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 17.4%・物価指数 1.41)
- Pro 向け内装の流通・施工(FBM・ADG):数量 2,850(米国の住宅・商業の内装の流通・施工の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、会社の説明 約 2,500 億ドル))× 価格 0.06(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 185 億ドル・営業利益 16 億ドル。FBM・ADG の占有率と利益率(占有率 4.6%・物価指数 1.41)
倍率:上限の正当化 PER 16.9 倍に対し、15.2 倍(9.0 割)に置いた。需要が安定し堀もあるので、中立(8.5 割)にさらに 0.5 割を上乗せした。上限の中身は g 4.0%、RONIC 25.6%(k 9.00% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 42.2%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 26%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.8(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 128 億ドル × 15.2 倍で 1944 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:堀(規模・Pro との関係・店舗網)が保たれ、住宅の回転が戻る筋書き。債務返済で還元が細る期間を見て 20%。
中立 36% 中立:2 番手のまま Pro 比率を上げ、倍率は資本コストの理論値 利益 111 億ドル · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 280.07 ドル1,568 億ドル
店舗の市場は名目で年 +3.7%(価格は物価並みの 1.41 倍、実質の数量は年 +0.3%)。ロウズは 2 番手のまま Pro 比率を 3 割から上げ、占有率 16.9%、店舗の売上 1222 億ドル、営業利益率 12.4%。流通・内装は占有率 4.2%、売上 163 億ドル、営業利益率 7.5%(償却が少しずつ軽くなる)。営業利益 164 億ドル(営業利益率 11.8%)、純利益 111 億ドル。借り換えで利払いは増えるが債務の返済で純支払利息は 17 億ドル前後。還元は純利益の約 85% 前後(株式報酬を差し引く)。ホーム・デポ(25.6 倍)より低いのは、利益率と Pro 比率で劣るため。FBM・ADG の高い買収価格はのれんなので、式の ROE からは除き、償却は GAAP の純利益で引いている。倍率は正当化 PER 16.6 倍の 8.5 割にあたる 14.1 倍に置いた。
- 米国の店舗・通販(DIY と Pro):数量 5,130(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.24(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,222 億ドル・営業利益 152 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 16.9%・物価指数 1.41)
- Pro 向け内装の流通・施工(FBM・ADG):数量 2,750(米国の住宅・商業の内装の流通・施工の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、会社の説明 約 2,500 億ドル))× 価格 0.06(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 163 億ドル・営業利益 12 億ドル。FBM・ADG の占有率と利益率(占有率 4.2%・物価指数 1.41)
倍率:上限の正当化 PER 16.6 倍に対し、14.1 倍(8.5 割)に置いた。需要が安定し堀もあるので、上限の 8.5 割に置いた。上限の中身は g 4.0%、RONIC 23.7%(k 9.00% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 38.4%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 23%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.8(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 111 億ドル × 14.1 倍で 1568 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:業界ノートの中立(市場 約 1.4〜1.5 倍、営業利益率横ばい)に、Pro で占有率がわずかに上がる分を足した。36%。
やや悲観 22% やや悲観:ホーム・デポに Pro で引き離され、流通は伸びきらない 利益 88 億ドル · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 190.30 ドル1,066 億ドル
ホーム・デポが SRS・GMS の流通で Pro を囲い込み、ロウズの占有率は 16.2% に下がる。店舗の営業利益率は 11.3%、流通・内装は住宅着工の弱さと価格競争で営業利益率 5.5%、占有率 3.6%(売上 132 億ドル)。営業利益 135 億ドル、純利益 88 億ドル。DIY はアマゾン・ウォルマートに削られ、成長は年 +3.5% に落ちる。ロウズは 2 番手のまま Pro でも差を広げられ、Pro 比率は 3 割で足踏みする。債務の返済は進むが、買収の価格に見合う利益は出ず、投下資本利益率は 13% 前後へ下がる。倍率は正当化 PER 16.1 倍の 7.5 割にあたる 12.1 倍に置いた。
- 米国の店舗・通販(DIY と Pro):数量 4,950(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.23(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,131 億ドル・営業利益 128 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 16.2%・物価指数 1.41)
- Pro 向け内装の流通・施工(FBM・ADG):数量 2,600(米国の住宅・商業の内装の流通・施工の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、会社の説明 約 2,500 億ドル))× 価格 0.05(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 132 億ドル・営業利益 7 億ドル。FBM・ADG の占有率と利益率(占有率 3.6%・物価指数 1.41)
倍率:上限の正当化 PER 16.1 倍に対し、12.1 倍(7.5 割)に置いた。中立(8.5 割)より 1.0 割低くした。住宅の停滞で利益率が下がる筋書きだからだ。上限の中身は g 4.0%、RONIC 20.8%(k 9.00% + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k))、moat は 普通。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 32.5%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 20%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.8(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 88 億ドル × 12.1 倍で 1066 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。
確率:ホーム・デポが SRS・GMS で先行し、ロウズは追う側という競争の形は現実的。22%(ホーム・デポの 20% より少し厚く)。
悲観 14% 悲観:構造的に負ける(Pro の取り合いと通販で占有率を失い、買収も失敗) 利益 38 億ドル · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 81.29 ドル455 億ドル
10 年後、Pro の取引の入口がホーム・デポ・フェルグソン・ビーコン(QXO が買収)・アマゾンの事業者向け通販に分散し、ロウズの占有率は 14.5% まで下がる。DIY は AI の購入窓口が価格比較を完全にし、価格を決める力を失う。店舗の売上 1022 億ドル、営業利益率は 2009〜2012 年の谷に近い 7.5%。FBM・ADG は買収価格(約 100 億ドル)に見合う利益が出ず、営業利益率 1%、減損が出る。営業利益 78 億ドル、純利益 38 億ドル。成長はほぼ止まり、債務の重さで自社株買いは絞られて 10 年の還元は 330 億ドルにとどまる。倍率は稼ぐ力の式で置き、店舗網・物流網の資産が床で、二重には下げていない。
- 米国の店舗・通販(DIY と Pro):数量 5,000(米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定))× 価格 0.20(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 1,022 億ドル・営業利益 77 億ドル。店舗・通販の占有率と利益率(占有率 14.5%・物価指数 1.41)
- Pro 向け内装の流通・施工(FBM・ADG):数量 2,500(米国の住宅・商業の内装の流通・施工の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、会社の説明 約 2,500 億ドル))× 価格 0.04(ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41))→ 売上 88 億ドル・営業利益 1 億ドル。FBM・ADG の占有率と利益率(占有率 2.5%・物価指数 1.41)
倍率:式どおり:g 1.5%(g はこの筋書きの数量と価格から置いた)、ROE 17.1%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 11%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.8(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)、k 9.00%。(1−g÷RONIC)÷(k−g) の値は来年の利益に対する倍率なので、10 年目の利益には ×(1+g) で 12.0 倍。RONIC = k + 残る割合 0.50 ×(事業の ROE − k)= 13.0%。上限の正当化 PER 13.9 倍の 8.6 割で、上限の内側。10 年目の利益の伸びは年 10% 未満なので 1 段。時価総額は、書いた純利益 38 億ドル × 12.0 倍で 455 億ドル。
確率:10 年の構造変化(Pro の取り合い、通販と AI の購入窓口)で優良さを失い、FBM・ADG の買収も価格に見合わない確率。債務が重く傷が深いので 14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
米国の店舗・通販(DIY と Pro)
米国の 1,759 店と通販。建材・工具・水回り・塗料・家電・園芸など。Pro は売上の約 3 割(推定)。
| 数量米国の住関連・修繕の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、推定) | 価格ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,000 | 0.17 | 832 | 100 |
| 10 年後 中立 | 5,130 | 0.24 | 1,222 | 152 |
取り方:米国の住関連・修繕の市場を業界ノートの 5,000 億ドルと置き、2025 年度の店舗・通販の売上(全社 863 億ドルから流通・内装の取り込み分 31 億ドルを引いた 832 億ドル)を割って占有率 16.6%。営業利益は全社 102 億ドルから流通・内装 2 億ドルを引いた 100 億ドル(営業利益率 12.0%)。いずれも開示が薄く推定。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。競合はホーム・デポ(店舗・通販 約 1,360 億ドル、占有率 27%)とメナーズ・地域の金物店・アマゾン。市場の名目の伸びのうち物価分(10 年 1.41 倍)は価格に、残りを実質の数量に置いた。
Pro 向け内装の流通・施工(FBM・ADG)
石こうボード・天井材・鉄骨下地の流通(FBM)と、住宅建設会社向けの床材・キャビネット等の設計・調達・施工(ADG)。
| 数量米国の住宅・商業の内装の流通・施工の市場(億ドル、2025 年度の値段に直した実質、会社の説明 約 2,500 億ドル) | 価格ロウズの占有率 × 物価指数(2025 年度=1。中立で 3 年 1.11・10 年 1.41) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,500 | 0.01 | 31 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,750 | 0.06 | 163 | 12 |
取り方:会社が示す内装市場約 2,500 億ドルに対し、2025 年度に取り込んだ売上(FBM は 2025 年 10 月から約 3.5 か月分で約 19 億ドル、ADG は 2025 年 4〜6 月から約 12 億ドルと推定。ADG の売上は未開示)の合計 約 31 億ドルを割って占有率 1.24%(2026 年度は通年化で売上 80 億ドル台前半、占有率 3.3% 前後)。営業利益 2 億ドルは、償却(四半期約 1 億ドル)を含む推定(営業利益率 6.5%)。売上 = 市場(実質)× 占有率 × 物価指数。競合はフェルグソン、ビーコン(QXO が買収)、ホーム・デポの SRS・GMS。
リスクと懸念
DIY の弱さの長期化
住宅ローン金利が下がらず、ロックインが続けば、中古の回転が戻らず、DIY の大型案件が延期され続ける。2025 年度の取引数は −2.8%、既存店は 2 年続けて +0.2% で、2026 年の見通しは下がった。DIY 比率が高いロウズは、ホーム・デポより影響が大きい。
買収後の債務
FBM(88 億ドル)・ADG(13.3 億ドル)で純負債は 433 億ドル、リース込みのレバレッジは 3.0 倍。2027 年半ばに 2.75 倍へ戻す計画だが、景気が悪化すれば返済が遅れ、自社株買いの再開も先送りになる。
FBM・ADG の統合と収益性
FBM の買収は EBITDA の約 14 倍と高く、流通の利益率は償却込みで店舗を下回る。統合が遅れ、住宅着工が弱いまま償却を背負えば、全社の営業利益率が約 0.5 ポイント以上薄まり、投下資本利益率が下がる。
Pro での出遅れ
Pro 比率は約 3 割で、ホーム・デポの約 5 割に届かない。ホーム・デポの SRS・GMS、フェルグソン、ビーコン(QXO が買収)が先に拠点網を作り、ロウズは追う側。Pro の囲い込みで負ければ店舗・流通の両方の利益率が下がる。
関税と一回限りの還付
IEEPA 関税の還付(2026 年 5〜7 月期の 1 株利益に入っている)は一回限りで、正常利益から除く。関税が続き価格に転嫁しきれない期間は営業利益率を 0.5〜1 ポイント削る。見通しの調整後営業利益率 11.6% には還付を含めていない。
通販と AI の購入窓口
アマゾン・ウォルマート・ウェイフェアが DIY の小物・工具・家電の価格を比べ尽くし、AI のエージェントが購入の入口を握れば、店舗の価格を決める力が弱まる。10 年の構造的な悲観の主因で、DIY 比率の高いロウズの方が影響が大きい。
今後の分かれ目
- 中古住宅の販売件数が年 500 万件を超え、住宅ローン金利が下がって既存店が +3% を超えたら
- DIY の大型案件が戻り、営業利益率は 12〜13% に向かう。楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし倍率は先に成長を映すので、時価総額が追いつく保証はない。
- 調整後営業利益率が 11% を割り、見通しがさらに下がったら
- 関税の還付と統合費用の影響が想定より重いとわかり、やや悲観の確率を上げる。倍率も 1〜2 倍下げて見る。
- 2027 年半ばにレバレッジが 2.75 倍に戻り、自社株買いが再開されたら
- 還元が配当と並ぶ形に戻り、株数が減り始める。倍率が 16 倍台と低いので、買い戻しは価値を壊しにくい。
- FBM・ADG の通年の営業利益率(償却込み)が 8% に近づき、Pro 比率が 3 割を超えて上がったら
- 買収の価値が確認され、10 年の楽観の確率を上げる。逆に営業利益率が 3% を割れば、減損と Pro での出遅れを疑う。
- リーマン級の急落(失業率 8% 超・住宅価格 −20%)が来たら
- 売上は 2 割減、営業利益率は 8% 台まで下がる。株価は −40% 前後まで下がる可能性があり、買い場かどうかは配当(利益の約 4 割)と債務の余裕で判断する。
見ておくもの
- 既存店売上(客数と客単価)と Pro・DIY の比率
- 中古住宅の販売件数と 30 年住宅ローン金利
- 調整後営業利益率と関税の還付の額
- FBM・ADG の売上の伸びと営業利益率、償却の額
- リース込みレバレッジ(2.75 倍へ)と自社株買いの再開
- ホーム・デポ・フェルグソン・ビーコンの Pro 向け占有率
- オンライン売上の伸び(直近 +15% 台)と住宅サービス
倍率と資本コストの決め方
今の PER 16.6 倍を見る前に、米国の店舗・通販と Pro 向け内装流通(FBM・ADG)の 2 つに分け、市場(実質)× 占有率 × 物価指数で売上を、営業利益率で利益を積み上げた。倍率はのれんを除いた投下資本利益率 22% 前後・g 4%・k 9.0%(基本 8.0% + quality +1.0%)の利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k))の 7.5〜9.5 割(中立は 85% で約 14.1 倍)で決め、10 年目の利益に ×(1+g) を掛けた。今の倍率にも過去 20 期の中央(20.5 倍)にも寄せていない。債務の重さは k の debt と悲観の確率の厚さで表した。悲観は営業利益率を 2009〜2012 年の谷の 7.5% に置き、稼ぐ力の式で測った。結果は適正(差 -6%)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β 0.94 × 5%。資本コスト k = 基本 8.0% + quality +1.0% = 9.0%(v2。株価の揺れ(β)は使わない)。住宅市場と金利への連動を cycle で、借金(自社株買いで自己資本がマイナス)を debt で見た。個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と確率、悲観の深さで表した。extra は 0。