結論
スターバックスは、世界約 80 か国に 4.1 万店を持つ世界最大のコーヒーチェーンで、店の約 33% を直営、約 67% をライセンス(空港・食料品店内・各国の提携企業)で運営する。2025 年(9 月期)の売上は 372 億ドル、営業利益は 35 億ドル(営業利益率 9.3%)、純利益は 19 億ドルまで落ちた。北米の既存店が −2% に沈み、2025 年 7〜9 月期に 627 店の閉鎖と再編・減損(北米で 6.5 億ドル)が重なったためである。2024 年 9 月に就任したブライアン・ニコル(Brian Niccol)の「Back to Starbucks」(接客の人員を増やす、メニューを絞る、混雑するネット注文を整える)で立て直しが進み、2026 年 4〜6 月は世界の既存店 +7.9%(客数 +4.2%・客単価 +3.5%)、北米の営業利益率は 13.6%、連結の非 GAAP 営業利益率は 14.4% まで戻った。
事業の質は高い。世界で毎日来店される習慣、約 4.1 万店の規模、リワード会員、サードプレイス(家と職場の間の居場所)というブランドは、新興は追いつきにくい。中国の事業は 2026 年 3 月末にボーユー・キャピタル(Boyu Capital)との合弁に切り替わり(持ち分 40%)、重い直営から軽いライセンスの収益に変わった。一方で自己資本は −81 億ドル(自社株買いの累積)、借入は 133 億ドル(リースを除く)で、関税の還付や前年の反動が 2026 年の利益を押し上げており、持続する改善の見極めが要る。
バリュー投資の観点では、事業は理解しやすく、10 年後も堀は残る。しかし今の時価総額 1,112 億ドルは、2025 年 9 月期の純利益の約 60 倍、2026 年 9 月期の見通し(純利益 約 30 億ドル)でも約 37 倍で、会社の 2028 年の目標(営業利益率 13.5〜15%、純利益 約 38〜45 億ドル)が実現しても PER は約 25〜29 倍になる。事業ごとに店舗数 × 1 店あたり売上で積み上げた 10 年後の中立は、営業利益率 15.1%・純利益 59 億ドルで、時価総額は約 950 億ドル。還元を足しても年率 2% 前後で資本コスト 8.5% を下回るので、割高と見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後を問う。スターバックスは、毎日の習慣と場所の体験を 50 年かけて築いた事業で、わからなさは小さい。10 年後も存在し、世界のコーヒー需要の伸びを取り込む。ただし堀の広さは、マクドナルドの不動産や、コカ・コーラの原液のような「真似できない」ものではなく、ブランドと実行力に依存している。2025 年 9 月期に北米の営業利益率が 19.8% → 11.5% に落ちたことが示すとおり、実行が乱れれば利益は短期間で半分になる。
次にオーナー利益。2025 年 9 月期は純利益 19 億ドル、フリーキャッシュフロー 24 億ドルで、時価総額 1,112 億ドルに対する利回りは約 2.2%。2026 年 9 月期の見通し(純利益 約 30 億ドル)でも約 2.7%、2028 年の目標どおり(純利益 約 40 億ドル)でも約 3.6% で、10 年国債 5% を下回る。物価に価格を転嫁できる事業の実質の利回りで見ても、成長(実質 1〜2%)を足して 5〜6% 台で、資本コスト 8.5% に届かない。今の値段は、立て直しが全部うまくいくことを前提にしている。
資本配分は、自社株買いで自己資本をマイナスにしたが、近年は止めている点は健全。中国の合弁化は資産を軽くする良い動き。悪い面は、配当が純利益を上回る年があること。安全域は、中立の筋書き(営業利益率 15.1%・PER 約 16 倍)でも今の値段に及ばず、ない。楽観の筋書き(北米の利益率 20.5%・中国 2 万店)でも年 +7% で、資本コスト 8.5% を超える筋書きはない。わかる事業で、良い会社だが、今の値段では買わない、が結論になる。
何で稼ぐ会社か
スターバックスの収益は 4 つに分かれる。第 1 は北米(売上 274 億ドル、全社の 74%)。直営 11,018 店とライセンス 7,293 店で、米国が 16,933 店(世界の 41%)を占める。売上の大半は店の飲み物・フード・豆の販売で、人件費・賃料・原材料が直接利益に響く。2025 年 9 月期は営業利益率 11.5%(再編・減損 6.5 億ドルを含む)、2024 年は 19.8% だった。第 2 は国際(売上 約 78 億ドル、21%)。直営の中国(8,009 店、売上 約 27 億ドル)、日本・韓国・英国・ヨーロッパ・中東のライセンスなどからなり、ライセンスの店は自社の売上が小さく利益率が高い。第 3 はチャネル開発(売上 約 19 億ドル、5%)で、ネスレ(Nestle)に豆・即席商品の販売権を与えるグローバル・コーヒー・アライアンスの収益とペプシコ(PepsiCo)との缶飲料の合弁の持ち分利益が柱で、営業利益率は 50% を超える。第 4 は本社費ほか(年約 18 億ドルの費用)。
中国は大きな転換期にある。2026 年 3 月末にボーユー・キャピタルが小売事業の 60% を取得し(企業価値 約 40 億ドル)、スターバックスは 40% の持ち分を持ち、ブランドと知的財産を合弁にライセンスする形になった。合弁は約 8,000 店で、長期に 2 万店まで広げる目標を掲げる。今後は自社の売上が「合弁の店売上 × ロイヤルティと原料の取り分」だけになり、売上は大きく減るが、利益は安定して中国のシェアを失う危険も合弁が負う。中国のセグメント利益率は 10 台後半から 2028 年に 20% 超が会社の見通し。
設備投資は店の改装・効率化が中心で、2026 年 9 月期は 3 四半期で 8.9 億ドル(年約 12 億ドル)。2026 年 9 月期の見通しは、売上が横ばいから微増(中国の合弁化で減る分を、北米の増収が相殺)、非 GAAP 営業利益率 11% 超、純利益 約 30 億ドル、純新規店 600〜650 店。
優良さと弱いところ
優良さの根拠は 5 つ。第 1 は規模とブランド。世界 4.1 万店、特に米国 16,933 店は、同じ質の飲み物を同じ場所で出せる網で、ネットオーダーとリワードが加わると来店頻度が上がる。第 2 は価格を決める力。2026 年 4〜6 月に客単価が +3.5% 上がっても客数が +4.2% 増えており、値段を上げても客が逃げない局面にある(反動もあるが)。第 3 はサードプレイスという体験で、手軽な飲み物の置き換えが効きにくい。第 4 は資産の軽量化。中国を直営から合弁に変え、ライセンスの比率が 67% まで上がった。第 5 は経営の実行力。ニコルは前職のチポトレ(Chipotle)で混雑を解消した実績があり、2025 年 9 月期の再編(627 店の閉鎖)を迅速に行い、2026 年は 4 四半期連続で既存店を伸ばした。
弱い所は 3 つ。第 1 に、直営の多さ。北米の 11,018 店は人件費・賃料が固定費で、客数が落ちると利益が大きく振れる(2025 年 9 月期の北米の営業利益率は 19.8% → 11.5%)。第 2 に、新興の参入。ダッチ・ブラザーズは 1,225 店、2026 年 4〜6 月の直営既存店 +8.3%、13 四半期連続の増収で、ドライブスルーと若い客層でスターバックスと同じ客を取り合う。中国ではラッキンコーヒーが世界 36,310 店(うち中国本土・香港 36,087)で、スターバックスの中国のシェアは 2019 年 34% → 2024 年 14%(CGTN)と落ちた。第 3 に、資本効率の見え方。自己資本がマイナスで ROE は意味が薄く、投下資本(リースを含む)で見ると、立て直し後でも約 17〜20% で、マクドナルドのような家賃収入型の高い資本効率ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の外食・フードサービスの売上は 2026 年に約 1.5 兆ドル(前年比 +4.3%、実質 +0.8%)で、成長の大半は価格である。客数は不均一で、運営者の半分超が 2025 年に客数が減ったと答えている。外食価格は USDA が 2026 年に +3.6% を予想する。景気は K 字(高所得層は外食を維持し、低所得層は回数を減らす)で、スターバックスの客は比較的高所得層が多く、2026 年 4〜6 月の客数 +4.2% は、マクドナルドの来店 −4.5% と対照的だった。
コーヒーの競争は 3 層に分かれる。(1) 米国のドライブスルー型の新興(ダッチ・ブラザーズ 1,225 店、2026 年 6 月)。(2) 朝食・コーヒーを組み合わせる大手(マクドナルド、ダンキン(Dunkin')など)。(3) 中国のラッキンコーヒー(Luckin Coffee、世界 36,310 店)。スターバックスはいずれにも、飲み物の質・サードプレイス・会員の囲い込みで対抗する。コーヒー豆の価格は天候と関税に左右され、2025 年に関税が上がり、2026 年には相互関税の還付が利益を一時的に押し上げた。人件費は最低賃金とチップの上昇で年 +4〜5% 上がる。
循環のどこにいるか:2025 年 9 月期は、客数の谷に再編・減損が重なった最悪の期だった。2026 年は、反動と関税の還付が重なって利益が戻る局面で、今の水準(営業利益率 11% 超の見通し)はまだ 2024 年(約 15%)の下にある。業界ノートの置き方(米国の外食 年 +4.5%、客単価 +3.5%、客数 +0.5〜1%、スターバックスの営業利益率 9% → 14〜16%)を使ったが、倍率は業界ノートの値(谷の PER 22 倍など)でなく、筋書きごとの g・投下資本利益率・k の式で出した。業界ノートは今の PER を 52 倍としていたが、brief.py の最新の値は 59.8 倍で、これは利益が落ちた 2025 年 9 月期の純利益で測った値である。
資本政策と M&A
還元は配当と自社株買い。2025 年 9 月期は配当 28 億ドル(四半期ごとの増配を続けている)、自社株買いはほぼゼロで、純利益 19 億ドルを上回る配当を、フリーキャッシュフロー 24 億ドルと手元で払った。2026 年 9 月期も配当を維持し(年約 28 億ドル)、自社株買いは再開していない。過去は 2018 年に 71 億ドル、2019 年に 102 億ドルと自社株買いを積み上げ、自己資本を −81 億ドルまで下げた。
借入は 133 億ドル(リースを除く、2026 年 6 月末)で、中国の合弁化の収入(約 40 億ドルの企業価値の 60%)で約 18 億ドルの社債を返した。brief.py の推定では、借り換えによる利払いの増加は 10 年で約 4 億ドル(税前)で、小さい。M&A は、2025 年 11 月に発表した中国の合弁(60% をボーユーへ)が大きな動きで、買収で価値を壊す心配は小さいが、中国の持ち分 40% の価値が思ったほど伸びない(ラッキンコーヒーに負ける)可能性は筋書きで見た。TOB の対象になる可能性(時価総額 1,112 億ドル)は低い。論点は、配当が純利益を上回る間は自社株買いの余地が小さいこと、2028 年までに設備投資と人件費の再投資がどこまで続くか。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
スターバックスの立て直しは、反動ではなく客数と客単価がそろった本物の回復である。2026 年 4〜6 月は世界の既存店 +7.9%、客数 +4.2%・客単価 +3.5%、4 四半期連続の増収、2 四半期連続の利益率改善。北米の営業利益率は 13.6%、国際は 19.1%、連結の非 GAAP 営業利益率は 14.4% まで戻り、2026 年 9 月期の見通しは純利益 約 30 億ドル(営業利益率 11% 超)に上方修正された。
Investor Day の 2028 年の目標(営業利益率 13.5〜15%、純利益 約 38〜45 億ドル、売上 +5% 以上、純新規店 2,000 超、コスト削減 20 億ドル)は、すでに 2026 年 7〜9 月期の勢いで手の届く所にある。2019 年に約 18% だった営業利益率という長期の目標は、中国の合弁化で資産が軽くなった今なら、さらに上を狙える。
中国は重い直営から合弁(持ち分 40%)になり、企業価値は 40 億ドルだが、会社は小売事業の価値を 130 億ドル超と見ている。ラッキンコーヒーに負けないために、合弁が 2 万店まで広げれば、ロイヤルティと持ち分利益が、成熟後の利益を支える。10 年で純利益は今の 5 倍以上になり、年率 +7% 前後のリターンまでは射程に入る。
慎重な見方
2026 年 4〜6 月の既存店 +7.9% は、前年の落ち込み(北米は 2025 年 9 月期に −2%)の反動で、北米の営業利益率 13.6% には関税の還付という一時の押し上げが入っている。会社自身が、2026 年 9 月期の営業利益率を 11% 超としており、2024 年(約 15%)には届いていない。
時価総額 1,112 億ドルは、2026 年 9 月期の見通しの純利益の約 37 倍で、目標どおり 2028 年に純利益が約 40 億ドルになっても約 28 倍で、成熟した外食(20〜24 倍)より高い。立て直しのうち、人員の増員と店内の混雑解消は人件費を増やし、利益率が 2019 年の 18% に戻る保証はない。
競争は強まる。ダッチ・ブラザーズは 13 四半期連続の増収で、客数を伸ばしている。ラッキンコーヒーは世界 36,310 店と中国で圧倒し、スターバックスの中国のシェアは 34% → 14% に下がった。合弁(持ち分 40%)は、中国の価値の大半を手放した形で、ロイヤルティ料率も非開示。自己資本はマイナス、純負債 231 億ドル(リースを含む)、配当は純利益を上回る。GLP-1(肥満治療薬)が普及すれば、高カロリーの甘い飲み物の数量にも逆風。時価総額は、これらをほとんど織り込んでいない。
どちらに重みを置いたか
事業の実行力と立て直しの勢いは強気の見方が優勢だが、今の値段は 2028 年の目標達成を前提にしており、そこから先の成長(年 5〜6%)と、立て直しの反動が剥がれた後の客数の読めなさは慎重な見方が優勢。確率は中立 38%、楽観・やや楽観 30%、やや悲観・悲観 32% と、悲観側をやや厚くした。10 年の中立は PER 約 16 倍(利益ベースの正当化 PER の 80%)、純利益 59 億ドルで時価総額 約 950 億ドル、年率 2% 前後で資本コスト 8.5% を下回り、割高。結論は「良い事業だが、立て直しの成功をほとんど織り込んだ値段」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 81.22 ドル926 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 32.36 ドル369 億ドル)。 今の値に割り戻すと 57.44 ドル655 億ドル、今との差 −43.6%、 期待の年率 +1.1%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 146.46 ドル1,669 億ドル | 45.62 ドル520 億ドル | +88.5% | +6.5% | 15.37 ドル175 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 111.92 ドル1,276 億ドル | 39.48 ドル450 億ドル | +48.6% | +4.0% | 33.31 ドル380 億ドル |
| 中立 | 38% | 83.64 ドル953 億ドル | 33.34 ドル380 億ドル | +14.8% | +1.4% | 44.45 ドル507 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 47.74 ドル544 億ドル | 25.44 ドル290 億ドル | −28.2% | −3.3% | 16.10 ドル184 億ドル |
| 悲観 | 10% | 25.97 ドル296 億ドル | 17.55 ドル200 億ドル | −57.3% | −8.2% | 4.35 ドル50 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 81.22 ドル926 億ドル | 32.36 ドル369 億ドル | +11.4% | +1.1% | 113.58 ドル1,295 億ドル |
今の株価時価総額 101.91 ドル1,162 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:北米の利益率が 20% に戻り、中国の合弁が 2 万店へ 利益 100 億ドル · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 146.46 ドル1,669 億ドル
北米は店舗 21,000 店(米国直営の純増に加え、空港・大学・食料品店内のライセンス)、1 店あたり売上は 2025 年比 1.62 倍(物価 1.41 倍に、客数の回復・高価格の飲み物・ネット注文の混雑解消で実質 +15%)。人手の効率が上がって北米の営業利益率は 20.5%(2024 年 9 月期の 19.8% を上回る)。コスト削減 20 億ドルは定着。国際(中国以外)はライセンスで 21,500 店(欧州・中東・日本・東南アジア)、利益率 20%。中国は合弁が 2 万店(会社の長期目標)、1 店あたりの自社の取り分は 1.30 倍で、ロイヤルティ中心の自社の利益と持ち分利益(合弁の純利益の 40%、調整に約 6 億ドル)が増える。チャネル開発は家庭用コーヒーと缶飲料で売上 37 億ドル。連結の営業利益率は 20.4%、純利益は 100 億ドル。
- 北米(直営 11,018 店・ライセンス 7,293 店):数量 21,000(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたり売上(億ドル))→ 売上 509 億ドル・営業利益 104 億ドル。北米の店舗数と 1 店あたり売上
- 国際(中国以外):数量 21,500(店舗数(店))× 価格 0.01(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 112 億ドル・営業利益 22 億ドル。中国以外の国際の店舗数と 1 店あたり自社売上
- 中国(2026 年 3 月から合弁・持ち分 40%):数量 20,000(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 9 億ドル。中国合弁の店舗数と 1 店あたり自社売上(ロイヤルティ等)
- チャネル開発(ネスレとの提携・ペプシコの缶飲料):数量 135(小売ベースの売上(億ドル、推定))× 価格 0.28(自社の取り分(比率))→ 売上 37 億ドル・営業利益 21 億ドル。チャネル開発(小売ベース売上と自社の取り分)
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質 0.5%+シェア 0.5%+価格 3.5%=4.5% を上限の 4% に)・事業の ROE 74.5%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナス)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 41.5%、10 年目より先の正当化 PER 20.1 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 20.9 倍。立て直しが成功し堀が広がる側なので上限の 80% に置き 16.7 倍。
確率:2024 年 9 月期の北米の利益率 19.8% への復帰と、中国の 2 万店という会社の長期目標がそろい、競合(ダッチ・ブラザーズ・ラッキンコーヒー)に負けない筋書き。両方そろう確率は低く 8%。
やや楽観 22% やや楽観:立て直しが定着し、北米の利益率は 18.5%、中国の合弁は 1.6 万店 利益 78 億ドル · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 111.92 ドル1,276 億ドル
北米は店舗 20,400 店、1 店あたり売上は 1.52 倍(実質 +8%)。接客の質(Green Apron)と作り直したリワード、飲み物の高付加価値化(プロテイン・コールドフォーム)で客単価が物価を上回る。北米の営業利益率は 18.5%、国際は 18.5%。中国は合弁が 16,000 店、ラッキンコーヒーとの価格競争は続くが、ブランドと立地(都市の中心・商業施設)で一定のシェアを守る。チャネル開発は売上 34 億ドル。連結の営業利益率は 17.8%(パンデミック前の 15〜18% の上端)、純利益は 78 億ドル。ダッチ・ブラザーズなどの新興とは共存でき、北米の客数は微増を保つ。還元は配当が年 5% ずつ増え、自社株買いも再開して 10 年の正味で 450 億ドル。
- 北米(直営 11,018 店・ライセンス 7,293 店):数量 20,400(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたり売上(億ドル))→ 売上 464 億ドル・営業利益 86 億ドル。北米の店舗数と 1 店あたり売上
- 国際(中国以外):数量 20,200(店舗数(店))× 価格 0.01(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 102 億ドル・営業利益 19 億ドル。中国以外の国際の店舗数と 1 店あたり自社売上
- 中国(2026 年 3 月から合弁・持ち分 40%):数量 16,000(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 7 億ドル。中国合弁の店舗数と 1 店あたり自社売上(ロイヤルティ等)
- チャネル開発(ネスレとの提携・ペプシコの缶飲料):数量 125(小売ベースの売上(億ドル、推定))× 価格 0.27(自社の取り分(比率))→ 売上 34 億ドル・営業利益 18 億ドル。チャネル開発(小売ベース売上と自社の取り分)
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質 0.5%+シェア 0.5%+価格 3.5% を上限の 4% に)・事業の ROE 64.3%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナス)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 36.4%、10 年目より先の正当化 PER 19.8 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 20.6 倍。立て直しが進む側なので上限の 80% に置き 16.5 倍。
確率:ブランドの力(約 4.1 万店、毎日の習慣になっている来店)が戻る側と見て 22%。
中立 38% 中立:北米の客数は物価並み、利益率は 15% 台に戻り、中国は合弁で軽く増える 利益 59 億ドル · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 83.64 ドル953 億ドル
北米は店舗 19,700 店(2025 年末 18,311 店から米国直営が年約 100 店増え、ライセンスは減らす)、1 店あたり売上は 2025 年比 1.46 倍(物価 1.41 倍に実質 +3.5%、年 +0.35%)。値上げは物価並みで、客数は人口と外食比率の伸びで横ばい〜微増、新興のダッチ・ブラザーズ(1,225 店、2026 年 4〜6 月の全体の既存店 +5.8%)や独立系にシェアの一部を譲る。北米の営業利益率は 16.5%(人件費は物価で上がるが、効率化 20 億ドルとネット注文の処理で相殺)。国際(中国以外)は店舗 19,000 店、利益率 17%。中国の合弁は 13,000 店(長期目標 2 万店の約 3 分の 2)、1 店あたり自社の取り分は 1.15 倍(中国の物価は低く、ラッキンコーヒー 3.6 万店との価格競争で単価は伸びにくい)。チャネル開発は売上 31 億ドル、利益率 52%。連結の営業利益率は 15.1%、売上は 560 億ドル、純利益は 59 億ドル。還元は配当が年 4% ずつ増え、自社株買いは再開するが株式報酬で相殺され、10 年の正味で 380 億ドル。
- 北米(直営 11,018 店・ライセンス 7,293 店):数量 19,700(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたり売上(億ドル))→ 売上 430 億ドル・営業利益 71 億ドル。北米の店舗数と 1 店あたり売上
- 国際(中国以外):数量 19,000(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 93 億ドル・営業利益 16 億ドル。中国以外の国際の店舗数と 1 店あたり自社売上
- 中国(2026 年 3 月から合弁・持ち分 40%):数量 13,000(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 6 億ドル・営業利益 5 億ドル。中国合弁の店舗数と 1 店あたり自社売上(ロイヤルティ等)
- チャネル開発(ネスレとの提携・ペプシコの缶飲料):数量 115(小売ベースの売上(億ドル、推定))× 価格 0.27(自社の取り分(比率))→ 売上 31 億ドル・営業利益 16 億ドル。チャネル開発(小売ベース売上と自社の取り分)
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質 0.5%+シェア 0.5%+価格 3.5% を上限の 4% に)・事業の ROE 54.1%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナス)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 31.3%、10 年目より先の正当化 PER 19.4 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 20.2 倍。質は普通で、客数と利益率の回復はまだ確かでないので上限の 80% に置き 16.1 倍。
確率:業界ノートの中立(営業利益率 9% → 14〜16% に戻る)に、中国の合弁化による資産の軽量化を足した置き方。会社の 2028 年の目標(13.5〜15%)と、パンデミック前の 18% を長期の目標とする考えの間。38%。
やや悲観 22% やや悲観:北米の客数が新興に流れ、利益率は 11% 台に落ち着く 利益 35 億ドル · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 47.74 ドル544 億ドル
北米の客数は年 −0.5% に落ち、1 店あたり売上は 1.38 倍(物価を実質 −2% 下回る)。店舗は 18,600 店で、ライセンスの閉鎖が続く。価格を守るためにリワードの値引きが増え、北米の営業利益率は 13.5%、国際は 15%。中国は合弁が 1 万店止まりで、ラッキンコーヒーに価格で負けて単価は 1.05 倍、自社の取り分は小さい。チャネル開発は売上 27 億ドル、利益率 48%(提携条件の改定と缶飲料の持ち分利益の減少)。連結の営業利益率は 11.2%、純利益は 35 億ドル。コスト削減 20 億ドルは価格競争に吸われ、会社の 2028 年の目標(13.5〜15%)は遠のく。還元は配当の増額が止まり、自社株買いも再開せず、10 年の正味で 290 億ドル。
- 北米(直営 11,018 店・ライセンス 7,293 店):数量 18,600(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたり売上(億ドル))→ 売上 384 億ドル・営業利益 52 億ドル。北米の店舗数と 1 店あたり売上
- 国際(中国以外):数量 17,000(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 79 億ドル・営業利益 12 億ドル。中国以外の国際の店舗数と 1 店あたり自社売上
- 中国(2026 年 3 月から合弁・持ち分 40%):数量 10,000(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 4 億ドル。中国合弁の店舗数と 1 店あたり自社売上(ロイヤルティ等)
- チャネル開発(ネスレとの提携・ペプシコの缶飲料):数量 105(小売ベースの売上(億ドル、推定))× 価格 0.26(自社の取り分(比率))→ 売上 27 億ドル・営業利益 13 億ドル。チャネル開発(小売ベース売上と自社の取り分)
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(市場の実質 0.3%+シェア 0.2%+価格 3.5%=4.0%)・事業の ROE 39.0%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナス)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 23.8%、10 年目より先の正当化 PER 18.5 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 19.2 倍。回復が鈍く競争が強まる側なので上限の 80% に置き 15.4 倍。
確率:コーヒーは参入障壁が低く、ダッチ・ブラザーズ(ドライブスルー中心)やラッキンコーヒーの米国進出が高い質で追う。会員の囲い込みで守れるかは未確定。22%。
悲観 10% 悲観:構造的に負け、優良なチェーンではなくなる 利益 21 億ドル · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 25.97 ドル296 億ドル
客数が落ち続け、北米の 1 店あたり売上は 1.25 倍(実質 −3%)、店舗は 17,000 店まで減る。人件費は上がり、値引き競争で北米の営業利益率は 14%、国際は 15%。中国の合弁はラッキンコーヒーに敗れて 7,500 店で止まり、ロイヤルティも下がる。チャネル開発は提携の見直しで売上 21 億ドル。連結の営業利益率は 9.9%(2025 年 9 月期の 9.3% 並み)、純利益は 21 億ドル。借入は借り換えで利払いが年 12 億ドルに増え、配当は据え置きか削減。店舗網とブランドの稼ぐ力は残るので、配当の維持と借り換えはできるが、成長の物語は消える。
- 北米(直営 11,018 店・ライセンス 7,293 店):数量 17,000(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたり売上(億ドル))→ 売上 318 億ドル・営業利益 45 億ドル。北米の店舗数と 1 店あたり売上
- 国際(中国以外):数量 15,000(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 63 億ドル・営業利益 9 億ドル。中国以外の国際の店舗数と 1 店あたり自社売上
- 中国(2026 年 3 月から合弁・持ち分 40%):数量 7,500(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたり自社売上(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 2 億ドル。中国合弁の店舗数と 1 店あたり自社売上(ロイヤルティ等)
- チャネル開発(ネスレとの提携・ペプシコの缶飲料):数量 90.0(小売ベースの売上(億ドル、推定))× 価格 0.24(自社の取り分(比率))→ 売上 21 億ドル・営業利益 10 億ドル。チャネル開発(小売ベース売上と自社の取り分)
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 3.5%(市場の実質 0%+シェア −0.5%+価格 3.5%=3.0% 台前半)・事業の ROE 33.9%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナス)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 21.2%、10 年目より先の正当化 PER 16.7 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 17.3 倍。構造的に負けた側なので上限の 80% に置き 13.8 倍。
確率:スターバックスは 2025 年 9 月期に営業利益率が 9.3% まで落ち、2008 年にも株価が −68% になった。コーヒー店は参入が容易で、GLP-1・宅配・コンビニとの競合、中国での敗北が重なると、立て直しが一時の反動で終わる。10%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
北米(直営 11,018 店・ライセンス 7,293 店)
米国・カナダの店舗。直営は飲み物・フードを売り、ライセンスは商品を卸して自社の取り分を得る。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたり売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18,311 | 0.01 | 274 | 32 |
| 10 年後 中立 | 19,700 | 0.02 | 430 | 71 |
取り方:2025 年 9 月末の北米の店舗数 18,311 店。売上は 10-K の北米の売上 273.7 億ドルを店舗数で割った 1 店あたり約 150 万ドル(直営とライセンスの平均で、ライセンスの店は卸売の売上だけなので直営より小さい)。営業利益は 10-K の 31.6 億ドル(再編・減損 6.5 億ドルを含む。除くと利益率は約 14%)。
国際(中国以外)
日本・韓国・英国・ヨーロッパ・中東・東南アジアなど。ほとんどがライセンスで、一部(英国など)が直営。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたり自社売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14,670 | 0.00 | 51 | 7 |
| 10 年後 中立 | 19,000 | 0.00 | 93 | 16 |
取り方:国際の店舗 22,679 店から中国の直営 8,009 店を引いた約 14,670 店。国際の売上は全社売上 372 億ドルの 21%(約 78 億ドル)で、そこから中国の約 27 億ドルを引いた約 51 億ドルを置いた(推定。10-K の表は未読)。営業利益 約 7 億ドル(約 14%)は推定。
中国(2026 年 3 月から合弁・持ち分 40%)
中国のスターバックスの小売事業。2025 年 9 月期までは直営、2026 年 3 月末にボーユーの合弁(持ち分 40%)に移り、自社はロイヤルティ・原料供給・持ち分利益を得る。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたり自社売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 8,009 | 0.00 | 27 | 3 |
| 10 年後 中立 | 13,000 | 0.00 | 6 | 5 |
取り方:中国の直営 8,009 店(2025 年 9 月末)、売上 約 27 億ドル(国際の売上と 2026 年 4〜6 月の中国の転換での減少 約 34% から逆算、推定)、営業利益 約 3 億ドル(推定)。合弁後の自社の取り分は、店売上 約 34 万ドルの約 12%(ロイヤルティと原料の供給、推定)、すなわち 1 店あたり約 0.000405 億ドルに下がる。筋書きの price は合弁後の取り分で置いてあり、今の連結の値より約 8 分の 1 になる。持ち分利益は調整に入れた。
チャネル開発(ネスレとの提携・ペプシコの缶飲料)
スーパーで売られる豆・カプセル・即席商品(ネスレ)と缶飲料(ペプシコの合弁)。自社は取り分と持ち分利益を得る。
| 数量小売ベースの売上(億ドル、推定) | 価格自社の取り分(比率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.19 | 19 | 11 |
| 10 年後 中立 | 115 | 0.27 | 31 | 16 |
取り方:チャネル開発の売上は全社売上の約 5%(約 19 億ドル)、営業利益は 2025 年 7〜9 月期が 2.65 億ドルから年約 11 億ドルと推定。小売ベースの売上は開示が無く、取り分 19% として 100 億ドルと推定(アライアンスの契約条件は非開示)。
リスクと懸念
反動の剥がれと客数の再失速
2026 年の既存店 +7.9%(客数 +4.2%)には、2025 年の落ち込み(北米 −2%)の反動と、リワードの作り直し・新メニューの目新しさが入る。反動が剥がれる 2027 年に客数が横ばいに戻れば、利益率の改善は止まり、今の時価総額(2026 年 9 月期の見通しの約 37 倍)の根拠が崩れる。
関税の還付など一時の利益
2026 年 4〜6 月の営業利益率の改善には、相互関税の還付が入っている。コーヒー豆の価格(天候・関税)も振れ、豆の価格が高止まりすれば、北米の営業利益率の目標(2028 年に 15% 台)が遠のく。会社の見通し(2026 年 9 月期の営業利益率 11% 超)は、この一時の分を含む。
新興と中国の競争
ダッチ・ブラザーズ(1,225 店、13 四半期連続の増収)は、ドライブスルーと若い客層で、同じ客を取り合う。中国ではラッキンコーヒーが 36,310 店で、スターバックスの中国のシェアは 2019 年 34% → 2024 年 14%。合弁の持ち分 40%(長期に 2 万店)の価値は、ラッキンコーヒーに価格で負けないことが前提。
人件費と接客への再投資
ニコルの立て直しは、店の人員を増やし、混雑するネット注文を整える形で人件費を増やす。最低賃金とチップの上昇で人件費は年 +4〜5% 上がり、物価を超える。北米の営業利益率は、2024 年の 19.8% に戻らず、15〜16% 台で止まる可能性がある。
自己資本のマイナスと配当
自己資本は −81 億ドル、純負債は 231 億ドル(リース含む)。2025 年 9 月期は配当(28 億ドル)が純利益(19 億ドル)を上回った。利益が戻らなければ、借入の借り換え(約 5.75%)で利払いが増え、配当の維持か自社株買いの再開かで資本配分が窮屈になる。
GLP-1 と健康志向
肥満治療薬の普及で 1 人あたりの食事・飲み物の量が 3〜5% 下がれば(推定)、高カロリーの甘い飲み物(フラペチーノなど)の数量に逆風。会社はプロテイン入りの飲み物などで対応しているが、客単価の高い飲み物が減れば北米の利益率を直接押し下げる。
今後の分かれ目
- 2027 年に北米の既存店が客数ベースで 3 四半期続けてマイナスになったら
- 反動が剥がれて立て直しが一時の改善だったとわかり、やや悲観・悲観の確率を上げる。北米の営業利益率は 2028 年に 13% 前後に落ち、10 年の中立の営業利益率も 15% を下げて見る。
- 2028 年に連結の非 GAAP 営業利益率が 15% を超え、北米が 17% 以上に乗ったら
- 楽観・やや楽観の確率を上げてよい。その場合、10 年の中立の営業利益率は 16〜17% に上がり、純利益は 65 億ドルを超える。
- 中国の合弁が 2027〜28 年に既存店でマイナスになり、ラッキンコーヒーに価格で負けたら
- 持ち分 40% の価値が大きく下がり、中国の取り分(ロイヤルティ)の伸びも止まる。10 年の中立の中国の店舗数を 13,000 店から 10,000 店へ下げて見る。
- 自社株買いが再開され、配当が純利益の範囲に収まったら
- 資本配分が正常化したサインで、還元(10 年の正味 380 億ドル)を厚く置いてよい。ただし借入で買うなら、利払いの負担が増えるので倍率は上げない。
- 景気後退が始まり、米国の失業率が 7% を超えたら
- 客数は −8% 前後、営業利益は 1 年で半減(2008 年は株価 −68%、2020 年は 3 か月で −25%)。ただし配当は据え置きで利益を上回る。
見ておくもの
- 北米の既存店(客数と客単価の内訳)と、7〜9 月期(2026 年 10 月下旬発表)の米国の既存店 +6.5% 以上の見通しの達成
- 北米・国際・連結の営業利益率(非 GAAP と GAAP の差、関税の還付などの一時の分)
- ダッチ・ブラザーズの店舗数と既存店、ラッキンコーヒーの米国の動き
- 中国の合弁の店舗数・既存店・ロイヤルティ料率の開示、持ち分利益
- 人件費の売上比と店舗の人員の水準(Green Apron の体制)
- 配当と純利益の比率、自社株買いの再開、純負債の水準
- コーヒー豆の価格(アラビカ)と関税の動き
倍率と資本コストの決め方
今の PER 59.8 倍(利益が落ちた 2025 年 9 月期の値)や 2026 年 9 月期の見通しの倍率を見る前に、北米・国際・中国合弁・チャネル開発に分け、店舗数 × 1 店あたり売上(中国は合弁後の自社の取り分)で売上を積み上げ、営業利益率で利益を置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k)。自己資本がマイナスなので ROE は ROIC から直した値)に g 4%(上限)・k 8.5%(基本 8.0% + quality 0.5%)を入れ、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) とした値の 80%(中立 約 16 倍)に置いた。式の外の割り引き・上乗せ、過去の PER、今の倍率への寄せはしていない。結果は今の値段が中立の筋書きより高く、10 年の年率は 2% 前後で割高になった。構造的な悲観は同じ式の 80%(約 14 倍)で、借り換えの利払いは純利益に入れた。リースは家賃として費用に入った今の形のまま置いた。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.5%。コーヒーは嗜好品で、客数と客層(K 字)で利益が振れる(cycle +0.25%)。リースを含む純負債が EBITDA の 3 倍近く、配当が純利益を上回る年もある(debt +0.25%)。値決めと寿命は普通。存続は危うくなく上乗せなし。個別のリスク(客数の再失速・中国)は k に足さず、筋書きと確率で表した。