結論
ヤム・ブランズは、世界 157 の国と地域に約 6.4 万店を持ち、97% が独立の加盟店という外食のフランチャイズ本社である。2026 年 6〜9 月にピザハット(2.0 万店)を 27 億ドルで売却して成立済みで、残る事業は KFC(約 3.5 万店)・タコベル(約 0.9 万店)・ハビット(小型のハンバーガー、約 370 店・推定)。2025 年(12 月期)はピザハットを除く残る会社で売上 72 億ドル、営業利益 約 23 億ドル(本社費を含めた推定)、純利益 約 14 億ドル。2026 年 4〜6 月期はピザハット除きで店舗 +6%、既存店 +4%、営業利益 +8%(KFC +9〜13%、タコベル +19%)と、成長が続いている。
本社が稼ぐのは加盟店のロイヤルティ(売上の約 4〜6%)で、仕入れと人件費を負わず、設備投資も小さいため、営業利益率は KFC 42%、タコベル 36% と高い。タコベルは米国の外食全体の来店が弱い中で既存店 +7% を 2 年続け、KFC は海外の新興国で年 約 3,000 店を開く。一方で純負債は約 100 億ドル(売却後)あり、EBITDA の 4 倍前後を保つ方針のため、借り換えで利息が増え、利益は金利に左右される。
バリュー投資の観点では、事業はわかりやすく、10 年後も存在し、規模の堀は広がる。10 年後の中立は売上 135 億ドル、営業利益 46 億ドル、純利益 26.5 億ドル、時価総額は約 430 億ドル。今の約 423 億ドルとほぼ同じで、配当と自社株買いを足しても年率 +5% 前後と、資本コスト 8.5% に届かない。k−g は 5% で、倍率が k に敏感な点には注意が要る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後を問う。KFC とタコベルは、世界で習慣として食べられるブランドで、10 年後も存在し、規模の堀はむしろ広がる。事業は単純で、予測しやすい。
次にオーナー利益。2025 年のピザハット除きの純利益 約 14 億ドルに償却を足し、設備投資(3.7 億ドル)を引いた FCF は 約 14 億ドル、株式報酬(0.7 億ドル)を引いても約 13 億ドルで、今の時価総額 約 423 億ドルに対する利回りは約 3.1%。10 年国債 5% を下回るが、物価(3.5%)に連動するロイヤルティを持ち、店舗が年 5% 増えるため、成長(名目 7% 前後)を足した単純な見込みは約 10% だが、倍率が縮む前提では中立の年率は +5% 台で、資本コスト 8.5% に届かない。
資本配分は、自己資本をマイナスにするほど自社株買いを積み、売却の手取りも自社株買いに回す。これは割高な局面で買えば価値を壊すが、今の PER 約 30 倍は利益ベースの倍率の上限(10 年目で約 19 倍)を上回り、買い戻す水準としては高い。ただし借金を EBITDA の 4 倍に保つ方針は、景気が悪化した時に自社株買いを止められるかが問われる。
安全域は、中立の筋書きでも資本コスト 8.5% に届かず、厚くない。悲観の筋書き(外食の来店の落ち込みと KFC の海外の失速)も確率で厚く見ている。わかる事業で、堀は広い。値段は妥当よりやや高く出るので、大きく買うには安全域が足りない。
何で稼ぐ会社か
ヤム・ブランズの収益は 3 つのブランドから成る。第 1 は KFC(フライドチキン、2025 年末 33,897 店、2026 年 6 月末 34,747 店、システム売上 364 億ドル、本社の売上 35.4 億ドル・営業利益 15.0 億ドル)。海外が中心で、アフリカ・インド・中東・東南アジアなどに年 約 3,000 店を開く。米国の店は 約 4,000 店(推定)で、売上の伸びは鈍い。中国本土の KFC はヤム・チャイナ(別会社)が運営し、本社はロイヤルティだけを受け取る(2026 年上期 1.9 億ドル)。第 2 はタコベル(メキシカン風のファストフード、9,030 店、システム売上 184 億ドル、本社の売上 31.0 億ドル・営業利益 11.3 億ドル)。米国が約 7,500 店(推定)で、既存店は 2025 年 +7%、2026 年 4〜6 月 +7%。第 3 はハビット・バーガー・アンド・グリル(直営中心の小型チェーン、売上 5.7 億ドル、営業赤字)。
本社の収益構造は、加盟店の売上に連動するロイヤルティ(約 4〜6%)、一部の不動産の収入(小さい)、そして一部の直営店の売上(2025 年は KFC のドイツ・トルコ、タコベルの米国の店の買い取りで直営売上が膨らんだ)。営業利益率が約 32% と、外食でも高い水準になるのは、人件費・食材費を加盟店が負う仕組みだから。投資も、直営店と技術(デジタル・配達・Byte by Yum! というヤム自前の注文システム)に限られる。
2025 年の設備投資は 3.7 億ドル、営業 CF 20.1 億ドル、FCF 16.4 億ドル。ピザハット(2025 年の営業利益 3.4 億ドル・店舗 2.0 万・システム売上 128 億ドルで、既存店が 7 四半期連続で減っていた)の売却で、成長の足を引いていた事業が外れる。分離で残る固定費(本社費の一部)は 約 0.5 億ドルと置いた。セグメントの売上・営業利益・店舗数は how に推定の方法を書いた。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第 1 はブランドの規模で、KFC は世界で最も広く出店したチキンのチェーン(100 か国超)、タコベルは米国のメキシカン風ファストフードでほぼ独走する。第 2 は加盟店網と開発力で、世界の加盟店が年 4,500 店規模の出店を担い、本社は資本をほとんど使わない。第 3 は規模の経済で、調達・広告・デジタルの費用を 6.4 万店で分け合う。第 4 はタコベルの商品開発とデジタルで、新商品とバリューの組み合わせが来店を伸ばしている(既存店 +7% を 2 年続けた)。
資本効率は非常に高い。営業利益率は 2014 年の 15% から 2025 年に 31% へ上がり、2008 年前後の底(約 12%)の倍以上。自己資本は −73 億ドル(自社株買いの累積)で ROE は意味がなく、税引き後営業利益 約 17 億ドル ÷(自己資本 + 純負債)で見ると投下資本利益率は 約 38% と、MCD(約 19%)より高い。経営は最高経営責任者クリス・ターナーが率い、2025 年に本社を統合して資源を再配分した。
弱みは 4 つ。(1)利益がタコベルと KFC の 2 ブランドに集中し、タコベルは増益の約半分を稼ぐ。(2)KFC の海外は新興国の通貨・需要・地政学(中東・トルコなど)の揺れに弱い。(3)純負債は 約 100 億ドルで、EBITDA の約 4 倍を保つ方針のため、売却の手取りを自社株買いに回すと再び借金が増える。(4)米国の外食の来店が弱い局面で、KFC の米国は回復の途中。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の外食・フードサービスの売上は 2026 年に約 1.5 兆ドル(前年比 +4.3%、実質 +0.8%)で、成長の大半は価格。客数は不均一で、運営者の半分超が 2025 年に客数が減ったと答えている。景気の二極化(K 字)で、低所得層は外食の回数を減らし、マクドナルドの来店は 2026 年 4〜6 月に −4.5%、ウェンディーズの既存店は −7%、ウィングストップは −7.5% と落ちる一方、タコベルは既存店 +7% とバリューで客を取った。世界のファストフードは、チキン(KFC・ポパイズ・チックフィレイ・ジョリビー)、メキシカン風(タコベル・チポトレ)、ピザ(ドミノ・ピザ・ピザハット)で競うが、KFC の最大の市場は海外で、現地のチェーンと競っている。
循環のどこにいるか:米国の外食は 2 年ほど客数が弱い局面で、景気の底ではない。外食の大手は不況に比較的強く、2008〜09 年にヤムの株価は −34%(ピークから谷)、2020 年に −35%、2022 年の利上げで −22% だった。業界ノートの置き方(米国の外食 年 +4.5%、客単価 +3.5%、客数 +0.5〜1%、フランチャイズは店舗 年 +3〜5%・システム売上 年 +6〜8%・営業利益率 40% 前後で横ばい)を使う。ヤムは店舗の伸びが年 5% と業界ノートの上端で、これは海外の新興国の出店に支えられ、業界ノートより成長の源が国際に偏る点が違い。
加盟店の収益が最大の変数:人件費は年 +4〜5%、食材費 +3% で、物価を上回る分は値上げか効率化で吸収する。デジタル配達の手数料(ドアダッシュなど)、GLP-1(肥満治療薬)の普及による食事量の減少(−3〜5%、推定)、最低賃金の引き上げが共通の逆風。ピザハットの売却で、同業のドミノ・ピザとの比較では、ヤムは成長と利益率で上位の位置に入る。
資本政策と M&A
還元は配当と自社株買い。2025 年は配当 7.9 億ドル、自社株買い 5.5 億ドルで、純利益(15.6 億ドル)の約 85%。2026 年上期は配当 4.1 億ドル、自社株買い 6.7 億ドル。ピザハットの手取り 約 23 億ドルは、先に回転融資の返済に使い、残りの大半は自社株買い(新しい枠は 40 億ドル、2028 年 6 月まで)に回す。会社は純レバレッジを EBITDA の約 4.0 倍に保つ方針で、事業が成長するほど借金を足す。借金は借り換えのたびに新しい金利(5.75% 前後)になり、利払いは 10 年で約 2 億ドル増える(推定)。
M&A:2025 年に KFC のドイツとトルコの加盟店、タコベルの米国の店を買い取った(直営売上が増えた)。ピザハットは 2026 年 6 月に契約、8〜9 月に成立(中国本土は Yum China に約 12 億ドル、その他は LongRange Capital に約 15 億ドル、成功報酬が 2030 年までに最大 0.75 億ドル)。分離の一時費用は 約 0.85 億ドル。ハビットは営業赤字で、売却か縮小の余地がある。大型の買収で価値を壊す心配は小さく、論点は、売却の手取りを割高な局面で買い戻さないか、直営店の買い取りが資本効率を下げないか。独占禁止法の面で他の外食チェーンを買う余地は小さく、買われる可能性もほぼない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ピザハットを売って、成長の遅い事業が外れた。残る KFC とタコベルは、2026 年 4〜6 月期で既存店 +4%、店舗 +6%、営業利益 +8%(タコベル +19%)。会社の長期目標(店舗 +5%、システム売上 +7%、コア営業利益 +8% 以上)が、ピザハットを引いた後の数字で見ると、すでに上回っている。
タコベルは外食全体の来店が弱い中で既存店 +7% を 2 年続け、マクドナルドの来店 −4.5% と対照的。デジタルが 2026 年の 1 店あたり売上の伸びの約 4 分の 1 を担い、商品の新しさと価格の分かりやすさで、低所得層だけでなく幅広い層を取っている。KFC は、新興国で年 約 3,000 店を開き、2025 年の店舗の伸びは 7%。アフリカ・インド・東南アジアは外食の入り口で、1 店あたりの売上は小さくても本社の資本はほとんど要らず、ロイヤルティだけが積み上がる。
資本は軽い。設備投資は営業 CF の約 2 割で、FCF は純利益の約 1 倍に近い。借金は、売却の手取りで一度減るが、EBITDA の 4 倍の方針で再び増え、その分が自社株買いに回る。10 年で純利益は今の 1.9〜2.3 倍(年 +6.5〜8.8%)、倍率が利益ベースの上限近く(18 倍前後、g 3.5〜4.0%・k 8.5%)なら、配当を足して年率 +8% 台に届く。
慎重な見方
利益が 2 つのブランドに集中している。タコベルの既存店 +7% は、2 年続いた分だけ高い土台に乗り、競合のバリュー攻勢(マクドナルドの 3 ドル未満メニューの再投入、チポトレ、ウェンディーズ)が続く。米国の外食の客数が弱く、低所得層の外食離れは 2 年続いている。タコベルの米国は 7,500 店で、増える余地が限られ、1 店あたりの売上の伸びが物価並みに戻れば、店舗の純増 年 +3% を足しても売上は年 +6〜7% に鈍る。
KFC の海外は、新興国の通貨安・政情・現地チェーンとの競争に弱く、中東・トルコなどでは需要の弱さが報じられている(推定)。米国の KFC は、チックフィレイ・ポパイズに客を取られ続けている。直営店の買い取り(ドイツ・トルコ・タコベルの米国)は、資本効率を下げる。ハビットは営業赤字が続く。
純負債は約 100 億ドルで、EBITDA の 4 倍を保つ方針のため、売却の手取りを自社株買いに使うほど、景気の悪化で利息が重くなる。借り換えで利払いが増え、k−g は 5% で、k が 0.5 ポイント上がるだけで上限は約 19 倍から 17 倍へ下がる。倍率は k に敏感で、割引を甘く見ていれば本質価値は狂う。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気の見方が強い(ピザハット除きの数字は目標を上回る、タコベルの勢い、KFC の店舗の伸び)。一方、倍率の前提(k−g の薄さ)と利益の集中、借金の方針は慎重な見方が強い。確率は MCD と同じ物差しで、中立 40%・楽観 8%・やや楽観 22%・やや悲観 20%・悲観 10% とした。10 年の中立は PER 約 16 倍(g 3.5%・k 8.5%・利益ベースの倍率の上限の 85%。外食の弱さと集中の懸念は g と利益率に入れ、式の外では引かない)で、年率 +5% 前後、資本コスト 8.5% に届かない。結論は「優良な事業だが、今の値段はやや割高。倍率が k に敏感で、利益が 2 ブランドに偏る点にも注意」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 147.54 ドル415 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 92.53 ドル260 億ドル)。 今の値に割り戻すと 126.79 ドル356 億ドル、今との差 −16.2%、 期待の年率 +4.7%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 212.14 ドル596 億ドル | 124.91 ドル351 億ドル | +122.9% | +8.3% | 26.96 ドル76 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 181.71 ドル511 億ドル | 110.68 ドル311 億ドル | +93.3% | +6.8% | 64.32 ドル181 億ドル |
| 中立 | 40% | 153.24 ドル431 億ドル | 98.22 ドル276 億ドル | +66.3% | +5.2% | 100.58 ドル283 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 112.10 ドル315 億ドル | 73.67 ドル207 億ドル | +22.8% | +2.1% | 37.15 ドル104 億ドル |
| 悲観 | 10% | 68.79 ドル193 億ドル | 41.64 ドル117 億ドル | −27.0% | −3.1% | 11.04 ドル31 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 147.54 ドル415 億ドル | 92.53 ドル260 億ドル | +58.7% | +4.7% | 240.07 ドル675 億ドル |
今の株価時価総額 151.24 ドル425 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:KFC が新興国で 5.5 万店に届き、タコベルが 1.3 万店・価格で競合を上回る 利益 33 億ドル · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 212.14 ドル596 億ドル
タコベルの既存店は年 +4% 台が続き、デジタルと新商品が競合(マクドナルド・チポトレ)より伸び、1 店あたり売上は物価を上回る(価格 1.50 倍はシェア増の分)。KFC は 2030 年まで年 +5%、その後 3.5% で出店。店舗は KFC 55,500 店(2025 年末 33,897 店)、タコベル 12,700 店(同 9,030 店)、ハビット 650 店。1 店あたりの収益は、KFC が 10 年で 1.36 倍(物価の 1.41 倍より低いのは、1 店の売上が小さい新興国の出店の割合が高まるため)、タコベルが 1.5 倍。売上 158 億ドル、営業利益 57.2 億ドル(営業利益率 36.1%)、純利益 33.1 億ドル。純負債は EBITDA の 4.0 倍の 244 億ドル、利払い 13.6 億ドル。還元は 10 年で 351 億ドル。
- KFC(フライドチキン・世界で約 3.4 万店):数量 55,500(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 79 億ドル・営業利益 35 億ドル。KFC の店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- タコベル(メキシカン風ファストフード・約 0.9 万店):数量 12,700(店舗数(店))× 価格 0.01(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 65 億ドル・営業利益 25 億ドル。タコベルの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- ハビット(小型のハンバーガー・約 370 店):数量 650(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 14 億ドル・営業利益 1 億ドル。ハビットの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 4.0%(価格 3.5%+店舗数 0.5%+数量 0.5% を上限の 4% に)・事業の ROE 87.7%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナスで、加盟店の資本で回る)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 48.1%、10 年目より先の正当化 PER 20.4 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 21.2 倍。堀が広がり成長が続く側なので上限の 85% に置き 18.0 倍。
確率:KFC の新興国の出店とタコベルの勢いの両方が 10 年続く確率は低く 8%。
やや楽観 22% やや楽観:KFC 5.3 万店・タコベル 1.2 万店で、目標どおりに伸びる 利益 30 億ドル · PER 17.3 倍 · 株価時価総額 181.71 ドル511 億ドル
タコベルは物価を少し上回る伸びで、KFC は新興国で出店が続く。ハビットは黒字化して小さく伸びる。店舗は KFC 52,800 店(2025 年末 33,897 店)、タコベル 12,200 店(同 9,030 店)、ハビット 520 店。1 店あたりの収益は、KFC が 10 年で 1.33 倍(物価の 1.41 倍より低いのは、1 店の売上が小さい新興国の出店の割合が高まるため)、タコベルが 1.46 倍。売上 146 億ドル、営業利益 51.2 億ドル(営業利益率 35.2%)、純利益 29.6 億ドル。純負債は EBITDA の 4.0 倍の 220 億ドル、利払い 12.3 億ドル。還元は 10 年で 311 億ドル。
- KFC(フライドチキン・世界で約 3.4 万店):数量 52,800(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 73 億ドル・営業利益 32 億ドル。KFC の店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- タコベル(メキシカン風ファストフード・約 0.9 万店):数量 12,200(店舗数(店))× 価格 0.01(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 61 億ドル・営業利益 23 億ドル。タコベルの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- ハビット(小型のハンバーガー・約 370 店):数量 520(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。ハビットの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 3.8%(価格 3.5%+店舗数と数量で 0.3%)・事業の ROE 85.5%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナスで、加盟店の資本で回る)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 47.0%、10 年目より先の正当化 PER 19.6 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 20.3 倍。堀が保たれ成長が続く側なので上限の 85% に置き 17.2 倍。
確率:世界最大のチキンと米国のメキシカン風ファストフードの堀が広がる側と見て 22%。
中立 40% 中立:店舗は KFC 5.1 万・タコベル 1.2 万、売上は名目 +6〜7%、倍率は式の値に平常化 利益 27 億ドル · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 153.24 ドル431 億ドル
タコベルの 1 店あたり売上は物価を少し上回る(価格 1.43 倍)、店舗の純増は年 +2.5% に落ちる。KFC は 2030 年まで年 +5%、その後 3.5%(新興国の出店の余地は残るが米国は成熟)。営業利益率は KFC 42.5%、タコベル 36.5% で横ばい(業界ノートのフランチャイズの 40% 前後と整合)。ハビットは損益が小さく黒字。店舗は KFC 50,500 店(2025 年末 33,897 店)、タコベル 11,700 店(同 9,030 店)、ハビット 430 店。1 店あたりの収益は、KFC が 10 年で 1.3 倍(物価の 1.41 倍より低いのは、1 店の売上が小さい新興国の出店の割合が高まるため)、タコベルが 1.43 倍。売上 135 億ドル、営業利益 46.0 億ドル(営業利益率 34.1%)、純利益 26.5 億ドル。純負債は EBITDA の 4.0 倍の 199 億ドル、利払い 11.1 億ドル。還元は 10 年で 276 億ドル。
- KFC(フライドチキン・世界で約 3.4 万店):数量 50,500(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 69 億ドル・営業利益 29 億ドル。KFC の店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- タコベル(メキシカン風ファストフード・約 0.9 万店):数量 11,700(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 57 億ドル・営業利益 21 億ドル。タコベルの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- ハビット(小型のハンバーガー・約 370 店):数量 430(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。ハビットの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 3.5%(価格 3.5%+数量 0%)・事業の ROE 82.8%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナスで、加盟店の資本で回る)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 45.6%、10 年目より先の正当化 PER 18.5 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 19.1 倍。フランチャイズの質が高く需要も安定なので上限の 85% に置き 16.2 倍。
確率:業界ノートの中立(フランチャイズは店舗 年 +3〜5%、営業利益率は 40% 前後で横ばい)を、KFC の海外の出店で上端に、タコベルの価格を物価並みに置いた筋書き。
やや悲観 20% やや悲観:KFC の海外が鈍りタコベルが競争で価格を上げられず、利益率が 1〜2 ポイント低下 利益 21 億ドル · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 112.10 ドル315 億ドル
KFC の海外は通貨と需要の揺れで出店が鈍り、1 店あたり売上は物価を下回る。タコベルは価格競争で営業利益率が 34% に下がる。ハビットは閉店でほぼ損益ゼロ。店舗は KFC 47,300 店(2025 年末 33,897 店)、タコベル 10,800 店(同 9,030 店)、ハビット 330 店。1 店あたりの収益は、KFC が 10 年で 1.23 倍(物価の 1.41 倍より低いのは、1 店の売上が小さい新興国の出店の割合が高まるため)、タコベルが 1.35 倍。売上 117 億ドル、営業利益 36.8 億ドル(営業利益率 31.4%)、純利益 21.3 億ドル。純負債は EBITDA の 3.8 倍の 154 億ドル、利払い 8.8 億ドル。還元は 10 年で 207 億ドル。
- KFC(フライドチキン・世界で約 3.4 万店):数量 47,300(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 61 億ドル・営業利益 25 億ドル。KFC の店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- タコベル(メキシカン風ファストフード・約 0.9 万店):数量 10,800(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 50 億ドル・営業利益 17 億ドル。タコベルの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- ハビット(小型のハンバーガー・約 370 店):数量 330(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 0 億ドル。ハビットの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 3.0%(価格 3.5%+数量 −0.5%)・事業の ROE 75.8%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナスで、加盟店の資本で回る)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 42.2%、10 年目より先の正当化 PER 16.9 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 17.4 倍。KFC の海外が失速する側なので上限の 85% に置き 14.8 倍。
確率:利益が 2 ブランドに偏り、KFC の海外の需要・通貨と、タコベルのバリュー競争は現実の脅威で 20%。
悲観 10% 悲観:構造的に負ける(KFC の海外が失速、タコベルが価格競争で堀を失い、借金が重くなる) 利益 14 億ドル · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 68.79 ドル193 億ドル
KFC は新興国の需要と通貨で失速し、閉店が増える。タコベルはバリュー競争(マクドナルド・チポトレ・チックフィレイ・配達アプリ)で堀を失い、営業利益率が 30% に下がる。ハビットは売却か縮小。借金は EBITDA の 3.5 倍に下げて守る。店舗は KFC 42,500 店(2025 年末 33,897 店)、タコベル 9,400 店(同 9,030 店)、ハビット 200 店。1 店あたりの収益は、KFC が 10 年で 1.12 倍(物価の 1.41 倍より低いのは、1 店の売上が小さい新興国の出店の割合が高まるため)、タコベルが 1.22 倍。売上 92 億ドル、営業利益 24.8 億ドル(営業利益率 26.8%)、純利益 14.3 億ドル。純負債は EBITDA の 3.5 倍の 100 億ドル、利払い 6.1 億ドル。還元は 10 年で 117 億ドル。
- KFC(フライドチキン・世界で約 3.4 万店):数量 42,500(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 50 億ドル・営業利益 18 億ドル。KFC の店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- タコベル(メキシカン風ファストフード・約 0.9 万店):数量 9,400(店舗数(店))× 価格 0.00(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 39 億ドル・営業利益 12 億ドル。タコベルの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
- ハビット(小型のハンバーガー・約 370 店):数量 200(店舗数(店))× 価格 0.02(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。ハビットの店舗数と 1 店あたりの本社の収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.50%・g 2.5%(価格 3.5%+数量 −1.0%)・事業の ROE 64.4%(ROIC から直した値。帳簿の自己資本はマイナスで、加盟店の資本で回る)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 36.5%、10 年目より先の正当化 PER 15.5 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 15.9 倍。構造的に負けた側なので上限の 85% に置き 13.5 倍。
確率:10 年の構造変化で優良さを失う確率として 10%。ブランド・加盟店網が厚く、全部が同時に崩れる確率は低い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
KFC(フライドチキン・世界で約 3.4 万店)
海外が中心。加盟店からのロイヤルティと、一部の直営店の売上。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたりの本社の収益(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 33,897 | 0.00 | 35 | 15 |
| 10 年後 中立 | 50,500 | 0.00 | 69 | 29 |
取り方:2025 年末 33,897 店に、本社の売上 35.42 億ドル(加盟店 18.07・直営 10.57 ほか)を割って 1 店あたり約 104 万ドル。営業利益 15.03 億ドル(営業利益率 42%)は決算の開示(本社費の配分前)。
タコベル(メキシカン風ファストフード・約 0.9 万店)
米国が中心。ロイヤルティと、直営店の売上。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたりの本社の収益(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9,030 | 0.00 | 31 | 11 |
| 10 年後 中立 | 11,700 | 0.00 | 57 | 21 |
取り方:2025 年末 9,030 店に、本社の売上 30.95 億ドル(加盟店 10.60・直営 12.81 ほか)を割って 1 店あたり約 343 万ドル。営業利益 11.29 億ドル(営業利益率 36%)は決算の開示。
ハビット(小型のハンバーガー・約 370 店)
直営中心。営業赤字で、売却か縮小の余地がある。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたりの本社の収益(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 370 | 0.02 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 430 | 0.02 | 9 | 1 |
取り方:店舗数は開示が薄く 約 370 店と推定。本社の売上 5.70 億ドルを割って 1 店あたり約 154 万ドル。営業利益は −0.13 億ドル(開示)。
リスクと懸念
利益が 2 ブランドに集中
タコベルと KFC で営業利益のほぼ全部を稼ぐ。タコベルは増益の約半分を担い、米国の既存店 +7% が 2 年続いた分だけ土台が高い。競合のバリュー攻勢やデジタルの手数料で鈍れば、全社の伸びが目標を下回る。
KFC の海外の揺れ
KFC の出店は新興国(アフリカ・インド・中東・東南アジア)が中心で、通貨安・政情・現地チェーンとの競争に弱い。中東・トルコなどで需要の弱さが報じられており(推定)、1 店あたり売上が物価を下回る可能性がある。
純負債と金利
純負債は売却後で約 100 億ドル。会社は EBITDA の約 4.0 倍を保つ方針で、売却の手取りを自社株買いに回すと再び借金が増える。借り換えで 5.75% 前後に切り替わり、利払いは 10 年で約 2 億ドル増える。
倍率の縮み
k 8.5%・g 3.5% では k − g が 5.0% で、k が 0.5 ポイント上がるだけで上限は約 19 倍から 17 倍へ動く。金利が下がらなければ、高い倍率は続かない。
外食の来店の弱さと二極化
米国の外食は約 2 年客数が弱く、低所得層が外食の回数を減らしている。マクドナルドの来店 −4.5% のように、バリュー競争で客を取り合う局面が長引けば、KFC の米国の回復も遅れる。タコベルも低所得層の来店の弱さと無縁ではない。
直営店の買い取りと資本効率
2025 年に KFC のドイツ・トルコ、タコベルの米国の店を買い取り、直営売上が増えた。不況時には直営店の固定費で営業利益が加盟店モデルより大きく落ち、資本効率も下がる。買い取りが重なるほど、設備投資と運転資金が増え、フランチャイズの軽さという強みが薄れる。
GLP-1・最低賃金・配達アプリ
肥満治療薬の普及で 1 人あたりの食事量が 3〜5% 減れば(推定)、高カロリーのファストフードに逆風。最低賃金の引き上げで人件費が年 +4〜6% 上がり、配達アプリの手数料も加盟店の収益を圧迫する。
今後の分かれ目
- タコベルの米国の既存店が 2 四半期続けて +3% を下回ったら
- 2 年続いた勢いが終わった証拠で、タコベルの価格を物価並みから下げ、営業利益率を 1 ポイント下げて見る。やや悲観の確率を上げる。
- KFC の店舗の純増が年 +4% を割ったら
- 新興国の出店の勢いが鈍っており、やや悲観の確率を上げる。海外の 1 店あたり売上の伸びも下げて見る。
- 売却の手取りを使った自社株買いで、純レバレッジが EBITDA の 4.5 倍を超えたら
- 景気の悪化で利息が重くなるリスクが高まり、悲観の確率を厚くする。還元の見積もりも下げる。
- ハビットを売却または閉鎖したら
- 赤字が消え、営業利益は約 1 億ドル改善する。小さいが資本の再配分の姿勢を示す好材料。
- 景気後退が始まり、米国の失業率が 7% を超えたら
- 客数は −5% 前後、直営店の固定費で営業利益は −25〜30% 程度。ならした利益に、景気後退でも続くロイヤルティの稼ぎを見て倍率を縮めた値が目安になる。
- タコベルのデジタル・新商品の勢いで、マクドナルドの 3 ドル未満メニューとの競争で来店が増え続けたら
- シェアが取れている証拠で、タコベルの価格を物価より高く置く楽観の確率を上げてよい。
見ておくもの
- タコベルの米国の既存店売上(客数と客単価の内訳)
- KFC の純増店舗数と海外の 1 店あたり売上
- システム売上の伸び(目標 年 +7%)とコア営業利益の伸び(目標 年 +8% 以上)
- 純レバレッジ(EBITDA 比)と借り換えの金利
- 自社株買いの金額と、売却の手取りの使い方
- ハビットの黒字化・売却
- 米国の外食の来店客数(Placer.ai・Circana)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 約 30 倍を見る前に、KFC・タコベル・ハビットの 3 つに分け、店舗数 × 1 店あたりの本社の収益で売上を積み上げ、営業利益率で利益を置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(事業の ROE − k))に g(価格 3.5% + 数量の増減)・事業の ROE(ROIC から直した値)・k 8.5%(基本 8.0% + quality 0.5%)を入れ、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) とした上限の 85%(中立 約 16 倍)に置いた。式の外の割り引き、過去の PER、今の倍率への寄せはしていない。g は ROE から出さず、市場・価格・シェアの内訳で置いた。結果は中立の 10 年の年率が +5% 前後で資本コストに届かず、やや割高になった。利益の集中・KFC の海外・借金は悲観・やや悲観の確率(合計 30%)で厚く見ている。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.5%。外食のフランチャイズで景気の振れは小さい(cycle −0.25%)一方、借金が EBITDA の 4 倍台で借り換えの利払いが増える(debt +0.75%)。値決めと寿命は普通。存続は危うくなく上乗せなし。個別のリスク(利益の集中・KFC の海外・借金の方針)は k に足さず、筋書きと確率で表した。
同じ業種(一般消費財・サービス)の AI 分析
読んだ資料
- Yum! Brands 2026 年第 2 四半期 決算(8-K 添付 99.1)
- Yum! Brands 第 2 四半期 10-Q(2026 年 6 月 30 日)
- Yum! Brands 2025 年通期決算(8-K 添付 99.1、2026-02-04)
- Yum! Brands がピザハットを 27 億ドルで売却(QSR Magazine)
- Yum! Brands が LongRange Capital へのピザハット売却を完了(QSR Magazine)
- Yum! Brands 8-K(ピザハット売却の完了)
- Yum! Brands 時価総額(Equibles、2026-08-20)
- 全米レストラン協会の 2026 年見通し(Restaurant Dive)
- Placer.ai(マクドナルドとチポトレの来店、2026 年 4〜6 月)