結論
チポトレは、北米を中心に約 4,200 店(2026 年 6 月末で直営 4,186 店・パートナー運営 15 店)を直営する、ファストカジュアルの最大手。売上の約 98% が米国とカナダの直営店で、2025 年(12 月期)は売上 119 億ドル、営業利益 20 億ドル(営業利益率 16.9%)、純利益 15.4 億ドル。有利子負債はなく、現金と短期の投資が約 10 億ドルある。
2025 年は既存店が −1.7%(4Q は客数 −3.2%)と客数が崩れ、レストラン段階の営業利益率も 26.7% → 25.4% に下がった。2026 年 4〜6 月期は既存店 +2.2%(客数 +1.0%)と戻したが、牛肉・人件費・賃料の上昇でレストラン段階の営業利益率は 25.2%(前年 27.4%)、営業利益率は 15.7%(前年 18.2%)と、上期の純利益は前年比 −14%(7.1 億ドル)。株価は 52 週の安値圏で、10 月にはスターバックスの買収検討の報道と否定があった。
バリュー投資の観点では、毎日の食事に使われる単純なメニューと、店舗あたりの売上が 300 万ドル前後・新店の投資回収が早いという出店の経済性が事業の核で、10 年後も存在し、北米 7,000 店の目標まで店を倍近くに増やせる。事業ごとに店舗数 × 1 店あたり売上で積み上げると、10 年後の中立は純利益 約 37 億ドル(今の 2.4 倍)で、時価総額は約 630 億ドル。今の 382 億ドルの 1.7 倍で、還元を足した年率は +7.5% と、資本コスト 8% をわずかに下回る。客数の回復はまだ確認できておらず、悲観側の確率を厚めに置くと、結論は適正(差 −3%)。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後を問う。チポトレは、人が毎日のように食べる、ブリトーとボウルという単純な商品を、一定の質と速さで出す事業で、わからなさは小さい。10 年後も存在し、北米 7,000 店の目標に向けて店舗網は今の 1.7 倍まで増えうる。堀は、食材の質のブランド・店あたりの売上の高さ・新店の投資回収の早さで、広がる余地はあるが、客数の弱さが続くなら狭まる側にも振れる。
次にオーナー利益。2025 年の純利益 15.4 億ドルから、伸びに要る投資(新店の資金)を引くと、手元に残る分は純利益の約 6〜7 割。時価総額 382 億ドルに対する純利益の利回りは約 4.0%(PER 24.8 倍)で、10 年国債 5% を下回るが、利益は物価と出店で名目 +9% 前後で伸びる想定なので、倍率が縮むぶん、期待のリターンは年 7% 前後にとどまると見る。
資本配分は課題。2025 年に平均株価の高い局面で 24 億ドルを自社株買いに使い、純利益の 1.6 倍を出して自己資本を縮めた。足元は株価が下がり、同じ額で買える株が増えたぶん条件はよくなったが、買う時期の規律が見えない。良い面は、借金で買わず、現金の範囲で買っている点。
安全域は、中立の筋書きで十分ある。ただし客数が戻らず、レストランの営業利益率が 25% を割れば、10 年の筋書きは中立から大きく下がる。悲観・やや悲観の確率を合わせて 3 割強置き、悲観では純利益が今の 8 割まで下がる想定。わかる事業で、価格は客数の弱さを織り込んだうえでほぼ妥当。大きく買うかどうかは、客数が 2 四半期続けてプラスになるかを見て決める。
何で稼ぐ会社か
チポトレの収益は、ほぼ全部が直営店の売上。メニューはブリトー・ボウル・タコス・サラダで、具材を選んで組み立てる(ライン方式)。客層は若年層(Z 世代・ミレニアル)と都市郊外が厚く、売上の約 38%(2026 年 4〜6 月、13 億ドル)がデジタル注文。2025 年は直営 334 店を開店し、そのうち 257 店がチポトレーン(車で受け取る専用の窓口)。2026 年の開店計画は 350〜370 店(うちパートナー運営 10〜15 店)で、直営の新店の約 8 割がチポトレーン。
店の経済性が事業の中心。1 店あたりの年間売上は約 300 万ドル(年間を通して営業した店の平均。長期目標は 400 万ドル超)。売上のうち食材費が約 30%、人件費が約 25%、賃料・その他の店舗費が約 20% で、レストラン段階の営業利益率は 25〜27%(2025 年 25.4%)。ここから店の減価償却(約 3%)と本社費(G&A、売上比 約 5%、株式報酬を含む)を引くと営業利益率は 17% 前後になる。
セグメントは、北米の直営店(米国と一部カナダ、売上の約 98%)と、欧州の直営 約 60 店および中東・メキシコ・韓国・シンガポールなどのパートナー運営(ロイヤルティ)の 2 つに置いた。パートナー運営は資本が要らず利益率が高いが、規模はまだ小さい。2026 年 7 月にはメキシコの 1 号店(モンテレイ近郊)が開いた。
会社はセグメントごとの売上・利益を開示しないため、数量(年末の店舗数)と価格(年末店舗数あたりの売上)の置き方は、how に推定の方法を書いた。2025 年は自社株買いに 24 億ドル(純利益の約 1.6 倍)を使い、自己資本は 37 億ドルから 28 億ドルに縮んだ。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第 1 は「食材の質と単純なメニュー」というブランドで、原価率は高めでも、同価格帯の競合より新鮮という印象を保つ。第 2 は運営の規模で、競合より高い店あたり売上(300 万ドル前後)が、調達・広告・デジタル(約 4 割がデジタル注文)の費用を薄める。第 3 は新店の経済性で、チポトレーンの新店は初年度から高い現金回収が出て、店舗網の成長が数年にわたり利益の伸びになる。第 4 は人材と運営の仕組み(ライン方式の速度と、店長からの昇進)で、「Recipe for Growth」は正確さ・効率・速さを狙う。
資本効率は高い。帳簿の自己資本利益率は 54% だが、自社株買いで自己資本が縮んだ結果なので、伸びに要る元手での効率として、税引き後の営業利益 約 15 億ドル ÷(自己資本 28 億ドル + リースを含む純負債 40 億ドル)= 約 22% を使う。金融の借金はなく、利益のほとんどが現金として入ってくる。
弱みは 3 つ。(1)客数:2025 年は 4 四半期連続で客数が減り、利用者の中心の若年・低所得層の財布が痛んでいる。同じ期間にカバは客数 +5.3%、スイートグリーンは −2.0% と、ファストカジュアル全体が強いわけでもない。(2)費用:牛肉・運賃・人件費・賃料が上がり、レストラン段階の営業利益率は 2 年で約 2 ポイント下がった。(3)資本配分:2025 年は平均株価の高い局面で 24 億ドルの自社株買いを行い、価値を取りこぼした可能性がある。CEO のスコット・ボートライトは、ブライアン・ニコルがスターバックスに移った後を継いでいる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の外食・フードサービスの売上は 2026 年に約 1.5 兆ドル(前年比 +4.3%、実質 +0.8%)で、成長の大半は価格。外食価格は USDA が +3.6% を予想し、客数は運営者の半分超で前年割れ。景気は K 字(高所得層は外食を維持し、低所得層は回数を減らす)で、バリュー(安い)メニューの客数は +1%、チェーン全体は −1%(Circana)。2026 年 4〜6 月の来店は、マクドナルドが −4.5%(Placer.ai)、ウェンディーズの米国既存店が −7%、チポトレは来店 +4.7%(既存店 +1.8〜2.2%)、スターバックスは世界既存店 +6.2%。
ファストカジュアルの競争は、カバ(地中海料理。店舗 約 486、既存店 +9%、客数 +5.3%、通期ガイド +4.5〜6.5%)が新店の売上でも強く、スイートグリーン(既存店 −6.2%)は不調。チポトレは中間で、メキシカンの定番としての知名度は高いが、客数の伸びはカバに及ばない。ほかに、マクドナルドやチックフィレイのバリュー競争、デジタルの宅配アプリの手数料が客数と利益率を挟む。
循環のどこにいるか:客数は 2025 年に底を打ち、2026 年は低い 1 桁の既存店に戻りつつある(3Q は約 +1% のガイダンスで、業界の食の安全の懸念が約 2 ポイントの逆風)。費用は牛肉と人件費が高止まりし、利益率は谷に近い。業界ノートの置き方(米国の外食 年 +4.5%、客単価 +3.5%、客数 +0.5〜1%、チポトレの店舗 年 +8%・既存店 +3%・営業利益率 17〜19%)を使い、倍率は業界ノートでなく式で出した。業界ノートの「今の PER 32 倍」は古く、実績の GAAP PER は 24.8 倍に下がっている。
資本政策と M&A
還元は自社株買いが中心で、配当はない。2025 年は自社株買い 24 億ドル(純利益の約 1.6 倍)、2026 年上期は 13.5 億ドル、残りの枠は 17 億ドル(2026 年 6 月に 13 億ドルを追加)。純利益を超える自社株買いで自己資本は縮み、現金は約 8 億ドルまで減った。株価が高かった 2025 年に多く買い、安くなった 2026 年に買う額が増えるという順序は、資本配分としては逆。ただし株数は 2025 年に −2.3% 減っており、株価が安いほど効く。
M&A は自社では行わない(2006 年に独立して以後は店の新設で成長)。2026 年 10 月 8 日にフィナンシャル・タイムズが「スターバックスが買収を検討」と報じ、12 日にスターバックスが「買わない」と否定した。買収の確度は低く、筋書きには入れない。2026 年 9 月には、倍率の低下でアクティビスト(物言う株主)の標的になるとの見方も出ており、経営陣は備えを始めた。株主が圧力をかければ、出店の加速・自社株買い・方針の転換が動く可能性がある。
金融の借金はなく、利払いの変化は 10 年で約 0(純現金は 3.5〜4% で回る)。リース負債は賃料として営業利益に費用で入っている。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 13.6 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(14.8 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
客数の落ち込みは、若年・低所得層の財布の問題と、2025 年の値上げ・量への不満という 2 つの要因で、ブランドが壊れたのではない。2026 年 4〜6 月に客数は +1.0%、既存店は +2.2% と、2 四半期連続で改善し、通期の既存店の見通しは「ほぼ横ばい」から「低い 1 桁」に上がった。新しい「Recipe for Growth」(正確さ・効率・速さ)で、注文の誤りと待ち時間が減れば、客数は戻る。
利益率は景気ではなく費用の問題で、牛肉・運賃の高騰は循環。2024 年のレストラン段階の営業利益率は 26.7%、2023 年は 26.2% で、25.2% は谷に近い。店の売上が 300 万ドルから 400 万ドル超へ(会社の長期目標)伸びれば、固定費の薄まりで利益率は 27% 台まで戻る。出店は年 350〜370 店でも、チポトレーンの新店の立ち上がりは速く、北米 7,000 店(今の約 1.7 倍)まで伸びしろが大きい。
資本は有利子負債ゼロで、毎年 20 億ドル規模の自社株買いを続けられる。株価が 52 週の安値圏の今は、同じ額で買える株数が増える。買収の観点でも、スターバックスの報道が示すとおり、この資産に値札をつける人がいる。10 年で純利益は今の 2.4 倍(年 +9%)、倍率が 19 倍近くを保てば、還元を足して年率 +10% 近くに届く。
慎重な見方
客数は 2025 年に 4 四半期連続で減り、2026 年の +1.0% も、前年の落ち込みの反動に助けられた面が大きい。3Q の見通しは約 +1% で、業界の食の安全の懸念が約 2 ポイントの逆風と会社自身が認める。カバは客数 +5.3%、既存店 +9% で、ファストカジュアルの客を新店と新商品で奪っており、チポトレの 1 店あたり売上(300 万ドル)はもう新しい競合の上限ではない。
費用は構造の問題。牛肉は米国の牛の頭数が少なく数年は高止まりしやすく、最低賃金・チップ制の見直しで人件費は年 +4〜5%、賃料も上がる。価格を上げれば客数が減り(2025 年の学習)、上げなければ利益率が下がる。レストラン段階の営業利益率は 2 年で約 2 ポイント下がり、今の 25.2% は谷でなく新しい水準かもしれない。G&A は売上比 5.7%(2026 年 4〜6 月)と膨らんでいる。
出店の質も問われる。年 350〜370 店の開店のうち、既存店と近い場所の新店は、既存店の客を奪う(共食い)。店舗が 4,200 店から 7,000 店に増えても、1 店あたり売上が伸びなければ、店を増やすほど平均の売上は下がる。自社株買いも、2025 年に高い株価で 24 億ドルを使い、自己資本を 37 億ドルから 28 億ドルへ縮めた。GLP-1(肥満治療薬)の普及と、Z 世代の財布の悪化が、客数の上限を下げる。
どちらに重みを置いたか
事業の質と店舗網の伸びしろは強気の見方が強く、客数の回復と利益率の戻りは慎重な見方が強い。確率は中立を 38% で最も厚くし、楽観・やや楽観を 30%、やや悲観・悲観を 32% と、客数の弱さをわずかに重く置いた。10 年の中立は PER 約 17 倍(g 4%・ROE 28%・k 8% の利益ベースの式の 85%。客数の弱さは g と利益率に入れ、式の外では引かない)、年率 +7.5% で、資本コスト 8% をわずかに下回る。結論は「優良な成長事業だが、客数の弱さと資本コストを超える稼ぎが先で薄れることを織り込むと今の値段は適正。ただし客数の回復の確認が前提」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 45.94 ドル587 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 10.20 ドル130 億ドル)。 今の値に割り戻すと 28.22 ドル360 億ドル、今との差 +0.3%、 期待の年率 +7.1%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 70.52 ドル901 億ドル | 12.01 ドル153 億ドル | +193.3% | +11.4% | 6.60 ドル84 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 60.05 ドル767 億ドル | 11.23 ドル143 億ドル | +153.3% | +9.7% | 15.68 ドル200 億ドル |
| 中立 | 38% | 49.40 ドル631 億ドル | 11.07 ドル141 億ドル | +114.9% | +7.9% | 22.98 ドル294 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 31.86 ドル407 億ドル | 8.73 ドル112 億ドル | +44.2% | +3.7% | 8.93 ドル114 億ドル |
| 悲観 | 10% | 13.03 ドル166 億ドル | 6.38 ドル82 億ドル | −31.0% | −3.6% | 1.94 ドル25 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 45.94 ドル587 億ドル | 10.20 ドル130 億ドル | +99.5% | +7.1% | 56.13 ドル717 億ドル |
今の株価時価総額 28.14 ドル359 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:客数が回復し、北米 7,900 店に近づき、利益率が 28% 台へ 利益 52 億ドル · PER 17.3 倍 · 株価時価総額 70.52 ドル901 億ドル
客数が回復し、既存店は年 +4% 近く(客単価 +3.5%、客数 +0.5%)。北米は 7,000 店の目標を超えて 7,900 店、海外はメキシコ・韓国・東アジア・中東のパートナー運営で 650 店。店舗あたりの売上は 10 年で 1.45 倍(物価 1.41 倍+少し)の約 420 万ドルに届き、会社の長期目標(400 万ドル超)を上回る。レストラン段階の営業利益率は 28% 台で、本社費は売上比 4.2%。売上 350 億ドル、営業利益 69 億ドル(営業利益率 19.7%)、純利益 52 億ドル。サブウェイ・パネラ・カバより店が多く 1 店あたりの売上も高い、最大手の地位が固まる。
- 北米の直営店(米国・カナダ):数量 7,900(年末の直営店舗数(店))× 価格 0.04(年末店舗数あたり売上(億ドル))→ 売上 331 億ドル・営業利益 81 億ドル。北米の年末店舗数と年末店舗数あたり売上
- 欧州の直営店と海外パートナー運営:数量 650(店舗数(店、直営とパートナー運営の合計))× 価格 0.03(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 19 億ドル・営業利益 3 億ドル。欧州直営とパートナー運営の店舗数と 1 店あたり収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%・g 4.0%(市場の実質 0.5%+シェア 0.5%+価格 3.5%=4.5% を上限の 4% に)・事業の ROE 28.8%(筋書きの純利益 ÷ 自己資本)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 18.4%、10 年目より先の正当化 PER 19.6 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 20.3 倍。客数が戻り、最大手の地位が固まる側なので上限の 85% に置き 17.3 倍。
確率:客数の回復と利益率の戻りと出店の加速が 10 年続く確率は低く 8%(カバのような競合が強く、牛肉・人件費は追い風にならない)。
やや楽観 22% やや楽観:北米 7,500 店、既存店 年 +3.5%、利益率は 27% 近く 利益 45 億ドル · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 60.05 ドル767 億ドル
客数は横ばいから微増、既存店は年 +3.5%(物価並み)。北米は 7,500 店、海外は 550 店。店舗あたりの売上は 10 年で 1.38 倍(約 400 万ドル)。レストラン段階の営業利益率は 27% 近く、本社費は売上比 4.4%。売上 315 億ドル、営業利益 59 億ドル(営業利益率 18.8%)、純利益 45 億ドル。競合ではカバが先行するが、チポトレのデジタル(約 4 割)とチポトレーンが差をつける。出店は年 300 店前後で 2030 年代前半まで続き、新店の立ち上がりも既存店の約 85% で安定する。還元は 10 年に 143 億ドル。
- 北米の直営店(米国・カナダ):数量 7,500(年末の直営店舗数(店))× 価格 0.04(年末店舗数あたり売上(億ドル))→ 売上 299 億ドル・営業利益 71 億ドル。北米の年末店舗数と年末店舗数あたり売上
- 欧州の直営店と海外パートナー運営:数量 550(店舗数(店、直営とパートナー運営の合計))× 価格 0.03(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 2 億ドル。欧州直営とパートナー運営の店舗数と 1 店あたり収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%・g 4.0%(市場の実質 0.5%+シェア 0.5%+価格 3.5%=4.5% を上限の 4% に)・事業の ROE 27.8%(筋書きの純利益 ÷ 自己資本)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 17.9%、10 年目より先の正当化 PER 19.4 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 20.2 倍。客数は横ばい、出店が続く側なので上限の 85% に置き 17.2 倍。
確率:食材の質のブランド、新店の経済性、デジタルの堀は広がる側と見て 22%。
中立 38% 中立:北米 6,800 店、既存店は物価並み、利益率は 26% 前後へ戻る 利益 37 億ドル · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 49.40 ドル631 億ドル
北米の直営店は 2030 年まで年 +350 店、その後は年 +300 店で 2035 年に約 6,800 店(北米 7,000 店の目標は 2036〜37 年に遅れる)。海外はパートナー運営の増加で約 450 店。店舗あたりの売上は 10 年で 1.32 倍(物価 1.41 倍より低い。新店の立ち上がりの遅れと客単価を抑えた値上げ)の約 380 万ドル。レストラン段階の営業利益率は 26% 前後(2023〜24 年並み)、本社費は売上比 4.5%。売上 272 億ドル、営業利益 48 億ドル(営業利益率 17.8%)、純利益 37 億ドル(今の 2.4 倍)。還元は純利益の約 6 割(伸びに要る投資を引く)で 10 年に 141 億ドル。
- 北米の直営店(米国・カナダ):数量 6,800(年末の直営店舗数(店))× 価格 0.04(年末店舗数あたり売上(億ドル))→ 売上 259 億ドル・営業利益 59 億ドル。北米の年末店舗数と年末店舗数あたり売上
- 欧州の直営店と海外パートナー運営:数量 450(店舗数(店、直営とパートナー運営の合計))× 価格 0.03(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 2 億ドル。欧州直営とパートナー運営の店舗数と 1 店あたり収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%・g 4.0%(市場の実質 0.5%+シェア 0.5%+価格 3.5%=4.5% を上限の 4% に)・事業の ROE 28.4%(筋書きの純利益 ÷ 自己資本)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 18.2%、10 年目より先の正当化 PER 19.5 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 20.3 倍。需要が安定し堀もあるので上限の 85% に置き 17.2 倍。
確率:業界ノートの中立(店舗 年 +8%・既存店 +3%・営業利益率 17〜19%)に近い置き方。倍率は業界ノートでなく式で出した。38%。
やや悲観 22% やや悲観:出店が年 200 店に鈍り、客数の弱さと費用高で利益率は 24% 前後 利益 26 億ドル · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 31.86 ドル407 億ドル
客数は年 −0.5%、客単価は物価より低い +3% で、既存店は年 +2.4%(店舗あたりの売上は 10 年で 1.24 倍)。共食いを避けて出店は年 200 店に鈍り、北米は約 6,000 店、海外は約 300 店。牛肉と人件費で、レストラン段階の営業利益率は 24% 前後、本社費は売上比 5.0%。売上 223 億ドル、営業利益 34 億ドル(営業利益率 15.1%)、純利益 25.5 億ドル(今の 1.7 倍)。カバやサブウェイ・マクドナルドの低価格に客を奪われ、成長の物語が剥がれる。利益が伸びない分、自社株買いは抑えて 10 年の還元は 112 億ドル。出店と店の改装には手元の現金を回し、自己資本は積み上がる。
- 北米の直営店(米国・カナダ):数量 6,000(年末の直営店舗数(店))× 価格 0.04(年末店舗数あたり売上(億ドル))→ 売上 215 億ドル・営業利益 44 億ドル。北米の年末店舗数と年末店舗数あたり売上
- 欧州の直営店と海外パートナー運営:数量 300(店舗数(店、直営とパートナー運営の合計))× 価格 0.03(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。欧州直営とパートナー運営の店舗数と 1 店あたり収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%・g 3.8%(実質の伸び 0.3%(客数 −0.5% を出店が上回る)+価格 3.5%)・事業の ROE 23.6%(筋書きの純利益 ÷ 自己資本)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 15.8%、10 年目より先の正当化 PER 18.1 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 18.8 倍。共食いで成長が鈍る側だが、堀は残るので上限の 85% に置き 16.0 倍。
確率:客数の弱さと費用高、共食いは構造に近く 22%。出店が鈍り利益率が下がる筋書き。
悲観 10% 悲観:構造的に負ける(共食いと競合、牛肉と賃金で営業利益率が 10% 割れ寸前) 利益 13 億ドル · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 13.03 ドル166 億ドル
構造的に負ける。新店が既存店の客を奪い(共食い)、1 店あたり売上が下がる。カバなど新しい競合と、マクドナルドなどのバリュー競争で客数は累積 −10%。牛肉は高止まりし、最低賃金・チップ制の見直しで人件費が年 +5%。出店は 5,000 店台で止まり、北米は 5,200 店、海外は 150 店。レストラン段階の営業利益率は 19% 前後に下がり、本社費は売上比 5.5%。営業利益 17 億ドル(営業利益率 9.7%)、純利益 12.8 億ドル(今の 83%)。減損が出るが、現金の創出力は残る。株価が下がる局面で自社株買いを絞り、還元は 10 年に 82 億ドルにとどめる。
- 北米の直営店(米国・カナダ):数量 5,200(年末の直営店舗数(店))× 価格 0.03(年末店舗数あたり売上(億ドル))→ 売上 168 億ドル・営業利益 26 億ドル。北米の年末店舗数と年末店舗数あたり売上
- 欧州の直営店と海外パートナー運営:数量 150(店舗数(店、直営とパートナー運営の合計))× 価格 0.02(1 店あたりの本社の収益(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。欧州直営とパートナー運営の店舗数と 1 店あたり収益
倍率:利益ベース:正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.00%・g 2.5%(市場の実質 −0.5%+シェア −0.5%+価格 3.5%)・事業の ROE 19.0%(筋書きの純利益 ÷ 自己資本)・moat 普通(残る割合 0.50)→ RONIC 13.5%、10 年目より先の正当化 PER 14.8 倍。10 年目の利益に ×(1+g) で上限 15.2 倍。構造的に負けても店舗網の稼ぐ力は残るので上限の 85% に置き 12.9 倍。
確率:10 年の構造変化(共食い・新しい競合・牛肉・賃金・GLP-1)が重なり優良さを失う確率を 10%。店舗網と現金の創出力が厚く、全部が同時に崩れる確率は低い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
北米の直営店(米国・カナダ)
直営店の売上のほぼ全部。数量は年末の店舗数、価格は年末店舗数あたりの売上(既存店の売上と新店の立ち上がりを含む)。
| 数量年末の直営店舗数(店) | 価格年末店舗数あたり売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,040 | 0.03 | 117 | 26 |
| 10 年後 中立 | 6,800 | 0.04 | 259 | 59 |
取り方:2025 年末の直営店は約 4,040 店(2026 年 6 月末 4,186 店から上期の開店を戻した推定。2025 年の開店 334 店、閉店・移転を引く)。売上 119 億ドルのうち海外の約 2 億ドルを除いた約 117 億ドルを割ると 1 店あたり約 290 万ドル(期中に開いた店を含むため、1 年を通して営業した店の約 310 万ドルより低い)。営業利益は、レストラン段階の営業利益率 25.4% から店の減価償却(売上比 約 3.2%)を引いた約 22% を掛けた 25.9 億ドル(本社費用は adjust で別に引く)。開示が薄い部分は推定。
欧州の直営店と海外パートナー運営
欧州の直営店(英国・フランス・ドイツなど約 60 店)と、中東・メキシコ・韓国・シンガポールなどのパートナー運営(ロイヤルティ)。
| 数量店舗数(店、直営とパートナー運営の合計) | 価格1 店あたりの本社の収益(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.02 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 450 | 0.03 | 12 | 2 |
取り方:欧州の直営 約 60 店とパートナー運営 約 40 店(推定)。直営は 1 店 約 250 万ドル、パートナーはロイヤルティで 1 店 約 20 万ドルなので、平均して 1 店あたり約 200 万ドル(推定)。営業利益率は約 10%(欧州は立ち上げの費用が重く薄利と推定)。全社に対し売上の約 2%、利益の約 1% でごく小さい。
リスクと懸念
客数の回復が続かない
2025 年は 4 四半期連続で客数が減り、2026 年 4〜6 月の +1.0% が定着するかは未確認。3Q の既存店は約 +1% の見通しで、業界の食の安全の懸念が約 2 ポイントの逆風。回復が止まれば、出店だけが売上を伸ばす形になり、1 店あたり売上が下がる。
牛肉・人件費・賃料による利益率の低下
レストラン段階の営業利益率は 26.7%(2024 年)→ 25.4%(2025 年)→ 25.2%(2026 年 4〜6 月)。牛肉は数年高止まりのおそれがあり、人件費は年 +4〜5%。値上げは客数に響くため、利益率の戻りには客数の回復と運営の効率が両方要る。
新店の共食いと出店の質
年 350〜370 店の新規出店のうち、既存店に近い立地は既存店の客を奪う。北米 7,000 店(今の約 1.7 倍)まで増やす途中で、1 店あたり売上が下がれば、増収でも増益にならない。会社自身も、出店を速めすぎると効率が落ちると述べている。
カバなどの新しい競合
カバは客数 +5.3%・既存店 +9% で、新店の売上でもチポトレの新店に迫る。サブウェイ・パネラ・チックフィレイ・宅配アプリなど、価格帯が近い競合が増え、Z 世代の財布が痛む中で、客の奪い合いが続く。
資本配分とアクティビスト
2025 年は平均株価の高い局面で 24 億ドルを自社株買いに使い、純利益の 1.6 倍で自己資本を縮めた。2026 年 9 月には、倍率の低下でアクティビストの標的になるとの見方が出た。圧力で出店や還元の方針が変わる可能性がある。
食の安全・規制・GLP-1
外食全体の食の安全の問題は、チポトレのように生の野菜を使う店で影響が大きい(3Q は約 2 ポイントの逆風)。最低賃金やチップ制の見直し、GLP-1(肥満治療薬)の普及による 1 人あたりの食事量の減少(推定 3〜5%)も、数量の逆風になる。
今後の分かれ目
- 米国の既存店が客数ベースで 2 四半期続けてプラスになったら
- 客数の回復が確認でき、楽観・やや楽観の確率を上げる。値上げの余地も戻り、レストラン段階の営業利益率は 26% 台へ戻る見通しになる。
- レストラン段階の営業利益率が 24% を割ったら
- 費用の上昇が構造だとわかり、やや悲観の確率を上げる。10 年の営業利益率を 2 ポイント下げて見る(純利益は今の置き方の 3 割減)。
- 新店の初年度売上が既存店の 8 割を割ったら
- 出店の質が落ちており、7,000 店の目標は遠のく。出店の数を 10 年で 5,000〜6,000 店に下げ、やや悲観〜悲観の確率を上げる。
- 自社株買いが純利益の 1 倍を超え続けるか、株価が高い局面で積み増されたら
- 自己資本の縮みで ROE は高く見えるが価値は増えず、資本配分は悪化。逆に株価が安い局面で買うなら、株数が減って持ち分の価値が増え、還元を厚く置いてよい。
- スターバックス・外食大手・投資ファンドが正式に買収を提案したら
- 今の値段より高いプレミアムが付きうる。ただし成立していない買収は筋書きに入れない決まりなので、確率は上げず、成立した時に見直す。
- 景気後退が始まり、米国の失業率が 7% を超えたら
- 客数は −5% 前後、営業利益は −25〜30%(固定費のため利益の落ちが売上より大きい)。ならした利益に、景気後退でも崩れない店舗網の稼ぐ力を見て倍率を縮めた値が目安になる。
見ておくもの
- 米国の既存店売上(客数と客単価の内訳。10/28 の 3Q 決算)
- レストラン段階の営業利益率(牛肉・人件費・賃料)
- 新店の初年度売上と既存店への食い合い
- カバ・スイートグリーンの客数との差
- 年間の開店数(350〜370 店)とチポトレーンの比率
- 自社株買いの額と買い付けの時期、現金の残高
- アクティビストの動き、スターバックスなどの買収の報道
- G&A の売上比(5.7% → 5% 以下へ)
倍率と資本コストの決め方
今の PER と株価を見る前に、北米の直営店(店舗数 × 年末店舗数あたり売上)と海外の 2 つに分けて売上を積み上げ、営業利益率と本社費で利益を置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/2 ×(筋書きの ROE − k))に、g 4%(市場の実質 0.5% + シェア 0.5% + 価格 3.5% を上限 4% に)・ROE 28%・k 8%(quality 0)を入れ、10 年目の利益に掛けるので ×(1+g) とした 20.3 倍の 85%(約 17.2 倍)に置いた。式の外の割り引き、業界ノートの倍率、過去の PER、今の倍率への寄せはしていない。結果は今の値段にほぼ等しい適正で、客数の弱さは悲観・やや悲観の確率(合計 32%)と悲観の深さ(営業利益率 9.7%、純利益は今の 83%)で見ている。リースは家賃として費用に入った今の形のまま置いた(米国基準で形は変わらない)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.0%。景気と客数で利益が振れる外食だが、振れは普通の範囲。値段は上げると客数に響くので値決め力は普通。金融の借金はなく(リース負債は家賃として費用に入る)、借金の上乗せはない。存続は危うくなく上乗せなし。個別のリスク(客数・牛肉・アクティビスト)は k に足さず、筋書きと確率で表した。