株譜
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カーニバル CCL

世界最大のクルーズ会社。利益率はロイヤルの約 6 割だが、借金を返して投資適格に戻り、資本コスト 9.75% の利益ベースの倍率で見ても今の値段はやや割安

やや割安
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)33.10 ドル464 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)27.1 ドル380 億ドル差 +22.2%
10 年後から見ると やや割安 価値 33.10 ドル464 億ドル · 差 +22.2% · 期待の年率 +9.5%
期待の年率リターン(10 年)+9.5%資本コスト比 −0.3 pt
推定の資本コスト9.8%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 9.8% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

カーニバルは世界のクルーズ乗客の約 3 割(定員ベースのシェア約 32%)を運ぶ最大手で、カーニバル・クルーズ・ライン、プリンセス、ホランド・アメリカ、シーボーン(以上が北米の区分)、アイーダ、コスタ、P&O、キュナード(以上が欧州の区分)の 8 ブランド・94 隻を運航する。2025 年 11 月期は売上 266 億ドル、純収入(売上から旅行代理店の手数料・運賃に連動する費用・船内の仕入れを除いた会社の指標)202 億ドル、営業利益 約 45 億ドル、純利益 27.6 億ドル。2026 年 5 月に英国のカーニバル plc との二重上場を解消して一本化し、9 月に発表した 6〜8 月期は純利益 19.2 億ドルと過去最高、通期見通しを引き上げた。

強みは規模と、2027 年の予約が稼働・価格とも過去最高という需要の強さで、2027 年の供給の増加は 0.5% 前後にとどまる。需要が増えても船が増えないので、純イールド(1 乗客定員日あたりの純収入)で取り返しやすい。弱みは利益率の低さ(純収入ベースの営業利益率 22%、ロイヤル・カリビアンは 33〜38%)、燃料をヘッジしないこと(燃料 10% の変動で純利益が年 2 億ドル前後動く)、純負債約 260 億ドルの重さ。ただし返済で総負債は 2025 年 11 月の 266 億ドルから 2026 年 8 月の 239 億ドルへ減り、S&P も投資適格へ格上げした。

バリュー投資の観点では、10 年後も人は船で休暇を取り、新造船の枠(造船所は 2030 年代前半まで埋まっている)と 8 つのブランドが堀になる。ただし資本の重い事業で、堀の厚さはロイヤルに劣る。中立の 10 年で純収入は 313 億ドル(今の 1.55 倍)、純利益は 56 億ドル(今の 2.0 倍)、倍率は資本コスト 9.75%(基本 8.0% + quality +1.75%)の利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/3 ×(事業の ROE − k)、堀が薄いので 1/3。上限 12.3 倍)の 8 割にあたる 9.9 倍、時価総額は約 555 億ドル(今の 1.5 倍)、還元を足して年率 +10% 前後と見る。燃料と景気の振れは悲観側の確率で厚く見たので、総合の差は +28% 前後、結論はやや割安。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、クルーズは「わかりやすく、需要は強いが、資本が重く景気に弱い」事業である。10 年後も人は船で休暇を取るだろうが、新造船は 1 隻 20 億ドル前後を食い、減価償却(年 29 億ドル)と利払いが利益を削る。2026 年の株主のものになる利益(純利益 約 30 億ドル + 減価償却 29 億ドル − 設備投資 33 億ドル + 顧客預り金の増加などで、約 30 億ドル台)は純利益とほぼ同じ。2026 年は成長のための投資が小さく(新造船の引き渡しがなく、供給は +1%)、これが還元の厚さの源になっている。

堀は規模・8 つのブランド・新造船の枠で、広がるほどではないが崩れにくい。ただしロイヤルのような集中投資の強さはなく、利益率は 22% にとどまる。経営の資本配分は、2020 年以降の借金の返済と投資適格への復帰、配当の再開、バランスシートの余裕での自社株買いと、順番が堅実。燃料をヘッジしない点は、利益の振れを株主が引き受ける設計で、割安に買える時には有利、割高な時には不利に働く。

値段との関係:利益ベースの倍率は、g 4.0%・ROIC から直した事業の ROE 約 22%・k 9.75% で RONIC が約 13.7%、上限 12.3 倍の 8 割で PER 9.9 倍(10 年目の利益)。2026 年の純利益 約 30 億ドルに対する今の PER は約 12 倍と低いが、これは資本コスト 9.75% を超える利益の伸び(今の 2.0 倍)が前提で、中立の 10 年で時価総額は約 555 億ドル(今の 1.5 倍)、還元を足して年率 +10.5% と資本コストをわずかに上回る程度。安全域としては、2008〜09 年・2020 年の谷(株価 −60〜−74%)を悲観に置くと時価総額は 177 億ドル(今の約 5 割)で、中立と楽観が当たる確率の厚みで平均が今を上回る。

何で稼ぐ会社か

収益の源は「乗客定員 × 日数(ALBD)」と「1 ALBD あたりの純収入(純イールド)」である。2025 年の ALBD は 96.5 百万、純イールドは約 210 ドルで、純収入は約 202 億ドル(売上 266 億ドルの 76%)。売上は乗船券 174 億ドルと、船内消費・その他 92 億ドル(約 35%)からなり、船内消費は乗客を船に囲い込める分だけ伸びが強い。稼働率は 105% 前後(1 室に 3〜4 人が泊まる)で、満室から先の 1 乗客あたりの利益が大きい。乗客は年 1,360 万人。

会社は 2 つの区分で開示する。北米(カーニバル・クルーズ・ライン 29 隻、プリンセス 17 隻、ホランド・アメリカ 11 隻、シーボーン 6 隻)は定員の 64%、売上 176 億ドル、営業利益 約 33 億ドル。欧州(アイーダ 11 隻、コスタ 9 隻、P&O 7 隻、キュナード 4 隻)は定員の 36%、売上 85 億ドル、営業利益 約 17 億ドル。ほかに本社費とアラスカの陸上ツアーなどが小さな赤字。区分ごとの純収入と ALBD は開示がなく、how に推定の方法を書いた。

費用は燃料(2026 年の見通し 約 22.5 億ドル、1 トン 768 ドル。ヘッジはしない方針)、燃料を除く運航費(約 118 億ドル)、減価償却(約 29 億ドル)、利払い(純利息 約 10.8 億ドル)。利払いは 2024 年の約 18 億ドルから返済と借り換えで大きく減った。

目的地も収益源である。バハマのセレブレーション・キー(2025 年開業、1 年で約 250 万人、2027 年に 350 万人の見込み)にプリンセス・アイーダ・コスタが寄港し始め、ハーフ・ムーン・ケイなども含めて私有の寄港地を持つ。入港料を抑え、陸上での消費を会社が取れる。

優良さと弱いところ

堀は 4 つ。第 1 は規模:94 隻・定員 27.2 万人は世界最大で、燃料・食材・港・システムの費用を薄められ、多数のブランドで価格帯と地域を分けて売れる(家族向けのカーニバル、中高年のプリンセス・ホランド・アメリカ、欧州のアイーダ・コスタ・P&O、高級のシーボーン・キュナード)。第 2 は新造船の枠:大型客船を造れる造船所は少なく、2030 年代前半まで枠が埋まっている。カーニバルは 2027 年と 2028 年にフェスティバーレ・トロピカーレ、2029 年に新型(定員 6,160 人)と、1〜2 年に 1 隻の規律ある発注を続ける。第 3 は私有の目的地:セレブレーション・キーなどが顧客の選ぶ理由になる。第 4 は 2027 年の予約が稼働・価格とも過去最高という需要で、供給をほとんど増やさない規律が単価を支える。

資本効率は回復途上である。税引き後の営業利益 ÷(自己資本+純負債)は 2025 年に約 11.5%、会社の定義の調整後 ROIC は 13% 超で、PROPEL は 2029 年に 16% 超を掲げる。ロイヤル・カリビアンの 15〜16%(同じ尺度)と比べて低い。2020〜22 年に累計 258 億ドルの赤字を出し、自己資本は 2022 年に 71 億ドルまで縮んだが、2025 年に 123 億ドルへ戻った。経営はジョシュ・ワインスタインの下で、返済と投資適格への復帰、配当の再開(2025 年 12 月)、自社株買い枠 25 億ドル(2026 年 4 月)へ資本配分を切り替えた。

弱みは 5 つ。(1)利益率:ロイヤルの 33〜38%(純収入ベース)に対し 22%。船が小さく老朽の船が多く、1 隻あたりの乗客数・船内消費が少ない。(2)燃料:主要な 3 社で唯一ヘッジしない。燃料 10% の変動が年 2 億ドル前後の純利益。(3)借金:純負債は営業利益の約 5 倍(2025 年)、2027〜2030 年に毎年 35〜49 億ドルの満期。(4)景気連動:2008〜09 年に株価 −60%、2020 年に運航停止で −74%。(5)欧州の中東の逆風など地政学。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

世界のクルーズの乗客は 2025 年に 3,720 万人(+7.5%)と過去最高で、2026 年は約 3,830 万人(+4%)、2029 年に 4,210 万人の見通し(CLIA)。業界ノートの置き方では 10 年後に約 5,700 万人(年 +4.4%)。供給は、カーニバルが 2026 年 +1.0%、2027 年 約 +0.5% と絞る一方、ロイヤルは 2027 年 +4%・2028 年 +6%・2029 年 +7%、MSC クルーズ(非上場)が急伸し、定員シェアは 2033 年の予測でカーニバル 31.8%(2025 年 32.2%)、ロイヤル 24.6%、ノルウェージャン 9.7%、MSC 11.8%。

競争の形は上位 3 社と MSC の寡占で、利益率の差が大きい:ロイヤル(純収入ベースの営業利益率 33〜38%)、カーニバル(22%、2026 年は約 20%)、ノルウェージャン(17〜18%)。カーニバルは船が小さく、地域・価格帯の幅が広いので、ロイヤルほどの集中投資ができない一方、需要の波に強い。今のサイクルは、2025 年に過去最高の需要、2026 年は燃料(原油 100 ドル超の局面もあった)と中東で見通しを一度下げたあと、9 月の決算で純イールド・コストとも見通しを上回り、2027 年・2028 年の予約が過去最高と、需要面は強い。

競合と照らすと、カーニバルがうまくいけば、供給を絞って単価を物価並みに保ち、燃料が落ち着けば営業利益率は 26% 台へ上がり、純利益は 10 年後に 80 億ドル超になる(ロイヤルとの差は 10 ポイント近く残る)。競合に負ければ、ロイヤルのアイコン級・MSC の新造船が顧客を奪い、純イールドは物価を大きく下回り、純利益は 40 億ドル前後(今と同程度)にとどまる。陸上の休暇との比較(1 人 1 日あたりの価格が低い)、世代交代、燃料・排出規制(EU の排出量取引・IMO)、感染症・事故・ハリケーンが長期の変数である。

資本政策と M&A

還元は 2025 年 12 月に配当を再開し、2026 年は配当 8 億ドル超(四半期 約 2.0 億ドル)、自社株買い 25 億ドルの枠(2026 年 4 月に開始、年初来で約 12 億ドル)。PROPEL は 2029 年までの還元を約 140 億ドル(営業キャッシュフローの 40% 超)、純負債 ÷ EBITDA を 2.75 倍、ROIC を 16% 超、調整後 EPS を 2025 年比 +50% 超とする。優先順位は、返済と格付け、新造船・目的地への投資、配当と自社株買い。

借金は 2026 年 8 月末で総負債 239 億ドル(2025 年 11 月末は 266 億ドル)、現金 12 億ドル。Q3 に 7% の債券 5 億ドルを償還し、担保付き債務はなく、S&P が格上げして投資適格は 2 社目。満期は(利息込み)2026 年 31 億・2027 年 35 億・2028 年 49 億・2029 年 49 億・2030 年 35 億ドル。輸出信用の未使用枠が約 76 億ドルあり、新造船は設備投資 2027 年 16 億・2028 年 15 億・2029 年 18 億ドル。

M&A は計画にない。2026 年 5 月にカーニバル plc との二重上場を解消し、バミューダの 1 社に一本化した(株が 1 種類になり、指数への組み入れと流動性が増える)。TOB・再編の可能性は時価総額 363 億ドルでは小さい。株式報酬は純利益の約 4%(1.0 億ドル)で、payout_oku は配当と自社株買いから株式報酬の希薄化分を除いた正味で書き、増資は想定しない(景気の谷では増資の恐れを悲観に織り込む)。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

カーニバルは供給を絞りながら需要の強さを取れる唯一の大手である。2026 年の供給は +1.0%、2027 年は約 +0.5% にとどまるのに、顧客預り金は Q3 として過去最高の 76 億ドル(+約 7%)、2027 年の予約は稼働・価格とも過去最高、2028 年も前年より高い水準で始まった。供給が増えず予約が増える形は、純イールドを物価並み以上に保つ強い条件で、利益率はロイヤルに近い方へ上がる余地がある。

借金は返済で総負債が 8 か月で 27 億ドル減り、S&P の格上げで投資適格が 2 社になった。利払いは 2024 年の 18 億ドルから 2026 年に約 11 億ドルへ減っており、金利が高くても利払いは増えにくい。PROPEL は 2029 年までに ROIC 16% 超、EPS +50% 超、還元 140 億ドルを掲げ、2025 年の純利益 27.6 億ドルは 2029 年に 45 億ドル前後になる。ロイヤルとの利益率の差(22% 対 33〜38%)は、船の大型化(新型 6,160 人)、セレブレーション・キー、船内消費で縮められる。

2026 年の燃料高と中東の逆風で見通しを一度下げたのに、9 月の決算で純イールド・コストとも見通しを上回ったのは、需要の質の強さの証拠である。今の PER 12 倍は、利益の質を過小評価している。

慎重な見方

まず、利益率の低さは構造的である。ロイヤルは純収入ベースで 33〜38% を出し、カーニバルは 22%、2026 年は約 20% に下がる。船が小さく、老朽の船が多く、1 隻あたりの乗客・船内消費が少ない。ロイヤルは 2027 年に +4%、2028 年に +6%、2029 年に +7% と供給を増やし、MSC も急伸する。カーニバルが供給を絞るのは賢明に見えて、実は定員シェアを 32% から 25% 前後に失う道でもある。

次に、燃料と借金と景気。主要 3 社で唯一燃料をヘッジせず、2026 年は原油高で見通しを 5 億ドル以上引き下げた。10% の変動が年 2 億ドル前後の純利益で、純利益 30 億ドルの 7%。純負債は営業利益の約 5 倍、2027〜2030 年に毎年 35〜49 億ドルの満期が来て、借り換えで金利は 5.75% 前後になる。2008〜09 年は株価 −60%、2020 年は運航停止で −74%、2022 年の利上げでも −68%。2020〜21 年は増資と借入で資金をつないだ。

さらに、今の PER 12 倍が低いのは、市場が借金の重さと景気連動に高い資本コストを求めているからとも読める。資本コスト 9.75%(基本 8.0% + quality +1.75%)の式で数えても、中立の 10 年の年率は +10.5% と資本コストを 1 ポイント弱上回るだけで、安全域は厚くない。2027 年の予約が過去最高でも、それは 2026 年の見通し引き下げで一度外れた後の話である。

どちらに重みを置いたか

需要の強さ(2027 年・2028 年の予約が過去最高、供給は +0.5%)と、返済・投資適格という事実は確かで、10 年の中立は純利益 56 億ドル(今の 2.0 倍)・PER 9.9 倍(資本コスト 9.75% の利益ベースの正当化 PER 12.3 倍の 8 割)に置いた。利益率は 2025 年の 22% を保つだけで、ロイヤルに近づくことは中立にも織り込まない。一方、利益率の低さ・燃料・借金・景気は確率に強く効かせた。10 年の確率は楽観 7%・やや楽観 20%・中立 38%・やや悲観 24%・悲観 11% と、ロイヤルより悲観側に寄せた。悲観は 2008〜09 年・2020 年の谷(株価 −60〜−74%)の深さで置いた。中立の年率は +10.5% と資本コストを少し上回る程度で、結論はやや割安(差 +28%)。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 38.52 ドル540 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 28.51 ドル400 億ドル)。 今の値に割り戻すと 33.10 ドル464 億ドル、今との差 +22.2%、 期待の年率 +9.5%(資本コスト 9.8%)→ やや割安

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 7% 71.08 ドル997 億ドル 38.52 ドル540 億ドル +304.7% +15.0% 7.67 ドル108 億ドル
やや楽観 20% 53.69 ドル753 億ドル 35.02 ドル491 億ドル +227.6% +12.6% 17.74 ドル249 億ドル
中立 38% 39.59 ドル555 億ドル 30.96 ドル434 億ドル +160.5% +10.0% 26.81 ドル376 億ドル
やや悲観 24% 26.55 ドル372 億ドル 24.82 ドル348 億ドル +89.7% +6.6% 12.33 ドル173 億ドル
悲観 11% 12.60 ドル177 億ドル 9.91 ドル139 億ドル −16.8% −1.8% 2.48 ドル35 億ドル
加重平均100% 38.52 ドル540 億ドル28.51 ドル400 億ドル +147.5% +9.5% 67.03 ドル940 億ドル

今の株価時価総額 27.08 ドル380 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.8% を下回るほど割高。

楽観 7% 楽観:需要を取り切り、純イールドは物価並み、営業利益率 28% 近くへ 利益 84 億ドル · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 71.08 ドル997 億ドル

2035 年の ALBD は約 115.0 百万(2025 年の 1.19 倍)。世界の乗客は 5,700 万人(年 +4.4%)まで増え、カーニバルは年 +1.8% の供給で需要を取り切るが、定員シェアは 32% から 26% 台へ下がる。純イールドは物価並み+私有の目的地(ハーフ・ムーン・ケイ、セレブレーション・キー。2027 年に 350 万人)の上積みで 2025 年の北米 1.45 倍・欧州 1.44 倍(物価 1.41 倍を上回る)。純収入 349.5 億ドル、営業利益 96.8 億ドル(純収入比 27.7%。コスト削減と船の大型化で、2025 年の 22% からロイヤルに近い方へ 6 ポイント上がる)、純利益 83.6 億ドル。純負債は EBITDA の 2.0 倍(会社基準)へ下がり、自社株買いを続けて還元は 10 年で 540 億ドル。ノルウェージャンは家族向けでカーニバルにシェアを譲り、ロイヤルとの利益率の差は 10 ポイントから 8 ポイントへ縮まる。8 ブランドのうち欧州のコスタ・アイーダの改善(2026 年は中東の逆風が残る)も利益率を押し上げる。倍率は正当化 PER 13.2 倍の 9.0 割にあたる 11.9 倍に置いた。

  • 北米(カーニバル・プリンセス・ホランド・アメリカ・シーボーン):数量 74.5(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 3.16(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 236 億ドル・営業利益 71 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)
  • 欧州(アイーダ・コスタ・P&O・キュナード):数量 40.5(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 2.81(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 114 億ドル・営業利益 34 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)

倍率:上限の正当化 PER 13.2 倍に対し、11.9 倍(9.0 割)に置いた。中立の 8.0 割に、利益の質がよい分を上乗せした(楽観 +1.0 割)。上限の中身は g 4.0%、RONIC 16.8%(k 9.75% + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k))、moat は 弱い。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 30.8%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 20%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.7(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 84 億ドル × 11.9 倍で 996 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。

確率:業界ノートの楽観(乗客 年 +6%、ネット・イールド 年 +4%)に近い強い 10 年。ロイヤルとの利益率の差を縮めるのは容易でなく 7%。

やや楽観 20% やや楽観:会社の計画どおり、純イールドは物価にほぼ並ぶ 利益 69 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 53.69 ドル753 億ドル

2035 年の ALBD は約 112.5 百万(1.17 倍)。純イールドは北米 1.40 倍・欧州 1.39 倍と物価(1.41 倍)にほぼ並ぶ。純収入 329.3 億ドル、営業利益 82.5 億ドル(純収入比 25.1%)、純利益 68.8 億ドル。会社の計画(新造船は 1〜2 年に 1 隻、2025〜33 年の供給の増加は年 1.5% 前後)どおり進み、PROPEL の ROIC 16% 超が 2030 年代も保たれる。純負債は EBITDA の 2.3 倍(会社基準)で還元は 10 年で 491 億ドル。ロイヤル・MSC との競争でカリブ海の単価は物価をわずかに下回るが、私有の目的地の収入と船内消費(売上の 34%)が補う。景気の谷は 1 回来るが、投資適格のもとで配当は止まらない。倍率は正当化 PER 12.9 倍の 8.5 割にあたる 10.9 倍に置いた。

  • 北米(カーニバル・プリンセス・ホランド・アメリカ・シーボーン):数量 73.0(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 3.04(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 222 億ドル・営業利益 61 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)
  • 欧州(アイーダ・コスタ・P&O・キュナード):数量 39.5(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 2.72(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 107 億ドル・営業利益 29 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)

倍率:上限の正当化 PER 12.9 倍に対し、10.9 倍(8.5 割)に置いた。中立の 8.0 割に、利益の質がよい分を上乗せした(やや楽観 +0.5 割)。上限の中身は g 4.0%、RONIC 15.4%(k 9.75% + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k))、moat は 弱い。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 26.7%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 17%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.7(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 69 億ドル × 10.9 倍で 753 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。

確率:PROPEL の目標(ROIC 16% 超)が 2030 年代も保たれる形。20%。

中立 38% 中立:供給は年 1% 台前半、純イールドは物価を 4 ポイント下回り、営業利益率は 22% 前後 利益 56 億ドル · PER 9.9 倍 · 株価時価総額 39.59 ドル555 億ドル

2035 年の ALBD は約 110.3 百万(2025 年の 1.14 倍:2026〜28 年に約 +3%、その後は新造船 1〜2 年に 1 隻で年 +1.4%。世界の乗客が年 4.4% で 5,700 万人まで増えるのに対し、定員シェアは 32% から約 25% へ下がる)。純イールドは北米・欧州とも 1.35 倍(物価 1.41 倍を 4 ポイント下回る:MSC・ロイヤルの増加、カリブ海の供給の増加が上限を決めるが、私有の目的地と船内消費が補う)。純収入 312.9 億ドル(今の 1.55 倍)、営業利益 70.2 億ドル(純収入比 22.4%。景気の谷 1 回分と、燃料・排出規制の費用を平均に入れ、2025 年の 22% をわずかに上回る程度)、純利益 56.3 億ドル(純負債 293 億ドル、純利息 約 12.5 億ドル:全額が借り換えで 5.75% 前後になる)。還元は 10 年で 434 億ドル(純利益の合計 418 億ドルに、減価償却から設備投資を引いた余り・運転資金の増加を足し、借入の増加を加えた額)。競合のロイヤル(利益率 33〜38%)には届かないが、2025 年の利益率は保つ形。倍率は正当化 PER 12.3 倍の 8.0 割にあたる 9.9 倍に置いた。

  • 北米(カーニバル・プリンセス・ホランド・アメリカ・シーボーン):数量 71.8(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 2.94(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 211 億ドル・営業利益 53 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)
  • 欧州(アイーダ・コスタ・P&O・キュナード):数量 38.5(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 2.64(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 102 億ドル・営業利益 25 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)

倍率:上限の正当化 PER 12.3 倍に対し、9.9 倍(8.0 割)に置いた。新しく投じる資本の稼ぎは先で薄れるので 8.0 割に置いた。上限の中身は g 4.0%、RONIC 13.7%(k 9.75% + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k))、moat は 弱い。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 21.7%(帳簿の自己資本 ROE は 40% 超か自己資本が負・極小なので使わず、ROIC 15%(税引き後営業利益 ÷(その筋書きの自己資本+今の純負債))+(ROIC − 税引き後の借入金利 4.4%)× 業界並みの負債の比 0.7(純負債 ÷(自己資本+純負債)。1 まで)で出した値)。時価総額は、書いた純利益 56 億ドル × 9.9 倍で 555 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。

確率:業界ノートの中立(乗客 年 +4〜5%、ネット・イールド 年 +3%)に対し、カーニバルは供給を絞るぶん定員シェアが下がる形。景気の谷 1 回分を織り込む。38%。

やや悲観 24% やや悪い:単価が物価を大きく下回り、景気の谷が 2 回来る 利益 40 億ドル · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 26.55 ドル372 億ドル

2035 年の ALBD は約 107.0 百万(1.11 倍)。需要が弱く、MSC・ロイヤルが供給を増やして、純イールドは北米 1.28 倍・欧州 1.27 倍と物価(1.41 倍)を 1 ポイント以上下回る(年 +2.5%)。純収入 286.3 億ドル、営業利益 54.1 億ドル(純収入比 18.9%)、純利益 39.6 億ドル(純負債 300 億ドル、純利息 約 13.5 億ドル)。景気の谷が 2 回来て、そのたびに自社株買いを止め、還元は 10 年で 348 億ドル。燃料と排出規制(EU の排出量取引・IMO)の費用が利益率を 19% 近くまで押し下げ、PROPEL の目標は 2020 年代の終わりに届かない。会社は残るが、2019 年並みの利益率に戻る形。倍率は正当化 PER 13.4 倍の 7.0 割にあたる 9.4 倍に置いた。

  • 北米(カーニバル・プリンセス・ホランド・アメリカ・シーボーン):数量 69.5(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 2.78(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 193 億ドル・営業利益 42 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)
  • 欧州(アイーダ・コスタ・P&O・キュナード):数量 37.5(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 2.48(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 93 億ドル・営業利益 20 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)

倍率:上限の正当化 PER 13.4 倍に対し、9.4 倍(7.0 割)に置いた。中立(8.0 割)より 0.5 割低くした。利益の質が悪い筋書きだからだ。上限の中身は g 4.0%、RONIC 17.6%(k 9.75% + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k))、moat は 弱い。式は (1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 33.2%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))。時価総額は、書いた純利益 40 億ドル × 9.4 倍で 372 億ドル。純負債と利払いは純利益に入っているので、借金はさらに引かない。

確率:燃料・排出規制の費用と MSC・ロイヤルとの競争で利益率が 19% 近くへ下がる形。クルーズの循環の深さと借金を考え、中立に次いで厚い 24%。

悲観 11% 悲観:構造的に負ける(顧客を奪われ、排出規制・燃料・事故で利益率が崩れる) 利益 19 億ドル · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 12.60 ドル177 億ドル

2035 年の ALBD は約 102.0 百万(1.06 倍。新造船の一部を延期・売却する)。ロイヤルと MSC(2033 年に 11.8%)が収益性の高い大型船で顧客を奪い、さらに排出規制(EU の排出量取引・IMO)、燃料の高止まり(ヘッジなし)、事故・感染症・ハリケーンが重なり、純イールドは 2025 年の北米 1.18 倍・欧州 1.15 倍(物価 1.41 倍を大きく下回る)に。純収入 250.4 億ドル、営業利益 34.7 億ドル(純収入比 13.9%。2019 年の約 21% を下回る)、純利益 18.8 億ドル(純負債 207 億ドル、純利息 約 15.5 億ドル)。景気の谷でそのたびに配当を止め、還元は 10 年で 139 億ドル。バリュー投資の目では、もう優良とは言えないが、乗客 1,360 万人・94 隻・私有の目的地は残り、事業が消えるわけではない。

  • 北米(カーニバル・プリンセス・ホランド・アメリカ・シーボーン):数量 66.0(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 2.57(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 170 億ドル・営業利益 29 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)
  • 欧州(アイーダ・コスタ・P&O・キュナード):数量 36.0(ALBD(百万。乗客定員×日数))× 価格 2.25(純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100))→ 売上 81 億ドル・営業利益 13 億ドル。ALBD(百万)と純イールド(億ドル/百万 ALBD)

倍率:式どおり:g 1.5%(g はこの筋書きの数量と価格から置いた)、ROE 8.4%(帳簿の自己資本 ROE(その筋書きの純利益 ÷ 自己資本))、k 9.75%。(1−g÷RONIC)÷(k−g) の値は来年の利益に対する倍率なので、10 年目の利益には ×(1+g) で 9.4 倍。RONIC = k + 残る割合 0.33 ×(事業の ROE − k)= 9.3%。上限の正当化 PER 10.3 倍の 9.2 割で、上限の内側。10 年目の利益の伸びは年 10% 未満なので 1 段。時価総額は、書いた純利益 19 億ドル × 9.4 倍で 177 億ドル。

確率:10 年で優良さを失う確率として 11%。ブランドの数・新造船の枠・私有の目的地は残るので、全部が同時に崩れる確率は高くない。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

北米(カーニバル・プリンセス・ホランド・アメリカ・シーボーン)

北米発着を中心とするクルーズの運賃と船内消費。63 隻、定員の 64%。純収入ベース。

数量ALBD(百万。乗客定員×日数)価格純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100)売上営業利益
今 2025/12 61.8 2.18 135 33
10 年後 中立 71.8 2.94 211 53

取り方:2025 年の ALBD 96.5 百万を定員比 64%(63 隻・174,910 人)で北米 61.8 百万。区分別の純収入は開示がないので、売上 176.0 億ドルに全社の純収入÷売上 76%(純収入 202.3 億ドル=調整後粗利)を当てて 76.4% とし、純収入 134.5 億ドル、純イールドは約 218 ドル(推定)。営業利益は 10-K の北米 約 33 億ドルで、純収入比 24.5%。

欧州(アイーダ・コスタ・P&O・キュナード)

欧州発着のクルーズの運賃と船内消費。31 隻、定員の 36%。純収入ベース。

数量ALBD(百万。乗客定員×日数)価格純イールド(億ドル/百万 ALBD = 1 ALBD あたりのドル ÷ 100)売上営業利益
今 2025/12 34.7 1.95 68 17
10 年後 中立 38.5 2.64 102 25

取り方:2025 年の ALBD の定員比 36%(31 隻・97,470 人)で欧州 34.7 百万。売上 84.7 億ドルに純収入÷売上 80.0% を当てて純収入 67.8 億ドル(北米と合わせて全社の 202.3 億ドルに合う。北米の 76.4% より高いのは、旅行代理店の手数料・運賃連動費の比率が低いと置いた推定)、純イールドは約 195 ドル(推定)。営業利益は 10-K の欧州 約 17 億ドルで、純収入比 25.1%。本社費・アラスカの陸上ツアーなど約 −5.5 億ドルは調整に入れる。

リスクと懸念

景気後退で単価と稼働が落ち、借金が重くのしかかる

クルーズは消費の中で最も景気の影響が大きい領域で、2008〜09 年は株価 −60%、2020 年は運航停止で −74%、2022 年の利上げでも −68%。純負債は約 260 億ドル(営業利益の約 5 倍、2025 年)で、2027 年 35 億・2028 年 49 億・2029 年 49 億・2030 年 35 億ドルの満期(利息込み)が来る。不況で稼ぎが落ちると配当・自社株買いは止まり、増資の恐れが出る。3 年以内に来る確率を 12% と見て悲観に置いた。

燃料を固定せず、価格の変動が直接利益に出る

主要 3 社で唯一燃料をヘッジしない。2026 年の燃料費は約 22.5 億ドル(1 トン 768 ドル、2025 年は 610 ドルで 18.1 億ドル)。燃料 10% の変動で年 2 億ドル前後(純利益の約 7%)、2026 年 4 月は燃料で調整後 EPS 見通しを最大 2.48 から約 2.21 へ引き下げた。燃料消費は 2026 年に ALBD あたり 3.8% 改善しているが、原油高と排出規制(EU の排出量取引・IMO)の費用は長期の重荷。

利益率の低さと、ロイヤル・MSC への定員シェアの流出

純収入ベースの営業利益率は 22%(2026 年は約 20%)で、ロイヤルの 33〜38% の約 6 割。船が小さく 1 隻あたりの船内消費が少ない。ロイヤルは 2027 年 +4%・2028 年 +6%・2029 年 +7% と供給を増やし、MSC は 2033 年に 11.8% を目指す。カーニバルは供給を年 1.5% 以下に絞るので定員シェアは 32% から 25% 前後へ下がり、単価を守れなければ利益が減る。

カリブ海と目的地への集中、ハリケーン・事故・感染症

北米の区分は定員の 64%、利益の約 7 割で、カリブ海・バハマの私有の目的地(セレブレーション・キー:2027 年 350 万人)への依存が高まる。ハリケーン、事故、感染症(2020 年の運航停止)は船が動かなくなる事象で、稼働と単価の両方を落とす。目的地は許認可と環境規制の外部の力を受ける。

欧州の需要と地政学(中東)

2026 年 3〜5 月は中東の紛争が欧州の配船の予約に一時の逆風となり、6〜8 月の見通しを引き下げた(その後の決算で回復)。欧州は定員の 36%、営業利益の約 3 割。為替(ユーロ高は 2026 年の純イールドを名目で +1.5 ポイント押し上げた)は筋書きで動かさないので、為替の反転は悲観側の材料。

新造船の資本の重さと造船所への依存

新造船は 1 隻 20 億ドル前後で、2027〜2030 年の新造船の設備投資は毎年 15〜18 億ドル。発注から引き渡しまで 3〜4 年かかり、遅れや費用の上昇が起こりうる。造船所は 2030 年代前半まで埋まっており、堀でもあるが、需要が弱っても船は来る。

今の値段が資本コストの置き方に左右される

資本コスト 9.75% は借金の重さと景気連動を quality で見た値で、k が 11% に上がると式の倍率は約 2 倍低くなり、割安さは縮む。今の PER(2026 年見通しの純利益に対し約 12 倍)が低いのは、市場がそのリスクを価格に入れているからとも読める。

今後の分かれ目

純イールドが物価並み(年 +3.5%)で 3 年続き、供給が計画どおり増える
10 年後の純利益が 80 億ドル超になり、倍率が式の値(約 12 倍)なら時価総額は約 1,000 億ドル。楽観の筋書き。
景気後退で純イールドが 6% 下がり、稼働が 100% 前後に落ちる
営業利益は 6 割減、純利益は 6 億ドル前後に落ち、配当・自社株買いは停止。谷の年の時価総額は、ならした利益 × 2008 年の谷の PER で、今の約 5 割(190 億ドル前後)。
原油(燃料)が 2026 年の水準よりさらに 10% 上がる
燃料をヘッジしないので、年 2 億ドル前後の純利益が減る。ロイヤル(約 60% をヘッジ)より約 3 倍の感度。
ロイヤル・MSC の新造船がカリブ海に入り、純イールドの伸びが 2% 台前半に鈍る
営業利益率は 19〜20% へ下がり、10 年後の純利益は 40 億ドル前後。時価総額は 370 億ドル前後(今と同程度)で、還元を足した年率は +7% 前後と資本コスト 9.75% に届かない。
2029 年に PROPEL の目標(ROIC 16% 超、EPS +50% 超)を達成する
純利益は 2029 年に 45 億ドル前後、純負債 ÷ EBITDA は 2.75 倍。中立から楽観側へ動く。未達でも借金返済は進み、中立のまま。
金利が下がり、10 年国債が 4% 台に戻る
借り換えの利払いが軽くなり、倍率も上がる上振れ要因だが、この前提(物価・金利は動かさない)では織り込まない。

見ておくもの

  • 純イールドの伸び(為替除く)と、供給(ALBD)の伸びとの差
  • 予約の積み上がり(2027 年・2028 年が過去最高のペースか)と顧客預り金
  • 営業利益率(純収入比)と、燃料を除く費用/ALBD
  • 純負債 ÷ EBITDA(2.75 倍)と、2027〜2030 年の満期の借り換え
  • 燃料価格(原油)と燃料消費/ALBD の改善
  • セレブレーション・キーの来訪者数(2026 年 270 万人、2027 年 350 万人)
  • 新造船(フェスティバーレ 2027 年 4 月、トロピカーレ 2028 年 3 月、新型 2029 年 7 月)の引き渡し
  • ロイヤル・ノルウェージャン・MSC の供給の増加とカリブ海の価格

倍率と資本コストの決め方

今の時価総額 363 億ドル(2026 年の純利益 約 30 億ドルの PER 約 12 倍)を見る前に、北米と欧州に分け、ALBD × 純イールドで純収入を積み、営業利益率で利益を置いた。倍率は k 9.75%(基本 8.0% + quality +1.75%)・g 3.0〜4.0%・事業の ROE(帳簿が 40% 以下は帳簿、超えたら ROIC から直した値)の利益ベースの正当化 PER(RONIC = k + 1/3 ×(事業の ROE − k)、堀が薄いので 1/3)の 7〜9 割とし、10 年目の利益に ×(1+g) を掛けた。中立の倍率は 9.9 倍で今の PER とほぼ同じになり、時価総額が今を上回るのは利益が 2 倍になるため。過去の PER や今の倍率には寄せていない。悲観側を厚く置いたのは景気連動・燃料・借金の重さのため。

資本コスト 9.8% = 無リスク金利 5% + β 2.39 × 5%。資本コスト k = 基本 8.0% + quality +1.75% = 9.75%(v2。株価の揺れ(β)は使わない)。景気連動の強さと借金の重さを quality の cycle・debt で見た。2026 年に S&P が投資適格へ格上げし、存続が危ない会社ではなくなったので extra は 0。個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と確率、悲観の深さで表した。

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の利益ベースの倍率で測ると、悲観を厚く置いてもやや割安 本質価値との差 +14.8% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 ドミノ・ピザDPZ 世界 2.2 万店・97% が加盟店のピザ宅配本社で、堀は厚いが米国の既存店が止まり借金 4 倍超。利益ベースの倍率で中立は 10 年で年 +9% 前後、総合はやや割安 本質価値との差 +10.5% · 10 年 やや割安(年 +8.0%) 適正 NVRNVR 土地を持たない仕組みで ROE 2 割台を保つ住宅建設。資本コスト 8.75% の利益ベースの倍率で見ると今の PER 11.9 倍は 10 年でやや割安だが、粗利益率は下り坂 本質価値との差 +8.0% · 10 年 適正(年 +8.1%) 適正 オートゾーンAZO 商業の成長と店舗網で堀は厚いが、DIY の客数減と借入頼みの買い戻しが重い。利益ベースで測ると今の値段はやや割安 本質価値との差 +6.8% · 10 年 適正(年 +7.1%) 適正 D.R.ホートンDHI 量より利益率を守る入門向け最大手。資本コスト 9.0% の利益ベースの倍率(堀が弱く約 10 倍)で見ると、10 年の伸びの分だけ今の値段はやや割安 本質価値との差 +4.9% · 10 年 適正(年 +7.8%) 適正 マクドナルドMCD 世界最大の外食の不動産と加盟店網の堀は厚いが、客数の減少と加盟店の収益悪化が重い。それらを確率で厚く織り込んでも、利益ベースの本質価値は今の値段をやや上回り、中立で 10 年の年率は +8% 前後の適正 本質価値との差 +4.5% · 10 年 適正(年 +6.8%) 適正 ナイキNKE 世界最大のスポーツブランドが利益の谷にいる。回復を利益ベースの倍率で測るとほぼ適正、勝負は卸の棚と中国 本質価値との差 +3.9% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 プルトグループPHM 土地をオプション中心で持つ、粗利益率の高い 3 層分散の住宅建設。資本コスト 9.0% の利益ベースの倍率(堀が弱く約 10 倍)で見ると、今の PER 約 10 倍は 10 年でやや割安 本質価値との差 +2.8% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 タペストリーTPR コーチの熱が利益率を過去最高に押し上げた。利益ベースの倍率で測るとほぼ適正、勝負は流行が冷めるか 本質価値との差 +2.5% · 10 年 適正(年 +7.4%) 適正 チポトレ・メキシカン・グリルCMG 直営の外食で最も資本効率が高く、北米 7,000 店の出店余地も残るが、客数の弱さと利益率の低下が続き、強気と慎重の幅が広い。利益ベースで測ると 10 年の中立は今の時価総額を上回るが、客数の弱さを織り込んだ総合は適正 本質価値との差 +0.3% · 10 年 適正(年 +7.1%) 適正 MGMリゾート・インタナショナルMGM ラスベガス・マカオ・米国の地域カジノを賃借で持つ総合カジノ。固定の賃料が年 約 22 億ドルあり、利益が景気と価格に大きく振れる。資本コスト 10% の利益ベースの倍率では今の値段は適正 本質価値との差 −4.2% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 TJX カンパニーズTJX オフプライス小売の最大手。仕入れの堀は景気が悪いほど強いが、中立の年率は資本コストに届かず、総合はほぼ適正 本質価値との差 −6.0% · 10 年 適正(年 +6.0%) 適正 ロウズ・カンパニーズLOW ホーム・デポに次ぐ 2 番手の優良小売。買収後の債務と DIY の弱さを厚く見ると、PER 16.6 倍は資本コスト 9.0% の利益ベースの倍率(約 14 倍)と近く、今の値段は適正 本質価値との差 −9.5% · 10 年 適正(年 +6.2%) 適正 ロイヤル・カリビアン・グループRCL ロイヤル・カリビアンは純収入ベースの営業利益率が 33% 超とクルーズ最強だが、借金を抱えた景気連動の船会社で、資本コスト 9.25% の利益ベースの倍率(PER 約 12 倍)では今の値段は適正 本質価値との差 −9.7% · 10 年 適正(年 +6.8%) やや割高 エクスペディア・グループEXPE B2B の高成長と直販の厚みで利益率が上がる途中。資本コスト 9% の利益ベースの倍率で数えると、勢いは確かだが今の値段は適正 本質価値との差 −10.2% · 10 年 やや割高(年 +6.7%) やや割高 オライリー・オートモーティブORLY プロ向けの配送網と部品小売の安定で堀は厚い。利益ベースで測ると今の値段は妥当からやや高めで、中立の年率は資本コストに届かない 本質価値との差 −14.8% · 10 年 やや割高(年 +4.6%) やや割高 ジェニュイン・パーツGPC 自動車の NAPA と産業のモーションの 2 本立て。分離(2027 年第 1 四半期)で価値が出るが、自動車の利益率の低さと借金が重い 本質価値との差 −16.0% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 ヤム・ブランズYUM ピザハットを売って KFC とタコベルに絞った外食フランチャイズ本社で、堀は厚く成長も続くが、倍率が k−g の薄さに敏感で、利益ベースで測ると中立の 10 年は年 +5% 前後で、総合はやや割高 本質価値との差 −16.2% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 ベスト・バイBBY 米国最大の家電専門店。パソコン・携帯の買い替えで利益率は持ち直したが、アマゾン・ウォルマートに挟まれ、堀が薄い耐久財の小売として見る 本質価値との差 −16.9% · 10 年 やや割高(年 +4.8%) やや割高 ノルウェージャン・クルーズ・ラインNCLH 大型クルーズ 3 位。NCL ブランドの需要が崩れ、純レバレッジ 6 倍超の中で立て直し中。資本コスト 10.25% の利益ベースの倍率で測ると、回復を入れても今の値段はやや割高 本質価値との差 −17.4% · 10 年 やや割高(年 +7.5%) やや割高 ダーデン・レストランツDRI フルサービス外食の最大手で、ロングホーンの勢いと出店で伸びるが、オリーブガーデンの客数の弱さと牛肉・人件費が重い。利益ベースで測ると 10 年の中立は今の時価総額を上回るが、悲観側の厚みと資本コストを織り込むと総合はやや割高 本質価値との差 −19.3% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 トラクター・サプライTSCO 田舎暮らしのペット・畜産・庭・補修用品を 2,600 店超で売る米国最大の農村向け専門小売。堀は店の近さと専門品だが、2026 年は既存店が落ち、利益率の下げ止まりが論点 本質価値との差 −23.7% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 ラルフローレンRL 世代を超えて売れる定番ブランドで利益率は過去最高。勝負は熱の持続とアジアの伸び 本質価値との差 −25.3% · 10 年 やや割高(年 +4.0%) やや割高 アマゾン・ドット・コムAMZN AWS と広告の利益は本物。設備投資の重さを ROE に入れ、資本コスト 8% と利益ベースの倍率で測ると、今の値段は楽観の筋書きまで先取りしてやや割高 本質価値との差 −27.7% · 10 年 やや割高(年 +4.1%) やや割高 イーベイEBAY 取扱高と手数料率が上向く成熟した古参の中古市場。今の PER 26 倍は利益ベースの倍率(約 14 倍)を大きく超えており、買収提案の観測を除くと本質価値は下でやや割高 本質価値との差 −28.0% · 10 年 やや割高(年 +3.7%) やや割高 ホーム・デポHD プロの囲い込みで堀は厚い。資本コスト 8.75% の利益ベースで倍率を引き直すと、住宅の停滞と買収後の債務を厚く見て、今の値段はやや割高 本質価値との差 −28.1% · 10 年 やや割高(年 +3.6%) やや割高 アプティブ・ホールディングスAPTV 配線事業を分離した後の「ニュー・アプティブ」。EC が稼ぎ、IS が足を引く部品会社で、純負債 46 億ドルと、中国・欧州の弱さを抱える 本質価値との差 −28.1% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) 割高 エアビーアンドビーABNB 民泊の最大手で資産が軽く高収益。10 年で年 1 割の成長と純現金を数えても、利益ベースの倍率(約 14 倍)で測ると今の PER 41 倍は高く、やや割高 本質価値との差 −30.2% · 10 年 割高(年 +3.6%) 割高 アルタ・ビューティULTA 化粧品の「安い品から高級品、美容室まで」を一つの店で売る米国最大の美容専門小売。会員と品ぞろえが堀だが、セフォラとマスに挟まれる位置で、利益ベースの倍率では今の値段はやや割高 本質価値との差 −33.1% · 10 年 割高(年 +2.8%) 割高 ロス・ストアーズROST 米国オフプライス 2 位。客数が絶好調だが、利益ベースの倍率(約 16 倍)で測ると今の値段は高く、総合は割高 本質価値との差 −33.2% · 10 年 割高(年 +2.8%) 割高 マリオット・インターナショナルMAR 世界最大のホテル手数料事業で堀は厚いが、今の PER 39 倍は利益ベースの倍率(約 18 倍)を大きく上回り、中立の 10 年の年率は +3% にとどまり割高 本質価値との差 −35.8% · 10 年 割高(年 +1.9%) 割高 ハスブロHAS 利益の約 9 割をマジックが稼ぐ一本足の玩具・ゲーム会社。利益ベースの倍率で測ると今の値段はやや割高で、2025〜26 年の高い水準が続くかが焦点 本質価値との差 −36.3% · 10 年 割高(年 +2.6%) 割高 カルバナCVNA 年 80 万台まで来た中古車ネット販売の最大手。利益ベースの倍率で測ると今の時価総額を大きく下回り割高。利益は景気と与信市場に強く振れる 本質価値との差 −38.6% · 10 年 割高(年 +3.4%) 割高 ウィリアムズ・ソノマWSM 家具とキッチンの設計を自社で握る高収益の小売。10 年で稼ぎは伸びるが、利益ベースの倍率で見ると今の値段は割高で、関税と住宅の回転が値段を大きく左右する 本質価値との差 −40.1% · 10 年 割高(年 +1.7%) 割高 ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスHLT 世界最大級の手数料事業で堀は厚いが、今の PER 54 倍は利益ベースの倍率の上限(約 23 倍)の倍以上で、中立の 10 年の時価総額は今を下回り割高 本質価値との差 −41.4% · 10 年 割高(年 +0.8%) 割高 スターバックスSBUX 世界 4.1 万店のコーヒーの堀は残るが、立て直しの反動を織り込んだ今の時価総額は利益の回復後の値より高く、中立でも 10 年の年率は 2% 前後で資本コスト 8.5% に届かず割高 本質価値との差 −43.6% · 10 年 割高(年 +1.1%) 割高 ドアダッシュDASH 米国の即時配達で約 6 割を握る成長企業。利益率の立ち上がりが全てで、資本コスト 8.5% と利益ベースの倍率で見ると今の値段は強気の筋書きも上回り、割高 本質価値との差 −51.1% · 10 年 割高(年 +0.8%) 割高 ガーミンGRMN 専門機器の優良企業。利益ベースの倍率(約 13 倍)で測ると今の値段は高く、総合は割高 本質価値との差 −53.4% · 10 年 割高(年 −0.5%) 割高 テスラTSLA 本業の利益は薄いのに、ロボタクシーとロボットへの期待だけで時価総額は 1.1 兆ドル超。今の値段に届くのは楽観の筋書きだけ 本質価値との差 −83.4% · 10 年 割高(年 −9.3%)

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読んだ資料

  1. Carnival 2026 年 Q3 決算(8-K)
  2. Carnival 2026 年 Q3 決算の要約(Cruise Industry News)
  3. Carnival 2026 年 Q3 決算の要約(Quartr)
  4. Carnival 2026 年 Q2 決算(8-K)
  5. Carnival 2025 年 Q4・通期決算(8-K)
  6. Carnival 2025 年 11 月期 10-K(船隊・セグメント・満期)
  7. PROPEL(2029 年の目標)と自社株買い枠(Market Chameleon)
  8. カーニバル plc との二重上場の解消(8-K)
  9. 新造船の計画(Travel Extra)
  10. セレブレーション・キーの来訪者数(Cruise Industry News)
  11. 燃料のヘッジと見通しの引き下げ(Baird Maritime)
  12. CCL の時価総額(Robinhood)

分析日 2026-10-16