結論
マテルはバービー、ホットウィール、フィッシャープライスを持つ世界有数の玩具会社である。筆者の結論は「やや割安」だが、安さの源は高成長ではなく、既存の商標が生む利益と自社株買いにある。物を売る玩具会社から知的財産を多方面で使う会社へ変わろうとしているが、その転換はまだ完成していない。
2025年の売上は約54億ドル、純利益は約4億ドルだった。ホットウィールの世界出荷は伸びる一方、バービーと乳幼児向けは弱い。2026年4~6月期は売上が前年同期比10%増えたのに、関税・販促費・投資負担で営業利益は大きく減り、四半期純損失になった。11月5日予定の第3四半期発表前で、回復を既成事実にはできない。
2026年秋には最高経営責任者と財務責任者が交代し、約18%を保有するエッジポイントが取締役を送り込んだ。売却を求める株主の声と買収への非拘束的な関心はあるが、会社全体の売却合意は確認できない。買収益を価値に上乗せせず、玩具の数量と利益の道筋で判断する。10年後の中立では車両玩具とゲームの伸びが人形の停滞を補う。ただし、悲観側の確率を厚くし、安値だから必ず回復するとは考えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、マテルの価値は長く愛される玩具の名前を、費用を掛け過ぎずに売り続けられるかで決まる。ホットウィールを毎年買い足す親子や収集家は、広告で一から需要を作る必要がない。その意味で、商標には繰り返し利益を生む力がある。工場や金型だけでは再現できない財産である。
一方で、バービー映画の大ヒットを毎年の利益の前提にすることはできない。2026年公開の「マスターズ・オブ・ザ・ユニバース」の世界興収は製作費を下回り、映画の成功率は予測しにくい。小売りへの値引き、映画の権利料、販促費を払い終えて残る現金こそ株主の取り分である。財務が回復したからといって、2017年のような失速が起きない保証はない。
経営の資本配分は半分成功、半分は留保付きで評価する。2023年以降の買戻しで株数は減ったが、2025年には稼いだ現金以上を買っている。新しいデジタル事業に資金を振り向けるなら、利用者の獲得費用を引いても資本コストを上回る証拠が欲しい。新たな大型買収や非公開化の噂に無条件の価値を認めない。
中立では、成熟した市場のなかで車両玩具とゲームが弱い部門を補い、利益率が回復する。10年で還元を受け取れることも投資家には大きい。しかし、会社全体の堀は盤石ではなく、悪い筋書きでは取り戻せない損失が生じる。十分な安全域を求めるなら、目先の買収報道より本業の改善を確認したい。
何で稼ぐ会社か
売上の大部分はウォルマート、ターゲット、アマゾンなどへの玩具卸売である。2025年は北米が約30億ドル、海外が約23億ドルを稼いだ。報告セグメントは北米と海外だが、需要の寿命を見るには人形、自動車玩具、乳幼児、その他の遊び、デジタルを分けるほうがよい。会社は品目別の卸売請求額を示すが、値引き後の純売上は開示しないため、地域ごとの控除率を用いて推計した。
人形はバービー、モンスターハイ、ディズニープリンセス、アメリカンガールが中心で、2025年の請求額は約21億ドルだった。ホットウィールとマッチボックスなどの車両玩具は約20億ドルで、ホットウィールだけでも毎年大量の小型車を生産する。フィッシャープライスなど乳幼児向けの請求額は約8億ドルに縮み、アクションフィギュア、ブロック、UNOなどのゲームとその他は約12億ドルとなった。
稼ぎは商品の原価だけで決まらない。世界的な広告、販路への値引き、映画や他社作品のライセンス料、在庫を先に抱える季節性が利益を左右する。地域別のセグメント利益合計から本社経費を差し引くと、会社全体の営業利益になる。人形と車両玩具の単価は高級版やセットの比率にも動かされるため、単純な定価上昇とは区別した。
2026年3月には共同出資だったマテル163の残り半分を取得し、モバイルゲームを連結した。取得前の2025年には連結売上を計上しないため、デジタルの基準数量はゼロとした。買収前からゲームには約2,000万人の月間利用者がいた。映画のバービーの成功は商標の広がりを示したが、映画一本の興行収入がそのままマテルの売上になるわけではなく、製作・配給会社との取り分で決まる。
優良さと弱いところ
強みは、子どもが商品名を覚えるほど長く続いた商標である。バービーとホットウィールは半世紀以上にわたり世代を越え、マテルは2025年に人形、車両、乳幼児の主要分野で世界首位と説明している。映画化やゲーム化の入口も自社で持てる。新興メーカーが広告費だけで同じ認知を得るのは難しい。
ただし、商標の知名度は強い値上げ権と同じではない。人形は映画の翌年以降に失速し、2025年のバービーの請求額は11%減った。2026年前半も弱く、フィッシャープライスの減少も続いた。小売りの売場と販促は大手3社に強く左右され、2025年の売上の42%を占める。価格を守るため広告・値引きが増えるなら、商標の堀は利益に変わらない。
資本効率は回復したが、安定して優良だった歴史はない。2017~19年の赤字で自己資本が大きく傷み、過去10年のROE中央値は15.5%にとどまる。2023年から買い戻した株数は多いものの、2025年の自社株買いはフリーキャッシュフローを上回った。継続して生む現金と買戻し価格の両方を見る必要がある。
成長投資の合否は、マテル163の利用者と課金、映画由来の玩具の再購入、車両玩具の数量で判断する。生成AIは制作費を下げても、新しい競合キャラクターを増やす。ブランドの寿命に賭ける価値はあるが、世界首位という順位だけで会社全体を「強い堀」とはしない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の玩具小売市場は2025年に約1,230億ドルへ拡大し、前年比8%増だった。調査対象12市場では販売個数が3%増、平均単価も3%上がった。市場の上昇をマテルの恒常的な数量成長に置き換えてはならない。収集品は大きく伸びたが、通常の人形や乳幼児玩具は長期にわたり縮んでいる。15歳以上の購入者の比率が上がり、人口だけでは説明できない市場に変わっている。
米国の2025年追跡小売売上では人形が25億ドル、車両が19億ドル、乳幼児玩具が33億ドル、アクションフィギュア・ブロック・ゲームは合計113億ドルだった。追跡対象は市場の約68%にすぎない。これを拡大し、北米卸売請求額に小売上乗せ1.5~1.8倍を仮定すると、米国参考シェアは人形45~55%、車両45~55%、乳幼児12~18%、その他5~9%程度となる。国、値引き、販路の違いがあるため確定値ではない。競合各社の同一定義のシェアは公表資料から確認できない。
ライバルのレゴは2025年に売上を12%増やし、営業利益率が26%を超えた。ブロックではマテルの新ブランド「ブリックショップ」は後発だ。ハスブロはトレーディングカード「マジック」の高収益が強みで、マテルはそこを同じようには稼げない。人形ではエムジーエーのL.O.L.サプライズ、アクションではスピンマスター、車両ではタカラトミーや低価格の模倣品が競う。
今後10年は、世界の玩具の実質需要を年0~1%程度、名目価格を年3.5%前後と見る。成熟国の出生減で乳幼児玩具の数量は減り、ホットウィールと大人向け収集品はシェアを取れる余地がある。関税・物流・プラスチックの原価は製品の値付けより早く上がり得る。AIエージェントによる人月・席課金の代替類型には該当しないが、AI制作の低価格コンテンツが競合IPを増やす危険はある。
資本政策と M&A
2025年は6億ドルの自社株買いを実行し、配当は2018年以降再開していない。2023年からの買戻し累計は12億ドルを超え、会社は2026年2月に2028年末までを想定した15億ドルの新枠を設けた。2026年は4億ドルの買戻し予定を再確認している。通期見通しは為替を除く売上成長3~6%、調整後営業利益5.8~6.3億ドルで、GAAP利益の約束ではない。ただし株式報酬の希薄化を差し引くと、株主への正味の還元は公表買戻し額より小さい。
マテル163の残り50%は2026年3月に約1.8億ドルで取得した。2026年にはゲーム、直販、独自顧客データ、AI基盤などに約1.5億ドルを重点投資する方針で、コスト削減の累計目標は2.25億ドルである。会社は投資の利益寄与を2027年以降に期待するが、10年の増分利益率を保証するものではない。
2026年9月末に旧経営者が退き、ロジャー・リンチが経営を引き継ぐことになった。10月には新CFOの就任と、約18%保有のエッジポイントとの協調による取締役追加が続いた。他の株主は売却や事業再編を求め、オーセンティック・ブランズからの買収関心も報じられたが、成立した会社売却はない。少数株主の利益が守られるかは、買戻し価格と買収契約の条件次第である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
マテルの商標は市場で見かける以上に寿命が長い。ホットウィールは大人の収集市場に広がり、生産数量の規模は他社が追いつきにくい。2025年の車両玩具の世界請求額は11%伸びた。人形もバービー、モンスターハイ、ディズニープリンセスの複数ブランドを持ち、2025年にディズニーとの契約を更新している。乳幼児向けが減っても、成人の趣味と映画関連の玩具で売場を作り直せる。
世界の玩具市場は人口の伸びだけで測れない。収集品やゲームは子どもの数が減っても伸び、2025年の業界の増収に貢献した。マテルは新しいブロック商品を投入し、他社のアニメや映画の作品も商品化できる。レゴのような高い製品開発力と利益率にはまだ及ばないが、追う側には改善の余地がある。
デジタルでは、既に約2,000万人が使っていたマテル163を完全子会社化した。UNOなどを利用者のいる場所で直接売れれば、映画が当たらなくてもIPの稼ぎ口が増える。2026年の投資負担は一過性で、翌年以降に販売費と重複する本社費を減らせる。生産拠点を分散させた効果も出てくる。
2026年秋の経営交代は、停滞した玩具企業をIP企業へ変える機会にもなる。大株主が取締役会に加わり、費用対効果を監視すれば無駄な投資を減らせる。買収報道の実現を条件にせずとも、車両玩具の販売数量と利益率が伸び、買戻しが続けば、株主に帰属する価値は今より大きくなる。
慎重な見方
売れる名前と、毎年値上げできる事業は違う。人形の請求額は2025年に7%減り、バービー自体は11%減った。乳幼児向けは17%減り、2026年春も落ち込んだ。映画が当たった翌年にも定価で売り続ける力がなければ、広告費と小売りへの値引きが増える。利益率は商標の知名度に反して下がり得る。
世界の玩具市場の拡大はマテルのものとは限らない。レゴは自社商品の創造性と繰り返し購入で高い利益率を維持し、ハスブロはカードゲームに強い。ポケモンの収集品が伸びてもマテルの売上には直結しない。大型量販店とオンラインモールの売場は限られ、低価格の模倣品と新興ブランドがマテルの定番品の棚を奪う。
2026年4~6月には売上が増えたのに利益が減った。関税、広告費、映画ライセンスの負担を販売価格に転嫁できていない証拠だ。買収したゲーム会社は利用者数が多くても、課金単価が上がるとは限らない。配信市場では新作の寿命が短く、広告で利用者を買う費用が利益を消す。
2017~19年の赤字は机上の可能性ではない。売上の4割超を占める3大顧客の発注が鈍れば、在庫と借金が一緒に重くなる。最高経営責任者と財務責任者の交代、外部株主の売却要求は変革を速める反面、安易な買収・会社売却を生む危険もある。確定していない買収観測を利益に足すべきではない。
どちらに重みを置いたか
商標の寿命については強い見方に分がある。しかし、2026年の利益悪化と経営体制の入れ替えが示すように、それを現金に変える道筋はまだ不安定である。楽観とやや楽観の合計を26%、中立を31%、やや悲観と悲観を43%とし、慎重な側に寄せた。
中立では車両玩具、ゲーム、費用改革によって利益が増え、正味の還元も積み上がる。この条件なら今の時価総額に対してやや割安となる。ただし買収観測の上乗せを一切含まず、2017年型の崩れを再現する悲観では資産の処分価値に近づくため、結論の確信度は高くない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 30.48 ドル88 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 9.91 ドル29 億ドル)。 今の値に割り戻すと 19.32 ドル56 億ドル、今との差 +25.3%、 期待の年率 +12.0%(資本コスト 9.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 79.93 ドル231 億ドル | 19.73 ドル57 億ドル | +546.3% | +24.6% | 7.97 ドル23 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 56.35 ドル163 億ドル | 15.23 ドル44 億ドル | +364.2% | +19.8% | 12.88 ドル37 億ドル |
| 中立 | 31% | 35.36 ドル102 億ドル | 12.81 ドル37 億ドル | +212.4% | +14.7% | 14.93 ドル43 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 9.79 ドル28 億ドル | 5.19 ドル15 億ドル | −2.8% | −0.3% | 4.04 ドル12 億ドル |
| 悲観 | 16% | 2.08 ドル6 億ドル | 1.38 ドル4 億ドル | −77.6% | −16.1% | 0.55 ドル2 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 30.48 ドル88 億ドル | 9.91 ドル29 億ドル | +161.9% | +12.0% | 40.39 ドル117 億ドル |
今の株価時価総額 15.42 ドル45 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:商標が大人市場とデジタルへ広がり、車両が成長を主導 利益 16 億ドル · PER 14.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 79.93 ドル231 億ドル
ホットウィールの車両等価台数は7.8億台から10.5億台へ伸びる。大人の収集品とプレミアムセットが世界に広がり、単価も上がる。レゴやハスブロの顧客を一部取り、マテルの人形はディズニーとのライセンスを保ちながら再び流行を作る。人形の年間等価数量は1.23億点へ増える。
マテル・ブリックショップがレゴの一部を奪い、アクションフィギュアやUNOが定着する。マテル163の課金利用者基盤は月間6,500万人へ拡大し、年収益化は利用者1人当たり21ドルとなる。映画や映像は宣伝効果として扱い、一過性の興行収益を繰り返す前提にはしない。
商品粗利と本社機能の効率化が進み、全社売上は約121億ドル、営業利益は約22億ドルとなる。2026年の投資負担が利益に転じるが、販促費は引き続き必要である。GAAP純利益は15.5億ドルを見込み、10年間で利益85億ドルから正味57億ドルを株主に返す。新経営陣が企業買収より自社商標の育成を優先する筋書きである。
- 人形・着せ替え:数量 1.2(人形・付属品の年販売個数(億点、推計))× 価格 28(1点当たり実質卸売単価(ドル、玩具セット混合))→ 売上 34 億ドル・営業利益 9 億ドル。人形の数量×品目構成別の卸売単価。映画の一時収入は別に足さない。
- 車両・ミニカーと走行セット:数量 10.5(ホットウィール車両生産数に基づく車両等価数量(億台、推計))× 価格 3.48(1車両等価当たり卸売売上(ドル、コース等を含む))→ 売上 37 億ドル・営業利益 10 億ドル。車両等価台数×卸売単価。コースなどの売上も車両等価に換算。
- 乳幼児・就学前玩具:数量 0.6(乳幼児向け玩具・用品の販売等価個数(億点、推計))× 価格 21(1等価個数当たり卸売売上(ドル、玩具・大型用品混合))→ 売上 12 億ドル・営業利益 2 億ドル。出生数・売場シェア×価格。乳幼児用品は単価が高く、数量は推計。
- アクションフィギュア・ブロック・卓上ゲーム:数量 2.2(玩具・カード・ゲームセット等価販売数(億点、推計))× 価格 11(1等価点当たり卸売売上(ドル、ライセンス商品混合))→ 売上 25 億ドル・営業利益 5 億ドル。ゲーム・ブロック・アクションの販売等価点数×卸売単価。
- マテル163・連結デジタルゲーム:数量 65.0(連結モバイルゲーム月間利用者(百万人、2025年は連結対象外))× 価格 0.21(月間利用者1百万人当たり年換算売上(億ドル))→ 売上 14 億ドル・営業利益 4 億ドル。連結デジタルゲームの月間利用者×利用者当たり年間収益。
倍率:k9.0%、2035年後のg4.0%(実質市場+1%、シェア横ばい、価格+3%)、ROE15.5÷50.3=30.8%、普通の堀で残存率1/2、RONIC19.9%。翌年利益の正当化PER15.98倍に1.04を掛け上限16.62倍。製品とデジタルがともに成功するが映画の再現性は低いため、上限の89.6%にあたる14.90倍。株式報酬はGAAPで費用済み。
確率:車両・人形・新ゲームの同時拡大に加えて利益率の高い水準での定着が必要であり、現状の人形不振と映画の当たり外れを考えて8%に抑えた。
やや楽観 18% やや楽観:車両とUNOが伸び、バービーの数量が回復 利益 11 億ドル · PER 14.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 56.35 ドル163 億ドル
ホットウィールは大人向けのプレミアム商品を増やし、車両等価台数は9.8億台になる。バービーは2025年の落ち込みから回復し、モンスターハイとディズニー作品が子ども向けの売場を支える。人形の等価数量は2025年の約1.1倍に戻る。
乳幼児向けの数量は減らないが、出生人口の伸びを当てにはしない。映画由来の玩具とUNO、ブリックショップでアクション・ゲームの数量を3割ほど増やす。レゴほどの市場占有率は取らず、ハスブロとも一定の住み分けが続く。マテル163は月間4,500万人を集め、広告宣伝費を払っても利益を残す。
商品別の利益改善と本社改革で売上は約101億ドル、営業利益は約17億ドルとなる。新経営体制は小規模なIP投資を優先し、大型の株式交換買収は想定しない。純利益は11.4億ドルとなり、期間累計65億ドルのうち正味44億ドルを還元する。営業の回復に比べ財務の改善は徐々に進む。
- 人形・着せ替え:数量 1.1(人形・付属品の年販売個数(億点、推計))× 価格 27(1点当たり実質卸売単価(ドル、玩具セット混合))→ 売上 29 億ドル・営業利益 8 億ドル。人形の数量×品目構成別の卸売単価。映画の一時収入は別に足さない。
- 車両・ミニカーと走行セット:数量 9.8(ホットウィール車両生産数に基づく車両等価数量(億台、推計))× 価格 3.28(1車両等価当たり卸売売上(ドル、コース等を含む))→ 売上 32 億ドル・営業利益 9 億ドル。車両等価台数×卸売単価。コースなどの売上も車両等価に換算。
- 乳幼児・就学前玩具:数量 0.5(乳幼児向け玩具・用品の販売等価個数(億点、推計))× 価格 20(1等価個数当たり卸売売上(ドル、玩具・大型用品混合))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。出生数・売場シェア×価格。乳幼児用品は単価が高く、数量は推計。
- アクションフィギュア・ブロック・卓上ゲーム:数量 2.0(玩具・カード・ゲームセット等価販売数(億点、推計))× 価格 11(1等価点当たり卸売売上(ドル、ライセンス商品混合))→ 売上 21 億ドル・営業利益 4 億ドル。ゲーム・ブロック・アクションの販売等価点数×卸売単価。
- マテル163・連結デジタルゲーム:数量 45.0(連結モバイルゲーム月間利用者(百万人、2025年は連結対象外))× 価格 0.18(月間利用者1百万人当たり年換算売上(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。連結デジタルゲームの月間利用者×利用者当たり年間収益。
倍率:k9.0%、g3.8%(実質市場+0.6%、シェア-0.2%、価格+3.4%)、ROE11.4÷43.3=26.3%、普通の堀で残存率1/2、RONIC17.7%。正当化PERは翌年利益で約15.09倍、2035年利益に1.038を掛けた上限15.67倍。デジタルの課金継続と人形回復が要るため約90.6%の14.20倍。GAAP利益で評価。
確率:車両玩具の実績とゲーム取得の事実があり十分起こり得るが、人形回復と費用改善の両立が必要なので18%。
中立 31% 中立:人形は横ばい圏、車両とゲームが減少部門を補う 利益 8 億ドル · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 35.36 ドル102 億ドル
世界の玩具市場の実質数量は緩やかに増えるが、マテルの人形は新興ブランドへ一部シェアを失う。等価数量は1億点から9,600万点へ減り、名目価格の上昇で売上を支える。ホットウィールは2025年から伸びた出荷の勢いをならし、台数は8.9億台へ増える。レゴとハスブロには、それぞれブロックとカードゲームで強みが残る。
フィッシャープライスの数量は出生減と競争で14%減る。UNO、アクション商品、ブリックショップは新製品の定着で数量を増やすが、玩具全体の価格はおおむね物価に沿う。2026年に連結したマテル163は月間3,000万人、利用者当たり年15ドルを稼ぐ。映画の興行利益は継続収入としては見込まず、商標の広告効果に限る。
売上は約84億ドル、営業利益は約12億ドル、GAAP純利益は7.9億ドルとなる。2026~27年の投資負担で利益の立ち上がりは遅く、10年間の利益累計は50億ドルにとどまる。株式報酬を引いた正味の買戻し37億ドルを見込み、自己資本は35.3億ドルへ増える。倒産ではなく、成熟したブランド会社として残る姿である。
- 人形・着せ替え:数量 1.0(人形・付属品の年販売個数(億点、推計))× 価格 26(1点当たり実質卸売単価(ドル、玩具セット混合))→ 売上 24 億ドル・営業利益 6 億ドル。人形の数量×品目構成別の卸売単価。映画の一時収入は別に足さない。
- 車両・ミニカーと走行セット:数量 8.9(ホットウィール車両生産数に基づく車両等価数量(億台、推計))× 価格 3.15(1車両等価当たり卸売売上(ドル、コース等を含む))→ 売上 28 億ドル・営業利益 7 億ドル。車両等価台数×卸売単価。コースなどの売上も車両等価に換算。
- 乳幼児・就学前玩具:数量 0.4(乳幼児向け玩具・用品の販売等価個数(億点、推計))× 価格 20(1等価個数当たり卸売売上(ドル、玩具・大型用品混合))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。出生数・売場シェア×価格。乳幼児用品は単価が高く、数量は推計。
- アクションフィギュア・ブロック・卓上ゲーム:数量 1.8(玩具・カード・ゲームセット等価販売数(億点、推計))× 価格 10(1等価点当たり卸売売上(ドル、ライセンス商品混合))→ 売上 18 億ドル・営業利益 3 億ドル。ゲーム・ブロック・アクションの販売等価点数×卸売単価。
- マテル163・連結デジタルゲーム:数量 30.0(連結モバイルゲーム月間利用者(百万人、2025年は連結対象外))× 価格 0.15(月間利用者1百万人当たり年換算売上(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。連結デジタルゲームの月間利用者×利用者当たり年間収益。
倍率:k9.0%、g3.5%(2035年以降の実質市場+0.3%、シェア-0.3%、価格+3.5%)、ROE7.9÷35.3=22.4%、普通の堀で残存率1/2、RONIC15.7%。翌年利益正当化PERは約14.12倍、2035年利益への換算1.035後は上限14.62倍。人形不振、小売りの交渉力と本社費の負担があるので約88.2%の12.90倍。調整後利益ではなくGAAPで評価。
確率:既存商標は残るがFisher-Priceの弱さと2026年の費用増が続く可能性もある。回復と苦戦の折り合う筋書きとして31%。
やや悲観 27% やや悲観:人形・乳幼児の棚を失い、販促で利益を削る 利益 3 億ドル · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 9.79 ドル28 億ドル
バービーの落ち込みは一時的な新商品不足ではなく、子どもの遊び方の変化と競合の人気によるものだった。人形の等価数量は25%減り、価格も物価を十分転嫁できない。ホットウィールはマッチボックスや低価格商品との競争で台数が伸びず、プレミアム製品の比率も上がらない。
乳幼児向けは出生減と安全規制への対応費で数量が約3分の1減る。レゴにはブリックショップが食い込めず、ハスブロやポケモンの収集品へ消費が流れる。マテル163の利用者は月間2,000万人にとどまり、課金単価も低い。映画を巡る権利料は販促の助けにはなるが、収益性を大きく変えない。
売上は約60億ドル、営業利益は約5億ドルに後退する。早期の投資不振と関税負担を経て期間純利益累計は27億ドルにとどまり、正味還元は15億ドルに絞る。自己資本34.3億ドルに対するROEは8%弱で資本コストを下回る。買収や株主提案で会社を売却できるとは仮定せず、低収益の事業が残る。
- 人形・着せ替え:数量 0.8(人形・付属品の年販売個数(億点、推計))× 価格 23(1点当たり実質卸売単価(ドル、玩具セット混合))→ 売上 17 億ドル・営業利益 3 億ドル。人形の数量×品目構成別の卸売単価。映画の一時収入は別に足さない。
- 車両・ミニカーと走行セット:数量 7.7(ホットウィール車両生産数に基づく車両等価数量(億台、推計))× 価格 2.82(1車両等価当たり卸売売上(ドル、コース等を含む))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。車両等価台数×卸売単価。コースなどの売上も車両等価に換算。
- 乳幼児・就学前玩具:数量 0.3(乳幼児向け玩具・用品の販売等価個数(億点、推計))× 価格 17(1等価個数当たり卸売売上(ドル、玩具・大型用品混合))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。出生数・売場シェア×価格。乳幼児用品は単価が高く、数量は推計。
- アクションフィギュア・ブロック・卓上ゲーム:数量 1.4(玩具・カード・ゲームセット等価販売数(億点、推計))× 価格 9.50(1等価点当たり卸売売上(ドル、ライセンス商品混合))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。ゲーム・ブロック・アクションの販売等価点数×卸売単価。
- マテル163・連結デジタルゲーム:数量 20.0(連結モバイルゲーム月間利用者(百万人、2025年は連結対象外))× 価格 0.12(月間利用者1百万人当たり年換算売上(億ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。連結デジタルゲームの月間利用者×利用者当たり年間収益。
倍率:k9.0%、g2.5%(市場実質+0.2%、シェア-1.0%、価格+3.3%)、ROE2.6÷34.3=7.6%で資本コスト未満。資本を留保しても超過利益を生まないためPERは1/k=11.11倍が上限。小売りの値引きと事業再構築の費用を反映して8.5倍。中立12.9倍未満で、過去の底値倍率は使わない。
確率:2025~26年のバービーと乳幼児玩具の減少が既に確認され、大型量販店の交渉も厳しい。構造悪化が長引く確率を27%。
悲観 16% 悲観:玩具の定番が陳腐化し、商標の処分価値が下支え 利益 0 億ドル · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2.08 ドル6 億ドル
バービーは若い世代で存在感を失い、フィッシャープライスは乳幼児向けの小売り棚を大幅に失う。ホットウィールにも安価な模型、アプリ上の遊び、新興キャラクターが競合し、車両等価数量は5.6億台に減る。値上げは物価に届かず、世界市場が名目で拡大してもマテルの実質シェアは縮み続ける。
レゴのブロック、ハスブロのカード、ポケモンの収集市場へ客が移る。マテル163の課金は伸びず、利用者は月間1,000万人に細る。規制対応や製品回収の追加費用も残り、工場の稼働が落ちて固定費率が上がる。売却協議の報道があっても契約が成立する保証はなく、会社全体を高値で買ってもらう筋書きにはしない。
売上は約37億ドル、営業利益は約2億ドル、純利益は0.3億ドルまで落ちる。早期の赤字や知的財産の減損で10年間の純利益累計はマイナス0.3億ドルとなり、買戻しは主に初期の4億ドルだけで止まる。自己資本は18億ドルに減るが、その積上がりには倍率を掛けない。現時点の現金、債権、在庫、工場と売れる商標から負債と閉鎖費を引いた処分価値を下支えとする。
- 人形・着せ替え:数量 0.6(人形・付属品の年販売個数(億点、推計))× 価格 20(1点当たり実質卸売単価(ドル、玩具セット混合))→ 売上 11 億ドル・営業利益 2 億ドル。人形の数量×品目構成別の卸売単価。映画の一時収入は別に足さない。
- 車両・ミニカーと走行セット:数量 5.6(ホットウィール車両生産数に基づく車両等価数量(億台、推計))× 価格 2.40(1車両等価当たり卸売売上(ドル、コース等を含む))→ 売上 13 億ドル・営業利益 3 億ドル。車両等価台数×卸売単価。コースなどの売上も車両等価に換算。
- 乳幼児・就学前玩具:数量 0.3(乳幼児向け玩具・用品の販売等価個数(億点、推計))× 価格 15(1等価個数当たり卸売売上(ドル、玩具・大型用品混合))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。出生数・売場シェア×価格。乳幼児用品は単価が高く、数量は推計。
- アクションフィギュア・ブロック・卓上ゲーム:数量 1.0(玩具・カード・ゲームセット等価販売数(億点、推計))× 価格 8.00(1等価点当たり卸売売上(ドル、ライセンス商品混合))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。ゲーム・ブロック・アクションの販売等価点数×卸売単価。
- マテル163・連結デジタルゲーム:数量 10.0(連結モバイルゲーム月間利用者(百万人、2025年は連結対象外))× 価格 0.10(月間利用者1百万人当たり年換算売上(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。連結デジタルゲームの月間利用者×利用者当たり年間収益。
倍率:利益率が戻らずROE0.3÷18.0=1.7%とk9.0%を大幅に下回る。事業の純利益0.3億ドル÷k9.0%による稼ぐ力は約3.33億ドルで、売却可能な資産の税後処分価値6.0億ドルを下回るため、時価総額は資産の床6.0億ドルとする。これに対応するPBRは減損後自己資本18.0億ドルに対して約0.3333倍であり、現在自己資本22.3億ドル対比では約0.27倍となる。過去の底値PBRを根拠にせず、将来の低い収益力と処分可能資産だけで判断した。
確率:2017~19年には実際に赤字が続き、2026年のCEO交代も重なる。主力商標が複数同時に弱くなる可能性を無視せず16%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
人形・着せ替え
バービー、モンスターハイ、ディズニープリンセス、アメリカンガールなど。子どもの着せ替えと大人向け収集品。
| 数量人形・付属品の年販売個数(億点、推計) | 価格1点当たり実質卸売単価(ドル、玩具セット混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 18 | 18 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 26 | 24 | 6 |
取り方:2025年請求額は北米12.014億ドルと海外8.547億ドル。地域の純売上÷請求額(北米0.920、海外0.833)を掛けて約18.17億ドル。単体販売個数は非開示。バービーが毎分100体超売れるという2026年企業販促資料を手掛かりに、他の人形・付属品を合わせ年約1億点と仮定。平均約18.2ドルは推計で実際の公表ASPではない。製品別利益も非開示のため地域セグメント利益の配賦推定。米国小売市場の人形25億ドルはToy Association/Circana。 米国カテゴリー統計:https://www.toyassociation.org/ta/toys/research-and-data/data/us-sales-data.aspx。人形の販売数の手掛かり:https://embed-rech-01.dialog.cm/toyworldmag/docs/twm_mattel_supplement_2026。
車両・ミニカーと走行セット
ホットウィール、マッチボックス、プレミアムミニカー、コース、車両関連商品。収集家も買う。
| 数量ホットウィール車両生産数に基づく車両等価数量(億台、推計) | 価格1車両等価当たり卸売売上(ドル、コース等を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7.8 | 2.23 | 17 | 4 |
| 10 年後 中立 | 8.9 | 3.15 | 28 | 7 |
取り方:2025年請求額は北米8.944億ドルと海外11.002億ドル。地域別の売上控除後に約17.39億ドル。2026年販促資料のホットウィール年7.8億台生産を出荷数量の代用とし、マッチボックスや走行セットも含むカテゴリー純売上を割って1台等価約2.23ドルと推計。生産台数と販売台数は一致せず、この単価は車両単品の実勢価格ではない。米国の追跡小売市場は車両19億ドル。 車両年間生産数の参考:https://embed-rech-01.dialog.cm/toyworldmag/docs/twm_mattel_supplement_2026。
乳幼児・就学前玩具
フィッシャープライス、幼児用知育玩具、赤ちゃん用品、パワーホイール等。出生と安全規制に敏感。
| 数量乳幼児向け玩具・用品の販売等価個数(億点、推計) | 価格1等価個数当たり卸売売上(ドル、玩具・大型用品混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.5 | 14 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.4 | 20 | 8 | 1 |
取り方:2025年請求額は北米4.632億ドル、海外3.231億ドル。地域の純売上比で約6.95億ドルとなる。製品単位は非開示のため小型知育玩具と高額な育児用品を混ぜ年約5,000万点等価と仮定し平均約13.9ドルを逆算した。米国乳幼児玩具の追跡小売市場は33億ドル。実際のメーカー出荷個数、シェアは公表されず推計誤差が大きい。
アクションフィギュア・ブロック・卓上ゲーム
UNO、マスターズ・オブ・ザ・ユニバース、マテル・ブリックショップ、他社映画IPの玩具など。
| 数量玩具・カード・ゲームセット等価販売数(億点、推計) | 価格1等価点当たり卸売売上(ドル、ライセンス商品混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.5 | 7.31 | 11 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1.8 | 10 | 18 | 3 |
取り方:2025年請求額は北米7.032億ドル、海外5.388億ドル。地域別控除後約10.96億ドル。会社は卓上ゲーム、アクションフィギュア、ブロックの出荷点数を分けていない。玩具とカードゲームを混ぜ年約1.5億点等価、単価約7.3ドルと推定。市場の参考は米国追跡小売のアクション21億ドル、建築43億ドル、ゲーム49億ドルであり、合計とマテル品目は完全一致しない。
マテル163・連結デジタルゲーム
2026年3月に完全子会社化したUNO等のモバイルゲーム。自社開発と課金、広告の収益を得る。
| 数量連結モバイルゲーム月間利用者(百万人、2025年は連結対象外) | 価格月間利用者1百万人当たり年換算売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.10 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 0.15 | 5 | 1 |
取り方:2025年末は持分法適用の共同出資先であり、連結売上の数量を0にした。2026年3月に残り50%を取得し、既存の利用者は約2,000万人、全ゲームの累計ダウンロードは5.5億超(マテルIR)。2026年の連結売上寄与見込み約1.5億ドルを利用者規模で割ると、年10ドル程度の収益化は十分あり得る。2025年の0は利用者不在の意味ではない。
リスクと懸念
バービーと乳幼児玩具の構造的縮小
2025年のバービー請求額は11%減り、乳幼児カテゴリーは17%減った。2026年上期も人形は伸びず、出生減と画面で遊ぶ時間の増加が売場を削る。新しい人形作品が当たらなければ、数量の減少を値上げで埋められず、利益率は中立より低い水準で固定される。
ホットウィールへの依存と収集品の反転
ホットウィールは2025年に大きく伸びたが、成人の収集人気やプレミアム商品の増勢がずっと続くとは限らない。レゴ、ハスブロ、ポケモン関連品などが同じ可処分所得を取り合う。車両玩具の等価台数が横ばいになれば、人形と乳幼児の減少を穴埋めできず、全社の成長率は大きく落ちる。
関税・量販店への価格決定力不足
卸売の大口3社が売上の42%を占める。関税、原材料、輸送費が上がる局面では、仕入れ価格を簡単に転嫁できない。2026年4~6月期には売上増にもかかわらず粗利益率と営業利益が悪化した。関税還付など単発の利益は10年後の正常利益から除いており、費用が高止まりすれば上位筋書きは難しい。
映画・ライセンス・ゲームの投資回収
映画バービーの成功は再現を約束しない。2026年公開のマスターズ・オブ・ザ・ユニバースは興行収入が製作費を下回り、マッチボックスも作品の評判が分かれた。マテル163は2,000万人規模の利用者を持つが、利用者獲得費やプラットフォームへの手数料を引いて利益が残るかは別問題である。
財務余力と自社株買いの持続性
2025年末には純有利子負債が14.4億ドルあり、2025年の買戻し6億ドルはフリーキャッシュフロー4.1億ドルを上回った。2026年の重点投資や借り換えが重なれば、還元を続ける資金は減る。株式報酬による増発もあるため、表面上の買戻し額をそのまま株主の利益として数えると過大評価になる。
経営交代・売却観測と少数株主
2026年秋のCEO・CFO交代と18%株主の取締役就任は監視の強化にもなるが、事業の長期計画が変わる危険もある。売却要求や買収関心の報道は非拘束的で、現在の株主に有利な契約が確定したわけではない。大型の資産売却や株式交換があれば利益と資本配分を改めて評価する必要がある。
今後の分かれ目
- 2026年11月5日予定の第3四半期決算で、バービーの請求額が前年同期比プラスに戻り、その後も数四半期続く
- 人形の数量減という中立の前提を見直す。ディズニーライセンスと自社キャラクターの効き目が強まり、やや楽観側の確率を増やす。
- ホットウィールの数量成長が複数年続き、プレミアム商品の伸びと値引き率改善が同時に確認できる
- 車両玩具のシェア上昇と単価上昇が独立して続くと評価し、2035年の営業利益率と上位筋書きの確度を高める。
- マテル163の月間利用者が3,000万人超へ増えても、利用者当たり売上や利益率が低下する
- 利用者の獲得費用が重いと判断し、ゲームの長期収益を引き下げる。成長のための追加買収も株主価値を増やすとは扱わない。
- 人形と乳幼児玩具の数量減が2年以上止まらず、販促費率と在庫評価損が上がる
- 小売り棚と消費者の嗜好を構造的に失ったと判断する。やや悲観・悲観の比率を引き上げ、売却可能な商標価値も再検証する。
- 2026年の4億ドル買戻し計画や2028年までの15億ドルの枠に対し、FCFが継続して不足する
- 借金での還元を成長と取り違えず、10年間のpayout_okuを減らす。必要なら財務負担の増加を利益にも反映する。
- 会社全体の売却、事業売却、合併が正式合意に至る
- 未確定の観測を前提にしていた評価を終了し、取引条件と少数株主の受取対価を確かめる。現段階では買収プレミアムを織り込まない。
見ておくもの
- バービー、ホットウィール、フィッシャープライスの世界請求額と実質出荷数量の方向
- マテル163の月間利用者、課金売上、利用者獲得費、営業利益
- 売上総利益率、販促費率、関税負担、本社経費、GAAP営業利益
- ウォルマート・ターゲット・アマゾン向け卸売の集中度と値引き率
- 営業CF・設備投資・正味自社株買い・純有利子負債・株式報酬
- 2026年11月5日の第3四半期決算と2026年通期見通しの改定
- 新CEO・CFOの資本配分方針、エッジポイントとの協調、正式な会社売却合意の有無
- 米国人形・車両・乳幼児・ブロック・ゲーム市場の販売点数と各ブランドのシェア
倍率と資本コストの決め方
今の株価や過去・同業の取引倍率から10年目の倍率を逆算していない。資本コスト9%、事業のROE、2035年以降の実質数量と物価から導いたg、普通の堀で超過収益が半分残るRONICを用いた正当化PERを計算し、楽観から中立は利益の質に応じ上限の約88~91%とした。倍率には翌年利益への換算として1+gを含めた。
商品別の純売上と出荷点数は非開示なので、2025年地域別請求額と販売控除から積み直し、単位当たり売上は推計である。悲観は累積した帳簿ではなく、現時点の流動資産と売却可能な商標の処分価値で下支えを確認した。2026年の買収関心は未確定のため一切の上乗せをしていない。
2025年の営業利益は指定されたfactsの6.1億ドルを正とする。10-KのGAAP営業利益5.46億ドルとの差約0.64億ドルは元データとの集計差として認識し、2035年の純利益は株式報酬費用を差し引くGAAPベースで見積もった。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国の基本8.0%に事業の質の+1.0%を加えて9.0%。同じ玩具のハスブロと同等の水準で、買収観測、経営交代、映画不振は上乗せせず筋書きと確率へ反映した。