結論
クロスフォーは、ダイヤの石を揺らして輝かせる特許技術「ダンシングストーン」で知られるジュエリーの製造会社だ。工場は外注が中心で、百貨店や宝飾店に卸す。筆者は、売上の急増を稼ぐ力の改善とは読まない。10 年先の価値は、今の値段を大きく下回ると見る。
2026 年 7 月期の売上は 55 億円で、前の期より 47% 増えた。ただし営業利益は 1 億円弱にすぎず、利益率は 1.7% だ。金の値上がりが、製品の値段をふくらませた面が大きい。
懸念は 3 つある。第 1 に借金だ。有利子負債は 30 億円を超え、総資産の 6 割に迫る。金利が上がる 10 年で、利払いが年 1 億円ほど増える計算になる。第 2 に特許で、日本の特許は 2033 年 9 月に切れる。第 3 に経営で、社長が交代し、新体制の実績はこれからだ。
良い点は、特許を使った製品を持ち、海外にも拠点(タイ・インド・中国)を広げている点だ。ただし、10 年後の営業利益は 2 億円台にとどまり、利払いを引くと純利益は 1 億円に届かない。事業の価値は、帳簿の純資産にも遠く及ばない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「特許で稼いだ昔の姿」と「今の薄い利益」の落差が大きい。持ち続けたい事業とは言いにくい。
オーナー利益で見ると、営業利益が 1 億円弱なのに、営業キャッシュフローは 2 期続けて赤字だった。在庫と売掛金に資金が吸われ、利益が現金にならない。売上が増えるほど、借金が増える構造だ。
資本配分は、借入で在庫を増やし、海外の拠点を広げる形で、リターンの裏づけがまだない。金利が上がると、利払いが利益の大半を飲み込む。
安全域は薄い。悲観では、在庫と売掛金を換金して負債を返すと、残るのは今の時価総額の 2 割ほどだ。楽観でも、利益率は 5% 前後で、勝ちの幅は限られる。見合いとしては、守りが弱く、値段が高い。特許の期限と借金の重さを、10 年の中で必ず通る関門として見る。
何で稼ぐ会社か
クロスフォーは、ジュエリーの開発と製造・販売を一手に手がける。売上の 3 分の 2 を占める国内では、宝飾品の卸・小売業者から注文を受け、他社ブランド向けに作る OEM(相手先ブランドでの生産)が中心だ。自社ブランドの「クロスフォー ニューヨーク」も卸・小売業者に売る。直営店や EC(ネット通販)の比率は開示されておらず、まだ小さいとみられる。
核になる技術は、ダイヤに穴をあけずに 2 点で留め、石を揺らして輝かせる「ダンシングストーン」だ。この関連の製品とパーツが売上の 36% を占める。ほかに、片手で着け外しできる留め具「EXL-LOCK」や、テニスチェーン(石を連ねた細い鎖)、インドネシアの YT Gold 製の中空チェーンの国内独占販売がある。
海外では、タイ・インド・中国の子会社が現地の宝飾品メーカーの注文を取り、日本の本社が外注先に作らせる。2024 年にタイとインドの子会社を作り、拡大を急いでいる。製造は外注が中心で、テニスチェーンだけが自社の生産体制を持つ。
従業員は 69 人の小さな会社だ。製品は金・プラチナ・ダイヤを使うため、棚卸資産が 21 億円と総資産の 4 割を占め、その資金は借入で賄っている。
優良さと弱いところ
優良さは「技術は本物だが、堀は期限つきで、財務は脆い」と見る。
強みは特許だ。ダンシングストーンは他社が同じ構造を作れず、海外の大手ブランドの発注にもつながった。2015 年ごろの営業利益率は 30% に届いた。この数字は、特許が一番効いていた時期の力を物語る。
しかし、その後は売上が横ばいのまま利益率が崩れた。2020 年 7 月期は大きな赤字に沈み、2018 年以降の黒字の年も利益率は 6% までにとどまった。特許の期限は 2033 年 9 月で、10 年の内側にある。切れれば、類似品が出て、価格と利益率の差が消える。
弱みはほかにもある。特定の製品に売上の 36% を頼る。主要な海外顧客は、前々期に売上の 1 割強を占めた 1 社にかたよった。地金の値段が急に動くと、製品の値段に移せない。資本効率は低く、過去 10 年の自己資本利益率の中央値は 1% 台だ。経営も、創業の社長が 2025 年に会長へ退き、新体制になったばかりだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のジュエリー小売市場は、2025 年に 1 兆 2 千億円前後とされる。矢野経済研究所は、2026 年も 4% ほどの伸びを予測する。ただし伸びの中身は、金やプラチナの値上がりによる単価の上昇と、結婚指輪の回復で、販売の数量は増えていない。
数量は、人口減と若い世代のジュエリー離れで、長い目では横ばいから減少が基本だ。国内の婚姻数が減り続けるため、ブライダル向けの数量はとくに先細る。10 年では、国内の数量は 1 割ほどの減少も覚悟すべきだ。
価格は、地金の相場に引きずられる。金の相場が上がる間は売上がふくらむが、下がれば逆回転する。会社が地金の値上がりを製品の値段に移せるかは、急変時に疑わしい。
競合は、同じ OEM を手がける宝飾メーカーや、海外のジュエリーパーツの会社だ。技術では、特許を持つ点が差別化の根拠だが、期限が近づくほど優位は薄れる。宝飾の OEM は、買い手の卸・小売業者が強く、製造側が値上げを通しにくい構図だ。海外では、タイやインドなどの宝飾の生産地に拠点を作り、現地のメーカーに部品と製品を売る形で、日本市場の縮小を補おうとしている。
資本政策と M&A
資本政策は、いまは財務の立て直しが中心だ。有利子負債は 30 億円を超え、自己資本比率は 32% まで下がった。2018 年ごろに急に上がった借入が、いまも重い。配当や自社株買いの実績は確かめられず、株主への還元は期待しにくい。
経営は、2025 年 10 月に創業者の土橋秀位氏が社長から会長へ移り、新しい社長(内藤彰彦氏)に代わった。経営の刷新は、特許切れまでの時間が限られている会社にとって、前向きな動きとも、不安材料とも読める。
M&A は、タイとインドの子会社の設立にとどまり、買収の実績は乏しい。筆者は、借金が重い会社が成長のために借入を増やす姿に、慎重である。金利が上がる局面では、利払いが利益を食い、増資で薄まるリスクも消えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ダンシングストーンの特許は、海外の大手ブランドも使う本物の技術で、2033 年まで独占できる。2026 年 7 月期は売上が 47% 増え、営業利益も 71% 増えた。会社は 2027 年 7 月期にも営業利益を 1.2 億円へ増やすと見込む。
タイとインドに子会社を作り、現地の宝飾品メーカーに部品と製品を売る形で、日本市場の縮小を補っている。海外の売上が営業利益の多くを稼ぐ構造が、今後の成長のけん引役になる。
金の値上がりを製品の値段に移し、地金を再精錬して時価評価の益も出した。経営の刷新で、借金の返済と利益率の改善が進めば、営業利益率は 5% 台まで戻れる。特許の期限までに次の技術を育てられれば、10 年先も稼ぐ力は残る。ダイヤの輝きに差をつける技術は他になく、世界の大手ブランドも欲しがる。金の高騰は、地金を使う製品の値段を押し上げ、取引先の発注の単価も上げている。会社が 2027 年 7 月期も増益を見込む点は、勢いが続くことの表れだ。
慎重な見方
売上は 47% 増えたが、営業利益はわずか 1 億円で、利益率は 1.7% だ。売上の増加は金の値上がりが主因で、数量が増えたわけではない。営業キャッシュフローは 2 期続けて赤字で、利益が現金にならない。
有利子負債は 30 億円を超え、金利が 3.5% まで上がる 10 年で、利払いが年 1 億円ほど増える。今の営業利益の水準では、利払いで利益が消える。
特許は 2033 年 9 月に切れ、類似品が出れば、ダンシングストーン関連(売上の 36%)の優位は失われる。国内のジュエリーの数量は人口減で減る。創業の社長が会長に退き、新体制の実績はまだなく、増資で株が薄まる心配もある。在庫が総資産の 4 割に膨らみ、金の相場が下がれば評価損が出る。借入に頼った成長は、金利の上がる時代に一番危うい形だ。海外の売上が営業利益の多くを稼ぐと言っても、現地の為替と取引先の集中が一度に利益を削る。配当の実績も確かめられず、株主が待てる材料は少ない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が優勢だ。借金の重さと、特許の期限は、10 年の中で必ず効く。利益の薄さも、足元の売上の伸びでは直らない。そのため、中立の確率を 38%、やや悲観を 27% に置き、悲観は特許切れと金利上昇が重なる筋書きで 10% とした。楽観は、特許の次の技術と海外が育つ筋書きで 5% にとどめた。特許の技術は本物だが、その優位は期限つきで、財務の脆さが先に効く。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した株価時価総額 51 円9 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 20 円3 億円、今との差 −86.1%、 期待の年率 −9.7%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 149 円25 億円 | 0 円0 億円 | +4.9% | +0.5% | 7 円1 億円 |
| やや楽観 | 20% | 78 円13 億円 | 0 円0 億円 | −45.1% | −5.8% | 16 円3 億円 |
| 中立 | 38% | 47 円8 億円 | 0 円0 億円 | −67.0% | −10.5% | 18 円3 億円 |
| やや悲観 | 27% | 29 円5 億円 | 0 円0 億円 | −79.8% | −14.8% | 8 円1 億円 |
| 悲観 | 10% | 25 円4 億円 | 0 円0 億円 | −82.2% | −15.9% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 51 円9 億円 | 0 円0 億円 | −64.0% | −9.7% | 51 円9 億円 |
今の株価時価総額 142 円24 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:特許の次の技術と海外が育つ 利益 3 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 149 円25 億円
ダンシングストーンに続く新しい特許や製品が売上の 2 割を占め、2033 年の特許切れの影響を打ち消す。タイ・インドの子会社が現地の宝飾メーカーの取引を大きく伸ばし、海外の販売は今の 2 倍になる。国内は直販と EC が育ち、卸値の上昇も通る。営業利益率は 4.5% 前後まで上がり、借金は返済が進んで利払いの増加を吸収する。売上は 110 億円近くまで育つ。金の相場が高止まりしても、取引先は同社の技術に払う価値を認める。経営は借入を減らし、投資を選別して、利払いが利益を食う局面を避ける。10 年の終わりには、特許に頼らない稼ぎ方が定着している。
- 国内(OEM・自社ブランド):数量 33.0(販売点数(万点、推定))× 価格 2.10(1 点あたりの卸値(万円))→ 売上 69 億円・営業利益 2 億円。33.0 万点
- 海外(パーツ・製品):数量 140(販売点数(万点、推定))× 価格 0.28(1 点あたりの販売額(万円))→ 売上 39 億円・営業利益 3 億円。140 万点
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.7% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 25 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:特許切れの前に次の技術を育て、海外も伸びる筋書きは、今の利益の薄さからは遠く、5% にとどめた。
やや楽観 20% やや楽観:海外が伸び利益率が 3% 台 利益 1 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 78 円13 億円
海外の販売が今の 1.5 倍になり、国内は数量が横ばいで卸値が物価並みに上がる。営業利益率は 3% 台で定着し、特許が切れる 2033 年以降も、新しい製品が穴を埋めて売上は減らない。借入は少しずつ返済が進み、利払いの増加は営業利益の半分ほどで収まる。国内では OEM の取引先が増え、卸値も地金の相場に連れて上がる。ただし、金の相場が高止まりする前提のため、相場が崩れた時の在庫の評価損は残る。株主への還元は始まらない。タイとインドの子会社は黒字化して利益を稼ぎ、為替の変動も吸収できる。国内は、数量の減少を直営と EC で補う。それでも自己資本の厚みは足りず、借金の削減は緩やかだ。
- 国内(OEM・自社ブランド):数量 28.9(販売点数(万点、推定))× 価格 2.01(1 点あたりの卸値(万円))→ 売上 58 億円・営業利益 1 億円。28.9 万点
- 海外(パーツ・製品):数量 105(販売点数(万点、推定))× 価格 0.27(1 点あたりの販売額(万円))→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。105 万点
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 13 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:海外の成長と利益率の改善が重なる筋書きで、借金の重さを考えて 2 割とした。
中立 38% 中立:利益率は 3% で止まり、利払いが重い 利益 1 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 47 円8 億円
国内の数量は人口減で横ばい、卸値は物価並みの 1.34 倍になる。海外は今の 1.3 倍に伸びる。営業利益率は 3% 台で頭打ちとなり、特許切れの影響を新しい製品が一部しか補えない。借入は 10 年で新しい金利に借り換わり、利払いが年 1 億円ほど増える。営業利益は 2.5 億円ほどになるが、利払いを引くと純利益は 1 億円に届かない。配当は出ず、自己資本は少しずつ増える。特許の期限が近づく 2030 年代前半には、海外の大手ブランドが値下げを求め、利益率を上げにくくなる。在庫の回転は改善せず、営業キャッシュフローは薄い黒字にとどまる。
- 国内(OEM・自社ブランド):数量 27.5(販売点数(万点、推定))× 価格 2.01(1 点あたりの卸値(万円))→ 売上 55 億円・営業利益 1 億円。27.5 万点
- 海外(パーツ・製品):数量 91.0(販売点数(万点、推定))× 価格 0.27(1 点あたりの販売額(万円))→ 売上 25 億円・営業利益 2 億円。91 万点
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.3% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 8 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の改善は本物だが、借金と特許の期限が効く。中立を 4 割弱に置いた。
やや悲観 27% やや悲観:数量が 1 割減り、利払いで赤字になる 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 29 円5 億円
国内の数量は人口減で今の 85% に縮み、価格競争で卸値は物価に届かない 1.2 倍にとどまる。海外は特許切れの影響で伸びず、横ばいになる。営業利益率は 1% 前後に沈み、借り換えで上がった利払いが営業利益を上回って赤字になる。借入の返済が進まず、増資で株が薄まる懸念も残る。国内の OEM は価格を叩かれ、売上の増加が利益に結びつかない。在庫は減らず、資金繰りは借り換え頼みの綱渡りになる。金の相場が下がると、在庫の評価損が出て自己資本が痩せる。経営は返済と在庫の圧縮を優先し、成長の投資は先送りされる。タイやインドの子会社も、思うほど取引が増えず、赤字の費用が重荷として残る。
- 国内(OEM・自社ブランド):数量 23.4(販売点数(万点、推定))× 価格 1.80(1 点あたりの卸値(万円))→ 売上 42 億円・営業利益 0 億円。23.4 万点
- 海外(パーツ・製品):数量 63.0(販売点数(万点、推定))× 価格 0.24(1 点あたりの販売額(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。63 万点
倍率:赤字なので PBR で置き、今の自己資本に床の PBR を掛けた。借金が重いので EV(時価総額+純有利子負債 24 億円)÷ 営業利益でも見たが、営業利益が小さく倍率は意味を持たない。利益の倍率だけで割安・割高を言わず、資産と負債の差し引きで値を付けた。
確率:借金と特許の期限が重い会社であり、悪い方向に振れやすい。27% と重めに置いた。
悲観 10% 悲観:特許切れと金利上昇で再編を迫られる 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 25 円4 億円
特許の期限を前に類似品が出始め、ダンシングストーン関連の売上が 3 割減る。海外の大手の取引先を失い、海外の販売は半分に縮む。金利が上がって利払いが営業利益を上回り、借入の条件が厳しくなる。会社は在庫を処分して返済に回し、増資や事業の売却で再編する。ダンシングストーンの特許の期限が迫る中で、海外の大手ブランドは別の供給先に移る。会社は人員を絞り、直営・EC の育成も止まる。主要な株主も入れ替わり、経営の主導権が変わる可能性もある。時価総額は事業の稼ぐ力でなく、在庫と売掛金を換金して負債を返した後の資産で値が付く。
- 国内(OEM・自社ブランド):数量 21.0(販売点数(万点、推定))× 価格 1.65(1 点あたりの卸値(万円))→ 売上 35 億円・営業利益 0 億円。21.0 万点
- 海外(パーツ・製品):数量 35.0(販売点数(万点、推定))× 価格 0.22(1 点あたりの販売額(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。35 万点
倍率:床の資産(在庫と売掛金を換金して負債を返した後の残り)で値が付く筋書き。今の自己資本に床の PBR を掛けた。
確率:特許切れと金利上昇が重なる構造的な負けを 1 割に置いた。借金が重く、起きうる筋書きだ。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内(OEM・自社ブランド)
卸・小売業者向けの OEM と自社ブランド「クロスフォー ニューヨーク」。直営・EC を含む。
| 数量販売点数(万点、推定) | 価格1 点あたりの卸値(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 27.5 | 1.50 | 41 | 1 |
| 10 年後 中立 | 27.5 | 2.01 | 55 | 1 |
取り方:2026 年 7 月期の売上 55.4 億円のうち、2025 年 7 月期の国内 25.8 億円・海外 11.8 億円を起点に、金の値上がりによる単価増を国内に厚く見て国内 41.3 億円・海外 14.1 億円と推定。点数は開示がなく、1 点 1.5 万円の卸値と置いた推定。営業利益は開示が細かくなく、国内 0.5・海外 0.8・本社費 −0.36 と推定した(全社 0.94)。
海外(パーツ・製品)
タイ・インド・中国などの宝飾品メーカー向けのパーツと製品。海外子会社が受注する。
| 数量販売点数(万点、推定) | 価格1 点あたりの販売額(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 70.0 | 0.20 | 14 | 1 |
| 10 年後 中立 | 91.0 | 0.27 | 25 | 2 |
取り方:売上 14.1 億円は上の推定。点数は開示がなく、パーツ中心で 1 点約 2 千円の推定で割り戻した。「利益の多くを海外事業に依存」という有報のリスクの記述から、営業利益を 0.8 億円と推定した。
リスクと懸念
特許の期限(2033 年 9 月)
ダンシングストーン関連は売上の 36%。特許が切れると類似品が出て、価格と利益率の優位が失われる。次の技術を育てられるかが分かれ目だ。
借金と金利
有利子負債は 30 億円超で、総資産の 6 割近い。借り換えで金利が 3.5% 前後になれば、利払いが年 1 億円ほど増え、営業利益の大半を食う。
地金相場
金・プラチナの相場が急落すれば売上と在庫の評価が同時に落ちる。上がる時も在庫の資金が借入でふくらむ。
利益が現金にならない
営業キャッシュフローは 2 期続けて赤字だった。在庫と売掛金に資金が吸われ、売上が増えるほど借金が増える。
経営の交代
創業の社長が 2025 年に会長へ移り、新しい社長に代わった。新体制が借金の返済と利益率の改善を実行できるかは、まだ見えない。
海外事業と為替
利益の多くを海外事業に頼る。タイ・インド・中国の政治や為替の影響を受け、特定の顧客への集中もある。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 3% を超え、営業キャッシュフローが黒字になったら
- やや楽観の確率を上げる。
- 借入の返済が進み、有利子負債が 25 億円を下回ったら
- k の借金の上乗せを下げ、悲観の確率を下げる。
- 特許に代わる新しい技術や製品が売上の 1 割を超えたら
- 寿命の上乗せを下げ、楽観の確率を上げる。
- 金の相場が大きく下がり、売上が落ちたら
- 売上と在庫評価の下落を織り込み、やや悲観の確率を上げる。
- 増資や資本の組み替えが出たら
- 既存株主の取り分の希薄化を織り込み直す。
見ておくもの
- 営業キャッシュフローと有利子負債
- 営業利益率
- ダンシングストーン以外の売上比率
- 金の相場と棚卸資産
- 海外子会社(タイ・インド)の損益
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k から式で出した。事業の ROE が資本コストに届かない会社なので PER の上限は 1÷k で、中立は上限の 9 割に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。数量は国内 1 割減から横ばい、海外は成長を見込んだ。価格は物価並みとした(金の相場の戻りは見込まない)。利払いは 10 年で新しい金利に借り換わる分(年 1 億円の増加)を純利益に入れた。本社費は物価で増やし、償却は小さいため償却の分離は省いた。新リース会計基準は、営業利益に与える影響が小さく今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→10 倍・やや楽観 PER 9.5→10 倍・中立 PER 9→10 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。