結論
アールシーコアは、ログハウスや三角屋根の箱形住宅で知られる「BESS」ブランドの住宅会社だ。全国で2万2千組が暮らし、40年かけて熱心なファンを育ててきた。売上は105億円。ただ、営業損益は6期連続の赤字で、2026年3月期は6億円近い損失を出した。筆者の結論は「割高」である。
時価総額は14億円で、手元の現金25.7億円を下回る。ここだけ見ると割安に見える。だが現金の中には、建築中の家に対して客から預かった前受金や契約負債が約11億円あり、借入やリースも約7億円ある。自由に使えるのは数億円とみる。
それでも筆者は、この会社を簡単には切り捨てない。契約残は114億円と前期末から25%増え、展示場の移転補償金で約5億円の特別利益が入る。旭化成ホームズが14%出資する筆頭株主となり、BtoBの協業も始まった。
ただ、本社費が重く、売上が戻っても利益が残りにくい構造は変わらない。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「本当に良い会社だが、いまは稼げていない」という分類になる。ブランドと顧客の熱量は本物で、これは買える資産ではない。だが、堀があるのに稼げないのは、構造の問題が別にあるということだ。
筆者が見るのは三つ。第一に、本社費と展示場の固定費が重く、売上が増えても利益が残らないこと。第二に、現金のうち使える分は数億円で、時価総額と比べて割安とは言えないこと。第三に、6期連続の赤字を止める確かな道筋が、まだ数字に表れていないことだ。
経営が資本の使い方をどう変えるかが鍵になる。中計の営業利益10億円が達成されるなら、評価は大きく変わる。ただ、そこまでの道のりに、安全域を取れるだけの根拠はない。
オーナーとして持ち続けたいかと問われれば、ブランドには魅力を感じるが、利益が出る形になるまでは、この値段で持つ理由はまだ弱い。
何で稼ぐ会社か
事業は三つの部門で成り立つ。直販部門は東京・神奈川・千葉の直営3拠点で、BESS住宅とリゾート施設などの非住宅を元請けで請け負う。販社部門は全国の地区販社に、商標・販売手法・部材キットを供給する。BESSパートナーズは、熊谷や仙台、札幌など約9拠点で住宅を販売・施工するグループの販売会社だ。
稼ぎ方は昔と変わった。かつては全国の販社に売らせる「軽い」仕組みで、2015年3月期は売上119億円で営業利益7億円(利益率6%)だった。その後、コロナの集客減とウッドショック(木材高)で販社が減り、グループ直営の拠点を増やした。売上は保ったが、固定費は重くなった。
売上総利益率は29%前後だが、販売費・一般管理費がそれを上回る。直販と販社は黒字、BESSパートナーズは赤字で、全社の調整費用(本社費)が約9億円ある。この本社費が、現場の黒字を全部食う。
足元の受注は463棟、契約高は123億円。新築の戸建ては2025年に着工戸数が74万戸と前年比6.5%減り、3年続けて減った。BESSはこの縮む市場で、価格帯と体験で差をつけようとしている。
優良さと弱いところ
BESSの強みは、価格ではなく「共感」で選ばれることだ。家を「道具」と捉え、無垢材と手入れの手間を価値として売る。展示場は売り込みを控え、オーナー同士の交流で口コミを生む。これは大手ハウスメーカーが簡単にまねできない。
弱みは、規模が小さいことと、このファン層が広がっていないことだ。展示場への新規来場は前年より17%減り、再来場も減っている。ブランドの価値が客数に変わっていない。直営拠点はさらに大型の更新投資が要る。
経営は、不採算の拠点を閉じ、本社費を抑える方向に動いている。代官山の土地の売却益で借金を返し、手元の現金を厚くしたことは評価できる。ただ、営業損失が6期続き、ROEは過去10年の中央値でマイナス16%。利益を生む力は証明されていない。
自己資本比率は28%、無借金に近いが、現金の一部は客の前受金で、使えない。財務は安定しているが、赤字が続く間は現金が減る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅市場は縮んでいる。新設住宅の着工戸数は3年連続で減り、建築費の高騰で住宅価格が上がり、購入を先送りする人が増えた。建築確認申請の長期化が、着工の遅れにつながった。会社はこれが2026年3月期の売上の遅れの一因だと説明している。
大手ハウスメーカーは値上げを続けており、中計はそこで空いた高価格帯に商機を見ている。価格帯の上のほうには競争相手が少なく、BESSの世界観に共感する層が一定数いる。
一方、数量は構造的に減る。人口が減り、住宅ローンの金利も上がる。注文住宅は物価で単価が上がっても、棟数はじわじわ減る。BESSが棟数を伸ばすには、シェアを取るか、法人向け(宿泊施設、賃貸住宅、保育施設)に広げるしかない。
旭化成ホームズは「へーベルハウス」で年1万棟以上を供給する大手で、賃貸住宅などの分野で協業を探る。BESSの世界観と、へーベルの鉄筋の信頼性を組み合わせる狙いだ。成果が出れば特建(BtoB)事業の安定に効く。
一方、競合は大手だけではない。木の家を扱う地場の工務店や、ログハウスの専業も、価格帯と暮らしの提案で競う。BESSが目指す高価格帯は、需要が薄い代わりに競争も薄いという構図だ。
資本政策と M&A
還元は止まっている。2026年3月期は無配、次の期も無配予想だ。株主優待もない。代官山の土地の売却で得た資金は借入の返済と現金の確保に使った。
2025年10月、旭化成ホームズが個人株主3名から議決権の約14%を取得し、筆頭株主になった。業務提携の具体策は協議中で、業績への影響額は未定とされる。買収の可能性がこの出資で高まったかどうかは分からない。
展示場BESS多摩の移転で約5億円の補償金差益が2027年3月期に入る。これは一過性の特別利益で、移転先での建物の取得費用は別に資産計上されるため、現金は全額が残るわけではない。
展示場は賃借も多く、新リース会計基準(2028年3月期から適用の見込み)で、リース債務が貸借対照表に載る。現在のリース債務は1.4億円と小さいが、基準適用後は膨らむ可能性がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
BESSは、大手ハウスメーカーの値上げで空いた高価格帯を、独自の世界観で取れる。顧客は価格ではなくブランドに共感して買うので、値下げ競争に巻き込まれにくい。契約残は114億円と前期末から25%増え、来期の売上は136億円まで伸びる。
展示場BESS多摩の移転補償金で約5億円が入り、現金は厚くなる。この資金で都市部寄りの新商品を開発し、2027年3月期の後半にプレ販売を始める。特約店制度で販売網を広げれば、固定費を増やさずに棟数を増やせる。
旭化成ホームズが筆頭株主になり、賃貸住宅や非住宅の協業が動き出した。BtoBの特建は受注が安定すれば、売上の柱になる。本社費は損益分岐点が下がった結果、売上が戻れば利益が一気に出る。
会社は2023年から事業の再建に着手し、損益分岐点の売上高はすでに下がったと説明している。契約高も損益分岐点に近い水準まで戻った。
景気が回復して住宅ローン金利が落ち着けば、都市部寄りの顧客層が一気に動く余地もある。物価で新築価格が上がるほど、個性のある家に払う意欲は、むしろ高い層で強まる。
慎重な見方
6期連続で営業損失を出し、ROEの中央値はマイナス16%だ。前の中計でも利益を戻せなかった。新しい中計の営業利益10億円は、2026年3月期の6億円近い赤字から見て、あまりに遠い。
展示場への新規来場は前年比17%減り、前の期に続き集客が戻っていない。契約残の増加は、受注の増加より引き渡しの遅れ(建築確認申請の長期化)によるところが大きく、売上計上が遅れたものだ。来期の営業利益予想は0.1億円で、補償金がなければ最終赤字だ。
現金25.7億円のうち、顧客からの前受金や未成工事受入金が約11億円ある。借入も約7億円あり、自由に使える現金は数億円しかない。住宅市場は縮み、金利が上がり、価格が上がる。この条件で、集客が戻る根拠が薄い。
旭化成ホームズの出資は評価できる材料だが、業績への影響額は未定とされ、協業の成果はまだ数字に出ていない。
しかも、2027年3月期に見込む最終黒字は補償金に支えられたもので、本業の黒字化は次の期以降の宿題として残る。
どちらに重みを置いたか
売上の戻りは確かだが、本社費が重く、利益に結びつきにくい。確率は、中立を最も厚くしつつ、やや悲観と悲観を合わせて4割強に置いた。
楽観は、中計の営業利益10億円が現実になる筋書きで、ここまで届けば価値は今の数倍になる。ただ、そこに至る確率は低い。逆に悲観は、現金が尽きる前に他社へ売る筋書きで、株主にはほぼ現金分だけが残る。期待値は今の時価総額をやや下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 501 円21 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 25 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 244 円10 億円、今との差 −30.2%、 期待の年率 +4.2%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 3,848 円160 億円 | 289 円12 億円 | +1,085.3% | +28.1% | 207 円9 億円 |
| やや楽観 | 15% | 1,087 円45 億円 | 72 円3 億円 | +232.3% | +12.8% | 174 円7 億円 |
| 中立 | 35% | 260 円11 億円 | 0 円0 億円 | −25.5% | −2.9% | 91 円4 億円 |
| やや悲観 | 27% | 138 円6 億円 | 0 円0 億円 | −60.6% | −8.9% | 37 円2 億円 |
| 悲観 | 18% | 96 円4 億円 | 0 円0 億円 | −72.6% | −12.1% | 17 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 501 円21 億円 | 25 円1 億円 | +50.8% | +4.2% | 526 円22 億円 |
今の株価時価総額 349 円15 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:高価格帯の開拓が当たり、BESSが「選ばれる家」になる 利益 9 億円 · PER 18.0 倍 · 株価時価総額 3,848 円160 億円
10年後の売上は200億円近く、営業利益は12億円規模(利益率6%)に育つ。中計が掲げる営業利益10億円を超える水準で、過去の最良期(2016年3月期の6.1%)に並ぶ。
効くのは三つだ。大手ハウスメーカーの値上げで空いた高価格帯に、都市部寄りの新商品が受け入れられる。特約店制度でBESSを売る拠点が空白地に広がる。旭化成ホームズとの協業が賃貸住宅や非住宅の受注を押し上げる。
直営の拠点は黒字が定着し、赤字だったBESSパートナーズも黒字に転じる。契約残の積み上がりが続き、配当は再開して利益の3割ほどを配る。ただ、これは筆者が描く上限に近い絵で、BESSの顧客層が広がらない限り実現しない。
- 直販部門(直営の展示場):数量 110(引渡し棟数相当(棟。非住宅は住宅換算))× 価格 6,315(1棟あたり売上(万円))→ 売上 69 億円・営業利益 10 億円。数量1.25倍・単価1.10倍・営業利益率14.0%
- 販社部門(ブランドと部材キットの供給):数量 352(販社経由の引渡し棟数(棟))× 価格 1,142(1棟あたりキット売上(万円))→ 売上 40 億円・営業利益 4 億円。数量1.10倍・単価1.05倍・営業利益率11.0%
- BESSパートナーズ(グループの販売会社):数量 189(引渡し棟数(棟))× 価格 4,751(1棟あたり売上(万円))→ 売上 90 億円・営業利益 7 億円。数量1.45倍・単価1.10倍・営業利益率8.0%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)3 億円。全体の PER 17.96 倍、時価総額 155 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:6期連続の営業損失から、中計の営業利益10億円を超えて育つ筋書きは、事業の立て直し・高価格帯の新商品・拠点網の拡大が全て当たる必要がある。低く置いた。
やや楽観 15% やや楽観:売上は戻るが利益率は1〜2%台にとどまる 利益 3 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 1,087 円45 億円
売上は175億円ほどまで戻り、営業利益は4億円弱になる。直営の拠点は黒字を保ち、販社の部材供給も安定する。BESSパートナーズは拠点の整理が進んで、赤字は小さくなる。旭化成ホームズとの協業は賃貸住宅など限られた案件にとどまる。
一方、本社費は物価と人件費の上昇で重く、利益率は2%にとどまる。大手ハウスメーカーの価格上昇を追い風に、契約単価はじわじわ上がるが、集客が戻らない限り数量は伸びない。特建の法人向けは、受注が年によって大きく振れる。
配当は再開するが、小さい。現金は今の水準を保ち、事業への再投資と新しい展示場の更新に使われる。
- 直販部門(直営の展示場):数量 101(引渡し棟数相当(棟。非住宅は住宅換算))× 価格 6,028(1棟あたり売上(万円))→ 売上 61 億円・営業利益 7 億円。数量1.15倍・単価1.05倍・営業利益率11.5%
- 販社部門(ブランドと部材キットの供給):数量 336(販社経由の引渡し棟数(棟))× 価格 1,088(1棟あたりキット売上(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。数量1.05倍・単価1.00倍・営業利益率8.5%
- BESSパートナーズ(グループの販売会社):数量 169(引渡し棟数(棟))× 価格 4,535(1棟あたり売上(万円))→ 売上 77 億円・営業利益 4 億円。数量1.30倍・単価1.05倍・営業利益率5.0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)3 億円。全体の PER 14.35 倍、時価総額 45 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:契約残113.9億円(前期末比25%増)と補償金で、次の1〜2年は営業損益が改善する見込み。ただ、本社費が重く、利益の戻りは緩やかだと見た。
中立 35% 中立:契約は戻るが利益はほとんど残らない 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 260 円11 億円
10年後の売上は155億円ほど、営業利益はほぼ損益トントンの0.5億円。物価で名目の売上は増えるが、人件費と資材も同じだけ上がるので、利益は伸びない。
直営の展示場は黒字、販社の部材供給は薄い黒字、BESSパートナーズは小さな黒字に変わる。ただ、本社費が重く、これらの黒字の大半を食う。中計の営業利益10億円には届かない。
現金は事業の運転資金と更新投資に回り、積み上がらない。無配が続く。利益は利息収入が主で、事業そのものはほぼ稼いでいない。
展示場BESS多摩の移転で得る補償金は、新しい建物の取得に使われる。数量は直営と特約店で少し増えるが、集客の戻りは大手の価格上昇に頼る部分が大きく、大きくは伸びない。
- 直販部門(直営の展示場):数量 96.8(引渡し棟数相当(棟。非住宅は住宅換算))× 価格 5,741(1棟あたり売上(万円))→ 売上 56 億円・営業利益 6 億円。数量1.10倍・単価1.00倍・営業利益率10.0%
- 販社部門(ブランドと部材キットの供給):数量 320(販社経由の引渡し棟数(棟))× 価格 1,088(1棟あたりキット売上(万円))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。数量1.00倍・単価1.00倍・営業利益率6.5%
- BESSパートナーズ(グループの販売会社):数量 150(引渡し棟数(棟))× 価格 4,319(1棟あたり売上(万円))→ 売上 65 億円・営業利益 2 億円。数量1.15倍・単価1.00倍・営業利益率3.0%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.2% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)3 億円。全体の PER 12.12 倍、時価総額 11 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:6期連続で営業赤字を重ねた実績と、契約残の増加・補償金・損益分岐点の低下という改善材料の中間。前の中計も未達だったので、利益は小さく置いた。
やや悲観 27% やや悲観:拠点を整理して赤字を止めるが、稼ぐ力は戻らない 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 138 円6 億円
集客が戻らず、受注は今の水準を下回り続ける。BESSパートナーズの赤字拠点を閉じて規模を縮め、売上は115億円前後になる。
本社費も縮めるが、固定費は減りきらず、営業損益は1億円強の赤字が残る。現金は少しずつ減り、事業への再投資の余裕がなくなる。ブランドの熱心なファンは残るが、新規の顧客は増えない。
旭化成ホームズとの協業は進むものの、収益を押し上げるほどの規模にはならない。株主に残る価値は、主に手元の現金になる。
会社は赤字を止めるために、本社費の圧縮と拠点の統合を急ぐ。ただ、新築の戸建て市場そのものが縮むため、棟数を戻す手段が乏しい。
- 直販部門(直営の展示場):数量 79.2(引渡し棟数相当(棟。非住宅は住宅換算))× 価格 5,741(1棟あたり売上(万円))→ 売上 45 億円・営業利益 4 億円。数量0.90倍・単価1.00倍・営業利益率9.0%
- 販社部門(ブランドと部材キットの供給):数量 272(販社経由の引渡し棟数(棟))× 価格 1,056(1棟あたりキット売上(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。数量0.85倍・単価0.97倍・営業利益率6.0%
- BESSパートナーズ(グループの販売会社):数量 91.0(引渡し棟数(棟))× 価格 4,319(1棟あたり売上(万円))→ 売上 39 億円・営業利益 0 億円。数量0.70倍・単価1.00倍・営業利益率0.0%
倍率:赤字で稼ぐ力から値段が付かないため、今の自己資本に掛ける形で置いた。自由に使える現金(前受金・運転資金を除く)が主な価値で、今の自己資本の 3.6 割に当たる 0.36 倍にとどめ、中立の PBR より低い。
確率:高価格帯の開拓は他社が縮んだ分野を狙うものだが、大手が値下げで応じれば無理が出る。集客数は前年割れが続いており、慎重に厚く置いた。
悲観 18% 悲観:ブランドの力が落ち、事業を畳むか他社に吸収される 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 96 円4 億円
集客の減少に歯止めがかからず、受注は半分以下に縮む。BESSパートナーズは全拠点を閉じ、販社も多くが撤退して、売上は50億円を割る。
営業損益は赤字が続き、手元の現金が毎年削られる。会社は事業を畳むか、旭化成ホームズなど他社への事業譲渡で幕を引くことになる。ブランドの顧客層が高齢化し、次の世代に価値が引き継がれない。
株主の手元に残るのは、前受金と未払いを処理した後の現金と、土地の売却代金程度だ。
BESSのブランドは旭化成ホームズなど他社が引き継ぐかもしれないが、少数株主が受け取る対価は、帳簿の自己資本を大きく下回る。
- 直販部門(直営の展示場):数量 44.0(引渡し棟数相当(棟。非住宅は住宅換算))× 価格 5,569(1棟あたり売上(万円))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。数量0.50倍・単価0.97倍・営業利益率5.0%
- 販社部門(ブランドと部材キットの供給):数量 128(販社経由の引渡し棟数(棟))× 価格 1,015(1棟あたりキット売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。数量0.40倍・単価0.93倍・営業利益率0.0%
- BESSパートナーズ(グループの販売会社):数量 26.0(引渡し棟数(棟))× 価格 4,190(1棟あたり売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 −1 億円。数量0.20倍・単価0.97倍・営業利益率-10.0%
倍率:稼ぐ力は赤字で、株主の取り分は事業を畳んだ後に残る現金の分だけ。今の自己資本に 0.25 倍を掛け、純現金+売れる資産の税後(前受金・工事の未払いを除く)と同じ規模に置いた。
確率:新築戸建の市場は10年で2割以上縮む見通しの中、BESSの顧客層が高齢化して世代交代が進まない場合。6期連続赤字で、5%よりは高く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
直販部門(直営の展示場)
東京・神奈川・千葉の直営3拠点で、BESS住宅と非住宅(リゾート施設・保育施設など)を元請けで請け負う。
| 数量引渡し棟数相当(棟。非住宅は住宅換算) | 価格1棟あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 88.0 | 4,284 | 38 | 3 |
| 10 年後 中立 | 96.8 | 5,741 | 56 | 6 |
取り方:外部売上は2026/03期で全体の35.7%=37.7億円。棟数は開示がないため、住宅と非住宅を合わせた1棟あたりの売上を推定して割り戻した。受注462棟のうち直営の割合は明らかでなく、ここは推定。
販社部門(ブランドと部材キットの供給)
全国の地区販社(エリアパートナー)にBESSの商標・販売手法・部材キットを供給する。
| 数量販社経由の引渡し棟数(棟) | 価格1棟あたりキット売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 320 | 812 | 26 | 1 |
| 10 年後 中立 | 320 | 1,088 | 35 | 2 |
取り方:外部売上は24.6%=26.0億円。販社が建てる棟数は非開示で、部材キットの1棟あたり売上を推定して割り戻した。拠点が減る方向で、数量は減少が続いてきた。
BESSパートナーズ(グループの販売会社)
熊谷・つくば・富士・浜松・東愛知・熊本・仙台・札幌・岐阜の約9拠点で、BESS住宅を元請けで販売・施工する。
| 数量引渡し棟数(棟) | 価格1棟あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 130 | 3,223 | 42 | −2 |
| 10 年後 中立 | 150 | 4,319 | 65 | 2 |
取り方:外部売上は39.7%=41.9億円。棟数は非開示のため、住宅1棟あたりの売上を推定して割り戻した。拠点を増やしてきたが、セグメントはなお赤字。
リスクと懸念
集客の減少が止まらない
展示場への新規来場は前年比17%減、再来場も減っている。ブランドの熱量が客数に変わらなければ、契約は戻らず、固定費の重い直営拠点が赤字を拡大する。
本社費が重く、利益が残らない
全社の調整費用は年9億円前後で、直販と販社の黒字を食う。売上が戻っても、物価と人件費の上昇で固定費が増え、利益率は1%前後にとどまる恐れがある。
住宅市場の縮小と金利
新築着工は3年続けて減り、2025年は74万戸(前年比6.5%減)。住宅ローン金利が上がれば、注文住宅の需要はさらに細る。
建築確認の遅れと工期
建築基準法の改正で確認申請が長期化し、着工と売上の計上が遅れた。契約残が積み上がっても、引き渡しまで時間がかかれば現金化が遅れる。
現金が客の前受金に頼る構造
現金のうち前受金・未成工事受入金・契約負債が約11億円。受注が減れば前受金も減り、現金が急に細る。自由な現金は見た目の半分以下だ。
補償金頼みの黒字
2027年3月期の最終黒字5.1億円は、展示場移転の補償金(約5億円)による。これを除くと営業利益は0.1億円で、収益力の改善とは区別して見る必要がある。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の売上が136億円に届き、営業利益が黒字になったら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。売上の戻りが利益に結びつくかの、最初の確認になる。
- 展示場の新規来場数が前年を上回り、契約棟数が前年比で増え始めたら
- 集客の底打ちの合図で、中立の数量(1.1倍)が妥当になる。
- 旭化成ホームズとの協業で、賃貸住宅や非住宅の受注額が開示されたら
- BtoBの数量が上振れる材料。楽観の筋書きの重みを増やしてよい。
- 営業赤字が2027年3月期も続き、現金が20億円を割り込んだら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。事業の縮小や他社への譲渡が現実味を帯びる。
- 旭化成ホームズが出資比率を引き上げる動きが出たら
- 資本再編の合図。少数株主にとっては買い増しの価格が重要になる。
見ておくもの
- 展示場(LOGWAY)の新規来場数と契約棟数
- 期末契約残高と引き渡しのペース
- 営業損益の黒字化と本社費の水準
- 旭化成ホームズとの協業の受注額
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から決めた。ROE が資本コスト 8.25% 以下の中立・やや楽観は正当化 PER の上限 1÷k の約 8 割、悲観側は稼ぐ力ではなく自由に使える現金(前受金・運転資金を除く)を今の自己資本に掛けた。時価総額が現金を下回って見える点は、現金の約半分が客の前受金・借入であることから割安の根拠にしていない。余った現金 4 億円は戻り方 0.5(無配が続き、還元実績がない)を掛けて足した。新リース会計基準で10年後のリース債務の形は変わるが、家賃を営業費用に入れた今の形でそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→17.96 倍・やや楽観 PER 9→14.35 倍・中立 PER 9.5→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に上の1.0%を足した。赤字の長さは筋書きと確率で表し、上乗せ(distress)はしない(現金があり存続の疑いは小さい)。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.25%。