結論
くろがね工作所は、三重の津工場でオフィス家具と病院向けの建築設備機器を作る会社だ。売上は 63 億円。営業損失は 8 期続いており、前期の純利益 4 億円は保有株の売却益 5.6 億円によるものだ。筆者の結論は「割高」。事業の稼ぐ力が小さく、帳簿の厚みだけでは割安とは言えない。
家具の側は、Steelcase 社の製品を軸にしたオフィス提案と、在宅用の机や宅配ボックスで稼ぐ。利益は出るが、売上は前期に 1 割減った。建築設備の側は、病院の引戸やクリーン機器を扱うが、赤字が広がっている。
財務は堅い。自己資本比率は 57% で、現金は借入を上回る。保有する上場株は 96 銘柄から大きく減らし、売却益を配当と自社株買いに回している。
ただし、今期も営業損失は 2 億円規模の見通しで、第 3 四半期までの売上は前年を 3 割近く下回る。黒字化の道筋は、新しい中期計画の初期の数字を見るまで確かではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「帳簿の資産が厚いが稼げない会社を、資産の値段で買ってよいか」を問う。答えは、事業が資産を食う限りは、買えない、である。
純資産は 48 億円と時価総額の 2 倍以上。だが 8 期連続の営業赤字は、事業が自己資本を削っていることを示す。稼ぐ力が資本コストを下回る会社の帳簿は、割安の根拠にならない。
評価できるのは、保有株を実際に売って現金化し、配当と自社株買いで返し始めた点だ。ここに、資本の使い方を改める意思が見える。
一方、売却益は一度きりで、事業の稼ぎではない。津工場の土地建物や残る株の価値は安全域になるが、事業を畳む局面でしか取り出せない。
長く持ちたい事業ではない。資産の裏づけを理由に高い値は付けない。
事業が黒字に戻り、数年続いて初めて、資産の厚さが安全域として生きてくる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は 2 つある。家具関連は売上 47 億円で、事務用家具と家庭用家具。建築付帯設備機器は売上 16 億円で、病院や福祉施設向けの設備だ。
家具は、米国 Steelcase 社との提携で、オフィスのデザインから什器の納入までを提案する。特注の什器も得意だ。家庭向けには、在宅ワークの机「リニアミオ」や宅配ボックスを出している。セグメント利益は 3 億円ほど。
建築付帯設備機器は、医療福祉施設の懸垂式の引戸、病院の病室ユニット、手術室向けのクリーン機器と空調機器だ。前期は 1.5 億円の損失で、赤字が広がった。
生産は津工場に集約している。連結子会社は 3 社、持分法の関連会社が 1 社。従業員は連結で 264 人、提出会社の平均年収は 488 万円だ。
セグメントの数量は開示されない。ここでは売上の規模を今を 1 とする指数で置き、品目ごとの数量は推定しない。
生産拠点は津工場の 1 か所。取引は法人が中心で、官公庁・病院・企業の発注に左右される。納期は長く、受注から売上までに数か月の時間差がある。
優良さと弱いところ
優良さは「低い」と見る。強みは地方の工場と提携の窓口にとどまり、利益の裏づけが無い。
家具の側は、Steelcase 製品の取り扱いと特注の対応力に強みがある。ただ、オフィス家具は大手のコクヨ、イトーキ、オカムラに規模で劣り、価格を決める力は弱い。
建築設備の側は、医療福祉向けの専用品で技術に特色があるが、病院の投資に左右され、受注の波が大きい。赤字が続き、事業の見直しが課題だ。
営業損失は 8 期連続。営業利益率は過去 12 年で最高でも 1.8% にとどまる。前期の黒字化は保有株の売却益によるもので、事業の稼ぐ力とは言えない。
財務は堅く、自己資本比率は 57%、現預金は借入を上回る。だが売却できる保有株が減る中、赤字を現金で埋め続けることはできない。
経営は保有株の整理に動いたが、事業そのものの採算を直す決め手は、まだ見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
オフィス家具の市場は、リモートワークの定着でオフィスの面積と席数が細る一方、出社回帰とオフィスの改装需要で、買い替えの波がある。地方の中小企業のオフィス投資は、景気と補助金に左右される。
競合は、大手のコクヨ、イトーキ、オカムラだ。大手はデザインと提案の力、販売網、調達の規模で優位に立つ。小さな専業は、特注や地域の顧客、輸入ブランドの窓口で生き残りを図る。
在宅用の机や宅配ボックスは、コロナ期に伸びたが、需要は落ち着いた。物流の宅配ボックスは、住宅の新築や補助金で動く。
医療・福祉向けの設備は、病院の建て替えと人手不足の省力化で需要が続く。ただ、建築費の高騰で病院の投資が先送りされる例が多く、受注は遅れている。
鋼板などの原材料と、商品の仕入れ価格は上がっている。値上げを顧客が受け入れるかが、利益率を決める。
筆者は、この領域は大手が提案力と規模で伸び、小さな専業は特注とニッチで細く残ると見る。
地方の工場を持つ専業は、物流費と人件費の上昇を価格に載せにくく、利益率がさらに薄くなる恐れがある。
資本政策と M&A
資本政策は、保有株の整理で現金を作り、配当と自社株買いに回す形になっている。前期は上場株 86 銘柄を 6.8 億円で売却し、5.6 億円の売却益を計上した。
配当は普通配当と特別配当を合わせて配当総額 0.66 億円ほど(配当性向 17%)。自社株買いは 0.3 億円だった。配当は売却益が支え、事業の稼ぎからは出ていない。
有利子負債は約 10 億円で、現預金 10 億円とほぼ釣り合う。金利が上がる局面でも、借入が小さいので利息の増加は限られる。
残る上場株は 6.6 億円ほどで、さらに売却して現金に換える方針が見える。売却が尽きれば、赤字を埋める資金源は減る。
新しい中期計画「Power up 2028」は、財務基盤の改善、製造基盤の強化、商品企画の強化、人材の強化を掲げる。TOB や再編の可能性は小さくないが、価値の評価には使わない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
純資産 48 億円に対して時価総額は 19 億円。保有株を現金に換え、津工場の土地建物の価値もある。事業が収支とんとんになるだけで、株主は資産の価値を享受できる。
家具は黒字を保ち、前期のセグメント利益は 3 億円。Steelcase との提携と特注の強みは、オフィスの改装需要で生きる。建築設備も、病院の建て替えが進めば赤字を抜ける。
新しい中期計画は、内装工事やプロジェクト管理を取り込み、提案から施工までを広げる。売上が戻れば、固定費の重さで出ていた赤字は一気に縮む。
物価が上がる世界では、家具の値段も上がる。本社費の削減と津工場の集約が進めば、利益率は過去の最高の 1.8% を超えられる。
保有株の売却と配当の方針は、資本の効率を上げる意思を示している。財務は堅く、借入に頼らず再建できる。
筆者のみる限り、最も確かな材料は、保有株の売却で作った現金を株主に返す姿勢だ。それが続けば、事業の弱さを資産が補う。
慎重な見方
営業損失は 8 期続き、黒字化の計画は何度も外れた。前期の売上は 12% 減り、今期も第 3 四半期までの売上は 3 割近く減っている。会社の黒字予想は、営業損失 2 億円という現実に置き換わった。
家具は大手との規模の差が開く。提案力と調達力で劣る専業は、価格を上げられず、本社費が重い。建築設備は病院の投資が止まり、赤字が拡大している。
前期の黒字は保有株の売却益だけだ。売れる株は減っており、赤字を現金で埋め続ける余力は限られる。津工場に生産を集約したことで、災害の影響も一点に集中する。
純資産が厚くても、事業が資本を食えば自己資本は減る。ROE が資本コストに届かない会社に、PBR 1 倍割れは割安の根拠にならない。
配当は売却益が頼りで、事業の稼ぎでは出ていない。売却が尽きれば、配当も維持できない。
物価が上がれば、本社費と工場の人件費が先に増える。家具の値上げが通らなければ、利益率は上がらず、むしろ下がる。
どちらに重みを置いたか
財務の堅さと資産の裏づけを評価しつつ、8 期連続の赤字と今期の赤字の見通しを重く見た。確率は悲観側に寄せ、やや悲観と悲観で 40% を置いた。
楽観は、家具の改装需要が伸び、建築設備の赤字が消えて利益率が過去の最高に届く筋書きで 6% にとどめた。
資産の裏づけは評価するが、少数株主が取り出せない資産に高い値は付けず、悲観の床も控えめに置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/11 期)
確率で加重した株価時価総額 432 円7 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 169 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 277 円5 億円、今との差 −76.4%、 期待の年率 −6.5%(資本コスト 9.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,246 円21 億円 | 359 円6 億円 | +36.9% | +3.2% | 96 円2 億円 |
| やや楽観 | 18% | 725 円12 億円 | 240 円4 億円 | −17.8% | −1.9% | 174 円3 億円 |
| 中立 | 36% | 353 円6 億円 | 180 円3 億円 | −54.5% | −7.6% | 192 円3 億円 |
| やや悲観 | 26% | 291 円5 億円 | 120 円2 億円 | −65.0% | −10.0% | 107 円2 億円 |
| 悲観 | 14% | 174 円3 億円 | 60 円1 億円 | −80.0% | −14.9% | 33 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 432 円7 億円 | 169 円3 億円 | −48.7% | −6.5% | 601 円10 億円 |
今の株価時価総額 1,173 円20 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 改装需要を取り込み、建築設備の赤字も消える 利益 2 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 1,246 円21 億円
オフィスの改装と内装工事を取り込み、家具の売上は 1.15 倍、価格は物価並みの 1.34 倍になる。建築設備は病院の建て替えで受注が戻り、黒字化する。
津工場の集約と本社費の見直しが効き、営業利益率は 1.9% に上がる。過去の最高の 1.8% をわずかに超える。
配当は普通配当を維持して小さく増え、自己資本は 51 億円ほどになる。
Steelcase の製品と提案力が、改装需要で生きる。物価の上昇を価格に転嫁できる。津工場の更新投資も、利益で賄える水準になる。
建築設備の側は、病院の投資が戻る年に受注が集中し、売上の波が大きくなる。
- 家具関連(事務用家具・家庭用家具):数量 1.2(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 63(今の売上(億円、名目))→ 売上 73 億円・営業利益 5 億円。規模 1.15 倍・価格 1.34 倍、利益率 6.5%
- 建築付帯設備機器(医療福祉施設向けの設備):数量 1.0(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 22(今の売上(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 0 億円。規模 1.00 倍・価格 1.34 倍、利益率 2%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.6% が k 9.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 10.26 倍、時価総額 21 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家具の提案が伸び、建築設備の赤字が消えて利益率が過去の最高に届く筋書き。8 期連続の赤字なので 6% にとどめた。
やや楽観 18% 家具が横ばいで、建築設備は収支とんとん 利益 1 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 725 円12 億円
家具の売上は 1.05 倍、価格は 1.34 倍。建築設備は規模を 5% 絞り、赤字を止める。
営業利益は 0.6 億円ほどの小さな黒字。営業外の配当と利息で、純利益は 0.9 億円ほどになる。
配当は売却益に頼らず、利益の範囲に収める。自己資本は 49 億円ほど。
本社費は物価で増え、利益を削る。家具の黒字を安定させるには、オフィスの改装需要を継続して取る必要がある。保有株の売却は続く。家具の黒字を建築設備の損失が相殺する形が続き、全社の利益は薄いままだ。
新しい中期計画の柱である内装工事への展開は、小さく上乗せされる程度にとどまる。
- 家具関連(事務用家具・家庭用家具):数量 1.1(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 63(今の売上(億円、名目))→ 売上 66 億円・営業利益 4 億円。規模 1.05 倍・価格 1.34 倍、利益率 6%
- 建築付帯設備機器(医療福祉施設向けの設備):数量 1.0(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 22(今の売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。規模 0.95 倍・価格 1.34 倍、利益率 0%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.8% が k 9.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 10.26 倍、時価総額 12 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家具が横ばいで、赤字が止まる筋書き。18%。
中立 36% 収支とんとんにたどり着くが、利益は薄い 利益 0 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 353 円6 億円
家具の売上は 5% 減り、価格は物価並みの 1.34 倍。建築設備は 15% 縮み、赤字が小さくなる。
営業利益はほぼゼロ。本社費は物価で増えるが、津工場の集約と人員の削減で 8% ほど抑える。
純利益は配当と利息でかろうじて黒字の 0.25 億円ほど。配当は利益を上回り、保有株の売却で賄う。
既存の設備の償却は物価で増えず、更新投資が増えた分だけ新しい償却が足される。津工場の老朽化の更新で現金が出る。自己資本は 47 億円ほどにとどまる。保有株の売却益は尽き、配当は利益に合わせて小さくなる。
サーキュラーエコノミー対応など新しい取り組みは、売上の数%の上乗せにとどまり、全体を動かさない。
- 家具関連(事務用家具・家庭用家具):数量 1.0(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 63(今の売上(億円、名目))→ 売上 60 億円・営業利益 4 億円。規模 0.95 倍・価格 1.34 倍、利益率 6%
- 建築付帯設備機器(医療福祉施設向けの設備):数量 0.9(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 22(今の売上(億円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。規模 0.85 倍・価格 1.34 倍、利益率 -2%
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 0.4% が k 9.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 10.26 倍、時価総額 6 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:津工場の集約と本社費の見直しで、営業利益がほぼゼロに近づく標準の姿。確率の中心。
やや悲観 26% 大手に押され、赤字が続く 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 291 円5 億円
家具の売上は 2 割減り、価格は物価に届かず 1.25 倍。建築設備は 3 割縮み、赤字が続く。
営業損失は 2 億円規模で続き、10 年の純損失は合計 9 億円ほど。保有株の売却益で埋めるが、売れる株は減る。
配当は削られ、自己資本は 38 億円まで目減りする。津工場の更新を先送りし、設備が老朽化する。生産の効率が落ち、納期の遅れも出る。
株主の取り分は稼ぐ力ではなく、持っている資産の価値で測る。大手との価格競争で受注が細り、固定費が重くのしかかる。
建築設備は病院の投資が止まり、事業の縮小や撤退が現実の課題になる。
- 家具関連(事務用家具・家庭用家具):数量 0.8(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 59(今の売上(億円、名目))→ 売上 47 億円・営業利益 2 億円。規模 0.80 倍・価格 1.25 倍(競争と原材料高で物価に届かず)、利益率 4.5%
- 建築付帯設備機器(医療福祉施設向けの設備):数量 0.7(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 19(今の売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 −1 億円。規模 0.70 倍・価格 1.20 倍(競争と原材料高で物価に届かず)、利益率 -6%
倍率:純損失で稼ぐ力に値が付かない。今の自己資本 48.5 億円に PBR 0.1 倍を掛け、少数株主が取り出せる資産の税後を床とした。事業が稼がない間は、土地・工場の価値を少数株主は取り出せない。
確率:家具の売上が細り、建築設備の赤字が続く筋書き。実績に近い下振れとして 26%。
悲観 14% 受注が細り、工場を畳む局面に入る 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 174 円3 億円
家具の売上は 4 割減り、価格は 1.10 倍にとどまる。建築設備は 6 割縮む。
営業損失が続き、10 年の純損失は合計で 15 億円ほど。津工場の稼働が下がり、拠点の整理が始まる。
配当は止まり、自己資本は 32 億円まで減る。事業の売却や縮小の局面に入る。家具の工場でも人員の整理が避けられない。
株主の取り分は、残る現金と土地の価値で測る。顧客の信用が落ち、新規の受注も減り、津工場の稼働は大きく下がる。
保有株は売り切り、人員の整理と拠点の統合が続く。事業の売却や再編の話が出る局面だ。配当を支えてきた売却益が尽き、株主への還元も途絶える。
- 家具関連(事務用家具・家庭用家具):数量 0.6(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 52(今の売上(億円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。規模 0.60 倍・価格 1.10 倍(競争と原材料高で物価に届かず)、利益率 1%
- 建築付帯設備機器(医療福祉施設向けの設備):数量 0.4(売上の規模(実質、今を 1))× 価格 18(今の売上(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 −1 億円。規模 0.40 倍・価格 1.10 倍(競争と原材料高で物価に届かず)、利益率 -10%
倍率:構造的に負けた姿。純損失で稼ぐ力に値が付かず、取り出せる資産が床になる。今の自己資本 48.5 億円に PBR 0.06 倍。
確率:構造的に負ける筋書き。家具・設備とも数量が半分以下に縮む。14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
家具関連(事務用家具・家庭用家具)
Steelcase 社との提携によるオフィス提案、特注什器、在宅用の机、宅配ボックス。
| 数量売上の規模(実質、今を 1) | 価格今の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1.0 | 47 | 47 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 63 | 60 | 4 |
取り方:売上 47.21 億円・セグメント利益 2.95 億円(有報)。数量が開示されず、売上の規模を今を 1 とする指数で置いた(推定)。本社費などは全社の調整に -2.67 億円。
建築付帯設備機器(医療福祉施設向けの設備)
病院・福祉施設向けの懸垂式引戸、病室ユニット、手術室向けクリーン機器・空調機器。
| 数量売上の規模(実質、今を 1) | 価格今の売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1.0 | 16 | 16 | −2 |
| 10 年後 中立 | 0.9 | 22 | 18 | 0 |
取り方:売上 16.21 億円・セグメント利益 -1.50 億円(有報)。数量が開示されず、売上の規模を今を 1 とする指数で置いた(推定)。本社費などは全社の調整に -2.67 億円。
リスクと懸念
営業赤字の連続
営業損失は 8 期続いた。前期の黒字は保有株の売却益 5.6 億円によるもので、事業の稼ぎではない。今期も営業損失 2 億円規模の見通し。
大手との規模の差
オフィス家具はコクヨ・イトーキ・オカムラが提案力と調達力で優位。小さな専業は価格を決める力が弱い。
建築設備の赤字
病院の投資は建築費の高騰で先送りされ、前期の損失は 1.5 億円に広がった。事業の見直しが必要になる恐れがある。
売れる保有株の減少
保有株は 96 銘柄から大きく減らした。赤字を売却益で埋めてきたが、残りは 6.6 億円ほどで、いずれ尽きる。
津工場への集中
生産を津工場に集約している。地震など三重県の災害で、生産が一度に止まる恐れがある。
原材料と仕入れの値上がり
鋼板などの原材料と仕入れ商品の価格上昇は、値上げで転嫁できなければ利益率を削る。
今後の分かれ目
- 今期の営業損失が会社の見通し(2 億円)より小さくなったら
- 構造の改善が進んでいるとみて、やや楽観の確率を引き上げる。
- 新中期計画の初年度に営業黒字へ戻したら
- 黒字化の道筋が見えたとみて、楽観・やや楽観の確率を引き上げる。
- 建築設備の赤字が拡大したら
- 事業の撤退・縮小の局面とみて、やや悲観・悲観を引き上げる。
- 保有株の残りを売り切ったら
- 赤字を埋める資金源が尽きたとみて、配当の維持を疑う。
- 津工場の用地や建物を売る方針が出たら
- 資産の価値の取り出しとして、床の評価を見直す。
見ておくもの
- 営業損益(家具・建築設備別)
- 保有株の残高
- 新中期計画の進み
- 津工場の稼働
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。ROE が k 9.75% を下回る筋書きは、PER の上限が 1÷k = 10.5 倍で、営業利益がほぼゼロの会社なので中立は 6.7 割の 7.0 倍にとどめた。保有株は売却の方針と実績があるため余った資産として足し、悲観側は売れる資産の税後を床にした。今の株価・過去の倍率は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→10.26 倍・やや楽観 PER 8→10.26 倍・中立 PER 7→10.26 倍)。
資本コスト 9.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。k = 基本 7.5% + quality 1.0% + 上乗せ 1% = 9.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.75%。