結論
セキは、愛媛県松山市の印刷会社だ。チラシ・カタログ・新聞の印刷を中心に、書籍の出版や事業所向け用品のカタログ販売も営む。筆者の結論は「割高」である。帳簿の純資産は時価総額の 3 倍あるが、本業の稼ぐ力がほぼ消え、資産も少数株主に戻りにくいからだ。
本業は細っている。2026 年 3 月期は、印刷の赤字で全社の営業損益が 0.7 億円の赤字に転じた。紙と電気の値上げ、新しい設備の償却、人件費の上昇が重なった。紙の印刷の需要は、デジタルに置き換わりながら毎年減っていく。
一方で資産は厚い。現金と預金は 37 億円、投資有価証券は 57 億円あり、借金はほとんど無い。純利益は、この現金と株の配当や利息にほぼ支えられている。
ただ、大株主は創業家の関家とその資産管理会社、財団で、配当は 1 株あたりの額を長く据え置いてきた。現金と株が株主に戻る道は細い。10 年後の中立は、印刷がとんとんで、利益の大半を有価証券と現金が稼ぐ姿である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「資産は厚いが、事業が溶けていく」銘柄だ。純資産は 165 億円で、時価総額の 3 倍ある。だが、その価値が少数株主の手に入る道筋は見えない。
事業の側から見ると、長く持ちたい種類ではない。紙の印刷は毎年縮み、値段を決める力も無い。新しい設備を入れても、その償却が利益を食う。デジタルへの転換も、買収した会社はまだ赤字だ。
資産の側は、現金と有価証券が時価総額を大きく上回る。ただし創業家と財団が 4 割近くを持ち、配当は据え置きで、自社株買いも無い。経営は資産を事業の転換に使うと言っている。うまくいかない買収に使われれば、資産は減る。
筆者は、帳簿の厚さを値段の支えとは見ない。稼ぐ力が資本コストに遠く届かない会社では、積み上がった資産は、その額ほどの価値を持たない。安全域は見かけよりずっと薄い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は印刷だ。チラシ、カタログ、パンフレット、新聞の印刷を請け負い、売上は 89 億円と全社の 74% を占める。最大の客は読売新聞大阪本社で、新聞の印刷を受託し、売上の 14% になる。子会社のメディアプレス瀬戸内が新聞の印刷を担う。今期は 1 億円の赤字だった。
出版と広告代理は、愛媛の地域の本や雑誌をつくり、広告を取り次ぐ。売上は 13 億円、営業利益は 0.4 億円だ。カタログ販売は、事業所向けの用品をカタログで売り、通販のカタログの制作も請け負う。アスクルが大口の客で、売上の 12% を占める。売上は 14 億円、営業利益は 0.5 億円になる。
2025 年には、EC モールの売上を伸ばす手伝いをするピュアフラットを 5 億円余りで買った。デジタルの販促に軸を移す狙いだが、買収の費用とのれんの償却で今期は赤字だ。2024 年にはフジシールインターナショナルと資本業務提携を結んだ。
美術館も持つ。セキ美術館は毎期赤字だが、企業の顔として続ける方針だ。連結の従業員は 484 人で、本体は 308 人いる。
優良さと弱いところ
この会社の質は、縮む市場で地域の印刷を守る力と、それを上回る逆風の綱引きだ。四国で大きな印刷設備を持ち、新聞から通販カタログまで刷れる会社は多くない。読売新聞やアスクルとの長い取引は、その信頼の証だ。
だが、紙の印刷そのものが縮んでいる。チラシはスマートフォンの広告に、カタログは EC のサイトに置き換わる。新聞の部数も減り続ける。印刷の値段は相見積もりで決まり、紙と電気の値上げを客に移しきれない。
利益の推移がそれを物語る。営業利益率は 2015 年 3 月期の 4.8% から下がり続け、今期は赤字だ。中期計画は営業利益 7.5 億円を掲げたが、届かずに目標の年を 2030 年度へ延ばした。
資本の効率は極めて低い。ROE の過去 10 年の中央値は 1.7% で、資本コストの 5 分の 1 にも満たない。自己資本の 6 割近くを現金と有価証券が占め、事業に使われていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の印刷の市場は、20 年以上縮み続けている。印刷の出荷額は、ピークの 1990 年代から半分ほどに減った。新聞の部数、チラシ、カタログ、雑誌のどれもが、デジタルへの置き換えで量を減らしている。
残る需要もある。パッケージやラベル、商品の包装は、物を売る限りなくならない。セキがフジシールと手を組んだのは、その分野への足がかりだろう。地域の企業の販促物や、高齢者向けの紙の広告も、すぐには消えない。
費用の側は厳しい。紙の値段はこの数年で大きく上がり、電気代も高止まりしている。印刷機は高く、更新のたびに建築費や機械の値上がりで投資が膨らむ。償却は昔の値段のままでも、更新の現金は今の値段で出ていく。
競合は、大日本印刷や TOPPAN のような大手と、各地の中小の印刷会社だ。中小は後継者の不足で廃業が続き、仕事は残る会社に集まる。セキは四国で残る側に立てる規模を持つが、市場全体の縮みには逆らえない。
10 年の中立は、印刷の量が 3 分の 2 に細り、値段は物価にやや遅れて上がる姿とみる。物価の分で売上は保てても、利益はほとんど残らない。
資本政策と M&A
還元は控えめだ。配当は 1 株あたりの額を長く据え置き、総額は年 1.1 億円ほどだ。純利益が細った今期は、配当性向が 4 割を超えた。自社株買いは行っていない。株主優待の記載は無い。
現金と預金は 37 億円、投資有価証券は 57 億円あり、借入は 1.6 億円しかない。有価証券のうち政策保有株は 18 億円で、いよぎん HD が 11 億円と大半を占める。残りの内訳は開示から確かめられなかった。
大株主は、創業家の関家とみられる個人、資産管理会社の宏栄興産、関奉仕財団で 4 割近くを持つ。経営の判断は安定しているが、資産を株主に返す圧力は弱い。ピュアフラットの買収のように、現金は事業の転換に使われる方針だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
資産の厚さは圧倒的だ。現金と預金 37 億円、投資有価証券 57 億円で、時価総額 52 億円の倍近い。借金は無く、本業が赤字でも会社は揺るがない。純利益は配当と利息で黒字を保てる。
本業にも足場がある。四国で新聞からカタログまで刷れる設備は貴重で、中小の印刷会社が廃業すれば仕事は集まる。読売新聞やアスクルとの長い取引もある。フジシールとの提携で、伸びるパッケージの分野に入る道も開けた。
デジタルへの転換も進む。ピュアフラットを買い、EC の販促の手伝いを始めた。紙の販促とネットの販促を組み合わせて売れる地方の会社は少ない。中期計画は 2035 年度に営業利益 10 億円を掲げる。
資本市場の圧力も強まっている。PBR が 0.3 倍の会社は、取引所の改善の要請の筆頭だ。還元を少し厚くするだけで、眠った資産は株主に戻り始める。
有価証券と現金の稼ぎだけで、純利益は年 2〜3 億円を保てる。本業がとんとんでも、配当は十分に守れる水準だ。
慎重な見方
本業は溶けている。営業利益率は 10 年で 4.8% から赤字まで落ちた。紙の印刷の需要はデジタルに奪われ続け、回復の理由は見当たらない。中期計画の目標は届かず、目標の年を 5 年延ばした。
値上げも通らない。紙と電気の値上げを客に移しきれず、新しい設備の償却も重い。印刷機の更新は、建築費と機械の値上がりで今より高くつく。利益が出ないのに、現金は設備に出ていく。
資産は少数株主のものではない。創業家と財団が 4 割近くを持ち、配当は据え置きで、自社株買いは無い。現金は事業の転換に使う方針で、ピュアフラットの買収はその最初の例だが、まだ赤字だ。不慣れな分野の買収が続けば、資産は削られる。
大口の客への依存も危うい。読売新聞の印刷は売上の 14% を占めるが、新聞の部数は毎年減る。受託が細れば、輪転機の稼働はすぐに落ちる。
有価証券の 3 分の 2 は内訳が開示から読み取れない。何をどれだけ持つかが見えない資産を、値段の支えとして数えるのは危うい。
どちらに重みを置いたか
慎重な側の主張が強いと筆者は見る。本業の利益が 10 年で消えたことは数字で確かめられ、資産を株主に返す仕組みも弱い。一方で、借金が無く資産が厚いので、会社が傾く恐れは小さい。中立を最も厚くし、やや悲観をそれに次ぐ重さにした。資産が戻るかどうかは、確率でなく現金の戻り方で表した。中計の目標が延びたことは、楽観の確率を低く置く理由にした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,081 円45 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 249 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 644 円27 億円、今との差 −49.1%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,002 円83 億円 | 353 円15 億円 | +86.2% | +6.4% | 165 円7 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,479 円62 億円 | 247 円10 億円 | +36.4% | +3.2% | 311 円13 億円 |
| 中立 | 36% | 1,261 円53 億円 | 264 円11 億円 | +20.5% | +1.9% | 549 円23 億円 |
| やや悲観 | 27% | 636 円26 億円 | 240 円10 億円 | −30.8% | −3.6% | 237 円10 億円 |
| 悲観 | 12% | 408 円17 億円 | 168 円7 億円 | −54.5% | −7.6% | 69 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,081 円45 億円 | 249 円10 億円 | +5.1% | +0.5% | 1,330 円55 億円 |
今の株価時価総額 1,265 円53 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% パッケージと EC の販促に移り、印刷が黒字に戻る 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,002 円83 億円
フジシールとの提携が実を結び、パッケージやラベルの仕事が増える。中小の印刷会社の廃業で、四国の仕事も集まる。印刷の量は 1 割強減るにとどまり、値段は物価並みに上がる。利益率は 3% に戻る。
ピュアフラットは客を増やし、紙とネットを組み合わせた販促が売れる。AI で運用の手間が減る分、少ない人で多くの客を支える。カタログ販売も堅く稼ぐ。
営業利益は 4 億円ほどに戻る。有価証券の配当と現金の利息を合わせ、純利益は 6 億円台になる。それでも ROE は 3% 台で、資本コストには遠い。資産の厚さが値段に乗るには、還元の転換が要る。
- 印刷関連(洋紙販売を含む):数量 1.6(印刷に使う紙の量(万トン・推定))× 価格 67(紙 1 トンあたりの印刷の売上(万円・名目))→ 売上 110 億円・営業利益 3 億円。量 0.88 倍、パッケージが増え利益率 3%
- 出版・広告代理:数量 118(書籍・雑誌の販売部数(万部・推定))× 価格 1,320(1 部あたりの売上(円・名目、広告を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。地域の出版を保つ
- カタログ販売:数量 156(受注の件数(万件・推定))× 価格 13,400(1 件あたりの売上(円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。堅く伸びる
- EC コンサルティング(ピュアフラット):数量 90.0(支援する客の数(社・推定))× 価格 432(1 社あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。客が 3 倍、AI で人手を抑える
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 83 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:7%。印刷の黒字化と新しい事業の育成が両方とも当たる必要がある。中計の未達が続いているので低く置く。
やや楽観 18% 印刷はとんとんを保ち、カタログと出版が稼ぐ 利益 4 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,479 円62 億円
印刷の量は 10 年で 4 分の 1 減るが、値上げと設備の効率化で利益率は 1% に戻る。新聞の受託は部数の減りで細るが、通販カタログとパッケージの一部で埋める。
出版とカタログ販売は今の稼ぎを保ち、物価の分だけ利益が増える。EC のコンサルは客を倍に増やすが、AI による運用代行の値下げ圧力で、値段は物価ほど上がらない。
営業利益は 1.5 億円ほどになる。純利益は有価証券と現金の稼ぎで 4 億円台だ。配当は据え置きが続き、自己資本は少しずつ増える。
本業は止血できても、資本の効率は低いままだ。
- 印刷関連(洋紙販売を含む):数量 1.4(印刷に使う紙の量(万トン・推定))× 価格 66(紙 1 トンあたりの印刷の売上(万円・名目))→ 売上 92 億円・営業利益 1 億円。量 0.75 倍、利益率 1%
- 出版・広告代理:数量 111(書籍・雑誌の販売部数(万部・推定))× 価格 1,320(1 部あたりの売上(円・名目、広告を含む))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。今並みの利益率
- カタログ販売:数量 149(受注の件数(万件・推定))× 価格 13,200(1 件あたりの売上(円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。堅い
- EC コンサルティング(ピュアフラット):数量 60.0(支援する客の数(社・推定))× 価格 414(1 社あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。客は倍、AI で値段は物価に遅れる
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.2% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 58 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:18%。費用の削減と値上げで印刷の赤字を止める姿。過去にも利益率 2% 前後の年はあった。
中立 36% 印刷の量は 3 分の 2 に細り、利益は資産の稼ぎ頼みになる 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,261 円53 億円
紙の印刷の量は、デジタルへの置き換えで 10 年に 3 分の 1 減る。新聞の受託も部数の減りで細る。値段は紙と電気の値上げを一部だけ移し、物価にやや遅れて上がる。印刷はとんとんの利益にとどまる。
出版は量が 4 分の 1 減り、カタログ販売は今の量を保つ。EC のコンサルは客を増やすが、AI エージェントが運用代行の仕事を置き換え、値段は上がらない。
営業利益は 1 億円に届かない。純利益は、有価証券の配当と現金の利息で 2〜3 億円を保つ。配当は据え置きで、自己資本は 175 億円ほどになる。ROE は 1% 台にとどまる。
- 印刷関連(洋紙販売を含む):数量 1.2(印刷に使う紙の量(万トン・推定))× 価格 65(紙 1 トンあたりの印刷の売上(万円・名目))→ 売上 81 億円・営業利益 0 億円。量 0.67 倍、値段 1.30 倍(相見積もりで物価に遅れる)、利益率 0%
- 出版・広告代理:数量 98.2(書籍・雑誌の販売部数(万部・推定))× 価格 1,300(1 部あたりの売上(円・名目、広告を含む))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。量 4 分の 1 減
- カタログ販売:数量 142(受注の件数(万件・推定))× 価格 13,000(1 件あたりの売上(円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。量を保つ
- EC コンサルティング(ピュアフラット):数量 45.0(支援する客の数(社・推定))× 価格 396(1 社あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AI エージェント代替で値段は物価を下回る
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)19 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 47 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:36%。紙の印刷の縮みが過去と同じ速さで続き、費用の上昇を値上げで埋めきれない。過去 10 年の流れの延長として最も厚く置いた。
やや悲観 27% 新聞の受託が細り、印刷の赤字が続く 利益 2 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 636 円26 億円
新聞の部数の減りが速まり、読売新聞の印刷の受託が細る。チラシとカタログの量も減り、印刷の量は 10 年で半分強になる。値段は物価に追いつかず、印刷は赤字が続く。
出版も細り、EC のコンサルは AI の運用代行に押されて赤字に戻る。カタログ販売だけが小さく稼ぐ。
営業損益は赤字になり、純利益は有価証券と現金の稼ぎで 1 億円台を保つ程度だ。配当は守るが、余った現金の一部は輪転機の更新と赤字の穴埋めに使われる。
借金が無いので会社は揺らがない。ただ、株主にとっての価値は、配当と現金の一部に限られていく。
- 印刷関連(洋紙販売を含む):数量 1.0(印刷に使う紙の量(万トン・推定))× 価格 63(紙 1 トンあたりの印刷の売上(万円・名目))→ 売上 64 億円・営業利益 −1 億円。量 0.55 倍、赤字
- 出版・広告代理:数量 85.1(書籍・雑誌の販売部数(万部・推定))× 価格 1,250(1 部あたりの売上(円・名目、広告を含む))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。細る
- カタログ販売:数量 127(受注の件数(万件・推定))× 価格 12,500(1 件あたりの売上(円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。小さく稼ぐ
- EC コンサルティング(ピュアフラット):数量 36.0(支援する客の数(社・推定))× 価格 360(1 社あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI の運用代行に押され赤字
倍率:ROE は 1% 前後で k 8.5% を大きく下回り、上限は 1÷k=11.1 倍。本業は赤字で資産の稼ぎだけが残るので、上限の約 6 割強の 7.0 倍。
確率:27%。新聞の部数の減りと紙の値上げで、印刷の赤字が続く姿。今期すでに赤字なので中立に近い厚さで置いた。
悲観 12% 大口の受託を失い、事業の転換も失敗する 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 408 円17 億円
読売新聞が印刷の拠点を集約し、受託が終わる。輪転機は止まり、減損が出る。チラシとカタログの量も大きく減り、印刷の赤字は 4 億円台に膨らむ。
ピュアフラットは AI エージェントに仕事を奪われ、のれんを減損する。新しい分野への買収が続き、現金が削られる。
純利益は赤字になり、配当も減る。資産は残るが、創業家と財団が握る会社で、少数株主に戻る道は細い。値段の土台は、戻りうる現金の一部だけになる。
美術館も含め、稼がない資産を持ち続ける経営の癖は変わらない。現金は減り続け、帳簿の厚さは毎年少しずつ削られていく。
- 印刷関連(洋紙販売を含む):数量 0.8(印刷に使う紙の量(万トン・推定))× 価格 60(紙 1 トンあたりの印刷の売上(万円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 −3 億円。大口を失い赤字が膨らむ
- 出版・広告代理:数量 65.5(書籍・雑誌の販売部数(万部・推定))× 価格 1,200(1 部あたりの売上(円・名目、広告を含む))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。赤字
- カタログ販売:数量 113(受注の件数(万件・推定))× 価格 12,000(1 件あたりの売上(円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。小さく稼ぐ
- EC コンサルティング(ピュアフラット):数量 24.0(支援する客の数(社・推定))× 価格 360(1 社あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。赤字
倍率:稼ぐ力は無く、値段は戻りうる現金で決まる。床の資産 17 億円を今の自己資本 162 億円で割った 0.105 倍。
確率:12%。新聞の受託の終了、買収の失敗、印刷の赤字の拡大が重なる構造的な負け。大口の客に頼り、市場も縮むので 1 割強の厚さで置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
印刷関連(洋紙販売を含む)
チラシ・カタログ・パンフレット・新聞の印刷。読売新聞大阪本社の新聞印刷を受託する。洋紙・板紙の販売を含む。
| 数量印刷に使う紙の量(万トン・推定) | 価格紙 1 トンあたりの印刷の売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.9 | 50 | 93 | −1 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 65 | 81 | 0 |
取り方:印刷と洋紙の売上 93 億円を、紙 1 トンあたり約 50 万円の印刷の売上で割り、約 1.9 万トンとみた推定値。使用量の開示は無い。
出版・広告代理
愛媛の地域の書籍・雑誌をつくって売り、広告を取り次ぐ。
| 数量書籍・雑誌の販売部数(万部・推定) | 価格1 部あたりの売上(円・名目、広告を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 131 | 1,000 | 13 | 0 |
| 10 年後 中立 | 98.2 | 1,300 | 13 | 0 |
取り方:売上 13.1 億円を、広告込みで 1 部あたり約 1 千円とみて、年 131 万部とした推定値。
カタログ販売
事業所向けの用品をカタログで売り、通販のカタログの制作も請け負う。アスクルが大口の客。
| 数量受注の件数(万件・推定) | 価格1 件あたりの売上(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 142 | 10,000 | 14 | 1 |
| 10 年後 中立 | 142 | 13,000 | 18 | 1 |
取り方:売上 14.2 億円を、1 件あたり約 1 万円の受注で割り、年 142 万件とみた推定値。
EC コンサルティング(ピュアフラット)
EC モールでの客の売上を伸ばす手伝いをする。2025 年 8 月に買った。人月で売る運用代行が中心。
| 数量支援する客の数(社・推定) | 価格1 社あたりの年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.0 | 360 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 396 | 2 | 0 |
取り方:8 か月分の売上 1.08 億円を、約 30 社 × 1 社年 360 万円とみた推定値(通年なら 1.6 億円ほど)。
リスクと懸念
紙の印刷の構造的な縮み
チラシ・カタログ・新聞はデジタルへの置き換えで量が減り続ける。印刷は売上の 4 分の 3 を占め、今期はすでに赤字だ。営業利益率は 10 年で 4.8% から赤字まで下がった。
大口の客への依存
読売新聞大阪本社が売上の 14%、アスクルが 12% を占める。新聞の印刷の拠点の集約や、通販カタログの縮小があれば、輪転機の稼働はすぐに落ちる。
資産が少数株主に戻らない
現金と有価証券は時価総額の倍近いが、創業家と財団が 4 割近くを持ち、配当は据え置き、自社株買いは無い。現金は事業の転換に使う方針で、株主に戻る見込みは低い。
AI エージェントによる販促の置き換え
EC のコンサルと広告代理は、人の手で運用を代行して稼ぐ。AI エージェントがその仕事を置き換えれば、値段と量の両方が削られる。買収したピュアフラットはまだ赤字だ。
設備の更新と費用の上昇
紙と電気の値上げを転嫁しきれず、新しい設備の償却も重い。輪転機の更新は、機械と建築費の値上がりで今より高くつく。利益が出ないまま、現金が設備に出ていく。
今後の分かれ目
- 配当性向の引き上げや自社株買いが発表されたら
- 資産が株主に戻る道が開いたとみて、余った現金の戻り方を 0.75 以上に直す。
- 印刷の営業利益が 2 年続けて黒字に戻ったら
- 費用の転嫁が進んだとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 読売新聞の印刷の受託が縮小・終了したら
- 悲観の筋書きが近づいたとみて、悲観側の確率を上げる。
- フジシールとの提携でパッケージの売上が数字で出たら
- 印刷の数量の見通しを上に直す。
- 新たな買収に大きな現金を使ったら
- 買う値段と事業の質を見て、現金の価値を割り引くか確かめる。
見ておくもの
- 印刷関連の営業損益
- 読売新聞・アスクル向けの売上の割合
- 配当と自社株買いの方針
- ピュアフラットの損益とのれん
- 現金・投資有価証券の残高
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PBR には寄せていない。売上は紙の使用量・部数・件数の推定から積み、倍率は ROE が k を大きく下回るので上限 1÷k(11.1 倍)の 6〜8.5 割で置いた。PBR が 0.3 倍と低いことは割安の根拠にしていない。有価証券は配当を利益に残し、余り資産には足していない。悲観は純現金に戻り方を掛けた床で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.76 倍・やや楽観 PER 8.5→11.76 倍・中立 PER 8→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.75%。