結論
中本パックスは、スーパーや食品メーカー向けの包装フィルムを主力とする大阪の印刷・加工メーカーだ。売上496億円のうち、食品関連が6割強を占める。残りはスマートフォンや自動車に使う機能材料、収納用品などの生活資材、建材、医療向けの包材である。
筆者の結論は、今の値段はほぼ適正というものだ。営業利益率は6.0%と過去最高圏にある。食品包装は薄利だが、電子材料と生活資材が利益の大半を稼ぐ構図で、この組み合わせが10年続くかが値段の分かれ目になる。
強みは、グラビア印刷、ラミネート、成形といった加工を一社でこなす点と、用途を特定の分野に偏らせない全天候型の経営である。弱みは、原料の樹脂の価格に左右されること、食品の国内数量が人口減で細ること、そして堀が限られる点にある。
資本の使い方は保守的だ。配当性向は30%前後で、自己資本比率は52%。純有利子負債はほぼゼロで、利益の多くが内部に残る。その使い道が今後10年の価値を左右する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、中本パックスは「地味で手堅い、成長は限られる」会社だ。
事業の本質は、メーカーと消費者の間で、食品や部品の中身を守る包装材を作ることだ。この商売は10年後も続く。ただし、誰でも作れる食品包装は価格競争にさらされ、独占的な堀はない。利益の多くを電子材料と生活資材が稼いでいる点が、この会社の命綱になる。
オーナー利益、つまり再投資を引いた株主のものになる利益は、設備更新の費用を引いて純利益の約8割と見る。物価が上がれば更新の費用が先に膨らむので、会計の利益ほど現金は残らない。
経営は保守的で、財務の堅さと赤字の無さは評価できる。配当性向が低く、現金が内部に積み上がる点は、少数株主にとって得ではない。筆者がこの会社を持ち続けたいと思うのは、内部留保が設備と成長に使われ、ROEが維持される間である。
安全域は、純現金がほぼゼロで、帳簿の自己資本が土台となる。悲観では、利益の半分以上が失われる。
何で稼ぐ会社か
中本パックスは、プラスチックフィルムに印刷し、貼り合わせ、袋や容器に加工する会社だ。2026年2月期の連結売上は496億円で、単一の事業として開示される。用途別に見ると、食品関連が316億円、IT・工業材料が93億円、生活資材が43億円、建材が20億円、医療・医薬が16億円、その他が9億円となる。
食品関連は、チーズなどの乳製品、冷凍食品、農産物向けの包装資材が柱だ。顧客は食品メーカーとスーパーなどの小売で、売上総利益率は14%と低い。
IT・工業材料は、スマートフォン向けの機能材料や自動車の内装材などを扱い、売上総利益率が24%と高い。2026年2月期は売上が4%、粗利が25%伸びた。
生活資材は収納・日用品関連で、粗利率は4割に達する。建材は住宅着工の減少で受注が細り、粗利率は1割台に低い。医療・医薬は包装材で、病院向けの輸液関連が好調だった。
生産拠点は国内に名張、埼玉、竜ヶ崎などがあり、海外はベトナム、米国、中国に子会社がある。中国の2社は2025年10月に連結から外れた。連結従業員は883人。
優良さと弱いところ
中本パックスの優良さは、加工の幅広さと財務の堅さにある。ただし堀は、強いとは言えない。
良い点は三つある。第一に、印刷、コーティング、ラミネート、成形を自社でこなし、用途を食品、電子、日用品、医療と分散している。景気や顧客の波が一つの分野に集中しない。第二に、IT・工業材料や生活資材のように、粗利率が2割から4割の高収益分野を持つ。第三に、自己資本比率が52%で、赤字の期がない。
悪い点も三つある。食品包装は粗利率が14%と薄く、全体の利益率を押し下げる。原料の樹脂とエネルギーの価格が上がると、顧客への転嫁に時間がかかり、利益が削られる。売上の6割強が食品で、国内の人口減の影響を受ける。
資本の使い方は手堅い。過去10年のROEは中央値で9.4%と、資本コストを上回ってきた。配当性向は30%前後と控えめで、その分、利益は設備と内部に残る。売上は5年で4割増えたが、買収や海外投資は小さい。
堀は普通、収益の質は並。それが筆者の判断である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中本パックスが属する軟包装、つまりフィルムを使った柔らかい包装の市場は、成熟しているが底堅い。
食品包装は、人口が減る日本では量が伸びにくい。ただ、小分け、長期保存、レトルトなど包装の高度化が進み、単価は上がる傾向がある。環境面では、プラスチックの使用削減とバイオマス素材への切り替えが求められ、対応できない中小の包材会社は淘汰される。
電子材料は、スマートフォンや自動車の電装化、半導体の高度化とともに伸びる。この領域の機能フィルムは技術の差が出やすく、利益率も高い。
競合は、TOPPAN、大日本印刷、フジシールインターナショナルといった大手と、地域に多数いる中堅の包材メーカーだ。大手は規模と技術に優れ、中堅は小ロットの対応力と価格で戦う。
原料はポリエチレンやポリプロピレンなど石油由来の樹脂で、原油価格とナフサ、為替に左右される。2026年2月期は、食品の値上げ局面で価格を転嫁できたとみられる。
10年後の見方はこうだ。食品の数量は小幅に減り、電子材料と医療は伸び、物価の分だけ売上が増える。
資本政策と M&A
配当性向は30%前後を目安とし、2026年2月期の性向は29%で、2027年2月期は30%を予定する。年間の配当金は6億円台で、純利益の約3割にとどまる。
純有利子負債はほぼゼロで、現金等が76億円、借入金も同じ規模にある。自己資本は5年で6割増え、内部留保が積み上がっている。設備投資は営業CFの約半分で、償却費12.6億円に近い水準だ。残りは借入の返済と配当に回る。
買収は少ない。2025年10月には中国の2社を譲渡して連結から外した。縮小した事業を整理する動きとみる。M&Aを積極的に使う会社ではなく、既存の工場と設備の更新で成長する型だ。
大株主は株式会社中本(6.9%)とナカモト・セカンド(4.2%)が上位で、サカタインクスや日本紙パルプ商事といった仕入先も1.7%ずつ持つ。創業家に近い法人の持分が1割強あり、支配的ではないが、安定株主として厚い。
株主優待は開示に見当たらない。工場は土地・建物の多くを自社で持つ。賃借の負担は小さく、新リース会計基準による数字の形の変化も小さい。kabufuの試算では10年以内の買収・TOBの確率は27%。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
電子材料と自動車の電装化は、10年単位で続く成長分野だ。中本パックスのIT・工業材料は、2026年2月期に粗利が25%伸びた。スマートフォン、車載、半導体向けの機能フィルムは、数量が伸びるうえに単価も高く、利益率が2桁に達する。
食品包装も、環境対応と小分け需要で高付加価値化が進む。バイオマス素材やリサイクル対応の包材は、技術力のある会社に有利で、中堅の淘汰が進めば残った会社のシェアは上がる。
財務は堅く、赤字の期がなく、自己資本比率は52%。配当性向は30%と低いので、増配の余地が大きい。会社が資本効率を意識して配当性向を引き上げれば、株主価値は大きく伸びる。
加えて、業界は再編が続く。時価総額が小さく、業績が安定した会社は、大手による買収の候補になりうる。海外も、ベトナムと米国の拠点が自動車や電子部品の需要を取り込めば、国内の人口減を補える。粗利の高い分野の比率が1割上がるだけで、全体の営業利益は2割以上増える計算になる。
慎重な見方
売上の6割強が食品包装で、粗利率は14%と薄い。国内の人口が減る中で、数量は伸びない。原料の樹脂が上がれば転嫁に時間がかかり、利益が削られる。2024年2月期には営業利益率が4%に落ち、純利益が前年から15%減った実績がある。
利益率6%は過去最高の水準で、10年後に維持できる保証はない。電子材料は台湾、韓国、中国の競合との価格競争が激しく、顧客の一社に依存する度合いも大きい。
建材は住宅着工の減少で、粗利率が1割台に落ちた。中国の2社を譲渡するなど、海外展開も順調とは言いがたい。
環境規制で、プラスチック包装そのものが制約を受けるおそれもある。配当性向が30%と低く、現金は内部に溜まり、株主には戻らない。仕入先のサカタインクスや日本紙パルプ商事が株主に並ぶ構図は、価格交渉で川上に押されやすいことの裏返しでもある。2025年2月期の営業利益の急増も、前年が低すぎた反動の側面が強く、本来の稼ぐ力はこの中間にある。
どちらに重みを置いたか
どちらも事実だが、慎重な見方がやや強い。電子材料と生活資材の高収益は実在し、食品の安定も評価できる。ただ、全体の利益率はすでに過去最高圏で、原料と国内の人口減という構造的な逆風がある。堀も強くない。確率は中立に38%を置き、強気側の合計を27%、慎重側の合計を35%とした。強気が頼る電子材料は全体の2割弱にすぎず、慎重な側が突く食品の薄利が利益の大半の土台になっている点を重く見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 4,466 円395 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 853 円75 億円)。 今の値に割り戻すと 2,761 円244 億円、今との差 +5.6%、 期待の年率 +7.4%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 8,385 円742 億円 | 1,254 円111 億円 | +268.8% | +13.9% | 675 円60 億円 |
| やや楽観 | 20% | 6,700 円593 億円 | 1,074 円95 億円 | +197.4% | +11.5% | 1,555 円138 億円 |
| 中立 | 38% | 5,125 円454 億円 | 904 円80 億円 | +130.6% | +8.7% | 2,291 円203 億円 |
| やや悲観 | 25% | 2,126 円188 億円 | 655 円58 億円 | +6.4% | +0.6% | 695 円62 億円 |
| 悲観 | 10% | 603 円53 億円 | 429 円38 億円 | −60.5% | −8.9% | 103 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,466 円395 億円 | 853 円75 億円 | +103.5% | +7.4% | 5,319 円471 億円 |
今の株価時価総額 2,614 円231 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 電子材料と医療が伸び、食品も高付加価値化に成功 利益 40 億円 · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 8,385 円742 億円
スマートフォンや車載、半導体向けの機能フィルムが伸び、IT・工業材料の出荷量が5割以上増える。食品も、バイオマス素材や再利用対応の包材で単価を物価以上に上げ、中堅の淘汰でシェアが上がる。生活資材は日用品の高付加価値化で好調を保つ。営業利益率は連結で7.3%まで上がり、過去最高の6.0%を上回る。これは電子材料の比率が高まり、食品の価格転嫁が定着した場合に限る。配当性向は36%へ高まり、買収も使われる。ただし、顧客の需要と原料の価格が10年間安定する前提が要る。海外は米国とベトナムの拠点が自動車と電子の需要を取り込み、国内の人口減を補う。株主への還元も厚くなり、現金の戻り方が改善する。
- 食品関連:数量 5.3(出荷量(万トン))× 価格 83(1トンあたり売上(万円))→ 売上 436 億円・営業利益 16 億円。利益率3.6%
- IT・工業材料関連:数量 9,641(出荷量(トン))× 価格 211(1トンあたり売上(万円))→ 売上 204 億円・営業利益 23 億円。利益率11.5%
- 生活資材・建材:数量 81,600(出荷点数(千点))× 価格 11(千点あたり売上(万円))→ 売上 86 億円・営業利益 13 億円。利益率15.5%
- 医療・医薬・その他:数量 1,560(出荷量(トン))× 価格 269(1トンあたり売上(万円))→ 売上 42 億円・営業利益 3 億円。利益率8.0%
倍率:事業の純利益 39 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)75 億円。全体の PER 17.19 倍、時価総額 742 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電子材料の数量が10年で5割以上伸び、食品の単価が高付加価値化で物価を上回る必要がある。利益率が過去最高を大きく上回る条件の重さから7%。
やや楽観 20% 電子材料が着実に伸び、食品は薄利ながら安定 利益 34 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 6,700 円593 億円
IT・工業材料の出荷量が3割増え、食品と生活資材は物価並みの値上げを定着させる。医療は輸液関連が好調で、出荷量が1割以上増える。営業利益率は連結で6.6%と、過去最高を少し上回る。内部留保は設備更新に回り、配当性向は34%へ上がる。食品は環境対応の包材で単価をわずかに上乗せし、建材の落ち込みも生活資材の好調が補う。海外の拠点も黒字を保つ。電子材料の顧客は広がり、特定の一社に頼る度合いは下がる。原料の変動は価格に転嫁でき、食品の粗利率も15%前後で安定する。売上は4割強増え、物価を少し超える伸びが続く。
- 食品関連:数量 5.2(出荷量(万トン))× 価格 81(1トンあたり売上(万円))→ 売上 424 億円・営業利益 14 億円。利益率3.4%
- IT・工業材料関連:数量 8,210(出荷量(トン))× 価格 205(1トンあたり売上(万円))→ 売上 168 億円・営業利益 18 億円。利益率10.5%
- 生活資材・建材:数量 80,000(出荷点数(千点))× 価格 11(千点あたり売上(万円))→ 売上 84 億円・営業利益 13 億円。利益率15.0%
- 医療・医薬・その他:数量 1,380(出荷量(トン))× 価格 269(1トンあたり売上(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 3 億円。利益率7.0%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)66 億円。全体の PER 16.03 倍、時価総額 593 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電子材料と自動車の電装化は、すでに数字に表れている。業績の上位に近い想定で、2割。
中立 38% 物価に沿って伸び、利益率は今の水準を保つ 利益 28 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 5,125 円454 億円
食品の出荷量は人口減で3%減るが、価格は物価並みに上がる。電子材料は出荷量が15%増え、生活資材は数量が5%減っても高い粗利率を保つ。営業利益は物価の分だけ伸び、連結の利益率は5.9%と今の水準にとどまる。これは、近年の利益率の改善が、粗利の高い分野の拡大から来ており、すでに実績があるためだ。配当性向は32%で、内部留保は設備の更新と運転資金に使われ、一部は現金として積み上がる。為替と原料の変動は、10年を均すと中立とする。売上は物価と電子材料の伸びで6割強増えるが、利益率は上がらず、増えた分は設備更新と人件費に消える。
- 食品関連:数量 5.1(出荷量(万トン))× 価格 80(1トンあたり売上(万円))→ 売上 411 億円・営業利益 13 億円。利益率3.1%
- IT・工業材料関連:数量 7,153(出荷量(トン))× 価格 201(1トンあたり売上(万円))→ 売上 144 億円・営業利益 14 億円。利益率9.5%
- 生活資材・建材:数量 76,000(出荷点数(千点))× 価格 10(千点あたり売上(万円))→ 売上 78 億円・営業利益 11 億円。利益率14.0%
- 医療・医薬・その他:数量 1,200(出荷量(トン))× 価格 269(1トンあたり売上(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。利益率5.9%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)56 億円。全体の PER 14.63 倍、時価総額 454 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:食品の数量減と電子材料・医療の増加が相殺する、会社の実力どおりの落としどころ。最も厚く置く。
やや悲観 25% 食品の価格転嫁が遅れ、電子材料が競争で伸び悩む 利益 17 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 2,126 円188 億円
食品の出荷量が8%減り、原料高の転嫁が遅れて利益率が2%まで下がる。電子材料は競争で価格が伸びず、利益率は7%に低下する。生活資材は小売の値下げ要求で粗利が圧縮される。営業利益率は連結で4.1%に落ち、配当性向も30%に下がる。現金は谷で一部を使う。環境対応の設備投資が重なり、更新費用は物価以上に膨らむ。大手との価格競争で、中堅の包材メーカーとして生き残れるかが試される10年になる。原料の上昇を転嫁できず、粗利の薄い食品が足を引っ張る。電子材料でも、台湾・中国勢の追い上げで単価が下がり、売上は物価ほど伸びない。人件費と物流費は上がり続けるため、固定費の重さが利益を削る。
- 食品関連:数量 4.9(出荷量(万トン))× 価格 76(1トンあたり売上(万円))→ 売上 369 億円・営業利益 7 億円。利益率2.0%
- IT・工業材料関連:数量 6,220(出荷量(トン))× 価格 192(1トンあたり売上(万円))→ 売上 119 億円・営業利益 8 億円。利益率7.0%
- 生活資材・建材:数量 68,000(出荷点数(千点))× 価格 9.80(千点あたり売上(万円))→ 売上 67 億円・営業利益 7 億円。利益率10.5%
- 医療・医薬・その他:数量 1,080(出荷量(トン))× 価格 251(1トンあたり売上(万円))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。利益率4.0%
倍率:事業のROEは約5%でk以下なので、PERは1÷k=12.5倍が上限。ためた利益は額面未満の価値と見て、上限の76%の9.5倍に置く。
確率:原料と為替の変動は10年のうち何度も来る。電子材料も、中国・台湾勢との競争が強い。確率は中立に次ぐ2割台の中盤。
悲観 10% プラスチック規制と大手の攻勢で、構造的に利益を失う 利益 5 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 603 円53 億円
プラスチック包装への規制が強まり、食品の出荷量は2割近く減る。大手が小ロットまで取り込み、価格は物価に追いつかない。電子材料は主要顧客を失い、出荷量が2割減って利益率は3%に落ちる。営業利益率は連結で1.6%に低下し、配当性向は28%にとどまる。純現金は工場の統廃合と減損に使われる。環境規制への対応投資が回収できず、のれんや設備の減損が続く。創業家に近い株主の持分は残るが、経営の自由度は下がる。売上は今より減り、工場の稼働率が下がって固定費の負担が重くなる。清算されない限り少数株主は現金を自由にできないため、現金の価値も半分に見る。
- 食品関連:数量 4.3(出荷量(万トン))× 価格 69(1トンあたり売上(万円))→ 売上 298 億円・営業利益 2 億円。利益率0.8%
- IT・工業材料関連:数量 4,976(出荷量(トン))× 価格 173(1トンあたり売上(万円))→ 売上 86 億円・営業利益 2 億円。利益率2.5%
- 生活資材・建材:数量 56,000(出荷点数(千点))× 価格 9.00(千点あたり売上(万円))→ 売上 51 億円・営業利益 3 億円。利益率5.0%
- 医療・医薬・その他:数量 960(出荷量(トン))× 価格 231(1トンあたり売上(万円))→ 売上 22 億円・営業利益 0 億円。利益率1.0%
倍率:事業のROEは1〜2%でk以下。稼ぐ力(事業の純利益÷k)と手元の現金で値を付けた。PER7.5倍は上限1÷kの6割。
確率:プラスチック包装への規制、主要顧客の内製化や大手への集約、電子材料の失注が重なる複合の筋書き。10年なら十分ありうるので1割。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食品関連
乳製品、冷凍食品、農産物などの包装資材。食品メーカーとスーパー向け。
| 数量出荷量(万トン) | 価格1トンあたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 5.3 | 60 | 316 | 10 |
| 10 年後 中立 | 5.1 | 80 | 411 | 13 |
取り方:売上316.07億円を、印刷フィルム加工品の平均売価を1トンあたり約60万円と置いて割り、出荷量約5.3万トンとした(出荷量は非開示で推定)。営業利益は売上総利益44.65億円から、販管費61.7億円を売上と粗利に半分ずつ比例配賦して引いた推定値。
IT・工業材料関連
スマートフォン向け機能材料、自動車の内装材など。粗利率が高い。
| 数量出荷量(トン) | 価格1トンあたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 6,220 | 150 | 93 | 9 |
| 10 年後 中立 | 7,153 | 201 | 144 | 14 |
取り方:売上93.29億円を、機能フィルムの平均売価約150万円/トンで割り、出荷量約6,220トンとした(推定)。営業利益は売上総利益22.09億円から販管費を配賦した推定値。
生活資材・建材
収納・日用品関連の生活資材と、建築用の表面機能材料。
| 数量出荷点数(千点) | 価格千点あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 80,000 | 7.85 | 63 | 9 |
| 10 年後 中立 | 76,000 | 10 | 78 | 11 |
取り方:生活資材42.84億円と建材19.95億円の合計62.79億円を、千点あたり約7.85万円で割り、約8,000万点とした(推定)。営業利益は売上総利益の合計20.19億円から販管費を配賦した推定値で、建材の利益は小さく生活資材が大半を稼ぐ。
医療・医薬・その他
輸液関連の包材、医薬向け包装、ほか。
| 数量出荷量(トン) | 価格1トンあたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,200 | 201 | 24 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,200 | 269 | 32 | 2 |
取り方:医療・医薬15.54億円とその他8.64億円の合計24.18億円を、約201万円/トンで割り約1,200トンとした(推定)。営業利益は売上総利益4.41億円から販管費を配賦した推定値。
リスクと懸念
原料の樹脂価格
ポリエチレンやポリプロピレンなど石油由来の樹脂が主原料だ。原料が上がると、顧客への値上げ交渉に時間がかかり、粗利率14%の食品包装では利益が一気に削られる。
食品の国内数量の減少
売上の6割強は食品関連だ。人口が減る日本で、食品の量は伸びない。顧客の食品メーカーも再編が進み、値下げ圧力が強まる。
環境規制
プラスチック包装の使用削減や、バイオマス・リサイクル素材への切り替えの要求が強まる。対応の投資が重くなり、対応できなければ顧客を失う。
電子材料の顧客と競争
IT・工業材料はスマートフォンや自動車の特定の顧客に依存する度合いが大きい。台湾・韓国・中国勢との価格競争も激しく、一件の失注が利益に響く。
更新投資の物価上昇
設備の更新費用は物価で膨らむ。償却は取得時の値段のまま遅れて増えるので、会計の利益が伸びても、手元に残る現金は細る。
海外事業の整理
中国の2社を2025年10月に連結から外した。海外子会社はベトナム、米国、中国にあるが、整理が進めば成長の機会が減る。
現金が株主に戻らない可能性
配当性向は30%前後で、利益の多くが内部に残る。使い道が成長に結びつかなければ、ROEが下がり、評価は上がらない。
今後の分かれ目
- IT・工業材料の売上総利益率が2期連続で25%を超えたら
- 電子材料の高収益が定着した証拠で、やや楽観・楽観側に確率を寄せる。
- 原料の樹脂価格が急騰し、食品の転嫁が2期以上遅れたら
- 食品の利益率が2%を割る。やや悲観側に確率を寄せる。
- 配当性向を40%以上へ引き上げる、または自社株買いを発表したら
- 現金の戻り方が改善し、中立の評価を上限に近づけてよい。
- 主要な電子材料の顧客を失ったと開示されたら
- IT・工業材料の数量の前提を下げ、悲観側に確率を寄せる。
- プラスチック包装の使用削減が法令で義務化されたら
- 食品の数量と価格の前提を見直し、やや悲観・悲観側に確率を寄せる。
- 大手による買収提案や、創業家に近い株主の動きが出たら
- 買われる側の価値が加わり、楽観側の確率を上げる。
見ておくもの
- 用途別の売上総利益率(特にIT・工業材料と生活資材)
- 原料の樹脂価格と値上げの転嫁の時期
- 配当性向と内部留保の使い道
- 設備投資と償却費の差
- プラスチック包装の規制の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)を、事業のROEと普通の堀(残る割合1/2)から出した。中立はROEが資本コストを上回るため、下限の1÷kと式の上限の間に置いた。今の株価は見ていない。純有利子負債がほぼゼロなので、今は余った現金を立てず、10年で積み上がる現金だけを筋書きに書き、戻り方は配当性向が3割で創業家に近い法人の持分があるため0.5とした。賃借は小さく、新リース会計基準による数字の形の変化も小さい。用途別の営業利益は開示が無く、粗利と売上に半分ずつ比例配賦した推定である。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14→17.19 倍・やや楽観 PER 13→16.03 倍・中立 PER 12.6→14.63 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityを足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。