結論
プラッツは、在宅介護用の電動ベッドを企画・販売する会社だ。製造はベトナムなどの外部工場が担い、貸与事業者や介護施設、寝具メーカーに卸す。売上は約 83 億円、従業員は約 150 人。
筆者の結論は「やや割高」だ。介護需要の増加は確かだが、同社の稼ぎは薄く、利益率が 3% 台から上がりにくい。10 年後の中立で時価総額は今の 3 割強上に行くが、年率にすると 3% 台で、資本コストの 8% に遠く及ばない。
強みは、介護ベッドで国内上位に入る販路と、2024 年に買収したウレタン加工のやまと産業だ。一方、2026 年 6 月期の営業利益は、中期計画の 4 億円に対して 2.5 億円にとどまった。計画に届かなかった経営を、筆者は割り引いて見る。
売上の 15% を西川に、10% を日本ケアサプライに頼る販路の偏り、ベトナム生産への依存、円安の仕入れ負担も重い。需要という追い風と、薄利という重しが釣り合っている会社だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、需要は読めるが利益が読みにくい会社だ。介護ベッドの需要は、高齢化という確かな流れに乗る。10 年後も事業は残る。
しかし、株主が自由に使える利益は薄い。売上の約 3% しか営業利益が残らず、為替が 1 割動けば吹き飛ぶ。物価が上がると運転資金も膨らむので、見かけの利益より現金の残りは少ない。
堀は弱く、価格を自分で決められない。需要が伸びても、その恩恵は貸与事業者と最終消費者に流れやすい。経営の資本配分は堅実だが、計画の未達があり、買収後の収益改善も確認できていない。
安全域の点では、PBR が 1 倍を割っていても、ROE が資本コストを下回る会社の純資産は帳簿どおりには評価できない。今の値段は、需要の確かさを十分に織り込んでおり、安全域は厚くない。介護という成長分野にいる安心感と、利益の薄さを分けて見る必要がある。
何で稼ぐ会社か
主力は医療介護用の電動ベッドだ。売上の約 56% は福祉用具貸与事業者とレンタル卸向け(在宅用)で、約 25% は老人ホームや病院向けの施設用。残りは家具店・通販向けの一般ベッド、大手寝具メーカー向けの寝具、ウレタン製品、海外販売。
製品は自社で企画・設計し、製造はベトナムの持分法会社(SHENGBANG METAL)を中心とした海外で行う。工場を持たない身軽さの代わりに、生産地のカントリーリスクと為替を抱える。仕入れは 1 ドル 151 円台の円安で、粗利率は 29.9% を保った。
2024 年にウレタンフォームの加工・販売をするやまと産業を買収して連結した。マットレスの素材から加工までを持つことで、寝具分野に広がった。中国には上海に販売子会社があり、Haier グループとの合弁で現地展開を探っている。
主要な販売先は西川(売上の 15.6%)と日本ケアサプライ(10.5%)。この 2 社で 4 分の 1 を占める。特定の大口に頼る形は、価格交渉で押されやすい弱みでもある。
本社は東京で、提出会社の従業員は 108 人、平均年齢 39.6 歳と若い。設備投資は年 2 億円台で、リース資産・機械装置・建物に分散している。
優良さと弱いところ
堀は薄い。介護ベッドは JIS 規格に沿う製品で、機能の差が出にくい。貸与事業者は価格と納期、保守で選び、大手のパラマウントベッドとフランスベッドが市場を握る。同社の強みは、在宅用で上位に入る販路と、細かな要望に応える開発の速さだ。
財務は普通だ。自己資本比率は 52%、純有利子負債は 3 億円と軽い。営業利益は支払利息の 8 倍。ROE は 7% で、過去 10 年の中央値 10% を下回る。特需や為替益に助けられた年を除くと、稼ぐ力は 7% 前後が実力に近い。
弱いのは、経営の見通しの精度だ。中期計画は営業利益 4 億円を掲げたが、実績は 2.5 億円。今期の計画に届かなかった。計画の数字を鵜呑みにしないほうがよい。
経営は配当性向 30% を方針にしている。自社株買いは目立たず、成長投資は海外とウレタンに向かう。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
介護ベッドの需要は人口構造に支えられている。要介護認定者は 2040 年ごろまで増える見通しで、在宅介護を支える福祉用具貸与の市場は着実に広がる。貸与は介護保険の枠の中で行われ、事業者は利用者の自己負担を抑える圧力を受ける。
逆風は価格にある。貸与価格には上限の仕組みが入り、貸与事業者は仕入れ価格を下げたい。卸の立場の同社は、値上げを通しにくい。
競合は、市場最大手のパラマウントベッド、フランスベッド、それに中国・ベトナム製の低価格品。参入の障壁は高くないが、貸与事業者が数百〜数千台を抱える品質管理と保守の信頼が、新規参入のハードルになる。
福祉用具の貸与から販売へ移す選択制が一部の品目で始まっているが、電動ベッドは貸与が中心で、直ちに市場の形を変えない。人手不足の介護現場では、ベッドの軽量化や見守り機能など付加価値の高い機種が求められ、開発力が差を作る。
家具・寝具の分野は、市場が成熟し、大手の寝具メーカーとの取引は価格交渉が厳しい。人口が減る国内では数量の伸びを期待しにくく、同社はウレタン加工の内製で粗利を守る道を探っている。
資本政策と M&A
配当は性向 30% が基本で、2027 年 6 月期は前期より減る見込み。自己株式の大きな取得は見当たらない。
2024 年にやまと産業の全株式を取得して連結した。買収は売上を 2 割強押し上げ、寝具・ウレタンへの足場になった。ただ、買収後も営業利益は計画に届かず、のれんの回収には時間がかかる。
中期計画は 2028 年 6 月期に売上 105 億円・営業利益 6 億円・ROE 11.9% を掲げる。海外では中国の合弁と韓国のパートナーが柱。
TOB の話は確認できない。時価総額が 30 億円と小さく、事業会社や家具・寝具の大手に買われる可能性はゼロではないが、見込みで価値を足さない。
10 年の還元は、純利益の約 3 割を中立に置いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
介護需要は景気に左右されない。要介護認定者は 2040 年ごろまで増え、在宅介護を前提とした制度設計の中で、電動ベッドは必須の機器になる。同社は在宅用で国内上位の販路を持ち、新製品の発売で貸与事業者の採用を増やしている。
2024 年のやまと産業の買収で、寝具・ウレタンまで内製できる形になり、売上は 64 億円から 80 億円台に伸びた。調達と加工の統合が進めば、利益率は 3% 台から計画の 5% 台へ上がる余地がある。中国の Haier 合弁、韓国の協業など海外の芽もあり、売上 100 億円は射程に入る。
営業利益は前期比 38% 増と回復基調にあり、来期は売上 93 億円・営業利益 2.9 億円を計画する。配当性向 30% を保てば、利益の伸びがそのまま株主還元の増加につながる。時価総額が小さく、買収候補としての含みもある。介護ベッドのような安定した需要を持つ会社は、大手が欲しがる資産でもある。
慎重な見方
営業利益率は 3% で、為替が少し動けば消える薄さだ。2026 年 6 月期は営業利益 4 億円の計画に対して 2.5 億円。計画が未達に終わった経営の見通しは、割り引いて見るべきだ。
介護ベッドは機能の差が出にくく、貸与価格には上限の仕組みもあるため、値上げの余地が小さい。市場には、パラマウントベッドとフランスベッドの大手、そして中国・ベトナム製の低価格品が控える。生産はベトナムに集中し、カントリーリスクと円安の仕入れ負担を抱える。
売上の 15.6% を西川、10.5% を日本ケアサプライが占め、買い手の交渉力が強い。やまと産業の買収後も利益率の改善は見えず、のれんの減損リスクが残る。ROE は 7% で資本コストに届かず、会社自身も 2027 年 6 月期の配当を前期より引き下げる計画だ。需要が伸びても株主の取り分は増えにくい。小さな会社が、大手と低価格品に挟まれて価格を守り続けるのは簡単ではない。
どちらに重みを置いたか
需要の確かさは認めるが、争点は需要が利益に変わるかだ。強気の見方が頼る計画の数字は直近で大きく外れており、頼れない。薄利・価格の上限・主要顧客の偏りという慎重な見方の指摘のほうが、数字の裏づけは強い。
そこで確率は中立に 38%、やや悲観を 27% と厚くし、やや楽観以上を 23% にとどめた。悲観は 12% とやや高めに置いた。小型株の単一製品群で、価格の崩れと販路の喪失が重なる負け方が現実にありうるからだ。結果として本質価値は今の時価総額を 2 割台下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 1,040 円35 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 244 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 598 円20 億円、今との差 −31.9%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,180 円74 億円 | 384 円13 億円 | +192.1% | +11.3% | 154 円5 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,619 円55 億円 | 325 円11 億円 | +121.5% | +8.3% | 331 円11 億円 |
| 中立 | 38% | 1,299 円44 億円 | 275 円9 億円 | +79.3% | +6.0% | 598 円20 億円 |
| やや悲観 | 27% | 441 円15 億円 | 192 円7 億円 | −27.8% | −3.2% | 171 円6 億円 |
| 悲観 | 12% | 177 円6 億円 | 74 円3 億円 | −71.4% | −11.8% | 30 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,040 円35 億円 | 244 円8 億円 | +46.2% | +3.9% | 1,284 円43 億円 |
今の株価時価総額 878 円30 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 在宅介護の需要増と自社の新製品で、ベッド事業が一段上がる 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,180 円74 億円
団塊世代が後期高齢者になり、要介護認定者は 2040 年ごろまで増え続ける。在宅用ベッドの貸与件数は年 2% 台で伸び、同社は新製品の ミオレット シリーズで貸与事業者の採用を増やす。10 年で販売台数は 2 割増える。
ベトナムの生産を自前に近い形で効率化して粗利率を 30% 台前半へ上げ、中国の Haier グループとの合弁も軌道に乗る。海外の売上が数億円から数十億円規模に育つ。ウレタン加工のやまと産業は大手寝具メーカー向けの OEM を広げ、採算が上がる。
営業利益率は 5.5% まで上がる。ただし、ベッドの卸は価格に上限がある介護保険の枠内にあり、大手のパラマウントベッドと競り合う構図は変わらない。
- 福祉用具流通(在宅介護用ベッド):数量 7.0(販売台数(万台・推定))× 価格 11(1 台あたり売上(万円・名目。ベッド本体とマットレス・付属品込み))→ 売上 75 億円・営業利益 4 億円。7.0 万 × 1 単位 10.7 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 5.5%
- 医療・高齢者施設:数量 2.5(販売台数(万台・推定))× 価格 12(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。2.5 万 × 1 単位 11.6 万円(今の 1.33 倍)、営業利益率 4.5%
- 家具・寝具・ウレタン・海外:数量 46.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.57(1 点あたり売上(万円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。46.0 万 × 1 単位 0.57 万円(今の 1.39 倍)、営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.8 倍、時価総額 70 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画どおり売上 100 億円・営業利益 6 億円規模に早く届き、そこから 10 年伸び続ける必要がある。同社は今期の計画を下回っており、確度は高くない。
やや楽観 17% 介護需要に乗って、計画の線にゆっくり近づく 利益 5 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,619 円55 億円
在宅用ベッドは貸与件数が緩やかに増え、販売台数は 10 年で 1 割台半ば伸びる。施設用は新設の頭打ちで横ばい圏。価格は貸与事業者の上限管理に押されながら、物価の 1.3 倍までは通る。
やまと産業の統合効果で調達と加工の内製が進み、家具・寝具の利益率が 3% 台に上がる。海外は中国と韓国の協業が小さく積み上がるが、全体の中では脇役のままだ。
利益率は 4.6% で、中期計画の最終年度が想定した 5.7% には届かない。施設用は病院・老人ホームの新設に左右されるので、数量は横ばいのままだ。計画を下回った直近の実績からすれば、そこまでの改善は織り込まない。
- 福祉用具流通(在宅介護用ベッド):数量 6.7(販売台数(万台・推定))× 価格 11(1 台あたり売上(万円・名目。ベッド本体とマットレス・付属品込み))→ 売上 70 億円・営業利益 3 億円。6.7 万 × 1 単位 10.5 万円(今の 1.31 倍)、営業利益率 4.6%
- 医療・高齢者施設:数量 2.4(販売台数(万台・推定))× 価格 11(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。2.4 万 × 1 単位 11.4 万円(今の 1.31 倍)、営業利益率 3.6%
- 家具・寝具・ウレタン・海外:数量 42.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.55(1 点あたり売上(万円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。42.0 万 × 1 単位 0.55 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 51 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:需要の増加は人口動態で確度が高く、利益率の改善は時間がかかるという中庸の上側。
中立 38% 中立:介護需要は伸びるが、価格に天井があり利益率は 3% 台 利益 4 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,299 円44 億円
在宅用ベッドの販売台数は 10 年で 1 割強増え、施設用はほぼ横ばい、寝具・ウレタンは今の水準を保つ。価格は物価の 1.28 倍。貸与事業者に卸す立場では、介護保険の貸与価格の上限制度が値上げに歯止めをかける。
営業利益率は 3.4% 前後。過去 12 年の山(10% 台)は、特需や為替差益に助けられた年のもので、再現する根拠は無い。中期計画は営業利益率 5.7% を掲げるが、2026 年 6 月期の計画 4 億円に対し実績は 2.5 億円にとどまった。
10 年後の純利益は今より 5 割増えるが、増えるのは主に物価で膨らんだ名目の分だ。ROE は 7% 前後で資本コストにわずかに届かない。会社は着実だが、株主が期待を寄せるほどの稼ぎ手ではない。
- 福祉用具流通(在宅介護用ベッド):数量 6.5(販売台数(万台・推定))× 価格 10(1 台あたり売上(万円・名目。ベッド本体とマットレス・付属品込み))→ 売上 67 億円・営業利益 3 億円。6.5 万 × 1 単位 10.2 万円(今の 1.28 倍)、営業利益率 4.0%
- 医療・高齢者施設:数量 2.4(販売台数(万台・推定))× 価格 11(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。2.4 万 × 1 単位 11.3 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 3.0%
- 家具・寝具・ウレタン・海外:数量 40.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.53(1 点あたり売上(万円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。40.0 万 × 1 単位 0.533 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 2.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 40 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:需要の増加は確かだが、貸与価格の上限・仕入れの為替・大手との競争が利益率の伸びを抑える。落としどころとして最も厚く置いた。
やや悲観 27% 価格の上限と為替で利益が削られる 利益 1 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 441 円15 億円
貸与事業者への卸値は、介護保険の貸与価格の上限と同業の値下げで物価ほど上がらず、10 年で 1.2 倍にとどまる。ベトナム生産の仕入れは円安とベトナムの人件費上昇で重くなる。販売台数は今と同じ。
営業利益率は 2% 前後。2022 年 6 月期から 2024 年 6 月期は営業利益率が 1% 前後からマイナスだった。あの時期に近い形に戻る。主要販売先の西川の寝具向けも、一部が他社へ移る。
財務は借入が現金を上回る程度で、倒産とは遠い。ただ、稼ぐ力が細り、配当は性向 30% の方針を保てても額が伸びない。
- 福祉用具流通(在宅介護用ベッド):数量 5.8(販売台数(万台・推定))× 価格 9.60(1 台あたり売上(万円・名目。ベッド本体とマットレス・付属品込み))→ 売上 56 億円・営業利益 1 億円。5.8 万 × 1 単位 9.6 万円(今の 1.20 倍)、営業利益率 2.2%
- 医療・高齢者施設:数量 2.2(販売台数(万台・推定))× 価格 10(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。2.2 万 × 1 単位 10.4 万円(今の 1.20 倍)、営業利益率 1.5%
- 家具・寝具・ウレタン・海外:数量 36.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.51(1 点あたり売上(万円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。36.0 万 × 1 単位 0.51 万円(今の 1.24 倍)、営業利益率 0.5%
倍率:ROE は 3.5% で k 9% を下回るので、ためた利益は額面未満。PER の上限は 1÷k=12.5 倍。ROE が k を大きく下回り、稼ぐ力は薄い。上限の 6.4 割の 8.0 倍に置いた。
確率:貸与価格の上限制度の強化、仕入れの円安、大手の値下げ攻勢という重なりは、過去の低収益期(2022〜24 年の営業利益率 0% 前後)と同じ形で、現実味が高い。
悲観 12% ベッドの価格が崩れ、主力の販路を失う 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 177 円6 億円
中国・ベトナム製の低価格ベッドが貸与市場に入り込み、卸値が下がる。貸与事業者は大手に集約され、日本ケアサプライなど主要な買い手の交渉力が強まる。西川向けの寝具も失う。
販売台数は 2 割減り、営業利益はほぼゼロに近づく。ベトナムの工場の稼働も落ち、固定費の負担が重くなる。のれん(やまと産業)や設備は減損の対象になる。
会社の価値は稼ぐ力ではなく、売掛金と在庫の回収を中心とした売れる資産で測る。借入と仕入債務を返した残りは薄く、少数株主に回る額は限られる。会社は存続するが、評価は成長株から、資産に近い値付けへ落ちる。
- 福祉用具流通(在宅介護用ベッド):数量 4.6(販売台数(万台・推定))× 価格 8.40(1 台あたり売上(万円・名目。ベッド本体とマットレス・付属品込み))→ 売上 39 億円・営業利益 0 億円。4.6 万 × 1 単位 8.4 万円(今の 1.05 倍)、営業利益率 0.5%
- 医療・高齢者施設:数量 1.9(販売台数(万台・推定))× 価格 9.10(1 台あたり売上(万円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。1.9 万 × 1 単位 9.1 万円(今の 1.05 倍)、営業利益率 -0.5%
- 家具・寝具・ウレタン・海外:数量 28.0(販売点数(万点・推定))× 価格 0.47(1 点あたり売上(万円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。28.0 万 × 1 単位 0.47 万円(今の 1.15 倍)、営業利益率 -2.0%
倍率:ROE が k を大きく下回り、稼ぐ力はほぼ無い。今の自己資本の 18% を、売れる資産の税後を基にした床とする。
確率:大手や中国メーカーの低価格品、貸与事業者の集約、主要販売先の離反が重なる構造的な負けを 1 割強置いた。小型株の単一製品群で、ありえない話ではない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
福祉用具流通(在宅介護用ベッド)
福祉用具貸与事業者とレンタル卸業者に在宅介護用の電動ベッドを売る。売上の約 56%(前期実績)。
| 数量販売台数(万台・推定) | 価格1 台あたり売上(万円・名目。ベッド本体とマットレス・付属品込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 5.8 | 8.00 | 46 | 2 |
| 10 年後 中立 | 6.5 | 10 | 67 | 3 |
取り方:開示は市場別の売上(福祉用具流通が前期 46.8 億円)だけで台数は無い。1 台あたり売上を 8 万円と推定し、販売台数を約 5.8 万台とした。利益は全社の営業利益 2.5 億円を、この市場に 1.8 億円(3.9%)、施設に 0.5 億円、家具寝具に 0.2 億円と推定して配った。
医療・高齢者施設
老人ホーム・病院向けの施設用ベッドを、施設設備の販売会社を通じて売る。売上の約 25%。
| 数量販売台数(万台・推定) | 価格1 台あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2.3 | 8.70 | 20 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2.4 | 11 | 27 | 1 |
取り方:施設市場の売上(前期 20.8 億円)を 1 台あたり約 8.7 万円と推定し、台数を約 2.3 万台とした。施設用は在宅用より仕様が高く単価も高いが、価格競争が強い。
家具・寝具・ウレタン・海外
大手寝具メーカー向けの寝具・マットレス、子会社やまと産業のウレタンフォーム加工、家具店・通販向けのベッド、海外販売。
| 数量販売点数(万点・推定) | 価格1 点あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 40.0 | 0.41 | 16 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.53 | 21 | 0 |
取り方:家具・寝具流通(前期 15.1 億円、2024 年にやまと産業を連結)と海外(1.5 億円)の合計を、マットレス・ウレタン製品・ベッドの販売点数に直して推定した。1 点あたり約 4 千円、約 40 万点。
リスクと懸念
計画の未達
2026 年 6 月期の営業利益は計画 4 億円に対し実績 2.5 億円だった。中期計画の 2028 年 6 月期の営業利益 6 億円も、同じ道をたどる恐れがある。数字の信頼性が経営の最大の弱点だ。
貸与価格の上限と値下げ圧力
貸与事業者の利幅は介護保険の価格上限で縛られ、仕入れを下げたい。同社の卸値は、需要が伸びても上がりにくい。
販売先の偏り
西川が売上の 15.6%、日本ケアサプライが 10.5%。1 社が離れれば、利益のほぼすべてが消える規模だ。
ベトナム生産と為替
製造はベトナムの持分法会社に集中し、為替と人件費の上昇、カントリーリスクが直撃する。為替予約でも長期の円安は防げない。
のれんの減損
やまと産業の買収で生じたのれんは、利益率の改善が進まなければ減損の対象になる。
海外展開の不確かさ
中国の Haier 合弁と韓国の協業は芽の段階で、売上に占める割合は 2% にとどまる。投資が先行して利益を圧迫する恐れがある。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 4% を超えたら
- 調達・加工の統合が実を結んだと見て、中立の利益率を上げ、やや楽観の確率を厚くする。
- 西川や日本ケアサプライなど主要顧客の売上比率が低下、または 1 社が離れたら
- やや悲観・悲観に確率を移す。
- 貸与価格の上限制度が強化されたら
- 価格の前提を下げ、やや悲観を厚くする。
- 円安が進み、仕入れの為替差損が粗利率を押し下げたら
- 利益率の前提を下げる。為替予約の期間を確かめる。
- 中国合弁や韓国の協業で売上が年 5 億円規模に乗ったら
- 海外を第 4 の柱として、数量の前提を上げる。
- 事業会社や寝具大手が出資・買収を提案したら
- TOB の価格を本質価値と比べる。分析の前提が変わるので再点検する。
見ておくもの
- 営業利益率と、中期計画に対する進捗(売上 100 億円・営業利益 6 億円)
- 福祉用具流通・施設・家具寝具の市場別売上の増減
- 西川・日本ケアサプライの売上比率
- 仕入れの為替レートと粗利率
- やまと産業ののれんの回収状況
倍率と資本コストの決め方
数量と価格を市場別に分け、物価の分は価格に入れたが、貸与価格の上限と円の仕入れ負担で、中立の価格は物価の 1.28 倍にとどめた。営業利益率は過去の山(10% 台)でなく、実力に近い 3.4% を中立に置いた。ROE が k を下回るので PER の上限は 1÷k=12.5 倍で、中立は利益の質(薄利・計画未達)から上限の 8 割に置いた。今の株価や過去の倍率からは置いていない。悲観は売れる資産の税後を床とした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→11.8 倍・やや楽観 PER 11→11.11 倍・中立 PER 10→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。