結論
エステールホールディングスは、全国のショッピングセンターに300を超える宝飾店を持ち、ベトナムの自社工場で作った指輪やネックレスを売る会社だ。筆者の結論は割高である。10年先も、資本の稼ぎが資本コストに届く道筋が見えない。
売上の8割は宝飾店で、残りは眼鏡店と食品・飲食の店だ。モールの客足が細る中で、宝飾店は毎年20前後を閉じている。2026年3月期は値上げと閉店の効果で営業利益が7億円に戻ったが、売上に対しては2%しか残らない。家賃と人件費という固定の費用が、利益を薄くしている。
自己資本利益率(ROE)は過去10年の中央値で1.5%しかない。配当は利益をほぼ全部配る水準で、株主への姿勢は悪くない。ただ、借入が手元の現金を40億円ほど上回り、金利の上昇も利益を削る。筆者は10年後のROEを5%前後とみており、帳簿の半分という今の値段にも安全域は無いと考える。
改善の芽はある。眼鏡のT.G.C.は利益率4%台を保ち、宝飾も赤字の店を閉じて1店あたりの稼ぎが戻った。ただ、それが10年続く証拠はまだ1年分しかない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、エステールは「なくならないが、資本に見合う稼ぎを生まない商売」だ。結婚指輪を買う人は10年後もいる。だが、モールの区画を借り、販売員を置き、在庫を積む形では、売上の数%しか残らない。
筆者がいちばん気にしているのは、固定の費用の重さだ。家賃と人件費は物価とともに上がる。売上が物価並みに伸びても、利幅は広がらない。店を閉じれば売上も減る。この10年、その繰り返しだった。
帳簿の半分という値段は、安く見える。だが、ROEが1%台の資本に帳簿どおりの値段が付く理由は無い。配当は手厚いが、利益を上回る配当は長くは続けられない。オーナーとして持ちたいと思えるのは、店の数を絞っても利益率が5%を超えて定着した時だろう。今の値段では、その証拠を待つ安全域が無い。配当で受け取る分が、株主にとって確かな価値のほぼすべてになる。
何で稼ぐ会社か
エステールホールディングスは、銀座に本店を置く持株会社で、子会社9社を通じて3つの事業を営む。売上は約340億円、従業員は連結で約2,900人だ。
柱は宝飾品の事業で、売上の8割を占める。子会社のAs-meエステールが「エステール」「ミルフローラ」などの名前で、全国のショッピングセンターに316店を構える。客の多くは、婚約や結婚、誕生日の贈り物を探す普通の家族だ。指輪やネックレスはベトナムの自社工場で作り、デザインから店頭まで一貫して手がける。金やプラチナの地金と宝石を仕入れ、加工と販売の利幅を取る商売だ。
2番目は眼鏡の事業で、子会社のキンバレーが「T.G.C.」の名前で70店を持つ。眼鏡の枠もベトナムで作る。売上は40億円ほどで、利益率は4%前後と宝飾より高い。
3番目は食品販売と飲食の店で、27店を持つが赤字が続く。2026年3月期は6店を閉じた。
どの店も、ショッピングセンターの区画を借りて営む。家賃と販売員の人件費が費用の中心で、売上が少し落ちるだけで利益は大きく揺れる。製造をベトナムに集めたのは、職人の人件費を抑えるためだ。
優良さと弱いところ
強みは、全国のモールに広がる店の網と、ベトナムの自社工場だ。作るところから売るところまで自社で持つので、仕入れの宝飾品を売る店より利幅を取りやすい。モールの運営会社との長い付き合いで、良い区画を得やすい面もある。
弱さはそれを上回る。第1に、ブランドの力が弱い。モールの宝飾店は値引きの販促で客を呼ぶ形が多く、海外の高級ブランドのように値段を自分で決める力は乏しい。第2に、固定の費用が重い。家賃と人件費は売上が落ちても下がらず、営業利益率は2%前後に沈む。第3に、資本の稼ぎが薄い。過去10年のROEの中央値は1.5%で、資本コストに届いた年は無い。
経営は創業家に近い資産管理会社が3割強を持つ形で、外からの圧力は弱い。数値の中期目標も掲げていない。堀、つまり他社がまねできない強みは狭く、しかも少しずつ狭まっているとみる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の宝飾品の市場は、1990年代の3兆円から1兆円前後へと縮んだ。結婚する人の数が減り、若い世代は宝飾品にお金を使わなくなった。売上を支えているのは、金とプラチナの値段の上昇と、婚約や結婚の指輪という決まった需要だ。
構造の変化は3つある。1つ目はモールの客足の細りだ。地方の大きなショッピングセンターはネット通販に客を取られ、テナントの入れ替えも増えた。2つ目は、ネットで売る宝飾品と、工場で作るダイヤモンドの広がりだ。値段の比べやすい品が増え、店頭で値引きを重ねる形は苦しくなる。3つ目は金の値段の高騰だ。地金の値段は売上を押し上げるが、客の予算は増えないので、重さを減らした品に置き換わる。
競争相手は、同じくモールに店を持つツツミや、ベルーナ傘下の宝飾店、百貨店の宝飾売場、4℃のような専門ブランドだ。筆者は、10年でエステールの店が270ほどに減り、1店あたりの売上は物価並みに伸びるとみる。眼鏡は低価格のチェーンとの競争が厳しいが、店を少しずつ増やす余地がある。
金の値段の上昇は、短い目では売上の数字を膨らませる。だが、10年の目では客の数を減らす方向に働くと筆者は見る。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。2026年3月期は総額2.8億円を配った。純利益の0.5億円を大きく上回り、手元の資金と借入で賄った形だ。会社は安定した配当を続けると言い、利益の山谷で配当を大きく変えてこなかった。株主優待は買物券や商品、クオカードを配るが、費用は年に1億円に満たないとみる。
財務は借入に頼る。有利子負債は約90億円、現金は約51億円で、差し引き40億円ほどの借入が残る。自己資本比率は4割弱だ。宝飾品の在庫を厚く持つ商売なので、その資金を借入で回している。ほかに、413店の家賃という見えない借金に近い約束がある。
大株主は創業家に近い雅コーポレーションで、3割強を持つ。買収で大きく伸びる会社ではなく、他社から買われる可能性も、オーナーの意向次第だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026年3月期は宝飾の利益が前の期の2.6倍に増えた。赤字の店を閉じ、値上げを通し、在庫を絞った効果だ。会社は2027年3月期に営業利益9.5億円を見込み、改善はまだ続く。店を減らしても売上が伸びたことは、1店あたりの稼ぐ力が上がった証拠だ。
金の値段の上昇は追い風だ。宝飾品は地金の値段とともに値上げしやすく、在庫の評価も上がる。ベトナムの自社工場があるので、仕入れの品を売る同業より利幅を守れる。
眼鏡は成長の柱になりうる。T.G.C.は店を少しずつ増やし、ベトナムの工場で作る枠で利益率4%台を保つ。宝飾で培ったモールの区画の取り方も使える。
株主への配当は手厚く、帳簿の半分の値段なら配当の利回りは高い。モールの宝飾店の業界は再編の途中にあり、店の網とベトナムの工場は買い手にとって魅力がある。
家賃の交渉も利益の源になる。モールの運営会社は空き区画を嫌うので、長く入る大手のテナントには条件を譲りやすい。
慎重な見方
利益の回復は、閉店と値上げの一度きりの効果だ。営業利益率は2%で、2014年の6%台には遠い。過去10年のROEの中央値は1.5%しかなく、資本コストに届いた年は無い。第1四半期は再び営業赤字だった。
モールの客足は細り続ける。若い世代は宝飾品を買わず、結婚する人も減る。ネットの宝飾品と工場で作るダイヤモンドは値段の比較を容易にし、店頭の値引きの販促を苦しくする。金の値段が上がれば、客は軽い品に移り、点数が減る。
固定の費用が利益を食う。家賃と人件費は物価とともに上がり、売上が少し落ちるだけで赤字に戻る。借入は現金を40億円上回り、金利の上昇で利払いも増える。子会社のAs-meエステールは単体で債務超過だ。
配当は利益を大きく上回っており、いずれ減らすしかない。オーナーが3割強を持ち、外からの改革の圧力も弱い。
家賃は新しいリース会計の下で借金と同じように扱われ、見かけの財務も弱くなる。在庫を厚く持つ商売なので、金の値段が下がる局面では評価損も出る。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。2026年3月期の回復は本物だが、閉店と値上げで生んだ利益であり、モールの客足と若い世代の宝飾離れという構造の逆風は変わらない。中立を最も厚くし、やや悲観と悲観を合わせて4割弱に置いた。楽観は営業利益率が過去12年の山を超える筋なので5%にとどめた。眼鏡の伸びと閉店の効果が2期続けて数字に出るかで見直す。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 563 円59 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 234 円25 億円)。 今の値に割り戻すと 405 円42 億円、今との差 −33.6%、 期待の年率 +2.7%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,344 円141 億円 | 382 円40 億円 | +182.9% | +11.0% | 86 円9 億円 |
| やや楽観 | 17% | 988 円104 億円 | 325 円34 億円 | +115.1% | +8.0% | 223 円23 億円 |
| 中立 | 40% | 684 円72 億円 | 267 円28 億円 | +56.0% | +4.5% | 381 円40 億円 |
| やや悲観 | 25% | 149 円16 億円 | 172 円18 億円 | −47.4% | −6.2% | 80 円8 億円 |
| 悲観 | 13% | 134 円14 億円 | 76 円8 億円 | −65.6% | −10.1% | 27 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 563 円59 億円 | 234 円25 億円 | +30.7% | +2.7% | 797 円84 億円 |
今の株価時価総額 610 円64 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 閉店で強い店だけが残り、宝飾の利益率が5%に戻る 利益 12 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,344 円141 億円
赤字の店を閉じきり、強い店だけが残る筋書きだ。宝飾店は300ほどに絞られるが、1店あたりの売上は物価を上回って伸びる。婚約と結婚の指輪で、ベトナムの自社工場の値段の強みが効き、ネットの宝飾品にも客を取られない。
宝飾の利益率は5%に戻り、眼鏡は店を95に増やして6%を稼ぐ。食品と飲食の店は採算の取れる店だけになり、損を出さない。営業利益は24億円ほどになる。
借入は在庫の圧縮で減り、金利の上昇の影響は小さい。ROEは9%近くまで上がるが、資本コストにはまだわずかに届かない。配当は利益とともに増え、優待も続く。モールの宝飾店の業界の再編で、店の網が評価される場面もある。
- 宝飾品:数量 300(店の数(期末))× 価格 12,618(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 379 億円・営業利益 19 億円。300店(0.95倍)×1店1.26億円(1.45倍)、5%
- 眼鏡:数量 95.0(店の数(期末))× 価格 8,385(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 80 億円・営業利益 5 億円。95店×1店8,400万円(1.38倍)、6%
- 食品販売・飲食店:数量 22.0(店の数(期末))× 価格 10,900(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。22店、損益ゼロ
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.83 倍、時価総額 141 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:宝飾の利益率5%は2014年3月期の全社6.6%以来の水準で、過去12年の山4.7%を上回る。閉店と値上げの両方が続く必要があるので5%とした。
やや楽観 17% 閉店の効果が続き、利益率が4%台に乗る 利益 9 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 988 円104 億円
閉店と値上げの効果が数年続く筋書きだ。宝飾店は290ほどに減るが、1店あたりの売上は物価をやや上回って伸びる。金の値段の上昇を値段に移し、在庫も絞る。宝飾の利益率は4%強に上がる。
眼鏡は店を88に増やし、5%を稼ぐ。食品と飲食の店は小さな赤字にとどまる。営業利益は18億円ほどで、全社の利益率は4%になる。
借入の金利は上がるが、利益の伸びがそれを吸収する。ROEは7%近くまで上がり、配当は今の水準を保つ。ただ、モールの客足の細りは止まらず、閉店で稼ぐ力を上げる形には限りがある。オーナーの判断で同業との統合に動く余地は残る。
- 宝飾品:数量 290(店の数(期末))× 価格 12,183(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 353 億円・営業利益 15 億円。290店(0.92倍)×1店1.22億円(1.40倍)、4.2%
- 眼鏡:数量 88.0(店の数(期末))× 価格 8,263(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 73 億円・営業利益 4 億円。88店×1店8,260万円(1.36倍)、5%
- 食品販売・飲食店:数量 22.0(店の数(期末))× 価格 10,770(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 −1 億円。22店、小さな赤字
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 104 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年3月期に宝飾の利益が2.6倍に戻り、会社は2027年3月期も増益を見込む。改善が数年続く筋として17%とした。
中立 40% 店を減らしながら、利益率3%台を保つ 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 684 円72 億円
店を減らしながら、薄い利益を保つ筋書きだ。宝飾店は年に5店ほどの割合で減り、10年で270になる。1店あたりの売上は物価並みに伸び、金の値段の上昇は客の予算の範囲で値段に移る。宝飾の利益率は3.5%で、家賃と人件費の上昇を値上げでどうにか吸収する。
眼鏡は店を80に増やし、4%台を稼ぐ。食品と飲食の店は20に減るが、まだ小さな赤字を出す。営業利益は13億円ほどになる。
借入の金利が上がり、利払いは今より増える。純利益は6億円ほどで、ROEは5%前後にとどまる。配当は利益とほぼ同じ額を配り、帳簿の価値はほとんど増えない。株主にとっては、配当を受け取るだけの持ち株になる。
- 宝飾品:数量 270(店の数(期末))× 価格 11,661(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 315 億円・営業利益 11 億円。270店(0.85倍)×1店1.17億円(物価並み1.34倍)、3.5%
- 眼鏡:数量 80.0(店の数(期末))× 価格 8,142(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 65 億円・営業利益 3 億円。80店×1店8,140万円(1.34倍)、4.5%
- 食品販売・飲食店:数量 20.0(店の数(期末))× 価格 10,611(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 21 億円・営業利益 −1 億円。20店、赤字
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.0% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 72 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:閉店の効果とモールの客足の細りが打ち消し合う落としどころ。会社の2027年3月期の予想の営業利益率2.8%に近い水準を保つ筋として40%とした。
やや悲観 25% モールの客足が細り、利益が家賃に食われる 利益 2 億円 · PER 7.8 倍 · 株価時価総額 149 円16 億円
モールの客足の細りが、閉店の効果を上回る筋書きだ。宝飾店は240に減り、1店あたりの売上も物価に届かない。客は軽い品と、ネットの宝飾品や工場で作るダイヤモンドに流れる。家賃と人件費は物価とともに上がり、宝飾の利益率は2%に沈む。
眼鏡は低価格のチェーンとの競争で店を増やせず、利益率は3%にとどまる。食品と飲食の店は赤字が続く。営業利益は6億円ほどで、借入の利払いが増えた分、純利益は2億円に落ちる。
配当は利益に合わせて減らす。ROEは2%を切り、株主の価値は稼ぐ力に見合う低い値段にとどまる。在庫の地金の値打ちが、値段の下支えになる程度だ。
- 宝飾品:数量 240(店の数(期末))× 価格 10,878(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 261 億円・営業利益 5 億円。240店(0.76倍)×1店1.09億円(1.25倍、物価に届かない)、2%
- 眼鏡:数量 70.0(店の数(期末))× 価格 7,600(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 53 億円・営業利益 2 億円。70店×1店7,600万円(1.25倍)、3%
- 食品販売・飲食店:数量 15.0(店の数(期末))× 価格 9,800(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 −1 億円。15店、赤字
倍率:ROE 1.8%は資本コスト8.5%を大きく下回る。稼ぐ力(純利益÷k ≒ 22億円)で見て、1÷kの11.1倍の7割の7.8倍。
確率:2027年3月期の第1四半期は再び営業赤字で、過去10年のROEの中央値は1.5%しかない。回復が続かない筋として25%とした。
悲観 13% 宝飾店が赤字に沈み、家賃と借入が残る 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 134 円14 億円
宝飾店そのものが赤字に沈む筋書きだ。若い世代の宝飾離れと結婚の減少が進み、モールの宝飾店は値引きでしか客を呼べなくなる。宝飾店は200に減り、1店あたりの売上も細る。家賃は解約まで払い続ける固定の約束で、売上が落ちても下がらない。宝飾の事業は営業赤字になる。
眼鏡は損益ゼロにとどまり、食品と飲食の店は全て閉じる。借入の利払いが重なり、最終赤字が続く。配当は大きく減らす。
株主に残るのは、宝飾品の在庫の地金と宝石の値打ちから、借入と閉店の費用を引いた残りだ。オーナーの意向次第で、同業に安く売られる道もある。赤字の間も配当は小さく続け、その原資は在庫を減らして生んだ現金と借入でまかなう。
- 宝飾品:数量 200(店の数(期末))× 価格 10,007(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 200 億円・営業利益 −2 億円。200店(0.63倍)×1店1.00億円(1.15倍)、赤字
- 眼鏡:数量 60.0(店の数(期末))× 価格 7,290(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 44 億円・営業利益 0 億円。60店、損益ゼロ
- 食品販売・飲食店:数量 0.0(店の数(期末))× 価格 9,000(1店あたりの年間の売上(万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退
倍率:赤字なので稼ぐ力は床にならない。在庫の換金から純負債と閉店の費用を引いた約28億円に戻り方0.5を掛けた約14億円を、今の自己資本116.5億円で割った0.12倍。
確率:2021年と2024〜25年に赤字を出し、子会社のAs-meエステールは単体で債務超過にある。構造的に負ける筋として13%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
宝飾品
子会社As-meエステールが全国のショッピングセンターで運営する宝飾店(エステール、ミルフローラなど)。ベトナムの自社工場で製造。
| 数量店の数(期末) | 価格1店あたりの年間の売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 316 | 8,702 | 275 | 8 |
| 10 年後 中立 | 270 | 11,661 | 315 | 11 |
取り方:有価証券報告書の期末316店で、セグメントの売上274.98億円を割った1店あたり約8,700万円。利益はセグメント利益7.88億円。
眼鏡
子会社キンバレーが運営する眼鏡店T.G.C.。枠はベトナムで製造。
| 数量店の数(期末) | 価格1店あたりの年間の売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 70.0 | 6,076 | 43 | 2 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 8,142 | 65 | 3 |
取り方:期末70店で、セグメントの売上42.53億円を割った1店あたり約6,080万円。利益はセグメント利益1.73億円。
食品販売・飲食店
提出会社が運営する輸入食品などの販売店と飲食店。
| 数量店の数(期末) | 価格1店あたりの年間の売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 27.0 | 7,919 | 21 | −3 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 10,611 | 21 | −1 |
取り方:期末27店(前期33店)で、セグメントの売上21.38億円を割った1店あたり約7,900万円。損失2.77億円。
リスクと懸念
モールの客足の細り
店のほとんどが地方と郊外のショッピングセンターにある。ネット通販に客を取られてモールの来店客が減れば、1店あたりの売上が落ち、閉店がさらに増える。
若い世代の宝飾離れ
結婚する人の数が減り、若い世代は宝飾品にお金を使わなくなった。婚約と結婚の指輪の需要も細り、店頭で値引きを重ねる形は苦しくなる。
家賃と人件費という固定の費用
413店の区画はすべて借りており、家賃は売上が落ちても下がらない。販売員の人件費も物価とともに上がる。売上が数%落ちるだけで、営業赤字に戻りうる。
借入と金利の上昇
有利子負債は約90億円で、現金を40億円ほど上回る。在庫を借入で回す商売で、金利が上がれば利払いが増え、薄い利益を削る。
金の値段とベトナムの工場
金とプラチナの値段が上がれば、客は軽い品に移る。製造はベトナムに集中しており、停電やストライキ、為替の変動が供給と原価に響く。
利益を上回る配当
2026年3月期は純利益の5倍を超える配当を出した。利益が戻らなければ、配当を減らすか、借入を増やすしかない。
今後の分かれ目
- 宝飾の利益率が2期続けて4%を超えたら
- 閉店と値上げで稼ぐ力が上がった証拠として、やや楽観の確率を上げる。
- 宝飾店の閉店が年20を超えて続き、売上が減り始めたら
- モールの客足の細りが閉店の効果を上回ったとみて、やや悲観に重みを移す。
- 配当を利益に合わせて大きく減らしたら
- 利益の回復が続かない証拠として、中立の利益を見直す。
- 同業との統合や、オーナーによる非公開化の動きが出たら
- 店の網とベトナムの工場に値段が付く場面として、時価総額の見方を見直す。
- 眼鏡の店が100を超え、利益率5%を保ったら
- 第2の柱が育った証拠として、眼鏡の数量の見通しを引き上げる。
見ておくもの
- 宝飾店の数と1店あたりの売上
- 宝飾セグメントの利益率
- 金の値段と客単価
- 有利子負債と在庫の額
- 配当と純利益の関係
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価やPBRを見ずに、ROEとk 8.5%から決めた。中立のROEは5%前後で資本コストを大きく下回るので、PERは1÷kの11.1倍の7.5割に置いた。宝飾の利益率は過去12年の山4.7%より低い3.5%に置いた。PBR 0.55倍は割安の根拠にしていない。2028年3月期からの新リース会計基準では413店の家賃が負債に載り、純負債と自己資本比率の見え方が変わるが、10年後の数字は今と同じ家賃を費用に入れた形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.83 倍・やや楽観 PER 9.4→11.76 倍・中立 PER 8.3→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。