結論
サンメッセは、岐阜県大垣市に本社を置く中堅の商業印刷会社だ。筆者の結論は「割高」で、理由は単純だ。ROE が 3% 前後しかなく、資本コストに遠く届かない。
売上の大半はチラシやカタログの印刷で、紙の需要は毎年細る。会社は「印刷を、超える。」を掲げ、個人情報を扱うセキュアな印刷と発送、化粧品や食品の箱、カタログの企画からの一括受注を育てている。方向は正しいが、主力の縮みを埋めるのがやっとだと筆者は見る。
帳簿の上では資産は厚い。自己資本は 141 億円あり、その半分近くを地元の銀行などの持ち合い株が占める。ただ、その株は配当しか生まず、売った代金も設備と買収に回る計画だ。少数株主には帳簿の価値が届かない。
10 年後の営業利益は 5 億円前後とみる。資本を使っても稼ぎが増えない会社に、帳簿どおりの値段は付けられない。
持ち合い株を売って株主に返す方向へ経営が動けば、見方は変わる。筆者がいちばん見たいのは、売却の代金の使い道だ。今の計画では、その多くが設備と買収に向かう。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、サンメッセは「帳簿は厚いが、オーナーとして持ちたい事業ではない」。
事業そのものに堀は乏しい。紙の印刷は縮む市場で、値段を自分で決められない。10 年後も会社は残るが、今より強くなっているとは考えにくい。
資本の使い方も物足りない。自己資本の半分近くが持ち合い株で、その株は配当しか生まない。売った代金も設備と買収に回り、株主にはほとんど戻らない。ROE が 3% の会社で利益をため込めば、株主の価値は目減りする。
安全域は、帳簿の上ではあるように見える。だが、少数株主にはその資産を取り出す手段がない。筆者は、持ち合い株の売れる値段を悲観の床として数えるにとどめた。経営が資本を返す方向に動かない限り、帳簿どおりの値段は払えない。オーナー利益も、設備の更新を引けば純利益より小さい。
何で稼ぐ会社か
サンメッセは 1935 年創業の印刷会社で、売上は約 171 億円。事業はほぼ印刷の一本で、イベントの企画運営が少しある。
いちばん大きいのは商業印刷で、売上の 7 割近くを占める。小売のチラシ、通販のカタログ、企業のパンフレットなどを、大垣の工場で刷る。紙の仕事は景気と広告の予算に左右され、値段は入札や相見積もりで決まることが多い。
2 つ目は IPS と呼ぶセキュアな印刷と発送だ。自治体や金融機関の通知など、個人情報を扱う仕事で、情報の管理の体制が参入の壁になる。2026 年 3 月期は大型の特需があり、利益を押し上げた。
3 つ目はパッケージで、化粧品や食品の小ロットの箱を作る。紙の広告と違い、モノが売れる限り需要は残る。ほかに、デジタルの販促を手がける情報コミュニケーションと、関連会社の売上がある。
中期経営計画では、2028 年度に売上 183 億円、営業利益 4.7 億円を目指す。利益の伸びしろは、IPS とパッケージの粗利の高さにかかっている。商業印刷の粗利率 21% に対し、IPS は 25%、パッケージは 19% を見込む。
優良さと弱いところ
優良さは低い。商業印刷は設備さえあれば誰でも刷れる仕事で、大手の印刷会社も地方の同業も同じ顧客を取り合う。値段は顧客が決め、紙やインクの値上がりは遅れてしか転嫁できない。過去 20 年で営業利益率が 3% を超えた年はない。
強みがあるとすれば、IPS の情報管理の体制と、カタログの企画から発送までを一社で受けられる点だ。これは他社がすぐにはまねできないが、規模は小さい。
資本効率は低い。ROE は過去 10 年の中央値で 2% 台で、資本コストの 3 分の 1 にも届かない。原因は、利益の薄さに加えて、持ち合い株と現金で膨らんだ自己資本にある。経営は政策保有株の売却を掲げたが、売った代金を株主に返す計画は小さい。
経営の誠実さを疑う材料はない。ただ、資本を株主のものとして扱う意識は、まだ弱いと筆者は見る。2035 年に PBR 1 倍を目指すと掲げた点は前進だが、道筋は利益の改善に頼りすぎている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
印刷業界は、構造的に縮む業界だ。チラシは新聞の部数減とネット広告への移行で減り続け、カタログも通販のネット化で薄くなる。国内の印刷の出荷額は、ピークから 4 割近く減った。
大手の TOPPAN と大日本印刷は、印刷から半導体の部材や包装、情報処理へ事業を移した。中堅以下の印刷会社は、その転換の資金も規模も持たない。生き残りの道は、地域の顧客との関係と、印刷の前後の工程まで受ける一括の提案に限られる。
一方で、追い風もある。人手不足で印刷会社の数は減り、残った会社には仕事が集まる。紙の値上がりを価格に転嫁する動きも、2022 年以降は少しずつ通るようになった。パッケージは、モノの流通がある限り紙の箱が要る。
セキュアな印刷は、自治体や金融機関の通知の電子化が進めば細る。ただ、その動きは遅く、10 年では半分も置き換わらないと筆者は見る。業界全体としては、数量は減り、単価は物価にわずかに届かない形が続く。
大垣という立地は、中京圏と関西の両方に届く物流の点で有利だ。ただ、それだけで値段の主導権は握れない。
資本政策と M&A
配当は配当性向 4 割と DOE 1.6% を目安に、安定配当を続ける方針だ。2026 年 3 月期と 2027 年 3 月期の配当は同額にとどまる。自社株買いの計画はない。
中期経営計画の 3 年で、営業 CF 30 億円と資産売却・資金調達 20 億円を、設備投資 20 億円と戦略投資、そして株主還元 5 億円に振り向ける。還元の割合は小さい。
大株主には大垣共立銀行や十六銀行が並び、持ち合いの色が濃い。TOB で買われる筋書きは考えにくい。M&A は、印刷の周辺の小さな買収にとどまるだろう。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
自己資本は 141 億円あり、その大半は持ち合い株と土地と現金だ。会社は 2026 年 3 月期に政策保有株を売り、中期経営計画でも売却を掲げた。資本の効率を上げる方向に、経営ははっきりと舵を切った。
事業にも芽はある。セキュアな印刷と発送は、情報管理の体制が参入の壁になり、利益率が高い。化粧品や食品の小ロットの箱は、ネット通販の広がりで需要が増える。カタログの企画から発送までを一括で受ける提案は、地方の顧客には大手より使いやすい。
印刷会社の数は人手不足で減り続ける。残った会社には仕事が集まり、値上げも通りやすくなる。会社は 2035 年に営業利益 10 億円、ROE 7% を目指す。そこに近づけば、資本の重さは利益で薄まる。
2026 年 3 月期は IPS の特需で利益が大きく伸びた。特需は一度きりでも、自治体や金融機関から大きな仕事を任される力があることを示した。こうした実績は次の受注につながる。
慎重な見方
紙の印刷は、毎年確実に縮む市場だ。チラシもカタログも、ネットへの移行は止まらない。過去 20 年、営業利益率が 3% を超えた年は一度もない。2035 年に 5% という目標は、実績から見て遠い。
2026 年 3 月期の利益は、セキュア印刷の特需と株の売却益に支えられた。2027 年 3 月期の予想では、純利益は大きく減る。本業の稼ぐ力は、営業利益で年 3 億円前後にすぎない。
持ち合い株を売る方針は出たが、代金は設備と買収に回り、株主還元は 3 年で 5 億円にとどまる。ROE が 3% の会社が設備を増やしても、資本コストを超える稼ぎにはならない。帳簿の資産は、少数株主にとっては絵に描いた餅だ。
大手の印刷会社は、地方の仕事まで値下げで取りに来る。規模で劣る会社が、値段で勝ち続けるのは難しい。人手不足で賃金が上がれば、利益はさらに削られる。新しい柱の IPS も、通知の電子化が進めば同じ道をたどる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方に分がある。新しい柱の芽は本物だが、規模が小さく、主力の縮みを埋めるのがやっとだ。過去 20 年の利益率の低さは、事業の実力そのものを示している。
確率は中立を 4 割弱とし、紙の縮みが速いやや悲観を 23% と厚めにした。持ち合い株の売れる値段を悲観の床に置いた。経営が売却の代金を株主に返せば、評価は見直す余地がある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 341 円53 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 96 円15 億円)。 今の値に割り戻すと 206 円32 億円、今との差 −50.3%、 期待の年率 +0.5%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 577 円90 億円 | 141 円22 億円 | +72.9% | +5.6% | 50 円8 億円 |
| やや楽観 | 20% | 442 円69 億円 | 115 円18 億円 | +34.2% | +3.0% | 111 円17 億円 |
| 中立 | 38% | 360 円56 億円 | 103 円16 億円 | +11.5% | +1.1% | 176 円27 億円 |
| やや悲観 | 23% | 247 円39 億円 | 77 円12 億円 | −21.9% | −2.4% | 75 円12 億円 |
| 悲観 | 12% | 154 円24 億円 | 51 円8 億円 | −50.6% | −6.8% | 25 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 341 円53 億円 | 96 円15 億円 | +5.2% | +0.5% | 437 円68 億円 |
今の株価時価総額 415 円65 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% カタログと包装で「印刷を超える」 利益 8 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 577 円90 億円
中期経営計画が狙いどおりに進む。カタログの企画から制作、発送までを一括で受ける仕事が増え、商業印刷の落ち込みは 15% で止まる。個人情報を扱うセキュアな印刷と発送(IPS)は、自治体や金融機関の通知の仕事で 1.25 倍に伸びる。
パッケージは化粧品や食品の小ロットの箱で 1.4 倍になる。省人化の設備投資が効き、商業印刷の利益率も 3% まで戻る。
全社の営業利益は 10 億円に届き、会社の 2035 年の目標を達成する。それでも ROE は 5% に満たず、資本コストを下回ったままだ。政策保有株の売却は進むが、代金は設備と買収に回る。
- 商業印刷:数量 21,250(印刷用紙の使用量(トン、推定))× 価格 0.01(紙 1 トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 131 億円・営業利益 4 億円。数量 21250.0 × 価格 0.0062、営業利益率 3.0%
- IPS(セキュア印刷・発送):数量 12,500(通知の通数(万通、推定))× 価格 0.00(1 万通あたりの売上(億円、名目))→ 売上 34 億円・営業利益 3 億円。数量 12500.0 × 価格 0.0027、営業利益率 8.0%
- パッケージ:数量 12,600(箱の数(万個、推定))× 価格 0.00(1 万個あたりの売上(億円、名目))→ 売上 34 億円・営業利益 2 億円。数量 12600.0 × 価格 0.0027、営業利益率 5.0%
- 情報コミュニケーション・関連会社ほか:数量 5,400(案件数(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 2 億円。数量 5400.0 × 価格 0.0067、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 90 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の 2035 年の目標(営業利益 10 億円)に届く筋書き。過去 20 年で営業利益率が 3% を超えた年は無く、達成の実績が無いため 7% にとどめた。
やや楽観 20% 中計の数字にほぼ届く 利益 6 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 442 円69 億円
中期経営計画の数字にほぼ届き、その後も少しずつ利益が増える。商業印刷は紙の需要減で 2 割縮むが、カタログの一括受注で単価を守る。IPS は特需が終わっても、通知の電子化が遅い自治体や金融機関の仕事で 1.1 倍に増える。
パッケージは 1.25 倍に伸び、営業利益率 4.5% を確保する。人件費と紙の値上がりは、時間はかかるが価格に転嫁できる。
全社の営業利益は 7 億円台になる。配当性向 4 割を守り、自己資本は積み上がるが、ROE は 4% 弱にとどまる。政策保有株の売却は計画どおり進むが、代金は設備に回る。
- 商業印刷:数量 20,000(印刷用紙の使用量(トン、推定))× 価格 0.01(紙 1 トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 121 億円・営業利益 3 億円。数量 20000.0 × 価格 0.0061、営業利益率 2.2%
- IPS(セキュア印刷・発送):数量 11,000(通知の通数(万通、推定))× 価格 0.00(1 万通あたりの売上(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。数量 11000.0 × 価格 0.0026、営業利益率 7.0%
- パッケージ:数量 11,250(箱の数(万個、推定))× 価格 0.00(1 万個あたりの売上(億円、名目))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。数量 11250.0 × 価格 0.0027、営業利益率 4.5%
- 情報コミュニケーション・関連会社ほか:数量 4,680(案件数(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 1 億円。数量 4680.0 × 価格 0.0067、営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 69 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画の 2028 年度の営業利益 4.7 億円は、IPS の特需があった 2026 年 3 月期の 3.2 億円から無理のない延長。その先も緩やかに伸びる筋書きとして 2 割を置いた。
中立 38% 紙は細り、包装とセキュア印刷で埋める 利益 5 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 360 円56 億円
10 年後のサンメッセは、地方の中堅の印刷会社のまま残る。チラシやカタログの紙の仕事は 4 分の 1 減り、競争で単価は物価にわずかに届かない。商業印刷の利益率は 1.5% にとどまる。
IPS は特需の反動を挟んで横ばい、パッケージは 1.15 倍に伸びる。新しい柱は育つが、主力の縮みを埋めるのがやっとだ。全社の営業利益は 5 億円台で、今より少し増える程度になる。
政策保有株の配当が利益を支え、純利益は営業利益に近い水準を保つ。配当性向は 4 割で、自己資本は増え続ける。ROE は 3% 前後のままで、資本の重さは解消しない。
- 商業印刷:数量 18,750(印刷用紙の使用量(トン、推定))× 価格 0.01(紙 1 トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 112 億円・営業利益 2 億円。数量 18750.0 × 価格 0.006、営業利益率 1.5%
- IPS(セキュア印刷・発送):数量 10,000(通知の通数(万通、推定))× 価格 0.00(1 万通あたりの売上(億円、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。数量 10000.0 × 価格 0.0026、営業利益率 6.0%
- パッケージ:数量 10,350(箱の数(万個、推定))× 価格 0.00(1 万個あたりの売上(億円、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。数量 10350.0 × 価格 0.0027、営業利益率 4.0%
- 情報コミュニケーション・関連会社ほか:数量 4,320(案件数(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。数量 4320.0 × 価格 0.0067、営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.0% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 53 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:紙の需要減と、包装・セキュア印刷の伸びが打ち消し合う真ん中の筋書き。中計の売上目標は届くが、2035 年の利益目標には届かない形で、いちばんありそうだと見た。
やや悲観 23% 紙の縮みが速く、利益が細る 利益 3 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 247 円39 億円
紙のチラシとカタログの需要減が想定より速く、商業印刷は 3 割以上縮む。単価は競争で物価に届かず、営業利益率は 0.5% まで落ちる。IPS も自治体の通知の電子化で 15% 減る。
パッケージは横ばいで、新しい柱が育たない。全社の営業利益は 2 億円台に沈み、2009〜2015 年の低い利益率に戻る。
政策保有株の配当が純利益を下支えするが、資本の効率はさらに下がる。経営は工場の集約を迫られ、設備の更新を先送りする。配当は利益に合わせて減り、資本の重さだけが残る。持ち合い株の売れる値段が、株主の価値を下から支える形になる。
- 商業印刷:数量 16,250(印刷用紙の使用量(トン、推定))× 価格 0.01(紙 1 トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 93 億円・営業利益 1 億円。数量 16250.0 × 価格 0.0057、営業利益率 0.5%
- IPS(セキュア印刷・発送):数量 8,500(通知の通数(万通、推定))× 価格 0.00(1 万通あたりの売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。数量 8500.0 × 価格 0.0025、営業利益率 4.0%
- パッケージ:数量 9,000(箱の数(万個、推定))× 価格 0.00(1 万個あたりの売上(億円、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。数量 9000.0 × 価格 0.0026、営業利益率 2.5%
- 情報コミュニケーション・関連会社ほか:数量 3,600(案件数(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。数量 3600.0 × 価格 0.0065、営業利益率 1.5%
倍率:事業の ROE 1.7% は k を大きく下回り、稼ぐ力だけでは純利益÷k の約 32 億円。政策保有株の売れる価値が床に近づくため、稼ぐ力の範囲で上限に近い 10 倍とした。
確率:印刷の業界全体で紙の需要減が続き、2009〜2015 年のように営業利益率が 0〜1% に沈む形。過去の実績がある谷なので、23% と厚めに置いた。
悲観 12% 印刷の仕事が消え、持ち株が頼り 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 154 円24 億円
紙の広告は急速にデジタルに置き換わり、商業印刷は半分近くまで縮む。大手の印刷会社が地方の仕事まで値下げで取りに来て、商業印刷は赤字になる。IPS とパッケージも、競争と電子化で伸びを失う。
全社の営業利益は赤字に近い。純利益は政策保有株の配当でかろうじて黒字を保つ。
会社は清算されないので、株主に残る価値は持ち合い株の売れる値段に限られる。その代金も設備の更新と赤字の穴埋めに回り、株主には戻りにくい。純現金も赤字の穴埋めで細る。配当は大きく減り、株主は帳簿の 2 割に満たない値段しか受け取れない。
- 商業印刷:数量 13,750(印刷用紙の使用量(トン、推定))× 価格 0.01(紙 1 トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 76 億円・営業利益 −1 億円。数量 13750.0 × 価格 0.0055、営業利益率 -1.0%
- IPS(セキュア印刷・発送):数量 7,000(通知の通数(万通、推定))× 価格 0.00(1 万通あたりの売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。数量 7000.0 × 価格 0.0024、営業利益率 2.0%
- パッケージ:数量 7,650(箱の数(万個、推定))× 価格 0.00(1 万個あたりの売上(億円、名目))→ 売上 19 億円・営業利益 0 億円。数量 7650.0 × 価格 0.0025、営業利益率 1.0%
- 情報コミュニケーション・関連会社ほか:数量 2,880(案件数(件、推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。数量 2880.0 × 価格 0.0063、営業利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力では値が付かないため、政策保有株の税後 48 億円に戻り方 0.5 を掛けた 24 億円を床とし、今の自己資本 140.9 億円に掛けて PBR 0.17 倍とした。
確率:紙の媒体が構造的に消え、地方の印刷会社が赤字に沈む筋書き。包装とセキュア印刷があるため全面的な崩れは見ず、12% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
商業印刷
チラシ、通販カタログ、企業のパンフレットなどの印刷。カタログの企画から発送までの一括受注を含む。
| 数量印刷用紙の使用量(トン、推定) | 価格紙 1 トンあたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25,000 | 0.00 | 115 | 1 |
| 10 年後 中立 | 18,750 | 0.01 | 112 | 2 |
取り方:用紙の使用量は開示が無く、中計の商業印刷の売上 約 115 億円を紙 1 トンあたり 46 万円の加工売上で割った推定。利益率は全社 1.9% のうち低い側の 1% と推定。数量は紙媒体の縮みで中立 0.75 倍、価格は競争で物価にわずかに届かない 1.30 倍。
IPS(セキュア印刷・発送)
自治体や金融機関の通知など、個人情報を扱う印刷と封入・発送。
| 数量通知の通数(万通、推定) | 価格1 万通あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10,000 | 0.00 | 20 | 1 |
| 10 年後 中立 | 10,000 | 0.00 | 26 | 2 |
取り方:通数は開示が無く、売上 約 20 億円(中計の 2028 年度目標 24 億円から逆に見た今の水準)を 1 万通あたり 0.002 億円で割った推定。2026 年 3 月期は特需を含む。利益率は粗利率 25% から 6% と推定。
パッケージ
化粧品や食品の小ロットの紙箱。
| 数量箱の数(万個、推定) | 価格1 万個あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9,000 | 0.00 | 18 | 1 |
| 10 年後 中立 | 10,350 | 0.00 | 28 | 1 |
取り方:個数は開示が無く、売上 約 18 億円を 1 万個あたり 0.002 億円で割った推定。利益率は 3% と推定。
情報コミュニケーション・関連会社ほか
デジタルの販促、イベントの企画運営、関連会社の印刷。
| 数量案件数(件、推定) | 価格1 件あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,600 | 0.01 | 18 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4,320 | 0.01 | 29 | 1 |
取り方:案件数は開示が無く、残りの売上 約 18 億円を 1 件 50 万円で割った推定。利益率は 2% と推定。
リスクと懸念
紙の媒体の縮み
チラシとカタログの需要は、新聞の部数減とネット広告への移行で減り続ける。商業印刷は売上の 7 割近くを占め、ここが速く縮めば新しい柱では埋められない。
持ち合い株が戻らない
自己資本の半分近くは銀行などとの持ち合い株だ。売っても代金は設備と買収に回る計画で、株主還元は 3 年で 5 億円にとどまる。少数株主に帳簿の価値は届きにくい。
セキュア印刷の特需の反動
2026 年 3 月期の利益は IPS の大型の特需に支えられた。特需が無くなれば、2027 年 3 月期のように利益は大きく減る。自治体の通知の電子化も逆風だ。
設備投資の回収
中計で設備投資 20 億円と戦略投資を計画する。ROE が 3% の会社の投資は、資本コストを超える稼ぎを生むとは限らない。
紙と人件費の値上がり
紙やインク、人件費の値上がりを価格に転嫁できなければ、もともと薄い利益率はすぐに消える。顧客は小売と通販が多く、値上げへの抵抗は強い。
今後の分かれ目
- 政策保有株の売却代金で自社株買いを行う
- 資本の効率が上がり、持ち合い株の価値の一部が株主に届く。評価を上げる。
- IPS とパッケージの売上が中計の目標を超える
- 新しい柱が育ったとみて、やや楽観に寄る。
- 営業利益率が 1% を割る年が続く
- 紙の縮みが速いやや悲観の筋書きに入る。
- 大型の買収を行う
- 印刷の周辺の事業なら、利益の上積みより資本の重さが増すおそれが大きい。
- 銀行が持ち合いを解消する
- 株の売り圧力が出るが、経営の規律は強まる。
見ておくもの
- 商業印刷の売上と営業利益率
- IPS とパッケージの売上
- 政策保有株の売却額と使い道
- 配当性向と自社株買い
- 中計の 2028 年度の営業利益 4.7 億円の進み
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 9% と事業の ROE から出した。ROE が k を大きく下回るので PER の上限は 1÷k で、ROE÷k の目減りを踏まえ中立は 7.4 倍とした。政策保有株は配当を利益に残し、価値は別に足していない(二重を避ける)。売れる値段は悲観の床だけに使った。今の PER や PBR から倍率は置いていない。2028/03 期から新リース会計基準で数字の形が変わるが、10 年後は今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→11.11 倍・やや楽観 PER 8.2→11.11 倍・中立 PER 7.4→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.25%。同じ領域の KYORITSU(+1.5%)より、包装とセキュア印刷を持つ分だけ寿命を 0.25% 低くした。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 9.00%。