結論
壽屋は、「メガミデバイス」などの美少女プラモデルとキャラクターフィギュアを企画し、中国の委託工場で作って売るホビー企業だ。売上は 168 億円。自社 IP の比率が 4 割を超え、海外が 3 割近い。2026 年 6 月期の営業利益は 8 億円で、前期の 16 億円から半減した。筆者の結論は、自社 IP は本物の強みだが、ヒットの有無で利益が大きく振れ、中立でも今の時価総額をやや下回る、ということだ。
強みは、自社 IP で利益率を取れることだ。他社の版権に頼らないぶん、値段を自分で決められる。アジアでの伸びも続く。
弱みは、発売の延期と為替だ。2026 年 6 月期は、有力タイトルの発売が来期に延び、円安で調達費が上がり、米国子会社の運営費が想定以上に膨らんだ。
中立では、10 年後の営業利益は 18 億円、純利益は 12 億円。確率で重みづけした総合は、今の時価総額を 2 割ほど下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、壽屋は「ファンに愛される IP を持つが、ヒットの有無で利益が振れる」会社だ。自社 IP が 4 割を超え、値段を自分で決められる点は、同業のホビー企業にない強みだ。
しかし、先が読めない。営業利益は 2023 年 6 月期の 26 億円から、2026 年 6 月期の 8 億円まで 3 年で 3 分の 1 になった。発売の延期と為替で簡単に動く利益は、オーナーの目で見て、確かな収益とは言えない。
財務は健全で、自己資本比率は 64%。倒産の心配はなく、ヒットが出ればまた伸びる。
筆者は、純利益の 11 倍前後、つまり 130 億円前後が中立の値と見る。今の値段は、その 8 割にあたるので、安全域は薄いがゼロではない。IP の寿命を見極められるなら、さらに高く評価する余地がある。
何で稼ぐ会社か
売上のうち、プラモデルが約 4 割、フィギュアが約 2 割、残りが直営店・EC・雑貨・受託などだ。前期(2025 年 6 月期)はプラモデルが 61 億円で 13% 増、フィギュアが 33 億円で 20% 減だった。
主力は美少女プラモデルの「メガミデバイス」シリーズ。ほかに「フレームアームズ・ガール」「アルカナディア」などの自社 IP を持つ。自社 IP の売上比率は前期に 40% から 45% へ上がった。キャラクターを版権元から借りる製品と違い、利益率が高い。
製品は中国の委託工場で作る。海外売上比率は前期に 26.5% で、アジアが中心、北米は米国子会社が直営 EC を立ち上げた。2026 年 6 月期から中国と米国の子会社を連結に入れた。
直営店(コトブキヤなんばなど)と EC は前期に 5.6% 増え、訪日客が支える。製品の発売が下期に偏るので、利益も下期に出やすい。発売が 1 本ずれるだけで、その期の利益が数億円動く。企画から販売までを自社で決める一方、生産は委託工場に任せ、工場を持たない軽い構造だ。従業員は少なく、設計と原型づくりの人材が価値の中心にある。
優良さと弱いところ
堀は普通と見る。美少女プラモデルというジャンルで、自社 IP を持ち、ファンの支持を受けている。他社のプラモデルとは違う客層で、値段を自分で決められる。
ただし、ヒット商品に頼る点は弱い。営業利益率は 2019 年 6 月期の 3.3% から、2022 年 6 月期の 16.4% まで跳ね、2026 年 6 月期は 4.5% に戻った。IP の寿命は読めない。
財務は健全だ。自己資本比率は 64%、純有利子負債は 4 億円。
資本の使い方では、米国子会社の立ち上げ費用や中国の合弁会社の清算(出資金評価損 1 億円)が示すように、海外展開に試行錯誤の費用がかかっている。
経営は「ホビー企業から IP 企業へ」の転換を掲げ、中途採用の比率が高い。方向は正しいが、利益で証明するのはこれからだ。ROE の中央値は 14% と高く、資本効率は良い時期が長かった。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ホビーの市場は、キャラクター人気の長期化と、海外のファンの増加で、プラモデルを中心に堅調だ。日本のアニメ・ゲームの IP は世界で売れ、アジアと北米の需要が国内の減少を補う。
国内は少子化だが、買い手は子どもでなく大人のファンだ。購入の頻度と金額は大きく、物価が上がっても買い続ける層が厚い。
競合は、バンダイ(バンダイナムコ)が圧倒的で、ガンプラは別格の規模を持つ。壽屋は美少女プラモやフィギュアという隙間で、独自の客層をつかんだ。
費用の面では、中国の委託工場の人件費と、円安による調達費が効く。為替は 150 円で固定した前提でも、人件費の上昇は価格に転嫁する必要がある。米国の関税は、北米向けの出荷に響いた。
新製品の発売が延期されると、その期の利益が飛ぶ。製品のライフサイクルが短く、毎年ヒットを出し続けなければならない。ガチャやカードのように継続課金がなく、売上は新製品の発売ごとに立つ。ファンの心をつかむ企画力が、そのまま利益の大きさになる。プラモデルの原型づくりは、人手がかかる職人仕事で、人件費の上昇も効く。
資本政策と M&A
配当は 2026 年 6 月期に据え置かれ、純利益の 7 割強になった。2027 年 6 月期の予想も同じ水準だ。自社株買いの情報は確認できていない。
株主優待がある。6 月末の株主に、100 株以上、300 株以上、1,500 株以上の 3 段階で額面の違う買物優待券を贈り、3 年以上の保有で QUO カードも付く。費用は開示がなく、買物券の原価と株主数から年 0.7 億円と推定して、還元に足した。
現金は厚くなく、純有利子負債は 4 億円。自己資本比率は 64%。海外子会社の投資と金型の更新に現金が要る。
2026 年 6 月期から中国と米国の子会社を連結した。中国の合弁会社は清算した。
TOB の可能性は、時価総額が小さく買い手が見えにくい。会社から何も示されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
自社 IP が強みになった。メガミデバイスは長く売れ、アルカナディアなど新しい IP も育っている。自社 IP の比率は 40% から 45% に上がり、他社の版権に頼らない利益が増える。
海外が成長の柱になる。アジアの売上は前期に 8.5% 増え、北米は自社 EC を立ち上げた。海外比率は 26.5% から 29% に上がる計画だ。日本のアニメ・ゲーム IP の需要は世界で伸びる。
2026 年 6 月期の減益は、発売の延期と一時的な費用による。新製品は来期に回っただけで、需要が消えたわけではない。米国子会社の運営費は、売上が伸びれば薄まる。
PBR は 1.3 倍、純有利子負債は 4 億円で、財務は健全だ。利益率が 2022 年の水準に半分でも戻れば、営業利益は 3 倍になる。直営店と EC も伸びており、訪日客が支える。
中途採用を増やし、IP 企業への転換を進めている。海外の自社 EC を立ち上げ、直営店の客層も訪日客で広がった。今の利益は、本来の力を発揮しきれていない谷の水準だという見方ができる。
慎重な見方
利益が不安定だ。営業利益は 2023 年 6 月期の 26 億円から、2026 年 6 月期の 8 億円に落ちた。発売の延期で、会社予想は期中に 17 億円から 8 億円へ下方修正された。同じことが繰り返される。
コストが上がり続ける。中国の委託工場の人件費、円安の調達費、米国の関税。これらを価格に転嫁できる保証はなく、競合のバンダイは圧倒的な規模を持つ。
海外展開は試行錯誤が続く。米国子会社の売上は伸びず、運営費だけ膨らんだ。中国の合弁会社は清算し、1 億円の評価損を出した。
IP の寿命は読めない。ファン向けの趣味の商品は、飽きられれば急に売れなくなる。2019 年 6 月期の営業利益率は 3.3% だった。2020 年 6 月期も 3.1% で、谷が 2 年続いた前例がある。
配当は純利益の 7 割強で、優待も出す。利益が落ちても還元は減らしにくく、財務の余裕を削る。海外子会社の投資が続けば、現金の余裕は急に薄くなる。
どちらに重みを置いたか
自社 IP の強みと財務の健全さは認めるが、ヒット頼みで利益が振れる点が重い。慎重な見方をやや強いと判断し、中立に 4 割弱、やや悲観と悲観に 35% を置いた。
新製品の発売が計画どおり進み、2 期続けて営業利益率が 8% を超えれば、楽観を上げる。逆に、延期と下方修正が続けば、悲観を上げる。確率は、過去の利益の振れの大きさを反映して、中立を 4 割未満にとどめた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 1,807 円146 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 504 円41 億円)。 今の値に割り戻すと 1,203 円97 億円、今との差 −8.9%、 期待の年率 +5.8%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 4,173 円337 億円 | 767 円62 億円 | +274.0% | +14.1% | 346 円28 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,859 円231 億円 | 631 円51 億円 | +164.2% | +10.2% | 698 円56 億円 |
| 中立 | 38% | 1,999 円162 億円 | 545 円44 億円 | +92.5% | +6.8% | 966 円78 億円 |
| やや悲観 | 23% | 610 円49 億円 | 408 円33 億円 | −22.9% | −2.6% | 234 円19 億円 |
| 悲観 | 12% | 359 円29 億円 | 192 円16 億円 | −58.3% | −8.4% | 66 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,807 円146 億円 | 504 円41 億円 | +74.9% | +5.8% | 2,311 円187 億円 |
今の株価時価総額 1,321 円107 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:自社 IP が育ち、海外のアジアと北米が柱になって利益率が上がる 利益 21 億円 · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 4,173 円337 億円
自社 IP のプラモデルが、メガミデバイスに続く第 2・第 3 の柱を持ち、出荷数量は今の 1.8 倍になる。アジアでの伸びと、北米の自社 EC が効く。値段は物価を少し上回る 1.40 倍で、IP の力で上げられる。
フィギュアは数量 1.2 倍。直営店と EC は訪日客に支えられ、1.5 倍。
営業利益は約 31 億円、利益率は 8.3%。過去 12 年の最高 16.4% は新型コロナ後の特需なので、そこまでは置かない。
中国の委託工場の人件費は上がるが、値上げで吸収する。配当は増やし、10 年で 55 億円。優待は続け、年 0.7 億円を別に配る。
- プラモデル(美少女プラモ・ロボット):数量 193(出荷数量(万個))× 価格 0.84(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 162 億円・営業利益 21 億円。自社 IP が第 2・第 3 の柱に
- フィギュア(美少女・キャラクター):数量 31.0(出荷数量(万個))× 価格 1.68(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 52 億円・営業利益 4 億円
- 直営店・EC・その他:数量 312(年間の取扱点数(万点))× 価格 0.49(1 点あたり平均金額(万円))→ 売上 153 億円・営業利益 9 億円。直営店・EC・訪日客
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.5 倍。全体の PER 16.45 倍、時価総額 337 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:「ホビー企業から IP 企業へ」の転換が当たり、複数の自社 IP が長く売れる筋書き。過去 12 年の最高の利益率 16.4% は置かず、8% 台までとした。
やや楽観 20% やや楽観:メガミデバイスが続き、海外比率が 4 割に近づく 利益 15 億円 · PER 15.2 倍 · 株価時価総額 2,859 円231 億円
プラモデルの数量は今の 1.55 倍、値段は 1.37 倍。美少女プラモの新シリーズが当たり、アジアでの需要がもう一段伸びる。
フィギュアは 1.1 倍。直営店・EC は 1.3 倍。
営業利益は約 23 億円、利益率は 7.4%。前期の 4.5% より高いが、2022〜2025 年の 10〜16% には戻らない。
新製品の発売が下期に偏る構造は残り、四半期の利益は振れる。米国子会社は黒字化に近づくが、運営費は物価で増える。配当は 10 年で 44 億円。優待券の費用は別に年 0.7 億円で、続ける。
- プラモデル(美少女プラモ・ロボット):数量 166(出荷数量(万個))× 価格 0.82(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 136 億円・営業利益 16 億円
- フィギュア(美少女・キャラクター):数量 28.4(出荷数量(万個))× 価格 1.64(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 47 億円・営業利益 3 億円
- 直営店・EC・その他:数量 270(年間の取扱点数(万点))× 価格 0.48(1 点あたり平均金額(万円))→ 売上 130 億円・営業利益 7 億円
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.9% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.2 倍。全体の PER 15.2 倍、時価総額 231 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:前期までの流れが続く筋書き。自社 IP の比率は 40% から 45% に上がり、海外も伸びた。ただし、製品の発売時期のずれによる下期偏重は残る。
中立 38% 中立:数量は 3 割強増え、値段は物価並み。営業利益は 18 億円 利益 12 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 1,999 円162 億円
趣味の市場は海外で伸びる。プラモデルの数量は今の 1.35 倍、値段は物価並みの 1.34 倍。美少女プラモの自社 IP は続くが、新しいヒットは読めない。
フィギュアは数量 1.0 倍。直営店・EC は訪日客と EC の拡大で 1.2 倍。
営業利益は約 18 億円、利益率は 6.4%。中国の委託工場の人件費は上がるが、値上げで吸収する。米国子会社の運営費は物価で増え、本社費も 1.34 倍になる。
金型への投資は償却より多く、現金から出る。配当は純利益の 3 割強で、10 年で 37 億円。優待券の費用は別に年 0.7 億円。会社の営業利益は 2023 年 6 月期の 26 億円を超えず、その 7 割の水準で落ち着く姿だ。
- プラモデル(美少女プラモ・ロボット):数量 145(出荷数量(万個))× 価格 0.80(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 116 億円・営業利益 13 億円。数量 1.35 倍、単価 1.34 倍
- フィギュア(美少女・キャラクター):数量 25.8(出荷数量(万個))× 価格 1.61(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。横ばい
- 直営店・EC・その他:数量 250(年間の取扱点数(万点))× 価格 0.47(1 点あたり平均金額(万円))→ 売上 117 億円・営業利益 6 億円
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍。全体の PER 13.92 倍、時価総額 162 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利益率は 2022 年 6 月期の 16.4% を山に下がってきた。中立は過去の平均 8% より低い 6.4% に置く。発売の延期や為替の振れが毎年のように起きる事業だからだ。
やや悲観 23% やや悲観:ヒットが途切れ、為替と関税で利益率が 4% に戻る 利益 6 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 610 円49 億円
自社 IP が飽きられ、新しいヒットが出ない。プラモデルの数量は今の 1.1 倍にとどまる。値段は競争で 1.30 倍。
フィギュアは 0.85 倍に縮む。北米は関税の影響が残る。
営業利益は約 9 億円、利益率は 3.9%。中国の人件費は上がり、値上げは通らない。
在庫が積み上がり、評価損が出る。新製品の企画は当たり外れが大きく、外れた年の金型代が利益を食う。米国子会社は黒字にならず、運営費が重荷になる。配当は 28 億円に減らし、優待は縮小する。自己資本比率は 60% 台を保つが、利益が薄く、海外への投資は止まる。
- プラモデル(美少女プラモ・ロボット):数量 118(出荷数量(万個))× 価格 0.78(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 92 億円・営業利益 8 億円
- フィギュア(美少女・キャラクター):数量 21.9(出荷数量(万個))× 価格 1.56(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円
- 直営店・EC・その他:数量 208(年間の取扱点数(万点))× 価格 0.46(1 点あたり平均金額(万円))→ 売上 95 億円・営業利益 3 億円
倍率:PER 8.5 倍。ROE は 5% 台で k を下回り、上限 1÷k=12.5 倍の 68%。
確率:新製品が当たらず、発売の延期が続く筋書き。2019〜2020 年 6 月期は営業利益率が 3% 台で、そこに近い。
悲観 12% 悲観:IP の人気が去り、委託工場と在庫が重荷になる 利益 −2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 359 円29 億円
自社 IP の人気が落ち、プラモデルの数量は 0.75 倍。値下げ競争で値段は 1.15 倍にとどまる。
フィギュアは 0.6 倍に縮む。直営店も客足が落ちる。
営業利益は赤字に近づき、米国子会社の運営費も重い。在庫の評価損と金型の減損で、自己資本は削られる。
配当は大きく減らし、優待は廃止に近づく。株主に残る価値は、現金と直営店、IP と金型の処分価格が中心になる。自己資本は評価損で今より減るが、実質無借金なので倒産はしない。ただし、新製品の企画が続かないと、会社の規模は縮んでいく。配当は 10 年で 12 億円にとどまり、優待は廃止に近い。
- プラモデル(美少女プラモ・ロボット):数量 80.2(出荷数量(万個))× 価格 0.69(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 55 億円・営業利益 2 億円
- フィギュア(美少女・キャラクター):数量 15.5(出荷数量(万個))× 価格 1.38(1 個あたり販売価格(万円))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円
- 直営店・EC・その他:数量 166(年間の取扱点数(万点))× 価格 0.40(1 点あたり平均金額(万円))→ 売上 67 億円・営業利益 1 億円
倍率:PBR 0.35 倍を今の自己資本 83 億円に掛けた。稼ぐ力は赤字で、在庫と金型は処分価格が低い。価値は現金・売掛金・直営店の資産が中心。
確率:「自社 IP の比率が 4 割」は、IP が衰えれば逆に弱点になる。構造的に負ける筋書きで、ファン向けの趣味は流行に左右される。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
プラモデル(美少女プラモ・ロボット)
自社 IP の「メガミデバイス」「フレームアームズ・ガール」などの組み立て模型と、他社 IP のプラモデル。美少女プラモが主力で、海外のアジア向けも伸びている。
| 数量出荷数量(万個) | 価格1 個あたり販売価格(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 107 | 0.60 | 64 | 6 |
| 10 年後 中立 | 145 | 0.80 | 116 | 13 |
取り方:前期(2025/06 期)のプラモデル売上は 61.4 億円(前期比 13.1% 増)。今期の内訳は開示を確かめられず、売上 167.8 億円に前期の構成比(37%)を当てて 64 億円と推定。個数と単価は推定(平均 0.6 万円とした)。セグメント別の利益は開示がなく、営業利益 7.6 億円に合うよう推定した。
フィギュア(美少女・キャラクター)
完成品・組み立て式のキャラクターフィギュア。前期は前年比 20% 減と伸び悩んだ。
| 数量出荷数量(万個) | 価格1 個あたり販売価格(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 25.8 | 1.20 | 31 | 2 |
| 10 年後 中立 | 25.8 | 1.61 | 41 | 2 |
取り方:前期のフィギュア売上は 33.2 億円(前期比 20.4% 減)。今期は推定で 31 億円。個数と単価は推定(平均 1.2 万円)。利益は推定。
直営店・EC・その他
直営店(なんばなど)と直営 EC、キャラクター雑貨、パーツ、受託などの売上。
| 数量年間の取扱点数(万点) | 価格1 点あたり平均金額(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 208 | 0.35 | 73 | 3 |
| 10 年後 中立 | 250 | 0.47 | 117 | 6 |
取り方:売上は全体から上の 2 つを引いた残りの推定(72.8 億円)。直営店・EC は前期に 5.6% 増。点数と単価は推定。利益は推定。
リスクと懸念
ヒット商品への依存
自社 IP の売上比率は 45% に上がったが、IP の人気が衰えれば逆に弱点になる。メガミデバイスが売上を牽引しており、次のヒットが読めない。
発売の延期と下期偏重
2026 年 6 月期は有力タイトルの発売が来期に延び、営業利益の予想が 17 億円から 8 億円へ期中に下がった。製品が下期に偏る構造は残る。
為替と中国の委託工場
製品は中国の委託工場で作る。人件費と原材料費の上昇、円安による調達費の増加は、価格に転嫁できないと利益率を削る。
米国の関税と北米事業
前期は関税で北米の出荷が止まった。米国子会社は売上の伸びが遅れ、運営費だけが増えている。
海外展開の失敗
中国の合弁会社を清算し、出資金評価損 1 億円を出した。米国子会社の連結で、費用の見通しも難しくなった。
在庫と金型の評価損
製品の発売が延期されたり売れ行きが悪いと、在庫と金型の評価損が出る。ホビーは流行の寿命が短い。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 8% を超える
- 中立の利益率を 6.4% から 8% に上げ、楽観側の確率を上げる。
- 有力タイトルの発売が再び延期される
- 悲観側の確率を 35% から 45% に上げる。
- 海外売上比率が 35% を超える
- プラモデルの数量を 1.35 倍から 1.5 倍に上げて見直す。
- 米国子会社が黒字化する
- 本社費の調整額を −3.5 億円から −2.5 億円に直す。
- 株主優待が縮小・廃止される
- 還元の合計から優待の分(年 0.7 億円)を除く。
見ておくもの
- 新製品の発売時期と受注数量
- 自社 IP の売上比率(今 45%)
- 海外売上比率(今 26.5%、予想 29%)
- 営業利益率(今 4.5%)
- 米国子会社の損益
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業の ROE が資本コスト 7.75% を上回る前提で、式の上限(約 13〜15 倍)の 8〜9 割に置いた。今の株価は純利益の約 21 倍だが、倍率の根拠に使っていない。株主優待の費用は開示がなく、買物券の額面×原価率×株主数から推定した。新リース会計基準は、直営店の賃借料が小さく影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14→16.45 倍・やや楽観 PER 12.5→15.2 倍・中立 PER 11.5→13.92 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を加えて 8.0%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。