結論
オリバーは家具を単品で売るメーカーから、オフィス、ホテル、医療施設、店舗の内装を一括で請け負う企業へ進化した。10年保有を考えると、受注の持続力は評価できるが、現在の時価総額306億円には大きな安全域はなく、適正圏と判断する。2021年のMBOで一度上場を廃止したものの、設計とデジタル技術を組み込む改革を経て2026年9月に再上場した。今は上場廃止予定の会社ではない。
長所は新築に偏らない需要構造だ。2025年の売上の60%は改装・リニューアルで、既存顧客からの売上が88%を占める。協力会社約1,000社と全国の拠点があるため、特注家具から内装施工までをまとめて引き受けられる。実績利益に対して時価総額は高すぎるわけではないが、10年先の価値は案件数だけでなく、値上げを通す力と配当の継続に左右される。
気掛かりなのは、貸借対照表の自己資本に多額ののれん等が含まれ、実際に売って回収できる資産が帳簿ほど厚くないことだ。また、生成AIは空間提案の工数を減らし、競合も同じ道具を使える。インテグラルが売出しで持分を減らした後も潜在株式の希薄化は残る。筆者は、華やかな成長計画をそのまま10年続けず、国内施設の成熟と配当原資の現金化を確かめて評価する。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が重視すべきなのは、家具という商品よりも、顧客が数年後に改装するとき再び頼る関係である。設計した施設の寸法、材料、施工上の制約を知り、全国の協力会社を動かせるなら、会社は家具メーカー単体より価値ある取引相手になる。2025年の既存顧客売上88%はその可能性を示す。ただし繰り返し注文が入ることと、競合が値段を下げても契約を守れることは同じではない。永続的な値上げ力を認めるには、受注率と案件利益率の両方が維持される必要がある。
次に問うのは再投資の利回りである。ファブレス中心の構造なら追加の家具案件を取るたびに巨額の設備を建てる必要はないが、デザイナー、営業所、品質管理、現場監督を増やさねばならない。過去のROEは上場後の高配当で見かけが変わる。増分の利益が増分の運転資本や人員投資を上回るかを、受注件数とキャッシュフローで追いたい。
最後に安全域が大切だ。貸借対照表の自己資本の約半分はのれん・無形資産で、経営がつまずいたとき換金できない。2025年の手元現金も支払条件が変われば減るため、単純に企業価値へ全額足さない。筆者は、中期計画の実行可能性を認めながらも、AIによる設計の価格低下、上場時の株式希薄化、業界の競争を慎重に扱う。将来の利益と配当の合計に対して今の値段は概ね見合い、格別の割安さが現れているわけではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは、依頼された空間に合う家具を設計・調達・製造して届け、必要なら内装を施工するところから生まれる。建築主やホテル運営会社、病院、チェーン本部の担当者が顧客だ。豊橋工場を持つ一方、国内外約1,000社の協力企業を使い、案件ごとに最適な工場と職人を組み合わせる。家具を量産して倉庫に積むだけではなく、納期・安全性・施工まで責任を負う仕事である。
開示上は家具・インテリアの単一セグメントだが、顧客によって五つの市場に分けている。2025年売上ではオフィス・文教・公共が約3割、チェーンストアが2割強、宿泊も2割強を占める。残る商環境と医療・福祉も一定の大きさがあり、単一の景気循環に全面依存しない。販売構成では特注・造作家具が54%、カタログ品が20%、内装工事・搬入が26%である。内装工事は外注先が施工し、オリバーは工程や品質を管理する。
上流工程に入り込んだ後の家具調達まで一括で任せてもらえるかが利益率を左右する。会社は2023年から2025年にかけて見込案件の発掘を増やし、受注率も上げた。案件単価の管理指標も1,500万円から1,700万円へ拡大している。一方、提案の一部は顧客のための工数を費やして初めて仕事が得られ、案件獲得費用が回収できない危険もある。チェーン向け管理基盤OOSは発注・配送・施工を結ぶが、独立した有料SaaS事業や席課金の規模は開示されていない。
優良さと弱いところ
模倣しにくさの中心は、一度設計と納入を経験した顧客が次の拠点でも同じ会社に任せる関係にある。2025年に継続顧客が売上の88%を占め、改装関連の比率が4年前の37%から60%へ上がった。単年度の売上比率を解約率と取り違えてはならないが、顧客理解と施工履歴が積み重なる利点は確かだ。国内外約1,000社の協力網は、小口の特注から大規模な案件まで調達先を変えられる強みになる。
ただし、この優位性は価格を独占的に決められる堀ではない。オカムラやイトーキは家具の品質と販売網を持ち、乃村工藝社や丹青社は大規模な設計・施工で競う。顧客は発注のたびに価格と提案を比較できる。値上げが恒常的に通る実績や解約率の開示もないため、強い堀とまでは扱わない。施工管理や納入品質を守る費用は、インフレ下では上がりやすい。
営業利益率は2024年の9%から2025年の10%強へ改善し、2026年上期も11%台だった。ただ、IFRSの数字にはMBO時の取得会計やリース処理が影響する。2025年は当期利益25億円に対して営業キャッシュフローが約4億円にとどまり、2026年上期は仕入代金の支払サイト短縮で現金が減った。高いROEをそのまま投資利回りだと考えず、増えた受注をどれだけ現金に変えて株主へ戻せるかを見る必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のオフィス家具は成熟産業だ。矢野経済研究所が示す2024年の家庭用・オフィス用家具のメーカー出荷市場は合計1兆1,400億円で、うちオフィス用は同調査の補足資料で4,560億円と示されている。オリバーのオフィス・文教・公共向け売上約107億円は、この広い市場の約2.3%に当たる。ただし内装施工や公共施設を含む売上を出荷市場と単純に割った参考比率であり、実測シェアではない。競合のオカムラ、イトーキ、コクヨ、内田洋行は総合販売網で優位に立つ。
店舗・ホテル内装では違う競争がある。矢野経済研究所はイベントや内装を含む国内ディスプレイ市場を2024年度約1兆7,900億円と推計した。乃村工藝社、丹青社、スペース、船場などが強く、オリバーの全社売上350億円を広い市場に対比すると2%弱となるが、事業範囲は一致しない。医療の約145万病床、旅館・ホテル約5.3万施設、フランチャイズ約25万店舗という設備の母数は更新需要を生む。宿泊の家具・内装だけなら年1,000〜2,000億円程度、医療・福祉向けも同程度という粗い試算は可能だが、公的な同一定義の市場・企業シェアはない。
人口減少と病床削減、店舗の統廃合は実質の施工件数を抑える。半面、老朽施設の改修、従業員を呼び戻すためのオフィス再設計、客室の高級化は一案件の価値を高める。会社の数量が国内全体より伸びるには、家具メーカーでは取れなかった設計・施工の直受け案件を実際に奪う必要がある。資材高と技能労働者不足は値上げ圧力になるだけでなく、外注原価の上昇にもつながる。
資本政策と M&A
会社は2021年にインテグラル側のTOBを受けて非上場化し、旧会社を吸収合併した後、製品販売から空間提案への転換を進めた。海外事業とケーブルテレビ事業も整理し、2026年9月に再上場した。今回の上場は主として既存株主の売出しであり、会社に大型の成長資金が新規に入ったわけではない。売出し前の大株主比率をそのまま現在の支配構造と読むのは誤りで、インテグラル側の共同保有は上場直後18.77%と報告されたが、10月14日には7.65%まで低下した。
2026〜2028年中計の定量目標は、2025年売上350億円を起点とする売上CAGR約8%、営業利益35億円を起点とする営業利益CAGR約10%、営業利益率0.5ポイント程度の改善である。2028年に換算すると売上約441億円、営業利益約47億円となるが、これは計算上の換算値であって会社が絶対額を約束したものではない。ROEの数値目標、自社株買いの金額目標、DOEの数値目標はない。
株主還元は2026年に配当性向70%を予定し、2027年以降は配当性向50%以上と配当額の維持・増額を基本方針とする。自社株買いは機動的に検討するが金額は未定だ。2025年までの5年間には通常配当・大規模な買い戻しの実績が乏しく、今後の方針が実行されるかは確かめなければならない。ストックオプションに相当する潜在株式約670万株も既存株主の将来の取り分を薄める。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
改装・リノベーションの比率60%は、国内の新築着工の減少から距離を取れる証拠である。ホテル、オフィス、医療施設、飲食チェーンは、どこも建物を長く使いながら内装を定期的に入れ替える必要がある。しかも物価が上がれば、新しい施設を建てるより既存空間の改装が合理的になりやすい。オリバーは家具の製造と施工管理にまたがるので、施主は仕事を細かく分割する必要がない。協力企業約1,000社を活用し、工場への大投資なしに案件を増やせる点も魅力的だ。
2023年から2025年に見込案件数と受注率、平均案件規模が一緒に増えたのは、直受けへの転換が机上の計画で終わっていない証拠でもある。顧客ごとの家具図面や店舗納入の経験が蓄積すれば、競合が少し安く見積もっても切り替える手間が高くなる。全国チェーンのOOSは、内装と物流を一元管理でき、同じチェーンから追加店の発注を呼び込みやすい。ゼロカーボンファニチャーのような付加価値品を持ち、単なる価格競争から抜ける道も見える。中計の初期段階の伸びを数年続けられれば、利益と配当の両方が大きくなり、長期の株主価値は相応に増える。
慎重な見方
継続顧客の売上88%は、既存顧客が翌年も残った確率ではない。過去一度でも発注した会社を含むため、長い取引履歴がある大口顧客の注文に売上が集中しているだけかもしれない。建物の改装は延期が利く支出であり、設備更新義務がある公益事業とは違う。宿泊客が増えても、ホテル運営会社が金利高や建築費を負担できなければ設備投資は止まる。医療機関の病床削減やチェーン店の統廃合も、10年では避けがたい逆風となる。
設計とプランニングはAIエージェントが標準案を短時間で生成するようになり、単純な人手の作業で差額を取ることが難しくなる。競合も同じAIを使い、提案速度の優位は長く続かない。物理的な施工が残っても、元請けのゼネコンや大手家具メーカーとの見積もり競争はなくならない。買収時ののれん・無形資産が80億円を超え、2025年の営業現金収入が少なかった点も心配だ。2026年上期には支払サイト短縮のため現金が減った。約670万株の潜在株式が発行されれば取り分も薄まる。利益率と資本効率の両方を守れる保証はない。
どちらに重みを置いたか
改装需要の持続と既存顧客との関係は評価するが、取引履歴から独占力までは証明できない。設計のAIエージェント代替は、物理的な家具・施工と分けて数量・単価に反映した。下側の合計を37%と上側32%よりやや厚くしたのは、上場後の実績が短く、のれんの厚さと現金回収に不確実性が残るためである。これは資本コストの上乗せに重ねてはいない。希薄化後の価値と現在の時価総額は概ね接近し、適正圏と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 464 円464 億円(+ 還元の換算額還元の合計 157 円157 億円)。 今の値に割り戻すと 322 円322 億円、今との差 +7.9%、 期待の年率 +9.0%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,007 円1,007 億円 | 279 円279 億円 | +331.4% | +18.8% | 129 円129 億円 |
| やや楽観 | 22% | 683 円683 億円 | 219 円219 億円 | +202.7% | +14.0% | 198 円198 億円 |
| 中立 | 31% | 516 円516 億円 | 179 円179 億円 | +133.2% | +10.5% | 215 円215 億円 |
| やや悲観 | 23% | 199 円199 億円 | 93 円93 億円 | −1.9% | −0.2% | 67 円67 億円 |
| 悲観 | 14% | 52 円52 億円 | 27 円27 億円 | −73.8% | −14.3% | 11 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 464 円464 億円 | 157 円157 億円 | +108.3% | +9.0% | 621 円621 億円 |
今の株価時価総額 298 円298 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 直受け大型化と多拠点改装が定着 利益 76 億円 · PER 14.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,007 円1,007 億円
会社は全国の大口顧客から設計段階で直接選ばれる存在となる。上場後の信用力を生かし、オフィスの大型改装とホテルの高付加価値改修を同時に取り込む。継続顧客との共同計画が定着し、現在約88%の既存顧客向け売上が単なる取引履歴でなく複数年の案件源になる。協力企業約1,000社の調達網を使って案件数を伸ばしても、工場を大きく増やさずに済む。
全国チェーンではOOSが店舗改装の標準管理手段となり、受注範囲も広がる。環境配慮家具や現場管理の高度化は顧客の購買理由になるが、AI自体の課金売上を新しく想定してはいない。経営陣は値上がりした建材費を価格へ転嫁し、採算の良い工事を選別する。大型買収での拡張より、既存の全国拠点と施工統制への投資を優先し、利益増と安定配当を両立する。
- オフィス・文教・公共市場:数量 1,050(年間の納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.26(1案件相当の家具・工事・企画を含む平均収入(億円/件))→ 売上 275 億円・営業利益 39 億円。オフィスの改装需要と大型直受けの獲得が重なり案件数が増え、上流設計込みの大型化も進む。
- 宿泊市場:数量 435(年間のホテル・旅館納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.40(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 176 億円・営業利益 26 億円。宿泊施設の改修・新設で高単価の客室・共用部案件を継続獲得し、国際ホテルとの関係が強まる。
- 医療・福祉市場:数量 430(年間の医療・福祉施設納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.18(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 78 億円・営業利益 9 億円。医療・高齢者施設の更新でユニバーサルデザイン家具を拡販し、新しい施設需要も獲得する。
- 商環境市場:数量 375(年間の商業空間納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.22(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 82 億円・営業利益 10 億円。カーディーラーや専門店の店舗体験投資を取り込み、直接契約を増やす。
- チェーンストア・その他市場:数量 1,130(年間のチェーン向け一括納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.17(1案件相当の家具・店舗改装収入(億円/件))→ 売上 196 億円・営業利益 27 億円。OOSを使う大手チェーンとの案件増加で全国改装の一括管理を得意領域にする。
倍率:2035年のROE約21.3%、資本コスト8.0%、通常の堀による超過収益の残存率1/2でRONIC約14.7%とする。家具・施工は物理需要が残る一方、AI設計受託の縮小と国内成熟から10年以降の名目成長g_long1.8%を用い、正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)≈14.15倍を上限そのものとして採用した。現在や同業の市場倍率による割引は行っていない。
確率:国内施設更新が盛んになり、各市場で同時にシェアを取って営業利益率も14%近くへ上がる必要があるため、達成難度は高い。
やや楽観 22% 改装シェアの着実な拡大 利益 52 億円 · PER 13.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 683 円683 億円
市場が全体として実質横ばいでも、オリバーが狙う改装案件には成長余地が残る。企業が従業員を集めるためにオフィスを更新し、宿泊施設も客室数より客室品質を競う。会社はこの二つを軸に、既存顧客から隣接拠点への発注を増やす。2025年の改装売上60%という構成が効き、新築停止の影響が軽くなる。
直受け設計と特注家具の組み合わせで案件単価を高め、受注率も高い水準を維持する。宿泊と医療の顧客を横断するデザイン力を高めつつ、建材高騰や施工人員不足の影響は外注先を分散して抑える。過去のMBOのような大規模な組織改編は繰り返さず、伸びた利益を新技術・人材・配当に割り振る。
海外企業の大規模案件は一時的な追い風にとどめ、国内既存顧客の改修を中心に案件数を増やす。案件当たり収入が伸びても外注先への発注単価も上がるため、利益率の改善は本社の工程標準化と施工手戻りの減少に限って見込む。
- オフィス・文教・公共市場:数量 850(年間の納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.25(1案件相当の家具・工事・企画を含む平均収入(億円/件))→ 売上 212 億円・営業利益 26 億円。オフィス改装の大型案件と公共案件の受注が着実に拡大し、会社シェアが小幅に上昇。
- 宿泊市場:数量 365(年間のホテル・旅館納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.39(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 143 億円・営業利益 18 億円。訪日需要に支えられた改修と新築案件が増え、案件単価も高まる。
- 医療・福祉市場:数量 365(年間の医療・福祉施設納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.18(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 65 億円・営業利益 7 億円。病院の統廃合を施設の高機能化案件で補い、介護関連を伸ばす。
- 商環境市場:数量 340(年間の商業空間納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.21(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 73 億円・営業利益 8 億円。商業施設と自動車販売店の改修需要から競合を少しずつ上回る。
- チェーンストア・その他市場:数量 925(年間のチェーン向け一括納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.16(1案件相当の家具・店舗改装収入(億円/件))→ 売上 151 億円・営業利益 18 億円。繰り返しの店舗改装を受け持ち、新規チェーンの採用が継続する。
倍率:2035年のROE約16.1%、資本コスト8.0%、通常の堀による超過収益の残存率1/2でRONIC約12.1%とする。家具・施工は物理需要が残る一方、AI設計受託の縮小と国内成熟から10年以降の名目成長g_long1.8%を用い、正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)≈13.72倍を上限そのものとして採用した。現在や同業の市場倍率による割引は行っていない。
確率:2025年までの案件単価上昇と既存顧客からの反復受注が続く場合だが、競争の強い各分野で大型化が必要である。
中立 31% 成熟市場でも更新とシェア増で成長 利益 40 億円 · PER 13.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 516 円516 億円
家具そのものの市場は成熟するが、古いオフィス、ホテル、店舗を改装する仕事はなくならない。オリバーは家具だけを売る企業から、設計、造作、施工、アフターケアを束ねる企業へ移行する。2025年の継続顧客向け売上88%は次の受注を得る出発点だが、独占的な契約ではない。オフィス向けの案件数はシェアを少し伸ばして増え、チェーン向けでは多拠点をまとめる契約が増える。
宿泊は新築より改修が柱となり、医療では病床減少を福祉の需要が補う。設計案の生成など、AIエージェント代替で削れる仕事は社内効率化しつつ、顧客への請求力は弱まると考える。業界共通の人件費・資材高を一部転嫁できるが高利益率への飛躍は見込まず、配当を実施しながら自己資本も積み上がる。
- オフィス・文教・公共市場:数量 720(年間の納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.24(1案件相当の家具・工事・企画を含む平均収入(億円/件))→ 売上 170 億円・営業利益 19 億円。既存の企業改装と教育・公共案件の更新を取り込み、業界全体の実質横ばいをシェア増で補う。AIエージェント代替は上流企画・設計の工数部分の数量低下にのみ反映し、物理的な家具納品と現場施工は残す。
- 宿泊市場:数量 335(年間のホテル・旅館納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.38(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 128 億円・営業利益 14 億円。客室数増は緩やかだが、古い施設の改修と高級化で案件を増やす。AIエージェント代替は上流企画・設計の工数部分の数量低下にのみ反映し、物理的な家具納品と現場施工は残す。
- 医療・福祉市場:数量 320(年間の医療・福祉施設納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.18(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 56 億円・営業利益 5 億円。病床減少を介護・福祉関連の更新で補い、数量は小幅増にとどまる。AIエージェント代替は上流企画・設計の工数部分の数量低下にのみ反映し、物理的な家具納品と現場施工は残す。
- 商環境市場:数量 303(年間の商業空間納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.21(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 63 億円・営業利益 6 億円。店舗の実質需要はほぼ横ばいで価格上昇が主な増収源。AIエージェント代替は上流企画・設計の工数部分の数量低下にのみ反映し、物理的な家具納品と現場施工は残す。
- チェーンストア・その他市場:数量 840(年間のチェーン向け一括納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.16(1案件相当の家具・店舗改装収入(億円/件))→ 売上 133 億円・営業利益 14 億円。チェーンの店舗数自体は伸びず、全国改装の一括受注比率を高めて数量増。AIエージェント代替は上流企画・設計の工数部分の数量低下にのみ反映し、物理的な家具納品と現場施工は残す。
倍率:2035年のROE約12.8%、資本コスト8.0%、通常の堀による超過収益の残存率1/2でRONIC約10.4%とする。家具・施工は物理需要が残る一方、AI設計受託の縮小と国内成熟から10年以降の名目成長g_long1.8%を用い、正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)≈13.33倍を上限そのものとして採用した。現在や同業の市場倍率による割引は行っていない。
確率:中計の初期の伸びの後は国内施設の成熟に沿って減速し、実質件数は顧客獲得による小幅増が続く中心的な見通し。
やや悲観 23% 改装延期と競争で利幅が縮む 利益 16 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 199 円199 億円
建築費と運営コストの上昇で顧客は改装を数年単位で先送りし、2025年に60%あった改装案件への期待が裏返る。大都市のオフィスでは面積縮小が進み、ホテルは新規開業と一斉改修が一巡する。医療施設の統廃合が家具調達を減らし、全国チェーンの店舗数も伸びない。大手のオカムラ、イトーキ、乃村工藝社、丹青社が設計・施工の範囲を広げ、オリバーの案件単価を押し下げる。
AIによるレイアウト案や提案資料の自動生成は上流設計の料金を削り、設計要員を抱える強みを弱くする。大量の失注を埋めるための買収は避けたとしても、価格競争が利益率を圧迫する。配当性向50%以上の方針は規模を縮めて守るが、自己資本の増加に見合う資本利益率を得にくくなる。
- オフィス・文教・公共市場:数量 540(年間の納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.22(1案件相当の家具・工事・企画を含む平均収入(億円/件))→ 売上 121 億円・営業利益 10 億円。テレワーク定着と公共予算制約で案件数が減り、大型設計案件も縮小。
- 宿泊市場:数量 240(年間のホテル・旅館納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.36(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 87 億円・営業利益 6 億円。新設一巡と客室稼働率低迷で改修を後ろ倒しにする。
- 医療・福祉市場:数量 240(年間の医療・福祉施設納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.17(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。医療機関の統合と財政難で調達が絞られる。
- 商環境市場:数量 230(年間の商業空間納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.20(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 45 億円・営業利益 3 億円。物価高で小売投資が細り、競合との低価格入札が増える。
- チェーンストア・その他市場:数量 535(年間のチェーン向け一括納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.15(1案件相当の家具・店舗改装収入(億円/件))→ 売上 80 億円・営業利益 6 億円。大手チェーンの内製化・他社への分散で一括発注案件が減る。
倍率:2035年のROE約6.2%はk8.0%を下回るため、成長による価値増分を認めず稼ぐ力の上限1÷k=12.5倍とする。顧客流出と契約更新の不確実さから11.5倍とし、純利益15.5億円を評価する。市場の過去のPBRを根拠にしない。
確率:設計提案のAI代替、外注人件費の上昇、ホテル改装の延期が重なる可能性は十分にあるが、物理的な家具・施工の需要は残る。
悲観 14% 大口顧客を失い事業縮小と減損 利益 −11 億円 · PBR 0.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 52 円52 億円
大手顧客の一括発注先が競合へ移り、繰り返し発注される関係が断たれる。顧客の改装計画はインフレと設備投資抑制で延期され、国内のオフィス面積もホテル・商業施設の投資額も落ちる。OOSの店舗管理機能は汎用ソフトやAIエージェントから代替され、企画・デザインの付加価値も大きく下がる。現場の設置・安全管理は残るが、受注量が減れば協力工場を束ねる固定的な営業・管理費は賄えない。
採算を守ろうと高価格の特注家具を減らすほど案件の魅力も薄れ、悪循環に入る。事業撤退と拠点縮小、買収時に計上されたのれん等の約65億円の減損を余儀なくされる。2026年の当初配当は実施しても、その後は配当継続が困難となり、最後は稼ぐ力でなく売れる資産を基礎に価値を測る。
- オフィス・文教・公共市場:数量 350(年間の納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.20(1案件相当の家具・工事・企画を含む平均収入(億円/件))→ 売上 71 億円・営業利益 0 億円。家具大手・内装会社との値下げ競争で主力顧客を喪失し、案件数が大幅減。
- 宿泊市場:数量 165(年間のホテル・旅館納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.33(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 54 億円・営業利益 −2 億円。設備投資停止と失注が重なり、高級ホテル改装案件から撤退を余儀なくされる。
- 医療・福祉市場:数量 160(年間の医療・福祉施設納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.15(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 24 億円・営業利益 0 億円。病床削減と公共予算不足で案件が激減し、採算を維持できない。
- 商環境市場:数量 170(年間の商業空間納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.18(1案件相当の家具・内装収入(億円/件))→ 売上 31 億円・営業利益 −2 億円。高固定費の商環境部門が競合に押され、赤字受注が残る。
- チェーンストア・その他市場:数量 340(年間のチェーン向け一括納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定))× 価格 0.14(1案件相当の家具・店舗改装収入(億円/件))→ 売上 48 億円・営業利益 0 億円。OOSの囲い込みが破れ、大手チェーンの大型契約が他社へ移る。
倍率:会社全体が恒常赤字で、純利益倍率に意味がなくなる。現時点のIFRS自己資本161.5億円から換金できないのれん・無形資産84.1億円を控除すると77.4億円で、さらに債権処分・閉鎖費用約22億円を控除した税後の換金可能価値55億円を床とする。PBRは2035年の自己資本でなく2025年の161.5億円に適用し、55.1億円とした。
確率:下に寄せる理由:高い継続顧客売上比率は集中取引の裏返しでもあり、大口チェーン失注、AIによる付加価値低下、約84億円ののれん・無形資産の減損が連鎖する懸念を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
オフィス・文教・公共市場
企業の執務空間、学校、図書館、空港、自治体施設の企画、造作家具、納入、内装工事。
| 数量年間の納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定) | 価格1案件相当の家具・工事・企画を含む平均収入(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 580 | 0.18 | 107 | 11 |
| 10 年後 中立 | 720 | 0.24 | 170 | 19 |
取り方:届出書に開示された2025年の市場別売上106.94億円を出発点とする。全社の案件単価KPIは2023年1,500万円から2025年1,700万円に伸びたが、市場別件数は非開示。全社売上350.1億円÷平均案件単価約0.17億円から納入案件相当を約2,060件と試算し、オフィス・文教・公共は複数拠点改装を含む580件、平均1,844万円と推定した。国内オフィス家具のメーカー出荷市場は4,560億円(矢野経済研究所が2024年のメーカー出荷市場として開示)で、この売上は約2.3%相当。ただし同社は内装・公共施設を含み、厳密な同一市場のシェアではない。営業利益は非開示なので全社35.4億円を案件難度別に推定配分した。 AIエージェント代替は企画・設計・資料作成など人月工数で売る部分に限って織り込む。独立した設計工数売上は非開示のため、各市場の現行契約額の10%を工数型、90%を家具・現場施工型と仮定。工数型の10年中立は実質数量0.65倍、名目単価1.10倍とし、家具・施工型は現場の物理需要で数量を予測し、物価3%が10年続く前提で名目単価約1.34倍とした。合成単価指数の目安は0.1×0.65×1.10+0.9×1.34=1.278であり、市場ごとに大型化・競争条件を反映して調整する。OOSは席課金・独立したSaaS売上の開示がなく、別の成長事業にはしない。
宿泊市場
ホテル・旅館の客室、共用部、レストラン、宴会場の家具や造作、内装改装。
| 数量年間のホテル・旅館納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定) | 価格1案件相当の家具・内装収入(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 260 | 0.29 | 76 | 9 |
| 10 年後 中立 | 335 | 0.38 | 128 | 14 |
取り方:市場別売上76.27億円と2025年受注高73.72億円、期末受注残28.07億円は届出書の開示。年間案件相当260件、1件2,933万円は、客室1室ではなく複数室・共用部を束ねたプロジェクトの推定。厚労省の2024年度末旅館・ホテル施設約5.3万に対して新築・改修の対象を年数千施設と想定し、1社が受託できる家具・内装の市場を年1,000〜2,000億円程度と仮に見れば売上シェアは約4〜8%。市場規模も件数も会社が公表したものではなく価格帯と改修周期による推論である。営業利益は部門開示がなく推定。 AIエージェント代替は企画・設計・資料作成など人月工数で売る部分に限って織り込む。独立した設計工数売上は非開示のため、各市場の現行契約額の10%を工数型、90%を家具・現場施工型と仮定。工数型の10年中立は実質数量0.65倍、名目単価1.10倍とし、家具・施工型は現場の物理需要で数量を予測し、物価3%が10年続く前提で名目単価約1.34倍とした。合成単価指数の目安は0.1×0.65×1.10+0.9×1.34=1.278であり、市場ごとに大型化・競争条件を反映して調整する。OOSは席課金・独立したSaaS売上の開示がなく、別の成長事業にはしない。
医療・福祉市場
病院、診療所、介護施設、薬局、老人ホーム等の耐久性・衛生・動線を考えた家具と内装。
| 数量年間の医療・福祉施設納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定) | 価格1案件相当の家具・内装収入(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 280 | 0.14 | 38 | 3 |
| 10 年後 中立 | 320 | 0.18 | 56 | 5 |
取り方:届出書の売上38.10億円、受注33.24億円、受注残5.99億円を使用。病院の2025年病床は約145万床(厚労省)で、施設更新周期や福祉施設・診療所の追加を踏まえ医療・福祉向け家具・内装の年1,000〜2,000億円という粗い市場仮説を置くと同社売上は2〜4%相当。280案件、平均1,361万円は全社の案件単価1,700万円と用途の比較からの分析上の割付けであり、観測された件数ではない。医療施設の規格対応は必要だが売上の安定性は保証しない。営業利益は推定。 AIエージェント代替は企画・設計・資料作成など人月工数で売る部分に限って織り込む。独立した設計工数売上は非開示のため、各市場の現行契約額の10%を工数型、90%を家具・現場施工型と仮定。工数型の10年中立は実質数量0.65倍、名目単価1.10倍とし、家具・施工型は現場の物理需要で数量を予測し、物価3%が10年続く前提で名目単価約1.34倍とした。合成単価指数の目安は0.1×0.65×1.10+0.9×1.34=1.278であり、市場ごとに大型化・競争条件を反映して調整する。OOSは席課金・独立したSaaS売上の開示がなく、別の成長事業にはしない。
商環境市場
単独飲食店、商業施設、カーディーラー、温浴、娯楽施設向け造作家具と内装。
| 数量年間の商業空間納入プロジェクト相当件数(実質、件・推定) | 価格1案件相当の家具・内装収入(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 290 | 0.16 | 48 | 4 |
| 10 年後 中立 | 303 | 0.21 | 63 | 6 |
取り方:届出書開示の市場別売上47.55億円、受注44.36億円。年間290案件、1件1,640万円と推計。矢野経済研究所は2024年度のイベント・内装を含む国内ディスプレイ業市場を約1兆7,900億円と推定する。同じ業界でもイベント・ホテル・オフィスを含むため、商環境部分を仮に全体の約3割、約5,400億円とすると当社売上は約0.9%相当。実測シェアは公表されず、この市場の切り分けは不確実である。乃村工藝社・丹青社・スペース・船場などと案件を争い、利益率の割付けも推定。 AIエージェント代替は企画・設計・資料作成など人月工数で売る部分に限って織り込む。独立した設計工数売上は非開示のため、各市場の現行契約額の10%を工数型、90%を家具・現場施工型と仮定。工数型の10年中立は実質数量0.65倍、名目単価1.10倍とし、家具・施工型は現場の物理需要で数量を予測し、物価3%が10年続く前提で名目単価約1.34倍とした。合成単価指数の目安は0.1×0.65×1.10+0.9×1.34=1.278であり、市場ごとに大型化・競争条件を反映して調整する。OOSは席課金・独立したSaaS売上の開示がなく、別の成長事業にはしない。
チェーンストア・その他市場
多店舗展開する飲食・物販チェーン等の全国一括什器供給、施工、改装管理。
| 数量年間のチェーン向け一括納入・改装プロジェクト相当件数(実質、件・推定) | 価格1案件相当の家具・店舗改装収入(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 650 | 0.12 | 81 | 8 |
| 10 年後 中立 | 840 | 0.16 | 133 | 14 |
取り方:届出書開示の売上81.17億円、受注86.07億円、受注残13.02億円。650件、1件1,249万円は一括発注の会計上のプロジェクト換算であり、施工店舗数とは異なる。日本フランチャイズチェーン協会の2024年度約25.4万店舗を母数に、年間改装対象を約1割、1店舗当たり関連設備・什器支出を数百万円と仮置きすると、店舗内装・什器の市場は少なくとも千億円台となり、当社は数%に相当するが正確な占有率は非開示。OOSは店舗進捗・発注・施工管理を支えるが席課金収入は確認できず、この売上に含めて別建てにしない。 AIエージェント代替は企画・設計・資料作成など人月工数で売る部分に限って織り込む。独立した設計工数売上は非開示のため、各市場の現行契約額の10%を工数型、90%を家具・現場施工型と仮定。工数型の10年中立は実質数量0.65倍、名目単価1.10倍とし、家具・施工型は現場の物理需要で数量を予測し、物価3%が10年続く前提で名目単価約1.34倍とした。合成単価指数の目安は0.1×0.65×1.10+0.9×1.34=1.278であり、市場ごとに大型化・競争条件を反映して調整する。OOSは席課金・独立したSaaS売上の開示がなく、別の成長事業にはしない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と設計提案の低価格化
AIはレイアウト案、見積もり初稿、意匠イメージ、提案資料を短時間で生成できる。人の工数を価格の根拠にしていた設計・コンサル相当は、数量と単価の両方が減る可能性がある。一方、工場の製造、現場での取り付け、耐久試験はデジタルだけでは代替できないため、リスクは事業の一部分に限定して評価する。
家具・内装の競争と価格決定力
オカムラ、イトーキ、コクヨ、内田洋行がオフィス顧客で競い、乃村工藝社、丹青社、船場などが商業・宿泊施設の設計施工で競う。定期的な入札で家具代と施工管理費が比較されれば、継続顧客であっても発注先を変えられる。原材料や外注労務費だけが上がる局面では粗利が薄くなる。
のれん・無形資産と悲観時の資産の床
2025年12月末のIFRS自己資本161.5億円のうち、のれん・無形資産は約84.1億円を占める。顧客基盤の価値が落ちても、のれんを売却して現金に換えることはできない。大型契約の流出や赤字が重なれば、減損によって自己資本が急減する危険があり、悲観側では帳簿純資産をそのまま換金価値とみなさない。
仕入代金の支払条件変更と配当負担
2025年のIFRS営業キャッシュフローは約3.9億円にとどまり、2026年上期は仕入債務の支払サイトを短縮して現金が減少した。配当性向50%以上という方針には魅力があるが、利益があっても運転資金が増えれば支払いは借金や手元現金に頼る。取適法対応後の回転期間と現金変換を継続監視する必要がある。
国内施設の老朽化と投資延期の両面
オフィスやホテルの老朽化は改修需要を生む反面、発注側の金利・建築費上昇は改装を遅らせる。病院の統廃合や地方人口の減少、店舗の閉鎖は需要数量を減らす。2025年に改装案件が売上の60%を占めても、景気の谷では同時に先送りされる可能性があり、受注残高と新規案件を確認したい。
潜在株式、旧MBO後の再上場と大株主売却
2026年の再上場は既存大株主による大規模売出しで、上場による会社への資金流入は限定的だった。ストックオプション等の潜在株式約670万株がすべて株式となると既存株主の取り分は約93.7%になる。インテグラルの共同保有比率は2026年10月14日時点で7.65%まで下がったが、なお将来の売却が需給を揺らしうる。ただし、それ自体を本質価値の資本コストに二重計上しない。
今後の分かれ目
- 案件単価KPIが2025年の1,700万円から実質でも上がり、受注率が67%前後を保ったら
- 直受けと高付加価値化が利益に結びついたと判断し、オフィス・宿泊の数量と単価、やや楽観側の確率を見直す。
- 既存顧客からの売上比率88%が下落し、主要チェーンの失注が重なったら
- 案件継続の堀が弱まったと見て、チェーン・商環境の件数と営業利益率を引き下げる。
- 2028年に会社の売上年8%・営業利益年10%程度の成長目標を達成したら
- 計画の初期達成を確認するが、そのまま2035年まで延長せず、更新需要とシェア増加の持続を別に判断する。
- 年間営業キャッシュフローが安定して純利益に近づき、予定配当と自社株買いが継続したら
- 溜まる現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直し、本質価値を引き上げる。
- AIで設計費の単価が下落し、会社が案件獲得件数を維持できなくなったら
- 企画・設計部分の数量0.65倍という中立想定を下回ると判断し、悲観側の売上と利益率を重く見る。
- のれんの大口減損または株式オプションの大量行使が起きたら
- 減損は純資産と床の評価を、オプション行使は既存株主の希薄化後の取り分を別々に更新する。
見ておくもの
- 市場別の受注高・受注残高と2026年上期からの変化
- リード件数、受注率、案件単価の3つのKPI
- 改装売上比率60%と既存顧客売上比率88%の維持
- 営業利益から営業キャッシュフローへの転換、支払サイト短縮後の現金残高
- 2026年配当性向70%、2027年以降50%以上の実行状況
- のれん等無形資産約84億円の減損有無
- OOS導入とAIによる設計時間削減、競争入札での値下げ幅
- 残存ストックオプション約670万株とインテグラルの株式売却
倍率と資本コストの決め方
先に2025年の市場別売上と全社の案件単価1,700万円、受注率67.2%から受注の実質件数を考え、各市場の更新母数と顧客獲得余地に合わせて2035年の案件数と名目単価を置いた。各市場の営業利益は非開示のため、顧客別の難易度に応じた仮定で、2025年の全社35.4億円と整合させた。倍率は市場のPERではなく、k8%、AI代替を含むg_long1.8%、ROEから新規投資の利回りを計算した利益の正当化PERとした。IFRSではリース負債が既に計上されており、2027年以降の日本基準の新リース会計との形の違いを価値変化と混同しない。悲観のPBRは2035年の積み上がった帳簿でなく2025年の自己資本に掛け、のれんの換金価値は零とみなした。最後に時価総額306億円と比較し、潜在株式の希薄化を既存株主の取り分に掛けた。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。