結論
三菱鉛筆は、ジェットストリームやポスカで知られる筆記具の専業メーカーだ。売上の6割近くは海外で、ドイツのラミーも傘下に持つ。筆者の結論は「割高」である。事業の質は高いが、10年で見込める利益の伸びに比べ、払う値段が先へ行きすぎている。
稼ぎの中心は、日本の工場で作る書き心地のよいボールペンとサインペンだ。国内の文具市場は縮むが、筆記具は値上げが通りやすく、同社は首位級の座を保つ。海外は欧米とアジアで売り場を広げ、会社は2036年に売上1,500億円を掲げている。
筆者は、利益が計画の7〜8割に届く姿が最も起こりやすいと見る。営業利益率は12〜13%で足踏みし、計画の15%には届かない。伸びる海外ほど利益率が低く、買収したラミーも薄利だからだ。
財務は堅く、借金より現金が多い。2026年春には、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズと組み、転換社債で資金を集めた。株が増える分、つまり約1割の希薄化は、価値から差し引いて見る。
強気の筋書きなら価値は大きく伸びる。ただ、国内の縮小と海外の失速が重なる筋書きの重みも小さくない。確率をかけて均すと、10年後に得られる価値は、資本コストで割り引くと今の時価総額を大きく下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、三菱鉛筆は「よい会社だが、値段が先へ行きすぎている」。10年後も、人は手で書き続ける。世界ブランドを持ち、財務は堅い。オーナーとして持ち続けたいかと聞かれれば、持ちたい、が答えだ。
ただし、見込める利益の伸びは、中立で10年に5割弱だ。営業利益率は12〜13%にとどまり、ROEは資本コストに届かない。堀は並みで、書き味という小さな差に頼る。伸びる海外ほど利益率が薄いことも、成長が利益に変わりにくい理由になる。
株主のものになる利益、いわゆるオーナー利益は、見た目の純利益に近い。工場は設備更新が要るが、投資の負担は重くない。そのかわり、手元の現金が厚く、稼ぐ力に比べて自己資本が膨らみやすい。
資本の使い方には期待と不安が同居する。還元を厚くする姿勢は評価できる。反面、ファンドと組んで買収を進めるなら、払う値段の規律が問われる。ラミーの利益率が上がるかどうかが、その最初の試験になる。
安全域、つまり払う値段と本質価値の差でみると、余裕はない。強気の筋書きでも、年率の見込みは資本コストに届かない。わかりやすい事業なので確信度は高いが、結論は「払う値段が高すぎる」である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、書く道具そのものだ。ボールペンが売上の4割を占め、サインペン、シャープペンシルと替芯、鉛筆が続く。顔になるブランドは、すいすい書けるジェットストリーム、紙以外にも描けるポスカ、芯が回って細さを保つクルトガである。
売上の内訳は三つに分かれる。国内の筆記具が約300億円、海外の筆記具が約510億円、筆記具以外の事業が約80億円だ。地域では、日本が4割強、欧州が約2割、アジアと米国がそれぞれ1〜2割になる。2021年に約5割だった海外比率は、6割近くまで上がった。
2024年3月には、ドイツの筆記具メーカー・ラミーの全株を創業家から買った。1930年創業で、80か国以上で売るデザイン重視のブランドだ。買収額は公表されていない。欧州の高価格帯と販売網を一度に手に入れる買い物だった。
筆記具以外の事業は二つある。一つは化粧品の受託生産で、アイメイク製品の容器・中身・筆の開発から製造までを請け負う。もう一つは産業資材で、鉛筆の芯を作る炭素の加工技術と、インクの粒子を細かくそろえる技術を、電池材料に転用している。
稼ぎ方の本質は、書き味という小さな差を、世界の売り場で積み上げることにある。工場は日本・中国・ベトナム・ドイツに持ち、2025年にはインドでも生産を始めた。品質を自社の工場で握ることが、値段を保つ力になっている。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、ブランドと技術にある。ジェットストリームの書き味は、インクの開発と精密加工の積み重ねで生まれる。ポスカは、紙以外の素材にも描ける独自の使い道を持つ。この二つを世界の売り場で売れるのが強みだ。
ただし堀は、強いとまでは言えない。競合には、パイロット、ゼブラ、ぺんてるに加え、世界最大級のBICがいる。筆記具は買い替えの手間がほとんどなく、書き味が横並びになれば、客はすぐ他社へ移る。中国などの新興メーカーも安い品を送り込んでいる。筆者は、堀を「並み」と見る。
資本の効率は、並みを少し下回る。過去10年の自己資本利益率(ROE)は、中央値で6〜7%だ。営業利益率は、2014〜2017年には15〜19%だったが、直近は10〜14%にとどまる。2026年の会社予想の12%は、その中間にある。
経営は堅実だ。借金で背伸びせず、現金を厚く持つ。株主への配当は24年連続で増やす見込みだ。一方、ラミーの買収で欧州の利益率は薄まり、2025年は米国の債権事故で貸倒損失も出た。強みの堅実さが、そのまま資本の稼ぐ力につながっているとは言いにくい。
最大の弱みは、ROEが資本コストを下回りがちな点だ。利益を稼ぐ力に比べ、現金と固定資産がやや厚い。この余裕が、買収や自社株買いで使われていくかが、今後の通信簿になる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の文具・事務用品の市場は、2024年度に約3,900億円で、縮小が続く。デジタル化と少子化が主な原因だ。ただし筆記具だけは、2024年度にプラス成長だった。手書きの代わりが利かない場面が残り、書き味にこだわる客が高い品を選ぶからだ。
世界の筆記具市場は、調査会社の推計で数百億ドルの規模があり、数字の幅が大きい。先進国は少子高齢化で従来の筆記需要が減る。一方、インドや東南アジアでは、人口が増え、中間層が厚くなり、教育への支出が増える。会社もここを成長の受け皿に置いている。
ただし追い風ばかりではない。タブレットを使う授業や、音声入力の高度化で、メモや書き取りの機会が減っている。会社自身も、これを外部環境の変化に挙げている。筆者は、先進国の数量は横ばいから微減を見込む。
競争は厳しい。市場が縮むなかで、品質とコストの競争が世界で激しくなり、新興メーカーの参入も増えた。業界ではブランドの再編やM&Aも活発で、ぺんてるをめぐる争奪戦も起きた。
価格の面では、書き味や意匠で差が出る筆記具は値上げが通りやすい。物価が年3%上がる世界では、10年で価格は1.3倍台まで上がる。ただし、普及価格帯の海外の品は、現地メーカーとの競争で物価並みの値上げも難しい。
資本政策と M&A
資本政策は、株主に優しい方向へ動いている。配当は24年連続の増配を見込み、連結の配当性向は40%を目標にする。自社株買いも機動的に行い、2018〜2024年の取得は毎年15万〜100万株ほどだった。
2026年4月には、大きく動いた。投資ファンドのアドバンテッジパートナーズと事業提携し、同じ日に、転換社債約100億円と新株予約権約20億円を発行した。割当先はこのファンドが出資する会社だ。
同じ時期に、約400万株の自社株を、借入金を使って買った。その借入金は、転換社債の資金で返す。つまり、借金で自社株を買い、あとから転換社債で借金を株に置き換える形だ。資本効率を高める狙いは分かるが、転換が進めば株は約1割増える。
提携先は、海外成長の加速、ラミーの統合、工場再編による供給網の見直し、買収の支援を担う。買収の規律が保たれるか、筆者はここを最も注視している。
純現金は時価総額の約1割で、転換後は約1.5割になる。ファンドが株主に加わったことで、将来の株の売却をめぐる動きが出る余地もある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
海外の筆記具は、計画より速く育つ。ジェットストリームとポスカが北米と欧州の売り場で棚を広げ、ラミーの万年筆にジェットストリームのインクを載せた商品がドイツ以外にも広がる。ラミーは、三菱鉛筆の販売網に乗って、80か国以上の売り場を持つ強みを生かせる。
インドでは、30年の付き合いがある現地企業との合弁が、普及価格帯の製品を作り始めた。ここは人口と教育支出の伸びが最も大きい市場だ。生産と原材料の調達をインドに置けば、グループ全体のコストも下がる。
提携先のアドバンテッジパートナーズは、海外の体制づくりや工場の再編、買収の支援に実績を持つ。経営の変革が早まれば、会社が掲げる営業利益率15%は夢ではない。
非筆記具も立ち上がる。化粧品の受託は世界で伸び、電池向けの炭素材料が採用されれば、売上は数倍になる。売上が計画どおり1,500億円を超えた時点で、会社は表現のための道具を売る会社として評価が変わる。筆記具の大手が再編に動くなか、規模を持つ会社が強者になる。
慎重な見方
国内の数量は、構造的に減っていく。学校のタブレット授業が進み、職場のメモは音声入力に替わる。手書きの機会が減れば、ノートや筆記具の数量は10年で3割近く落ちる。
海外には、売り場の在庫調整という落とし穴がある。2025年の欧州では、ポスカの流通在庫の調整が長引いた。米国では取引先の債権事故が起きた。海外が6割になった会社は、こうした一時的な出荷の止まりに、売上と利益を左右されやすい。
ラミーの買収は、期待に見合うかどうかがわからない。買収額は公表されておらず、2023年の営業利益率は7%台にとどまる。のれんが重くなれば、減損の危険がある。
営業利益率15%の目標は、すでに2024年の13.7%から2025年の10.8%へ下がっている。会社は2036年に売上1,500億円を掲げるが、計画に示した2025年の営業利益131億円は、実績97億円と3割近く届かなかった。伸びる海外はもともと利益率が低い。さらに、転換社債で約1割の株が増える。売上が計画の姿に近づいても、利益と1株の価値は計画ほど増えない。
国内の縮小が速まれば、数量の減りを値上げで埋められなくなる。紙製品や事務用品と違い、筆記具は強いと言われてきたが、手書きの習慣そのものが細れば、その強さも土台を失う。価値は、稼ぐ力ではなく、積み上げた現金で測ることになる。
どちらに重みを置いたか
事業の質と財務の堅さでは、強気の見方が優勢だ。ブランドは世界で通用し、ラミーとインドの足場もすでにある。ただし利益の伸びと希薄化の重みでは、慎重な見方の指摘が重い。伸びる地域ほど利益率が低く、計画の15%に届く確率は高くない。中立は、海外が物価並みに積み上がり、利益率は12〜13%で足踏みする姿に置いた。確率は中立に4割弱、強気側に3割強、慎重な側に3割弱とし、強気の最上位は1割弱にとどめた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 2,840 円1,560 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 962 円528 億円)。 今の値に割り戻すと 2,048 円1,125 億円、今との差 −44.1%、 期待の年率 +0.4%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 5,144 円2,825 億円 | 1,229 円675 億円 | +73.9% | +5.7% | 574 円315 億円 |
| やや楽観 | 23% | 3,862 円2,121 億円 | 1,091 円599 億円 | +35.2% | +3.1% | 1,139 円626 億円 |
| 中立 | 38% | 3,076 円1,689 億円 | 996 円547 億円 | +11.1% | +1.1% | 1,547 円850 億円 |
| やや悲観 | 22% | 1,158 円636 億円 | 783 円430 億円 | −47.0% | −6.2% | 427 円234 億円 |
| 悲観 | 8% | 820 円450 億円 | 621 円341 億円 | −60.7% | −8.9% | 115 円63 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,840 円1,560 億円 | 962 円528 億円 | +3.8% | +0.4% | 3,802 円2,088 億円 |
今の株価時価総額 3,665 円2,012 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 9% 海外が計画より速く育ち、利益率が15%に届く 利益 183 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 5,144 円2,825 億円
海外の筆記具が計画より速く育つ姿だ。ジェットストリームとポスカが北米と欧州の売り場を広げ、ラミーの万年筆にジェットストリームのインクを載せた商品も定着して、ラミーの利益率が上がる。インドの合弁会社は普及価格帯で足場を築き、アジアの売上は今の2.6倍に近づく。アドバンテッジパートナーズの支援で、工場の再編と海外の体制づくりが早まる。国内は市場が縮むが、値上げと新製品で売上を落とさない。非筆記具では、電池向けの炭素材料が採用されて、売上が3倍を超える。営業利益率は15%に届き、会社の長期計画をほぼ満たす。営業利益は今の2.7倍の約260億円になる。この姿なら、ROEも9%台に乗り、資本コストをはっきり超える。
- 国内筆記具(ユニ・ジェットストリーム・クルトガ):数量 3,768(国内の文具・事務用品市場(億円・今の値段の実質))× 価格 11.4%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=実効シェア × 物価の倍率)→ 売上 429 億円・営業利益 103 億円。市場 0.97 倍、シェア 8.50%、値段 1.34 倍、利益率 24.0%
- 米州(米国が中心):数量 4,028(米州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 5.6%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 227 億円・営業利益 28 億円。市場 1.06 倍、シェア 4.20%、値段 1.34 倍、利益率 12.5%
- 欧州(ポスカ・ラミー):数量 3,000(欧州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 9.1%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 273 億円・営業利益 33 億円。市場 1.00 倍、シェア 6.80%、値段 1.34 倍、利益率 12.0%
- アジア・その他(中国・インド・ASEAN・中東など):数量 28,000(アジア・中東その他の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 2.0%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の倍率(現地の低価格品との競争で物価をやや下回る))→ 売上 563 億円・営業利益 70 億円。市場 1.40 倍、シェア 1.50%、値段 1.34 倍、利益率 12.5%
- 非筆記具(化粧品の受託・産業資材):数量 8,000(非筆記具の対象市場(アイメイクの受託+電池向け炭素材料、億円・実質、推定))× 価格 3.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 279 億円・営業利益 42 億円。市場 1.60 倍、シェア 2.60%、値段 1.34 倍、利益率 15.0%
倍率:事業の純利益 181 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)110 億円。全体の PER 14.96 倍、時価総額 2,825 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:海外の成長、ラミーの利益率の上昇、非筆記具の採用が同時にそろう必要がある。過去10年に利益率が15%を超えたのは2014〜2017年だけで、確度は高くない。1割弱にとどめる。
やや楽観 23% 計画にほぼ届く:海外が育ち、利益率は13%台 利益 148 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 3,862 円2,121 億円
会社の計画にほぼ届く姿だ。海外の筆記具は年率6%台で伸び、欧州と米国の流通在庫の調整が終わって、ポスカの売上が戻る。ラミーの統合は順調に進み、ジェットストリームとの組み合わせ商品が売り場に定着する。アジアではインドとASEANで普及価格帯の製品が育つが、現地メーカーとの競争で利益率は1割ほどにとどまる。国内の筆記具は、市場が縮むなかで新製品によりシェアをじりじり上げる。非筆記具は化粧品の受託が伸び、産業資材は一部の採用にとどまる。営業利益率は13%台、営業利益は今の2.1倍になる。会社が掲げる15%には届かないが、売上は計画の水準に届く。
- 国内筆記具(ユニ・ジェットストリーム・クルトガ):数量 3,652(国内の文具・事務用品市場(億円・今の値段の実質))× 価格 11.0%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=実効シェア × 物価の倍率)→ 売上 401 億円・営業利益 90 億円。市場 0.94 倍、シェア 8.20%、値段 1.34 倍、利益率 22.5%
- 米州(米国が中心):数量 3,914(米州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 5.4%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 210 億円・営業利益 23 億円。市場 1.03 倍、シェア 4.00%、値段 1.34 倍、利益率 11.0%
- 欧州(ポスカ・ラミー):数量 2,940(欧州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 8.7%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 256 億円・営業利益 27 億円。市場 0.98 倍、シェア 6.50%、値段 1.34 倍、利益率 10.5%
- アジア・その他(中国・インド・ASEAN・中東など):数量 27,000(アジア・中東その他の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 1.7%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の倍率(現地の低価格品との競争で物価をやや下回る))→ 売上 463 億円・営業利益 51 億円。市場 1.35 倍、シェア 1.30%、値段 1.32 倍、利益率 11.0%
- 非筆記具(化粧品の受託・産業資材):数量 7,500(非筆記具の対象市場(アイメイクの受託+電池向け炭素材料、億円・実質、推定))× 価格 3.1%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 231 億円・営業利益 32 億円。市場 1.50 倍、シェア 2.30%、値段 1.34 倍、利益率 14.0%
倍率:事業の純利益 146 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)110 億円。全体の PER 13.73 倍、時価総額 2,121 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元は上期の営業利益が3割近く伸び、会社は通期予想を上げた。計画にほぼ届く姿は十分に起こりうる。ただし伸びる地域の利益率は低く、15%には届かないとみて、2割強にとどめる。
中立 38% 中立:国内は縮み、海外が物価並みに積み上げる 利益 120 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 3,076 円1,689 億円
国内は縮み、海外が物価並みに積み上げる姿だ。国内の文具市場は10年で1割ほど縮むが、筆記具は値上げが通り、同社は首位級の座を守る。海外は欧米で売り場を少しずつ広げ、アジアは普及価格帯の製品が現地の低価格品と競り合いながら伸びる。ただし伸びるのは利益率の低い地域なので、全体の営業利益率は12〜13%で足踏みする。ラミーは黒字を保つが、薄利のままだ。アドバンテッジパートナーズとの提携は、海外の体制を整える効果にとどまる。営業利益は今の1.7倍、会社の長期計画の7〜8割になる。2026年の会社予想と比べると、10年で5割弱の伸びだ。筆者は、これが最も起こりやすい姿だと見る。
- 国内筆記具(ユニ・ジェットストリーム・クルトガ):数量 3,574(国内の文具・事務用品市場(億円・今の値段の実質))× 価格 10.7%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=実効シェア × 物価の倍率)→ 売上 383 億円・営業利益 82 億円。市場 0.92 倍、シェア 8.00%、値段 1.34 倍、利益率 21.5%
- 米州(米国が中心):数量 3,800(米州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.8%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 183 億円・営業利益 18 億円。市場 1.00 倍、シェア 3.60%、値段 1.34 倍、利益率 10.0%
- 欧州(ポスカ・ラミー):数量 2,850(欧州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 8.0%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 229 億円・営業利益 21 億円。市場 0.95 倍、シェア 6.00%、値段 1.34 倍、利益率 9.0%
- アジア・その他(中国・インド・ASEAN・中東など):数量 25,000(アジア・中東その他の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 1.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の倍率(現地の低価格品との競争で物価をやや下回る))→ 売上 374 億円・営業利益 39 億円。市場 1.25 倍、シェア 1.15%、値段 1.30 倍、利益率 10.5%
- 非筆記具(化粧品の受託・産業資材):数量 7,000(非筆記具の対象市場(アイメイクの受託+電池向け炭素材料、億円・実質、推定))× 価格 2.5%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 178 億円・営業利益 23 億円。市場 1.40 倍、シェア 1.90%、値段 1.34 倍、利益率 13.0%
倍率:事業の純利益 118 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)110 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 1,689 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の縮小と、海外・ブランドの底堅さが拮抗する中心の姿。慎重な見方(利益率が計画に届かない、希薄化、ラミーの薄利)が重いので、確率は中立に寄せつつ、やや慎重な側に厚く置いた。
やや悲観 22% 海外の在庫調整と価格競争が長引き、利益率が8%台へ 利益 64 億円 · PER 9.3 倍 · 株価時価総額 1,158 円636 億円
海外の在庫調整と価格競争が長引き、利益率が8%台に沈む姿だ。米国と欧州で小売店の在庫調整が繰り返され、ポスカの勢いが戻らない。ラミーの統合は費用がかさみ、のれんの償却が重くのしかかる。アジアでは現地メーカーの低価格品に押され、値上げどころか値下げで売上を保つ。国内は学校のデジタル化で数量が減り、価格も物価並みには上げられない。営業利益は今とほぼ同じ約90億円にとどまり、物価で見れば実質で3割ほど減る。配当は増やす方針を守るため、還元は利益に対して重くなる。財務は堅く赤字には落ちないが、ROEは4%にとどまり、資本コストに届かない。
- 国内筆記具(ユニ・ジェットストリーム・クルトガ):数量 3,302(国内の文具・事務用品市場(億円・今の値段の実質))× 価格 9.9%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=実効シェア × 物価の倍率)→ 売上 326 億円・営業利益 59 億円。市場 0.85 倍、シェア 7.60%、値段 1.30 倍、利益率 18.0%
- 米州(米国が中心):数量 3,610(米州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 4.2%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 150 億円・営業利益 9 億円。市場 0.95 倍、シェア 3.20%、値段 1.30 倍、利益率 6.0%
- 欧州(ポスカ・ラミー):数量 2,700(欧州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 7.0%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 190 億円・営業利益 10 億円。市場 0.90 倍、シェア 5.40%、値段 1.30 倍、利益率 5.0%
- アジア・その他(中国・インド・ASEAN・中東など):数量 22,000(アジア・中東その他の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 1.3%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の倍率(現地の低価格品との競争で物価をやや下回る))→ 売上 275 億円・営業利益 17 億円。市場 1.10 倍、シェア 1.00%、値段 1.25 倍、利益率 6.0%
- 非筆記具(化粧品の受託・産業資材):数量 6,000(非筆記具の対象市場(アイメイクの受託+電池向け炭素材料、億円・実質、推定))× 価格 2.0%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 117 億円・営業利益 9 億円。市場 1.20 倍、シェア 1.50%、値段 1.30 倍、利益率 8.0%
倍率:事業の ROE は約 3.9% で k 7.5% 以下。ためた利益は額面未満で、正当化 PER の上限は 1÷k=13.3 倍。稼ぐ力が資本コストに届かない会社を上限まで評価せず、上限の約 7 割の 9.33 倍に置いた。余った現金は今の額の 0.75 倍(82.5 億円)を、戻り方 1.0 で足す。
確率:海外の在庫調整や取引先の信用不安は、2025年に実際に起きた。為替が円高に動く、ラミーの統合が遅れるなどが重なれば、利益率は8%台まで下がりうる。2割強とする。
悲観 8% 書く需要が細り、低価格品に市場を奪われ、買収も外れる 利益 18 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 820 円450 億円
書く需要が構造的に細り、低価格品に市場を奪われる姿だ。学校も職場も手書きがデジタルに置き換わり、国内の数量は3割近く減る。海外では中国などの新興メーカーが安価なボールペンとサインペンで棚を取り、ポスカも模倣品に押される。ラミーの買収は期待を下回り、のれんを減損する。欧州とアジアは赤字に近づき、会社は工場の再編で固定費を絞る。営業利益は20億円台に落ちる。それでも現金が厚いので、財務は持つ。価値の下支えは、純現金と、在庫・売掛金・遊休資産の売却でできる資金になる。配当は現金から払い続け、還元は利益の合計を上回る。転換社債は、株価が転換価額を割れば、満期に現金で返す。
- 国内筆記具(ユニ・ジェットストリーム・クルトガ):数量 2,797(国内の文具・事務用品市場(億円・今の値段の実質))× 価格 8.4%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=実効シェア × 物価の倍率)→ 売上 235 億円・営業利益 28 億円。市場 0.72 倍、シェア 7.00%、値段 1.20 倍、利益率 12.0%
- 米州(米国が中心):数量 3,230(米州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 3.1%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 101 億円・営業利益 2 億円。市場 0.85 倍、シェア 2.60%、値段 1.20 倍、利益率 1.5%
- 欧州(ポスカ・ラミー):数量 2,400(欧州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 5.0%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 121 億円・営業利益 0 億円。市場 0.80 倍、シェア 4.20%、値段 1.20 倍、利益率 0.0%
- アジア・その他(中国・インド・ASEAN・中東など):数量 19,000(アジア・中東その他の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.9%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の倍率(現地の低価格品との競争で物価をやや下回る))→ 売上 175 億円・営業利益 4 億円。市場 0.95 倍、シェア 0.80%、値段 1.15 倍、利益率 2.0%
- 非筆記具(化粧品の受託・産業資材):数量 4,500(非筆記具の対象市場(アイメイクの受託+電池向け炭素材料、億円・実質、推定))× 価格 1.3%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率)→ 売上 59 億円・営業利益 0 億円。市場 0.90 倍、シェア 1.10%、値段 1.20 倍、利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力(事業の純利益÷k)は小さく、価値は純現金と売れる資産の側で決まる。今の自己資本 1,385 億円に 0.325 倍を掛けた 450 億円は、下の床の内訳(純現金と売れる資産の税後)に合わせたもの。
確率:国内の構造的な縮小と、海外の価格競争・買収の失敗が同時に起きる必要がある。現金が厚く、財務は崩れにくい。1割弱にとどめる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内筆記具(ユニ・ジェットストリーム・クルトガ)
日本の工場で作る筆記具の国内販売。ジェットストリームやクルトガなどの主力ブランドが並ぶ。
| 数量国内の文具・事務用品市場(億円・今の値段の実質) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=実効シェア × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,885 | 7.8% | 304 | 67 |
| 10 年後 中立 | 3,574 | 10.7% | 383 | 82 |
取り方:2025/12 期の国内筆記具売上 304 億円(決算説明)。国内の文具・事務用品市場 3,885 億円(矢野経済研究所、2024 年度)を分母に置いたが、この市場は紙製品や事務用品を含み、売上は筆記具だけなので実効シェアは 7.8%。セグメント利益は開示が無く、国内工場の製造利益が乗る分を高めに見て 67 億円と推定。
米州(米国が中心)
米国を中心にした北米・中南米の筆記具。量販店と文具店でユニボールとポスカを売る。
| 数量米州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,800 | 3.3% | 124 | 8 |
| 10 年後 中立 | 3,800 | 4.8% | 183 | 18 |
取り方:米国中心の売上 126 億円から非筆記具の輸出分を引いた 124 億円。市場は推定:米国と中南米の筆記具を約 3,800 億円(パイロットと同じ物差し)とし、シェア約 3.3%。2025 年は取引先の債権事故による貸倒損失約 4.6 億円と出荷調整があり、利益は 8 億円と薄い(推定)。
欧州(ポスカ・ラミー)
欧州の筆記具。ポスカの売上に加え、2024年に連結したドイツのラミー(万年筆などの高価格帯)を含む。
| 数量欧州の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,000 | 5.6% | 169 | 10 |
| 10 年後 中立 | 2,850 | 8.0% | 229 | 21 |
取り方:欧州売上 171 億円から非筆記具の輸出分を引いた 169 億円(ラミーを含む)。欧州の筆記具市場を約 3,000 億円と推定し、シェア約 5.6%。2025 年はポスカの流通在庫の調整で減収。ラミーの営業利益率は 2023 年に 7% 台と薄いため、利益は 10 億円(推定)。
アジア・その他(中国・インド・ASEAN・中東など)
中国・インド・東南アジア・中東・オセアニアの筆記具。インドの合弁会社は2025年9月に生産を始めた。
| 数量アジア・中東その他の筆記具市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の倍率(現地の低価格品との競争で物価をやや下回る) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20,000 | 1.1% | 218 | 20 |
| 10 年後 中立 | 25,000 | 1.5% | 374 | 39 |
取り方:アジア 159 億円とその他 59 億円の合計 218 億円。アジア・オセアニア約 1.8 兆円(パイロットと同じ物差し)と中東・その他約 2,000 億円で対象市場 2 兆円とし、シェア約 1.1%。利益は 20 億円(推定)。
非筆記具(化粧品の受託・産業資材)
化粧品(アイメイク)の受託生産と、電池向け炭素材料などの産業資材。
| 数量非筆記具の対象市場(アイメイクの受託+電池向け炭素材料、億円・実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 物価の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,000 | 1.7% | 83 | 10 |
| 10 年後 中立 | 7,000 | 2.5% | 178 | 23 |
取り方:非筆記具 83 億円(化粧品の受託と産業資材)。対象市場 5,000 億円は開示が無く推定で、シェア約 1.7%。利益率は 12% 前後と推定して 10 億円。
リスクと懸念
海外の流通在庫と取引先の信用
2025年は欧州でポスカの流通在庫の調整が長引き、海外筆記具の売上が減った。米国では取引先の債権事故で、貸倒損失が約5億円出た。売り場への出荷が一時的に止まると、売上と利益が大きく振れる。海外が6割を占めるようになり、この揺れは大きくなった。
ラミーの統合と買収の重荷
ラミーの2023年の営業利益率は7%台で、会社全体より低い。買収額は公表されていない。三菱鉛筆の販売網に乗せて売上を伸ばせるかが分かれ目で、のれんの償却が利益を押し下げ、期待を下回れば減損もありうる。
営業利益率15%の目標に届かない
2036年の営業利益率15%は、2014〜2017年の高い水準の再現を前提にする。直近は10〜14%で、2025年は10.8%に下がった。伸びる海外とアジアは利益率が低いので、売上が計画に近づいても利益は計画に届かない恐れがある。
手書きの需要の減少
タブレットを使う授業と音声入力の進歩で、先進国では書く機会が減っている。会社自身も外部環境の変化としてこれを挙げている。国内の数量がさらに減り、海外の先進国も横ばいを下回れば、価格を上げても売上を保てない。
円安の追い風
2026年上期は、150円を大きく超えるドルとユーロの円安が利益を押し上げた。本稿は150円で10年固定と置く。為替が円高に戻れば、海外売上の円換算と海外の利益が減る。足元の増益をそのまま10年に延ばすと、利益を過大に見る。
転換社債と新株予約権による希薄化と売り圧力
転換社債と新株予約権がすべて株になれば、株は約1割増える。提携先のファンドは売却を前提にした投資家で、将来の売り圧力にもなる。転換社債は5年後の満期までに株価が転換価額を割れば、現金100億円を返す必要がある。
非筆記具の立ち上がり
非筆記具は、化粧品の受託と産業資材の二本立てで、2036年に300〜500億円を目指す。今は約80億円で、電池向けの炭素材料は採用が決まるかどうかに左右される。立ち上がらなければ、成長の柱が一本欠ける。
今後の分かれ目
- ポスカの欧州の在庫調整が終わり、海外筆記具の売上が2桁増に戻ったら
- 強気の筋書きの確率を上げてよい。海外が国内の縮小を上回る姿に近づく。
- ラミーの営業利益率が10%を超えて安定したら
- 欧州の利益率の前提を上げる。買収が資本を増やす買い物だったと評価が変わる。
- 営業利益率が2期続けて13%を超えたら
- 中立の利益率を上げる。15%の目標に届く確率が上がり、慎重な側の重みを下げる。
- のれんの減損や、海外の大口の取引先の信用不安が出たら
- 慎重な筋書きに重みを移す。海外依存の危うさが利益に出る。
- ファンドが転換後の株を売り始める、または会社が大型買収を発表したら
- 売り圧力の見方と、買収の払う値段の規律を点検する。買収が割高なら価値を下げる。
- 他社が三菱鉛筆への買収や提携を持ちかけたら
- 純現金が厚く、世界ブランドを持つので、価格次第で株主の価値は上がりうる。ただし確度は低い。
見ておくもの
- 海外筆記具の売上の伸びと、ポスカの在庫調整の終わり
- 営業利益率(12%を超えて定着するか)
- ラミーの売上と営業利益率
- ファンドによる転換・行使の動きと、自社株買いの追加
- インド合弁の生産・出荷と、非筆記具の売上
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業のROE・資本コスト7.5%・長期の成長率4.0%から、利益ベースの正当化PERで決めた。ROEが資本コストを下回る中立・やや悲観は、上限の1÷kの7〜8割に置き、堀が並みで利益率が伸びない点を反映した。今の株価や過去のPERは使っていない。悲観は稼ぐ力と、純現金・売れる資産の税後から出した。株数は、転換社債と新株予約権が転換・行使されたあとの数(約5,491万株)で書き、現金と自己資本にもその分を足した。数字は名目で、家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。工場は自社所有が中心でリースの約束は小さく、新リース会計基準で形が変わっても価値は変わらない。セグメントの利益と市場規模は開示が無く推定で、精度は低い。為替は150円で固定した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.46→14.96 倍・やや楽観 PER 11.67→13.73 倍・中立 PER 11.4→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。