結論
リヒトラブは大阪の文具の会社で、クリヤーブックやファイル、ペンケースなどの収納整理用品を作る。売上は90億円余りで、本社ビルや賃貸マンションの家賃も稼ぐ。筆者の結論は「割高」だ。自己資本110億円に対し時価総額は39億円と帳簿の3分の1だが、その帳簿が利益をほとんど生んでいない。
本業の文具は、国内市場が毎年少しずつ縮む中で利益率2%台にとどまる。コクヨやキングジムと同じ棚で競い、売り先の大手通販に値段を握られる。ペーパーレスの流れで、紙の書類をしまうファイルの数量は長く減ってきた。
帳簿の厚みは、賃貸不動産と持ち合い株と自己株式だ。家賃と配当は利益に入っているが、どちらも株主に戻る形ではない。2025年には手元の現金を使って賃貸マンションを買い、現金は7億円まで減った。会社予想の純利益2億円が10年かけて少しずつ伸びる姿では、今の値段に安全域は無い。筆者は、帳簿の割安さだけで払う値段ではないと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、帳簿の安さに惹かれてはいけない会社だ。時価総額は自己資本の3分の1だが、その自己資本は年に2億円ほどしか稼がない。ROEが資本コストの4分の1なら、帳簿の価値は株主にとってその程度の値打ちしかない。
事業そのものには愛着の湧く品がある。ルーパーファイルやリクエストのクリヤーブックは長く売れ、使う人の評判も良い。だがそれで高い利益を取る仕組みが無い。売り先の通販会社と量販店が値段を決め、国内の数量は縮む。
お金の使い方も、オーナーから見れば物足りない。余った現金は賃貸マンションに変わり、持ち合い株と自己株式は寝たままだ。
筆者が見方を変えるのは、自己株式の消却や持ち合い株の売却で資本を絞り、ROEを5%以上に上げる道筋が示される時だ。それまでは、帳簿の割安さは安全域にならない。
何で稼ぐ会社か
事業は文具などの事務用品と、不動産賃貸の二つだ。2026年2月期の売上91億円のうち、事務用品が87億円、賃貸が4億円だった。
事務用品は四つの部門に分かれる。クリヤーホルダーやリングファイルのファイル部門が25億円、クリヤーブックやツイストノートのバインダー部門が24億円、ペンケースや机上台の収納整理用品部門が30億円、ホッチキスやカルテフォルダーのその他が8億円だ。「リクエスト」や「プニラボ」といったブランドを持ち、サンリオとの協業の品も出す。工場は国内とベトナムにある。
売り先は文具の卸と専門店、量販店、そして大手の通販会社だ。2025年は主な取引先の通販会社がランサムウェアの攻撃で止まり、受注が減った。値上げと新製品で事務用品の利益は2億円を保ったが、売上の2%余りにすぎない。
賃貸は大阪市中央区の本社ビルの一部、東京・菊川の賃貸マンションと倉庫、2025年5月に買った大阪市東成区の賃貸マンションなどだ。普段は年1.5億円ほどの利益を生むが、2026年2月期は購入の税金で0.5億円に減った。本社の費用2億円余りを差し引くと、全社の営業利益は0.4億円しか残らなかった。
優良さと弱いところ
優良さは乏しい。文具の棚ではコクヨ、キングジム、ナカバヤシが同じ品を並べ、大手の通販会社は自社の品も売る。リヒトラブのファイルは使い勝手の良さで根強い客を持つが、値段を自分で決められるほどの差は無い。事務用品の利益率は2%台で、この12年の全社の最高でも7%だった。
ペンケースやポーチのような個人向けの品は、デザインで選ばれる分だけ値段を保ちやすい。若い女性向けの「プニラボ」はその芽だ。ただ流行の品は寿命が短く、次の当たりを出し続ける必要がある。
資本の効率は低い。過去10年のROEの中央値は3%だ。自己資本110億円のうち、持ち合い株15億円と賃貸不動産、使われない自己株式が大きな部分を占め、そこからの稼ぎは小さい。財務は堅く、借金は3億円に満たない。だが堅さが利益に変わっていない。経営は堅実だが、守りに寄りすぎている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の文具と事務用品の市場は約3,900億円で、毎年1%前後ずつ縮んでいる。会社の書類は電子化され、紙をしまうファイルとバインダーの数量は長く減ってきた。子どもの数も減り、学校の文具も細る。10年の中立では、国内の数量は1割半ほど減ると見るのが筋だ。
一方で、個人の文具は二つに分かれている。安くて実用的な海外製と、こだわりのある高機能の品だ。手帳やペンケース、デスク周りの整理用品は、趣味や働き方の変化で新しい需要が生まれている。リヒトラブはこちらで新製品を出し、熱中症対策の品のような事務用品の外の分野にも手を広げている。
売り方も変わった。通販とホームセンター、ドラッグストアが伸び、文具の専門店は減った。大手の通販会社が一社止まるだけで売上が動くのは、売り先の力が強い証拠だ。
業界の再編は進んでいる。コクヨはぺんてるの株を持ち、海外の会社も買う。小さな会社は大手の傘下に入るか、得意の隙間に絞るかの選択を迫られる。リヒトラブは今のところ単独で、隙間の品と不動産で生きる道を選んでいる。隙間で生きる道は、利益率の低さと引き換えだ。
資本政策と M&A
配当は年の総額0.8億円で、安定した配当を基本とする。利益が減った年も配当を据え置き、2026年2月期の配当性向は100%を超えた。株主優待もあるが、費用は年0.1億円に満たない。自社株買いはしていない。
自己株式は発行済の約11%あり、消却されずに残る。取引先の持株会が約11%、新居浜ビジネスセンターが約7%、創業家の田中家が合わせて約6%を持つ。安定した株主が厚く、外から経営を変える力は働きにくい。
2025年には手元の現金16億円のうち14億円ほどを使い、大阪市東成区の賃貸マンションを買った。株主に戻すより、家賃を生む資産に換える選択だ。持ち合い株も15億円残る。少数株主にとって、余ったお金の使い道は自分の手の届かない所で決まる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026年2月期の減益は一度きりの理由が重なった結果だ。主な取引先の通販会社のシステム障害と、賃貸マンションの購入の税金だ。2027年2月期の第1四半期は営業利益が1.4億円と前年の8倍になり、会社の通期の予想2.3億円は手が届く。
新製品の力もある。サンリオとの協業のペンケースや御朱印帳、キーボードスタンド、熱中症対策の品が売れ、値上げも通った。個人向けの高機能の品は国内でも伸びる分野だ。
資産の裏付けは厚い。持ち合い株15億円、賃貸の不動産、大阪の本社ビルがあり、時価総額は自己資本の3分の1にすぎない。賃貸は景気に強い家賃を毎年生む。持ち合い株を売り、自己株式を消却するだけでもROEは上がる。資本の使い方が少し変われば、株価は帳簿に向けて見直される余地が大きい。
財務の堅さも安心材料だ。借金は3億円に満たず、景気が落ちても配当を払い続ける力がある。国内の文具が縮むといっても、年1%前後のゆっくりした減りで、値上げと新製品で十分に埋められる幅だ。ベトナムの工場は原価を抑える余地もある。
慎重な見方
本業の文具は細る市場で戦っている。会社の書類は電子化され、ファイルとバインダーの数量は毎年減る。コクヨやキングジムと同じ棚で競い、大手の通販会社は自社の品を並べる。値上げが通るのは物価が上がる間だけで、利益率は2%台から上がらない。
資本の使い方は変わる兆しが無い。2025年は手元の現金の大半で賃貸マンションを買った。持ち合い株は残り、自己株式は消却されない。安定した株主が3割近くを持ち、外からの圧力も働きにくい。
賃貸の家賃は本社の費用で消える。全社の営業利益は12年のうち数年は赤字か0近くで、ROEは過去10年の中央値で3%だ。帳簿が厚いのは、稼ぎを株主に戻さずに積み上げた結果で、株主の取り分の大きさを示すものではない。
今期の回復も割り引いて見るべきだ。第1四半期の利益の伸びは、前年の通販会社の障害の反動が大きい。会社の計画どおりでも営業利益は2.3億円で、売上の2%台にすぎない。賃貸マンションの購入で手元の現金は7億円まで減り、次の好機に使える余力も細った。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。今期の回復は確かだが、10年の姿を決めるのは縮む市場での利益率の低さと、資本を寝かせる経営の姿勢だ。どちらも変わる証拠はまだ無い。確率は中立を中心に、悲観側に4割弱、楽観側に2割強を置いた。財務が堅く家賃の稼ぎもあるので、会社が傾く筋書きは厚くしない。帳簿の厚さは、稼ぐ力の弱さを埋め合わせない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 727 円25 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 295 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 499 円17 億円、今との差 −57.0%、 期待の年率 −1.3%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,916 円65 億円 | 501 円17 億円 | +108.3% | +7.6% | 145 円5 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,244 円42 億円 | 383 円13 億円 | +40.2% | +3.4% | 277 円9 億円 |
| 中立 | 40% | 687 円23 億円 | 295 円10 億円 | −15.4% | −1.7% | 393 円13 億円 |
| やや悲観 | 23% | 389 円13 億円 | 265 円9 億円 | −43.6% | −5.6% | 150 円5 億円 |
| 悲観 | 14% | 259 円9 億円 | 147 円5 億円 | −64.9% | −9.9% | 57 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 727 円25 億円 | 295 円10 億円 | −11.9% | −1.3% | 1,022 円35 億円 |
今の株価時価総額 1,160 円39 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 個人向けの品で利益率が戻る 利益 6 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,916 円65 億円
ペンケースやデスク周りの整理用品が若い世代とオフィスの働き方の変化に乗って伸び、紙のファイルの減りを上回る。ベトナムの工場で原価を抑え、アジアへの輸出も少しずつ広がる。出荷の点数は今より5%増え、品の入れ替えで値段は物価を上回って上がる。事務用品の利益率は6.5%まで戻る。
賃貸は物件を2棟増やし、家賃の利益は3億円を超える。会社は持ち合い株の一部を売って配当を増やす。それでもROEは5%に届かず、資本コストを下回る。帳簿の厚さは利益に比べてなお大きすぎる。会社の姿は今より明るいが、値段の上値は利益の小ささが抑える。
- 事務用品等:数量 30.3(出荷点数(百万点・年、推定))× 価格 4.10(百万点あたりの売上(億円))→ 売上 124 億円・営業利益 8 億円。3,030万点×単価1.37倍、利益率6.5%
- 不動産賃貸:数量 7.0(賃貸物件(棟、推定))× 価格 1.15(1棟あたりの年間賃料(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 3 億円。7棟、家賃1.3倍
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 65 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:縮む国内市場で数量を増やし、利益率を過去の最高近くまで上げる必要がある。12年の実績から見て起きにくいので1割未満。
やや楽観 17% 値上げと新製品で利益が倍になる 利益 4 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,244 円42 億円
紙のファイルは減るが、収納整理用品と事務用品の外の新製品がそれを補い、出荷の点数は5%減にとどまる。値上げは物価をやや下回るペースで通り、事務用品の利益率は5%に上がる。大手通販会社との取引も戻る。
賃貸は物件を1棟増やし、家賃は物価にやや遅れて上がる。建物の償却は取得した時の値段のまま残るので、家賃の利益は2.6億円に増える。本社の費用は物価で増える。全社の営業利益は5億円に乗り、今の会社の計画の2倍だ。配当は増えるが、自己株式と持ち合い株は残り、ROEは3%台にとどまる。帳簿との差は縮むが、埋まりはしない。
- 事務用品等:数量 27.5(出荷点数(百万点・年、推定))× 価格 4.00(百万点あたりの売上(億円))→ 売上 110 億円・営業利益 6 億円。2,750万点×単価1.33倍、利益率5%
- 不動産賃貸:数量 6.0(賃貸物件(棟、推定))× 価格 1.15(1棟あたりの年間賃料(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。6棟、家賃1.3倍
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 42 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027年2月期の第1四半期の回復と、新製品と値上げの実績から、会社の計画を少し上回る姿を中立の次に置いた。
中立 40% 縮む市場で薄利を保つ 利益 2 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 687 円23 億円
紙のファイルとバインダーは電子化で毎年減り、出荷の点数は10年で1割半減る。ペンケースや新製品が支えるが、全体の減りは止まらない。値段は物価よりやや低く上がり、事務用品の売上はほぼ横ばいの名目で96億円前後になる。利益率は3.5%だ。
賃貸は今の物件のまま、家賃は物価にやや遅れて上がる。償却は取得した時の値段のまま残るので、家賃の利益は2億円余りに増える。ただ本社の費用も人件費で増え、全社の営業利益は2.6億円にとどまる。配当は年1億円前後を続け、自己資本はほとんど増えない。ROEは2%前後で、資本コストの4分の1だ。
- 事務用品等:数量 24.6(出荷点数(百万点・年、推定))× 価格 3.90(百万点あたりの売上(億円))→ 売上 96 億円・営業利益 3 億円。2,460万点×単価1.3倍(通販と量販の値下げ要求で物価をやや下回る)、利益率3.5%
- 不動産賃貸:数量 5.0(賃貸物件(棟、推定))× 価格 1.11(1棟あたりの年間賃料(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。5棟、家賃1.25倍、償却は据え置き
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.8% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 23 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の2027年2月期の計画を起点に、国内の文具の縮小と値上げが釣り合い、利益率が3%台にとどまる姿を中心に置いた。
やや悲観 23% 値上げが通らず事務用品が赤字に近づく 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 389 円13 億円
電子化が早まり、紙のファイルの数量は10年で3割近く減る。大手の通販会社は自社の品を広げ、リヒトラブの品は棚を減らされる。値上げは物価に追いつかず、事務用品の利益率は1%に沈む。
賃貸は空室が増え、家賃は据え置きに近い。建物の修繕の費用も建築費の上昇で膨らむ。本社の費用を削っても、全社の営業利益はほぼ0になる。配当は利益を上回って払われ、現金は細る。少数株主に残るのは、家賃の稼ぎと、持ち合い株と手元の現金のうち戻る分だけだ。
会社は持ち合い株の一部の売却で配当を払い続けるが、そのお金は事業に戻らず消えていく。帳簿の厚さは、ゆっくりと削られる。
- 事務用品等:数量 20.8(出荷点数(百万点・年、推定))× 価格 3.60(百万点あたりの売上(億円))→ 売上 75 億円・営業利益 1 億円。2,080万点×単価1.2倍、利益率1%
- 不動産賃貸:数量 5.0(賃貸物件(棟、推定))× 価格 1.00(1棟あたりの年間賃料(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。空室で家賃1.13倍
倍率:ROEは0%に近く稼ぐ力の床は無い。床は純現金と持ち合い株の税後に戻り方を掛けた額と、家賃の稼ぐ力。今の自己資本109.8億円に0.12倍を掛けた。
確率:大手通販と量販店の値下げの要求と国内の縮小が重なれば、2023〜2024年のような赤字に戻る。その前例から2割強を置いた。
悲観 14% 紙のファイルが細り赤字が続く 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 259 円9 億円
紙の書類はほぼ消え、ファイルとバインダーの数量は10年で4割減る。個人向けの品も海外製の安い品に押される。事務用品は値上げが通らず、売上の4%の赤字が続く。ベトナムの工場も稼働が落ち、減損を出す。
賃貸の1棟は修繕の費用を避けて売る。家賃の利益は1億円余りに減り、本社の費用を埋められない。全社は毎年3億円ほどの赤字だ。配当は減らされ、自己資本は減損と赤字で90億円台に縮む。借金は少なくつぶれはしないが、少数株主に残るのは現金と持ち合い株のうち戻る分だけになる。自己株式も持ち合い株も、使われないまま帳簿に残る。
- 事務用品等:数量 17.3(出荷点数(百万点・年、推定))× 価格 3.40(百万点あたりの売上(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 −2 億円。1,730万点×単価1.13倍、赤字
- 不動産賃貸:数量 4.0(賃貸物件(棟、推定))× 価格 1.00(1棟あたりの年間賃料(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。1棟を売って4棟
倍率:赤字なのでPBRで置く。稼ぐ力は無く、床は純現金と持ち合い株の税後と賃貸の売却代金の一部に戻り方0.5を掛けた額。今の自己資本109.8億円に0.08倍を掛けた。
確率:国内の文具の市場が構造的に縮む中、小さな会社が棚を失う筋書きは外せない。財務が堅く家賃もあるので、それ以上は厚くしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
事務用品等
ファイル、バインダー・クリヤーブック、ペンケースなどの収納整理用品、ホッチキスなど。
| 数量出荷点数(百万点・年、推定) | 価格百万点あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 28.9 | 3.00 | 87 | 2 |
| 10 年後 中立 | 24.6 | 3.90 | 96 | 3 |
取り方:点数の開示は無い。売上86.8億円を、ファイルやペンケースなどの卸の平均単価を1点あたり0.03万円前後と置いて約2,900万点と推定。
不動産賃貸
本社ビルの一部、東京・菊川の賃貸マンションと倉庫、大阪市東成区の賃貸マンションなど。
| 数量賃貸物件(棟、推定) | 価格1棟あたりの年間賃料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 5.0 | 0.89 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 1.11 | 6 | 2 |
取り方:物件数の開示は無い。短信に名前の出る本社ビル・菊川のマンションと倉庫・東成区のマンションなどを5棟と置いた。2026年2月期の利益はマンション購入の税金で一時的に低く、普段は1.5億円前後。建物の償却は取得した時の値段のまま据え置き、建て替えの分だけ新しい値段で足す。
リスクと懸念
国内の文具の縮小
国内の文具と事務用品の市場は毎年1%前後ずつ縮み、紙の書類をしまうファイルとバインダーは電子化の影響を最も受ける。数量の減りを値上げと新製品で埋め続ける必要がある。
大手通販への依存
主な取引先の大手通販会社が止まるだけで受注が減る。2025年のランサムウェアの攻撃がその例だ。売り先の値下げの要求や、自社の品への置き換えも利益を削る。
資本が寝たまま
持ち合い株15億円、消却されない自己株式、賃貸不動産が自己資本の大きな部分を占める。稼ぎは小さく、ROEは3%前後から上がらない。安定株主が厚く、外から変える力も弱い。
賃貸不動産の重さ
2025年に現金の大半で賃貸マンションを買った。家賃は安定するが、建物の修繕と建て替えには物価と建築費の上昇で大きなお金が要る。金利が上がれば不動産の値打ちも下がる。
原材料と為替
樹脂や紙の値段、ベトナムからの輸入の為替が原価を動かす。値上げが遅れると、2%台の利益率はすぐに消える。
今後の分かれ目
- 事務用品の営業利益率が4%を超え、3年続く
- やや楽観の筋書きに近づく。全社の営業利益は5億円前後になる。
- 自己株式の消却や持ち合い株の売却を数字で示す
- 資本が絞られROEが上がり、帳簿との差は縮む。
- 大手通販会社が取引の条件を厳しくする
- 事務用品の利益が細り、やや悲観の筋書きに寄る。
- さらに賃貸不動産を買う
- 家賃は増えるが、現金は戻らず資本の効率は上がらない。
- 大手の文具会社が買収を持ちかける
- 帳簿の資産に値段が付く可能性がある。ただ安定株主の判断しだいで当ては無い。
見ておくもの
- 事務用品等の営業利益率
- 大手通販会社向けの受注
- 自己株式・持ち合い株の扱い
- 賃貸の営業利益
- 国内の文具市場の規模
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や過去のPBRから置いていない。全ての筋書きでROEは資本コスト9%に届かないので、PERの上限は1÷kの約11.8倍で、中立は利益の質と縮む市場を見て9倍。同じ領域のキングジム(中立9.7倍)・ナカバヤシ(8.2倍)と同じ水準だ。中立の時価総額は自己資本の0.17倍になり、PBRの低さの注意が出るが、帳簿の多くを占める持ち合い株と賃貸不動産の稼ぎは利益に入れて数えているので、そのまま残す。悲観側は今の自己資本に掛けたPBRで、純現金と持ち合い株の税後に戻り方0.5を掛けた床と、家賃の稼ぐ力に合わせた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→11.11 倍・やや楽観 PER 10→11.11 倍・中立 PER 9→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に質の上乗せ1.0%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 9.00%。