結論
ドリームベッドは、米国のマットレス「サータ」とフランスのソファ「リーン・ロゼ」を、日本で独占して作り売る広島のメーカーだ。筆者の結論は、今の時価総額はこの会社の本質価値をやや下回る、というものだ。大きな割安ではないが、払う値段に小さな安全域がある。
強みは 2 つある。1 つは、世界の有名ブランドと 40 年以上続く独占の契約だ。サータとは 1978 年、リーン・ロゼとは 1981 年からの付き合いで、自社の工場で作るので納期が短く、粗利率は 5 割を超える。もう 1 つは、ホテル向けの伸びだ。訪日客が増え、ホテルの新設とマットレスの入れ替えが続き、この販路の売上は 2026 年 3 月期に 2 割以上伸びた。
弱みもはっきりしている。売上の 7 割は家具店への卸で、国内の家具の需要は人口とともに細る。ブランドは借り物で、契約の条件は相手が決める。借入は 44 億円あり、金利が上がれば利払いは 3 倍になる。
筆者は、前の中期経営計画を上回って達成した実行力を評価する。10 年後も、借り物のブランドを自社の工場の腕で磨き続ける会社であり続けると見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「借り物の看板を、自分の腕で 40 年磨いてきた職人の会社」だ。
看板が借り物である点は、普通なら大きな減点になる。持ち主がいつでも条件を変えられるからだ。だが、サータもリーン・ロゼも、40 年以上この会社に任せ続けてきた。日本で同じ質のものを、同じ納期で作れる相手が他にいないからだ。筆者は、この関係は 10 年後も続く見込みが高いと見る。
稼ぐ力は大きくないが、確かだ。高価格帯のマットレスとソファは値上げが通り、ホテルの入れ替えの需要も積み上がる。設備の償却は建てた時の値段のままなので、物価が上がるほど利益率は少しずつ良くなる。
気になるのは借入だ。運転資金と新しい工場を借入で賄っており、金利が上がれば利払いは膨らむ。それでも今の値段は、筆者の見る稼ぐ力をやや下回る。大きな安全域ではないが、払う値段に見合う会社だ。
何で稼ぐ会社か
事業はベッドとソファの製造と販売の 1 つだが、売り先で 4 つに分かれる。
最大の販路は家具店への卸で、売上の 7 割を占める。全国の家具店や百貨店、島忠のような量販店に、マットレス、ベッドの枠、ソファを卸す。会社は売り場づくりまで手伝い、店の販売員を支える。商品別では、マットレスが 47 億円、ソファが 29 億円、ベッドの枠が 24 億円だ。
2 つ目はホテル向けで、売上の 15% を占める。The Okura Tokyo などの高級ホテルから宿泊に特化したホテルまで、客室のベッドを企画から納入まで手がける。高級ホテルで使われることが、家具店での売りやすさにもつながる。
3 つ目は直営の店とショールームで、売上の 14% だ。リーン・ロゼの店を東京の六本木・銀座・新宿などに 6 店持ち、2026 年 5 月には梅田にも開いた。名作のソファ「トーゴ」が看板だ。
4 つ目は、2025 年に始めたインドネシアやマレーシアへの OEM の輸出と、ネット販売だ。まだ 2 億円に満たない。
ブランドは、自社の「dream bed」に加え、米国のサータとキングコイル、フランスのリーン・ロゼ、ドイツの RUF を、契約で日本の独占として使う。作るのは広島の自社工場で、2026 年 3 月期に新しい工場が本格的に動き出した。売上の伸びに合わせて、運転資金と工場を借入で賄っている。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、中くらいの強さだと筆者は見る。
一番の強みは、世界の一流ブランドとの長い関係だ。サータとは 1978 年から、リーン・ロゼとは 1981 年から、契約を更新し続けてきた。ブランドの持ち主が、40 年以上も日本の 1 社に任せ続けるのは、作る腕と売る力が認められている証拠だ。自社の工場で作るので、輸入品より納期が短く、ホテルの細かい注文にも応えられる。粗利率は 52% と、家具の会社としては高い。
弱みは、そのブランドが借り物であることだ。サータの契約は 2029 年末までで、決めた売上に届けば 5 年ずつ延びる。リーン・ロゼは 1 年ごとの更新だ。ロイヤリティの料率を上げられれば、利益はすぐに削られる。
資本効率はまずまずだ。ROE は 10% 前後で、資本コストをわずかに上回る。前の中期経営計画では、売上と営業利益の目標を上回った。ただ、営業利益率は 6% 前後と薄く、売上の 1 割が増減するだけで利益は大きく振れる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のベッドの需要は、量では増えにくい。マットレスは 10 年前後で買い替える品で、人口と世帯の数に結びつく。人口は減るが、単身の世帯が増え、1 人あたりの寝具にかけるお金は増える流れにある。良い眠りにお金を払う人は増えており、高価格帯のマットレスは値上げが通りやすい。
競争は二極に分かれる。安い側では、ニトリや輸入品のマットレスが価格で売る。高い側では、シモンズ、フランスベッド、日本ベッド、そしてサータやキングコイルを持つこの会社が、ブランドと寝心地で競う。この会社は高い側に立ち、安売りの競争からは距離を置く。
追い風はホテルだ。訪日客が増え、ホテルの稼働率は 8 割前後と高い。新しいホテルが建ち、古いホテルは客室のマットレスを入れ替える。ホテルのベッドは 7〜10 年で替わるので、建った分だけ先の入れ替えの需要も積み上がる。高級ホテルで寝た客が、同じマットレスを家に欲しがる流れもある。
向かい風は、家具店の数の減少と、住宅の着工の減少だ。地方の家具店は後継ぎ難で閉じていく。家具店への卸に 7 割を頼る今の形のままでは、量は少しずつ細る。会社が直営の店、ホテル、輸出を伸ばそうとするのは、この流れへの答えだ。
資本政策と M&A
配当は連続で増やしてきた。2026 年 3 月期の配当の総額は 1.5 億円で、配当性向は 31%、自己資本に対する配当は 3% だ。2027 年 3 月期も増配を予想する。
新しい中期経営計画は、2029 年 3 月期に売上 135 億円、営業利益 9.3 億円、ROE 11% を目標に置き、PBR 1 倍以上を早く達成すると明言した。そのために機動的な自社株買いと安定した増配を掲げる。ただ、これまでの自社株買いは小さい。
株主優待は、自社の商品の 3 割引きと、抽選の宿泊券だ。値引きなので会社の負担は小さく、価値への影響は小さい。
株主は、創業家とみられる個人、広島ベンチャーキャピタル、広島銀行ともみじ銀行、商工中金など、地元の顔ぶれが厚い。買収の噂は無いが、PBR が 1 倍を割る小さな上場会社で、ブランドの持ち主や同業が買い手になる道は考えられる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社には、40 年以上続く世界のブランドとの関係という、お金で買えない資産がある。サータもリーン・ロゼも、日本で作れる相手はこの会社しかいない。2024 年には米国のキングコイルとも独占の契約を結び、販売は非常に好調だ。新しいブランドを取ってこられるのは、作る腕が世界で認められているからだ。
ホテル向けは、これからも伸びる。訪日客は増え続け、新しいホテルが建ち、古いホテルはマットレスを入れ替える。2026 年 3 月期にホテル向けの売上は 2 割以上伸び、1Q も 3 割伸びた。ホテルのベッドは 7〜10 年で替わるので、今建つホテルが先の入れ替えの需要になる。
直営の店も伸びる。リーン・ロゼの店は 1 店ずつ増え、梅田の店は好調に滑り出した。東南アジアへの OEM の輸出も始まり、10 年後には新しい柱になりうる。
実行力もある。前の中期経営計画では、売上と営業利益の目標を上回った。新しい計画の営業利益 9.3 億円も届く範囲だ。設備の償却は建てた時の値段のままなので、物価が上がるほど利益率は上がる。
今の値段は、自己資本の 7 割に満たない。会社は PBR 1 倍以上を目指すと明言し、自社株買いも掲げた。
慎重な見方
家具店への卸が売上の 7 割を占め、ここはほとんど伸びていない。2026 年 3 月期も 1% 増にとどまった。地方の家具店は後継ぎ難で閉じ、住宅の着工も減る。量は 10 年で 1 割以上細ってもおかしくない。
ブランドは借り物だ。サータの契約は 2029 年末までで、決めた売上に届かなければ延びない。リーン・ロゼは 1 年ごとの更新だ。ブランドの持ち主が料率を上げる、自前で日本に出てくる、別の会社に乗り換える。どれが起きても、利益は大きく削られる。
利益率は薄い。営業利益率は 6% 前後で、1Q は人件費、物流費、新しい店の費用で 3 割減益になった。家賃は年 3.4 億円の固定の約束で、売上が落ちても減らない。
借入も重くなった。支払手形をやめたことで運転資金が増え、短期借入で賄った。借入は 44 億円で、今の金利は 1% 前後と低い。借り換えで 3.5% に上がれば、利払いは年 1 億円以上増える。純利益の 2 割が消える計算だ。
安い側では、ニトリや輸入品のマットレスが品質を上げてきた。高価格帯のマットレスも、ネット専業のブランドとの競争にさらされる。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや強い。ブランドとの 40 年の関係と、前の中期経営計画を上回った実行力は、実績で示されている。ホテル向けの伸びも数字に出ている。一方、借り物のブランドと借入の利払いは本当の弱点で、悲観の確率も 1 割は残した。確率は中立を軸に、楽観の側へやや寄せた。サータの契約が 2029 年末に更新されれば、悲観の確率を下げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,691 円69 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 455 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 1,030 円42 億円、今との差 +29.4%、 期待の年率 +10.4%(資本コスト 8.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 3,320 円135 億円 | 761 円31 億円 | +412.6% | +17.8% | 408 円17 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,367 円96 億円 | 564 円23 億円 | +268.2% | +13.9% | 645 円26 億円 |
| 中立 | 40% | 1,773 円72 億円 | 478 円19 億円 | +182.8% | +11.0% | 900 円37 億円 |
| やや悲観 | 18% | 633 円26 億円 | 271 円11 億円 | +13.5% | +1.3% | 163 円7 億円 |
| 悲観 | 10% | 148 円6 億円 | 148 円6 億円 | −62.9% | −9.4% | 30 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,691 円69 億円 | 455 円18 億円 | +169.5% | +10.4% | 2,145 円87 億円 |
今の株価時価総額 796 円32 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:ホテルと輸出が柱になり、営業利益率 7.5% の会社に 利益 11 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 3,320 円135 億円
訪日客は増え続け、ホテルは新設と入れ替えでベッドを買い続ける。ホテル向けの客室数は 1.6 倍になり、キングコイルがサータに並ぶ柱に育つ。高級ホテルで寝た客が家でも同じマットレスを選び、家具店への卸も量を少し増やす。値上げは物価よりやや強く通り、1 点あたりの値段は 1.40 倍になる。
リーン・ロゼの店は 15 か所に増え、東南アジアへの OEM の輸出は 8 倍になる。新しい工場の償却は建てた時の値段のまま残り、売上が増えるほど利益率は上がる。営業利益率は 7.5% と、2021 年 3 月期の山 7.8% に近づく。
借入は 3.5% で借り換わるが、営業外の負担は年 1.3 億円で収まる。純利益は 10 億円を超え、ROE は 11% になる。中計の自社株買いが実行され、10 年の還元は 31 億円になる。
- 家具販売店向け:数量 111,600(卸した点数(1 点 8 万円換算、点))× 価格 0.00(1 点あたりの卸の値段(億円))→ 売上 125 億円・営業利益 9 億円。点数 1.05 倍、1 点 1.40 倍
- 商業施設向け(ホテル):数量 24,000(納めた客室の数(1 室 12 万円換算、室))× 価格 0.00(1 室あたりの売上(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 4 億円。客室 1.6 倍、1 室 1.40 倍
- ショップ・ショールーム:数量 15.0(店とショールームの数(か所))× 価格 2.38(1 か所あたりの売上(億円))→ 売上 36 億円・営業利益 2 億円。15 か所、1 か所 1.40 倍
- その他(OEM 輸出・ネット販売):数量 26,400(輸出・ネットの台数(1 台 5 万円換算、台))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。台数 8 倍、1 台 1.40 倍
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.2% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.63 倍、時価総額 135 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ホテル向けが 1.6 倍、輸出が 8 倍になり、利益率が過去の山に近づく筋書き。前の中計を上回った実行力とキングコイルの好調はあるが、家具店の卸が細る中で全部がそろうのは 1 割と見た。
やや楽観 22% やや楽観:中計を上回り、ホテルと輸出が伸びる 利益 8 億円 · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 2,367 円96 億円
新しい中期経営計画の目標に届き、その後もゆっくり伸びる。家具店への卸は量が横ばいのまま、値上げで 1 点あたり 1.375 倍になる。ホテル向けの客室数は 1.4 倍になり、キングコイルの採用が広がる。
リーン・ロゼの店は 13 か所に増え、輸出は 5 倍になる。償却は建てた時の値段のまま残り、営業利益率は 6.6% に上がる。2029 年 3 月期の営業利益 9.3 億円は通過点になる。
借入の金利は上がり、営業外の負担は年 1.4 億円になる。純利益は 8 億円台で、ROE は 9% に乗る。配当と自社株買いで、10 年の還元は 23 億円になる。
- 家具販売店向け:数量 106,300(卸した点数(1 点 8 万円換算、点))× 価格 0.00(1 点あたりの卸の値段(億円))→ 売上 117 億円・営業利益 8 億円。点数横ばい、1 点 1.375 倍
- 商業施設向け(ホテル):数量 21,000(納めた客室の数(1 室 12 万円換算、室))× 価格 0.00(1 室あたりの売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 4 億円。客室 1.4 倍、1 室 1.375 倍
- ショップ・ショールーム:数量 13.0(店とショールームの数(か所))× 価格 2.34(1 か所あたりの売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。13 か所、1 か所 1.375 倍
- その他(OEM 輸出・ネット販売):数量 16,500(輸出・ネットの台数(1 台 5 万円換算、台))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。台数 5 倍、1 台 1.38 倍
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.6 倍。全体の PER 11.62 倍、時価総額 96 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新しい中期経営計画(2029 年 3 月期 営業利益 9.3 億円)が届き、その後も同じ向きに伸びる筋書き。前の中計を上回った実績があり、2 割を超えて置いた。
中立 40% 中立:家具店の卸は細り、ホテルと直営で補う 利益 6 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 1,773 円72 億円
家具店への卸は、地方の店が閉じる流れで量が 5% 細る。値上げは物価並みに通り、1 点あたりの値段は 1.34 倍になる。ホテル向けは、新設の波が落ち着いた後も入れ替えの需要が続き、客室数は 1.25 倍になる。
リーン・ロゼの店は 12 か所に増えるが、家賃が重く利益率は 2.5% にとどまる。輸出は 3 倍になるが、まだ小さい。償却は建てた時の値段のまま年 4.8 億円で、物価ほどは増えない。営業利益率は 6.0% と、今より少し上がる。
借入は 44 億円前後で、借り換えで金利は 3.5% に上がる。営業外の負担は年 1.45 億円になる。純利益は 6.3 億円で、ROE は 7.5% と資本コストをやや下回る。配当性向 3 割と少しの自社株買いで、10 年の還元は 19 億円になる。
- 家具販売店向け:数量 101,000(卸した点数(1 点 8 万円換算、点))× 価格 0.00(1 点あたりの卸の値段(億円))→ 売上 108 億円・営業利益 7 億円。点数 0.95 倍、1 点 1.34 倍
- 商業施設向け(ホテル):数量 18,750(納めた客室の数(1 室 12 万円換算、室))× 価格 0.00(1 室あたりの売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 3 億円。客室 1.25 倍、1 室 1.34 倍
- ショップ・ショールーム:数量 12.0(店とショールームの数(か所))× 価格 2.28(1 か所あたりの売上(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。12 か所、1 か所 1.34 倍
- その他(OEM 輸出・ネット販売):数量 9,900(輸出・ネットの台数(1 台 5 万円換算、台))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。台数 3 倍、1 台 1.34 倍
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 72 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家具店の卸が人口とともに細り、ホテル向けと直営の店がそれを補う姿。業界の向きと会社の計画の間に置き、一番厚くした。
やや悲観 18% やや悲観:家具店の卸が細り、値上げも鈍って利益率 3% 利益 2 億円 · PER 9.7 倍 · 株価時価総額 633 円26 億円
地方の家具店が次々と閉じ、卸の量は 15% 細る。安い側のマットレスが品質を上げ、高価格帯の値上げは物価に届かない。ホテル向けは新設の波が引き、入れ替えの需要だけが残る。
直営の店は家賃が重く、売上が伸びないと赤字に落ちる。家賃は年 3.4 億円の固定の約束で、売上が落ちても減らない。営業利益率は 3% に沈む。
借入の金利は 3.5% を超え、営業外の負担は年 1.6 億円になる。純利益は 2 億円弱で、ROE は 3% を割る。配当は増やせず、10 年の還元は 11 億円にとどまる。
ブランドとの契約は続くので、会社が消えることはない。だが、借り物の看板を磨いても稼ぎが資本コストに届かない会社として、値段は稼ぐ力の床まで下がる。
- 家具販売店向け:数量 90,350(卸した点数(1 点 8 万円換算、点))× 価格 0.00(1 点あたりの卸の値段(億円))→ 売上 89 億円・営業利益 3 億円。点数 0.85 倍、1 点 1.225 倍
- 商業施設向け(ホテル):数量 15,000(納めた客室の数(1 室 12 万円換算、室))× 価格 0.00(1 室あたりの売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。客室横ばい、1 室 1.17 倍
- ショップ・ショールーム:数量 9.0(店とショールームの数(か所))× 価格 1.96(1 か所あたりの売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。9 か所、家賃で赤字
- その他(OEM 輸出・ネット販売):数量 3,300(輸出・ネットの台数(1 台 5 万円換算、台))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。輸出は伸びない
倍率:PER 9.71 倍。ROE 2.6% は k 8.75% を大きく下回り、上限は 1÷k=11.8 倍。稼ぐ力の床(純利益 ÷ k = 22 億円)以下に置いた。EV ÷ 営業利益は 13 倍。
確率:家具店の閉店が速まり、安いマットレスとの競争で値上げが鈍る筋書き。1Q の 3 割減益に見える費用の重さが続く形で、楽観よりは薄いが 2 割近く置いた。
悲観 10% 悲観:サータの契約を失い、赤字に落ちる 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 148 円6 億円
2029 年末に、サータの契約が延びない。持ち主は自前で日本に出るか、別の会社に任せる。マットレスの売上の柱が抜け、家具店への卸の量は 3 割細る。ホテル向けも、サータの指名で取っていた案件を失う。
工場の償却と家賃は残り、売上が落ちても費用は減らない。営業赤字に落ち、借入の利払いが赤字を広げる。純損失は年 3 億円になり、配当は減らされる。
赤字の会社に PER は付かない。価値は、土地と工場、売掛金と在庫から借入を返した後に残る分で測る。少数株主には会社を畳む力がないので、その半分が値段の上限になる。
- 家具販売店向け:数量 74,400(卸した点数(1 点 8 万円換算、点))× 価格 0.00(1 点あたりの卸の値段(億円))→ 売上 68 億円・営業利益 −1 億円。点数 0.7 倍、1 点 1.15 倍
- 商業施設向け(ホテル):数量 10,500(納めた客室の数(1 室 12 万円換算、室))× 価格 0.00(1 室あたりの売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。客室 0.7 倍、1 室 1.1 倍
- ショップ・ショールーム:数量 7.0(店とショールームの数(か所))× 価格 1.79(1 か所あたりの売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。7 か所、家賃で赤字
- その他(OEM 輸出・ネット販売):数量 2,000(輸出・ネットの台数(1 台 5 万円換算、台))× 価格 0.00(1 台あたりの売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。縮小
倍率:PBR 0.124 倍を今の自己資本 48.45 億円に掛けた。赤字で稼ぐ力は無く、売れる資産の床 6 億円で測る。
確率:サータの契約が 2029 年末に延びない、またはロイヤリティが大幅に上がる筋書き。40 年以上更新してきた実績があり起きにくいが、契約が相手次第である以上、1 割は残した。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
家具販売店向け
全国の家具店・百貨店・量販店へのマットレス・ベッド・ソファの卸。
| 数量卸した点数(1 点 8 万円換算、点) | 価格1 点あたりの卸の値段(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 106,300 | 0.00 | 85 | 5 |
| 10 年後 中立 | 101,000 | 0.00 | 108 | 7 |
取り方:売上 85.03 億円は有報の販売経路別。点数の開示は無く、マットレス・ベッドの枠・ソファの平均の卸値を 1 点 8 万円とみて推定。単一セグメントで利益の内訳は無く、営業利益 7.03 億円を販路の粗利と経費の重さから推定で分けた(6%)。
商業施設向け(ホテル)
ホテルの客室のマットレスとベッドを企画から納入まで。
| 数量納めた客室の数(1 室 12 万円換算、室) | 価格1 室あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 15,000 | 0.00 | 18 | 2 |
| 10 年後 中立 | 18,750 | 0.00 | 30 | 3 |
取り方:売上 18.04 億円は有報の販売経路別。客室数の開示は無く、1 室あたりのマットレスと枠を 12 万円とみて推定。利益は大口の一括納入で経費が軽いとみて 9% の推定。
ショップ・ショールーム
リーン・ロゼの直営 6 店と、広島・東京・大阪・名古屋のショールーム。
| 数量店とショールームの数(か所) | 価格1 か所あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.0 | 1.70 | 17 | 0 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 2.28 | 27 | 1 |
取り方:売上 17.02 億円は有報の販売経路別、店 6 とショールーム 4 は有報の事業の内容。家賃(店とショールームで年 2.07 億円)が重いので利益率は 1.5% の推定。
その他(OEM 輸出・ネット販売)
インドネシア・マレーシア・中国への OEM の輸出と、直販のネット販売。
| 数量輸出・ネットの台数(1 台 5 万円換算、台) | 価格1 台あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,300 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 9,900 | 0.00 | 7 | 0 |
取り方:売上 1.65 億円は有報の販売経路別。台数の開示は無く、OEM のマットレス 1 台 5 万円とみて推定。利益率 3% の推定。
リスクと懸念
ライセンスの更新と料率
サータの契約は 2029 年末までで、決めた売上に届けば 5 年ずつ延びる。リーン・ロゼは 1 年ごとの更新だ。契約が切れる、料率が大きく上がる、持ち主が自前で日本に出る。どれが起きても売上と利益の柱が揺らぐ。
家具店の減少
売上の 7 割は家具店への卸だ。地方の家具店は後継ぎ難で閉じ、住宅の着工も減る。2026 年 3 月期の家具店向けは 1% 増にとどまり、量は細る向きにある。
借入と金利
支払手形をやめて運転資金が増え、借入は 44 億円になった。今の金利は 1% 前後だが、借り換えで 3.5% に上がれば利払いは年 1 億円以上増え、純利益の 2 割近くが消える。
店とショールームの家賃
営業所、店、ショールーム、倉庫の家賃は年 3.4 億円の固定の約束だ。売上が落ちても減らず、悲観の筋書きでは利益を削る。2028 年 3 月期から新リース会計基準で負債として載る。
薄い利益率
営業利益率は 6% 前後で、1Q は新しい店、システム、物流、人件費の先行で 3 割減益だった。売上の 1 割の増減で、利益は大きく振れる。
ホテルの投資の波
ホテル向けは訪日客の増加で伸びたが、感染症や景気の後退で新設が止まれば、需要は一度に縮む。2020 年の新型コロナの時のような谷はありうる。
今後の分かれ目
- サータの契約が 2029 年末に 5 年延びる
- 悲観の確率を下げ、楽観の側へ移す。
- ホテル向けの売上が 3 年続けて 1 割以上伸びる
- 中立のホテルの客室数を 1.25 倍から 1.4 倍に上げる。
- 営業利益率が 2 期続けて 5% を割る
- 費用の重さが定着したとみて、やや悲観の確率を上げる。
- 中計の自社株買いが純利益の半分を超える規模で実行される
- 溜まる現金の戻り方を 0.75 から 1.0 に上げる。
- 東南アジアへの輸出が 10 億円を超える
- 輸出を柱の 1 つとして、楽観の確率を上げる。
見ておくもの
- 販路別の売上(家具店・ホテル・直営・輸出)
- 営業利益率(2026 年 3 月期 5.8%、中計 2029 年 3 月期 6.9%)
- サータの契約の更新(2029 年末)
- 借入の残高と金利
- 自社株買いの実行
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k(8.5%)から決めた。楽観側は正当化 PER(RONIC=k+1/2×(ROE−k)、g 4%)の 9 割、中立とやや悲観は ROE が k を下回るので上限 1÷k=11.8 倍の 85〜88% に置いた。悲観は売れる資産の床で測った。今の PER 7 倍・PBR 0.68 倍は見ていない。新リース会計基準で 2028 年 3 月期から店と営業所の家賃が負債に載るが、10 年の数字は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。台帳の株数 407.9 万株は古く、1Q 短信の 406.1 万株に直した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.9→12.63 倍・やや楽観 PER 10.9→11.62 倍・中立 PER 10.3→11.43 倍・やや悲観 PER 10→9.71 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。同じ領域の済み会社は無い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.75%。