結論
小松ウオール工業は、石川県小松市に本社を置く、オフィスや学校などの間仕切(壁)の専業メーカーだ。可動間仕切・固定間仕切・トイレブース・移動間仕切を、設計・製造・施工まで自社で一貫して手がける。売上は 467 億円(2026 年 3 月期、非連結)、営業利益 41.0 億円(利益率 8.8%)、従業員は 1,446 人。
筆者の結論は、10 年の価値が今の時価総額(487 億円)を下回る(差は 2 割前後の割高)というものだ。業界の売上(日本パーティション工業会の会員の販売高、2024 年度 1,606 億円)で同社は 31.6% のシェアを持つ首位で、可動間仕切 30.3%、移動間仕切 38.8%、トイレブース 36.1% といずれも 1 位だ。一方、過去 10 年の ROE の中央値は 6.1% で、資本コストの 8.0% に届かない年が多かった。
強みは、国内首位のシェアと、有利子負債ゼロ・自己資本比率 80.7% の財務だ。弱みは、国内のオフィス需要に偏る点と、利益率の薄さ。営業利益率は 8.8% が過去最高に近く、2022 年 3 月期は 5.1% だった。
中立では、10 年で売上が 646 億円(今の 1.38 倍)、営業利益率が 8% 台後半、営業利益が 57 億円になる。資本コストは 7.5%。この水準で、事業の値打ちは純利益の 11 倍ほどだ。
いちばん気にしているのは、加賀工場 2 号棟(投資予定 95 億円、2027 年 5 月稼働予定)の固定費と、オフィス改装需要の持続性だ。2027 年 3 月期の会社予想は増収増益(売上 486 億円・営業利益 42.6 億円)だが、純利益は横ばいで、人材投資の負担が出る。
バリュー投資の観点から
価値投資の観点では、小松ウオール工業は「首位の地位と厚い財務はあるが、資本の収益性が資本コストの近辺にとどまる」会社だ。
よい点は 4 つある。国内の間仕切の 3 割を持つ首位で、品目別でも 1 位が多い。有利子負債ゼロで自己資本比率 80.7%。設計から施工まで一貫する体制で、移設・改修の需要も取れる。配当方針が DOE 6% と明確になり、株主還元の強化が約束されている。
気になる点は、ROE の低さと、国内需要への依存だ。10 年の ROE の中央値は 6.1% で、資本コスト 7.5% を下回る。2026 年 3 月期の 7.9% は、増配による純資産の抑制が効いている。営業利益率 8.8% は過去最高に近く、2022 年 3 月期の 5.1% の例がある。
筆者は、中立で営業利益率が 8% 台後半を保ち、ROE が 8% 台で資本コストと同じ水準になると見る。事業の価値は純利益の 11 倍ほどで、自己資本(392.4 億円)の 1.2 倍ほど。今の時価総額(487 億円)は自己資本の 1.24 倍で、事業の見立てより少し高い。
市場は、2026 年 3 月期の過去最高益と DOE 6% の増配を織り込んでいるとみられる(kabufu の推計で 10 年以内の TOB・買収の確率は 19.8%)。筆者の中立には、買収の期待は入れていない。
何で稼ぐ会社か
小松ウオール工業は、1968 年に石川県小松市で設立された間仕切の専業メーカー。スチールとアルミの間仕切の製造・販売から始め、今は受注・設計・製造・施工・アフターサービスまでを自社で一貫して行う。報告セグメントは単一、関係会社はなく、全国 53〜54 支店と、13 か所のサービスセンターで販売と施工を担う。従業員は 2026 年 3 月末で 1,446 人(販売・管理 798、技術・製造・工務 648)。
品目別の売上(2026 年 3 月期、467.3 億円)は、可動間仕切 209.8 億円(45%)、固定間仕切 94.1 億円(20%)、トイレブース 82.1 億円(18%)、移動間仕切 61.5 億円(13%)、ロー間仕切 8.0 億円、その他(既存間仕切の解体・移設組立)11.8 億円。販売はすべて国内で、官公庁向けが約 24%、民間向けが約 76%。売上の 10% を超える顧客はない。販売先は設計事務所、ゼネコン、建材会社、事務器メーカー、内装会社など。
主な原材料は鋼板。研究開発費は 3.3 億円で、2026 年 3 月期は新製品を 6 つ発売した(ミーティングブース、防火性能付き間仕切、トイレブースの新型など)。
財務は、現預金 122.5 億円、有利子負債ゼロ、総資産 486 億円、純資産 392.4 億円(自己資本比率 80.7%)。2026 年 3 月期の設備投資は 71 億円で、加賀工場 2 号棟(新工場・機械・研究開発棟)の建設が 49 億円を占める。完了は 2027 年 4 月予定。
業績は、2026 年 3 月期が売上・営業利益・純利益のすべてで過去最高。営業利益は 12.8% 増、ROE は 7.9%。受注残高は 204.9 億円(8.4% 増)。
優良さと弱いところ
堀は、首位のシェアと「設計から施工・サービスまで一貫」の体制。ただし価格決定力は中程度で、顧客も分散している。
シェアは 2024 年度で 31.6%(会社の自社調べ、会員メーカーの販売高に対する)。可動間仕切 30.3%、移動間仕切 38.8%、トイレブース 36.1% でそれぞれ 1 位。学校向けの間仕切は 14.9% で 4 位。全国 53 支店と施工・サービスの網が、設計事務所やゼネコンへの提案と、納めた後の移設・改修需要につながる。
弱いのは、価格決定力と事業の広がり。主力の可動間仕切は、オフィスの移転・改装という単発の需要に連動し、顧客の予算に左右される。鋼板の価格高騰を転嫁できないとき、利益率が下がる(会社自身がリスクに挙げている)。製品は壁の仕切りで、技術の差が付きにくく、デザインや納期で競う。
財務は非常に強い。自己資本比率 80.7%、有利子負債ゼロ。ただし ROE は低く、2026 年 3 月期で 7.9%(過去 10 年の中央値は 6.1%)。財務が厚いのは、安心だが、稼ぐ力としては資本を使いきれていない面もある。2025 年 4 月に配当方針を DOE 6% に変えたのは、その答えの 1 つ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
間仕切の市場は、日本パーティション工業会の会員メーカーの販売高で、2024 年度が 1,606 億円と過去最高(2022 年度は 1,458 億円)。同社の自社調べによる集計で、会員外の企業は含まない。需要は、新築と改修の建築投資のうち、内装・設備の部分から出る。オフィスは、移転・改装・レイアウト変更のたびに間仕切が入れ替わる。
製品の需要は 4 つに分かれる。可動間仕切は、オフィスの会議室・フロア分け。トイレブースは、オフィス・商業施設・学校の更新。固定間仕切は、学校・病院・工場・商業施設の建築に伴う。移動間仕切は、宴会場・ホール・文化施設の空間分割。公共(官公庁)が約 24%、民間が約 76%。
競争は、首位の小松ウオール工業が 31.6% を持ち、残りは数社の専業・準専業と、オフィス家具大手(オカムラ、コクヨ、イトーキなど)が自社のオフィス事業の一部として扱う。参入の壁は、設計・施工・サービスの全国網と、防火・遮音などの性能認定。
分かれ目は、オフィス改装の持続性(出社回帰、拠点集約、床面積の縮小)、人手不足の中で施工をどう確保するか、そして鋼板などの材料高を価格に転嫁できるか。国内の人口が減る中で、床面積は増えない。ここで見るのは、改装の更新サイクルが回り続ける間に、シェアと価格を守れるかどうかだ。
資本政策と M&A
配当方針は、2026 年 3 月期から、DOE(純資産配当率)3% から 6% の目安に引き上げた。2026 年 3 月期の 1 株配当は前期の倍、2027 年 3 月期も増配の予想で、配当総額は 23〜24 億円。2026 年 3 月期の配当性向は 75% 程度、DOE を保つため純利益の 7〜8 割を戻す形になる。
自社株買いは、2025 年 3 月期に 14.9 億円を行ったが、2026 年 3 月期は実施していない。自己株式は 212 万株を保有している。
設備投資は急増している。2026 年 3 月期が 71 億円(加賀工場 2 号棟の関連 49 億円)、2027 年 3 月期の計画は 52 億円(同 39 億円)で、減価償却(年 12 億円)の 4〜6 倍。営業 CF 43.9 億円に対し、フリーキャッシュフローは 2026 年 3 月期が −17 億円。現預金は 2 年で 167 億円から 122 億円に減った。
加賀工場 2 号棟の総額は 95 億円(既支払い 48.5 億円)で、残りは約 46 億円。自己資金で賄う。余った現金は、新工場の残額と運転に要る資金(売上の約 2 か月分、78 億円)を引くと、ほとんど残らない。そのため、現金の上乗せは立てなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
業績の勢いは強い。2026 年 3 月期は売上 +4.7%、営業利益 +12.8%、純利益 +15.0% で、売上・利益とも過去最高。粗利率は 0.8 ポイント上がって 36.1%。受注残高は 204.9 億円で 8.4% 増え、移動間仕切の受注は 17.4% 増と伸びている。
加賀工場 2 号棟(投資予定 95 億円、2027 年 5 月稼働予定)は、可動間仕切の生産能力と出荷能力を増やす。需要が生産を上回っていることの表れで、納期の改善が受注の取りこぼしを減らす。研究開発棟も含み、高付加価値品の開発を進める。
首位の地位は崩れにくい。シェア 31.6%、可動・移動間仕切・トイレブースの 3 品目で 1 位。全国 53 支店と施工・サービスの網で、移設・改修の需要も取り込める。オフィスの用途売上は 2019 年 3 月期比で 1.7 倍に伸びた。
資本の面でも、DOE 6% の配当方針で ROE を押し上げる。自己資本比率 80% 超、有利子負債ゼロで、投資が空振りしても揺らがない。強気側は、改装需要が続き、新工場で供給が増え、ROE が 10% 台に乗る筋書きだ。
慎重な見方
過去最高益は、オフィス改装の一時的な波の頂点かもしれない。ROE の過去 10 年の中央値は 6.1%、営業利益率は 2022 年 3 月期に 5.1%、2010/03 期と 2011/03 期は赤字だった。今の 8.8% が続くとみるには、実績の裏づけが足りない。
オフィス需要は、出社回帰と拠点集約で床面積が縮む力に晒される。国内の人口が減る中で、床面積は増えない。固定間仕切は、学校の統廃合と病院の建替え減で減る。2026 年 3 月期も固定間仕切の売上は前年並みで、受注は 9.3% 減っている。
加賀工場 2 号棟(95 億円)で固定費が増える。2027 年 3 月期の会社予想は、営業利益が 3.9% 増えるが、純利益は横ばいで、人材投資の負担が出ている。投資は減価償却の 4〜6 倍で、フリーキャッシュフローは 2026 年 3 月期にマイナスになった。
鋼板の価格高騰を転嫁しきれないとき、利益率が下がる。時価総額 487 億円は、自己資本の 1.24 倍。ROE が資本コスト近辺にとどまる会社としては、すでに高い値段を払うことになる。
どちらに重みを置いたか
首位のシェアと無借金の財務、DOE 6% の増配方針は、強気の見方を支える実がある。ただし ROE は資本コストの近辺にとどまり、営業利益率 8.8% は過去最高に近く、新工場の固定費も加わる。中立では、数量は横ばい、価格は物価並みで、営業利益率は 8% 台後半を保つ、と筆者は見る。時価総額は、その見立てより 2 割ほど高い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,977 円524 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,414 円249 億円)。 今の値に割り戻すと 2,429 円428 億円、今との差 −11.0%、 期待の年率 +4.9%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,552 円977 億円 | 1,920 円338 億円 | +173.7% | +10.6% | 598 円105 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,236 円746 億円 | 1,693 円298 億円 | +117.2% | +8.1% | 1,186 円209 億円 |
| 中立 | 38% | 3,256 円573 億円 | 1,528 円269 億円 | +75.3% | +5.8% | 1,818 円320 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,511 円266 億円 | 1,142 円201 億円 | −2.8% | −0.3% | 637 円112 億円 |
| 悲観 | 10% | 852 円150 億円 | 670 円118 億円 | −44.2% | −5.7% | 152 円27 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,977 円524 億円 | 1,414 円249 億円 | +60.8% | +4.9% | 4,391 円773 億円 |
今の株価時価総額 2,730 円481 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 新工場が立ち上がり、オフィスと公共の更新需要を取り込んで、売上が 790 億円、営業利益率が 11% 台に乗る 利益 64 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 5,552 円977 億円
オフィスの改装・移転が続き、可動間仕切の数量は 1.25 倍、トイレブースも 1.25 倍に伸びる。加賀工場 2 号棟(投資予定 95 億円)が稼働し、可動間仕切の供給力と納期が上がって、取りこぼしが減る。
高付加価値の製品(防火性能付き、ブース型、昇降・可動の組み合わせ)の比率が上がり、価格は名目 1.4 倍前後まで上がる。営業利益率は 11% 台に乗り、営業利益は 88 億円ほどになる。
配当は DOE 6% を目安に増え続け、純利益の 7 割を戻す。ROE は 12% 近くになる。ただし、これは国内の需要が伸び続ける前提で、床面積が増えない中ではかなり強い置き方だ。
- 可動・ロー間仕切と解体移設(オフィス中心):数量 57.4(施工面積の推定(万㎡))× 価格 7.10(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 408 億円・営業利益 53 億円。数量 1.25 倍・価格 1.42 倍・営業利益率 13.0%
- 固定間仕切(学校・病院・工場):数量 24.7(施工面積の推定(万㎡))× 価格 5.52(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 136 億円・営業利益 9 億円。数量 1.05 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 6.5%
- トイレブース:数量 41.0(ブース数の推定(千室))× 価格 3.55(千室あたり売上(億円・名目))→ 売上 146 億円・営業利益 17 億円。数量 1.25 倍・価格 1.42 倍・営業利益率 11.5%
- 移動間仕切(宴会場・文化施設):数量 10.1(施工面積の推定(万㎡))× 価格 9.80(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 99 億円・営業利益 10 億円。数量 1.15 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 10.5%
倍率:事業の純利益 64 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.34 倍、時価総額 977 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026/03 期は売上・利益とも過去最高で、受注残も 204.9 億円(8.4% 増)と厚い。加賀工場 2 号棟(2027 年 5 月稼働予定)で可動間仕切の供給が増え、オフィス改装の波に乗れば成立する。ただし国内の床面積が増えない中で、10 年で売上が 1.7 倍になる筋書きなので、確率は 1 割弱に置いた。
やや楽観 20% オフィスの改装需要が続き、高付加価値品の比率が上がって、営業利益率が 10% に届く 利益 51 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 4,236 円746 億円
オフィスの改装需要が続き、可動間仕切とトイレブースの数量が 1.15 倍に伸びる。新工場の稼働で納期が改善し、受注が取りやすくなる。
価格は名目 1.34〜1.38 倍で、物価並みか少し上。高付加価値品の比率が上がり、営業利益率は 10% に届く。営業利益は 71 億円ほど。
配当は純利益の 7 割強を戻し、DOE 6% を守る。10 年の純利益は 51 億円ほど、ROE は 10% 前後で、資本コスト 7.5% を上回る。会社が掲げる ROE 8% 以上、営業利益率 7〜10% の上端に当たる。
- 可動・ロー間仕切と解体移設(オフィス中心):数量 52.8(施工面積の推定(万㎡))× 価格 6.90(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 364 億円・営業利益 43 億円。数量 1.15 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 11.8%
- 固定間仕切(学校・病院・工場):数量 23.5(施工面積の推定(万㎡))× 価格 5.36(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 126 億円・営業利益 7 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5.5%
- トイレブース:数量 37.8(ブース数の推定(千室))× 価格 3.45(千室あたり売上(億円・名目))→ 売上 130 億円・営業利益 13 億円。数量 1.15 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 10.0%
- 移動間仕切(宴会場・文化施設):数量 9.5(施工面積の推定(万㎡))× 価格 9.52(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 90 億円・営業利益 8 億円。数量 1.08 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 9.2%
倍率:事業の純利益 51 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍。全体の PER 14.62 倍、時価総額 746 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画(NEXT VISION 2028)が掲げる営業利益率 7〜10% の上端、ROE 8% 以上を超え、オフィス改装の需要が続く筋書き。2026/03 期の営業利益率 8.8% が上方に抜ける形で、強気側の中心として 2 割に置いた。
中立 38% 数量は横ばい、価格は物価並みで、営業利益率は 8% 台後半を保ち、営業利益は 57 億円 利益 41 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 3,256 円573 億円
売上は 467 億円から 646 億円へ、10 年で 1.38 倍。数量は可動 1.05 倍、トイレブース 1.10 倍、固定 0.95 倍、移動 1.0 倍。価格はどれも物価並みの 1.34 倍。オフィスの床面積は増えないが、改装・移転と更新需要が数量を下支えする。
営業利益率は 8% 台後半で、2026/03 期の 8.8% とほぼ同じ。人件費の上昇は価格に転嫁し、高付加価値品が粗利率を保つ。営業利益は 57 億円、純利益は 41 億円。
配当は純利益の 75% ほど(DOE 6% の目安)。ROE は 8% 台で、資本コスト 7.5% をわずかに上回る。新工場への投資は回収されるが、利益率が上がるほどではない。
- 可動・ロー間仕切と解体移設(オフィス中心):数量 48.2(施工面積の推定(万㎡))× 価格 6.70(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 323 億円・営業利益 34 億円。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 10.5%
- 固定間仕切(学校・病院・工場):数量 22.4(施工面積の推定(万㎡))× 価格 5.36(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 120 億円・営業利益 6 億円。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5.0%
- トイレブース:数量 36.1(ブース数の推定(千室))× 価格 3.35(千室あたり売上(億円・名目))→ 売上 121 億円・営業利益 11 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 9.0%
- 移動間仕切(宴会場・文化施設):数量 8.8(施工面積の推定(万㎡))× 価格 9.38(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 7 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 41 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍。全体の PER 13.91 倍、時価総額 573 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027/03 期の会社予想(売上 486 億円・営業利益 42.6 億円)は 4% の増収増益。この伸びが数量の横ばいと物価並みの価格転嫁に落ち着き、営業利益率は 8% 台後半を保つ筋書き。実績が最も近いので、最大の 38% に置いた。
やや悲観 24% オフィス面積の縮小と人件費の上昇で、数量が減り、営業利益率が 6% 近くに落ちる 利益 22 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 1,511 円266 億円
オフィスの改装需要が一巡し、出社回帰が落ち着く。1 人あたりの床面積は縮み、移転・改装の件数は減る。可動間仕切の数量は 0.9 倍、固定間仕切は学校の統廃合と病院の建替え減で 0.85 倍に減る。
価格は物価ほど上がらず、1.2 倍前後。鋼材と人件費の上昇を価格に転嫁しきれず、営業利益率は 6% 近くに落ちる。営業利益は 30 億円ほど、純利益は 21 億円。
配当は DOE 6% の目安を守ろうとして純利益の 8 割を戻すが、ROE は 5% 前後で資本コストを下回る。加賀工場 2 号棟の減価償却も加わり、固定費が重くなる。
- 可動・ロー間仕切と解体移設(オフィス中心):数量 41.3(施工面積の推定(万㎡))× 価格 6.10(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 252 億円・営業利益 18 億円。数量 0.90 倍・価格 1.22 倍・営業利益率 7.0%
- 固定間仕切(学校・病院・工場):数量 20.0(施工面積の推定(万㎡))× 価格 4.80(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 96 億円・営業利益 3 億円。数量 0.85 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 3.0%
- トイレブース:数量 31.2(ブース数の推定(千室))× 価格 3.05(千室あたり売上(億円・名目))→ 売上 95 億円・営業利益 6 億円。数量 0.95 倍・価格 1.22 倍・営業利益率 6.5%
- 移動間仕切(宴会場・文化施設):数量 7.9(施工面積の推定(万㎡))× 価格 8.40(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 66 億円・営業利益 3 億円。数量 0.90 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 5.0%
倍率:純利益は 21 億円(ROE 5% 前後)と資本コストを下回り、倍率の式の上限 10 倍前後で測ると約 230 億円。これに合わせ、今の自己資本 392.4 億円に PBR 0.649 倍を掛けた 255 億円とした。
確率:2020 年代のオフィス改装需要は、在宅勤務後の出社回帰に伴うもので、一巡すると数量が減る。人件費は人材投資で上がり、価格転嫁が遅れる。2022/03 期の営業利益率 5.1% の再来に近い筋書きとして、強気側より厚い 24% を置いた。
悲観 10% 需要が落ち込み、新工場の固定費が重く、営業利益がほぼゼロになる 利益 3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 852 円150 億円
需要が落ち込む。企業が拠点を集約し、床面積を縮める。公共の予算が絞られ、学校・病院向けの固定間仕切が減る。数量は 0.7〜0.8 倍に縮み、価格は物価の半分ほどしか上がらない。
加賀工場 2 号棟の稼働で固定費が増え、稼働率が落ちる。営業利益率はゼロに近づき、営業利益は 4 億円ほど。2010/03 期、2011/03 期のように赤字になる年も出る。
配当は DOE 6% の目安を守れず、減配する。ただし自己資本比率 80% 超、有利子負債ゼロの財務は保たれ、赤字でも会社は持つ。市場は稼ぐ力でなく、売れる資産と現金の価値で値を付ける。
- 可動・ロー間仕切と解体移設(オフィス中心):数量 34.4(施工面積の推定(万㎡))× 価格 5.50(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 189 億円・営業利益 4 億円。数量 0.75 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 2.0%
- 固定間仕切(学校・病院・工場):数量 16.5(施工面積の推定(万㎡))× 価格 4.32(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.70 倍・価格 1.08 倍・営業利益率 -2.0%
- トイレブース:数量 26.3(ブース数の推定(千室))× 価格 2.75(千室あたり売上(億円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 1 億円。数量 0.80 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 2.0%
- 移動間仕切(宴会場・文化施設):数量 6.6(施工面積の推定(万㎡))× 価格 7.56(1 万㎡あたり売上(億円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 0 億円。数量 0.75 倍・価格 1.08 倍・営業利益率 0.0%
倍率:営業利益がほぼゼロで、稼ぐ力は値を支えない。売れる資産の価値(約 143 億円)と、10 年後の事業の残存価値に合わせ、今の自己資本 392.4 億円に PBR 0.382 倍を掛けた 150 億円とした。
確率:2010/03 期、2011/03 期のように赤字になる年がすでにある。需要が落ち、新工場が稼働して固定費が増える場面では、営業利益がほぼゼロになりうる。確率は 1 割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
可動・ロー間仕切と解体移設(オフィス中心)
壁の位置を変えられる可動間仕切(オフィスの会議室・フロア分け)と、腰の高さのロー間仕切、既存間仕切の解体・移設組立。2026/03 期の売上は 229.6 億円(可動 209.8・ロー 8.0・その他 11.8)で、会社全体の 49%。オフィスの移転・改装需要が主。
| 数量施工面積の推定(万㎡) | 価格1 万㎡あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 45.9 | 5.00 | 230 | 24 |
| 10 年後 中立 | 48.2 | 6.70 | 323 | 34 |
取り方:2026/03 期の可動間仕切 209.80 億円、ロー間仕切 7.98 億円、その他(既存間仕切の解体・移設組立)11.83 億円の合計 229.61 億円(非連結)。数量・単価は開示がない。平均売上単価を 1 ㎡あたり 5 万円と推定し(確認できず。施工込みの平均)、施工面積を約 46 万㎡とした。営業利益は会社が単一セグメントで開示しておらず、粗利率 36.1% と販管費の構成から、可動・トイレブースは高め、固定は低めと置いて配分した推定(24.1 億円、利益率 10.5%)。10 年の中立は、数量 1.05 倍(オフィスの移転・改装が下支えするが、床面積は増えない)、価格 1.34 倍(物価並み。高付加価値品の比率上昇と鋼材高の転嫁が見合う)。 【数量・率の点検】数量は面積(実物、推定)、価格は名目で、二重がけなし。
固定間仕切(学校・病院・工場)
動かさない固定の間仕切。学校、病院、工場、商業施設向けが中心。売上は 94.1 億円(20%)で、2026/03 期は前期並み。学校向けは増収、病院向けは減収。
| 数量施工面積の推定(万㎡) | 価格1 万㎡あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 23.5 | 4.00 | 94 | 5 |
| 10 年後 中立 | 22.4 | 5.36 | 120 | 6 |
取り方:2026/03 期の固定間仕切 94.10 億円(非連結)。平均売上単価を 1 ㎡あたり 4 万円と推定し(確認できず)、施工面積を約 23.5 万㎡とした。営業利益 4.71 億円(利益率 5.0%)は配分の推定。学校向けのシェアは 14.9%(4 位)と低く、価格競争が強い。10 年の中立は、数量 0.95 倍(学校の統廃合、病院の建替え減で縮み気味)、価格 1.34 倍。 【数量・率の点検】数量は面積(実物、推定)、価格は名目で、二重がけなし。
トイレブース
オフィス・商業施設・学校などのトイレの個室ブース。売上は 82.1 億円(18%)。オフィス向けが堅調で、2026/03 期は 5.9% 増。
| 数量ブース数の推定(千室) | 価格千室あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 32.8 | 2.50 | 82 | 7 |
| 10 年後 中立 | 36.1 | 3.35 | 121 | 11 |
取り方:2026/03 期のトイレブース 82.07 億円(非連結)。1 室あたり 25 万円と推定し(確認できず。仕様で幅が大きい)、約 3.3 万室とした。営業利益 7.39 億円(利益率 9.0%)は配分の推定。シェア 36.1% で 1 位。10 年の中立は、数量 1.10 倍(オフィス・商業施設の改装、学校・公共施設の更新需要)、価格 1.34 倍。 【数量・率の点検】数量は室数(実物、推定)、価格は名目で、二重がけなし。
移動間仕切(宴会場・文化施設)
宴会場・ホール・文化施設などで、間仕切を動かして空間を分ける移動間仕切。売上は 61.5 億円(13%)。受注残は 25.0% 増えている。
| 数量施工面積の推定(万㎡) | 価格1 万㎡あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8.8 | 7.00 | 61 | 5 |
| 10 年後 中立 | 8.8 | 9.38 | 82 | 7 |
取り方:2026/03 期の移動間仕切 61.45 億円(非連結)。平均売上単価を 1 ㎡あたり 7 万円と推定し(確認できず)、施工面積を約 8.8 万㎡とした。営業利益 4.92 億円(利益率 8.0%)は配分の推定。シェア 38.8% で 1 位。10 年の中立は、数量 1.0 倍(宴会場・ホールの新設は少なく、更新が中心)、価格 1.34 倍。 【数量・率の点検】数量は面積(実物、推定)、価格は名目で、二重がけなし。
リスクと懸念
オフィス改装需要の一巡
2026 年 3 月期の成長は、オフィスの移転・改装が主因。出社回帰が落ち着き、拠点の集約と床面積の縮小が進めば、可動間仕切とトイレブースの数量が減る。オフィス用途の売上は 2019 年 3 月期比で 1.7 倍に増えており、反動が出やすい。
新工場の固定費と投資の回収
加賀工場 2 号棟は総額 95 億円(既支払い 48.5 億円)、2027 年 5 月稼働予定。設備投資は 2026 年 3 月期 71 億円、2027 年 3 月期 52 億円で、減価償却の 4〜6 倍。稼働後は減価償却と人員の固定費が増え、需要が伸びなければ利益率を下げる。
材料高と価格転嫁
主要原材料は鋼板。高騰を販売価格に転嫁できないと利益率が下がる。会社自身がリスクに挙げている。
人材の確保
設計から施工・サービスまでを自社で一貫するため、人材が事業の根幹。2025 年 4 月に新人事制度を導入し、人材投資で人件費が増えている。2027 年 3 月期は純利益が横ばいの予想。
公共・学校向けの縮小
売上の約 24% が官公庁向け。学校の統廃合、病院の建替えの減少、公共投資の抑制で、固定間仕切が減る。2026 年 3 月期の固定間仕切の受注は 9.3% 減。学校向けのシェアは 14.9%(4 位)と弱い。
自然災害と買収の余地
地震・豪雨・火災による工場の停止リスク(BCP を策定)。本社と工場が石川県に集まる。自己資本比率 80% 超の無借金で、kabufu の推計で 10 年以内の TOB・買収の確率は 19.8%。時期も条件も読めない。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の営業利益が会社予想(42.6 億円)を上回り、翌期も 45 億円台に乗る
- 利益率の戻りが確かになり、中立を 9% 台に引き上げる。強気側の筋書きに寄る。
- 受注残高(204.9 億円)が前年を割り、受注高が売上を下回る
- 改装需要が一巡した兆し。中立の数量を下げ、慎重側の筋書きに寄る。
- 加賀工場 2 号棟の稼働後、営業利益率が 8% を割る
- 固定費の重さが出ている。中立の利益率を下げる。
- 会社が自社株買いや、DOE 6% を超える還元を発表する
- ROE が上がる方向。強気側に寄る。ただし現金は新工場で減っており、余力は小さい。
- 鋼板価格が急騰し、粗利率が 36% を割る
- 価格転嫁の弱さを示す。値決めの評価を見直す。
- 現預金が 80 億円を割る
- 設備投資と配当で現金が減りすぎている。配当方針の見直しが視野に入る。
見ておくもの
- 営業利益(2027 年 3 月期の会社予想は 42.6 億円)と、四半期ごとの進捗
- 受注高・受注残高(2026 年 3 月期末の受注残高は 204.9 億円)と、品目別の動き
- 粗利率(2026 年 3 月期は 36.1%)と、販管費(人件費)の伸び
- 加賀工場 2 号棟の稼働時期(2027 年 5 月予定)と、投資額(95 億円)の総額
- 現預金(122.5 億円)、フリーキャッシュフロー、配当(DOE 6% の目安)
- 日本パーティション工業会の販売高(2024 年度は 1,606 億円)と、同社のシェア(31.6%)
倍率と資本コストの決め方
4 つのセグメントを、施工面積(またはブース数、推定)と名目の価格に分けて積んだ。数量・単価は開示がなく、平均売上単価の仮定(1 ㎡ 4〜7 万円、1 室 25 万円)で売上を割った推定。価格は 10 年 1.34 倍(物価並み)。営業利益率は 8% 台後半で、2026 年 3 月期の 8.8% と過去の水準(5〜10%)の間。資本コストは基本 7.5% に quality +0.5%(循環)で k は 7.5%、同じ領域の会社と揃えた。倍率は、ROE から RONIC と g 3.0% の式で出し、今の PER や PBR からは置かなかった。現金は新工場の残額と運転資金で消えるとみて、余った現金は立てなかった。悲観の 2 つは売れる資産と事業の PER ベースで置いた。結果、価値は時価総額 487 億円を下回った。市場は過去最高益と DOE 6% の増配を織り込んでいるとみられるが、中立には入れていない。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。