結論
ウッドワンは、ニュージーランドに約 3 万ヘクタールの自社林を持ち、その木で床材や階段、収納を作る広島の建材会社だ。筆者の結論は、今の時価総額でも割高だというものだ。帳簿の自己資本は時価総額の 5 倍あるが、その資産は株主のための稼ぎをほとんど生んでいない。
国内の建材は、着工が減るなかでも収納や階段の新しい商品で踏みとどまっている。足を引っ張るのはニュージーランドの工場だ。5 期続けて経常損失を出し、2026 年 3 月期は工場の減損で純損失になった。
借金は 400 億円を超える。金利が上がれば、利払いだけで今の営業利益が消える。工場の閉鎖で赤字は細るが、借金の重さは残る。
森や土地、美術品を売れば、借金を返しても余りは出る。ただ、それを決めるのは創業家と経営陣で、少数株主ではない。資産の厚さは、稼ぐ力の弱さを埋めない。
10 年で見ても、国内の着工は細り、借金の金利は上がる。工場の整理がうまく進んでも、株主の取り分が今の値段に見合うほど増える筋は細い。筆者がこの会社を割安と呼べるのは、資産を売って借金を返し、株主に返す決断が出た時だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「資産は厚いが、オーナーに稼ぎを残さない会社」だ。
帳簿の自己資本は 440 億円を超え、時価総額の 5 倍ある。数字だけ見れば大変な割安に見える。だが、資産の価値は、それが生む現金で決まる。森も工場も美術品も、借金の利払いを払うと株主にはほとんど何も残さない。
資本コストを上回る稼ぎが無い会社では、ためた利益は帳簿の額ほどの価値を持たない。資産を売って借金を返し、残りを株主に返すなら話は別だ。しかし、その決定権は少数株主には無い。経営陣は森を守ることを誇りにしており、売る理由は持っていない。
筆者が見るのは、工場の閉鎖で赤字が細るかどうかと、借金がどこまで減るかだ。今の値段は、その二つがうまく運ぶ姿をすでに織り込んでいる。安全域、つまり見込み違いに備えたゆとりは無い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は国内の木質の内装建材だ。床材、ドア、階段、造作材と呼ぶ枠や棚板、システム収納を、工務店や住宅メーカーに売る。2026 年 3 月期の売上 660 億円のうち、造作材が 351 億円と半分を超える。キッチンや洗面台も作るが、売上は 40 億円ほどだ。
強みは原料から製品までを一つの会社でつなぐ仕組みにある。ニュージーランドのジューケン・ニュージーランドが植林し、30 年かけて育てたラジアータパインを伐り、現地の工場で板や合板にする。それを広島の本社工場やインドネシアの工場で製品に仕上げる。
ニュージーランドの子会社は、木を親会社に渡すだけでなく、丸太や板を現地や海外にも売る。内部取引を含む売上は 172 億円あるが、経常損益は 13 億円の赤字だった。2026 年には北部のノースランド工場の閉鎖を決め、トライボード工場は売り先を探している。
本社の敷地では、木くずを燃やす発電所が固定価格で電気を売る。売上は 10 億円で、利益は 2 億円ほどだ。
稼ぎの中身を一言で言えば、国内の建材で 20 億円前後を稼ぎ、ニュージーランドで 10 億円余りを失い、残りを借金の利払いが食う構図だ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは薄い。自社林からの一貫生産は珍しいが、それが値段の優位にも利益の厚さにもつながっていない。過去 12 年の営業利益率は高くて 4% 台で、赤字の年もある。
建材は工務店や住宅メーカーが仕様を決め、値段は相手が握る。大建工業、パナソニック、永大産業、ノダと品ぞろえが重なり、新築の数が減るほど取り合いは厳しくなる。収納や省施工の階段のような工夫の商品は売れているが、全体の利益率を押し上げるほどではない。
資本効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 1.6% で、資本コストの 5 分の 1 にも届かない。森や工場、美術品に資本が眠り、その資本を借金で支えている。
経営は森を守る長い目線を持つが、赤字の工場を畳む決断は遅かった。工場の見直しは正しい一歩だが、遅れて払った代償は大きい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅の内装建材は、新築の着工の数で需要が決まる成熟した市場だ。新設住宅の着工は 30 年で半分になり、この先も人口と世帯の減少で細る。2025 年の省エネ基準の義務化の前後で着工が落ち込み、建材の各社は数量の減少に苦しんでいる。
逃げ道はリフォームと非住宅だ。ホテルや店舗、事務所の内装に木を使う流れは強まっている。ウッドワンもホテルや商業施設に向けた不燃の木の壁材を出している。ただ、リフォームは 1 件の量が小さく、売り方も新築とは違う。
原料の木材は国際市況で動く。ニュージーランドの丸太は中国向けの輸出の比重が大きく、中国の住宅不況で値段が下がった。ニュージーランドの製材や合板の工場は相次いで閉鎖や縮小に追い込まれている。
業界の再編も進む。同業の永大産業やノダも利益は薄く、国内の工場の数は多すぎる。10 年の間に、工場を畳む会社と束ねる会社がはっきり分かれる。ウッドワンは森を持つ点で独特だが、その森を稼ぎに変える力が問われる。工場を手放して丸太を売る林業に絞るのか、一貫生産を守るのか。その選択が 10 年の利益を左右する。
資本政策と M&A
還元は安定配当が中心で、年 2.2 億円ほどを配る。純損失の年も配当を守った。自己株の取得は大きくなく、株主優待は無い。
資本の使い方の問題は、厚い資産が稼いでいないことだ。ニュージーランドの立木が 247 億円、土地が 174 億円、本社の美術館に並ぶ美術品が 77 億円ある。これらを借金で支えており、純有利子負債は 387 億円に達する。借入には財務制限条項が付いている。
大株主は創業家の中本家の資産会社と一族、取引先の持株会だ。合わせても 2 割前後で、親会社は無い。時価総額は小さく、資産の厚さに目を付けた買い手が現れる余地はある。それでも、創業家と取引先の支持が厚く、表立った動きは無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
資産の厚さは本物だ。立木、土地、美術品、投資有価証券だけで 500 億円を超え、借金を返しても大きな余りが出る。今の時価総額は、その余りの何分の 1 かにすぎない。
ニュージーランドの赤字の源は工場で、森ではない。ノースランド工場の閉鎖とトライボード工場の売却で、赤字の大半は消える。森は 30 年の輪伐で毎年一定の木を生み、排出権の収入も入る。工場を畳んだ後の子会社は、丸太を売る身軽な林業会社になる。
国内は着工が減っても、収納や階段のような工夫の商品で 1 戸あたりの売上を伸ばしてきた。ホテルや店舗の内装にも木の需要がある。赤字の工場が消え、利益率が 4% に戻れば、純利益は今の数倍になる。資産に目を付けた買い手が現れる可能性もある。
時価総額が小さく、創業家の持ち分も 2 割前後にとどまる。森と土地の値打ちを知る買い手にとって、これほど安く資産が手に入る会社は多くない。木の建材への追い風もある。
慎重な見方
資産は厚いが、稼がない資産だ。ROE は 10 年の中央値で 1.6% にすぎず、資本コストに遠く届かない。帳簿の値は、売れる値段でも稼ぐ値段でもない。
借金は 428 億円あり、金利が 3.5% に上がれば利払いは年 15 億円になる。今の営業利益 12 億円を上回る。財務制限条項もあり、赤字が続けば銀行の目が厳しくなる。
ニュージーランドの丸太の値段は中国の住宅不況で落ち、森の価値も下がった。工場を畳めば、親会社への木の供給という一貫生産の強みも薄れる。国内の着工は 10 年で 2 割ほど減り、建材の取り合いは厳しくなる。
資産を売るかどうかを決めるのは創業家と経営陣だ。美術品を売る気配も無い。少数株主は、眠る資産の値打ちを手にする手段を持たない。
工場の閉鎖にも費用がかかる。従業員への補償や設備の処分で一時の損失が出て、自己資本はさらに削られる。手元に残る現金も細り、借金を返す力はさらに弱まる。
どちらに重みを置いたか
資産の厚さは認めるが、株主の価値を決めるのは稼ぐ力だ。ROE が資本コストに遠く届かず、借金の利払いが増える構図は変わらない。工場の閉鎖で赤字が細る筋は通っているので中立に入れたが、資産の売却で株主に返す筋は決め手が無く、楽観の確率は薄くした。2 度の純損失と財務制限条項を重く見て、悲観側を楽観側より厚くしている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,082 円101 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 222 円21 億円)。 今の値に割り戻すと 578 円54 億円、今との差 −35.5%、 期待の年率 +3.8%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,941 円274 億円 | 376 円35 億円 | +270.7% | +14.0% | 232 円22 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,866 円174 億円 | 279 円26 億円 | +139.7% | +9.1% | 429 円40 億円 |
| 中立 | 38% | 962 円90 億円 | 236 円22 億円 | +33.8% | +3.0% | 455 円42 億円 |
| やや悲観 | 23% | 429 円40 億円 | 161 円15 億円 | −34.1% | −4.1% | 136 円13 億円 |
| 悲観 | 12% | 323 円30 億円 | 107 円10 億円 | −51.9% | −7.1% | 52 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,082 円101 億円 | 222 円21 億円 | +45.7% | +3.8% | 1,304 円121 億円 |
今の株価時価総額 895 円83 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:工場の赤字が消え、国内の利益率も 5% 台に戻る 利益 26 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 2,941 円274 億円
ニュージーランドの工場の整理が済み、子会社は丸太と板を売る身軽な林業会社に変わる。中国の住宅市況が持ち直し、丸太の値段も戻る。排出権の収入も続き、子会社は黒字に転じる。
国内は着工が 70 万戸を保ち、ホテルや店舗の内装、リフォームで木の建材が伸びる。収納と階段の新商品が 1 戸あたりの売上を押し上げ、利益率は 5.5% に上がる。
稼いだ現金と一部の土地の売却で借金を 100 億円ほど返し、利払いの増加を抑える。純利益は 20 億円台に乗るが、それでも ROE は資本コストに届かない。配当は少しずつ増える。
- 住宅建材(国内・インドネシア):数量 70.0(新設住宅着工(万戸))× 価格 10(着工 1 万戸あたりの売上(億円))→ 売上 703 億円・営業利益 39 億円。着工 0.93 倍、1 万戸あたり 1.45 倍
- ニュージーランドの山林と工場:数量 30,000(自社林の面積(ha))× 価格 0.00(1ha あたりの外部売上(億円))→ 売上 135 億円・営業利益 5 億円。面積そのまま、1ha あたり 1.13 倍、黒字
- 木質バイオマス発電:数量 44.0(売電量(百万 kWh、推定))× 価格 0.24(1 百万 kWh あたりの売電収入(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。FIT の単価のまま
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 274 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:NZ の工場の整理が済み、国内の新商品が着工の減少を上回って伸びる筋書き。過去 12 年に営業利益率 5% を超えた年は無く、二つが同時に要るので 1 割に満たない。
やや楽観 20% やや楽観:工場の赤字がほぼ消え、国内は利益率 4.8% 利益 17 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 1,866 円174 億円
ノースランド工場の閉鎖とトライボード工場の売却が済み、ニュージーランドの子会社はわずかな黒字に戻る。森は輪伐で毎年一定の丸太を生む。
国内は着工が 66 万戸に減るが、収納や省施工の商品とリフォーム向けで 1 戸あたりの売上が物価を上回って伸びる。利益率は 4.8% と過去の山を少し上回る。
借金は横ばいで、利払いは金利の上昇で増える。純利益は 16 億円前後になるが、ROE は 3% 台にとどまる。配当は年 2 億円台を続け、少しずつ増やす。資産の厚さは変わらないが、株主の手には届かない。
工場の整理の判断が遅れたことを除けば、経営の向きは正しかったと言われる姿だ。
- 住宅建材(国内・インドネシア):数量 66.0(新設住宅着工(万戸))× 価格 9.84(着工 1 万戸あたりの売上(億円))→ 売上 650 億円・営業利益 31 億円。着工 0.88 倍、1 万戸あたり 1.42 倍
- ニュージーランドの山林と工場:数量 30,000(自社林の面積(ha))× 価格 0.00(1ha あたりの外部売上(億円))→ 売上 120 億円・営業利益 1 億円。工場の整理で赤字が消える
- 木質バイオマス発電:数量 44.0(売電量(百万 kWh、推定))× 価格 0.24(1 百万 kWh あたりの売電収入(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。FIT の単価のまま
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 174 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ノースランド工場の閉鎖が決まり、赤字の源が減る筋書き。閉鎖は実行に移っており、国内の利益率も 2017 年 3 月期に 4.3% の実績があるので 2 割に置いた。
中立 38% 中立:工場の赤字は細るが、利払いが利益を食う 利益 9 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 962 円90 億円
ニュージーランドの工場の整理は進むが、残った工場の採算は戻りきらない。子会社の赤字は年 3 億円ほどに細る。丸太の値段は物価並みにとどまる。
国内の着工は 10 年で 2 割近く減り、62 万戸になる。1 戸あたりの売上は新商品とリフォームで物価を少し上回って伸び、利益率は今の 4% を保つ。
会社全体の営業利益は 22 億円に増えるが、借金の利払いが 13 億円ほどに膨らむ。純利益は 8 億円台で、ROE は 2% に届かない。配当は年 2 億円台を続ける。森と土地と美術品は帳簿に残り、借金も大きくは減らない。
- 住宅建材(国内・インドネシア):数量 62.0(新設住宅着工(万戸))× 価格 9.77(着工 1 万戸あたりの売上(億円))→ 売上 606 億円・営業利益 24 億円。着工 0.83 倍、1 万戸あたり 1.41 倍
- ニュージーランドの山林と工場:数量 30,000(自社林の面積(ha))× 価格 0.00(1ha あたりの外部売上(億円))→ 売上 100 億円・営業利益 −3 億円。工場の閉鎖で売上は減り、赤字は細る
- 木質バイオマス発電:数量 44.0(売電量(百万 kWh、推定))× 価格 0.20(1 百万 kWh あたりの売電収入(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。FIT の後は単価が下がる
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.8% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 90 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:工場の閉鎖で赤字は細るが、着工の減少と金利の上昇が重なる姿。どちらの見方にも決め手が無く、業界の向きに沿った姿として一番厚くした。
やや悲観 23% やや悲観:着工の減少が速く、赤字の年が続く 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 429 円40 億円
国内の着工は 10 年で 3 割近く減り、55 万戸になる。建材の取り合いで値上げは物価に届かず、利益率は 2.8% に下がる。
ニュージーランドの工場は整理が進まず、丸太の値段も低いまま、子会社の赤字は年 7 億円ほど続く。工場や森の減損が重なる。
営業利益は 7 億円台に落ち、利払いを払うと純損失になる年が多い。配当は細り、借金は減らない。財務制限条項に近づき、銀行の求めで資産の一部を安く手放す。
資産は帳簿に厚く残るが、稼ぐ力はほぼ消える。株主の価値は、売れる資産の値打ちの一部だけになる。細った配当は、利益ではなく資産の売却で払う。
- 住宅建材(国内・インドネシア):数量 55.0(新設住宅着工(万戸))× 価格 9.29(着工 1 万戸あたりの売上(億円))→ 売上 511 億円・営業利益 14 億円。着工 0.73 倍、1 万戸あたり 1.34 倍
- ニュージーランドの山林と工場:数量 30,000(自社林の面積(ha))× 価格 0.00(1ha あたりの外部売上(億円))→ 売上 105 億円・営業利益 −7 億円。赤字が続く
- 木質バイオマス発電:数量 44.0(売電量(百万 kWh、推定))× 価格 0.20(1 百万 kWh あたりの売電収入(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。FIT の後は利益が細る
倍率:PBR 0.09 倍を今の自己資本 443 億円に掛けた。純利益は赤字で稼ぐ力は無く、価値は売れる資産の床 40 億円で測る。EV ÷ 営業利益は約 58 倍で、利益の倍率では測れない。
確率:着工の減少が速まり、NZ の赤字も消えない筋書き。2024 年 3 月期と 2026 年 3 月期に純損失を出した実績があり、楽観側より厚くした。
悲観 12% 悲観:工場も森も稼がず、借金が資産を削る 利益 −20 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 323 円30 億円
国内の着工は 10 年で 3 分の 1 減り、50 万戸になる。建材は値下げ合戦になり、利益率は 1% に沈む。
ニュージーランドの丸太の値段は低いまま、工場は赤字を垂れ流す。森の価値も下がり、立木の減損で自己資本は大きく減る。
借金の利払いは年 15 億円を超え、毎年の純損失が続く。配当はほぼ止まる。銀行の求めで森や土地を買いたたかれ、借金の返済に消える。
厚く見えた資産は、借金を返した後にはわずかしか残らない。株主に残るのは、美術品と投資有価証券の値打ちの一部だけだ。わずかな配当は、手元の現金と投資有価証券の売却で払う。
- 住宅建材(国内・インドネシア):数量 50.0(新設住宅着工(万戸))× 価格 8.66(着工 1 万戸あたりの売上(億円))→ 売上 433 億円・営業利益 4 億円。着工 0.67 倍、1 万戸あたり 1.25 倍
- ニュージーランドの山林と工場:数量 30,000(自社林の面積(ha))× 価格 0.00(1ha あたりの外部売上(億円))→ 売上 105 億円・営業利益 −11 億円。赤字
- 木質バイオマス発電:数量 44.0(売電量(百万 kWh、推定))× 価格 0.18(1 百万 kWh あたりの売電収入(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。損益ゼロ
倍率:PBR 0.068 倍を今の自己資本 443 億円に掛けた。純利益は赤字で、価値は売れる資産の床 30 億円で測る。積み上げた自己資本には掛けていない。
確率:国内の着工が大きく落ち、NZ の森と工場の価値も下がる筋書き。純損失の年が続いた実績と財務制限条項があり、1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住宅建材(国内・インドネシア)
床材・ドア・階段・造作材・システム収納・キッチン。工務店と住宅メーカーに売る。
| 数量新設住宅着工(万戸) | 価格着工 1 万戸あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/03 | 75.0 | 6.93 | 520 | 21 |
| 10 年後 中立 | 62.0 | 9.77 | 606 | 24 |
取り方:2027/03 予想売上 650 億円から NZ の外部売上 約 120 億円と発電 10 億円を引いた 520 億円。着工は 70 万戸台半ばの概数 75 万戸で、1 万戸あたりに直した推定。利益は住宅建材設備の営業利益 10 億円に NZ の赤字 約 11 億円を戻した推定。
ニュージーランドの山林と工場
約 3 万 ha の自社林の植林・伐採と、現地の製材・合板の工場。丸太と板を現地と海外に売る。
| 数量自社林の面積(ha) | 価格1ha あたりの外部売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/03 | 30,000 | 0.00 | 120 | −11 |
| 10 年後 中立 | 30,000 | 0.00 | 100 | −3 |
取り方:有報の NZ 売上 172 億円から内部 52 億円を引いた 120 億円。面積は会社の声明の約 3 万 ha。営業損益は経常損失 13.3 億円から排出権収入を除き、工場の閉鎖分を見て −11 億円と推定。
木質バイオマス発電
本社の敷地で木くずを燃やして発電し、固定価格買取で売る。
| 数量売電量(百万 kWh、推定) | 価格1 百万 kWh あたりの売電収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2027/03 | 44.0 | 0.24 | 11 | 2 |
| 10 年後 中立 | 44.0 | 0.20 | 9 | 1 |
取り方:売上 10.5 億円・営業利益 2.1 億円は有報。売電量は開示が無く、FIT の単価を 1 百万 kWh あたり 0.24 億円前後として 44 百万 kWh と推定。
リスクと懸念
借金と金利
有利子負債は 428 億円あり、純有利子負債は 387 億円だ。借り換えの金利が 3.5% に上がれば利払いは年 15 億円になり、今の営業利益を上回る。借入には財務制限条項が付いている。
ニュージーランドの工場
子会社は 5 期続けて経常損失を出した。ノースランド工場の閉鎖とトライボード工場の売却が進まなければ、赤字と減損が続く。閉鎖の費用も一時に出る。
新築の着工の減少
建材の需要は新設住宅の着工で決まる。人口と世帯の減少で着工は細り続け、リフォームや非住宅で埋めきれなければ、工場の稼働が落ちる。
木材の市況
ニュージーランドの丸太は中国向けの輸出の比重が大きい。中国の住宅不況が長引けば、丸太の値段も森の価値も下がる。
資産と株主の距離
立木、土地、美術品は帳簿に厚いが、売るかどうかを決めるのは創業家と経営陣だ。少数株主が眠る資産の値打ちを手にする手段は無い。
今後の分かれ目
- NZ 子会社が経常黒字に戻る
- 中立の NZ の利益率を −3% から 0% 以上に上げ、やや楽観の確率を上げる。
- 立木や土地、美術品を売り、借金を 100 億円以上返す
- 借金の分の資本コストの上乗せを下げ、楽観の確率を上げる。
- 財務制限条項に抵触する
- 悲観の確率を上げ、資本コストに事業の傾きの上乗せを足す。
- 国内の住宅建材の営業利益率が 2 期続けて 4% を超える
- 中立の国内の利益率を 4.5% に上げる。
- 資産に目を付けた買い手が公開買付けを出す
- 分析を止め、買付けの値段で考える。
見ておくもの
- NZ 子会社の経常損益(2026/03 期 −13 億円)
- 有利子負債の残高(428 億円)
- 新設住宅着工
- 造作材の売上(収納・階段の新商品)
- 美術品・土地の売却の有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k の式だけで決め、今の PBR 0.2 倍や同業の倍率は見ていない。ROE が k を大きく下回るので中立の PER は上限 1÷k の約 8 割。帳簿の自己資本の厚さは割安の根拠にせず、悲観の床は美術品と投資有価証券の税後に戻り方 0.5 を掛けた額で、立木と土地は借金の返済に充てた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→10.53 倍・やや楽観 PER 8.5→10.53 倍・中立 PER 8→10.53 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 2.75% = 10.25%。同じ領域の永大産業(9.0%)・ノダ(9.25%)は純現金で、借金の分だけ高い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.25% → 9.50%。