結論
EXLサービス・ホールディングスは、保険会社、医療保険者、銀行などの業務処理とデータ分析を担う企業である。筆者の結論は割高だ。AIを使って顧客の仕事を変える力はあるが、そのAIが従来の受託業務を不要にする危険も大きく、現在の値段には十分な安全域がない。
2025年の売上は20.9億ドル、GAAP純利益は2.5億ドルだった。2026年7〜9月期には売上が前年同期比19.7%伸び、データ・AI関連売上は36%増えた。通期売上見通しも24.30〜24.40億ドルへ引き上げられた。成長は実際に起きているのであり、単なるAI関連の宣伝ではない。
ただし、同じ四半期に従来型の業務運営売上は前年同期を下回った。会社の長所だった人材と業務処理能力が、AI時代には売上を失う原因にもなる。保険金の回収、医療費の支払適正化、独自データを使う判断支援は残りやすいが、入力、照合、調査、分析資料の作成には代替圧力が強い。
10年後の中立では、実質的な請求対象業務量の減少を価格改定で一部補い、売上は19.4億ドル、純利益は2.17億ドルと見る。成果報酬型のサービスが大きく伸びる楽観では純利益が5.75億ドルへ増えるが、AIエージェントを顧客自身が使う悲観では0.57億ドルまで落ちる。5つの筋書きの現在価値は約18.9億ドルとなり、基準時価総額64.5億ドルを約71%下回る。
最大の不確実性は、AIによる生産性向上の利益を誰が受け取るかだ。EXLが業務の結果に対して報酬を受け取れるなら、少ない人員で高い利益を稼げる。顧客が同じAIを内製化すれば、契約額が縮む。長期株主にとっては、AI関連売上の伸びだけでなく、成果報酬の契約継続とGAAP利益への転換を見極める必要がある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、EXLを優れたサービス会社と見なす理由はある。保険や医療の複雑な業務に入り込み、独自技術を使って顧客の費用を減らしている。解約や乗り換えには手間がかかり、会社は長年にわたって利益率と資本効率を改善してきた。借金も現在の規模なら、直ちに事業の存続を脅かす水準ではない。
しかし、10年後に何が売られているかを考えると、難しさが表れる。顧客は保険金請求を正しく処理したいのであって、その処理に何人の担当者を使ったかには関心がない。AIによって必要な担当者が半分になったとき、作業人数を売っている会社は不利になる。節約できた保険金や回収できた医療費に応じて報酬を受け取る会社なら、同じ変化が利益を増やす。この違いがEXLの本質価値を決める。
オーナー利益を見る際には、2025年のフリーキャッシュフロー約3億ドルをそのまま自由に使える利益と考えない。株式報酬の経済的負担、買収後の償却、業務を維持するための開発投資、顧客移行費用を考慮する必要がある。GAAP純利益は2.5億ドルであり、2026年には売上が伸びても9カ月累計の営業キャッシュフローが前年を下回った。増分投資の利回りは良好だったが、今後のAI投資や買収でも同じ成果が得られるとは限らない。
経営陣は従来の受託業務からデータ・AI事業へ移る判断を比較的早く下した。これは評価できる。ただし、独自技術と成果報酬が売上の中心になったという証拠と、そうなるはずだという期待は分けたい。現在の時価総額では、後者の成功をかなり前払いすることになる。筆者が長期保有の前提で求めるのは、会社の成長への期待ではなく、成長しなくても価値を守れる価格である。
何で稼ぐ会社か
EXLの仕事は、企業が社内で行っていた複雑な業務を引き受け、データと技術を使って処理することである。2025年からは顧客業界を軸に4つの報告セグメントへ再編した。従来の独立した分析事業は各業界の中に組み込まれたため、保険、医療、銀行、海外のどの部門にもデータ分析と業務運営の両方が含まれている。
保険部門は2025年に7.11億ドルを売り上げた。保険金請求の処理、保険料管理、引受審査、事故調査、保険金回収を扱う。生命保険の管理基盤LifePROと、代位求償を支えるSubrosourceは独自技術を使う領域である。単なる事務作業よりも、顧客の業務の仕組みに深く入り込んでいる。
医療・ライフサイエンス部門の売上は5.33億ドルである。医療保険者の支払いを点検し、過払いを見つけ、回収するサービスが特徴だ。医療の請求データを分析して不適切な支払いを減らす仕事は、顧客の費用削減に直接結びつく。銀行・資本市場・その他産業部門は4.82億ドルで、データ管理、債権回収、金融機関の業務運営などを担う。海外成長市場部門は3.62億ドルで、英国、欧州、アジアなどの顧客を扱う地域別の組織である。
2025年のサービス別売上は、データ・AI関連が11.55億ドル、従来型の業務運営が9.32億ドルだった。前者にはデータ整備、分析、AI開発だけでなく、AIを組み込んだ業務運営も含まれる。したがって、AI関連売上の全額をソフトウェア利用料と考えてはいけない。会社全体では約590の顧客から売上を得ており、上位10社で34.0%を占める。
収益の取り方も一様ではない。作業時間、処理件数、固定価格、業務成果に連動する報酬が混在する。2026年5月の投資家説明会では、売上の30%超が成果報酬型で、約25%が独自技術を伴う事業と説明された。ただし両者には重複があり、単純に足してはいけない。業務量が減ると売上も減る契約と、顧客の節約額から報酬を得る契約では、AI導入の利益が正反対になる。
優良さと弱いところ
EXLの強みは、保険や医療の業務を理解する人材と、その業務で使うデータや技術を組み合わせられることである。保険金請求や医療費の支払いには、業界固有の規則、監査、顧客ごとの契約条件がある。汎用的なAIだけで正確に処理するのは簡単ではない。顧客の業務に長期間入り込むことで蓄積した知識は、新規参入者に対する一定の障壁になる。
契約の粘着性にも証拠がある。従来型の業務運営契約は通常3〜5年で、移行初期の12〜18カ月には人材育成やシステム整備が必要になる。2026年の投資家説明会では、売上の4分の3超が継続的な性質を持ち、2025年の純収益維持率が111%を超えたと示された。既存顧客との取引を広げられていることは、堀の存在を裏付ける。
一方、これは全社に強い堀があることを意味しない。LifePROやSubrosourceなどの独自基盤と、顧客の人員不足を補う作業受託では、競争条件が違う。後者はアクセンチュア、コグニザント、ジェンパクト、インフォシスなどと競争し、顧客自身がAIを使う場合には外注先そのものが不要になる。値上げの力も限定的だ。インフレに応じた料金調整条項は多くの契約にあるが、AIによって処理費用が下がれば顧客は契約単価の引き下げを求める。
財務面では2025年のROEが27.5%、フリーキャッシュフローが3.0億ドルだった。2020年から利益率と資本効率は改善している。投資家説明会の定義によるROICも2020年の8.9%から2025年の20.2%へ上がった。ただし、営業利益には買収で得た顧客関係の償却と株式報酬が含まれる。2026年7〜9月期のGAAP営業利益率は14.0%で、前年同期の14.4%より低い。調整後利益の伸びだけで堀が広がったとは判断できない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
EXLが属する市場は大きいが、会社が取り組める部分を切り分ける必要がある。エベレスト・グループは世界の第三者向け業務処理サービス市場を約3,000億ドルと推定している。ガートナーはデータ・分析サービス市場が2029年に4,600億ドルを超えると見込む。両者には重なりがあり、合計してEXLの獲得可能市場とすることはできない。
保険業務の外注市場については、調査会社の定義によって2025年の推計が約75〜151億ドルまで開く。狭い定義の75億ドルとEXL保険部門の売上7.11億ドルを比べると約9.5%となるが、同部門には分析や独自技術の売上も含まれる。これは厳密な市場シェアではなく規模感の上限に近い。医療保険者向けBPO市場は2025年に約133億ドルとの推計があり、EXLの医療部門全額との単純比較では約4%となる。こちらも医療機関向けやライフサイエンス事業を含むため、実際のシェアとは異なる。
競争相手は業務ごとに変わる。保険ではジェンパクト、コグニザント、アクセンチュア、ウィプロ、ガイドワイアなどが競争相手となる。医療ではオプタム、コティビティ、ファーストソース、サジリティが加わる。銀行向けではタタ・コンサルタンシー・サービシズ、インフォシス、NTTデータなどの規模が大きい。各社の公開売上は対象業務と地域が異なり、同一市場における正確な個別シェアは算出できない。シェアの数字を無理に揃えるより、契約更新と受注の勝敗を見る方が有益だ。
AIは業界の成長率を読みづらくする。市場調査ではAI導入を含む外注市場に高い成長率が予想されているが、そこにはソフトウェア、データ基盤、成果報酬など新しい売上が含まれる。一方、従来の人月や処理工数は、AIが普及するほど減る可能性が高い。実際にEXLの2026年7〜9月期では、データ・AI関連売上が前年同期比36%増えた一方、従来型の業務運営は約2%減った。
今後10年の争点は、外注市場全体が大きくなるかどうかではない。顧客がAIで効率化した後も、その業務をEXLに任せ続けるかどうかである。保険や医療の複雑な判断支援には機会が残るが、一般的な調査、入力、照合、資料作成は競争が厳しくなる。筆者は市場規模の名目成長と、EXLの請求対象となる実質業務量を分けて判断する。
資本政策と M&A
経営は買収と自社株買いを併用してきた。2018年には医療分析のSCIOを約2.37億ドルで取得し、2021年にはデータ技術のクレアボヤントを約0.90億ドルで買収した。2024年のITI Data買収も銀行・医療向けのデータ管理能力を補うものである。こうした買収と既存顧客への追加販売が、売上と利益率の向上を支えた。
2026年7月にはAIモデルの学習・評価を手掛けるiMeritを買収した。9月末時点の会計上の取得対価は約2.30億ドルで、業績条件次第の追加支払いがある。取得時ののれんは約1.63億ドルとなった。成功すればモデル開発会社と企業顧客の双方に販売できるが、AI学習の外注費用が自動化で下がれば、取得した顧客関係や技術の価値を損なう。
還元は配当ではなく自社株買いが中心だ。2025年には約3.3億ドルを買い戻したが、株式報酬は約0.8億ドルあった。2026年2月には新たに5億ドルの自社株買い枠を承認し、2028年2月までの運用を予定している。2026年1〜9月の買い戻し額は約2.12億ドル、株式報酬は約0.72億ドルである。株主にとって意味があるのは、買い戻し額から株式報酬による持ち分の増加を引いた正味の還元である。
2026年9月末には現金と短期投資が約3.33億ドル、有利子負債が約5.11億ドルだった。iMerit買収と自社株買いにより、2025年末より純負債が増えている。新しい10億ドルの融資枠は流動性を支えるが、借り入れて高い値段で自社株を買い続けることが、必ずしも株主価値を増やすとは限らない。
2026年の会社予想は売上24.30〜24.40億ドルで、調整後利益の見通しも引き上げた。投資家説明会の中期目標は2026〜2027年の売上成長率10〜12%などであり、10年間の数値目標ではない。将来の還元総額についても、買い戻し枠を超える確定的な数字の約束はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
EXLは、AIに仕事を奪われるだけの従来型BPO企業ではない。2025年のデータ・AI関連売上は11.55億ドルに達し、2026年7〜9月期には前年同期比36%増えた。会社全体の売上が20%近く伸びる中で、すべての報告セグメントが有機的にも15%を超える成長を示した。AIの導入を支援できる企業に顧客の予算が集中していることは、実績によって裏付けられている。
成長の質も変わっている。2026年の投資家説明会では売上の30%超が成果報酬型で、約25%が独自技術を伴う事業と説明された。保険のSubrosourceや医療費支払適正化は、作業時間ではなく回収額や顧客の費用削減に価値がある。AIが処理を速めても契約額が維持されれば、費用だけが下がり利益率は上がる。顧客はAIモデルを導入するだけでなく、監査、例外処理、規制への対応まで含めた結果を求める。この責任を引き受けられる会社の価値は高まる。
顧客基盤にも強みがある。2025年には約590社と取引し、既存顧客の純収益維持率は111%を超えた。保険、医療、銀行という複雑で規制の多い業界を中心にしているため、導入した仕組みを短期間で入れ替えるのは容易でない。AIが普及するほど、信頼できる業務データと監査可能な処理手順が必要になる。EXLの独自データや業務知識は、その需要の受け皿になりうる。
2026年に買収したiMeritも上振れの材料だ。モデルの訓練や評価に必要な専門データを扱い、基盤モデルを開発する企業との接点を広げる。保険・医療の顧客に対して、AIの導入から運用まで一貫して販売できれば、従来の外注契約より大きな取引に育つ。10年後に売上が36億ドルを大きく超え、営業利益率が20%前後へ上がる可能性は否定できない。事業を単なる人月サービスとして扱うと、この利益の変化を過小評価する危険がある。
慎重な見方
AI関連売上の増加を、そのまま持続的な堀と見なすのは危険だ。EXLがデータ・AI関連に分類する売上には、データ整備、分析、システム開発、AIを埋め込んだ業務運営が含まれる。これらはソフトウェアの利用料とは異なり、人材の作業量に売上が左右される部分が残る。AIが一般化すれば、顧客は今と同じ金額で人を雇い続ける理由を失う。
2026年7〜9月期の従来型業務運営売上は前年同期を下回った。まだ小さな減少だが、構造変化の始まりかもしれない。保険金請求の一次確認、医療費請求の照合、金融取引の監視、顧客対応、データ整理、資料作成などは、AIエージェントが直接処理できるようになる。導入費用が下がれば、大手顧客はマイクロソフトやクラウド各社の製品を使って内製化する。規制への対応が必要な部分は残っても、必要な外注作業量は大きく減りうる。
競争の相手は従来のBPO企業だけではない。アクセンチュア、ジェンパクト、コグニザントなども成果報酬とAIに投資している。ガイドワイアやオプタムのような業界専用基盤は、顧客の業務の中心を握ることができる。さらにAIモデルそのものの性能が上がると、データ分析やプログラム開発の外注単価も下がる。EXLの強みである業界知識が重要であることと、その知識に高い料金を払い続けてもらえることは別問題だ。
資本配分にも危険がある。iMeritの取得対価には将来の業績に応じた支払いが含まれ、2026年には買収で負債が増えた。モデル訓練の仕事まで自動化されれば、買収で計上したのれんや顧客関係の価値が下がる。自社株買いは株式報酬による持ち分の減少を抑えるが、成長が鈍ったときに買い戻しを続ければ財務の余裕を削る。10年後に優良な企業として残っていても、営業利益率が現在より低くなり、株主への還元も小さくなる展開は十分に考えられる。
どちらに重みを置いたか
短期の事業実績については強い見方に説得力がある。2026年のAI関連売上、成果報酬契約、既存顧客の拡張は、EXLが変化に対応している証拠である。ただし、10年後まで同じ利益構造が続くという確信は持てない。売上の増加と独自技術の定着を同一視せず、人月型サービスの数量減少を中立に含めた。
確率は楽観とやや楽観で28%、中立29%、やや悲観と悲観で43%とした。悲観側を厚くした理由は、AIによる数量減少を重ねて罰するためではなく、成果報酬への移行が失敗する場合や、顧客の内製化と買収の失敗が重なる場合を考えたからである。EXLは競合の中では適応力があるものの、全社の利益を守る堀はまだ証明されていない。10年の価値と現在の時価総額の差は大きく、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 22.53 ドル34 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 6.90 ドル11 億ドル)。 今の値に割り戻すと 14.56 ドル22 億ドル、今との差 −64.9%、 期待の年率 −3.8%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 54.15 ドル83 億ドル | 12.13 ドル19 億ドル | +60.0% | +5.4% | 6.63 ドル10 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 36.92 ドル56 億ドル | 10.36 ドル16 億ドル | +14.1% | +1.5% | 8.51 ドル13 億ドル |
| 中立 | 29% | 22.27 ドル34 億ドル | 8.91 ドル14 億ドル | −24.7% | −3.2% | 9.04 ドル14 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 13.50 ドル21 億ドル | 4.26 ドル7 億ドル | −57.1% | −9.0% | 4.44 ドル7 億ドル |
| 悲観 | 18% | 3.55 ドル5 億ドル | 0.98 ドル2 億ドル | −89.1% | −21.1% | 0.82 ドル1 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 22.53 ドル34 億ドル | 6.90 ドル11 億ドル | −28.9% | −3.8% | 29.44 ドル45 億ドル |
今の株価時価総額 41.43 ドル63 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:独自AI基盤と成果報酬が広がり、従来型業務の減少を大きく上回る 利益 6 億ドル · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 54.15 ドル83 億ドル
保険・医療の顧客が、AIを単なる省力化の道具ではなく業務全体を再設計するために使うようになる。EXLはLifePRO、Subrosource、医療費支払適正化の独自基盤を拡張し、顧客の処理結果と費用削減に対して報酬を受け取る。一般的な入力や照合の外注件数は減るが、独自基盤の導入範囲と成果報酬の対象業務が大きく増える。
保険部門の実質案件価値は2025年の約1.34倍、医療は約1.46倍となる。金融と海外も、AIによる業務再設計を受注して実質案件価値が増える。請求単価は名目で約1.3倍に上がる。売上は約36.8億ドルへ増え、全社のGAAP営業利益は7.57億ドルに達する。競合のジェンパクトやコグニザントより、成果報酬と独自技術の構成比を高められる展開だ。
2026年のiMerit買収は基盤モデルの評価と企業向けAI導入をつなぐ事業に育ち、顧客との関係が広がる。追加買収は小規模に抑えられ、のれんの大幅な減損を避ける。AIによる効率改善の利益を自社に残せるため、利益率は2025年より高まる。10年間のGAAP純利益累計は約41.3億ドル、株式報酬や増資を差し引いた正味還元は18.5億ドルとなる。事業は現在より強くなるが、長期保有で資本コストを十分に上回るには、さらに高い利益水準が必要である。
- 保険:数量 9.6(保険業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.36(同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 13 億ドル・営業利益 3 億ドル。独自の保険基盤と代位求償の成果報酬が拡大し、一般事務の減少を補う。
- 医療・ライフサイエンス:数量 7.8(医療保険・医療業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.36(同じ医療業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 3 億ドル。医療費の過払い削減と回収の成果報酬が広がり、高い利益率を維持する。
- 銀行・資本市場・その他産業:数量 5.9(銀行・企業向け実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.32(同じ金融・企業業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。銀行のAI導入・データ管理の統合案件を獲得し、一般的な人月業務の縮小を補う。
- 海外成長市場:数量 4.2(海外の実質外注・分析市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.31(海外顧客の同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。海外で規制産業のAI運用案件を獲得し、成果報酬の対象を広げる。
倍率:資本コストk=8.5%、事業のROE=5.75÷31.9=約18.03%。堀は普通として超過利益の残存割合を1/2とし、RONIC=8.5%+1/2×(18.03%-8.5%)=約13.26%。AIエージェント代替の人月型事業の長期gは0%、独自基盤の一部だけが名目2%で残るため全社g_long=0.5%。正当化PER=(1-0.5%÷13.26%)÷(8.5%-0.5%)×1.005=約12.09倍。AIリスクの決まりに従い楽観では上限にほぼ一致する12.08倍とする。2025年のように収益性が高く、成果報酬への移行が成功した場合である。純現金を別に加える状態は想定せず、GAAP純利益5.75億ドル×12.08倍=69.46億ドル。株式報酬費用と買収無形資産の償却は純利益から戻していない。
確率:2026年時点でAI関連売上と成果報酬に実績があるため、従来型の人月業務が縮小しても独自基盤の利用が増える可能性は認める。ただし、成果報酬の契約継続、買収統合、顧客の内製化への勝利が同時に必要で、10年間の実現確率は10%とする。
やや楽観 18% やや楽観:成果報酬の拡大で売上が増えるが、大手競合との競争は残る 利益 4 億ドル · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 36.92 ドル56 億ドル
保険と医療では、顧客がAIを使って事務作業を減らしても、独自の業務基盤や費用削減サービスを利用し続ける。EXLは保険契約の管理や医療費の支払適正化で取引を広げ、顧客の成果に応じて報酬を受け取る割合を高める。一般的な事務受託の需要は減るが、契約の追加販売がそれを一部補う。
保険部門の実質案件価値は2025年の約1.07倍、医療は約1.15倍となる。銀行と海外の数量はほぼ横ばいから小幅減少である。価格は各部門で名目1.3倍前後へ上がり、売上は約28.9億ドルに増える。全社営業利益は5.04億ドル、GAAP純利益は3.83億ドルとなる。ジェンパクトやアクセンチュアと競争しながらも、保険・医療の特定業務では付加価値を守る。
iMeritの買収は一定の追加案件につながるが、モデル訓練の単価競争があるため、高い利益率をそのまま維持できるわけではない。会社は比較的小さな技術買収と自社株買いを続ける。10年間の純利益累計は31.7億ドル、正味還元は15.8億ドルとなり、自己資本は25.0億ドルへ増える。事業の質は現在より少し高くなるが、AIの便益のすべてを株主が受け取れるわけではない。
- 保険:数量 7.6(保険業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.33(同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。保険の独自基盤と成果報酬が拡大するが、一般的な処理業務は縮小する。
- 医療・ライフサイエンス:数量 6.2(医療保険・医療業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.33(同じ医療業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。医療費支払適正化の取引が拡大し、一定の価格決定力を保つ。
- 銀行・資本市場・その他産業:数量 4.7(銀行・企業向け実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.30(同じ金融・企業業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。金融向けAI導入は伸びるが、データ分析や業務処理の内製化も進む。
- 海外成長市場:数量 3.5(海外の実質外注・分析市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.29(海外顧客の同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。海外の規制産業で一定の受注を守るが、単価競争が続く。
倍率:k=8.5%、事業ROE=3.83÷25.0=15.32%。堀は普通、残存割合1/2なのでRONIC=11.91%。人月型の長期gは0%、独自基盤の限定的な継続成長を含めて全社g_long=0.5%。来期利益に対する正当化PERに1.005を掛けた上限は約12.04倍。AIリスクの決まりに従い12.03倍とする。成果報酬への移行が成功するが競争で超過利益が薄れる前提である。GAAP純利益3.83億ドル×12.03倍=46.07億ドル。純現金の別建て加算はしない。
確率:保険・医療の既存顧客と独自基盤が一定の成長を続け、AIによる効率化の利益を部分的に受け取る筋書き。成果報酬の実績と顧客維持率が支えになる一方、大手競合も同じ方向へ投資しているため18%とする。
中立 29% 中立:AIで処理工数が減り、成果報酬が補っても売上はほぼ横ばい 利益 2 億ドル · PER 11.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 22.27 ドル34 億ドル
保険・医療・金融の顧客はAIエージェントを本格的に導入し、入力、照合、報告書作成などを自動化する。EXLは一部の仕事を失う一方、複雑な判断、保険金回収、医療費の支払適正化、データ統制などの契約を守る。顧客の業務全体の処理量は増えても、EXLが請求できる実質案件価値は減少する。
保険と医療の実質案件価値は2025年の約0.76倍、銀行は約0.69倍、海外は約0.66倍となる。価格にはインフレの一部を転嫁できるが、AIが処理を安くするため1.27〜1.29倍にとどまる。全社売上は19.4億ドルとなり、2025年を下回る。営業利益は2.82億ドル、GAAP純利益は2.17億ドルである。保険・医療で差別化が残るため急激な赤字にはならないが、利益の伸びも止まる。
iMeritはAI開発と評価の一部を補完するものの、買収に必要だった資本の大部分が高い増分利益を生むとは限らない。経営は大型買収より既存基盤の維持と顧客との契約更新を重視する。株式報酬と新株発行の負担を引いた正味還元は10年間で13.6億ドルとなる。GAAP純利益の累計23.3億ドルから還元を差し引くと、自己資本は18.8億ドルとなる。事業は残るが、2025年の高いROEは長期には維持できない。
- 保険:数量 5.4(保険業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.28(同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。AIエージェント代替で人月型業務が減る。独自の保険管理・代位求償基盤は一部残り、価格転嫁も限定的に続く。
- 医療・ライフサイエンス:数量 4.0(医療保険・医療業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.29(同じ医療業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。医療費支払適正化の成果報酬を維持するが、請求照合や分析の人月需要が縮小する。
- 銀行・資本市場・その他産業:数量 3.3(銀行・企業向け実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.28(同じ金融・企業業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。AIエージェント代替と銀行の内製化で実質案件価値が縮小し、価格上昇は物価を下回る。
- 海外成長市場:数量 2.4(海外の実質外注・分析市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.27(海外顧客の同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。欧州・アジアの一般的な業務受託が減り、独自基盤の拡大も一部にとどまる。
倍率:k=8.5%、事業ROE=2.17÷18.8=約11.54%。堀は普通としてRONIC=8.5%+1/2×(11.54%-8.5%)=約10.02%。長期gは人月・工数型0%、一部の独自基盤2%の売上加重近似で全社0.5%。市場の実質需要とEXLシェアの縮小が従来型事業の価格改定を相殺し、成熟後の成長は低い。正当化PER=(1-0.5%÷10.02%)÷(8.5%-0.5%)×1.005=約11.94倍。AIリスクの決まりに従い、上限とほぼ一致する11.93倍とする。純利益はGAAPで、株式報酬と買収償却を戻さない。2.17億ドル×11.93倍=25.89億ドル。
確率:2026年のAI関連売上の伸びと、従来型業務運営の減少が並存する状況を長期へ延ばした筋書き。保険・医療の独自基盤は一部残るが、顧客の効率改善によって請求対象業務量が減るため、売上拡大を既定にしない。最も可能性の高い単独の筋書きとして29%とする。
やや悲観 25% やや悲観:大手顧客の内製化が進み、外注業務の請求額が縮小する 利益 1 億ドル · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 13.50 ドル21 億ドル
顧客企業がAIエージェントを直接導入し、EXLへ発注していた業務の多くを社内へ戻す。保険金請求の一次処理、銀行の照合作業、データ整理、顧客対応などでは、契約更新時に業務量と価格を同時に見直される。EXLは複雑な保険管理や医療費回収の契約を守るが、一般的な業務を再び増やすことは難しい。
保険の実質案件価値は2025年の0.62倍、医療は0.61倍となる。銀行と海外も半分強まで縮小する。請求単価は名目1.2倍前後しか上がらず、10年間のインフレを十分に転嫁できない。売上は14.8億ドル、全社営業利益は1.60億ドルへ減る。ジェンパクト、コグニザント、オプタムなどとの競争では、残された高度な案件の獲得も容易でなくなる。
iMeritを含む買収事業は一定の売上を維持するものの、取得時に期待した利益率を実現できない。経営は追加買収を抑え、借金の返済と事業の立て直しを優先する。GAAP純利益は1.20億ドル、10年間の累計は18.5億ドルとなる。株式報酬の負担と買い戻しの減少によって、正味の還元は6.5億ドルにとどまる。自己資本は増えるが、そこから稼げる利益が細るため、事業の質は現在より弱い。
- 保険:数量 4.4(保険業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.20(同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。保険会社の内製化と契約の縮小で請求対象案件が大きく減る。
- 医療・ライフサイエンス:数量 3.3(医療保険・医療業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.22(同じ医療業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。支払適正化は残るが、競争による成果報酬率の引き下げが起こる。
- 銀行・資本市場・その他産業:数量 2.7(銀行・企業向け実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.20(同じ金融・企業業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。銀行・一般企業の業務自動化と外注削減が進み、固定費負担が重くなる。
- 海外成長市場:数量 2.0(海外の実質外注・分析市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.19(海外顧客の同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。海外の一般的な業務受託で契約を失い、単価の転嫁も難しくなる。
倍率:k=8.5%、10年後のROE=1.20÷21.1=約5.69%で資本コストに届かない。したがってPERは1÷k=約11.76倍を超えないことが上限となる。従来の人月型業務にはAIエージェント代替が続き、独自基盤の超過利益も縮小するので10.8倍とする。中立の11.93倍より低く、ROE不足と競争悪化を反映する。GAAP純利益1.20億ドル×10.8倍=12.96億ドル。
確率:AIエージェントを顧客自身が導入し、EXLが成果報酬へ移れない契約の更新額が減る展開。保険・医療の独自基盤は残るため全面的な崩壊にはならないが、売上が伸びなくなると固定費が利益率を圧迫する。競争と契約更新の不確実性から25%とする。
悲観 18% 悲観:AIエージェントが受託業務を置き換え、買収資産の価値も損なわれる 利益 1 億ドル · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3.55 ドル5 億ドル
保険会社、医療保険者、銀行がAIエージェントを標準的な業務基盤へ組み込み、EXLへ外注していた入力、照合、調査、顧客対応の多くを自動化する。残るのは規制対応が難しい判断業務と、一部の保険・医療の独自基盤である。大型顧客は複数の事業者に発注を分散し、EXLは単価を守れなくなる。
実質案件価値は2025年の半分前後へ下がり、価格は名目でも1.1倍程度しか上がらない。売上は11.1億ドルとなり、2026年の会社予想の半分以下に落ちる。営業利益は約0.82億ドル、GAAP純利益は約0.57億ドルである。顧客のシステム移行を支えるために必要な設備、専門人材、監査機能の固定費が残り、売上に比べて利益が大きく縮む。
iMeritのモデル学習・評価業務は自動化と価格競争に押され、買収時の見通しを達成できない。保険や医療の顧客関係にも減損が発生する。期間中の償却・減損を除く純利益累計を約15.35億ドルとし、一時的な減損を4.0億ドル含めたGAAP純利益累計は約11.35億ドルとなる。正味還元は1.5億ドルに減り、自己資本は18.95億ドルとなる。帳簿上の資本は残るが、そこから十分な利益を生み出せない。会社は存続するものの、かつての高収益な成長企業ではなくなっている。
- 保険:数量 3.4(保険業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.12(同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。人月型保険業務の大半が自動化され、独自基盤も価格競争にさらされる。
- 医療・ライフサイエンス:数量 2.7(医療保険・医療業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.11(同じ医療業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。医療請求処理の内製化が進み、支払適正化の成果報酬率も低下する。
- 銀行・資本市場・その他産業:数量 2.3(銀行・企業向け実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.10(同じ金融・企業業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。銀行・企業向けの照合、分析、事務業務がAIエージェントに置き換わる。
- 海外成長市場:数量 1.7(海外の実質外注・分析市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル))× 価格 1.11(海外顧客の同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。海外顧客の内製化と低価格競争が進み、営業利益率が大きく低下する。
倍率:k=8.5%、10年後のROE=0.57÷18.95=約3.01%と資本コストを大きく下回る。収益力が低いためPERの上限は1÷k=約11.76倍。AIエージェント代替で従来型の請求対象工数が大幅に減り、成果報酬にも価格競争が及ぶため9.5倍とする。時価総額=GAAP純利益0.57億ドル×9.5倍=約5.42億ドル。現在の自己資本9.1億ドルにはのれん・無形資産が含まれ、すべてを売却できるわけではない。2026年9月末の自己資本約9.28億ドルからのれん約5.82億ドルと識別可能無形資産約1.00億ドルを控除すると純有形資産は約2.47億ドルであり、これをさらに保守的に見た約2.4億ドルを売却可能資産の床としている。時価総額5.42億ドルはその床を上回る。
確率:AIエージェントが従来型の処理業務を大幅に置き換え、大手顧客が内製化し、成果報酬への移行にも失敗する構造的な負けを想定する。iMeritなどの買収資産に減損が発生する可能性も含む。倒産を中心とする筋書きではないが、優良企業としての地位を失う展開として18%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
保険
主に北米の保険会社向けに保険金請求、保険契約管理、引受審査、代位求償、データ分析を提供する。LifePROとSubrosourceなど独自基盤を持つが、通常の業務受託も大きい。
| 数量保険業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル) | 価格同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7.1 | 1.00 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 5.4 | 1.28 | 7 | 1 |
取り方:2025年10-Kの保険報告セグメント売上710.575百万ドルを億ドルに換算した。処理件数と平均料金は非開示なので、2025年価格での市場規模×EXLシェアを数量として表す。保険BPO市場の2025年推定75億ドル(GM Insights、https://www.gminsights.com/industry-analysis/insurance-bpo-market )との単純比較では約9.5%だが、EXLには分析・独自基盤売上も含まれるため厳密な市場シェアではない。実際のシェアは非開示である。中立数量は0.76倍とし、保険外注市場の実質需要約1.20倍と、請求対象業務におけるシェア・外注比率約0.63倍を掛ける考え方である。AIエージェント代替の人月型業務は0.55〜0.75倍の範囲に置き、独自の保険契約管理・代位求償基盤の一部は記録の正本に近いとして0.85〜1.0倍を認める。全体の混合結果が0.76倍となる。価格1.28倍はインフレ1.41倍より低く、処理効率改善の一部が顧客へ渡るためである。営業利益は開示粗利益と全社費用の推定配賦による。
医療・ライフサイエンス
医療保険者、医療機関、薬剤給付管理会社などに支払適正化、過払い回収、請求分析、収益管理、データ管理を提供する。支払削減額に連動した成果報酬の機会がある。
| 数量医療保険・医療業務の実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル) | 価格同じ医療業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5.3 | 1.00 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 1.29 | 5 | 1 |
取り方:2025年10-Kの報告セグメント売上532.584百万ドルを使用した。医療保険者向けBPO市場は2025年133.397億ドルとの推計がある(Grand View Research、https://www.grandviewresearch.com/horizon/statistics/business-process-outsourcing-market/healthcare/healthcare-payers/global )。EXLの医療部門全額との比較で約4.0%となるが、部門には医療機関・ライフサイエンスも含まれ、正確なシェアではない。中立は市場の実質対象需要約1.45倍と、EXLが請求できる従来業務のシェア・外注比率約0.52倍で数量約0.76倍とする。一般的な分析・請求照合はAIエージェント代替の人月型、独自データを用いる支払適正化・過払い回収の一部は成果報酬・記録基盤型として扱う。請求単価は1.29倍にとどめ、物価上昇の一部を顧客に還元する。営業利益は粗利益と全社費用からの推定値である。
銀行・資本市場・その他産業
銀行や金融機関などにデータ管理、分析、債権回収、業務処理、デジタル変革を提供する。金融規制への知識は必要だが、開発・分析・事務業務はAIエージェントとの競争にさらされる。
| 数量銀行・企業向け実質外注市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル) | 価格同じ金融・企業業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.8 | 1.00 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3.3 | 1.28 | 4 | 1 |
取り方:2025年10-Kの報告セグメント売上482.356百万ドルを使用した。銀行だけの業務処理件数と単価は非開示。エベレスト・グループが示す世界第三者向けBPS市場約3,000億ドル(https://www.everestgrp.com/report/egr-2025-77-spr-7209/ )との比較ではEXLのこの部門は約0.16%だが、対象市場が広いため真の部門シェアではない。中立の実質市場成長を約1.18倍、請求対象業務のシェア・外注比率を約0.58倍とし、数量0.69倍を得る。データ管理の一部には継続契約があるものの、銀行の照合、調査、開発、一般的な分析は人月・工数型に分類する。成果報酬への移行が全体を守った証拠はまだ不足しているため、中立価格は1.28倍とする。セグメント営業利益は推定配賦である。
海外成長市場
英国、欧州、アジア太平洋などで保険・医療・金融を含む複数産業にデータ分析と業務運営サービスを提供する。地域別の報告セグメントであり、他の3セグメントとは地域を分けて計上される。
| 数量海外の実質外注・分析市場規模×EXL獲得シェアで測る2025年価格換算の案件価値(億ドル) | 価格海外顧客の同じ業務価値1単位に対する請求単価指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.6 | 1.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.4 | 1.27 | 3 | 0 |
取り方:2025年10-Kの海外成長市場報告セグメント売上362.164百万ドルを使用した。対象は複数地域と産業にまたがり、市場調査会社が同じ定義で示す市場規模はない。広い世界BPS市場約3,000億ドルと比べれば0.12%程度だが、真の市場シェアは不明である。中立では外注市場の実質需要を約1.18倍、競合や内製化に伴う請求対象シェア・外注比率を約0.56倍とし、数量0.66倍とする。報告上の海外事業はAIサービスと人月型業務が混在するが、独自データ基盤の構成比が公開されていないため、記録の正本型を広く認定しない。価格1.27倍はインフレより低く、地域別の価格競争を織り込む。営業利益は推定配賦である。
リスクと懸念
AIエージェント代替
人月・工数で販売する業務運営、データ分析、システム開発、調査などは、AIエージェントに直接置き換えられる可能性がある。2026年7〜9月期にはデータ・AI関連売上が36%増えたが、従来型業務運営売上は減った。AI関連という分類には人材を使うサービスも含まれるため、売上構成の変化だけでは安全性を判断できない。従来型業務の実質工数が減り続ける場合、契約更新時に報酬が縮小する。
成果報酬と独自技術の競争力
売上の30%超が成果報酬型で、約25%が独自技術を伴うと会社は説明しているが、両者の重複やセグメント別の利益率は非開示である。顧客の費用削減額を基準に報酬を得る契約でも、競合が同じ成果を安く提供すれば取り分が減る。独自技術があることと、価格を引き上げ続けられることは別である。成果報酬の契約額と利益率が持続するかを確認する必要がある。
大手顧客への依存と内製化
2025年の売上は上位10顧客で34.0%、上位3顧客で17.8%を占めた。大企業はAIの導入に必要な人材と資本を持ち、外注していた業務を自社のAI基盤に移す選択ができる。長期契約が残っていても、更新時には業務範囲や単価が変わりうる。大口顧客の契約縮小が重なると、人材や設備をすぐには削減できず、利益率の低下が売上の減少より大きくなる。
買収と無形資産の減損
SCIO、クレアボヤント、ITI Data、iMeritの買収は、データとAIの能力を高めた一方で、のれんと無形資産を増やした。2026年のiMerit買収には業績連動の追加支払いがあり、取得技術や顧客関係が期待した利益を生まなければ減損が必要になる。AIモデルの学習・評価も技術革新で単価が下がる可能性がある。買収による売上増加と、投下資本に見合う利益の増加を区別したい。
規制・機密情報とAIの誤判断
保険と医療のデータには個人情報や機微な情報が多く含まれる。米国の医療情報保護規制、州ごとの保険規制、欧州のデータ保護規制などに対応する必要がある。AIが保険金請求や医療費の支払いを誤って判断すると、顧客の損失だけでなく、信用の低下や契約解除につながる。規制対応は参入障壁にもなるが、運営費用と責任の増加を招く。
株式報酬、自社株買いと負債
2025年の自社株買いは約3.3億ドルだったが、株式報酬も約0.8億ドルあった。買い戻しの総額をすべて株主還元とみなすと、株式報酬による持ち分の増加を見落とす。2026年にはiMerit買収と自社株買いで負債が増え、新たな融資枠も設定された。利益が伸びない局面で借金を使った買い戻しを続けると、将来の投資余力や財務の安全性を損なう。
海外人材・賃金と固定費
インド、フィリピンなどの人材を活用する事業には、賃金上昇、人材の離職、採用や教育の費用がある。契約によってはインフレ連動の料金改定があるものの、すべての費用増加を顧客へ転嫁できるわけではない。オフィスのリースや業務を維持する専門人材の固定費も残る。AIによって取扱件数が減ったとき、費用を同じ速さで下げられなければ、営業利益率が大きく低下する。
今後の分かれ目
- データ・AI関連売上が2年以上にわたり年20%以上伸び、GAAP営業利益率も改善し続けたら
- AIの導入支援が一時的な開発需要に終わらず、継続的な利益を生んでいる証拠となる。成果報酬の増加も確認できれば、やや楽観・楽観の確率を引き上げる。
- 従来型業務運営売上の前年比減少率が10%を超え、それが2年続いたら
- AIエージェント代替による数量減少が想定より速い可能性がある。保険・医療を含む各セグメントの実質案件価値を引き下げ、やや悲観と悲観を重くする。
- 既存顧客の純収益維持率が100%を下回り、上位顧客の契約更新額も減り始めたら
- 顧客基盤の粘着性が弱まった合図である。独自技術があっても請求単価や対象業務の範囲を守れないため、中立の価格と営業利益率を引き下げる。
- 保険・医療の成果報酬契約が増え、顧客の削減額に対するEXLの取り分が維持されたら
- 人月の減少を利益率改善へ変える能力があると判断できる。独自基盤の堀と長期gの持続性を再検討し、中立の利益見通しを引き上げる余地が生まれる。
- iMerit買収後の追加支払いが大きく発生する一方、GAAP利益やROICが改善しなかったら
- 買収による売上増加が株主価値を増やしていない可能性が高まる。将来の減損と資本配分の悪化を考慮し、悲観側の確率を引き上げる。
- 自社株買いを差し引いても純負債が増え続け、営業キャッシュフローの伸びが止まったら
- 株式報酬、買収、買い戻しに資金を使う余裕が減っている。正味還元を引き下げ、借り換えの金利負担と財務の安全性を再評価する。
- 株価の下落によって時価総額が中立の本質価値に近づいたら
- 値段への判断を見直す余地がある。ただし単に株価が下がっただけでは不十分で、AIエージェント代替後の業務量と利益率を確認してから安全域を再計算する。
見ておくもの
- データ・AI関連売上と従来型業務運営売上の四半期別成長率
- 保険・医療・銀行・海外の各報告セグメント売上と粗利益率
- 成果報酬型売上の割合、独自技術関連売上の割合、両者の重複
- 既存顧客の純収益維持率、新規顧客獲得数、上位10顧客への依存度
- LifePRO、Subrosource、医療費支払適正化サービスの契約継続と価格改定
- GAAP営業利益率、GAAP純利益、フリーキャッシュフローとROIC
- 株式報酬額、自社株買い額、正味の株数増減、純有利子負債
- iMeritの買収後の売上貢献、追加対価、のれん・無形資産の減損
- 大手競合の成果報酬型サービス、AIエージェントの価格、顧客の内製化動向
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や市場PERを使って10年後の倍率を決めていない。2025年の報告セグメント別売上を起点とし、各部門の実質案件価値を市場需要とEXLのシェア・外注比率に分け、請求単価を名目で変化させた。人月型業務の中立数量はAIエージェント代替の決まりに沿って縮小させ、記録の正本に近い独自基盤の一部だけを区別した。資本コストは8.5%、長期gは0.5%とし、事業ROEを使ったRONICから正当化PERを計算した。純負債があるため余剰純現金の別建て加算は行わない。10年の加重現在価値は約18.9億ドル、基準時価総額約64.5億ドルとの差は約-70.7%で、判定は割高。直近2026年の好業績に比べて厳しい結果だが、現在の株価に近づけるために数量や倍率を引き上げていない。米国会計基準ではオペレーティング・リースはすでに貸借対照表に計上されており、悲観では家賃などの固定費を残している。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本資本コスト8.0%にquality+0.5%を加え、8.5%とする。β、時価総額による規模の上乗せ、現在の市場PERは使わない。アクセンチュアやコグニザントなどの大手ITサービスより低いkなのは、医療費支払適正化や保険プラットフォームなど成果報酬・独自技術を持つ割合が相対的に大きいためである。ただし強い全社的な堀とは認定しない。