結論
バイコアは、AI半導体に大量の電力を効率よく届ける技術を持つ、米国の電源モジュールメーカーである。事業には本物の技術的な強みがあるが、筆者は現在の株式評価を割高と判断する。最大の理由は、2026年に急増した特許使用料が10年後も続き、製品売上まで大きく伸びる未来を、すでに高い値段で買うことになるためだ。
2026年7〜9月期の売上は1.97億ドルで、前年同期を79%上回った。特許使用料だけで0.67億ドルを稼ぎ、営業利益率も約37%へ上昇した。会社は新しい特許契約を獲得し、AI向けの次世代電源モジュールにも大型注文が入ったと説明する。製品の受注残は約4.06億ドルまで増えた。これは単なる期待ではなく、技術が売上につながり始めた証拠である。
それでも、利益の持続性には慎重でありたい。特許使用料には契約開始時の一時的な収入が含まれる。新しい生産拠点への投資も必要だ。さらに、競争相手はインフィニオンやモノリシック・パワー・システムズなど、開発力と資金力のある企業である。2025年の純利益1.2億ドルにも訴訟和解金と税効果が含まれ、通常の製品事業の稼ぐ力をそのまま示してはいない。
10年後の中立では、製品と特許使用料を合わせた売上を約16.5億ドル、純利益を約4.7億ドルと見込む。AI電源の市場が拡大し、バイコアのシェアも現在より高まる成長を認めた予想である。それでも10年後の時価総額は約58億ドルにとどまる。5つの筋書きを資本コスト9.0%で割り引いた本質価値は約26億ドルとなり、添付台帳の時価総額80億ドルを約68%下回る。技術の将来性と株主が払うべき値段は、分けて考える必要がある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社には魅力的な発明がある。10年後もAIや産業機器は電気を必要とし、電力損失を抑える技術はなくならない。高密度で電力を供給する能力そのものには長い需要がある。さらに特許使用料という、製造設備を増やさずに収益を伸ばせる仕組みまで生まれた。事業の将来を調べる価値は十分にある。
しかし、長く持つ株主が問うべきことは、技術の優秀さだけではない。2035年に現在の特許がどれほど有効で、競合の技術がどれほど進み、稼いだ現金のうちいくらが株主の手に残るのかが問題になる。特許の有効期限は案件ごとに異なる。新しい技術へ更新するには研究開発費が必要で、売上が増えれば工場にも投資する。
中立の2035年には、余剰現金を除いた事業のROEを約16%と考える。資本コスト9%を超えるため、再投資は株主価値を増やしうる。ただし初期の事業資本が小さいため、増分投資の採算は生産設備の利用率とライセンス契約の更新によって大きく変わる。技術が次世代でも採用されるなら堀は広がり、競争相手が別方式で十分な性能を得れば急速に狭まる。
経営が現金を積み上げても、株主に返す保証はない。創業者の議決権支配により、外部株主が還元を要求する力も弱い。純現金には価値があるが、帳簿のすべてを自由に使える株主利益と同一視しない。
筆者が最も慎重なのは、良い企業を高すぎる値段で買う危険だ。10年後の売上を現在の約4倍にし、利益率も大幅に改善する中立でも、安全域は生まれない。事業がすばらしい未来を迎える可能性と、今の株式が割安であることは別問題なのである。
何で稼ぐ会社か
バイコアの仕事は、電力を必要な電圧と電流に変えることである。データセンターに届く電力を、GPUやAI専用プロセッサーが使える低電圧・大電流へ効率よく変換する。電源の損失が減れば、発熱と冷却負担が減り、同じ設備でより多くの計算を実行できる。小さな電源部品が、数千億ドル規模のAI設備投資の性能を左右する。
製品は二つに分かれる。Advanced Productsは、高密度の電源変換モジュール、48V配電技術、電圧を変えるBCMや電流を届けるVTMなどを扱う。独自の電力供給方式FPAは、電圧調整と変換を分離する。最新のVPDは、プロセッサーの裏側から電力を供給する方式である。配線損失を減らし、演算器の上側をメモリーや信号配線に使える利点がある。
Brick Productsは、産業機器、航空宇宙、防衛、鉄道、計測機器向けの電源モジュールである。長年使われる装置に合わせて電圧や出力を選べることが強みだ。高性能の先端製品ほど急成長はしないが、既存の顧客との関係が長く、事業を支える役割を持つ。
第三の収益源は特許ライセンスである。自社製品を買わないメーカーでも、保護された電源技術を利用する場合は使用料を払う契約を結べる。2025年の使用料は0.57億ドルだったが、2026年1〜9月には1.12億ドルに増加した。これは製造原価をほとんど必要としない一方、特許の有効性や訴訟費用に左右される収益である。
会社の正式な報告セグメントは一つである。本分析では、Advanced Productsから特許使用料を分離し、先端製品、Brick、ライセンスの三つの経済事業として扱う。2025年の売上は、それぞれ約1.91億ドル、1.59億ドル、0.57億ドルとなる。製品ごとの出荷個数と平均単価は非開示なので、市場規模と推定シェアで数量を捉える。AIエージェントが人月や席課金を置き換える事業には該当せず、AIの計算設備を支える物理的な技術を売る会社である。
優良さと弱いところ
堀、つまり競争相手が簡単にはまねできない強みは、電力変換の回路設計、特許、製造技術の組み合わせにある。2025年末には米国で128件の登録特許を持ち、満了時期は2026年から2043年まで広がる。表面実装型モジュールの独自製造工程も持つ。単に汎用半導体を安く仕入れて組み立てる会社とは違う。
価格を決める力にも一定の証拠がある。会社は2025年7月から関税負担に対応する10%の追加料金を製品に導入した。2026年には新しいVPDライセンスが成立し、利用する技術に応じて使用料を受け取る仕組みを広げた。ただし、関税分の転嫁は恒常的な実質値上げとは異なる。個別製品の継続的な値上げ率や顧客の離脱率も開示されていないため、無条件に強い価格支配力があるとは言えない。
一度電源が半導体基板に設計採用されれば、交換には性能評価や基板の再設計が必要になる。航空宇宙・防衛向けでは認証や長期供給も障壁となる。ただしAI向け先端製品は製品寿命が比較的短く、次世代設計で競争がやり直される。技術が優秀であることと、顧客が10年以上離れないことは同じではない。
資本効率はまだ安定していない。添付財務では過去10年のROE中央値が6.2%にとどまり、2021年は営業利益率15.5%だった一方、2024年には5.1%まで低下した。2026年の特許収益による改善は明確だが、研究開発費と設備投資を負担した後の利益が長期で資本コストを超えるかは検証途中である。2025年の研究開発費は約0.79億ドルで、売上の約19%を占めた。
最大のガバナンス上の弱点は議決権の集中だ。創業者は議決権10倍のクラスB株を保有し、2025年末に約80%の議決権を支配していた。一般株主は経営方針や還元政策を実質的に変更できない。優れた技術への投資が長く続く利点と、少数株主への還元が後回しになる危険を同時に持つ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
バイコアが属する電源変換市場は、一般のアナログ半導体市場より狭い。調査会社グローバル・マーケット・インサイツは、世界のDC-DCコンバーター市場を2025年に約127億ドル、2035年に約280億ドルと推定する。市場定義には半導体ICや電源モジュールが広く含まれ、バイコアの製品だけを対象とした市場ではない。同社の2025年の製品売上約3.50億ドルを機械的に割ると約2.8%となるが、これは広域市場に対する参考シェアである。
市場の成長を支えるのは、AI計算機の電力密度、車載の高電圧化、産業機器の効率改善である。AIアクセラレーターが必要とする電流は増え続け、48Vや800Vの配電方式が重要になっている。電力変換の損失は、部品価格よりも設備全体の電気代と冷却能力に影響する。そのため性能差が明確な領域では、単純な安値競争になりにくい。
競合はモノリシック・パワー・システムズ、インフィニオン、アナログ・デバイセズ、村田製作所、デルタ電子、TDKラムダなどである。市場調査会社は村田製作所の広域市場シェアを14%超と推定する。大手各社は販売網と研究開発費でバイコアを大きく上回る。先端AI電源では、電源モジュールの集積化とプロセッサー側への電圧調整機能の取り込みが進み、独自方式の優位が永続する保証はない。
特許を巡る競争も激しい。2026年10月、米国国際貿易委員会はVPD関連特許の侵害を調べる調査を開始した。デルタ電子、インフィニオン、モノリシック・パワー・システムズなどが被申立人に含まれる。ただし調査開始は侵害の認定ではない。排除命令や新しいライセンス契約につながれば追い風となり、特許が無効または非侵害と判断されれば収益の根拠が弱まる。
中立の2035年市場は、約280億ドルの名目市場を物価上昇分で割り戻し、2025年価格で約199億ドルとみる。バイコアの製品シェアは約2.8%から約4.1%へ高まると考える。先端製品で競合から設計採用を奪う必要があり、単に市場全体が成長するだけでは実現しない。特許ライセンスはこの製品市場に加算せず、別の収益機会として評価する。
資本政策と M&A
資本配分の中心は、研究開発と自社製造能力への投資である。会社はマサチューセッツ州アンドーバーの拠点で独自の電源モジュールを製造してきた。2026年には次世代製品の需要に備え、ChiP Fab 2とFab 3のための追加拠点を確保した。最初の追加設備は2027年4〜6月期から段階的に導入する計画である。経営陣は将来の製造能力を大幅に増やす意向を示しているが、設備投資総額と長期売上の確約はない。
株主還元は厚くない。2025年の自社株買いは約0.35億ドルだったが、新株予約権の行使や株式報酬による希薄化が続いた。2026年8月には1.5億ドルの新しい自社株買い枠を設定し、従来の1億ドル枠を置き換えた。ただし2026年9月末までの新枠での買い戻し実績はなく、配当の数字による約束もない。2026年1〜9月にはオプション行使と従業員株式購入により約0.47億ドルの払込金を受け取った。
2026年9月末の現金は約5.13億ドル、借入は軽微である。一方、同年1〜9月の営業キャッシュフローは約0.80億ドルで、純利益約1.34億ドルを下回った。設備投資は約0.40億ドルであり、利益のすべてが自由な現金になったわけではない。売掛金と棚卸資産が増えたことにも注意が必要だ。
大型企業買収より技術開発と設備拡張を優先する経営である。現在、価値計算に組み込む合意済みの大型企業買収はない。2026年10〜12月期については、製品売上が前四半期比約10%増え、特許使用料が新規契約なしでも少なくとも0.43億ドルになるという経営陣の見通しがある。ただし長期の利益目標、総還元性向、10年間の買い戻し額について数字の約束はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
バイコアはAI時代の電力供給に欠かせない技術を持つ。半導体の演算性能が上がるほど、低電圧で大量の電流を流す難しさが増す。従来の電圧調整器だけでは配線損失と発熱が重くなり、電源の構造そのものを変える必要がある。VPDとFPAはその問題に直接取り組む技術であり、単なる部品の小型化ではない。
2026年の事業動向は、その技術が顧客に評価され始めたことを示す。7〜9月期の製品売上は前年同期を約47%上回った。受注残は4億ドルを超え、10月の最初の2週間だけで約1億ドルの新規受注があったと経営陣は説明した。その中には、主要AI顧客による第二世代VPDモジュールの大型注文が含まれる。ASICとメモリーの試験装置向けも年間1億ドル超の事業になっている。
特許使用料も新しい利益の柱になった。2025年の0.57億ドルから、2026年1〜9月だけで1.12億ドルへ増えた。経営陣は2026年10〜12月期の使用料について、新規契約がなくても0.43億ドル以上と述べた。会社はこれを継続的な事業と捉えている。今後、ライセンスを取得するAI機器メーカーや大規模データセンター事業者が増えれば、製品を製造しなくても利益が伸びる。
競合のインフィニオンやモノリシック・パワー・システムズは巨大だが、巨大であることは特許を回避できることを意味しない。VPDの知的財産が強く認められれば、競合の製品販売の一部もバイコアの収益源になる。ITCの調査がライセンス交渉を後押しする可能性もある。
生産面ではFab 2とFab 3が成長の制約を取り除く。顧客の電源設計に深く入り込めば、設備利用率が上がり、研究開発費を売上の増加で吸収できる。2035年には先端製品で15億ドル超、特許使用料で10億ドル超の収入が実現する余地がある。技術と市場の両方が成功すれば、現在とは異なる利益規模の会社になる。
慎重な見方
最大の疑問は、2026年の利益の伸びが10年後の実力を表しているかどうかである。7〜9月期の特許使用料には、新規契約時の一時的な支払いが含まれている。現在の契約が継続的であっても、2年程度の契約更新や新たな特許の成立は将来の条件次第である。2035年に同じ特許から同じ額を受け取れるとは限らない。
特許は保有しているだけでは永久の独占にならない。2025年末の128件には2026年から満了するものがあり、2035年までに期限が切れる権利もある。新しい特許を取得するには研究開発を続けなければならない。訴訟で特許が無効と判断されたり、競合が別の電力変換方式を採用したりすれば、使用料の回収範囲は狭まる。
製品側にも危険がある。先端AI機器の設計は頻繁に変わる。モノリシック・パワー・システムズ、インフィニオン、アナログ・デバイセズは資金力と開発力で優位に立つ。顧客が電圧調整機能を演算器や基板に統合すれば、バイコアのモジュールを使わない設計も増える。主要顧客に採用された製品が次世代で外されるだけで、売上が大きく変わりうる。
設備拡張も無条件の好材料ではない。製品需要が計画に届かず、新工場の固定費と減価償却が先行する可能性がある。過去には営業赤字の年度があり、2022年にはフリーキャッシュフローがマイナスとなった。2024年の営業利益率も5%程度にすぎなかった。研究開発と訴訟には費用がかかり、特許使用料にも回収のための法務費用が伴う。
少数株主にはもう一つの制約がある。創業者が議決権の大半を持ち、厚い配当方針はない。高い時価総額で株を買い戻しても、発行済み株式の増加を十分に抑えられなければ、株主の利益は増えない。技術が成功しても経済的な取り分が薄まる危険は残る。
現在の時価総額は、研究開発の成功、製造能力の拡張、特許の有効性、複数顧客への採用を同時に期待している。そのすべてが順調に進む確率より、途中でいくつかが失敗する確率を重く見るべきだ。
どちらに重みを置いたか
技術と受注については強い見方に十分な根拠がある。特に2026年の製品売上の伸びと特許契約の増加は、以前より事業の可能性を高めた。一方、10年間の利益を考えると、特許の満了や更新、競合の設計変更、設備投資の回収が不確実である。中立でも製品シェアの上昇と特許使用料の拡大を認めているため、さらに成功する筋書きへの確率は控えめにした。
確率は楽観側30%、中立31%、慎重側39%とする。過去の利益率が不安定で、創業者支配の下で株主還元の予見性も低いため、慎重側をやや厚くした。結論を割高へ導く主因は、リスクの確率だけではない。かなりの成長を織り込んだ中立の事業価値そのものが、現在の時価総額を支えるには足りないのである。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 131.53 ドル60 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 2.52 ドル1 億ドル)。 今の値に割り戻すと 57.20 ドル26 億ドル、今との差 −70.1%、 期待の年率 −3.5%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 350.25 ドル159 億ドル | 11.00 ドル5 億ドル | +89.0% | +6.7% | 36.13 ドル16 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 225.63 ドル103 億ドル | 6.60 ドル3 億ドル | +21.5% | +2.0% | 46.45 ドル21 億ドル |
| 中立 | 31% | 126.86 ドル58 億ドル | 3.30 ドル2 億ドル | −31.9% | −3.8% | 40.35 ドル18 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 39.82 ドル18 億ドル | −2.20 ドル−1 億ドル | −80.3% | −14.7% | 9.03 ドル4 億ドル |
| 悲観 | 15% | 16.63 ドル8 億ドル | −2.64 ドル−1 億ドル | −92.7% | −22.0% | 2.10 ドル1 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 131.53 ドル60 億ドル | 2.52 ドル1 億ドル | −29.8% | −3.5% | 134.05 ドル61 億ドル |
今の株価時価総額 191.09 ドル87 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% VPDがAI電源の主要技術となり、製品と特許がともに大きく伸びる 利益 11 億ドル · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 350.25 ドル159 億ドル
2035年には、AI演算器の電力供給に高密度のVPDモジュールが広く採用される。先端電源製品は世界DC-DC市場の約4.2%を占め、売上は15.5億ドルとなる。世界の市場規模は2025年価格で約250億ドルへ成長する。価格指数も149へ上昇し、顧客が電力効率の改善に追加料金を払う力を維持する。
Brick製品は航空宇宙、防衛、産業設備の高信頼分野で数量を増やし、売上4.2億ドルとなる。特許ライセンスは多数のAI機器メーカーと大規模データセンター企業に広がり、使用料は10.5億ドルへ達する。これは2026年の契約基盤をさらに大きくする成功例であり、特許の更新と新技術の継続的な発明が前提である。
Fab 2とFab 3が稼働し、研究開発費を大きな売上で吸収できる。競合のモノリシック・パワー・システムズやインフィニオンも成長するが、バイコアは高密度電源の特殊領域を守る。全社売上は約30.2億ドル、営業利益は約13.3億ドル、純利益は10.6億ドルとなる。
10年間の純利益累計は66.5億ドルを見込む。2026年の約1.9億ドルから増益し、2030年に約6.4億ドル、2035年に10.6億ドルへ進む。新工場と運転資本への投資を優先しながら、自社株買いから株式報酬や新株払い込みを引いた正味の還元は5.0億ドルとなる。創業者支配は続くが、技術の優位が利益と現金に変わる。
- 先端電源製品(Advanced Products、特許使用料を除く):数量 10.4(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社先端製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 149(製品の平均価格指数。2025年を100とする。実際の製品別平均単価は非開示)→ 売上 15 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場実質250億ドル×参考シェア4.16%。価格は2025年比1.49倍。新工場の稼働率と高性能製品構成で営業利益率40%。
- Brick Products(産業・防衛・輸送用電源):数量 2.9(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社Brick製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 145(製品の平均価格指数。2025年を100とする)→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。広域市場実質250億ドル×参考シェア1.16%。高信頼分野の数量増加と製品構成改善で利益率23%。
- 電源技術の特許ライセンス:数量 12.0(ライセンス対象電源回路の100万基換算使用量。実際の契約対象数量は非開示のため、2025年を便宜上100万基相当とした推定単位)× 価格 88(ライセンス対象100万基換算の平均回収額を表すドル/基。実際の契約単価ではない)→ 売上 11 億ドル・営業利益 8 億ドル。2025年の便宜的な許諾対象数量の12倍、実効回収単価87.5ドル/基換算。特許更新と新規ライセンスの成功が前提。法務費用控除後の寄与利益率80%。
倍率:資本コストk=9.0%。2035年の自己資本68.6億ドルから余剰現金15億ドルを除いた事業資本53.6億ドルに対し、純利益10.6億ドルを用いる事業ROEは約19.8%。通常の堀として超過収益の残存割合を1/2とし、RONIC=9.0%+1/2×(19.8%-9.0%)=14.4%。2035年以降の名目gは4.0%。市場実質成長約2.0%、シェアの維持、価格と製品構成の成長約2.0%から決める。正当化PER=(1-g/RONIC)/(k-g)×(1+g)で約15.0倍。上限の約97%で14.6倍とする。特許使用料が広く定着し、製品も規模の利益を得る成功例だからである。純利益はGAAPで株式報酬を費用として扱い、現金利息の二重評価を避ける。
確率:第二世代VPDの採用が複数の大手AI顧客へ広がり、製造拠点の拡張と特許ライセンスの増加が同時に成功する筋書き。2026年の新契約と大型注文が根拠になる。ただし大手競合の技術開発、特許の有効性、追加工場の投資回収がすべて順調に進む必要があり、確率は10%に限る。
やや楽観 20% 先端製品の設計採用が広がり、特許収益も安定した成長源になる 利益 7 億ドル · PER 13.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 225.63 ドル103 億ドル
データセンターの電力効率改善が続き、VPDと高密度の電源モジュールは複数の世代で採用される。世界DC-DC市場は2025年価格で約225億ドルへ拡大する。先端製品の参考シェアは約3.6%となり、売上は11.6億ドルに達する。価格指数145には物価上昇と高性能製品への移行が含まれる。
Brick製品は産業、防衛、鉄道の顧客基盤を保ち、売上3.7億ドルとなる。特許ライセンスは7.5億ドルへ成長するが、すべての競合製品がライセンス対象になるわけではない。インフィニオンやモノリシック・パワー・システムズも代替技術を開発し、顧客は複数の電源方式を使い分ける。
製造拠点の拡張が予定より少し遅れても、段階的な増設によって需要に対応する。研究開発と法務費用は増えるが、製品数量の伸びがそれを上回る。全社売上は約22.8億ドル、営業利益は約9.2億ドル、純利益は7.35億ドルとなる。競争相手より優れた分野を持つが、広範囲を独占する会社ではない。
2026年の利益約1.9億ドルから2035年の7.35億ドルへ進み、10年累計の利益は49億ドルとなる。現金を新しい製造設備に投じつつ、買い戻しを増やす。株式報酬と新株払い込みを控除した正味の株主還元は3億ドルである。株主の取り分は改善するものの、配当を中心に現金を返す企業へ転換するわけではない。
- 先端電源製品(Advanced Products、特許使用料を除く):数量 8.0(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社先端製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 145(製品の平均価格指数。2025年を100とする。実際の製品別平均単価は非開示)→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場実質225億ドル×参考シェア3.56%。価格指数145。拡張設備の稼働が進み営業利益率36%。
- Brick Products(産業・防衛・輸送用電源):数量 2.6(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社Brick製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 143(製品の平均価格指数。2025年を100とする)→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場実質225億ドル×参考シェア1.16%。長期供給の強みを維持し営業利益率20%。
- 電源技術の特許ライセンス:数量 10.0(ライセンス対象電源回路の100万基換算使用量。実際の契約対象数量は非開示のため、2025年を便宜上100万基相当とした推定単位)× 価格 75(ライセンス対象100万基換算の平均回収額を表すドル/基。実際の契約単価ではない)→ 売上 8 億ドル・営業利益 6 億ドル。便宜的な許諾対象数量は2025年の10倍。実効単価75ドル/基換算。新規契約と既存契約の更新が続く。
倍率:k=9.0%。余剰現金13億ドルを除いた事業資本40.1億ドルと純利益7.35億ドルから事業ROE約18.3%。通常の堀の残存割合1/2でRONIC約13.7%。長期g=3.8%は2035年後の実質市場成長約1.8%、概ね維持するシェア、実効価格上昇約2.0%の合成。正当化PER約14.4倍に対し約93%の13.4倍。特許使用料と高性能製品の競争力を認める一方、先端製品の短い設計寿命と契約更新の不確実性を考慮する。GAAP純利益を用い、余剰現金を別に足す。
確率:2026年に確認された受注と特許契約が継続し、先端製品の市場シェアが上がる筋書き。ただしVPDが市場を独占することまでは前提としない。製造能力の拡張が成功しても、競合が一定のシェアを維持する可能性が高いので20%とする。
中立 31% 市場拡大とシェア上昇が続くが、特許と製造の競争が利益率を抑える 利益 5 億ドル · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 126.86 ドル58 億ドル
2035年の世界DC-DCコンバーター市場は名目で約280億ドルとなる。物価上昇分を除くと、2025年価格で約199億ドルである。バイコアの先端製品はAI計算機と半導体試験装置で設計採用を増やし、参考シェアは現在の約1.5%から約3.0%へ上がる。価格指数141を維持し、先端製品売上は約8.5億ドルとなる。
Brick製品は新興国の低価格メーカーと競争しながら、高信頼分野を維持する。売上は約3.1億ドルとなる。特許ライセンスは2026年の契約基盤からさらに成長するが、古い特許が満了するため、新しい技術の発明と契約更新が必要になる。2035年の使用料は4.9億ドルとなる。
先端製品の営業利益率は33%とする。工場の稼働率上昇は追い風だが、競合のモノリシック・パワー・システムズやインフィニオンも製品性能を改善するため、値上げを独占的に進めることは難しい。特許使用料は法務費用控除後でも高い収益性を保つが、研究開発と全社費用が増える。全社売上は約16.5億ドル、営業利益は約5.8億ドル、純利益は4.68億ドルとなる。
10年間の純利益累計は約33.4億ドルである。2026年の約1.9億ドルから2030年の約3.2億ドル、2035年の4.68億ドルへ増える道筋を考える。株式報酬と新株払い込みを差し引いた正味の還元は1.5億ドルにとどまり、資金の多くを研究開発と製造能力に再投資する。創業者の支配は続くが、事業は資本コストを上回る収益を得る。技術の堀は残るものの、常に競争相手から攻められる形である。
- 先端電源製品(Advanced Products、特許使用料を除く):数量 6.0(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社先端製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 141(製品の平均価格指数。2025年を100とする。実際の製品別平均単価は非開示)→ 売上 8 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場実質199億ドル×参考シェア3.02%。価格は物価並みの141。設備稼働率の改善と競合の値下げ圧力が共存する。
- Brick Products(産業・防衛・輸送用電源):数量 2.2(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社Brick製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 141(製品の平均価格指数。2025年を100とする)→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場実質199億ドル×参考シェア1.11%。産業・防衛需要の伸びはあるが、汎用分野でシェアが少し低下する。
- 電源技術の特許ライセンス:数量 7.0(ライセンス対象電源回路の100万基換算使用量。実際の契約対象数量は非開示のため、2025年を便宜上100万基相当とした推定単位)× 価格 70(ライセンス対象100万基換算の平均回収額を表すドル/基。実際の契約単価ではない)→ 売上 5 億ドル・営業利益 4 億ドル。便宜的な許諾対象数量は2025年の7倍。実効単価70ドル/基換算。2026年に確認された契約基盤が広がるが、特許の満了と更新費用を考慮する。
倍率:k=9.0%。2035年の自己資本38.98億ドルから余剰現金10億ドルを除いた事業資本28.98億ドルを分母とし、純利益4.68億ドルから事業ROE約16.1%を得る。通常の堀なので残存割合は1/2、RONIC=9.0%+1/2×(16.1%-9.0%)=12.6%。長期g=3.5%は2035年以降の実質市場成長約1.5%、市場シェアの年約0.5%の低下、実効価格上昇約2.5%の合成である。物価3.5%より価格の伸びを低くしたのは、特許満了と競合の技術更新の影響による。正当化PERは約13.6倍。上限の約85%の11.6倍とし、製品の短い設計寿命と使用料の不確実性を反映する。純利益はGAAPで株式報酬を費用化しており、余剰現金の税後受取利息相当1.4%を除いて事業利益を評価する。
確率:2026年の製品需要と特許契約の進展を反映しつつ、2035年には大手競合も技術を更新すると考える。世界DC-DC市場の成長と先端製品のシェア上昇を認めるが、特許収益が無制限に拡大するとはしない。高い成長と競争の両方を認めた最もありそうな筋として31%とする。
やや悲観 24% 大手競合が先端電源の採用を奪い、特許使用料が伸び悩む 利益 2 億ドル · PER 8.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 39.82 ドル18 億ドル
AI計算機の需要は成長するが、電力変換の技術は一つに統一されない。大手半導体メーカーが電圧調整機能を集積化し、バイコアの高密度電源が採用される割合は中立より低くなる。2035年の広域市場は2025年価格で約185億ドルへ成長するものの、先端製品の参考シェアは約2.3%にとどまる。価格指数は133となり、物価上昇分を十分に転嫁できない。
先端製品売上は約5.6億ドル、Brick製品売上は2.7億ドルとなる。特許ライセンスは2026年の契約基盤を完全には失わないが、新規契約が少なく、既存契約の更新でも回収単価が低下する。2035年の使用料は2億ドルとなる。
新しい工場には一定の余剰能力が残る。需要の伸びが計画より遅いため、製造原価と減価償却の負担が重い。先端製品の営業利益率は23.5%まで低下する。法務費用と研究開発費も続き、全社売上約10.3億ドルに対する営業利益は約2.3億ドル、純利益は1.8億ドルとなる。
2026年の利益約1.9億ドルの後、契約更新と工場立ち上げの費用が重く、2029〜2031年は年間1.5〜1.6億ドル程度に低下する。その後も回復は緩やかで、10年間の純利益累計は約17.1億ドルである。買い戻しは縮小され、株式報酬とオプション行使に伴う新株払い込みを差し引いた正味の還元はマイナス1億ドルとなる。事業は存続するが、期待された技術の支配力は十分に利益へ変わらない。
- 先端電源製品(Advanced Products、特許使用料を除く):数量 4.2(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社先端製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 133(製品の平均価格指数。2025年を100とする。実際の製品別平均単価は非開示)→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場実質185億ドル×参考シェア2.27%。価格指数133。競合の代替設計と低い設備稼働率で営業利益率23.5%。
- Brick Products(産業・防衛・輸送用電源):数量 2.0(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社Brick製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 135(製品の平均価格指数。2025年を100とする)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場実質185億ドル×参考シェア1.08%。産業需要は残るが低価格品との競争が続く。
- 電源技術の特許ライセンス:数量 4.0(ライセンス対象電源回路の100万基換算使用量。実際の契約対象数量は非開示のため、2025年を便宜上100万基相当とした推定単位)× 価格 50(ライセンス対象100万基換算の平均回収額を表すドル/基。実際の契約単価ではない)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。便宜的な許諾対象数量は2025年の4倍にとどまり、実効回収単価も50ドル/基換算へ低下する。契約更新と訴訟費用が負担となる。
倍率:k=9.0%。余剰現金6億ドルを除いた事業資本19.15億ドルに対し、純利益1.8億ドルから事業ROE約9.4%。通常の堀の残存割合1/2でRONIC約9.2%。長期g=2.5%は実質市場成長約1.5%、シェア年約1.0%低下、実効価格上昇約2.0%の合成。正当化PERの上限は約11.5倍となるが、競争によってROEが資本コストに近づくため8.8倍にとどめる。中立の11.6倍より低く、余剰現金の回収価値を別に数える。
確率:VPDの採用は一定の顧客に限られ、モノリシック・パワー・システムズとインフィニオンが価格と設計で巻き返す。特許契約の更新が進まず、売上は伸びても利益の増加が鈍る。過去に営業利益率が大きく変動した実績があり、24%とする。
悲観 15% 特許収益が衰え、先端電源は代替技術に押される構造的な敗北 利益 1 億ドル · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 16.63 ドル8 億ドル
2035年にはAI電源の主流技術が変わり、バイコアのVPDに代わる方式が普及する。モノリシック・パワー・システムズやインフィニオンが、半導体の集積化と電源の効率改善を進める。バイコアは既存顧客を一部維持するが、次世代製品への設計採用が減る。世界のDC-DC市場自体は実質で約180億ドルへ成長するものの、先端製品の参考シェアは約1.3%へ下がる。
先端製品売上は約2.8億ドル、Brick製品は約2.2億ドルとなる。価格指数は122にとどまり、物価上昇と比べた実質的な値下げが進む。特許使用料は主要契約の失効や回避設計によって0.7億ドルへ減る。残った契約からの収益にも法務費用がかかる。
生産能力は需要に対して過剰となり、工場の一部設備に減損の必要が生じる。全社売上は約5.7億ドル、営業利益は約0.94億ドル、純利益は0.71億ドルとなる。会社は防衛、産業、特殊電源の既存顧客に支えられて存続するが、成長企業としての強みは失われる。
2026年の利益約1.9億ドルの後、特許収益の縮小と新工場の稼働率低下で利益は減る。2030〜2032年は年間0.6億ドル前後となり、2035年に0.71億ドルへ回復する。10年間の利益累計は約8.96億ドル。株式報酬と増資の払い込みが買い戻しを上回り、正味の還元はマイナス1.2億ドルとなる。現金と売れる資産が下値を支えるが、営業利益によって高い企業価値を維持する力は失われる。
- 先端電源製品(Advanced Products、特許使用料を除く):数量 2.3(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社先端製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 122(製品の平均価格指数。2025年を100とする。実際の製品別平均単価は非開示)→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場実質180億ドル×参考シェア1.28%。価格指数122。先端AI電源の設計採用を失い利益率21%。
- Brick Products(産業・防衛・輸送用電源):数量 1.8(世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社Brick製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額)× 価格 122(製品の平均価格指数。2025年を100とする)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場実質180億ドル×参考シェア1.0%。既存の産業・防衛需要は残るが価格競争で利益率12%。
- 電源技術の特許ライセンス:数量 2.0(ライセンス対象電源回路の100万基換算使用量。実際の契約対象数量は非開示のため、2025年を便宜上100万基相当とした推定単位)× 価格 35(ライセンス対象100万基換算の平均回収額を表すドル/基。実際の契約単価ではない)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。便宜的な許諾対象数量は2025年の2倍だが、特許満了と回避設計によって実効回収単価は35ドル/基換算へ下がる。訴訟費用を考慮した寄与利益率55%。
倍率:k=9.0%。余剰現金4億ドルを除いた事業資本13.26億ドルに対し、純利益0.71億ドルから事業ROE約5.4%。ROEがkを下回るため、利益の再投資は超過価値を生まず、PERの上限を1/k=11.1倍とする。長期g=1.0%は実質市場成長約1.0%、シェア縮小約1.0%、実効価格上昇約1.0%から決める。高性能の設計採用と特許収益を失ったためPERは8.5倍にとどめる。余剰現金4億ドルの回収価値は2億ドル。時価総額は約7.56億ドルとなり、現時点の自己資本7.1億ドルを使った資産の床をわずかに上回る。
確率:特許の満了や無効判断、競合の代替技術、主要顧客の設計変更が重なり、高い収益性のライセンス事業が縮小する。過去の営業赤字と株価の大幅下落は技術企業の脆さを示す。ただし2026年に確認された純現金と受注基盤を踏まえ、倒産に近い筋書きではなく、構造的な競争劣位として15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
先端電源製品(Advanced Products、特許使用料を除く)
AIアクセラレーター、データセンター、半導体試験装置などに使う高密度の電源変換モジュール。VPD、FPA、BCM、VTMなどの技術を使い、競合より高い電流密度と効率を目指す。
| 数量世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社先端製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額 | 価格製品の平均価格指数。2025年を100とする。実際の製品別平均単価は非開示 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.9 | 100 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6.0 | 141 | 8 | 3 |
取り方:2025年10-KのAdvanced Products売上2.48562億ドルから特許使用料0.57384億ドルを除き、製品および技術開発収入を1.91178億ドルとした。世界DC-DCコンバーター市場は2025年127億ドルとの外部推定を使う(Global Market Insights、2026年9月、https://www.gminsights.com/industry-analysis/dc-dc-converter-market)。同じ広域市場に対する当社先端製品の参考シェアは1.51%。2025年価格の市場127億ドル×1.51%で現在数量を定義する。単価を100、換算係数を0.01とする。これは実際の出荷個数や製品単価を示す数字ではない。会社は出荷数量と平均単価を開示しておらず、製品構成の変化も価格指数に含む。先端製品は高性能品が中心なので、成長には市場拡大と設計採用の増加の両方が必要である。営業利益0.23億ドルは製品別利益が非開示のため推定した研究開発費・本社費配賦前の額である。
Brick Products(産業・防衛・輸送用電源)
産業機器、鉄道、航空宇宙、防衛、計測装置などに向けた標準型および用途別のDC-DC電源モジュール。製品寿命が比較的長く、幅広い仕様に対応する。
| 数量世界DC-DC市場の2025年価格換算規模(億ドル)×当社Brick製品の参考市場シェア。数量は物価を除いた製品需要相当額 | 価格製品の平均価格指数。2025年を100とする | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.6 | 100 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.2 | 141 | 3 | 1 |
取り方:2025年10-KのBrick Products売上は1.59139億ドル。広域DC-DC市場127億ドルに対する参考シェアは1.25%であり、先端製品の1.51%と合わせた製品売上シェアは約2.76%。市場の定義には部品や用途が広く含まれるので、実際の産業用Brickモジュールだけのシェアではない。数量は市場実質規模×参考シェアで表す。価格指数は2025年100、換算係数0.01。大手の村田製作所、デルタ電子、TDKラムダなどと競合する。営業利益0.12億ドルは用途別採算が非開示のため推定した全社費用配賦前の額である。
電源技術の特許ライセンス
NBMやVPDなどの特許技術について、AI機器メーカーやデータセンター関連企業に使用権を与えて収益を得る事業。製品の製造を必要としないが、契約更新、特許の有効性、法務費用に左右される。
| 数量ライセンス対象電源回路の100万基換算使用量。実際の契約対象数量は非開示のため、2025年を便宜上100万基相当とした推定単位 | 価格ライセンス対象100万基換算の平均回収額を表すドル/基。実際の契約単価ではない | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 57 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 70 | 5 | 4 |
取り方:2025年10-Kで特許使用料0.57384億ドルを確認した。使用料の対象製品数量と契約別単価は非開示である。そこで2025年を100万基相当という便宜的な換算量とし、1基換算57.384ドルで収益総額に一致させた。この単位は実際に100万基が販売されたという主張ではなく、数量と回収単価を分けて将来の条件を評価するための指標である。2026年1〜9月の実際の使用料は1.12004億ドル、7〜9月期は0.66613億ドル。経営陣は2026年10〜12月期について少なくとも0.43億ドルの見通しを示した。契約による回収量増加と、特許対象がVPDへ広がることによる回収単価の変化を分ける。営業利益0.43億ドルは法務費用を考慮した推定寄与利益である。2025年の先端製品0.23億ドル、Brick0.12億ドル、特許0.43億ドルから研究開発・本社費等の未配賦分約0.41億ドルを控除すると、添付factsの全社営業利益約0.37億ドルと整合する。2025年の一時的な特許訴訟和解金0.45億ドルは、この継続ライセンス売上に含めない。
リスクと懸念
特許の有効性・満了とライセンス更新
2026年の利益拡大には、NBMとVPDを中心とする特許使用料の増加が大きく寄与する。2025年末の米国登録特許128件は、2026年から2043年にかけて満了する。契約を更新できなかったり、特許が無効と判断されたりすれば、製造原価の小さい高利益率収入を失う。米国ITCの調査は交渉力を高める可能性があるが、調査開始は侵害の認定ではない。
AI向け電源の技術転換と競合の追撃
高性能なAI半導体には高密度電源が必要だが、必ずしもバイコアの方式が選ばれるわけではない。モノリシック・パワー・システムズ、インフィニオン、アナログ・デバイセズなどが、高集積化と新しい電圧調整技術を開発している。AI機器の製品世代は短く、主要顧客の設計から一度外れると、現在の売上の伸びが長く続かない可能性がある。
新工場の固定費と設備投資の回収
Fab 2とFab 3の拡張は需要に対応するために必要だが、需要が届かなければ減価償却費と設備維持費が重荷になる。バイコアは2022年にフリーキャッシュフローがマイナスとなり、2024年にも営業利益率が低下した。高い受注残だけで10年分の設備利用率を保証できない。半導体設備投資が一斉に減速すれば、製造能力の拡張が株主価値を損なう。
大口顧客への依存と受注の変動
会社は高性能な先端製品を少数の大口顧客へ大量に供給する方向に事業を変えている。2025年には一つの顧客が売上の約11%を占めた。2026年には主要AI顧客の第二世代VPD注文が受注を押し上げている。顧客が開発計画を変更したり自社で電源を設計したりすれば、出荷数量、工場稼働率、利益率が同時に悪化する可能性がある。
創業者支配と少数株主への現金還元
議決権10倍のクラスB株によって創業者が議決権の約80%を持つ。普通株主は事業の再編や還元政策にほとんど影響できない。2026年には1.5億ドルの自社株買い枠が設定されたが、金額と時期は経営陣の裁量に委ねられている。配当の数字による約束もない。現金が増えても株主へ返らない場合、帳簿上の純現金を額面どおりの株主価値にはできない。
株式報酬と新株発行による希薄化
研究開発人材の確保には株式報酬が使われ、ストックオプションの行使によって新株が増える。2026年1〜9月には約0.47億ドルのオプション行使等による払込金が入った一方、同期間の買い戻しは行われなかった。GAAPの株式報酬費用を無視して利益を評価したり、買い戻し額をすべて株主還元と考えたりすると、長期株主の実質的な取り分を過大評価する。
特許収益の一時性と利益から現金への転換
2025年の純利益には0.45億ドルの特許訴訟和解金と税効果が含まれる。2026年7〜9月期の使用料にも、新規ライセンスによる一時的な支払いが含まれた。2026年1〜9月の純利益約1.34億ドルに対して営業キャッシュフローは約0.80億ドルだった。使用料の売上計上と現金回収、訴訟費用、工場投資を分けて確認しなければ、オーナー利益を高く見積もりすぎる。
今後の分かれ目
- 2027年以降も特許使用料が四半期0.43億ドル以上を維持し、追加契約が継続する
- ライセンス収入の継続性が確認されるため、楽観側の確率を引き上げる。契約開始時の一時収入と更新後の継続分を区別し、法務費用を引いた利益率を同時に確認する。
- 第二世代VPDが複数の大手AI機器メーカーに量産採用される
- 先端製品の市場シェアと製造設備の稼働率を引き上げる。特定の一社の注文ではなく、異なる顧客で継続した設計採用が確認できることを条件とする。
- ITCの調査でバイコアに不利な判断が出る、または主要特許が無効となる
- ライセンス収益の長期成長と回収単価を引き下げ、悲観側の確率を引き上げる。ただし既存の製品事業まで直ちに消えるとはせず、特許収益への影響を別に計算する。
- Fab 2とFab 3の投資が増えたにもかかわらず受注残が減少し、設備稼働率が低下する
- 先端製品の営業利益率と増分投資利回りを引き下げる。成長のための設備投資が余剰設備へ変わるため、現金の積み上がりと株主還元も減らす。
- 2027〜2029年の製品売上が継続的に二桁成長し、営業利益率が35%を超えて定着する
- 数量と製品構成による収益性改善が確認できるため、中立の先端製品売上と利益率を上方修正する。特許使用料だけで全社利益率が高くなった場合は同じ判断をしない。
- 自社株買いが株式報酬と新株発行の増加分を継続的に上回り、余剰現金が減少する
- 少数株主に現金が戻る証拠となるため、余剰現金の回収割合と正味の還元を見直す。単なる買い戻し枠の発表ではなく、実際の資金支出と株数の減少を確認する。
- 競合の新しい電源方式がAI機器の主流となり、バイコアの先端製品の設計採用が減る
- 先端製品の参考市場シェアと価格指数を引き下げる。製品販売の減少に加え、回避設計が特許収益を減らす場合には、両方の事業を慎重な筋書きへ移す。
見ておくもの
- 四半期の製品売上と特許使用料を分けた成長率。特に2026年10〜12月期の使用料0.43億ドルという会社見通しの継続性
- 第二世代VPDの量産採用顧客数、主要AI顧客以外への設計採用の広がり、半導体試験装置向け売上
- 受注残、受注高÷売上高、製品別リードタイム、受注残の翌年度売上への転換
- Fab 2とFab 3の建設費、稼働開始、設備利用率、減価償却費、製造能力の増加
- ITC調査の進行、VPD関連特許の有効性判断、新規ライセンス契約の期間と更新条件
- 営業利益率、研究開発費率、法務費用、営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローの差
- 普通株とクラスB株の合計株数、ストックオプションの行使、実際の自社株買い額
- 余剰現金と正味の株主還元、創業者による議決権支配の変化
倍率と資本コストの決め方
価値の計算は2026年10月23日の株価を見ずに行った。先に2025年の製品別売上と2026年の決算を確認し、広域DC-DC市場の実質成長、バイコアの参考シェア、価格指数、特許の許諾対象数量と回収単価から2035年の売上を構成した。特許収益は売上の大きさよりも契約更新と特許満了が不確実であり、そのため中立でも無制限の拡大は認めない。倍率は市場のPERから導かず、k=9.0%、事業ROE、RONIC、長期gから求めた正当化PERの上限に、利益の質による調整を加えた。中立は上限約13.6倍に対して11.6倍である。
純現金は事業利益と分け、2035年の余剰現金のうち株主が回収できる部分を評価した。自己資本は2025年の7.1億ドルに2026〜2035年の純利益累計を足し、株式報酬と増資払い込みを差し引いた正味の還元を控除して整合させた。悲観は2025年の自己資本7.1億ドルを床として検算した。
添付台帳の時価総額は約80億ドルであり、2026年10月28日の市場資料では約99億ドルである。これは主として2026年10月23日以降の株価上昇による。会社が開示した普通株とクラスB株の合計は約4615万株で、台帳の4545万株より約1.5%多い。10年の評価は台帳の基準日を維持し、2026年10月28日の値付けへ寄せていない。確率加重後の現在価値は約26億ドル、基準時価総額との差は約-68%で、判断は割高となる。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に事業の質による+1.0%を加え、資本コストを9.0%とする。βや現在の株式市場の評価倍率は使わない。純現金が厚く、短期の存続を疑う財務状況ではないため、危機企業向けの追加上乗せは0%。特許紛争、顧客集中、創業者支配の不確実性は、資本コストへ重ねて上乗せせず、数量、利益率、確率に反映する。